JP2010264657A - 熱収縮性積層フィルム、該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】A層をポリエステル系樹脂を主成分として含有する樹脂組成物、B層をA層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂とからなる樹脂組成物、C層をB層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系樹脂とからなる樹脂組成物でそれぞれ構成し、これらの積層フィルムを少なくとも一方向に延伸して得られる熱収縮性積層フィルムの80℃温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向の熱収縮率を20%以上とする。
【選択図】なし
Description
(A)層:主成分としてポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物
(B)層:ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(A)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物
(C)層:ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(B)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物
(a)オキサゾリン基含有スチレン系共重合体
(b)スチレン−無水マレイン酸共重合体
(c)ポリエステル系エラストマーまたは変性ポリエステル系エラストマー
(d)ポリスチレン系エラストマーまたは変性ポリスチレン系エラストマー
(e)幹成分と枝成分が異なるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分または枝成分が、ポリエステル系樹脂またはポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物
本発明のフィルムは、下記(A)層と(C)層との間に(B)層を有する少なくとも3層からなる積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してからなる熱収縮性積層フィルムであって、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルムである。
(A)層:主成分としてポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物
(B)層:ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(A)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物
(C)層:ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(B)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物
本発明では、(A)層は、主成分としてポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物から構成される。
本発明のフィルムの(A)層を構成するポリエステル系樹脂は、フィルムに剛性と耐破断性と低温収縮性を付与しつつ、自然収縮を抑えることができる。本発明において好適なポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸残基とジオール残基とから誘導されるポリエステル系樹脂である。ジカルボン酸残基の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそれらのエステル誘導体から誘導される残基が挙げられる。これらのジカルボン酸残基は、1種を単独で、又は2種以上を含有していてもよい。前記ポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸とエチレングリコールとを含むポリエステル樹脂が好適に用いられる。
本発明では、(B)層は、前述した(A)層と後述する(C)層との間に有する。さらに、(B)層は、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(A)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物主成分から構成される。
本発明のフィルムの(B)層において好適に用いられるポリエステル系樹脂は、上記した(A)層におけるものと同様である。また、(B)層において用いられるポリエステル系樹脂は、本発明の規定する範囲を超えない限り、(A)層で使用されるポリエステル系樹脂と同様のポリエステル系樹脂でもよく、また、(A)層で使用されるポリエステル系樹脂とは異なるポリエステル系樹脂を用いてもよい。さらに、(B)層において用いられるポリエステル系樹脂は、本発明の規定する範囲を超えない限り、後述する(C)層で使用されるポリエステル系樹脂と同様のポリエステル系樹脂でもよく、また、(C)層で使用されるポリエステル系樹脂とは異なるポリエステル系樹脂を用いてもよい。
本発明のフィルムの(B)層において用いられるスチレン系樹脂は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合が好適に用いられる。スチレン系炭化水素としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−、m−又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)等のポリアルキルスチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−ブロモスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリハロゲン化スチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロメチルスチレン)等のポリハロゲン化置換アルキルスチレン;ポリ(p−、m−又はo−メトキシスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−エトキシスチレン)等のポリアルコキシスチレン;ポリ(o−、m−、又はp−カルボキシメチルスチレン)等のポリカルボキシアルキルスチレン;ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリアルキルエーテルスチレン;ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリアルキルシリルスチレン;さらにはポリビニルベンジルジメトキシホスファイド等が挙げられる。該スチレン系炭化水素ブロックは、これらの単独重合体、共重合体及び/又はスチレン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含んでいてもよい。
