JP2003267721A - 液状有機媒体中に高度に分散したシリカ粒子スラリー及びその乾燥粉体並びにそれらの製造方法 - Google Patents

液状有機媒体中に高度に分散したシリカ粒子スラリー及びその乾燥粉体並びにそれらの製造方法

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JP2003267721A
JP2003267721A JP2002071962A JP2002071962A JP2003267721A JP 2003267721 A JP2003267721 A JP 2003267721A JP 2002071962 A JP2002071962 A JP 2002071962A JP 2002071962 A JP2002071962 A JP 2002071962A JP 2003267721 A JP2003267721 A JP 2003267721A
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JP2002071962A
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Atsushige Fujii
淳成 藤井
Kunihiko Terase
邦彦 寺瀬
Maki Inoue
真樹 井上
Hidekazu Ono
英一 小野
Takayoshi Sasaki
隆好 佐々木
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DOKAI CHEMICAL IND CO Ltd
Dokai Chemical Industries Co Ltd
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DOKAI CHEMICAL IND CO Ltd
Dokai Chemical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリカ薄片1次粒子及び/又は葉状シリ
カ2次粒子を、液状有機媒体中に、均一に高分散させた
有機媒体系スラリーの製造方法やその乾燥粉体を提供す
る。 【解決手段】 シリカヒドロゲル、活性ケイ酸又は含
水ケイ酸のいずれかを、アルカリ金属塩の存在下に水熱
処理し、シリカ3次凝集体粒子を形成し、これを、水系
スラリー状態で、解砕・分散化して、その2次粒子等か
らなる水系スラリーを形成し、その水系スラリーに、液
状有機媒体を、添加・混合し、当該有機溶媒を共存させ
た状態で、脱水する。また、シリカ3次凝集体粒子の湿
ケーキの有機媒体系スラリーを、解砕・分散化処理して
もよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリカ薄片1次粒
子及び/又は葉状シリカ2次粒子を有機媒体に分散させ
たシリカ粒子の有機媒体系スラリー及びその製造方法、
並びに、上記スラリーを脱有機媒体して得られるそのシ
リカ1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子からなる高
分散乾燥粉体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、先に、鱗片状シリカの薄
片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なっ
て形成される葉状シリカ2次粒子及び塗膜形成性の有機
高分子物質を含有するその水系の硬化性組成物及びこれ
から得られる硬化塗膜を提案した(例えば、特開200
1−163613を参照。)。
【0003】当該水系の硬化性組成物中に含有される積
層構造の粒子形態を有するシリカ2次粒子は、本発明者
らにより初めて創出されたものであって、当該粒子をア
クリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、フッ
素樹脂系等の従来の有機高分子物質からなる水性有機塗
料に配合し、水系の硬化性組成物等として使用する場合
は、その特異な粒子形態及びその物性に起因して、形成
される塗膜に、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性
等の優れた特性を付与することができる。
【0004】また、基本的には、当該葉状シリカ2次粒
子は、それ自身で自己造膜性に優れるため、塗膜中で配
向し、互いに積み重なった状態で存在するので、当該塗
膜に高い硬度や基体との強い密着性を付与する。例え
ば、通常の水性有機塗料の塗膜の鉛筆硬度がB〜4B程
度であるところ、当該シリカ2次粒子を配合すると、そ
の硬度は、H〜4H程度へと向上する。
【0005】更に、このシリカ2次粒子は、有機系紫外
線遮蔽剤や酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの
無機系紫外線遮蔽剤を含有する水性の有機塗膜中に配合
することにより、紫外線遮蔽機能等の光学的機能を有す
る塗膜の硬度、密着性、耐水性、耐酸性等を向上させる
ことができる。またこの場合、当該シリカ2次粒子は配
向性に優れ、それ自体強い自己造膜性を有する積層構造
の葉状シリカ粒子であるため、当該塗膜中において酸化
チタン粒子等の粒子を担持して、当該シリカ粒子に沿っ
て効果的に配向せしめ、その光学特性の点でも大幅に向
上した塗膜が形成されると考えられる。
【0006】以上のごとく、本発明者により創出された
葉状シリカ2次粒子は、各種用途の塗料、コーティング
剤、接着剤、フロアポリッシュ組成物等に配合し、その
膜質等を顕著に向上せしめるフィラーとしてきわめて有
用なものである。しかしながら、惜しむらくは、当該葉
状シリカ2次粒子は、基本的に、シリカ3次凝集体粒子
の水系スラリーを、媒体ビーズミル等により、特定の条
件下で解砕することにより得られるものであるため、必
然的にその形態は、水系スラリーの状態に限られてしま
うのである。
【0007】かかる水系スラリー状態の葉状シリカ2次
粒子は、従って、有機溶剤型(非水性)の塗料組成物、
コーティング剤、インキ組成物、ワックス組成物にその
まま配合することはできないし、また、有機溶剤含有樹
脂コンパウンドや化粧料に配合することも困難である。
【0008】本来、フィラーとして使用する場合の当該
葉状2次粒子の最も好ましい形態は、当然のことなが
ら、その乾燥粉体とすることであり、本発明者らは、こ
れに対し、当該葉状シリカ2次粒子の水系スラリーを乾
燥することにより、シリカ2次粒子の乾燥粉体を得る方
法についても鋭意検討した。しかしながら、当該葉状シ
リカ2次粒子は、その強い自己造膜性に起因してか、乾
燥時に極端な凝集性を有するものであり、その水系スラ
リーを乾燥して乾燥粉体とすることは、予想以上に困難
であることを見出した。すなわち、種々の乾燥方法を検
討した結果、唯一の方法として、当該水系スラリーを噴
霧乾燥すれば、一応、葉状シリカ2次粒子の乾燥粉末が
得られることがわかったが、これは、乾燥前のスラリー
中の固形分濃度を、1質量%以下と、経済的に全く成り
立たない極端に希薄なスラリーにした場合に限られるの
であり、これよりスラリー濃度を高くした場合は、乾燥
過程で粒子が凝集・固着してしまうため、到底実用的に
成立する方法ではないのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かく
して、シリカ薄片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒
子を、液状有機媒体中に、均一に高分散させた有機媒体
系スラリー及びその製造方法を提供することであり、加
えて当該スラリーからその有機媒体を除去して得られる
シリカ薄片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子の乾
燥粉体を提供することである。
【0010】本発明者らは、上記課題の重要性に鑑み鋭
意検討した結果、シリカ薄片1次粒子及び/又は葉状シ
リカ2次粒子の水系スラリーと液状有機媒体とを予め混
合するか、又は、シリカ3次凝集体粒子の水系スラリー
に液状有機媒体を添加混合して、湿式で解砕・分散操作
を加えた後に、蒸発装置等を用いて水分を選択的に除去
することにより、当該乾燥中に粒子が凝集したり、ま
た、粒子の特性が変化することなく、シリカ粒子が液状
有機媒体中に高分散した有機媒体系スラリーが得られる
ことを見出した。
【0011】さらに当該シリカ粒子の有機媒体系スラリ
ーからその有機媒体を蒸発除去することにより、すでに
述べたような水系スラリーの乾燥処理では、容易に凝集
・固結してしまうため、得ることができなかった高分散
された葉状シリカ2次粒子等が、何らの凝集・固結を伴
うことなく、問題なく乾燥することができ、その粒子の
乾燥粉体が得られるという予想外の現象を見出した。本
発明は、かかる知見に基づいてなされるに至ったもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に従え
ば、以下の発明が提供される。
【0013】〔1〕 鱗片状シリカの薄片1次粒子及び
/又は当該1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数
枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子を、液状有機
媒体中に高分散させてなることを特徴とするシリカ粒子
の有機媒体系スラリー。
【0014】〔2〕 前記スラリー中のシリカの薄片1
次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子が、層状ポリケイ
酸である〔1〕に記載の有機媒体系スラリー。
【0015】〔3〕 前記スラリー中のシリカの薄片1
次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子のX線回折分析で
の主ピークが、シリカ−X及び/又はシリカ−Yに該当
するシリカである〔1〕又は〔2〕に記載の有機媒体系
スラリー。
【0016】〔4〕 前記液状有機媒体が水と分離しう
る有機媒体である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有
機媒体系スラリー。
【0017】〔5〕 シリカの薄片1次粒子及び/又は
葉状シリカ2次粒子を液状有機媒体中に高分散させたシ
リカ粒子の有機媒体系スラリーの製造方法であって、
【0018】(1)シリカヒドロゲル、活性ケイ酸又は
含水ケイ酸のいずれかを、アルカリ金属塩の存在下に水
熱処理し、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が
平行的に配向し複数枚重なった葉状シリカ2次粒子と、
更に、当該葉状シリカ2次粒子とが3次元的に不規則に
重なり合って形成される間隙を有する鱗片状シリカ3次
凝集体粒子を形成する工程、
【0019】(2)上記シリカ3次凝集体粒子を、水系
スラリー状態で、解砕・分散化して、シリカ薄片1次粒
子及び/又は葉状シリカ2次粒子からなる水系スラリー
を形成する工程、及び、
【0020】(3)前記シリカ薄片1次粒子及び/又は
葉状シリカ2次粒子からなる水系スラリーに、液状有機
媒体を、添加・混合し、当該有機溶媒を共存させた状態
で、脱水する工程からなることを特徴とする〔1〕〜
〔4〕のいずれかに記載のシリカの薄片1次粒子及び/
又は葉状シリカ2次粒子を液状有機媒体中に高分散させ
たシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造方法。
【0021】〔6〕 シリカの薄片1次粒子及び/又は
葉状シリカ2次粒子を液状有機媒体中に高分散させたシ
リカ粒子の有機媒体系スラリーの製造方法であって、
【0022】(1’)シリカヒドロゲル、活性ケイ酸又
は含水ケイ酸のいずれかを、アルカリ金属塩の存在下に
水熱処理し、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間
