JP2010264915A - 車両および車両の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】動力源から車輪に動力を伝達するための動力伝達機構に過大なトルクが発生することを回避する。
【解決手段】ECU150は、車両100が波状路を走行中に急制動が実行された場合には、ブレーキ油圧が閾値以下となるようにブレーキ油圧を制御する。ブレーキアクチュエータ120はECU150の制御により油圧ブレーキ30,32,50,52に供給する油圧を制御する。好ましくは、ECU150は、ブレーキ油圧が、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値よりも大きくなるようにブレーキ油圧を制御する。これにより、モータの動力を車輪に伝達する動力伝達機構(伝達部材15,41、減速機22,42、車軸28,48)に過大なトルクが発生することを回避できる。
【選択図】図1
【解決手段】ECU150は、車両100が波状路を走行中に急制動が実行された場合には、ブレーキ油圧が閾値以下となるようにブレーキ油圧を制御する。ブレーキアクチュエータ120はECU150の制御により油圧ブレーキ30,32,50,52に供給する油圧を制御する。好ましくは、ECU150は、ブレーキ油圧が、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値よりも大きくなるようにブレーキ油圧を制御する。これにより、モータの動力を車輪に伝達する動力伝達機構(伝達部材15,41、減速機22,42、車軸28,48)に過大なトルクが発生することを回避できる。
【選択図】図1
Description
本発明は車両および車両の制御方法に関し、特に車両の制動制御に関する。
近年では、ハイブリッド自動車、電気自動車等、車輪の駆動にモータを使用する車両が環境の面から注目されている。たとえば特開2002−78105号公報(特許文献1)は、エンジンの動力により発電可能な第1のモータと、前輪を駆動するための第2のモータと、後輪を駆動するための第3のモータとを備える車両を開示する。
たとえば、凹凸が連続的かつ周期的に続くような道路を車両が走行する場合、エンジン、モータ等の動力源から車輪に動力を伝達するための動力伝達機構(たとえば車軸)に周期的なトルク変動が与えられる可能性がある。そのトルク変動の周波数が動力伝達機構の共振周波数に合致する場合には動力伝達機構に過大なトルクが発生する可能性が高くなる。
本発明の目的は、動力源から車輪に動力を伝達するための動力伝達機構に過大なトルクが発生することを回避することである。
本発明は、ある局面では、車両であって、車輪と、動力源と、動力伝達機構と、油圧制動装置と、第1の検出部と、第2の検出部と、油圧算出部と、第1の判定部と、第2の判定部と、油圧制限部と、油圧制御部とを備える。動力伝達機構は、動力源により発生した動力を車輪に伝達する。油圧制動装置は、運転者によるペダルの操作に応じて、車輪の回転を制限するための制動力を油圧により発生させる。第1の検出部は、ペダルの操作量を検出する。第2の検出部は、走行路の凹凸を検出する。油圧算出部は、第1の検出部により検出された操作量に基づいて、油圧の指令値を算出する。第1の判定部は、油圧算出部により算出された指令値が閾値より大きいか否かを判定する。第2の判定部は、第2の検出部の検出結果に基づいて、走行路が、繰り返して連続する凹凸を有する波状路であるか否かを判定する。油圧制限部は、第1の判定部により指令値が閾値より大きいと判定され、かつ第2の判定部により走行路が波状路であると判定された場合に、指令値を閾値以下の値に制限する。油圧制御部は、油圧制限部により制限された指令値に基づいて油圧を制御する。
好ましくは、閾値は、走行路が波状路でありかつ制動力が生じた場合に動力伝達機構に生じるトルクと、油圧との間の相関関係に基づいて定められた値である。相関関係は、油圧が増大するほどトルクが増大するという関係である。
好ましくは、車両は、変動範囲算出部と、実効値算出部とをさらに備える。変動範囲算出部は、車輪のロックを防ぎつつ車両を停止させるために油圧を増減させるアンチロックブレーキ制御に必要とされる油圧の変動範囲を算出する。実効値算出部は、変動範囲算出部により算出された変動範囲に基づいて、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値を算出する。閾値は、実効値よりも高くなるように設定された値である。油圧制限部は、指令値が、閾値以下、かつ、実効値算出部により算出された実効値以上となるように、指令値を制限する。
好ましくは、車両は、第3の検出部と、ピッチ算出部と、速度範囲算出部とをさらに備える。第3の検出部は、車両の速度を検出する。ピッチ算出部は、第2の検出部の検出結果に基づいて、波状路における2つの凹部の間隔および波状路における2つの凸部の間隔のうちのいずれか一方の間隔を算出する。速度範囲算出部は、ピッチ算出部により算出された一方の間隔と、動力伝達機構の共振周波数帯とに基づいて、所定の条件を満たす速度の範囲を算出する。所定の条件は、車両が一方の間隔を移動するのに要する時間の逆数によって定義される周波数が、共振周波数帯に含まれるという条件である。油圧制限部は、指令値が閾値より大きく、かつ走行路が波状路であるという条件、および、第3の検出部によって検出された速度が速度範囲に含まれるという条件の両方が成立する場合に、指令値を閾値以下の値に制限する。
好ましくは、動力源は、モータを含む。
本発明は、他の局面では、車両の制御方法である。車両は、車輪と、動力源と、動力伝達機構と、油圧制動装置と、第1の検出部と、第2の検出部と、制御装置とを備える。動力伝達機構は、動力源により発生した動力を車輪に伝達する。油圧制動装置は、運転者によるペダルの操作に応じて、車輪の回転を制限するための制動力を油圧により発生させる。第1の検出部は、ペダルの操作量を検出する。第2の検出部は、走行路の凹凸を検出する。制御装置は、油圧制動装置の油圧を制御する。制御方法は、第1の検出部により検出された操作量に対応する油圧の指令値が、閾値より大きいか否かを判定するステップと、第2の検出部の検出結果に基づいて、走行路が、繰り返して連続する凹凸を有する波状路であるか否かを判定するステップと、指令値が閾値より大きいと判定され、かつ走行路が波状路であると判定された場合に、指令値を閾値以下の値に制限するステップとを備える。
