JP2010264348A - スタティックミキサおよびその製造方法 - Google Patents

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【課題】円筒部材の内壁面と混合羽根部材の外側面とが隙間なく接合され且つ円筒部材の内表面および混合羽根の表面が滑らかなスタティックミキサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】混合羽根部材14および15は、円筒部材12の内壁面18に対向する螺旋状且つ長手状の外側面20と外側面20の長手方向に沿って設けられた凹溝22とを有し、凹溝22内に金属粒子25と共に充填されて溶融されたろう24が内壁面18と外側面20の間の隙間sに浸み込み内壁面18にろう付されているものであることから、隙間sを満たす必要以上の余剰ろうは凹溝22内の金属粒子25の間に溜め込まれるため、ろう剤( ろうペースト)の塗布量がばらついても、内壁面18と外側面20とが隙間なく接合され且つ流通させられる流動体が接触する円筒部材12の内表面および混合羽根部材14および15の表面が滑らかなスタティックミキサ10を得ることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、円筒部材の内部に複数の混合羽根部材を位置固定に備えて、その円筒部材の内部を流通させられる流動体を混合するスタティックミキサおよびその製造方法に関するものである。
円筒部材の内部に複数の混合羽根部材を位置固定に備えて、その円筒部材の内部を流通させられる流体、粉末などの流動体を混合するスタティックミキサ(静止型混合器)が知られている。たとえば、特許文献1に記載されたものがそれである。このスタティックミキサは、その使用の際には可動部を要さない。また、単に流体等を混合するだけでなく、均質化、ガス吸収、反応、希釈、混合、分散、加熱、熱交換などでも優れた効果が得られ、それらの工程がインラインで連続的に実施できるため、石油化学、繊維工業、食品工業、水処理業界、紙パルプ工業等の広い分野で利用されている。
前記円筒部材と前記混合羽根部材の固定には、その混合羽根部材の使用数が多くなるほど流路が複雑であり管の一端から他端まで見通すことができず、所要個所に接合用機材(固定用冶具)類が接近できないため溶接法が利用できず、通常は、ろう付(ろう付、ブレージング)法が使用されている。たとえば、特許文献2に記載されたものがそれであり、前記混合羽根部材の螺旋状且つ長手状の外側面全体と前記円筒部材の内壁面との接触部にペースト状金属ろうを塗布したのち、高温炉中で加熱溶融させ、混合羽根部材が円筒部材内にろう接着(ろう付)される。
この際、ろうの塗布には、理論必要量以上すなわち混合羽根部材の外側面と円筒部材の内壁面との間の隙間を満たすために必要な量以上のろうが使用される。ろう塗布量の不足は、スタティックミキサの強度不足、または前記円筒部材と前記混合羽根部材との未接合部にできる隙間によりたとえば混合されるはずの2種類以上の流体等がその隙間を通って通り抜けてしまうことから生じる混合不足などが生じたり、流体成分がその隙間内に残留したりするためである。
特開2001−353431号公報 特開昭50−132565号公報
ところが、過剰量のろうを使用すれば隙間のない接合が可能となる一方、塗布量の精度を厳密にしないと、接合個所周辺の前記円筒部材の内壁面や前記混合羽根部材の表面に余剰のろうが流れ出して固化してしまう。この溶融・固化したろうの表面は小さな凸凹を形成している粗面であるため、この部分で処理物である流体成分等が残留したりあるいは流動抵抗の増加や、乱流、偏流などの問題が発生する可能性があった。特に、スタティックミキサが食品等の衛生規格に準拠して製作される場合には処理物が直接接触する領域は通常バフ研磨加工による鏡面仕上げがなされているが、前記流れ出して固化したろうが粗面を形成するために、処理物がその粗面部分に残留し、それにより雑菌が繁殖する等の問題が考えられる。また、特に、化学薬品等を扱う場合には、前回の処理時の異物質がごくわずかに粗面部分に残留することによりそれが処理物の品質に大きく影響してしまうこともある。