JP2010269565A - パルプ成形品成形用の金型及びパルプ成形品の成形方法 - Google Patents

パルプ成形品成形用の金型及びパルプ成形品の成形方法 Download PDF

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秀俊 横井
Haruki Miyashita
治樹 宮下
Mitsuyoshi Maruno
満義 丸野
Keisuke Matsuzaka
圭祐 松坂
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Abstract

【課題】パルプ成形品の設計自由度及び生産性を大幅に向上し得る極めて実用性に秀れたパルプ成形品成形用の金型及びパルプ成形品の成形方法の提供。
【解決手段】パルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内に充填した後固化させる射出成形並びにパルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内を通過させた後固化させる押出成形のいずれかによってパルプ成形品を成形する際に用いるパルプ成形品成形用の金型であって、導入される前記流動性材料の流動先端を分岐させる分岐形成部1の後方位置にして該流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、前記流動性材料の流動方向に沿って凹部2若しくは凸部3から成る流動抵抗部を複数設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、パルプ成形品成形用の金型及びパルプ成形品の成形方法に関するものである。
パルプ射出成形の成形材料は故紙や紙パルプといった紙繊維を主成分として澱粉系結合剤および水を添加して製造しており、例えば、育苗容器やCDケースのような成形品を製造するために用いられている。
ところで、流動性を有する成形材料を金型内部に充填していく際、成形材料が金型壁面に接触すると接触領域が乾燥固化を開始する。その後、金型表面を荒らすなどの特別の処理をしていないと、表面が乾燥したまま材料が不均一に滑りながら流れて行き、滞留材料と流動材料との間にウェルドライン状の割れが生成しやすい。こうした金型表面の不均一な流動に起因したウェルドライン状の割れは、金型表面を粗面化し、滑りを抑制することで大幅に改善されることが明らかとなっている(特許文献1参照)。
一方、一般の樹脂(プラスチック)成形と同様の障害物(分岐形成部)の後方において該障害物により分岐した成形材料の流動先端が合流して出来るウェルドライン(再接合線)は、パルプ射出成形においても同様に生成するが、こうしたウェルドラインは流動先端部の乾燥が進んでいるパルプ射出成形では、紙繊維同士を接合させ一体化させる澱粉系結合剤の水分が蒸発しており、流動先端が接触・加圧する過程での再接合が大幅に阻害されることとなる。
そのため、パルプ射出成形のウェルドライン強度は、樹脂系成形品のウェルドライン強度に比べて著しく低下し、通常は2分の1乃至3分の1以下にまで低下する。金型表面の粗面化によりフローフロント部でのファウンテンフロー(噴水流れ)の生成を促進させ、流動先端の乾燥促進材料を積極的に置換する方法も、ほとんど改善効果がないことが確認されている。
以上のように、パルプ射出成形においては、ウェルドライン強度が著しく低下するため、これまではウェルドラインを生成させないように、穴部のある成形品設計を出来る限り回避するか、成形後にプレス打ち抜きによって穴部を形成しているが、設計の自由度や生産性の観点から改善が要望されている。
特許第2960920号公報
例えば樹脂の射出成形では、樹脂は流動過程において金型表面に沿ってスキン層(固化層)を形成しつつ充填されるが、その流動先端においては常に溶融状態が保持されている。
従って、樹脂の射出成形では、障害物等の分岐形成部の後方における分岐流の再会合流時には、溶融樹脂フロント同士が再接合するため、スキン層でのVノッチ状の接合不良部は形成されるものの、溶融樹脂同士の再接合部強度はある程度以上の強度が保持されている。
これに対してパルプ射出成形では、金型内部に成形材料が充填する際に、金型に接する表層部は乾燥固化が進みスキン層(乾燥固化層)が形成されることは樹脂と同様であるが、以下の点で樹脂の射出成形と大幅に異なっている。
即ち、パルプ射出成形においては、(1)流動先端部の成形材料の乾燥が進むことにより再会合流時に結合剤となるべき澱粉系結合剤が充分に機能しなくなること、(2)障害ピンや中空構造などに代表される流動中の障害物で材料流れが分岐される際に主成分である紙繊維が分断され、障害物後方にて再接合する際に接合面を介し繊維の絡み合いが復元されないこと、(3)パルプ射出成形品の特徴として、成形品内部に水蒸気の脱気路の痕跡として層状の空隙が成形品全域にわたって多数形成されるが、ウェルドラインに沿う成形品内部にはラインに沿った多くの空隙が筋状に形成・残留すること、以上の点で樹脂の射出成形と大幅に異なっている。