本発明は、他の局面では、車両の制御方法である。車両は、車輪と、動力源と、動力伝達機構と、油圧制動装置と、第1の検出部と、第2の検出部と、制御装置とを備える。動力伝達機構は、動力源により発生した動力を車輪に伝達する。油圧制動装置は、運転者によるペダルの操作に応じて、車輪の回転を制限するための制動力を油圧により発生させる。第1の検出部は、ペダルの操作量を検出する。第2の検出部は、走行路の凹凸を検出する。制御装置は、油圧制動装置の油圧を制御する。制御方法は、第1の検出部により検出された操作量に対応する油圧の指令値が、閾値より大きいか否かを判定するステップと、第2の検出部の検出結果に基づいて、走行路が、繰り返して連続する凹凸を有する波状路であるか否かを判定するステップと、指令値が閾値より大きいと判定され、かつ走行路が波状路であると判定された場合に、指令値を閾値以下の値に制限するステップとを備える。
好ましくは、閾値は、走行路が波状路でありかつ制動力が生じた場合に動力伝達機構に生じるトルクと、油圧との間の相関関係に基づいて定められた値である。相関関係は、油圧が増大するほどトルクが増大するという関係である。
好ましくは、制御方法は、車輪のロックを防ぎつつ車両を停止させるために油圧を増減させるアンチロックブレーキ制御に必要とされる油圧の変動範囲を算出するステップと、変動範囲に基づいて、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値を算出するための実効値算出部とをさらに備える。閾値は、実効値よりも高くなるように設定された値である。制限するステップは、指令値が、閾値以下、かつ、実効値算出部により算出された実効値以上となるように、指令値を制限するステップを含む。
好ましくは、車両は、車両の速度を検出するための第3の検出部をさらに備える。制御方法は、第2の検出部の検出結果に基づいて、波状路における2つの凹部の間隔および波状路における2つの凸部の間隔のうちのいずれか一方の間隔を算出するステップと、一方の間隔と、動力伝達機構の共振周波数帯とに基づいて、所定の条件を満たす速度の範囲を算出するステップとをさらに備える。所定の条件は、車両が一方の間隔を移動するのに要する時間の逆数によって定義される周波数が、共振周波数帯に含まれるという条件である。制限するステップは、指令値が閾値より大きく、かつ走行路が波状路であるという条件、および、第3の検出部によって検出された速度が速度範囲に含まれるという条件の両方が成立する場合に、指令値を閾値以下の値に制限するステップを含む。
好ましくは、動力源は、モータを含む。
本発明によれば、動力源から車輪に動力を伝達するための動力伝達機構に過大なトルクが発生することを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る車両100の概略構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態1に係る車両100の概略構成を示すブロック図である。
図1を参照して、車両100は、バッテリ10と、PCU(Power Control Unit)12と、電動機(モータ)14と、伝達部材15,19と、エンジン16と、動力分割機構18と、発電機(ジェネレータ)20と、減速機22と、前輪24,26と、車軸28と、油圧ブレーキ30,32と、車輪速センサ34,36とを含む。車両100は、さらに、電動機(モータ)40と、伝達部材41と、減速機42と、後輪44,46と、車軸48と、油圧ブレーキ50,52と、車輪速センサ54,56とを含む。車両100は、さらに、路面検出装置60と、車速センサ62と、ブレーキペダル110と、ブレーキペダルストロークセンサ112と、ブレーキアクチュエータ120と、ECU(Electronic Control Unit)150とを含む。
バッテリ10は、車両100に搭載される蓄電装置である。具体的には、バッテリ10は、再充電可能な二次電池(たとえばニッケル水素電池、あるいはリチウムイオン電池等)である。
PCU12は、バッテリ10から供給された直流電圧を、モータ14を駆動するための交流電圧に変換するインバータ(図示せず)を含む。このインバータは、双方向の電力変換が可能なように構成され、モータ14の回生制動によって発電された電力(交流電圧)およびジェネレータ20によって発電された電力(交流電圧)を、バッテリ10の充電用の直流電圧に変換する機能を有する。なお、PCU12は、直流電圧のレベル変換を行なうコンバータ(図示せず)をさらに含んでもよい。このようなコンバータを配置することによって、バッテリ10の供給電圧よりも高い電圧を振幅とする交流電圧によってモータ14を駆動することができるので、モータ14の駆動効率を向上することができる。
エンジン16は、ガソリン等を燃料とする内燃機関であり、燃料の燃焼によって動力を発生させる。動力分割機構18は、エンジン16からの出力を、伝達部材19および減速機22を介して前輪24,26へ伝達する経路と、ジェネレータ20へ伝達する経路とに分割可能である。
ジェネレータ20は、動力分割機構18を介して伝達されたエンジン16からの出力によって回転される。ジェネレータ20の回転によって発電された電力は、PCU12によって、バッテリ10および/またはモータ14に供給される。
モータ14は、PCU12から供給された交流電圧によって駆動される。モータ14の出力は伝達部材15、減速機22および車軸28を介して前輪24,26へ伝達される。また、モータ14が前輪24,26の減速に伴って回転される回生制動時には、モータ14は発電機として動作する。モータ14によって発電された電力は、PCU12によってバッテリ10に供給される。
伝達部材15は減速機22を介して車軸28に連結される。車軸28は前輪24,26に連結される。
油圧ブレーキ30,32は、ブレーキアクチュエータ120から供給される油圧により、前輪24,28の回転を制限するための制動力を発生させる。具体的には、油圧ブレーキ30,32は、車軸28に設けられたブレーキディスクを挟むことにより制動力を発生させる。
車輪速センサ34は、前輪24の速度SFRを検出して、その検出値をECU150に送信する。車輪速センサ36は、前輪26の速度SFLを検出して、その検出値をECU150に送信する。
モータ40は、PCU12から供給された交流電圧によって駆動される。モータ40の出力は伝達部材41、減速機42および車軸48を介して後輪44,46へ伝達される。また、モータ40が後輪44,46の減速に伴って回転される回生制動時には、モータ40は発電機として動作する。モータ40によって発電された電力は、PCU12によってバッテリ10に供給される。
伝達部材41は減速機42を介して車軸48に連結される。車軸48は後輪44,46に連結される。