が平行的に配向し複数枚重なった葉状シリカ2次粒子
と、更に、当該葉状シリカ2次粒子とが3次元的に不規
則に重なり合って形成される間隙を有する鱗片状シリカ
3次凝集体粒子を含む水系スラリーを形成する工程、
【0023】(2’)当該鱗片状シリカ3次凝集体粒子
を含む水系スラリーを固液分離し、得られたシリカ3次
凝集体粒子の湿ケーキに液状有機媒体を添加・混合して
その有機媒体系スラリーとする工程、及び
【0024】(3’)上記シリカ3次凝集体粒子を、そ
の有機媒体系のスラリー状態で、解砕・分散化すること
を特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシリカ
薄片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子を液状有機
媒体中に高分散させたシリカ粒子の有機媒体系スラリー
の製造方法。
【0025】〔7〕 上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに
記載のシリカの薄片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次
粒子を含有する有機媒体系スラリーから、さらに、当該
有機媒体を除去して得られるシリカの1次粒子及び/又
は葉状シリカ2次粒子の乾燥粉体。
【0026】〔8〕 上記〔5〕又は〔6〕に記載のシ
リカの薄片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子を含
有する有機媒体系スラリーから、さらに当該液状有機媒
体を除去する工程を含むことを特徴とするシリカの1次
粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子の乾燥粉体の製造方
法。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
を詳細に説明する。
【0028】図1は、本発明のシリカ粒子の有機溶媒系
スラリー等の製造方法を説明するフローシートである。
図1(A)は、シリカ3次凝集体粒子を解砕して得られ
た2次粒子の水系スラリーに液状有機媒体を添加・混合
し、その混合スラリーから脱水して有機媒体系スラリー
とする方法(請求項5に対応)(以下、A法と称す
る。)であり、図1(B)は、まず3次凝集体粒子の湿
ケーキに液状有機媒体を添加してから当該有機媒体中で
解砕して、2次粒子の有機媒体系スラリーとする方法
(請求項6に対応)(以下、B法と称する。)である。
【0029】以下、まず、A法について説明し、次にB
法について説明する。
【0030】(シリカの凝集体粒子(3次粒子)生成工
程)本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造方
法においては、まずシリカ3次凝集体粒子を形成する工
程を行う。
【0031】すなわち、当該工程は、図1(A)の
(1)に示すようなシリカヒドロゲル、活性ケイ酸、又
は含水ケイ酸のいずれかをアルカリ金属塩の存在下に水
熱処理し、薄片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が
平行的に配向し複数枚重なった葉状シリカ2次粒子が3
次元的に不規則に重なり合って形成される間隙を有する
3次粒子からなる鱗片状シリカ3次凝集体粒子を形成す
る工程(1)である。
【0032】当該工程(1)は、基本的には、シリカヒ
ドロゲル等1を出発物質とし、これをオートクレーブ等
の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、本発明に
おけるシリカ3次凝集体粒子を水系スラリー状態で生成
せしめる工程(1)である。
【0033】ここでシリカヒドロゲルを出発物質として
使用した場合、シリカ3次凝集体粒子であるシリカ−
X、シリカ−Y等を、より低温度・短時間反応で、クオ
ーツ等の結晶を生成させること無く、しかも収率高く製
造することができるため、好ましい方法である(例え
ば、特開2000−72432号を参照。)。
【0034】シリカヒドロゲルは、粒子状シリカヒドロ
ゲルであり、その粒子形状は、真球状( 球状 )でも不定
型粒状でもよく、また、その造粒方法は適宜選択でき
る。
【0035】球状のシリカヒドロゲルの場合を例として
示すと、シリカヒドロゾルを石油類その他の媒体中で、
球形状に固化せしめて生成してもよいが、好ましくは、
特公昭48−13834号に記載されているように、ケ
イ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液を混合して、シリカゾ
ルを短時間で生成させると同時に、気体媒体中に放出
し、気体中でゲル化させる方法により製造されるもので
ある。
【0036】すなわち、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水
溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導
入して瞬間的に均一混合し、SiO2濃度換算で130
g/l以上、pH7〜9であるシリカゾルを生成せし
め、これを、上記放出口から、空気等の気体媒体中に放
出させ、空中でゲル化させるのである。これを水を張っ
た熟成槽に落下せしめて数分〜数十分熟成させ、酸を添
加・水洗して球状のシリカヒドロゲルとする。
【0037】当該シリカヒドロゲルは、粒径がよく揃っ
た粒径2〜10mm程度の透明で弾力性を有する球状粒
子であり、一例では、SiO2に対して重量比で約4倍
もの水を含有している( すなわち、SiO220質量
%、水分80質量%程度 )ものである。
【0038】本発明で使用できるシリカヒドロゲル中の
SiO2濃度は、15〜75質量%(すなわち、水分量
85〜25質量%)のものが好ましい。
【0039】このようなシリカヒドロゲルを出発原料と
し、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱
処理を行い、本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を生
成させる。なお、球状シリカヒドロゲルをそのまま使用
してもよいが、好ましくは、粉砕または粗粉砕して、粒
径0.1〜6mm程度としてもよい。
【0040】オートクレーブとしては、特にその形式を
限定するものではないが、少なくとも加熱手段と撹拌手
段、及び好ましくは、温度測定手段を備えたものであれ
ばよい。なお、シリカヒドロゲルを水熱処理するため
に、オートクレーブに仕込む場合、蒸留水やイオン交換
水のごとき精製水を加えることにより、シリカヒドロゲ
ル濃度を所望の範囲に調整することが好ましい。オート
クレーブ内の処理液中の総シリカ濃度は、撹拌効率、結
晶生長速度、収率等を考慮して選択されるが、通常、全
仕込み原料基準でSiO2として1〜30質量%、好ま
しくは10〜20質量%である。ここで、処理液中の総
シリカ濃度とは、系内の総シリカ濃度を意味し、シリカ
ヒドロゲル中のシリカのみでなく、アルカリ金属塩とし
てケイ酸ナトリウム等を使用した場合は、これにケイ酸
ナトリウム等により系に持ち込まれるシリカをも加えた
値である。
【0041】水熱処理においては、シリカヒドロゲルに
アルカリ金属塩を共存させ、処理液のpHをアルカリ側
に調節し、シリカ溶解度を適度に大きくし、所謂Ostwal
dの熟成に基づく晶析速度を高め、シリカヒドロゲルの
シリカ−X等への変換を促進させることが好ましい。
【0042】ここでアルカリ金属塩とは、水酸化アルカ
リ、ケイ酸アルカリまたは炭酸アルカリ等を意味する。
アルカリ金属としては、Li、Na、またはK(以下、
Meと表示する。)が好ましい。系のpHとしては、好
ましくはpH7以上、より好ましくはpH8〜13、さ
らに好ましくはpH9〜12.5である。
【0043】好ましいアルカリの量を、シリカ/アルカ
リモル比( SiO2/Me2O )で表示すれば、4〜15
mol/molの範囲であり、7〜13mol/mol
の範囲がさらに好ましい。
【0044】水熱処理は、150〜220℃の温度範囲
で行われ、好ましくは160〜200℃、もっとも好ま
しくは170〜195℃である。
【0045】また、必要な水熱処理の時間は、水熱処理
の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通
常、3〜50時間、好ましくは、5〜40時間、より好
ましくは5〜25時間程度、さらに好ましくは5〜12
時間程度である。
【0046】なお、水熱処理を効率よく進め、処理時間
を短くするためには、その添加は必須ではないが、原料
シリカヒドロゲルの仕込み量に対して、0.001〜1
質量%程度の種晶を添加することがより好ましい。種晶
としては、シリカ−Xやシリカ−Y等をそのまま、また
は、適宜粉砕して用いることが好ましい。
【0047】水熱処理終了後、水熱処理生成物をオート
クレーブより取り出し、濾過、水洗してpHを調整す
る。
【0048】以上のごとくして、シリカヒドロゲルを水
熱処理して得られる水熱処理生成物のケーキを、濾過・
水洗した状態の粒子を、走査型電子顕微鏡(以下「SE
M」と略記する。)を用いて観察すると、個々の葉状2
次粒子が3次元的に不規則に重なり合って形成される間
隙を有する3次粒子であるシリカ凝集体粒子を形成して
いることが識別できる。これがシリカ3次凝集体粒子で
ある。
【0049】しかしながら、SEMでは、通常極薄片粒
子である1次粒子は識別できず、極薄片粒子である1次
粒子が、面間が平行的に配向して複数枚重なった葉状シ
リカ2次粒子だけが識別できる。一方、透過型電子顕微
鏡(以下「TEM」と略記する。)を用いて観察する
と、電子線が一部透過するような極薄片粒子である1次
粒子が識別できる。この葉状2次粒子が本発明の葉状シ
リカ2次粒子であり、当該1次粒子が互いに面間が平行
的に複数重なったもので形成されていることが識別でき
る。なお、シリカ薄片1次粒子が層状に重なっている個
々の葉状シリカ2次粒子から、その構成単位である薄片
状の当該1次粒子を1枚ずつ剥離し、全粒子をすべて完
全に単離することは困難である。
【0050】葉状シリカ2次粒子の微粉末をエポキシ樹
脂に埋包し、ウルトラミクロトームで超薄切片を作成し
て、TEMで観察したところ、薄片1次粒子の厚みは、
1〜10nm程度と極めて薄いものである。
【0051】また、葉状シリカ2次粒子は、この薄片1
次粒子が、平行的に、規則的に積層している部分が多い
が、部分的に積層が不規則なことにより間隙幅1〜10
0nm程度の間隙の存在が認められるものである。
【0052】なお、上記のように出発原料として、シリ
カヒドロゲルを用いる方法以外に、活性ケイ酸や含水ケ
イ酸(所謂ホワイトカーボン等)を用いても、同様な方
法で本発明におけるシリカ3次凝集体粒子を合成するこ
とができる。
【0053】(シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化工
程)本発明においては、かくして水スラリー状で得られ
たシリカ3次凝集体粒子(3次凝集体粒子の水系スラリ
ー)3を、本発明者らが先に提案した特定の方法で解砕
・分散化する工程(2)を行うことにより、固形分濃度
1〜30質量%の葉状シリカ2次粒子が水系スラリー5
として得られる(例えば、特開2001−163613
号、特開2002−30251号を参照。)。
【0054】すなわち、ベルトフィルター等の固液分離
・水洗装置を用いて、シリカ3次凝集体粒子スラリーを
水洗・固液分離し、必要に応じてさらに水でリパルプ
し、SiO2 濃度1〜30質量%の水スラリーとし、こ
れを湿式粉砕装置(解砕装置)、例えば湿式ビーズミ
ル、湿式ボールミル、薄膜旋回型高速ミキサーに供給し
て、鱗片状シリカ3次凝集体粒子を解砕処理してシリカ
2次粒子水系スラリー5を得るのである。
【0055】かくして得られる、葉状シリカ2次粒子