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する前記円筒部材の内表面および前記混合羽根の表面が滑らかなスタティックミキサおよびその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、(a) 円筒部材と板状部材の両端部が前記円筒部材の略軸心まわりに所定角度ずつ交互に逆まわりに捻られた形状を有する複数の混合羽根部材とを備え、相互に隣接する該板状部材の端縁の長手方向が相互に交差する状態で前記円筒部材の内部に位置固定に設けられたスタティックミキサであって、(b) 前記混合羽根部材は、前記円筒部材の内壁面に対向する螺旋状且つ長手状の外側面と該外側面の長手方向に沿って設けられた凹溝とを有し、(c) 該混合羽根部材は、該凹溝内に収容された金属粒子間に保持され且つ該金属粒子間から前記円筒部材の内壁面との間へ供給されたろうによって該円筒部材の内壁面にろう付されているものであることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記金属粒子は、#100メッシュパスの粒度を有するものであることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記円筒部材および混合羽根と前記金属粒子はステンレス鋼製であり、前記ろうはニッケル基合金であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記金属粒子は、前記混合羽根と前記円筒部材の内壁面との間の間隙よりも大きい径を有するものであることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1に係る発明において、前記混合羽根部材の外側面の幅方向の側縁が面取りされていることを特徴とする。
また、請求項6に係る発明は、(a) 円筒部材と、板状部材の両端部が前記円筒部材の略軸心まわりに所定角度ずつ交互に逆まわりに捻られた形状を有する複数の混合羽根部材とを備え、相互に隣接する該板状部材の端縁の長手方向が相互に交差する状態で前記円筒部材の内部に位置固定に設けられたスタティックミキサの製造方法であって、(b) 螺旋状且つ長手状の外側面と該外側面の長手方向に沿って設けられた凹溝とを有する前記混合羽根部材の該凹溝内に、粉末状のろうと該ろうよりも融点が高い金属粒子とを含むろう剤を充填するろう充填工程と、(c) 前記粉末状のろうが前記金属粒子とともに前記凹溝内に充填された前記混合羽根部材が内部に配置された前記円筒部材を加熱することにより、該金属粒子間に保持され且つ該金属粒子間から前記円筒部材の内壁面との間へ供給されたろうによって該混合羽根部材を前記円筒部材の内壁面にろう付するろう付工程とを、含むことを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、(d) 前記円筒部材および混合羽根と前記金属粒子はステンレス鋼製であり、(e) 前記ろう剤は、粉末状のニッケル基合金製のろうを100重量部に対して、見掛比重2.0〜3.5、#100メッシュパスのステンレス鋼粉末を5〜20重量部を含むものであることを特徴とする。
また、請求項8に係る発明は、請求項6または7に係る発明において、前記金属粒子は、前記混合羽根と前記円筒部材の内壁面との間の間隙よりも大きい径を有するものであることを特徴とする。
請求項1に係る発明のスタティックミキサによれば、前記混合羽根部材は、前記円筒部材の内壁面に対向する螺旋状且つ長手状の外側面とその外側面の長手方向に沿って設けられた凹溝とその凹溝内に収容されて溶融状態のろうを含浸によって蓄える金属粒子とを有し、その混合羽根部材は、その凹溝内に収容された金属粒子間に含浸により保持され且つその金属粒子間から前記円筒部材の内壁面との間へ供給されたろうによって該円筒部材の内壁面にろう付されていることから、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面の隙間を満たす必要以上の余剰ろうは前記凹溝内の金属粒子間に溜め込まれるため、ろう剤の塗布量がばらついても、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する前記円筒部材の内表面および前記混合羽根部材の表面が滑らかなスタティックミキサを得ることができる。
また、請求項2に係る発明のスタティックミキサによれば、前記金属粒子は、#100メッシュパスの粒度を有するものであることから、前記円筒部材の内壁面( 内周面)と前記混合羽根部材の外側面の隙間から漏れ出ることが殆どできなくなる利点がある。
また、請求項3に係る発明のスタティックミキサによれば、前記円筒部材および混合羽根と前記金属粒子はステンレス鋼製であり、前記ろうはニッケル基合金であることから、円筒部材および混合羽根とが相互に好適に接合される。
また、請求項4に係る発明のスタティックミキサによれば、前記金属粒子は、前記混合羽根と前記円筒部材の内壁面との間の間隙よりも大きい径を有するものであることから、前記円筒部材の内壁面( 内周面)と前記混合羽根部材の外側面の隙間から出ることが殆どできなくなる利点がある。