油圧ブレーキ50,52は、ブレーキアクチュエータ120から供給される油圧により、後輪44,46の回転を制限するための制動力を発生させる。具体的には、油圧ブレーキ50,52は、車軸48に設けられたブレーキディスクを挟むことにより制動力を発生させる。
車輪速センサ54は、後輪44の速度SRRを検出して、その検出値をECU150に送信する。車輪速センサ56は、後輪46の速度SRLを検出して、その検出値をECU150に送信する。
路面検出装置60は、路面の凹凸を検出する。路面検出装置60の検出結果はECU150に送信される。
車速センサ62は、車両100の速度SVを検出して、その検出値をECU150に送信する。
ブレーキペダル110は運転者によって操作される。ブレーキペダルストロークセンサ112は、ブレーキペダル110の操作量(ストローク)を検出して、その検出値をECU150に送信する。
ブレーキアクチュエータ120は、ECU150により設定された油圧を油圧ブレーキ30,32,50,52に供給する。これにより各油圧ブレーキが制動力を発生させる。すなわち油圧ブレーキ30,32,50,52およびブレーキアクチュエータ120は、運転者によるブレーキペダルの操作に応じて、制動力を油圧により発生させる油圧制動装置を構成する。
ECU150は、たとえば以下に説明するようにエンジン16、モータ14,40、ジェネレータ20およびブレーキアクチュエータ120を制御する。なお、ECU150は、PCU12を制御することによってモータ14,40、およびジェネレータ20を制御する。
たとえば車両100の発進時には、エンジン16の出力を用いることなく、モータ14,40の出力のみによって車両100が走行する。軽負荷時(たとえば車両100が低速で走行する場合、あるいは緩やかな坂を下る場合)には、モータ14の出力のみによって車両100が走行する。通常走行時には、エンジン16が始動され、エンジン16からの出力は、動力分割機構18によって前輪24,26の駆動力と、ジェネレータ20の発電用の駆動力とに分割される。ジェネレータ20が発電した電力は、モータ14の駆動に用いられる。加速時には、エンジン16の出力が上昇するとともに、ジェネレータ20が発電した電力が、モータ14,40の駆動に用いられる。
減速時には、モータ14が前輪24,26によって回転されるとともにモータ40が後輪44,46によって回転される。これによりモータ14,40が発電機として動作する。モータ14,40の回生発電によって回収された交流電力は、PCU12によって直流電圧に変換されてバッテリ10の充電に用いられる。
制動時には、ECU150は、ブレーキペダルストロークセンサ112からブレーキペダル110の操作量の検出値を受けるとともに、車速センサ62から車速SVの検出値を受ける。さらに、ECU150は、これらの検出値だけでなく、バッテリ10の充電状態を示すSOC、およびバッテリ10の充電電力の上限値Winを用いてトータル制動力を算出する。ECU150は、算出されたトータル制動力を、油圧ブレーキ30,32,50,52による油圧制動力とモータ14,40による回生制動力とに分配する協調制御を実行する。そして、ECU150は、その協調制御が実現されるように、ブレーキアクチュエータ120およびPCU12を制御する。
さらに、ECU150は、ブレーキペダル110の操作量が大きい場合には、車両が急制動状態であると判定する。この場合、ECU150は、前輪24,26および後輪44,46の各々のロック状態を回避しつつ車両100を停止させる制御(アンチロックブレーキ制御)を実行する。具体的には、ECU150は、センサにより検出された車輪の速度に基づいて、対応する油圧ブレーキの油圧の増加と減少とを繰返す。すなわち、ブレーキペダル110、ブレーキペダルストロークセンサ112、車輪速センサ34,36,54,56、油圧ブレーキ30,32,50,52、ブレーキアクチュエータ120、およびECU150は、ABS(アンチロックブレーキシステム)を構成する。
凹凸が繰返し続く道路(以下、「波状路」とも呼ぶ)を車両100が走行する間に急制動が実行された場合、ECU150は、ブレーキ油圧が低下するようにブレーキアクチュエータ120を制御する。ECU150は、路面検出装置60の検出結果に基づいて、車両100の走行路が波状路であるか否かを判断する。路面検出装置60は、たとえば超音波センサを備える。
図2を参照して、路面検出装置60は、車両100の前方に取付けられる。図2に示した例では、路面検出装置60は超音波センサである。超音波センサは、車両100の前方の路面に超音波を照射して反射した超音波を検出する。たとえば超音波センサは、路面の高低差ΔDを測定する。超音波センサは、測定された高低差ΔDを基準値と比較することによって、路面の凹凸を検出する。
なお、路面検出装置60は、路面を撮影するカメラを備えていてもよい。また、路面検出装置60は、複数の検出装置(たとえば超音波センサおよびカメラ)によって構成されてもよい。
図3は、実施の形態1に係る車両100が備えるECU150の機能ブロック図である。図3は、特に、車両100の制動制御に関する構成を示す。図3を参照して、ECU150は、トータル制動力算出部151と、協調制御部152と、モータ制御部153と、油圧ブレーキ制御部154とを含む。
トータル制動力算出部151は、ブレーキペダル110の操作量、車速SV、バッテリ10の充電状態を示すSOC、およびバッテリ10の充電電力の上限値Winを用いてトータル制動力を算出する。たとえばトータル制動力算出部151は、トータル制動力がブレーキペダルの操作量に比例するようにトータル制動力を算出する。
協調制御部152は、車速SV、ブレーキペダル110の操作量、およびエンジンの動作状況(エンジンの動作および停止)に基づいて、算出されたトータル制動力を、油圧ブレーキによる制動力とモータ14,40による回生制動力とに配分する。なお、エンジンの動作状況によっては、トータル制動力が、エンジンブレーキによる制動力、油圧ブレーキによる制動力およびモータ14,40による回生制動力に配分される。たとえば協調制御部152は、上記の配分がブレーキペダル110の操作量に基づいて定義されたマップを予め記憶する。協調制御部152は、このマップおよび、協調制御部152に入力された各種情報(車速SV、ブレーキペダル110の操作量等)に基づいて、トータル制動力の配分を算出する。この配分は、車速領域に応じて異なるように定義されてもよい。
モータ制御部153は、協調制御部152によって算出された回生制動力に基づいて、PCU12を制御する。これによりモータ14,40は回生制動を行なう。