本発明のフィルムの(B)層は、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の相溶化を促進する相溶化剤をさらに含有し、前記相溶化剤が、下記(a)〜(e)の少なくとも1種であることことが好ましい。
(a)オキサゾリン基含有スチレン系共重合体
(b)スチレン−無水マレイン酸共重合体
(c)ポリエステル系エラストマーまたは変性ポリエステル系エラストマー
(d)ポリスチレン系エラストマーまたは変性ポリスチレン系エラストマー
(e)幹成分と枝成分が異なるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、ポリエステル系樹脂、またはポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物
(a)オキサゾリン基含有スチレン系共重合体
(b)スチレン−無水マレイン酸共重合体
(c)ポリエステル系エラストマーまたは変性ポリエステル系エラストマー
(d)ポリスチレン系エラストマーまたは変性ポリスチレン系エラストマー
(e)幹成分と枝成分が異なるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、ポリエステル系樹脂、またはポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物
本発明では、(C)層は、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(B)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物主成分から構成される。
本発明のフィルムの(C)層において好適に用いられるポリエステル系樹脂は、上記した(A)層におけるものと同様である。また、(C)層において用いられるポリエステル系樹脂は、本発明の規定する範囲を超えない限り、(A)層で使用されるポリエステル系樹脂と同様のポリエステル系樹脂でもよく、また、(A)層で使用されるポリエステル系樹脂とは異なるポリエステル系樹脂を用いてもよい。さらに、(C)層において用いられるポリエステル系樹脂は、本発明の規定する範囲を超えない限り、(B)層で使用されるポリエステル系樹脂と同様のポリエステル系樹脂でもよく、また、(B)層で使用されるポリエステル系樹脂とは異なるポリエステル系樹脂を用いてもよい。また、(C)層において用いられるポリエステル系樹脂は、トリミングロス等により生じる再生原料中に含まれるポリエステル系樹脂でもよい。
本発明のフィルムの(C)層において用いられるスチレン系樹脂は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とのブロック共重合が好適に用いられる。スチレン系炭化水素としては、例えばポリスチレン、ポリ(p−、m−又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3, 4−又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)等のポリアルキルスチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−ブロモスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリハロゲン化スチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロメチルスチレン)等のポリハロゲン化置換アルキルスチレン;ポリ(p−、m−又はo−メトキシスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−エトキシスチレン)等のポリアルコキシスチレン;ポリ(o−、m−、又はp−カルボキシメチルスチレン)等のポリカルボキシアルキルスチレン;ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリアルキルエーテルスチレン;ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリアルキルシリルスチレン;さらにはポリビニルベンジルジメトキシホスファイド等が挙げられる。該スチレン系炭化水素ブロックは、これらの単独重合体、共重合体及び/又はスチレン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーをブロック内に含んでいてもよい。
本発明のフィルムの(C)層は、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の相溶化を促進する相溶化剤をさらに含有し、前記相溶化剤が、下記(a)〜(e)の少なくとも1種であることことが好ましく、(C)層において用いる相溶化剤は、上記した(B)層におけるものと同様である。
(a)オキサゾリン基含有スチレン系共重合体
(b)スチレン−無水マレイン酸共重合体
(c)ポリエステル系エラストマーまたは変性ポリエステル系エラストマー
(d)ポリスチレン系エラストマーまたは変性ポリスチレン系エラストマー
(e)幹成分と枝成分が異なるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、または枝成分が、ポリエステル系樹脂、またはポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物
本発明のフィルムは、上述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、成形加工性、生産性及び熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で、各層に可塑剤及び/又は粘着付与樹脂を、各層を構成する樹脂総量に対して1質量%以上、好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上であり、かつ10質量%以下、好ましくは8質量%以下、さら好ましくは5質量%以下の範囲で含有させることができる。可塑剤及び/又は粘着付与樹脂の含有率が樹脂総量に対して10質量%以下であれば、溶融粘度の低下や耐熱融着性の低下が小さく、自然収縮も起こりにくい。さらに、本発明のフィルムは、前記可塑剤及び粘着付与樹脂以外にも目的に応じて各種の添加剤、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、無機フィラーなどを各用途に応じて適宜添加することができる。