また、請求項5に係る発明のスタティックミキサによれば、前記混合羽根部材の外側面の幅方向の側縁が面取りされていることから、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面の隙間を満たす必要以上の余剰ろうは、前記凹溝と上記面取りにより形成された面取り面の円筒部材の内壁面との間の空間とにそれぞれ溜め込まれるため、ろう剤の塗布量がばらついても、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する前記円筒部材の内表面および前記混合羽根の表面が滑らかなスタティックミキサを得ることができる。
また、請求項6に係る発明のスタティックミキサの製造方法によれば、(b) 螺旋状且つ長手状の外側面と該外側面の長手方向に沿って設けられた凹溝とを有する前記混合羽根部材の該凹溝内に、粉末状のろうと該ろうよりも融点が高い金属粒子とを含むろう剤を充填するろう充填工程と、(c) 前記粉末状のろうが前記金属粒子とともに前記凹溝内に充填された前記混合羽根部材が内部に配置された前記円筒部材を加熱することにより、該金属粒子間に保持され且つ該金属粒子間から前記円筒部材の内壁面との間へ供給されたろうによって該混合羽根部材を前記円筒部材の内壁面にろう付するろう付工程とを、含むことから、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面の隙間を満たす必要以上の余剰ろうは前記凹溝内の金属粒子間に含浸されて溜め込まれるため、ろう剤の塗布量がばらついても、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する前記円筒部材の内表面および前記混合羽根の表面が滑らかなスタティックミキサを得ることができる。
また、請求項7に係る発明のスタティックミキサの製造方法によれば、(d) 前記円筒部材および混合羽根と前記金属粒子はステンレス鋼製であり、(e) 前記ろう剤は、粉末状のニッケル基合金製のろうを100重量部に対して、見掛比重2.0〜3.5、#100メッシュパスの粒度のステンレス鋼粉末を5〜20重量部を含むものであることから、円筒部材および混合羽根とが相互に好適に接合されるとともに、前記円筒部材の内壁面( 内周面)と前記混合羽根部材の外側面の隙間から金属粒子が出ることができなくなる利点がある。
また、請求項8に係る発明は、前記金属粒子は、前記混合羽根と前記円筒部材の内壁面との間の間隙よりも大きい径を有するものであることから、前記円筒部材の内壁面( 内周面)と前記混合羽根部材の外側面の隙間から出ることができなくなる利点がある。
ここで、前記円筒部材や前記混合羽根部材に使用される材料は、特に限定されず、たとえば腐食性のある流体用であるか、衛生面重視の食品用であるか、高温あるいは低温の流体用であるか、または加熱あるいは冷却等の熱交換用であるか等の種々の目的や用途によって任意に選択可能であり、たとえば鉄、チタン、アルミニウム、銅およびそれらを含む合金、又はガラス、セラミックスなどが用いられる。なお、通常の使用用途では、金属製が好ましく、鉄鋼である炭素鋼やステンレス鋼等、あるいは非鉄金属である銅合金、アルミニウム合金等が広く用いられる。特に、衛生面重視の食品用や化学薬品である場合には、SUS304、SUS316、SUS410、SUS440などのステンレス鋼が好適に用いられる。
また、前記混合羽根部材の凹溝の形成時期は、その材料である前記板状部材が捻られる前であるか後であるかは特に限定されないが、機械加工がより容易であるという点から、好適には、該板状部材が捻られる前に形成される。その凹溝は、たとえばフライス盤によるエンドミル加工や形削り盤による切削加工、レーザ加工、サンドブラスト加工などの加工方法が適宜選択され形成される。
また、前記凹溝の深さは、使用するろうの形態にもよるが、たとえばろうが粒状ならばその最大粒径以上が好ましく、平均粒径が#80メッシュ程度なら通常0.2mm以上、好ましくは0.5〜1.0mm以上である。一方、ろうは比重が比較的高いこと、またろうの塗布された前記混合羽根部材が挿入された水平方向の前記円筒部材内では上記ろうが凹溝内において連続して存在することから、ろうが溶融後に前記円筒部材の内壁面との間で形成される表面張力が重力に負けて必要個所にろうが浸み込むことができなくなる場合があるため、10mm以下が好ましい。
また、前記凹溝の幅は、ろうを効率よく内部に充填するには、0.3mm以上、好適には1.0mm以上であるが、前記混合羽根部材の厚みを超えることはない。