は、本発明者らにより提案された新規な粒子形態を有す
るシリカであって、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互い
に面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状
シリカ2次粒子から実質的になり、互いに独立に存在す
る積層構造の粒子形態を有するものである。
【0056】なお、この2次粒子としては、3次凝集体
粒子からの解砕が十分に進行し、薄片1次粒子の重なり
が実質的に無い、薄片1枚からなる葉状シリカ粒子が混
在していてもよく、場合によっては、さらに解砕処理を
進行させ、かかる薄片1枚(すなわちシリカの薄片1次
粒子)からなる葉状シリカ粒子が主体であってもかまわ
ない。
【0057】通常は、葉状シリカ2次粒子に、一部分薄
片1次粒子が混在している状態のものが得られる。以
下、これらの状態を「薄片シリカ1次粒子及び/又は葉
状シリカ2次粒子」と表示し、さらにこの状態を「葉状
シリカ2次粒子等」又は単に「シリカ2次粒子等」と称
することがある。
【0058】湿式解砕に用いる装置としては、上記した
ように、粉砕媒体を用いて機械的に高速撹拌する方式の
湿式ビーズミル、湿式ボールミルなどの湿式粉砕装置
(解砕装置)が好ましいが、その際に、シリカ3次凝集
体粒子を、葉状シリカ2次粒子に解砕するとともに、生
成した当該葉状シリカ2次粒子(及び薄片1次粒子)
を、その基本的な積層構造を極力粉砕・破壊しないよう
に、解砕・分散化することが望ましく、このためには直
径0.2〜1.0mmのアルミナ又はジルコニア等の媒
体ビーズを用いる湿式ビーズミルが特に望ましい。
【0059】(葉状シリカ2次粒子等の水系スラリーに
有機媒体を添加・混合・脱水して有機媒体系スラリーと
する工程)
【0060】最後に、前記葉状シリカ2次粒子等からな
る水系スラリー5に、液状有機媒体7を、添加・混合
し、当該有機溶媒を共存させた状態で、脱水する工程
(3)を行う。
【0061】ここで、脱水工程は、後記する液状有機媒
体の性状によって様々な処方が適用され、限定されるも
のではない。
【0062】例えば、蒸発、蒸留(減圧)、水蒸気蒸留
(共沸)等の蒸留や蒸発のごとき相変化を伴う拡散によ
る分離操作が典型的であるが、これに限られるものでは
なく、濾過濃縮、遠心分離濃縮等の機械的分離操作を適
用してもよいし、また、脱水剤や水分の吸着材による相
変化を伴わない拡散分離操作であってもよく、さらに
は、これらの分離操作(化学工学用語における単位操
作)の組み合わせであってもよい。この場合、それぞれ
の単位操作に準じて、一般的に工業化されている工業的
化学装置を使用して実施すればよい。
【0063】すなわち、脱水工程に採用される方法によ
り異なるが、蒸留による水分の除去の場合、水より高沸
点の液状有機媒体を用いた場合には、回転式やワイパー
式等の薄膜式蒸発器(または水蒸気蒸留器)を常圧また
は減圧で用いることにより、水を有機液状物質より先に
蒸発、留去せしめることができるため、水の除去及び有
機媒体による置換は比較的簡単に行うことができる。
【0064】一方、液状有機媒体の沸点が水より低い場
合には、上記方法では容易には置換できない。ただし、
水と共沸する液状有機媒体については、通常の蒸留装置
により、共沸留去させ、水を当該液状有機媒体に同伴さ
せて除くという簡単な方法が適用できる。
【0065】特に、水と当該有機媒体が二層を形成する
ような場合は、留出蒸気を凝縮し、二層に分離した後、
有機相のみを蒸留装置内に還流させる操作を続けること
により、系内の水分を液状有機媒体で完全に置換するこ
とが可能である。もちろん蒸留操作中に、新たな有機媒
体を供給することも好ましい操作である。
【0066】また、機械的な分離操作としては、すでに
述べたように、減圧または加圧式のフィルター濾過機、
連続式デカンター、バケット型遠心分離等で、葉状シリ
カ2次粒子を濃縮ケーキとして固液分離し、これを当該
有機媒体で洗浄、リパルプして、当該同一有機媒体で再
度スラリー化し、これを再度固液分離する操作を繰り返
して水分量を減じてゆく方法を採用することもできる。
【0067】以上のごとくして、葉状シリカ2次粒等の
水系スラリー5に、例えば水溶性及び/又は非水溶性の
液状有機媒体を添加・混合した後、典型的には、蒸発等
の方法により脱水処理して系外に除き、当該水系スラリ
ー中のシリカ粒子を当該有機媒体中へ移行させて、水系
スラリーを、有機媒体系スラリーへと転換させる。かく
して、水中に分散されていた葉状シリカ2次粒子等は当
該有機媒体中に移動し、図1に示すように、水中に存在
していたときと同様な状態で高度に分散されたシリカ粒
子の有機媒体系スラリー10が得られるのである。
【0068】(液状有機媒体)本発明において使用する
液状有機媒体は、上記した蒸留等の分離操作により水と
分離できるものであり、またシリカ2次粒子等の有機媒
体系スラリー中において、分散質であるシリカ粒子を安
定的に分散しうる分散媒体となりうるものであり、さら
に好ましくは、当該有機媒体系スラリーの取扱い上の便
宜のため、適度な沸点や粘度を有するものであれば、特
に限定するものではなく、例えば以下のものが使用しう
るのである。
【0069】すなわち、メタノール、エタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコ
ール)、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル
−2−プロパノール(t−ブチルアルコール)、2−メ
チル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、ペ
ンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノー
ル、ノナノール、デカノール、シクロペンタノール、シ
クロヘキサノール、フルフリルアルコール、ベンジルア
ルコール等の一価アルコール類;
【0070】エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ブチレンゴリコール、グリセリン、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタ
ン、トリメチロールプロパン、シクロヘキシレングリコ
ール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロガロ
ール、ピロガリット、ハイドロキノン等の多価アルコー
ル類;
【0071】ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、
オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ト
リデカン、テトラデカン、ペンタデカン等の脂肪族炭化
水素類;
【0072】ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、ス
チレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ク
ロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン等の
芳香族炭化水素類;
【0073】アセトン、メチルエチルケトン、メチルプ
ロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、ピナコロン、ジエ
チルケトン、ブチロン、ジイソプロピルケトン、メチル
ビニルケトン、メシチルオキシド、メチルヘプテノン、
シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン
等の脂肪族ケトン類;
【0074】アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチ
ロフェノン、バレロフェノン、ベンゾフェノン、ジベン
ジルケトン、2−アセトナフトン、アセトチエノン、2
−アセトフロン等の芳香族ケトン類;
【0075】エチルエーテル、プロピルエーテル、イソ
プロピルエーテル、ブチルエーテル、イソブチルエーテ
ル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチル
プロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチ
ルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチル
n−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチ
ルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エ
チルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチ
ルn−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテル、ビ
ニルエーテル、アリルエーテル、メチルアリルエーテ
ル、エチルビニルエーテル、エチルアリルエーテル、酸
化トリメチレン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピ
ラン、ジオキサン等の脂肪族エーテル類;
【0076】エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグ
リコールエーテル類;アニソール、フェネトール、フェ
ニルエーテル、ベンジルエーテル等の芳香族エーテル
類;
【0077】ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、
ギ酸イソブチル、ギ酸n−アミル、ギ酸イソアミル、酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチ
ル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミ
ル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピ
オン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオ
ン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸n
−アミル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸
エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチ
ル、酪酸イソブチル、酪酸n−アミル、酪酸イソアミ
ル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉
草酸ブチル、吉草酸n−アミル、吉草酸イソアミル、蓚
酸ジエチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の
脂肪酸エステル類;
【0078】安息香酸メチル、安息香酸エチル、ケイ皮
酸メチル、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸プロピル、サリチ
ル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、
サリチル酸ブチル、アントラニル酸メチル、アントラニ
ル酸エチル、アントラニル酸ブチル、フタル酸メチル、
フタル酸エチル等の芳香族エステル類;
【0079】テトラクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、パークロロエチレン、ジクロロプロパン、クロルベ
ンゼン等の塩素化炭化水素類;
【0080】1,1,1,2−テトラフルオロエタン
(R−134a)、1,1,2,2,3−ペンタフルオ
ロプロパン(R−245ca)、1,1,1,2,2−