本発明のフィルムは、(A)層と(C)層との間に(B)層を有する少なくとも3層からなる積層構成のものであれば、層構成は特に限定されるものではない。
本発明のフィルムは、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が20%以上である。好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、かつ70%以下、好ましくは65%以下、さらに好ましくは60%以下である。また、50℃温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率が少なくとも一方向において5%以下、好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下の範囲であることが好ましい。また、本発明のフィルムは、70℃温水中に10秒間浸漬したときの熱収縮率は少なくとも一方向において10%以上、30%未満、好ましくは10%以上25%以下、さらに好ましくは10%以上20%以下の範囲であることが好ましい。
本発明の熱収縮性積層フィルムの透明性はJIS K7105に準拠して測定されたヘーズ値により評価され、ヘーズ値は10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下がさらに好ましい。ヘーズ値が10%以下であれば、良好な透明性を得られ、美麗な印刷等が可能となる。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、少なくとも一方向に延伸して熱収縮性フィルムに成形し、該熱収縮性フィルムから主収縮方向150mm、主収縮方向と直交する方向15mmの大きさで試験片を採取した後、該試験片の主収縮方向の端面から前記(A)層を一部剥離し、前記(A)層の剥離部と、前記(C)層を含む被剥離部とを引張試験機のチャックで挟み、主収縮方向に対する試験速度100mm/minで180度剥離試験を行ったときの層間剥離強度が1N/15mm幅以上であり、好ましくは1.5N/15mm幅以上であり、さらに好ましくは2N/15mm幅以上である。本発明のフィルムは、熱収縮性フィルムに成形した場合の層間剥離強度が1N/15mm幅以上であるため、輸送時の振動や、爪等の引っ掻きによる層間剥離が生じる等のトラブルが生じることもない。
次に、本発明のフィルムにおける重ね合わせ部のズレ幅について図面を用いて説明する。図1から図3において、符号100は本発明の積層フィルム片、符号2は(A)層、符号4は(B)層、符号6は(C)層、符号8は重ね合わせ部、符号8wは重ね幅、符号10は(A)層2の端面、符号12は(B)層4の端面、符号14は(C)層6の端面、符号16はシール部、符号18はズレ、符号18wはズレ幅、符号Aは一端側、符号Bは他端側をそれぞれ意味する。
本発明の熱収縮性積層フィルムは、少なくとも一方向に延伸して熱収縮性フィルムに成形し、該熱収縮性フィルムから主収縮方向100mm、主収縮方向と直交する方向200mmの大きさで試験片を採取した後、主収縮方向と直交する方向を軸として線対象に折り曲げ、主収縮方向50mm、主収縮方向と直交する方向200mmの大きさで折り曲げられた後、再び、折り曲げ部を開き、もとの主収縮方向100mm、主収縮方向と直交する方向200mmの大きさ戻した際、折り曲げ部が白化することが少ない。これは、本発明の熱収縮性積層フィルムを本発明の規定する範囲に調整することにより達成できる効果である。
本発明のフィルムは、ポリスチレン系樹脂を主成分として含有する中間層と、該中間層の両面側に配設されるポリエステル系樹脂を主成分として含有する表裏層と、表裏層と中間層との間に形成される接着層を同時又は逐次的に積層して積層フィルムを作製し、次いで該積層フィルムを加熱し、少なくとも1軸方向に延伸して得られる。
本発明のフィルムは、成形し、又は必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、容器等の被覆フィルム、結束バンド、外装用フィルムなどの様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用の熱収縮性ラベル、例えば複雑な形状(中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)にも使用することができる。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向を「MD」、それと直交する方向を「TD」と記載する。
(1)熱収縮率
本発明のフィルムをMD20mm、TD100mmの大きさに切り取り、TDの収縮量を80℃の温水バスに10秒間浸漬し、測定した。熱収縮率は、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
本発明のフィルムを熱収縮性フィルムに成形し、得られたフィルムから主収縮方向150mm、主収縮方向と直交する方向15mmの大きさで試験片を採取した後、該試験片の主収縮方向の端面から前記(A)層を一部剥離し、前記(A)層の剥離部と、前記(C)層を含む被剥離部とを引張試験機のチャックで挟み、主収縮方向に対する試験速度100mm/minで180度剥離試験を行った。剥離試験にて得られる荷重がある程度一定となったところの平均値を層間剥離強度として評価した。
◎:層間剥離強度が2N/15mm幅以上
○:層間剥離強度が1N/15mm幅以上2N/15mm幅未満
×:層間剥離強度が1N/15mm幅未満
JIS K7105に準拠して厚み40μmのフィルムのヘーズ値を測定し、透明性を評価した。
◎:ヘーズ値が5%未満
○:ヘーズ値が5%以上8%未満
△:ヘーズ値が8%以上10%未満
×:ヘーズ値が10%以上
得られたフィルムをTDに235mm幅にスリットし、製袋機にてTDの両端を10mm重ねてフィルム端面をテトラヒドロフラン/シクロヘキサンを体積分率にて75/25で混合した溶剤にて幅5mmでシールし、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムをMD(TD方向と直交する方向)に110mmに切り出し、容量350mLの角型ペットボトルへ装着し、99℃の温水中で10秒間浸してから常温に戻した。フィルム被覆後は、下記基準で評価した。
◎ :フィルムの重ね合わせ部の重ね幅に対して、装着ラベルの端面におけるズレ幅が0%以上2%未満である。
○ :フィルムの重ね合わせ部の重ね幅に対して、装着ラベルの端面におけるズレ幅が2%以上5%以下である。
×:フィルムの重ね合わせ部の重ね幅に対して、装着ラベルの端面におけるズレ幅が5%より大きく、装着ラベルの外層と内層が剥離している。