そのため、パルプ射出成形においては、上記(1)〜(3)が相互に複合され、パルプ射出成形品のウェルドライン強度が大幅に低下する原因となっている。
こうしたウェルドライン強度を改善するためには、ウェルドライン領域の繊維の絡み合いの復元や、ウェルドラインに沿う空隙構造の緩和・消失、フローフロント部の乾燥材料のリフレッシュ(特に厚さ方向への回転流動を誘起させて内層部から湧き出す材料への置換を促進する)をそれぞれ行う必要がある。即ち、ウェルドライン強度の改善には、成形材料の流動を制御することによって、障害物等の後方でのウェルドライン領域の成形品内部構造を変化させるような方策が必要となる。
本発明は、発明者等の上記知見に基づき、種々の実験を行った結果、金型の流動性材料の流動先端を分岐させる分岐形成部の後方位置にして該流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、流動性材料の流動方向に沿って凹部若しくは凸部から成る流動抵抗部を設けることで、ウェルドラインが形成されるパルプ成形品の強度を大幅に改善し得ることを見出し完成したもので、パルプ成形品の設計自由度及び生産性を大幅に向上し得る極めて実用性に秀れたパルプ成形品成形用の金型及びパルプ成形品の成形方法を提供するものである。
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
パルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内に充填した後固化させる射出成形並びにパルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内を通過させた後固化させる押出成形のいずれかによってパルプ成形品を成形する際に用いるパルプ成形品成形用の金型であって、導入される前記流動性材料の流動先端を分岐させる分岐形成部1の後方位置にして該流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、前記流動性材料の流動方向に沿って凹部2若しくは凸部3から成る流動抵抗部が複数設けられていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型に係るものである。
また、請求項1記載のパルプ成形品成形用の金型において、凹部2から成る前記流動抵抗部と凸部3から成る前記流動抵抗部とが少なくとも一つずつ並設されていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型に係るものである。
また、請求項1,2いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型において、前記各流動抵抗部は前記流動性材料の流動方向に対し水平直角方向となる水平左右方向に交互に偏らせて設けられていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型に係るものである。
また、請求項1〜3いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型において、この金型は射出成形用の金型であってキャビ型4若しくはコア型5に前記流動抵抗部が設けられていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型を用いてパルプ成形品を成形するパルプ成形品の成形方法であって、前記流動抵抗部により、前記流動性材料の流動先端を前記合流が予想される位置を迂回させると共に、前記流動先端の前記流動性材料の流動方向に対し垂直直角方向となる垂直上下方向への流動を促進させ該流動先端を混練させることを特徴とするパルプ成形品の成形方法に係るものである。
また、請求項1〜4いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型を用いてパルプ成形品を成形するパルプ成形品の成形方法であって、前記流動抵抗部により、前記流動性材料の流動先端を前記合流が予想される位置を迂回させると共に、前記流動先端の前記流動性材料の流動方向に対し垂直直角方向となる垂直上下方向への回転流動を誘起させて該流動性材料の内層部と表面部とを置換せしめることを特徴とするパルプ成形品の成形方法に係るものである。
本発明は上述のように構成したから、ウェルドラインが形成されるパルプ成形品の強度を大幅に改善することが可能で、パルプ成形品の設計自由度及び生産性を大幅に向上し得る極めて実用性に秀れたパルプ成形品成形用の金型及びパルプ成形品の成形方法となる。