たとえば前記混合羽根部材の厚みtが3.0mm程度ならば、その厚み方向中央部に幅1.0〜1.5mm程度すなわち1/3t〜1/2t程度、深さ1.0〜2.0mm程度であって、前記混合羽根部材の長手状の外側面に垂直な断面が半円や、三角形、矩形などの多角形となる凹溝が形成される。なお、好適には、前記凹溝の断面は、三角形あるいは多角形にて形成される。鋭角部を形成することにより強力な毛管現象が働き溶融したろうを多量に溜めておくことができるためである。
また、前記凹溝は、好適には、前記混合羽根部材の外側面の長手方向に連続してすなわち途切れ目なく形成されるが、所定長さたとえば15mmの複数の凹溝が所定間隔たとえば5mmを隔てて前記外側面の長手方向に連なって形成されてもよい。また、前記凹溝の両端は、前記混合羽根部材の外側面の長手方向の端縁から2mm以上、好適には5mm以上内側に設けられる。
また、前記面取りによる前記外側面の幅方向の側縁の面取り面の形成時期は、その材料である前記板状部材が捻られる前であるか後であるかは特に限定されない。その面取り面は、たとえばフライス盤や研削盤やグラインダー等の工作機械や工作具が適宜選択され形成される。また、上記面取り面の形状は、前記外側面に垂直な断面において直線あるいはその断面内に曲率半径を有する円弧を含む形状に形成されるが、より好適には、上記円弧を含む形状に形成される。また、その面取り面の大きさは、使用するスタティックミキサの口径すなわち前記円筒部材の長手方向に垂直な方向での前記混合羽根部材の最大径により適宜設定される。上記面取り面の形状が直線から成る形状であれば、前記混合羽根部材の外側面に垂直な断面においてその外側面の幅方向寸法および垂直方向寸法が通常は0.1〜3.0mmであり、好適には、0.3〜1.0mmである。上記面取りの形状が円弧を含む形状であれば、上記曲率半径が通常は0.1〜3.0mmであり、好適には、0.3〜1.0mmである。上記数値がそれぞれ0.1mm未満および3.0mmを超えると溶融したろうを溜める効果が乏しくなるため好ましくない。なお、上記面取り面は、必ずしも設けられなくてもよく、それでも一応の効果は得られる。
また、好適には、前記板状部材は、所定厚さの長方形または正方形の金属板が用いられる。上記所定厚さ(板厚)は、機械加工の作業性や、スタティックミキサの混合器としての性能、特に円筒断面積比率、エレメント強度、などにより最適値が適宜選択されるが、上記板状部材の厚み面には凹溝を形成する必要があるので、0.1mm以上、好適には1mm以上、一層好適には3mm以上に設定される。
また、前記混合羽根部材は、前記板状部材の両端部が前記円筒部材の略軸心まわりに所定角度ずつ交互に逆まわりに捻られて成るが、その所定角度は、前記捻られる軸である前記円筒部材の略軸心方向視にて、45°以上、好適には略90°、一層好適には略180°である。また、上記所定角度ずつ交互に逆まわりに捻られて成る前記混合羽根部材すなわち右捻り混合羽根部材および左捻り混合羽根部材は、それぞれ同じ角度ずつ逆まわりに捻られて成る。混合羽根部材の製造の詳細は、本発明と同一出願人に係る特許文献、特開平7−171366号に開示がなされている。
また、好適には、前記円筒部材は、前記混合羽根部材と同じ材質から成るが、これに限らず目的に合わせてそれと異なる材質の材料が用いられ得る。
また、前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面との隙間ができるだけ狭くかつ所望の間隔(ギャップ)が維持されるために、前記円筒部材の内壁面および前記混合羽根部材の外側面は、径寸法の精度が高く且つ円筒部材の軸心方向において一様である、すなわち加工精度が高いことが好ましい。前記円筒部材の内壁面と前記混合羽根部材の外側面との隙間は、片側で0.03mm〜2.0mm程度、好適には0.05mm〜1.0mm、一層好適には0.05mm〜0.1mmである。上記隙間が0.03mm未満の場合には、使用するろうによっては表面張力に基づく浸入力が不足して未含浸部分が残る、あるいは前記混合羽根部材を前記円筒部材に挿入する際に前記内壁面と前記外側面が干渉して挿入不可能となる等の可能性がある。一方、2.0mmを超える場合には、流動性が高いろうが表面張力によって上記隙間内に保持されずにその隙間外に流出する等の接合不良が発生する可能性がある。
また、好適には、処理物である流体等と直接接触する部分である前記円筒部材の内壁面および混合羽根部材の表面は、バフ研磨加工等が為され滑らかにされる。