油圧ブレーキ制御部154は、協調制御部152によって算出された油圧ブレーキの制動力に基づいて、ブレーキアクチュエータ120を制御する。さらに、油圧ブレーキ制御部154は、路面検出部60の検出結果に基づいて、車両100の走行路が波状路であるか否かを判定する。
図4は、図3に示した油圧ブレーキ制御部154の構成を示す機能ブロック図である。図4を参照して、油圧ブレーキ制御部154は、油圧算出部161と、急制動判定部162と、波状路判定部163と、アンチロックブレーキ制御部164と、閾値設定部165と、実効値算出部166と、ガード処理部167と、選択部168と、油圧制御部169とを備える。
油圧算出部161は、協調制御部152により算出された制動力(油圧ブレーキの制動力)に基づいて、その制動力を生じさせるための油圧を算出する。算出結果は油圧の指令値として油圧算出部161より出力される。たとえば、油圧算出部161は、制動力と油圧との相関関係をマップとして記憶するとともに、そのマップおよび協調制御部152により算出された制動力に基づいて油圧の指令値を算出する。
急制動判定部162は、油圧算出部161により算出された指令値と、閾値設定部165により設定された閾値とを比較することにより、車両100が急制動状態であるか否かを判定する。具体的には、指令値が閾値より大きい場合に、急制動判定部162は車両100が急制動状態であると判定する。
波状路判定部163は、路面検出装置60の検出結果に基づいて、車両100の走行路が波状路であるか否かを判定する。たとえば、路面検出装置60によって、路面の凹凸が検出され、かつ、その凹凸の繰り返し回数が所定値を超える場合に、波状路判定部163は、走行路が波状路であると判定する。
アンチロックブレーキ制御部164は、急制動判定部162により車両100が急制動状態であることが判定された場合に、アンチロックブレーキ制御を実行する。具体的には、アンチロックブレーキ制御部164は、車両100が急制動状態である場合に、油圧算出部161より算出された油圧の指令値を車輪速センサの検出値(車輪速SFR,SFL,SRR,SRL)に基づいて増減させる。
閾値設定部165は、急制動判定部162により実行される判定処理およびガード処理部167により実行されるガード処理に用いられる閾値を設定する。
実効値算出部166は、アンチロックブレーキ制御部164からの指令値に基づいて、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の変動範囲を算出する。さらに、実効値算出部166は、その変動範囲に基づいて、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値を算出する。ここでの実効値とは、油圧が時間的に一定であるとの条件に従って算出された油圧の値である。たとえば実効値は変動範囲の中間値(変動範囲の上限値および下限値の平均値)である。ただし、実効値の算出方法は特に限定されるものではなく、たとえば、所定周期でサンプリングされた指令値を平均したものを実効値としてもよい。実効値算出部166により算出された実効値はガード処理部167に送られる。
ガード処理部167は、指令値に対するガード処理を実行する。具体的には、ガード処理部167は、指令値(油圧の値)が閾値設定部165により設定された閾値以下であり、かつ、実効値算出部166により算出された実効値以上となるように、油圧算出部161により算出された指令値を制限する。
選択部168は、急制動判定部162の判定結果および波状路判定部163の判定結果に基づいて、アンチロックブレーキ制御部164からの指令値、ガード処理部167からの指令値および油圧算出部161からの指令値のいずれか1つを選択的に出力する。具体的には、選択部168は、以下の処理を実行する。
(1)車両が急制動状態であり、かつ走行路が波状路である場合:選択部168はガード処理部167からの指令値を油圧制御部169に出力する。
(2)車両が急制動状態であるものの、走行路が波状路でない場合:選択部168はアンチロックブレーキ制御部164からの指令値を油圧制御部169に出力する。
(3)その他の場合(車両が急制動状態ではない場合):選択部168は油圧算出部161からの指令値を油圧制御部169に出力する。
油圧制御部169は、選択部168より出力された指令値に基づいて、ブレーキアクチュエータ120を制御する。これによりブレーキアクチュエータ120は、その指令値に対応する油圧を油圧ブレーキ30,32,50,52に供給する。
すなわち、実施の形態1では、油圧ブレーキ制御部154は、車両100が急制動状態であり、かつ、車両100の走行路が波状路である場合には、ブレーキ油圧が閾値よりも低下するようにブレーキアクチュエータ120を制御する。ブレーキ油圧を低下させることによって油圧ブレーキの制動力が低下する。
車両100が波状路を走行中に急制動が実施された場合には、車輪が急減速および急加速を繰り返すことにより、モータ14の動力を前輪24,26に伝達する動力伝達機構(伝達部材15、減速機22、車軸28等)、およびモータ40の動力を後輪44,46に伝達する動力伝達機構(伝達部材41、減速機42、車軸48等)の少なくとも一方に過大なトルクが発生する可能性がある。このような過大なトルクが動力伝達機構に生じる原因を以下に説明する。
図5は、動力伝達機構に過大なトルクを発生させる原因となる、波状路における車輪の回転を説明するための図である。なお、以下の説明においては「車輪W」は前輪24,26および後輪44,46のうちの任意の1つの車輪であるとともに、路面の凹部間の長さ(路面の凸部間の長さでもよい)は一定であるとする。
図5を参照して、波状路を車両が走行する場合には、波状路の下り部分では車輪Wのグリップ力が小さくなるために、路面から車輪Wへの入力トルクは小さくなる。一方、波状路の上り部分では車輪Wのグリップ力が大きくなるために、路面から車輪への入力トルクが大きくなる。
路面から車輪Wへの入力トルクが増減する状態において急制動が行なわれた場合、波状路の下り部分では路面から車両への入力トルクがブレーキトルクを下回る。このため波状路の下り部分では車輪Wが急減速する。一方で、波状路の上り部分では路面から車両への入力トルクがブレーキトルクを上回るため、上り部分では車輪Wが急加速する。
動力伝達機構は動力源と車輪Wとの間に接続される。エンジン、モータ等の動力源のイナーシャトルクが大きいため、車輪Wの加速および減速が周期的に繰返されることにより、動力伝達機構(たとえば車軸)には周期的なトルク変動が生じる。周期的なトルク変動とは、たとえば車軸に生じる捩れ振動である。トルク変動の周波数が動力伝達機構の共振周波数と合致する場合には、動力伝達機構に生じた周期的なトルク変動の振幅が次第に大きくなる。その結果、動力伝達機構に過大なトルクが発生する。