実施例1の概略説明図である。 実施例1の要部の概略説明斜視図である。 実施例1の要部の概略説明縦断面図である。 実施例1によるパルプ成形品の成形工程を説明する工程説明図である。 実験結果を説明するグラフである。 実施例1の別例の要部の概略説明斜視図である。 実施例1の別例の要部の概略説明縦断面図である。 実施例2の概略説明図である。 実施例2の概略説明軸直角断面図である。 実施例2の要部の概略説明斜視図である。 実施例2の別例の要部の概略説明斜視図である。
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
金型内に流動性材料を導入し、この樹脂を金型内に充填するか若しくは金型内を通過させることでパルプ成形品を射出成形若しくは押出成形により成形する。
この際、分岐形成部1により分岐せしめられた流動性材料の流動先端は、凹部2若しくは凸部3から成る流動抵抗部の流動抵抗により、分岐した流動先端同士の合流が予想される位置(流動抵抗部がないとしたならばウェルドラインの発生が予想される位置)を迂回するように進行し、且つ、流動性材料の流動先端が凹部2若しくは凸部3を進行する際に流動性材料の流動方向に対し垂直直角方向となる垂直上下方向への流動が促進せしめられ該流動先端が混練される。これにより、乾燥していない内層部の材料の表面側への移動が促進されることになり、本来高粘性材料で状態が変化しにくい流動先端の状態を変化せしめることが可能となる。
従って、分岐した流動先端が合流する際、澱粉系の結合材が充分に機能し、また、紙繊維の絡み合いが復元されることで、再接合を良好に行うことができ、よって、(ウェルドライン)強度が大幅に改善することが可能となり、穴部のある成形品設計を出来る限り回避したり、成形後にプレス打ち抜きによって穴部を形成したりする必要なく、パルプ成形品を成形することが可能となる。
本発明の具体的な実施例1について図1〜7に基づいて説明する。
実施例1は、射出成形金型に本発明を適用した例であり、パルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内に充填した後固化させる射出成形によってパルプ成形品を成形する際に用いるパルプ射出成形品成形用の金型であって、導入される前記流動性材料の流動先端を分岐させる分岐形成部1の後方位置にして該流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、前記流動性材料の流動方向に沿って凹部2若しくは凸部3から成る流動抵抗部が複数並設されているものである。
パルプ成形品を得るため成形材料(流動性材料)としては、例えば、パルプ繊維:60wt%,澱粉(水溶性結合剤):30wt%,PVA:10wt%に水分を加えて35wt%の水分率となるように調合したものが採用されている。
尚、澱粉ではなく糊化澱粉を採用しても良く、この場合には、例えばパルプ繊維:60wt%,糊化澱粉:30wt%,PVA:10wt%に水分を加えて40wt%の水分率となるように調合する。
また、金型としては、図1に図示したような射出成形用の上側のキャビ型4と下側のコア型5から成るステンレス鋼製の射出成形金型が採用されている。
このキャビ型4とコア型5との間の空間(キャビティ6)に、このキャビティ6内を例えば約180℃に保持させた状態で、90℃程度に加熱した上記流動性材料を充填し、固化することでパルプ成形品を成形することができる。
尚、実施例1においては、キャビ型4が固定型に、コア型5が可動型に設定されている。図中、符号7はキャビ型4が固定されるキャビ型固定部、8はコア型5が固定されるコア型固定部である(このコア型固定部8の背面(成形機可動盤)にコア型5をキャビ型4に対して接離動せしめる駆動機構が設けられる。)。また、キャビ型4とコア型5とを上下逆にしても良い。
また、キャビ型4には、前記キャビティ6内に流動性材料を導入するゲート9が設けられ、このゲート9はノズル10と連設されている。このノズル10は、上記材料が貯められる材料供給部11と連設されており、該材料供給部11に貯められた材料はスクリュにより攪拌され、ピストン機構等によりノズル10からゲート9を通じてキャビティ6内に押し出される。
また、コア型5には、パルプ成形品を成形した後、成形品の裏面を押出してコア型5から離形させるための押し出しピン12が突没自在に設けられている。図中、符号13は複数の押し出しピン12が立設され該複数の押し出しピン12を同時に突没動させるピン支持体、16はピン支持体13の駆動スペースを確保するためのスペーサーである。
実施例1は、例えば穴部形成用のピンなど、流動性材料の流動方向に対して垂直直角方向となる垂直上下方向にキャビ型4の底部とコア型5の頂部との対向面(キャビ型4の底面14とコア型5の頂面15)に夫々接するように伸び、金型内部において流動性材料が侵入不能な部分を形成する障害物、即ち、分岐形成部1を有する。
分岐形成部1は、キャビ型4若しくはコア型5に一体に設けるものでも良いし、キャビ型4及びコア型5とは別体で設けられるものでも良い。実施例1の分岐形成部1は、キャビ型4とコア型5とは別体で設けられるステンレス鋼製のものが採用され、コア型5の頂面15上に固定状態に設けられている。また、直方体状でも円筒状でもどのような形状でも良い。