また、使用されるろうの種類には、限定がなく、前記円筒部材および前記混合羽根部材の材質が決まればほぼ一意的に定まる。たとえば、上記材質がSUS304、SUS316などのステンレス鋼の場合には、たとえば接合強度が高く耐食性に優れたJIS Z3261−1964で規定される銀ろう(BAg系)やJIS Z3265−1986で規定されるニッケルろう(BNi系)が好適に用いられる。ニッケル系ろうには、高強度で耐食性が高いが溶融時での流動特性のやや劣るBNi−1から流動性の優れた低融点のBNi−6まで規格があり、さらには、メーカー各社からその改良品種が市販され利用可能である。また、ろう付の接合箇所には、所定量のろうが一般に箔、棒、リング、シート、粉末などの形態で供給されるが、本発明の凹溝や外側面に塗布する手法では、好適には、加熱後に炭素などの固形物の残留のない有機高分子系結合剤と細粒状のろうと金属粒子と有機溶剤とを混合したペースト状のものである所謂ろうペースト(ろう剤)が用いられる。
また、環境に配慮し、ろうの加熱溶融処理すなわちろう付作業には、後工程の洗浄が不要な真空ろう付法が好適に利用される。
また、前記金属粒子は、SUS304、SUS316等のオーステナイト系、SUS430、SUS420等のフェライト系、SUS410等のマルテンサイト系のステンレス鋼が好適に用いられ、好ましくは前記円筒部材および前記混合羽根部材と同じ材質が用いられる。この金属粒子は、用いられるろうの溶融温度或いはろう付工程における作業温度において溶融せず合金化しない材質が選択され、好適にはろうの溶融温度よりも50度以上高い融点と、冷却後に初期の形態を保持する安定性とを有し、ろうの溶融時の分離を抑制するためにろうとの間の比重差が2以内であるとよい。したがって、その条件を満たすものであれば、他の金属粒子、たとえばCr、Mo、W、Co粉またはそれらの合金から成る金属粒子であってもよい。
また、上記金属粒子は、粉体状のろうとおよび有機結合剤とともに混練されて所定の粘度のペースト状のろう剤が作成される。必要に応じて、粘度調整のために有機溶媒が用いられる。上記金属粒子は、その見掛比重すなわち嵩比重( JIS Z2504)が2.0〜3.5であるものが用いられる。この見掛比重が2.0未満では嵩が著しく大きく金属粒子間の空間が大き過ぎて溶融したろうを有効に保持できない。反対に見掛比重が3.5を越えると金属粒子間の空間が少なくなって溶融したろうを有効に保持できる量が少なくなるとともに、含まれる有機結合剤の分解時のガス放出が抑制される。さらに好ましくは上記金属粒子の見掛比重は2.4〜2.8の範囲であるとよい。ガスの放出が困難な場合には、ろう付のための加熱に際して粉体状のろうが飛散し、円筒部材の内壁面に凹凸が形成される。
また、上記金属粒子は、たとえばその粒径が250〜5μm、好適には150〜10μmであるものが用いられる。この粒径が250μmを越えると所望の空間を取ることができず、ペースト状のろう剤の塗布性や流動性が低下し、作業性が得られ難くなる。5μm未満ではやはり空間がとれず、多量の添加が必要となる。好ましくは、粒度が#100メッシュ( JISZ8801−1982)パス、或いは150〜45μmであるものが用いられる。この金属粒子の形状は、球形粒子であってもよいが、好ましくは、不定形粒子たとえば針状、扁平状、たとえば水アトマイズ法または粉砕法により粒子化されたものが用いられる。
本発明の一実施例である一部を切り欠いたスタティックミキサの正面図である。 図1の右捻り混合羽根部材を示す正面図である。 図2の右捻り混合羽根部材の外側面に垂直方向の断面を示すIII-III 視断面図である。 図3のIV矢視部にあたる、右捻り混合羽根部材の外側面に垂直な方向の断面図である。 図1のスタティックミキサの長手方向に垂直な断面を示すV-V 視断面図である。 図5のVI矢視部にあたる、スタティックミキサの長手方向に垂直な断面図である。 図1のスタティックミキサの製造方法を説明する工程図である。 図7のスタティックミキサの製造工程のうち、混合羽根部材の製造工程を説明する図である。 混合羽根部材の凹溝内にろうペーストを充填した状態を示す断面図であって図6に対応する図である。 本発明の他の実施例のスタティックミキサを示す断面図であり、図4に対応する図である。 スタティックミキサの混合羽根部材のろう付において、9種類の割合のろうペーストを用いた場合のはみ出し量を評価する試験条件および評価結果を示す図表である。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一実施例である一部を切り欠いたスタティックミキサ10の正面図である。図1において、スタティックミキサ10は、円筒部材12と、その内部に隣接して配設された複数の右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15から成る混合羽根部材群16とを備えている。円筒部材12は、たとえばSUS304、SUS316、SUS410、SUS440などのステンレス鋼から成る。大きさは用途に応じて適宜決定されるが、たとえば、長手方向の長さL1が450mm、軸心A方向に直角な方向の外径D1が45.0mm、内径d1が39.0mm、肉厚t1が3mmの円筒状を成すものである。上記内径d1は、たとえば研磨加工等により加工精度が高くいわゆる幾何公差における円筒度が高い状態で得られている。よって、円筒部材12は、軸心A方向に略一様な形状であって、さらにはバフ研磨加工が為されたたとえば表面粗さRa0.4〜0.8程度の滑らかな内壁面18を有する。