図6は、車両が平坦な走行路を走行中に急制動が実行された場合に動力伝達機構に生じるトルクを説明するための波形図である。
図6を参照して、時刻t1においてブレーキペダルの操作量が急増する。これによりブレーキ油圧が大きく上昇するとともに車両が急制動状態になる。波状路では、平坦な走行路に比べて、車両の走行時における車輪のグリップ力の変化が小さいので、車両が急制動状態であるときに車輪の急減速および急加速は生じる可能性は小さい。したがって動力伝達機構には、周期的なトルク変動が実質的に生じない。図6では、動力伝達機構に発生するトルクが0であることが示されているが、これは、周期的なトルク変動が動力伝達機構実質的に生じない状態を示している。
なお、急制動時にはアンチロックブレーキ制御が実行される。このため、車輪速度が急低下した場合には、車輪のロックを回避するためにブレーキ油圧が一旦減少する。ブレーキ油圧の減少により制動力が低下するため車輪速度が増加する。車輪速度が増加するとブレーキ油圧が再び増加する。図6に示すように、アンチロックブレーキ制御では、ブレーキ油圧の減少および増加が繰返される。
図7は、車両が波状路を走行中に急制動が実行された場合に動力伝達機構に生じるトルクを説明するための波形図である。
図7を参照して、時刻t2においてブレーキペダルの操作量が急増する。これによりブレーキ油圧が大きく上昇するとともに車両が急制動状態になる。車両が波状路を走行する場合には、車輪の速度が増減する。時刻t3から時刻t4までの期間においては、急制動によって車輪の急減速および急加速が生じるため、車輪の速度の変動幅(振幅)が大きくなる。この結果、たとえば車軸等、動力伝達機構を構成する部材に周期的なトルク変動(トルク振動)が生じる。
トルク振動の周波数が動力伝達機構の共振周波数と同期することにより、動力伝達機構の共振が生じる。これにより、時刻t3から時刻t4までの期間では動力伝達機構に生じるトルクは大きく振動する。すなわち、動力伝達機構に過大なトルクが発生する。
図7は、車輪速度の変動の周期がアンチロックブレーキ制御の周期よりも短い状態を示している。このような状態では、車輪速度の変動に追随してブレーキ油圧を制御することが困難である。したがって、アンチロックブレーキ制御では、動力伝達機構に生じるトルク振動を抑制することは困難である。
車両速度がある程度低下すると、車輪速度の変動の周期が長くなる。これによってトルク振動の周波数が動力伝達機構の共振周波数帯から外れる。この結果、動力伝達機構に生じるトルクも小さくなる。
図7に示した問題への対応として、過大なトルクに絶え得る強度を有する動力伝達機構を車両に搭載することが考えられる。しかし、動力伝達機構の強度を高めることによって、動力伝達機構のサイズおよび重量が増大する。言い換えれば、動力伝達機構の小型化および軽量化が困難となる。
そこで、本実施の形態では、車両が波状路を走行中に急制動が行なわれた場合には、ブレーキ油圧を低下させることによって制動力を低下させる。これによって、動力伝達機構の共振、言い換えれば過大なトルクが生じることを防止できる。
図8は、本実施の形態に係る、トルク振動の振幅の増大を抑制する方法を説明するための模式図である。図8を参照して、車両が波状路を走行し、かつブレーキ油圧が大きい場合には、車輪が急加速および急減速を繰返すため、車輪速度は大きく振動しつつ低下する。これに対し、ブレーキ油圧が小さい場合には、制動力が低下するため、車輪速度の急激な変化(急加速および急減速)が抑えられる。これにより車輪速度の振動の振幅は小さくなるため、動力伝達機構に過大なトルク振動が生じることを抑制できる。
図9は、実施の形態1に係るECUにより実行される、過大トルクの抑制処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、一定の周期ごと、あるいは所定の条件の成立時にメインルーチンより呼び出されて実行される。
また、以下に説明する処理は、油圧ブレーキごとに実行されてもよい。あるいは、2つの後輪(あるいは2つの前輪)に対応する油圧ブレーキ50,52(あるいは30,32)に一括で実行されてもよい。なお、以下では、任意の1つの車輪に対応する油圧ブレーキへの制御処理として、過大トルクの抑制処理を説明する。
図9を参照して、ステップS1においてECU150は、急制動が実行されたか否かを判定する。ECU150(急制動判定部162)は、ブレーキペダル110の操作量に対応する油圧が閾値を上回る場合に、車両100が急制動状態であると判定する。ブレーキペダル110の操作量に対応する油圧とは、ブレーキペダル110の操作量に基づき協調制御部152が算出した制動力に対する油圧である。上述のように、この油圧は、油圧算出部161により算出される。
急制動が実行されたと判定された場合(ステップS1においてYES)、処理はステップS2に進む。一方、急制動が実行されていないと判定された場合(ステップS1においてNO)、全体の処理はメインルーチンに戻される。
ステップS2において、ECU150は、車両100が波状路を走行中であるか否かを判定する。具体的には、ECU150(波状路判定部163)は路面検出装置60の検出結果に基づいて、走行路が波状路であるか否かを判定する。路面検出装置60によって路面の凹凸が検出され、かつ、その凹凸の繰り返し回数が所定回数(特に限定されないが、たとえば5回)を超える場合に、ECU150は走行路が波状路であると判定する。
車両100が波状路を走行中であると判定された場合(ステップS2においてYES)、処理はステップS3に進む。一方、走行路が波状路ではないと判定された場合(ステップS2においてNO)、全体の処理はメインルーチンに戻される。
ステップS3以後の処理において、ECU150は、ブレーキ油圧を低下させる。具体的には、油圧ブレーキ(油圧ブレーキ30,32,50,52の少なくとも1つ)の油圧(指令値)を閾値以下に制御する。さらに、ECU150は、ブレーキ油圧の指令値をアンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値よりも高くする。
ブレーキアクチュエータ120は、ECU150の制御により、対応する油圧ブレーキの油圧を閾値よりも低下させる。ただし、油圧は、アンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値よりも高く設定される。ステップS3の処理が終了すると、全体の処理はメインルーチンに戻される。