尚、射出成形においてウェルドラインが形成される位置(流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置)は、材料の回り込みが生じる位置など、極めて容易に予測できる(少なくとも実験的に成形を行えばどの部分でウェルドラインが生じるかの特定は容易に行える。)。
この分岐形成部1の流動性材料の流動方向に対して後方側(流動下流側)には、直方体状の凹部2から成る流動抵抗部(凹状流動抵抗部2)と直方体状の凸部3から成る流動抵抗部(凸状流動抵抗部3)とが一つずつ並設されている。この凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3はパルプ成形品が残るコア型5の頂面15に該コア型5と一体に設けられている。
尚、凸状流動抵抗部3は、分岐形成部1と同様にコア型5と別体で設ける構成としても良い。また、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3は直方体状に限らず、半球状や半円筒状、他の形状としても良い。また、キャビ型4とコア型5とを上下逆に設けた場合やキャビ型側にパルプ成形品が残るようにした場合には、キャビ型4に、分岐形成部1、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3を設ける構成としても良い。
具体的には、図2,3に図示したように、実施例1においては、キャビ型4の底面14と対向するコア型5の頂面15に流動抵抗部を設けており、分岐形成部1の後方に、流動性材料の流動方向に対して凹状流動抵抗部2、凸状流動抵抗部3の順に並設されている。
尚、図2中、符号Aは流動性材料の流動方向を示す。この流動方向は、流動先端の細かい流動方向を示すものではなく、金型内に導入された流動性材料の大まかな流れを示すもので、図2においては(ゲートが存する)右奥方向から左手前方向に流動性材料が全体として進行することを示している。
実施例1においては、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3は、流動性材料の流動方向に対して水平直角方向(水平左右方向)に長手方向を有するように設けられている。また、実施例1においては、凹状流動抵抗部2の幅及び長さと凸状流動抵抗部3の幅及び長さは夫々略同一となるように設定している。また、凹状流動抵抗部2の深さと凸状流動抵抗部3の高さも略同一の値に設定している。尚、これらは別々に設定しても良い。また、凹状流動抵抗部2若しくは(及び)凸状流動抵抗部3を二つ以上流動性材料の流動方向に並設する構成としても良い。また、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3は、流動性材料の流動方向に対して水平左右方向に複数並設する構成としても良い。
実施例1の凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3の長さは、少なくとも分岐形成部1の長さより長く設定し、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3の少なくとも一部が、導入される流動性材料から見て分岐形成部1と重なるように、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3を、流動性材料の流動方向に対し水平直角方向となる水平左右方向に交互に偏らせて設けている。
具体的には、図2に図示したように、凹状流動抵抗部2を流動性材料の流動方向に対し水平右方向(図2中左奥方向)に偏らせて設け、凸状流動抵抗部3を流動性材料の流動方向に対し水平左方向(図2中右手前方向)に偏らせて設けている。また、実施例1においては、分岐形成部1の(流動性材料から見て)左端と凹状流動抵抗部2の左端とを揃え、分岐形成部1の右端と凸状流動抵抗部3の右端とを揃えるように構成している。
即ち、実施例1においては、流動性材料から見て分岐形成部1が存在する部分には、流動方向に沿って、分岐形成部1、凹状流動抵抗部2の一部及び凸状流動抵抗部3の一部が存在し、分岐形成部1が存在しない水平右側には凹状流動抵抗部2の一部が存在し、水平左側には凸状流動抵抗部3の一部が存在することになる。
尚、本実施例においては、凹状流動抵抗部2及び凸状流動抵抗部3の長さを、分岐形成部1の長さより長く設定しているが、例えば、分岐形成部1の長さより短く設定しても良いし、分岐形成部1と同じ長さに設定しても良い。
また、凹状流動抵抗部2の深さ及び容積と、凸状流動抵抗部3の高さ及び頂面の面積は、凹状流動抵抗部2に流動性材料の流動先端が落ち込む際、凸状流動抵抗部3に乗り上げた流動性材料の流動先端が該凸状流動抵抗部3から降り下がる際、夫々流動先端の垂直上下方向への回転流動が誘起せしめられ、流動先端(流動性材料)の内層部から湧き出す材料(乾燥していない材料)と乾燥した表面部とが置換せしめられる深さ及び容積と高さ及び面積に設定している。また、凹状流動抵抗部2と凸状流動抵抗部3の並設間隔は、可及的に近接させるのが好ましい。