本発明のフィルムを熱収縮性フィルムに成形し、得られたフィルムから主収縮方向100mm、主収縮方向と直交する方向200mmの大きさで試験片を採取した後、主収縮方向と直交する方向を軸として線対象に折り曲げ、主収縮方向50mm、主収縮方向と直交する方向200mmの大きさで折り曲げられた後、再び、折り曲げ部を開き、もとの主収縮方向100mm、主収縮方向と直交する方向200mmの大きさ戻した際、折り曲げ部が白化するか確認し、下記基準にて評価した。
○;フィルムの折り曲げ部に折り曲げた形跡は残るが白化しない。
×;フィルムの折り曲げ部にはっきりとした白化した線が残る。
(ポリエステル系樹脂)
・共重合ポリエステル、商品名;SKYGREEN PETG S2008(SK Chemicals社製)、以下「Pes(1)」と略する。
・共重合ポリエステル、商品名:EmbreceLV(イーストマンケミカル社製)、以下「Pes(2)」と略する。
(ポリスチレン系樹脂)
・スチレン/ブタジエン=90/10(質量%)、貯蔵弾性率E’(0℃):3.15×109Pa、損失弾性率E”のピーク温度55℃のスチレン−ブタジエン共重合体、以下「PS(1)」という。
・スチレン−ブタジエン共重合体、商品名;DK−11(シェブロンフィリップス社製)、以下「PS(2)」という。
・スチレン−ブタジエン共重合体、商品名;アサフレックス830(旭化成ケミカルズ社製)、以下「PS(3)」という。
(相溶化剤)
・オキサゾリン基含有スチレン系共重合体、商品名;エポクロスRPS−1005(日本触媒社製)、以下「comp(1)」という。
・スチレン−無水マレイン酸共重合体、商品名;Dylark232(NovaChemicals社製)、以下「comp(2)」という。
・ポリエステル系エラストマー、商品名;プリマロイA1700(三菱化学社製)、以下「comp(3)」という。
・変性スチレン系エラストマー、商品名;ダイナロン8630P(JSR社製)、以下「comp(4)」という。
・(エチレン−グリシジルメタクリレート)−ポリスチレングラフト共重合体、商品名;モディパーA4100(日油社製)、以下「comp(5)」という。
3台の単軸押出機(三菱重工業社製)、および3種5層マルチマニホールド口金により、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層の積層共押出が可能な設備において、(A)層を形成する単軸押出機に、ポリエステル系樹脂「Pes(1)」を導入し、(B)層を形成する単軸押出機に、予めペレット化した混合樹脂組成物(Pes(1)60質量%、PS(2)40質量%)を導入し、(C)層を形成する単軸押出機に、予めペレット化した混合樹脂組成物(Pes(1)5質量%、PS(1)38質量%、PS(2)57質量%)を導入し、各押出機設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚みが、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層=25μm/5μm/140μm/5μm/25μmとなるよう共押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度93℃、延伸温度90℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、63℃にて熱処理を行い、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(3)45質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(2)5質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(3)40質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(2)5質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)65質量%、PS(3)30質量%、comp(2)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(1)25質量%、PS(1)30質量%、PS(2)45質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)45質量%、PS(3)35質量%、comp(3)20質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(1)10質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(1)40質量%、comp(4)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(2)5質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(1)40質量%、comp(5)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(2)5質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(3)35質量%、comp(1)10質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(1)10質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(3)40質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(1)15質量%、PS(1)35質量%、PS(2)50質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(2)55質量%、PS(3)40質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(1)35質量%、PS(1)25質量%、PS(2)40質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