ステップS3の処理に用いられる閾値は、ブレーキ油圧と、車両が波状路を走行中に動力伝達機構に発生するトルクとの間の相関関係によって予め設定される。この相関関係は、たとえば実験により得ることができる。
図10は、ブレーキ油圧と動力伝達機構に発生するトルクとの相関関係の例を示す図である。図10を参照して、車両が波状路を走行中である場合、ブレーキ油圧が高くなるに従って、動力伝達機構に発生するトルクが大きくなる。トルクTraは、動力伝達機構の損傷の有無、動力伝達機構を構成する要素の材質、サイズ(たとえば車軸の径)などに基づいて定められたトルクの上限値である。ブレーキ油圧Paは、動力伝達機構にトルクTraが生じるときの油圧である。
ブレーキ油圧Pthは、図9に示したステップS3およびS1の処理に用いられる閾値に対応する。トルクTrthは、ブレーキ油圧Pthに対応するトルクである。トルクTrthは、トルクTraより小さい。ブレーキ油圧Pthは、たとえばトルクTraとトルクTrthとの間のマージン、動力伝達機構にトルクTrthが生じた場合における動力伝達機構の耐久性への影響等を考慮して予め定められる。
一方、アンチロックブレーキ制御の実行時には、ブレーキ油圧がP1からP2までの範囲内で変動する。油圧の実効値Peffは、たとえばP1およびP2の平均値として定められる。ECU150は、ブレーキ油圧の指令値がPeffとPthとの間になるように、ブレーキ油圧の指令値を設定する。
なお、閾値PthがPeffより小さくなる可能性も考えられる。この場合には、たとえばPeffに所定値を加算することによって閾値Pthを設定してもよい。
図11は、図9のフローチャートに示されるステップS3の処理を詳細に説明するフローチャートである。図11を参照して、処理が開始されると、ステップS31において、ECU150(実効値算出部166)は、アンチロックブレーキ制御による油圧の変動範囲を検出する。ステップS32において、ECU150(実効値算出部166)は、検出された変動範囲に基づいて、アンチロックブレーキ制御による油圧の実効値を算出する。ステップS33において、ECU150は、ブレーキ油圧の指令値をPeff以上かつPth以下に制御する。ECU150(ガード処理部167)は、ブレーキ油圧の指令値をPthとPeffとの中間値に保つ。これにより、ブレーキ油圧が多少変動しても、ブレーキ油圧をPthとPeffとの間に保つことができる。
以上のように実施の形態1によれば、車両が波状路を走行中に急制動が実行された場合には、ブレーキ油圧が閾値Pth以下となるようにブレーキ油圧が制御される。ブレーキ油圧を閾値Pth以下に制御することによって、車輪速度の急変を防止できる。よって、実施の形態1によれば、動力伝達機構に過大なトルクが発生することを抑制できる。
さらに、実施の形態1によれば、ブレーキ油圧がアンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値Peff以上となるようにブレーキ油圧が制御される。図7に示されるように、車輪の速度の変動の周期が、アンチロックブレーキ制御による油圧の変動の周期よりも短い場合には、車輪の速度の変動を抑制することは容易ではない。よって動力伝達機構に過大なトルクが発生する可能性が高くなる。一方、アンチロックブレーキ制御を中止するとともにブレーキ油圧をPeffより小さくした場合には、車輪の速度の変動を抑制することができたとしても、制動距離が長くなる可能性がある。実施の形態1によれば、ブレーキ油圧がアンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値Peff以上となるようにブレーキ油圧が制御されるので、制動距離の増加を抑制しつつ、車輪の速度の変動を抑制することができる。
さらに、実施の形態1によれば、車両は、動力源として、エンジンおよびモータを備える。これらの各々のイナーシャトルクが大きいため、車輪が急加速と急減速とを繰返した場合に、動力伝達機構の共振の原因となる周期的なトルク変動が、動力伝達機構に生じる可能性がある。実施の形態1によれば、イナーシャトルクの大きな動力源を備える車両において、動力伝達機構の共振を防止できるため動力伝達機構に過大なトルクが生じることを抑制できる。
[実施の形態2]
実施の形態2に係る車両の全体構成は、実施の形態1に係る車両(図1に示す車両100)の構成と同様であるので、以後の説明は繰返さない。また、実施の形態2に係る車両が備えるECUの構成は、油圧ブレーキ制御部の構成の点において図3に示したECU150の構成と異なる。
実施の形態2に係る車両の全体構成は、実施の形態1に係る車両(図1に示す車両100)の構成と同様であるので、以後の説明は繰返さない。また、実施の形態2に係る車両が備えるECUの構成は、油圧ブレーキ制御部の構成の点において図3に示したECU150の構成と異なる。
図12は、実施の形態2に係る油圧ブレーキ制御部の構成を示す機能ブロック図である。図12および図4を参照して、油圧ブレーキ制御部154Aは、ピッチ算出部171および速度範囲算出部172をさらに備える点、および、選択部168に代えて選択部168Aを備える点において、図4に示した油圧ブレーキ制御部と異なる。
ピッチ算出部171は、路面検出装置60の検出結果に基づいて、路面の凹部のピッチ(2つの凹部間の長さ)あるいは路面の凸部のピッチ(2つの凸部間の長さ)を算出する。たとえば、路面検出装置60として超音波センサが用いられる場合、その超音波センサが路面のある凸部を検出した時点から次の凸部を検出するまでの時間間隔および、その期間の車速に基づいて、ピッチ算出部171はピッチを算出する。なお、路面検出装置60としてカメラが用いられる場合には、ピッチ算出部171は、カメラが取得した画像を用いて、種々の画像処理を実行することによりピッチを算出してもよい。
速度範囲算出部172は、ピッチ算出部171によって算出された、路面の凸部(あるいは凹部)のピッチを用いて、ブレーキ油圧を低減させる必要のある車速の範囲を算出する。上記の車速の範囲では、路面のある凸部から次の凸部への車両の移動時間の逆数によって定義される周波数が、動力伝達機構の共振周波数帯に含まれる。
図13は、速度範囲算出部158により算出される車速の範囲を説明するための図である。図13を参照して、路面の凸部間の長さ(凸部間の長さ)はLである。凸部から次の凸部に車両が移動するのに要する時間Tは、長さLおよび車速SVを用いてL/SVと表わされる。時間Tの逆数を周波数fとする。f=1/Tであるので、f=SV/Lと表わされる。