以上のように構成した金型(キャビティ6)内に流動性材料を導入すると、図4に図示したような工程を経てパルプ成形品が成形される。
即ち、先ず、ゲート9から導入された流動性材料が分岐形成部1に衝突すると該分岐形成部1を起点として流動先端が二手に分岐・分断されてこの分岐形成部1の後方側に回り込むように進行する。
続いて、分岐形成部1の水平右側に進行する流動先端は一部が凹状流動抵抗部2に落ち込みながら大部分は該凹状流動抵抗部2を迂回するように奥側(図2中左手前側)へと進行し、一方、水平左側に進行する流動先端は中央側及び奥側に進行するが、奥側には凸状流動抵抗部3が存在するため、多くは凹状流動抵抗部2へと落ち込む。
そして、この凹状流動抵抗部2に落ち込む際に、流動性材料の流動方向に対し垂直直角方向となる垂直上下方向への流動が促進せしめられ、流動先端を混練させる。具体的には、流動先端の垂直上下方向への回転流動が誘起せしめられ、流動先端(流動性材料)の内層部から湧き出す材料(乾燥していない材料)と乾燥した表面部とが置換せしめられ、分岐した流動先端が合流する際、澱粉系の結合材が充分に機能し、また、紙繊維の絡み合いが復元されることで、再接合を良好に行うことができ、よって、ウェルドライン強度が大幅に改善される。
また、凹状流動抵抗部2を迂回して奥側へと進行した水平右側の流動先端は、凸状流動抵抗部3の後方側へと回り込み、一方、水平左側の流動先端にして凸状流動抵抗部3を乗り上げた材料が、凸状流動抵抗部3から降り下がる際に上記同様に流動性材料の内層部と表面部とが置換せしめられ、凸状流動抵抗部3の後方位置で良好に再接合される。
そして、金型内への材料充填が完了し、材料を固化せしめることで、(ウェルドライン)強度が大幅に改善した成形物(パルプ成形品)を得ることができる。
図5は、以上のようにして得られたパルプ成形品(改良後)と、ウェルドラインが形成されない分岐分断無しのパルプ成形品と、ウェルドラインが形成される従来の分岐分断有りのパルプ成形品との曲げ強度を比較した実験結果を示すグラフである。図5から、流動抵抗部を設けることで、大幅に強度を改善できることが確認できる。
尚、実施例1においては図2,3に図示したように凹状流動抵抗部2、凸状流動抵抗部3を構成しているが、図6,7に図示した別例のように分岐形成部1の後方に凸状流動抵抗部3、凹状流動抵抗部2の順に並設しても良い。流動抵抗を付与するという点では凹部2でも凸部3でも効果に大差はないからである。尚、並設の順序以外の点は実施例1と同様である。
よって、実施例1は、ウェルドラインが形成されるパルプ成形品の強度を大幅に改善することが可能で、パルプ成形品の設計自由度及び生産性を大幅に向上し得る極めて実用性に秀れたパルプ射出成形技術となる。
本発明の具体的な実施例2について図8〜11に基づいて説明する。
実施例2は、押出成形金型に本発明を適用した例であり、パルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内を通過させた後固化させる押出成形によってパルプ成形品を成形する際に用いるパルプ押出成形品成形用の金型であって、導入される前記流動性材料の流動先端を分岐させる分岐形成部1の後方位置にして該流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、前記流動性材料の流動方向に沿って凹部2若しくは凸部3から成る流動抵抗部が複数並設されているものである。
具体的には、図8,9に図示したように、内側ダイ21の外周面と外側ダイ22との内周面とから構成される環状の流路を有する金型であって、例えば内側ダイ21を支える支持材など、内側ダイ21から外側ダイ22の内周面に向かって延びる分岐形成部1を有するものである。実施例2においては内側ダイ21としては円筒状のパイプ中空部を形成する円柱芯が採用され、この円柱芯の外周面には分岐形成部1となる支持材が3本、円周方向に等間隔で設けられ、各支持材は円柱芯から放射状に外側ダイ22の円筒状内周面に伸びている。
このような押出成形金型を用いて円筒状のパイプを連続で押出成形する場合、シリンダ23内に設けられるスクリュ24により混練され押し出される流動性材料(パルプ60wt%,澱粉30wt%,PVA10wt%,水分率35wt%)は、流路を通過する際、分岐形成部1としての上記支持材によって分断されることになる。尚、シリンダ23内での材料温度は金型温度と同温に設定される。
ところで、押出成形において、パルプ成形材料以外の樹脂(プラスチックなど)を用いる場合には、この樹脂を射出成形する場合と同様に、その流動先端は常に溶融状態が保持されているため、分断されても容易に再接合する。