3台の単軸押出機(三菱重工業社製)、および3種5層マルチマニホールド口金により、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層の積層共押出が可能な設備において、(A)層を形成する単軸押出機に、ポリエステル系樹脂「Pes(1)」を導入し、(B)層を形成する単軸押出機を止め、(C)層を形成する単軸押出機に、予めペレット化した混合樹脂組成物(Pes(2)5質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%、comp(1)5質量%)を導入し、各押出機設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚みが、(A)層/(C)層/(A)層=25μm/150μm/25μmとなるよう共押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅200mm、厚さ200μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度93℃、延伸温度90℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、63℃にて熱処理を行い、厚さ40μmの熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、comp(3)を(B)層に用い(比較例2の(B)層に用いた樹脂組成物においては、2軸押出機にて予めペレット化することなく、市販されているペレットを使用した。)、Pes(1)10質量%、PS(1)35質量%、PS(2)55質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1に示すように、Pes(1)15質量%、PS(3)80質量%、comp(1)5質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(B)層に用い、Pes(1)35質量%、PS(1)25質量%、PS(2)40質量%にて予めペレット化した混合樹脂組成物を(C)層に用いた以外は、実施例1と同様の手法により、熱収縮性フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
また、実施例1〜10を比較したところ、例えば、実施例2と実施例3を比較した場合、(B)層を構成する樹脂組成物中に、本発明が規定する相溶化剤を添加した場合、層間剥離強度を向上させる効果を付与することができることがわかった。また、本発明が規定する相溶化剤を用いることで、透明性や高温処理でのデラミ等に悪影響を及ぼすことなく、熱収縮性フィルムとしての機能を十分に達成できることがわかった。
さらに、層間剥離強度を向上させる目的で(B)層にポリエステル系エラストマーを使用した場合(比較例2)、高温処理でのデラミ評価において剥離が見られると共に、フィルムを折り曲げた際に折り曲げ白化が生じていた。一方、実施例1〜10に関しては、このような折り曲げ白化は確認されず、更なる意匠性の向上を達成できるフィルムであることが分かる。
2 外層
4 接着層
6 内層
8 重ね合わせ部
8w 重ね幅
10 外層の端面
12 接着層の端面
14 内層の端面
16 シール部
18 ズレ
18w ズレ幅
A 一端側
B 他端側
Claims (10)
- 下記の樹脂組成物からなる(A)層と(C)層との間に(B)層を有する少なくとも3層からなる積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してからなる熱収縮性積層フィルムであって、80℃の温水中に10秒間浸漬したときの主収縮方向における熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
(A)層:主成分としてポリエステル系樹脂を含有する樹脂組成物
(B)層:ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(A)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物
(C)層:ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂とを含有し、前記ポリエステル系樹脂の含有率が(B)層に含まれるポリエステル系樹脂の含有率より少ない樹脂組成物 - 前記(B)層、前記(C)層、または前記(B)層および前記(C)層が、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の相溶化を促進する相溶化剤をさらに含有し、前記相溶化剤が、下記(a)〜(e)の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
(a)オキサゾリン基含有スチレン系共重合体
(b)スチレン−無水マレイン酸共重合体
(c)ポリエステル系エラストマー、または変性ポリエステル系エラストマー
(d)ポリスチレン系エラストマー、または変性ポリスチレン系エラストマー
(e)幹成分と枝成分が異なるグラフト共重合体であり、前記グラフト共重合体の幹成分、
または枝成分が、ポリエステル系樹脂、またはポリスチレン系樹脂からなる樹脂組成物 - 前記(C)層に含有されるポリスチレン系樹脂が、芳香族ビニル炭化水素−共役ジエン共重合体を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(A)層を構成するポリエステル系樹脂が、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に由来する成分を含み、かつ、ジオール成分としてエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する成分を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記(A)層が最外層となり、(A)/(B)/(C)/(B)/(A)の3種5層構成からなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記熱収縮性フィルムから主収縮方向150mm、主収縮方向と直交する方向15mmの大きさで試験片を採取した後、該試験片の主収縮方向の端面から前記(A)層を一部剥離し、前記(A)層の剥離部と、前記(C)層を含む被剥離部とを引張試験機のチャックで挟み、主収縮方向に対する試験速度100mm/minで180度剥離試験を行ったときの層間剥離強度が1N/15mm幅以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- JIS K7105に準拠したヘーズ値が10%以下である請求項1から6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 請求項1から7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材としてなる成形品。
- 請求項1から7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材としてなる熱収縮性ラベル。
- 請求項8に記載の成形品、又は請求項9に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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