JP2010265140A - コロイダルシリカおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カテコールの存在下で活性珪酸を原料として製造されるコロイダルシリカであって、カテコールを含有し、透過型電子顕微鏡観察による長径/短径比が1.2〜10である非球状の異形シリカ粒子群を含有するコロイダルシリカである。これは、珪酸アルカリ水溶液とカチオン交換樹脂とを接触させて、活性珪酸水溶液を調製した後、この活性珪酸水溶液にカテコールおよびアルカリ剤を添加した後、加熱してシリカ粒子を形成し、ビルドアップの手法でシリカ粒子を成長させることにより製造することができる。
【選択図】図2
Description
また、カテコールは半導体ウエハのレジスト剥離剤、洗浄剤、エッチング剤等の一成分として配合され、金属表面との反応により金属表面の防食剤として機能することが、特許文献6〜8に記載されている。
すなわち本発明は、カテコールの存在下で活性珪酸を原料として製造されるコロイダルシリカであって、カテコールを含有し、透過型電子顕微鏡観察による長径/短径比が1.2〜10である非球状の異形シリカ粒子群を含有するコロイダルシリカである。このコロイダルシリカは、シリカ/カテコールのモル比が20〜700であることが好ましい。
(a)珪酸アルカリ水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて活性珪酸水溶液を調製する工程、
(b)この活性珪酸水溶液にカテコールとアルカリ剤とを添加してアルカリ性にした後、加熱してシリカ粒子を形成させる工程、および
(c)続いて加熱条件下に、アルカリ性を維持しながら、活性珪酸水溶液とアルカリ剤とを添加するか、または活性珪酸水溶液とアルカリ剤とカテコールとを添加してシリカ粒子を成長させる工程
を有する。
また、このコロイダルシリカの製造方法は、(c)工程の後、(d)シリカを濃縮する工程を更に有することが好ましい。
本発明のコロイダルシリカは、カテコールの存在下で活性珪酸を原料として製造される。カテコールとシリカの結合は強いため、カテコールは、シリカ粒子の形成および成長の過程を経て、シリカ粒子の内部および/または表面に固定された形態と、液相に溶解した形態との2形態で存在している。
また、本発明のコロイダルシリカは、透過型電子顕微鏡観察による長径/短径比が1.2〜10である非球状の異形シリカ粒子群を含有している。本発明における長径/短径比とは、得られたコロイダルシリカの透過型電子顕微鏡写真にスケールをあてて、ランダムに選択したシリカ粒子100個について、シリカ粒子の最も長い辺aと最も短い辺bとを測定し、この値(a1、a2、・・・、a100およびb1、b2、・・・、b100)を用いてそれぞれの粒子の長径/短径比(a1/b1、a2/b2、・・・、a100/b100)を算出し、最大値側および最小値側の5点の値を除いた90点の値の算術平均値である。
カテコールはシリカと強い結合を形成する特異な有機化合物であり、シリカの分析などに利用されたこともあった。そのカテコールの特異的な性質が、シリカ粒子の形成や成長に影響を及ぼしていると推測される。また、シリカとカテコールの反応物は暗褐色の色相に発色する。主にコロイド液の液相部分が発色し、これはシリカ分子とカテコールとの反応生成物がコロイド液に溶解していることに起因する。さらに、機器分析の結果から、本発明のコロイダルシリカでは、シリカ粒子の内部および/または表面に一部のカテコールが固定化されているものと推測される。
(1)TEM観察:(株)日立製作所、透過型電子顕微鏡H−7500型を使用した。
(2)全カテコール分析:(株)島津製作所、全有機体炭素計TOC−5000Aおよび固体試料燃焼装置SSM−5000Aを使用し、求めた全有機体炭素量よりカテコールに換算した。具体的には、全有機体炭素量(TOC)は、全炭素量(TC)と無機体炭素量(IC)とを測定後、TOC=TC−ICにより求めた。TC測定の標準として炭素量1重量%のグルコース水溶液を用い、IC測定の標準として炭素量1重量%の炭酸ナトリウムを用いた。超純水を炭素量0重量%の標準とし、それぞれ先に示した標準を用い、TCは150μlと300μl、またICは250μlで検量線を作成した。サンプルのTC測定ではサンプルを約100mg採取し、900℃燃焼炉で燃焼させた。また、IC測定ではサンプルを約20mg採取し、(1+1)燐酸を約10ml添加し200℃燃焼炉で反応を促進した。
(3)液相カテコール分析:限外濾過によりサンプルから液相を取り出し、上記(2)と同じ方法で測定した。
(4)固定化されたカテコールの算出:全カテコール量から液相カテコール量を減じて、固定化されたカテコール量を算出した。
(a)活性珪酸水溶液の調製
脱イオン水13kgに3号珪酸ソーダ(SiO2:28.8重量%、Na2O:9.7重量%、H2O:61.5重量%)2.1kgを加えて均一に混合しシリカ濃度4.0重量%の希釈珪酸ソーダを作成した。この希釈珪酸ソーダを予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)4000mlのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度3.5重量%でpH2.9の活性珪酸水溶液15kgを得た。