ペンタフルオロプロパン(R−245cb)、1,1,
2,2−テトラフルオロプロパン(R−254cb)、
ヘキサフルオロブタン(R−356)等のフッ素化炭化
水素類;
【0081】1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフル
オロエタン(R−123)、モノクロロジフルオロメタ
ン(R−22)、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタ
ン(R−141b)、1,2−ジクロロ−1,1,2−
トリフルオロエタン(R−123a)、1−クロロ−
1,1−ジフルオロエタン(R−142b)、3,3−
ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパ
ン(R225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,
2,3−ペンタフルオロプロパン(R225cb)、3
−クロロ−1,1,2,2−テトラフルオロプロパン
(R244ca)、1−クロロ−1,2,2,3−テト
ラフルオロプロパン(R244cb)、3−クロロ−
1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(R23
5ca)、1,1−ジクロロ−1,2,2−トリフルオ
ロプロパン(R243cc)等の塩素含有フッ素化炭化
水素類;
【0082】ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ヘキサメチルホスホアミド、γ−ブチロラクト
ン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、スル
ホラン、エチレンジアミン等の所謂双極性非プロトン溶
媒が好ましいものとして挙げられる。
【0083】また、有機媒体としては、さらに分子量2
000〜18000程度のポリエーテルポリオール系オ
リゴマー類、ポリエステルポリオール系オリゴマー類、
ポリアルキレンポリオール系オリゴマー類が使用可能で
ある。
【0084】当該ポリエーテルポリオール系オリゴマー
類としては、例えば上記したエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチル
グリコール、ビスフェノールA等のジオール類、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン
等のトリオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオ
キサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等
を開環重合して得られる重合体が挙げられ、当該ポリエ
ステルポリオール系オリゴマー類としては、例えば上記
したマレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、
フタル酸等のジカルボン酸単独又は混合物と上記ジオー
ル類単独又は混合物を重縮合して得られる重合体やε−
カプロラクトン、バレロラクトン等の開環重合物等が挙
げられ、当該ポリアルキレンポリオール系オリゴマーと
しては、例えばポリブタジエンポリオール、ポリイソプ
レンポリオール等が挙げられる。
【0085】当該液状有機媒体は、室温で液状の沸点2
5〜400℃、好ましくは30〜350℃程度のものが
望ましく、これらは、単独で用いることもでき、あるい
は2種以上を混合して用いることもできる。
【0086】ここで、液状有機媒体が水溶性の有機媒体
の場合は、これを水系スラリーに添加・混合したとき
に、葉状シリカ2次粒子等の混合状態の分散媒体が均一
相となり、粒子の相移動が容易である。また、非水溶性
の有機媒体を用いる場合は、好ましくは、シリカ表面の
油親和性を高めるために界面活性物質を用いることが望
ましく、当該非水溶性の有機媒体へのシリカ粒子の移動
や分散をより容易にすることができる。
【0087】液状有機媒体の水系スラリーへの添加量
は、その特性(シリカとの親和性)や採用する分離方法
等によって異なるが、最終的には目的とする有機媒体系
スラリー中のシリカ濃度を考慮して決定される。この濃
度(有機媒体系のシリカスラリー濃度)は特に限定され
るものではないが、通常、3質量%以上、好ましくは1
0質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、60質
量%以下程度である。流動性を有し置換処理を完全なも
のにする(すなわち、含水率を低減する)観点からは、
シリカ濃度は低いほどよく、一方、各種材料へ応用する
場合には、シリカ濃度は高いほど好ましい。これらを勘
案して、上記のごとく、最終的なシリカ濃度が葉状シリ
カの固形分質量濃度として、3質量%以上、好ましくは
10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、60
質量%以下程度になるように、液状有機媒体を添加す
る。
【0088】かくして得られたシリカ葉状シリカ2次粒
子等の有機媒体系スラリーにおいては、当該スラリーの
有機媒体中の、例えばカールフィッシャー式水分計にて
測定した水分残存率が、5質量%以下、望ましくは1質
量%以下、更に望ましくは、0.1質量%以下ときわめ
て少ない、水を実質的に含有しない有機媒体系スラリー
なのである。
【0089】引き続き、B法について説明する。図1
(B)に示すようにB法においても、シリカ3次凝集体
粒子の水系スラリー3を形成する工程(1’)について
は、A法の工程(1)と全く同様に行われる。
【0090】次にB法においては、当該シリカ3次凝集
体粒子を含む水系スラリー3を固液分離し、得られたシ
リカ3次凝集体粒子の湿ケーキ9に液状有機媒体7を添
加・混合してその有機媒体系スラリーとする工程
(2’)を行う。云うまでもないが、有機媒体7として
は、もちろん、A法で使用したものがそのまま適用可能
である。
【0091】当該固液分離装置としては、公知の種々の
濾過機、遠心分離機、遠心沈降機等が使用可能である
が、好ましくは、これらの装置により得られた湿ケーキ
の有機媒体系スラリーを再度固液分離し、当該湿ケーキ
にさらに有機媒体を添加して有機媒体系スラリーとする
操作を、所望の回数繰り返すことである。繰り返し回数
は、最終的に得られるシリカ2次粒子の有機媒体系スラ
リー中に残存する水分の許容範囲により随時選択すれば
よいが、通常、1〜10回、好ましくは2〜5回の範囲
である。
【0092】引き続き、上記シリカ3次凝集体粒子を、
その有機媒体系のスラリー状態で、解砕・分散化する工
程(3’)を行う。
【0093】この解砕・分散化は、すでに述べたシリカ
3次凝集体粒子をその水系スラリー状態で解砕・分散化
し、シリカ2次粒子等の水系スラリーを得る場合の工程
(2)と、実質的に同様の湿式媒体ビーズミル等の装置
を使用して、実質的に同様の条件で行うことができる。
【0094】かくして、図1に示すごときシリカ2次粒
子等の有機媒体系スラリー10が得られるのである。
【0095】(葉状シリカ2次粒子の有機媒体スラリー
を乾燥粉体化する工程)本発明においては、かくしてA
法又はB法により調製した有機媒体系スラリー10か
ら、各種の乾燥装置を用いて有機媒体13を蒸発・除去
させる乾燥工程(4(又は(4’)))を行うことによ
り、高度に分散した葉状シリカ2次粒子等からなる乾燥
粉体20を容易に得ることができる。
【0096】好ましい乾燥装置としては、上記脱水操作
に使用したと同様に回転式やワイパー式等の薄膜式の一
般的な蒸発機に加えて、加熱式の静置乾燥機、回転式焼
成キルン、噴霧乾燥や媒体流動層式、機械式、風力ジェ
ット式解砕式等の熱風乾燥機、機械式、振動式等の衝撃
解砕式の各種の乾燥機を使用することができる。乾燥温
度、乾燥圧力、乾燥雰囲気等の乾燥条件としては、当該
有機媒体の沸点にあわせて常圧、減圧等適宜選択すれば
よく、また、有機媒体を蒸発させるため、いわゆる爆発
限界を考慮して、酸素を含有しない不活性ガスや窒素ガ
ス等の雰囲気下で乾燥操作を実施することが好ましい。
なお、念のため一言するが、有機媒体系スラリーから噴
霧乾燥する場合は、水系スラリーの場合と異なり、スラ
リー濃度は、10〜50質量%程度であっても、乾燥シ
リカ粒子は凝集・固着することはないのである。
【0097】なお、乾燥操作を実施した場合、乾燥装置
の型、乾燥条件によっては、得られる乾燥粉体が、幾分
凝集状または顆粒状を帯びることがあるが、その場合に
は、低負荷の解砕操作を加えることにより、きわめて容
易に粉体状の葉状シリカ2次粒子等へと分散せしめるこ
とが可能である。
【0098】当該低負荷の解砕装置としては、各種の乾
式解砕機が使用でき、例えば機械回転式解砕機、振動篩
等が例示される。当該解砕により、得られた乾燥粉体の
分散はより完全なものとなる。
【0099】すでに述べたように、シリカの水系スラリ
ーから水を蒸発・乾燥させた場合には、乾燥シリカ粒子
は容易に強固に塊状化してしまい、乾燥粉体を得るのは
きわめて困難であるのに対し、本発明におけるシリカ有
機系スラリーからは、乾燥装置に依存することもなく、
きわめて容易にシリカ乾燥粉体が得られる理由は、次の
ようであろうと推定される。
【0100】すなわち、シリカの水系スラリーから水を
蒸発させた場合には、媒体である水がシリカ粒子間に介
在しているため、粒子表面に存在する活性シラノール基
が互いに引き合う相合作用が十分大きく、乾燥過程で粒
子同士が接近するにつれて、シリカ粒子間で互いに強く
吸引し、最終的には乾燥粒子同士が互いに強固に結着し
3次元的に塊状化してしまうものと推定される。
【0101】これに対し、本発明におけるシリカ有機媒
体系スラリーにおいては、有機化合物を媒体としている
ため、水に比較してシラノール基による粒子と粒子の間
の吸引力はずっと小さい。したがって、乾燥過程で粒子
同士が接近しても、粒子間の結着はごく緩いものにとど
まるため、高度に分散した葉状シリカ2次粒子等からな
る乾燥粉体が得られるのであろう。
【0102】なお、液状有機媒体の種類、乾燥器の種
類、乾燥操作条件によっては、見かけ上、得られる乾燥
粒子は幾分凝集した状態になることがあるが、その場合
でも、上記メカニズムにより、当該凝集体はきわめて緩
やかなものであり、強固な塊状物にはなりえないので、
容易に乾燥粉末に解砕することができるのである。
【0103】シリカ乾燥粉体を得るための有機媒体系ス
ラリー10としては、基本的には上記したいずれの有機
媒体のスラリーを選択してもよいが、特に粉体化に容易
な液状有機媒体としては、極性基と適度な親油性基をあ
わせ持つものが好ましく、具体的には高級アルコール
類、そのケトン類、エチレングリコールエーテル類、ジ
エチレングリコールエーテル類、低分子ケトン類などが
例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0104】以上のごとくして上記処方で得られた葉状
シリカ2次粒子の乾燥粉体20をSEMで観察すると、
個々の粒子は鱗片形状をしており、この鱗片形状の葉状
シリカ1次粒子の面の外径は0.05〜5μm程度であ
り、葉状シリカ2次粒子を構成する葉状シリカ1次粒子
の重なり枚数は、多くとも〜数十枚程度(1枚の厚み
は、1〜10nm程度)と観察された。葉状シリカ2次
粒子の扁平性を表すアスペクト比(外径/厚み)は、S
EM写真の観察から推算して平均して10〜100とい
う高い扁平な粒子であることが確認できた。
【0105】(葉状シリカ2次粒子の特性)本発明にお
ける葉状シリカ2次粒子について念のためその特徴的な
物性をまとめておく。
【0106】当該シリカ2次粒子におけるシリカのX線
回折のスペクトルとしては、米国のASTM(American
Society for Testing and Materials)に登録さ
れているカード(以下単にASTMカードと称する。)
番号16−0380に該当する2θ=4.9°、26.