速度範囲算出部158は、周波数fがfl≦f≦fuであるという条件を満たすための車速SVの範囲を算出する。周波数flは、動力伝達機構の共振周波数帯における下限値であり、周波数flは、動力伝達機構の共振周波数帯における上限値である。f=SV/Lであるので、車速SVの範囲は、L×fl≦SV≦L×fuと表わされる。
周波数fu,flは実験などによって予め定められた値である。ピッチ算出部171によって長さLが算出されることにより、車速SVの範囲を定めることができる。なお、以下では、速度範囲算出部158により算出された車速SVの範囲をVl≦SV≦Vuと表わす。Vl=L×flであり、Vu=L×fuである。
図12に戻り、選択部168Aは、現在の車速SVを車速センサ62より受けるとともに、速度範囲算出部158から車速Vl,Vuを受ける。選択部168Aは、車両が急制動状態であり、かつ走行路が波状路であるという条件および、Vl≦SV≦Vuという条件の両方が成立する場合に、ガード処理部167からの指令値を選択する。
図14は、実施の形態2に係るECUにより実行される、過大トルクの抑制処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、一定の周期ごと、あるいは所定の条件の成立時にメインルーチンより呼び出されて実行される。
図14および図9を参照して、図14のフローチャートに示す処理は、ステップS2の処理とステップS3の処理との間にステップS11〜S14の処理が追加される点において、図9のフローチャートの処理と異なる。図14のステップS1,S2,S3の処理は、図9に示される対応するステップの処理と同様である。また、図14のステップS3では、図11に示した処理が実行される。以下では、ステップS11〜S14の処理について詳細に説明する。
ステップS11において、ECU150は波状路のピッチ(図13に示す長さL)を算出する。ステップS12において、ECU150は、ステップS11により算出された長さLに基づいて、車速SVの範囲(Vl≦SV≦Vu)を算出する。
ステップS13において、ECU150は、現在の車速SVが速度Vuより大きいか否かを判定する。SV>Vuと判定された場合(ステップS13においてYES)には、ステップS13の処理が繰返される。なお、SV>Vuと判定された場合に処理がメインルーチンに戻されてもよい。SV≦Vuと判定された場合(ステップS13においてNO)、処理はステップS14に進む。
ステップS14において、ECU150は、現在の車速SVが速度Vlより大きいか否かを判定する。SV≧Vlと判定された場合(ステップS14においてYES)には、ECU150は、ステップS3の処理を実行する。すなわち、ECU150は、ブレーキ油圧の指令値を閾値Pth以下に制御する。ステップS3の処理が終了すると、全体の処理はステップS14に戻される。これにより、Vl≦SV≦Vuとの条件が満たされる間、ブレーキ油圧が閾値Pth以下に制御される。なお、ECU150は、ブレーキ油圧の指令値をアンチロックブレーキ制御の実行時における油圧の実効値よりも高くする。
一方、SV<Vuと判定された場合(ステップS14においてNO)、全体の処理はメインルーチンに戻される。
実施の形態1によれば、車両が急制動状態であり、かつ走行路が波状路であるという条件が満たされる間、ブレーキ油圧が小さくなる。これにより動力伝達機構に過大なトルクが発生することが可能である。しかし制動力が低下するので、制動距離が長くなる可能性がある。
実施の形態2によれば、車速SVがVl≦SV≦Vuである間、すなわち、波状路のある凸部から次の凸部(または、凹部から次の凹部でもよい)に車両が移動するのに要する時間の逆数が、動力伝達機構の共振周波数帯に含まれる間のみブレーキの油圧を低下させる。よって実施の形態2によれば、制動距離が長くなるのを回避しつつ、動力伝達機構に過大なトルクが発生することを抑制することができる。
なお、実施の形態1および2におけるガード処理部167および選択部168(168A)は、急制動判定部162により車両が急制動状態であると判定され、かつ、波状路判定部163により走行路が波状路であると判定された場合に、油圧の指令値を、閾値Pth以下、かつ、アンチロックブレーキ制御における実効値Peff以上に制限する。すなわち、ガード処理部167および選択部168(168A)は、本発明における「油圧制限部」を構成する。
また、上記の実施の形態では、前輪を駆動するモータおよび後輪を駆動するモータを搭載した車両を示した。ただし、車両に搭載されるモータは、前輪のみあるいは後輪のみを駆動するものであってもよい。
また、上記の実施の形態では、動力源として内燃機関とモータとを備えるハイブリッド車両を示した。しかし本発明は、車輪を駆動するための動力を発生するモータ、およびそのモータの動力を車輪に伝達するための動力伝達機構を備える車両に適用することができる。よって本発明は、たとえば、電気自動車、燃料電池自動車等にも適用できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 バッテリ、14,40 モータ、15,19,41 伝達部材、16 エンジン、18 動力分割機構、20 ジェネレータ、22,42 減速機、24,26 前輪、28,48 車軸、30,32,50,52 油圧ブレーキ、34,36,54,56 車輪速センサ、44,46 後輪、60 路面検出装置、62 車速センサ、100 車両、110 ブレーキペダル、112 ブレーキペダルストロークセンサ、120 ブレーキアクチュエータ、151 トータル制動力算出部、152 協調制御部、153 モータ制御部、154 油圧ブレーキ制御部、154,154A 油圧ブレーキ制御部、158 速度範囲算出部、161 油圧算出部、162 急制動判定部、163 波状路判定部、164 アンチロックブレーキ制御部、165 閾値設定部、166 実効値算出部、167 ガード処理部、168,168A 選択部、169 油圧制御部、171 ピッチ算出部、172 速度範囲算出部。
Claims (10)
- 車輪と、
動力源と、
前記動力源により発生した動力を前記車輪に伝達するための動力伝達機構と、
運転者によるペダルの操作に応じて、前記車輪の回転を制限するための制動力を油圧により発生させるための油圧制動装置と、
前記ペダルの操作量を検出するための第1の検出部と、
走行路の凹凸を検出するための第2の検出部と、
前記第1の検出部により検出された前記操作量に基づいて、前記油圧の指令値を算出するための油圧算出部と、