次いで、得られた活性珪酸水溶液にカテコールを添加した後、アルカリ剤を加えてアルカリ性にして加熱し、シリカ粒子を形成させた。すなわち、得られた活性珪酸水溶液の一部500gに、攪拌下で、カテコールをシリカ/カテコールのモル比が20になるように添加した後、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8とし、加熱して100℃に1時間保持した後、放冷した。
続いて、得られたコロイダルシリカを再度加熱して100℃とし、ビルドアップの方法をとり、1,800gの活性珪酸水溶液を3時間かけて添加した。活性珪酸水溶液の添加中、カテコールと5重量%水酸化ナトリウム水溶液を同時添加した。カテコールは、シリカ/カテコールのモル比が20となるように添加し、5重量%水酸化ナトリウム水溶液は、pHが9.5〜10.5の範囲になるように添加した。同時添加終了後、100℃に1時間保持して、熟成を行った後、放冷した。
最後に、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP−1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度が29重量%になるまで濃縮した。得られたコロイダルシリカのpHは9.1であった。
また、コロイダルシリカの全カテコール濃度は0.334重量%であり、液相カテコール濃度は0.296重量%であった。このことから、添加したカテコールの一部はシリカに固定されていることが確認でき、その量は0.124重量%と算出された。また、限外濾過によりカテコールの一部が除去されているため、シリカ/カテコールのモル比は159であった。
シリカ粒子の成長工程においてカテコールを添加しないこと以外は実施例1と同じ方法でコロイダルシリカを作製した。最後に、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP−1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度が17.5重量%になるまで濃縮した。得られたコロイダルシリカのpHは9.2であった。
また、コロイダルシリカの全カテコール濃度は0.0497重量%であり、液相カテコールは0.0345重量%であった。このことから、添加したカテコールの一部はシリカに固定されていることが確認でき、その量は0.0235重量%と算出された。また、限外濾過によりカテコールの一部が除去されているため、シリカ/カテコールのモル比は646であった。
実施例1で用いたものと同じ活性珪酸水溶液500gに、攪拌下で、5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH8とし、加熱して100℃に1時間保持した後、放冷した。
透過型電子顕微鏡(TEM)によりシリカ粒子を観察したところ、平均粒子径7nmの球状シリカ粒子よりなるコロイダルシリカであることを確認した。続いて、得られたコロイダルシリカを再度加熱して100℃とし、ビルドアップの方法をとり、1,800gの活性珪酸水溶液を3時間かけて添加した。活性珪酸水溶液の添加中、pHが9.5〜10.5の範囲になるように5重量%水酸化ナトリウム水溶液を同時添加した。同時添加終了後、100℃に1時間保持し、熟成を行った後、放冷した。最後に、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP−1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度が20重量%となるまで濃縮した。得られたコロイダルシリカのpHは9.1であった。
Claims (5)
- カテコールの存在下で活性珪酸を原料として製造されるコロイダルシリカであって、カテコールを含有し、透過型電子顕微鏡観察による長径/短径比が1.2〜10である非球状の異形シリカ粒子群を含有することを特徴とするコロイダルシリカ。
- シリカ/カテコールのモル比が20〜700であることを特徴とする請求項1に記載のコロイダルシリカ。
- 透過型電子顕微鏡観察によるシリカ粒子の平均短径が5〜30nmであり、かつシリカの濃度が10〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のコロイダルシリカ。
- 以下の工程
(a)珪酸アルカリ水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて活性珪酸水溶液を調製する工程、
(b)この活性珪酸水溶液にカテコールとアルカリ剤とを添加して、アルカリ性にした後、加熱してシリカ粒子を形成させる工程、および
(c)続いて加熱条件下で、アルカリ性を維持しながら、活性珪酸水溶液とアルカリ剤とを添加するか、または活性珪酸水溶液とアルカリ剤とカテコールとを添加してシリカ粒子を成長させる工程
を有することを特徴とする請求項1に記載のコロイダルシリカの製造方法。 - (c)工程の後、(d)シリカを濃縮する工程を更に有することを特徴とする請求項4に記載のコロイダルシリカの製造方法。
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JP2003267721A (ja) * | 2002-03-15 | 2003-09-25 | Dokai Chemical Industries Co Ltd | 液状有機媒体中に高度に分散したシリカ粒子スラリー及びその乾燥粉体並びにそれらの製造方法 |
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