0°、及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−
X及び/またはASTMカード番号31−1233に該
当する2θ=5.6°、25.8°及び28.3°の主
ピークを特徴とするシリカ−Yからなるシリカである。
上記以外のピークとしては、シリカ−Xの場合は、AS
TMカード番号31−1234、37−0386、シリ
カ−Yの場合は、ASTMカード番号35−63、25
−1332などのピークが認められるものである。
【0107】ここでシリカーX及びシリカーYは、A.He
ydemannやB.A.Mitsyuk らによって、最初に報告され、
彼らによりこう呼ばれた名前であるが、後年、これら
は、実は、いわゆる層状ポリケイ酸またはその塩と総称
されるものの一種に該当するものであることが明らかに
なっている。
【0108】当該シリカの酸水溶液及びアルカリ水溶液
に対する20℃での飽和溶解度は低い。すなわち、溶解
SiO2 濃度は、10質量%のHCl水溶液に対して
は、0.008質量%、イオン交換水に対しては、0.
006質量%、5質量%NaOH水溶液に対しては、
0.55質量%、10質量%NaOH水溶液に対して
は、0.79質量%であり、酸、アルカリのいずれに対
しても、小さな溶解度であり、耐酸性、耐アルカリ性を
有することを示す。特に、シリカゲルやコロイダルシリ
カに比較して、非常に小さなアルカリ水溶液への溶解度
であり、耐アルカリ性を有することを示す。
【0109】本発明におけるシリカ粒子としては、いわ
ゆる層状ポリケイ酸またはその金属の塩と総称されるシ
リカであるものが最も好ましく、層状ポリケイ酸又はそ
の塩とは、例えばシリカ−X、シリカ−Y、ケニアアイ
ト、マガディアイト、マカタイト、アイラアイト、カネ
マイト、オクトシリケート等であり、例えば層状ポリケ
イ酸塩を酸処理することによりケイ酸塩中のアルカリ金
属等が水素イオンでイオン交換されたH型のものや、当
該酸処理前のアルカリ金属塩等の塩型のものなどの総称
である。なお、本発明において層状ポリケイ酸とは、上
記H型及びアルカリ金属等の塩型の両者を意味する。
【0110】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0111】〔合成例1〕(シリカヒドロゲルを出発原
料とするシリカ3次凝集体粒子の製造) 出発原料であるシリカヒドロゲルは、公知の方法に従
い、ケイ酸ナトリウムをアルカリ源として次のようにし
て調整した。すなわち、SiO2 /Na2 O=3.0
(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸
ナトリウム水溶液2000ml/minと、硫酸濃度2
0.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内
に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放
出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0に
なるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリ
カゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放
出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描い
て約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点に
は、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめ
て熟成させた。
【0112】熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水
洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒド
ロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6
mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2
質量に対する水の質量比率は、4.55倍であり、シリ
カヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、110ppm
であった。
【0113】上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロー
ルクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕
し、水熱処理し、以下に述べる鱗片状シリカ3次凝集体
粒子の形成に用いた。
【0114】容量50000mlのオートクレーブ(電
気加熱式、アンカ−型撹拌羽根付き)に、系内の総Si
2 /Na2 Oモル比が12.0なるように、上記粒径
2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18質量%)
23.7kg及びケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2
8.75質量%、Na2 O9.3質量%、SiO2 /N
2 O=3.17(モル比))5.5kgを仕込み、こ
れにイオン交換水を10.7kgを加え、50rpmで
撹拌しながら185℃で8時間水熱処理を行った。系内
の総シリカ濃度は、SiO2 として15質量%であっ
た。
【0115】水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心
分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水
洗を行い、有姿含水率69.7質量%(固形分濃度3
0.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0116】上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、
SiO2 濃度7.0質量%のシリカの水系スラリーとし
た後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所社製、SFD−
MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、
5.6kgの乾燥微粉末を得た。
【0117】粉末X線回折スペクトルにより、上記生成
微粉末についての生成相の同定を行ったところ、X線回
折スペクトルとして、ASTMカード番号16−038
0に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピーク
を特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外にASTMカー
ド番号31−1234、37−0386に該当するピー
クが認められた。
【0118】また、生成粒子の形態をTEMで観察した
ところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に
配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成され
ていることが観察された。
【0119】一方、生成粒子の形態をSEMで観察した
ところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ
2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。当
該葉状シリカ2次粒子は、これが不規則に重なり合って
多数の間隙(空隙またはポケット)を有するシリカ3次
凝集体粒子が形成されていることが観察された。
【0120】SEMで観察されるこの葉状粒子(TEM
では、2次粒子に該当)の部分の平均厚さ0.06μm
に対し、当該厚さに対する板の平均最長長さは、5.4
μmでそのアスペクト比は90、板の平均最小長さは
1.6μmで、アスペクト比は27であった。
【0121】この微粉末(シリカ3次凝集体粒子)の平
均粒子径をコールターカウンター(コールターエレクト
ロニクス社製、MA−II型、アパーチャーチューブ径5
0μm(以下の合成例、実施例において同じ))を用い
て測定したところ、6.1μmであった。
【0122】〔合成例2〕(シリカヒドロゲルを出発原
料とするシリカ3次凝集体粒子の製造) 出発原料のシリカヒドロゲルは、NaOHをアルカリ源
として次のようにして調整した。すなわち、SiO2
Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質
量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/mi
nと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出
口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に
均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが
7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均
一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中
に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴とな
り、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化
した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、
ここに落下せしめて熟成させた。
【0123】熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水
洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒド
ロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6
mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2
質量に対する水の質量比率は、4.38倍であり、シリ
カヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、112ppm
であった。
【0124】上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロー
ルクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕
して、次工程の水熱処理工程に用いた。
【0125】容量5000mlのオートクレーブ(電気
加熱式、アンカー型撹拌羽根付き)に、系内の総SiO
2 /Na2 Oモル比が11.0なるように、上記粒径
2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18.6質量