前記油圧算出部により算出された前記指令値が閾値より大きいか否かを判定するための第1の判定部と、
前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記走行路が、繰り返して連続する凹凸を有する波状路であるか否かを判定するための第2の判定部と、
前記第1の判定部により前記指令値が前記閾値より大きいと判定され、かつ前記第2の判定部により前記走行路が前記波状路であると判定された場合に、前記指令値を前記閾値以下の値に制限するための油圧制限部と、
前記油圧制限部により制限された前記指令値に基づいて前記油圧を制御するための油圧制御部とを備える、車両。 - 前記閾値は、前記走行路が前記波状路でありかつ前記制動力が生じた場合に前記動力伝達機構に生じるトルクと、前記油圧との間の相関関係に基づいて定められた値であり、
前記相関関係は、前記油圧が増大するほど前記トルクが増大するという関係である、請求項1に記載の車両。 - 前記車両は、
前記車輪のロックを防ぎつつ前記車両を停止させるために前記油圧を増減させるアンチロックブレーキ制御に必要とされる前記油圧の変動範囲を算出するための変動範囲算出部と、
前記変動範囲算出部により算出された前記変動範囲に基づいて、前記アンチロックブレーキ制御の実行時における前記油圧の実効値を算出するための実効値算出部とをさらに備え、
前記閾値は、前記実効値よりも高くなるように設定された値であり、
前記油圧制限部は、前記指令値が、前記閾値以下、かつ、前記実効値算出部により算出された前記実効値以上となるように、前記指令値を制限する、請求項1または2に記載の車両。 - 前記車両は、
前記車両の速度を検出するための第3の検出部と、
前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記波状路における2つの凹部の間隔および前記波状路における2つの凸部の間隔のうちのいずれか一方の間隔を算出するためのピッチ算出部と、
前記ピッチ算出部により算出された前記一方の間隔と、前記動力伝達機構の共振周波数帯とに基づいて、所定の条件を満たす前記速度の範囲を算出するための速度範囲算出部とをさらに備え、
前記所定の条件は、前記車両が前記一方の間隔を移動するのに要する時間の逆数によって定義される周波数が、前記共振周波数帯に含まれるという条件であり、
前記油圧制限部は、前記指令値が前記閾値より大きく、かつ前記走行路が前記波状路であるという条件、および、前記第3の検出部によって検出された前記速度が前記速度範囲に含まれるという条件の両方が成立する場合に、前記指令値を前記閾値以下の値に制限する、請求項1から3のいずれか1項に記載の車両。 - 前記動力源は、モータを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の車両。
- 車両の制御方法であって、
前記車両は、
車輪と、
動力源と、
前記動力源により発生した前記動力を前記車輪に伝達するための動力伝達機構と、
運転者によるペダルの操作に応じて、前記車輪の回転を制限するための制動力を油圧により発生させるための油圧制動装置と、
前記ペダルの操作量を検出するための第1の検出部と、
走行路の凹凸を検出するための第2の検出部と、
前記油圧制動装置の前記油圧を制御するための制御装置とを備え、
前記制御方法は、
前記第1の検出部により検出された前記操作量に対応する前記油圧の指令値が、閾値より大きいか否かを判定するステップと、
前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記走行路が、繰り返して連続する凹凸を有する波状路であるか否かを判定するステップと、
前記指令値が前記閾値より大きいと判定され、かつ前記走行路が前記波状路であると判定された場合に、前記指令値を前記閾値以下の値に制限するステップとを備える、車両の制御方法。 - 前記閾値は、前記走行路が前記波状路でありかつ前記制動力が生じた場合に前記動力伝達機構に生じるトルクと、前記油圧との間の相関関係に基づいて定められた値であり、
前記相関関係は、前記油圧が増大するほど前記トルクが増大するという関係である、請求項6に記載の車両の制御方法。 - 前記制御方法は、
前記車輪のロックを防ぎつつ前記車両を停止させるために前記油圧を増減させるアンチロックブレーキ制御に必要とされる前記油圧の変動範囲を算出するステップと、
前記変動範囲に基づいて、前記アンチロックブレーキ制御の実行時における前記油圧の実効値を算出するための実効値算出部とをさらに備え、
前記閾値は、前記実効値よりも高くなるように設定された値であり、
前記制限するステップは、前記指令値が、前記閾値以下、かつ、前記実効値算出部により算出された前記実効値以上となるように、前記指令値を制限するステップを含む、請求項6または7に記載の車両の制御方法。 - 前記車両は、
前記車両の速度を検出するための第3の検出部をさらに備え、
前記制御方法は、
前記第2の検出部の検出結果に基づいて、前記波状路における2つの凹部の間隔および前記波状路における2つの凸部の間隔のうちのいずれか一方の間隔を算出するステップと、
前記一方の間隔と、前記動力伝達機構の共振周波数帯とに基づいて、所定の条件を満たす前記速度の範囲を算出するステップとをさらに備え、
前記所定の条件は、前記車両が前記一方の間隔を移動するのに要する時間の逆数によって定義される周波数が、前記共振周波数帯に含まれるという条件であり、
前記制限するステップは、前記指令値が前記閾値より大きく、かつ前記走行路が前記波状路であるという条件、および、前記第3の検出部によって検出された前記速度が前記速度範囲に含まれるという条件の両方が成立する場合に、前記指令値を前記閾値以下の値に制限するステップを含む、請求項6から8のいずれか1項に記載の車両の制御方法。 - 前記動力源は、モータを含む、請求項6から9のいずれか1項に記載の車両の制御方法。
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KR20180006669A (ko) * | 2016-07-11 | 2018-01-19 | 현대자동차주식회사 | 요철로 주행시 자동차의 운전성 향상을 위한 시스템 및 그 제어 방법 |
KR102382092B1 (ko) * | 2016-07-11 | 2022-04-04 | 현대자동차주식회사 | 요철로 주행시 자동차의 운전성 향상을 위한 시스템 및 그 제어 방법 |
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