一方、実施例2のようなパルプ成形材料を用いる場合、実施例1のような射出成形と異なり、シリンダ23と同一温度での分断となるため、乾燥を要因とした接合不良は生じ難いが、押出成形の場合は分岐分断面で射出成形と同様に繊維の分断が生じる。
そこで、実施例2においては、分岐形成部1としての支持材の後方位置にして流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、流動性材料の流動方向に沿って凹部2若しくは凸部3から成る流動抵抗部を複数並設している。
具体的には、図10に図示したように、円柱芯(内側ダイ21)の外周部に該円柱芯の外周を一周するように設けられる環状にして断面長方形状の凹条2及び凸条3を流動方向Aに沿って略平行に並設し、この凹条2及び凸条3による同心円方向の段差を利用して、同心円方向に材料を混練させることができるように構成し、分岐した流動先端が合流する際、紙繊維の絡み合いが復元され、良好に再接合が行われるようにしている。
実施例2においては、凹条2及び凸条3を二つずつ交互に並設する構成としているが、凹条2及び凸条3を一対設ける構成としても良いし、計三つ以上の凹条2及び凸条3を交互に並設する構成としても良い。尚、流動先端の混練を促進するために、凹条2と凸条3とは交互に設けるのが好ましい。
以上のように構成することで、強度を大きく改善することが可能となる。
また、実施例2においては流動抵抗部として環状の凹条2及び凸条3を設けた構成としているが、例えば、図11に図示した別例のように、支持材の後方位置に夫々円周方向に所定の長さを有する凹部2(上記凹条2の一部)及び凸部3(上記凸条3の一部)を各支持材に対応した位置に夫々並設する構成としても良い。この場合、流動先端を円周方向に迂回させ、混練を一層良好に行うことが可能となり、一層良好に強度を改善することが可能となる。
尚、凹条2及び凸条3は断面長方形状に限らず、半球状等、他の形状としても良い。また、内側ダイ21に限らず、外側ダイ22に凹条2及び凸条3を設ける構成としても良い。
その余は実施例1と同様である。
1 分岐形成部
2 凹部
3 凸部
4 キャビ型
5 コア型

Claims (6)

  1. パルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内に充填した後固化させる射出成形並びにパルプ及び澱粉を主成分とした流動性材料を金型内を通過させた後固化させる押出成形のいずれかによってパルプ成形品を成形する際に用いるパルプ成形品成形用の金型であって、導入される前記流動性材料の流動先端を分岐させる分岐形成部の後方位置にして該流動性材料の分岐した流動先端の合流が予想される位置に、前記流動性材料の流動方向に沿って凹部若しくは凸部から成る流動抵抗部が複数設けられていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型。
  2. 請求項1記載のパルプ成形品成形用の金型において、凹部から成る前記流動抵抗部と凸部から成る前記流動抵抗部とが少なくとも一つずつ並設されていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型。
  3. 請求項1,2いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型において、前記各流動抵抗部は前記流動性材料の流動方向に対し水平直角方向となる水平左右方向に交互に偏らせて設けられていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型。
  4. 請求項1〜3いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型において、この金型は射出成形用の金型であってキャビ型若しくはコア型に前記流動抵抗部が設けられていることを特徴とするパルプ成形品成形用の金型。
  5. 請求項1〜4いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型を用いてパルプ成形品を成形するパルプ成形品の成形方法であって、前記流動抵抗部により、前記流動性材料の流動先端を前記合流が予想される位置を迂回させると共に、前記流動先端の前記流動性材料の流動方向に対し垂直直角方向となる垂直上下方向への流動を促進させ該流動先端を混練させることを特徴とするパルプ成形品の成形方法。
  6. 請求項1〜4いずれか1項に記載のパルプ成形品成形用の金型を用いてパルプ成形品を成形するパルプ成形品の成形方法であって、前記流動抵抗部により、前記流動性材料の流動先端を前記合流が予想される位置を迂回させると共に、前記流動先端の前記流動性材料の流動方向に対し垂直直角方向となる垂直上下方向への回転流動を誘起させて該流動性材料の内層部と表面部とを置換せしめることを特徴とするパルプ成形品の成形方法。
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