%)2688g及び水酸化ナトリウム水溶液(NaOH
48.5質量%)126gを仕込み、これにイオン交換
水を1186gを加え、種晶0.5gを添加して、20
rpmで撹拌しながら180℃で12時間水熱処理を行
った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として12.5
質量%であった。
【0126】水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心
分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水
洗を行い、有姿含水率66.7質量%(固形分濃度3
3.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。
【0127】上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、
SiO2 濃度7.0質量%のシリカの水系スラリーとし
た後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所社製、SFD−
MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、4
08gの乾燥微粉末を得た。
【0128】上記生成微粉末を粉末X線回折スペクトル
により生成微粉末についての生成相の同定を行ったとこ
ろ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号3
1−1233に該当する2θ=5.6゜及び25.8゜
の主ピークを特徴とするシリカ−Yの主ピーク以外にA
STMカード番号35−63、25−1332に該当す
るピークが認められた。
【0129】また、生成粒子の形態をTEMで観察した
ところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に
配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成され
ていることが観察された。
【0130】一方、生成粒子の形態をSEMで観察した
ところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ
2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。当
該葉状2次粒子は、これが不規則に重なり合って多数の
間隙(空隙またはポケット)を有するシリカ3次凝集体
粒子が形成されていることが観察された。
【0131】このSEMで観察されるこの葉状粒子(T
EMでは、2次粒子に該当)の部分の平均厚さ0.07
μmに対し、当該厚さに対する板の平均最長長さは、
6.0μmでそのアスペクト比は86、板の平均最小長
さは1.8μmで、アスペクト比は26であった。
【0132】また、この微粉末の平均粒子径をコールタ
ーカウンター(コールターエレクトロニクス社製、MA
−II型)を用いて測定したところ、6.5μmであっ
た。
【0133】〔合成例3〕(合成例1のシリカ3次凝集
体粒子の湿ケーキから葉状シリカ2次粒子の水系スラリ
ーの製造) 合成例1に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿ケ
ーキ1000g( 固形分濃度:30.3質量%) にイオ
ン交換水1020gを加えてリパルプし、シリカ3次凝
集体粒子の水系スラリー(固形分15質量%、pH
7.2)202gを調製した。このスラリーの状態で
は、コールターカウンターによる平均粒径は7.2μm
であり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・s
であった。
【0134】次に、この水系スラリーを媒体撹拌ビーズ
ミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミル
KDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直
径0.5mmジルコニアビーズ70%充填) )でシャフ
ト回転数3400rpm、流量10L/hで3回通過さ
せ、解砕・分散化を行った。
【0135】解砕・分散化後の水系スラリー中の微粒子
の粒子径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
(堀場製作所製、LA−920型)を用いて、シリカの
平均粒子径を測定した結果、シリカの相対光学屈折率
(基準:水の屈折率)1.10という測定条件下におけ
るシリカの平均粒子径は、0.55μmであった。
【0136】また、このスラリーの粘度を、B型粘度計
で測定したところ、0.012Pa・sであった。
【0137】この水系スラリーを極く希薄な濃度で乾燥
し、得られた微粉末をSEMで観察したところ、シリカ
3次凝集体粒子は、実質的に認められず、葉状シリカ2
次粒子(及び一部シリカ1次粒子)から実質的になって
いることが認められた。
【0138】また、ガラス板(ソーダライムガラス、7
0mm×150mm×2mm厚み)を用意し、これに、
当該葉状シリカ2次粒子の水系スラリーを、バーコータ
ー塗り法(JIS K5400)により、#80バーコ
ーター(江藤機械社製)を用いて塗布し、室温で24時
間乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で約1
9g/m2であった。
【0139】得られた塗膜の外観は、白色不透明であ
り、平滑であった。JIS K5400に準拠して、当
該塗膜の鉛筆硬度、碁盤目剥離試験を行った。
【0140】また、塗膜の透明性は、ヘイズメーター
(日本電色社製、NDH2000型)で測定し、光沢度
は、光沢計(日本電色社製、PG−1M型)で測定し
た。測定結果は、表1のとおりであった。
【0141】
【表1】
【0142】〔合成例4〕(合成例2のシリカ3次凝集
体粒子の湿ケーキから葉状シリカ2次粒子の水系スラリ
ー製造) 合成施例2に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿
ケーキ1000g( 固形分濃度:33.3質量%) にイ
オン交換水1220gを加えてリパルプし、シリカ3次
凝集体粒子の水系スラリー(固形分15質量%、pH
7.1)の2220gを調製した。このスラリーの状態
では、コールターカウンターによる平均粒径は7.2μ
mであり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・
sであった。
【0143】次にこの水系スラリーを媒体撹拌ビーズミ
ル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルK
DL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径
0.5mmジルコニアビーズ70%充填) )でシャフト
回転数3400rpm、流量10L/hで3回通過さ
せ、解砕・分散化を行った。
【0144】解砕・分散化後の水系スラリー中の微粒子
の粒子径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
(堀場製作所製、LA−920型)を用いて、シリカの
平均粒子径を測定した結果、シリカの相対光学屈折率
(基準:水の屈折率)1.10という測定条件下におけ
るシリカの平均粒子径は、0.56μmであった。
【0145】また、このスラリーの粘度を、B型粘度計
で測定したところ、0.015Pa・sであった。
【0146】この水系スラリーを極く希薄な濃度で乾燥
し、得られた微粉末をSEMで観察したところ、シリカ
3次凝集体粒子は、実質的に認められず、葉状シリカ2
次粒子(及び一部シリカ1次粒子)から実質的になって
いることが認められた。
【0147】また、ガラス板(ソーダライムガラス、7
0mm×150mm×2mm厚み)を用意し、これに、
当該葉状シリカ2次粒子の水系スラリーを、バーコータ
ー塗り法(JIS K5400)により、#80バーコ
ーター(江藤機械社製)を用いて、塗布し、室温で24
時間乾燥して試験片とした。塗布量は、固形分換算で約
20g/m2であった。
【0148】加温保存安定性試験の前後のスラリーを用
いて得られた乾燥硬化塗膜の評価を、行った。得られた
塗膜の外観は、白色不透明であり、平滑であった。
【0149】JIS K5400に準拠して、当該塗膜
の鉛筆硬度、碁盤目剥離試験を行った。また、この塗膜
の透明性は、ヘイズメーター(日本電色社製、NDH2
000型)で測定し、光沢度は、光沢計(日本電色社
製、PG−1M型)で測定した。測定結果を表2のとお
りであった。
【0150】
【表2】
【0151】〔実施例1〕(合成例3の水系スラリーか
ら本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造) 合成例3に示した湿式解砕後の葉状シリカ2次粒子の水
系スラリー100g(固形分濃度:15質量%) に、液
状有機媒体としてジエチレングリコールジメチルエーテ
ル135gを加え、撹拌機を用いてよく混合し、水/有
機媒体混合スラリーを調製した。
【0152】次に、この混合スラリーを脱水するため、
ロータリーエバポレーター(東京理化学器械社製、N
型)により、減圧蒸留を行った。すなわち、当該混合ス
ラリー50gを300mlナス型フラスコに仕込んで、
ロータリーエバポレーターにセットし、圧力20mmH
g、油浴温度130℃の条件で30分蒸留した。水の留
出が終わった時点で脱水を完了し、透明度の高いシリカ
粒子の高沸点の有機媒体系スラリー32.5gを得た。
【0153】このスラリーの、固形分濃度は9.8質量
%(赤外線照射式水分計(ケット社製、FD−600
型)で測定。)、また、含水率は0.85質量%(カー
ルフィッシャー式水分計(京都電子工業社製、MK−A
S型)で測定。)であり、原料である水系スラリーの水
は、実質的にすべて有機媒体であるジエチレングリコー
ルジメチルエーテルで置換され、シリカ粒子の有機媒体
系スラリーが得られたことが確認された。
【0154】当該有機媒体系スラリーを乾燥させて乾燥
粒子を分離し、当該シリカ粒子の形状をSEMで観察す
ると、2次粒子(一部1次粒子)が凝集せずに存在し、
合成例3で得られた水系スラリー中の粒子形状及び分散
状態が、当該有機媒体系スラリーにおいても、同様な状
態で高度に保持されている様子が確認された。
【0155】また、当該スラリー中の微粒子の粒子径
を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作
所製、LA−920型)を用いて、シリカの平均粒子径
を測定した結果、シリカの相対光学屈折率(基準:水の
屈折率)1.10という測定条件下におけるシリカの平
均粒子径は、0.61μmであった。
【0156】さらに、この有機媒体系スラリーの粘度
を、B型粘度計で測定したところ、0.030Pa・s
であった。
【0157】〔実施例2〕(合成例3の水系スラリーか
ら本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造) 合成例3に示した湿式解砕後の葉状シリカ2次粒子(一
部1次粒子)の水系スラリー100g( 固形分濃度:1
5.3質量%) に、ポリオキシプロピレンポリオール2
94.5g(旭硝子社製、商品名プレミノール400
2、分子量2000〜18000)を加えて撹拌機を用
いてよく混合し、水/有機媒体混合スラリーを調製し
た。
【0158】次に、この当該混合スラリーを脱水するた
め、当該スラリー394.5gを500mlステンレス
バットに仕込み、これを恒温乾燥機にセットし、常圧下
で120℃の条件で5時間加熱し、水分を蒸発させた。
この結果、透明度の高いグリース状の有機媒体系スラリ
ー310gを得た。
【0159】このスラリーの固形分濃度は50質量%
(赤外線照射式水分計(ケット社製FD−600)で測
定。)、また、含水率は0.10質量%(カールフィッ
シャー式水分計(京都電子社製、MK−AS型)で測
定。)であり、原料である水系スラリーの水は、実質的
にすべて有機媒体であるポリオキシプロピレンポリオー
ルで置換され、シリカ粒子の有機媒体系スラリーが得ら
れたことが確認された。
【0160】当該有機媒体系スラリーを乾燥させ、シリ
カ粒子の形状をSEMで観察すると、葉状シリカ2次粒
子(一部1次粒子)が凝集せずに存在し、合成例3で得
られた水系スラリー中の粒子形状及び分散状態が、当該
有機媒体系スラリーにおいても、同様な状態で保持され
ている様子が確認された。
【0161】また、当該スラリー中の微粒子の粒子径
を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作
所製、LA−920型)を用いて、シリカの平均粒子径
を測定した結果、シリカの相対光学屈折率(基準:水の
屈折率)1.10という測定条件下におけるシリカの平
均粒子径は、0.58μmであった。
【0162】さらに、この有機媒体系スラリーの粘度
は、高度に粘調であり10Pa・s以上であると推測さ
れた。
【0163】〔実施例3〕(合成例4の水系スラリーか
ら本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造) 合成例4に示した湿式解砕後の葉状シリカ2次粒子の水
系スラリー100g(固形分濃度:15.5質量%) に
ポリオキシプロピレンポリオール294.5g(旭硝子
社製、商品名プレミノール4002、分子量2000〜
18000)を加え、撹拌機を用いてよく混合し、水/
有機媒体混合スラリーを調製した。
【0164】次に、この当該混合スラリーを脱水するた
め、当該スラリー394.5gを500mlステンレス
バットに仕込み、これを恒温乾燥機にセットし、常圧下
で120℃の条件で5時間加熱し、水分を蒸発させた。
透明度の高いグリース状の有機媒体系スラリー313g
を得た。
【0165】このスラリーの固形分濃度は4.8質量%
(赤外線照射式水分計(ケット社製FD−600型)で
測定。)、含水率は0.11質量%(カールフィッシャ
ー式水分計(京都電子社製、MK−AS型)で測定。)
であり、原料である水系スラリーの水は、有機媒体であ
るポリオキシプロピレンポリオールで置換され、シリカ
粒子の有機媒体系スラリーが得られたことが確認され
た。
【0166】当該有機媒体系スラリーを乾燥させ、シリ
カ粒子の粒子形状をSEMで観察すると、シリカ2次粒
子(一部1次粒子)が凝集せずに存在し、合成例4で得
られたスラリー中の粒子形状及び分散状態が、当該有機
媒体系スラリーにおいても、同様な状態でそのまま保持
されている様子が観察された。
【0167】また、当該スラリー中の微粒子の粒子径
を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作
所製、LA−920型)を用いて、シリカの平均粒子径
を測定した結果、シリカの相対光学屈折率(基準:水の
屈折率)1.10という測定条件下におけるシリカの平
均粒子径は、0.69μmであった。
【0168】さらに、この有機媒体系スラリーの粘度
は、高度に粘調であり10Pa・s以上であると推測さ
れた。
【0169】〔実施例4〕(合成例3の水系スラリーか
ら本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造) 合成例3に示した湿式解砕後の葉状シリカ2次粒子の水
系スラリー25g( 固形分濃度:15質量%) に2−プ
ロパノール(IPA)189gを加えてよく混合し、水
/有機媒体混合スラリーを調製した。
【0170】次に、この混合スラリー中の水を脱水(共
沸留去)するため、ロータリーエバポレーター(東京理
化器械社製、N型)により、常圧単蒸留を行った。すな
わち、当該混合スラリー214gを500mlナス型フ
ラスコに仕込んで、油浴温度110℃の条件で30分蒸
留した。共沸組成留出状態の蒸気凝縮が計算量付近の1
50mlになる時点で脱水は完了に近づき、ナス型フラ
スコ内の釜残液が粘調になるので、2−プロパノールを
適量32ml追加して、壁面への内液付着量の増大によ
る蒸発効率の低下を防止しながら、脱水を完結せしめ
た。
【0171】留出液の総量は、191gであり、その比
重測定の結果から、当該留出液の2−プロパノール濃度
は88.5%と推定され、従って留出水は、22gと推
算された。原料の水スラリー中の水分は、約21gであ
るから、ほぼ全量が流出したと判断された。
【0172】かくして、蒸留残液(釜残液)として、半
透明白色乳液状の有機媒体系スラリー55gを得た。
【0173】このスラリーの固形分濃度は6.8質量%
(赤外線照射式水分計(ケット社製、FD−600)で
測定。)、含水率は0.2質量%(カールフィッシャー
式水分計(京都電子社製、MK−AS型)で測定。)で
あり、原料である水系スラリーの水は、実質的にすべて
有機媒体である2−プロパノールで置換され、シリカ粒
子の低沸点有機媒体系スラリーが得られたことが確認さ
れた。
【0174】当該有機媒体系スラリーを乾燥させ、シリ
カ粒子の形状をSEMで観察すると、2次粒子(一部1
次粒子)が凝集せずに存在し、合成例3で得られた水系
スラリー中の粒子形状及び分散状態が、当該有機媒体系
スラリーにおいても、同様な状態で高度に保持されてい
る様子が確認された。
【0175】また、当該スラリー中の微粒子の粒子径
を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作
所製、LA−920型)を用いて、シリカの平均粒子径
を測定した結果、シリカの相対光学屈折率(基準:水の
屈折率)1.10という測定条件下におけるシリカの平
均粒子径は、0.57μmであった。
【0176】さらに、この有機媒体系スラリーの粘度
を、B型粘度計で測定したところ、0.055Pa・s
であった。
【0177】〔実施例5〕(合成例3の水系スラリーか
ら本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラリーの固液分離
による製造) 合成例1に示した遠心分離機による濾過・水洗後のシリ
カ3次凝集体粒子の湿ケーキ33g( 固形分濃度:3
0.3質量%) に、2−プロパノール69gを加えてよ
く混合し、当該シリカ3次凝集体粒子の有機媒体系スラ
リー(固形分15質量%、pH 7.2)を調製した。
但し、当該有機媒体系スラリー中には、湿ケーキ中に残
存していた水分に由来する少量の水分が含有されてい
る。当該スラリーの状態では、コールターカウンターに
よる平均粒径は7.2μmであり、B型粘度計による粘
度は、0.3Pa・sであった。
【0178】次に、この有機媒体系スラリー中の水分を
除去するため、メンブランフィルター(ADVANTE
C社製PTFE PORE3μm型)を使い、減圧濾過
を行った。
【0179】すなわち、濾過により得られた湿ケーキ
に、2−プロパノールを100g追加して再度有機媒体
系スラリーとし、これを再度減圧濾過する固液分離処理
工程を4回繰り返し、当該有機媒体系スラリーを充分に
脱水処理した。
【0180】最後に、フィルター上の湿ケーキ40gを
ビーカーに採取し、適量の2−プロパノール60gを加
えて、マグネティックスターラーで溶解・再分散せし
め、白色乳液状のシリカ3次凝集体粒子の有機媒体系ス
ラリー100gを得た。
【0181】この3次凝集体粒子の有機媒体系スラリー
を、媒体撹拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ
社製、ダイノーミル KDL−A型 (ベッセル容量
0.15 L、直径0.8mmジルコニアビーズ70%
充填) )でシャフト回転数2000rpmにて、10分
間、解砕・分散化を行った。
【0182】得られたシリカ粒子の有機媒体系スラリー
を乾燥し、その粒子形状をSEMで観察したところ、シ
リカ3次凝集体粒子は、実質的に認められず、葉状シリ
カ2次粒子(及び一部シリカ1次粒子)から実質的にな
っていることが認められた。
【0183】また得られたスラリーの固形分濃度は1
0.1質量%(赤外線照射式水分計(ケット社製FD−
600)で測定。)、含水率は0.10質量%(カール
フィッシャー式水分計(京都電子社製、MK−AS型)
で測定。)であり、原料である水系スラリーの水は、実
質的にすべて有機媒体である2−プロパノールで置換さ
れ、葉状シリカ2次粒子の低沸点の有機媒体系スラリー
が得られたことが確認された。
【0184】また、当該有機媒体系スラリー中の微粒子
の粒子径を、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
(堀場製作所製、LA−920型)を用いて、シリカの
平均粒子径を測定した結果、シリカの相対光学屈折率
(基準:水の屈折率)1.10という測定条件下におけ
るシリカの平均粒子径は、0.58μmであった。
【0185】さらに、このスラリーの粘度を、B型粘度
計で測定したところ、0.1Pa・sであった。
【0186】〔実施例6〕(実施例1の有機媒体系スラ
リーからシリカ粒子の高分散乾燥粉体の製造) 実施例1に示した有機媒体系スラリー20.0gを、磁
性るつぼに入れ、乾燥装置に設置し、200℃において
2時間乾燥し、乾燥した顆粒状物2.02gを得た。当
該顆粒状物を更に、メノウ乳鉢で軽く解砕をして微粉に
した。なお、この解砕は極めて容易であった。
【0187】当該解砕した粒子の形状をSEMで観察す
ると、葉状シリカ2次粒子(一部1次粒子)が凝集せず
に存在し、合成例3で得られたスラリー中の粒子形状及
び分散状態が、そのまま同様な状態で高度に保持されて
いる様子が観察された。
【0188】また、微粒子の粒子径を、レーザー回折/
散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−920
型)を用いて、シリカの平均粒子径を測定した結果、シ
リカの相対光学屈折率(基準:水の屈折率)1.10と
いう測定条件下におけるシリカの平均粒子径は、0.6
1μmであった。
【0189】また、この乾燥粉体を水に再分散し水系ス
ラリーとし、ガラス板にバーコーター#80を用いて塗
布乾燥したところ、合成例3の高分散水系スラリーと同
様な自己造膜性を示した。
【0190】この塗膜のJIS K5400に基づく鉛
筆引っ掻き強度は、2H、密着性は碁盤目剥離試験5点
という比較的強固な膜を形成した。
【0191】以上の結果は、この乾燥粉体が、基本的に
合成例3にあるような高度に分散した葉状シリカ2次粒
子からなるものであり、自己造膜特性を保持しているの
で、必要に応じて水を添加して水系スラリーとし、塗膜
を形成できることを示している。
【0192】〔実施例7〕(実施例6の葉状シリカ2次
粒子の高分散乾燥粉体を有機溶剤型の塗料組成物に配合
した例) 実施例6に示した乾燥粉体5gを300mlビーカー中
で、有機溶剤型のウレタン樹脂クリヤー塗料(カシュー
社製、ストロンAS#65クリヤーA液、樹脂固形分5
3%)14.9gに配合し撹拌しながら均一にした。つ
いで同上塗料専用の硬化剤(カシュー社製、ストロンA
S#65クリヤーB液、樹脂固形分51%)7.5gと
シンナー(カシュー社製、ストロン#2510)3.7
gを添加して撹拌均一化して塗料用組成物とした。この
時のシリカと樹脂の固形分比率は、30:70である。
【0193】ガラス板(ソーダライムガラス、70mm
×150mm×2mm厚み)を用意し、当該塗料用組成
物を、バーコーター塗り法(JIS K5400)で、
#80バーコーター(江藤機械社製)を用いて、塗布
し、室温で24時間乾燥して試験片とした。塗布量は、
固形分換算で約20g/m2であった。
【0194】得られた塗膜の外観は、半透明で艶の抑え
られた平滑膜であった。更に、シリカの有無の塗膜に与
える影響を調べるため、シリカを配合しない他は同様に
して得たクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜を同様に作成し
物性を比較した。
【0195】塗膜物性は、JIS K5400に準拠し
て、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験を行った。結果を表3に
示した。
【0196】
【表3】
【0197】以上の塗布試験結果から、塗料用組成物に
当該葉状シリカ乾燥粉末を配合することにより塗膜の硬
度が顕著に向上することが明らかになった。
【0198】〔比較例1〕(合成例1のシリカ3次凝集
体粒子の乾燥粉体を湿式粉砕し、これを有機媒体に分散
せしめたシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造) 合成例1に示した鱗片状シリカ3次凝集体の乾燥粉体1
0gを、2−プロパノール60g中に加えてよく混合
し、均一なスラリーとして、これを湿式媒体撹拌ビーズ
ミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミル
KDL−PILOT A型 (ベッセル容量0.15L、
直径0.8mmジルコニアビーズ70%充填) )でシャ
フト回転数2000rpm、5分間のバッチ処理を行
い、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行ない、固
形分濃度15質量%のシリカ粒子の有機媒体系スラリー
を得た。
【0199】当該スラリーを乾燥して得られた粒子の粒
子形状をSEMで観察すると、乾燥粉体中の3次粒子の
形状がそのまま保持され、解砕機によって部分的に粉砕
され3次粒子と2次粒子の混在している様子が観察され
た。
【0200】解砕・分散化後の有機媒体系スラリー中の
微粒子のレーザー/回折散乱式粒度分布測定装置による
平均粒子径は1.92μmであった。粘度をB型粘度計
で測定したところ、0.2Pa・sであった。
【0201】この乾燥粉体を水に再分散して水系スラリ
ーとし、ガラス基板にバーコータ#80を用いて塗布し
た。得られた塗膜のJIS K5400に基づく鉛筆硬
度は、6B以下、碁盤目剥離試験0点という非常に弱い
ものであった。
【0202】〔実施例8〕(実施例4のシリカ粒子の有
機媒体系スラリーを有機溶剤型の塗料組成物に配合した
例) 実施例4に示した葉状シリカ2次粒子の2−プロパノー
ル有機媒体系スラリー50g(固形分6.8%)を30
0mlビーカーに投入し、有機溶剤型のアクリル樹脂系
塗料用組成物(大日本インキ化学社製、アクリディック
FL−121、固形分45%)17.6gを添加して撹
拌均一化し、シリカ含有塗料用組成物とした。この時の
シリカと樹脂の固形分比率は、30:70である。
【0203】ガラス板(ソーダライムガラス、70mm
×150mm×2mm厚み)を用意し、当該塗料用組成
物を、それにバーコーター塗り法(JIS K540
0)で、#80バーコーター(江藤機械社製)を用い
て、塗布し、室温で24時間乾燥して試験片とした。塗
布量は、固形分換算で約15g/m2であった。
【0204】得られた塗膜の外観は、透明性の高い光沢
のある平滑膜であった。更に、シリカの有無の塗膜に与
える影響を調べるため、シリカを配合しない他は同様に
して得た単独の塗料用組成物の乾燥塗膜を同様に作成
し、諸物性を比較した。
【0205】塗膜物性は、JIS K5400に準拠し
て、鉛筆硬度、碁盤目剥離試験を、行った。結果を表4
に示した。
【0206】
【表4】
【0207】以上の塗布試験結果から、有機溶剤型の塗
料用組成物に当該葉状シリカの有機媒体系スラリーを配
合することにより、塗膜の硬度が顕著に向上することが
明らかになった。
【0208】
【発明の効果】本発明によれば、シリカ薄片1次粒子及
び/又は葉状シリカ2次粒子を、液状有機媒体中に、均
一に高分散させた有機媒体系スラリーを容易に得ること
ができる。この有機媒体系スラリーは、フィラーとして
有機溶剤型の塗料組成物等にそのまま配合することがで
き、当該葉状シリカ2次粒子等の優れた自己造膜性も基
づく、塗膜改質効果を奏することができる。
【0209】また、当該葉状シリカ2次粒子等の有機溶
媒系スラリーは、粒子の凝集・固着等を伴うことなく、
容易に当該溶媒を乾燥除去することが可能であり、その
葉状シリカ2次粒子等の乾燥粉体を得ることができる。
この乾燥粉体は、また、塗料組成物、樹脂コンパウン
ド、化粧料等にそのまま配合し、フィラーその他の効果
を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のシリカ粒子の有機媒体系スラ
リー及びその乾燥粉体を製造するための工程を示すフロ
ーシートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 真樹 福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞 海化学工業株式会社内 (72)発明者 小野 英一 福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞 海化学工業株式会社内 (72)発明者 佐々木 隆好 福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞 海化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4G072 AA25 AA28 BB05 BB20 CC02 CC05 EE07 GG01 GG03 HH18 HH19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鱗片状シリカの薄片1次粒子及び/又は
    当該1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重な
    って形成される葉状シリカ2次粒子を、液状有機媒体中
    に高分散させてなることを特徴とするシリカ粒子の有機
    媒体系スラリー。
  2. 【請求項2】 前記スラリー中のシリカの薄片1次粒子
    及び/又は葉状シリカ2次粒子が、層状ポリケイ酸であ
    る請求項1に記載の有機媒体系スラリー。
  3. 【請求項3】 前記スラリー中のシリカの薄片1次粒子
    及び/又は葉状シリカ2次粒子のX線回折分析での主ピ
    ークが、シリカ−X及び/又はシリカ−Yに該当するシ
    リカである請求項1又は2に記載の有機媒体系スラリ
    ー。
  4. 【請求項4】 前記液状有機媒体が水と分離しうる有機
    媒体である請求項1〜3のいずれかに記載の有機媒体系
    スラリー。
  5. 【請求項5】 シリカの薄片1次粒子及び/又は葉状シ
    リカ2次粒子を液状有機媒体中に高分散させたシリカ粒
    子の有機媒体系スラリーの製造方法であって、(1)シ
    リカヒドロゲル、活性ケイ酸又は含水ケイ酸のいずれか
    を、アルカリ金属塩の存在下に水熱処理し、鱗片状シリ
    カの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚
    重なった葉状シリカ2次粒子と、更に、当該葉状シリカ
    2次粒子とが3次元的に不規則に重なり合って形成され
    る間隙を有する鱗片状シリカ3次凝集体粒子を形成する
    工程、(2)上記シリカ3次凝集体粒子を、水系スラリ
    ー状態で、解砕・分散化して、シリカ薄片1次粒子及び
    /又は葉状シリカ2次粒子からなる水系スラリーを形成
    する工程、及び、(3)前記シリカ薄片1次粒子及び/
    又は葉状シリカ2次粒子からなる水系スラリーに、液状
    有機媒体を、添加・混合し、当該有機溶媒を共存させた
    状態で、脱水する工程からなることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載のシリカの薄片1次粒子及び/
    又は葉状シリカ2次粒子を液状有機媒体中に高分散させ
    たシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造方法。
  6. 【請求項6】 シリカの薄片1次粒子及び/又は葉状シ
    リカ2次粒子を液状有機媒体中に高分散させたシリカ粒
    子の有機媒体系スラリーの製造方法であって、(1’)
    シリカヒドロゲル、活性ケイ酸又は含水ケイ酸のいずれ
    かを、アルカリ金属塩の存在下に水熱処理し、鱗片状シ
    リカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数
    枚重なった葉状シリカ2次粒子と、更に、当該葉状シリ
    カ2次粒子とが3次元的に不規則に重なり合って形成さ
    れる間隙を有する鱗片状シリカ3次凝集体粒子を含む水
    系スラリーを形成する工程、(2’)当該鱗片状シリカ
    3次凝集体粒子を含む水系スラリーを固液分離し、得ら
    れたシリカ3次凝集体粒子の湿ケーキに液状有機媒体を
    添加・混合してその有機媒体系スラリーとする工程、及
    び(3’)上記シリカ3次凝集体粒子を、その有機媒体
    系のスラリー状態で、解砕・分散化することを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれかに記載のシリカ薄片1次粒子
    及び/又は葉状シリカ2次粒子を液状有機媒体中に高分
    散させたシリカ粒子の有機媒体系スラリーの製造方法。
  7. 【請求項7】 上記請求項1〜4のいずれかに記載のシ
    リカの薄片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子を含
    有する有機媒体系スラリーから、さらに、当該有機媒体
    を除去して得られるシリカの1次粒子及び/又は葉状シ
    リカ2次粒子の乾燥粉体。
  8. 【請求項8】 上記請求項5又は6に記載のシリカの薄
    片1次粒子及び/又は葉状シリカ2次粒子を含有する有
    機媒体系スラリーから、さらに当該液状有機媒体を除去
    する工程を含むことを特徴とするシリカの1次粒子及び
    /又は葉状シリカ2次粒子の乾燥粉体の製造方法。
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