右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15は、たとえばSUS304、SUS316、SUS410、SUS440等であるステンレス鋼の板状部材Pの両端部が円筒部材12の軸心A(と略一致する軸心B)まわりに略180°捻られた形状を有するものである。右捻り混合羽根部材14は、図2に示されている上記捻られる方向が右回りのものであり、左捻り混合羽根部材15は、上記捻られる方向が左回りのものである。大きさは用途に応じて円筒部材12とともに適宜決定されるが、たとえば、上述の円筒部材12の大きさに対して、軸心A方向の長さL2が55mm程度、軸心Aの直角方向の最大径すなわち外径D2が38.8mm程度、肉厚t2が4mm程度である。上記外径D2は、たとえば研磨加工等により加工精度が高い状態で得られており、右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15と円筒部材12の内壁面18との隙間sは、片側で略0.1mmである。
また、右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15は、円筒部材12の内壁面18に対向し軸心A方向に略平行な円柱面の一部から成る螺旋状且つ長手状の外側面20と、その外側面20の長手方向に沿って設けられた凹溝22とを有する。図3は、図2のIII −III 視断面図であり、図4は、図3のIV矢視部にあたる図である。ここで右捻り混合羽根部材14と左捻り混合羽根部材15とは、捻り方向は異なるが断面の形状は同様であるため、図3および図4は、右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15をそれぞれ示している。凹溝22は、その両端が外側面20の長手方向の端縁からたとえば7mm内側に位置し、図3および図4に示すように、外側面20の幅方向中央部に外側面20に垂直な断面において溝幅bが1.5mm程度、溝深さhが1.5mm程度の正方形から成る形状が外側面20の長手方向に連続させられて形成されている。また、外側面20の幅方向の側縁には、その外側面20に垂直な断面内に有する曲率半径rが0.5mmの断面形状から成る曲面となるように面取された面取り面23が形成されている。また、右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15は、外側面20を除く面であってバフ研磨加工が為されたたとえば表面粗さRa0.4〜0.8程度の滑らかな表面を有する。
混合羽根部材群16は、複数の右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15が軸心A方向に互いの前記捻られる軸心である軸心Bが相互に略一致するように交互に、且つ、相互に隣接する右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の端縁がその長手方向が相互に略90°で交差する状態で溶接、嵌合等により相対回転不能にされたものである。
図5は図1のV −V 視断面図であり、図6は図5のVI矢視部にあたる図である。混合羽根部材群16は、図5や図6に示すように、凹溝22内に収容されて溶融されたろう24がその表面張力に基づいて外側面20と円筒部材12の内壁面18との間の隙間s内に浸み込むことによりその円筒部材12の内壁面18にろう付されている。ろう24は、接合強度が高く耐熱および耐食性に優れたJIS Z3265−1986で規定されるニッケルろう(BNi−2)である。加熱後に炭素などの固形物の残留のない有機高分子系結合剤たとえばアクリル樹脂と、たとえば#100メッシュ程度の細粒状のニッケルろう24と、たとえば150〜5μmの平均粒径、好適には#100メッシュ或いは150〜45μm程度の平均粒径の細粒状の金属粒子25と、有機溶剤たとえばトルエンとが混練され且つ所定の粘度に調整されたペースト状のろうペースト( ろう剤)が上記凹溝22内に塗布或いは充填された後で複数の右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15が円筒部材12内に装入され、加熱されることにより、有機成分が分解或いは気化し、ろう24が溶融して固化して金属粒子25間に保持されるとともに、一部が表面張力或いは毛管現象によって上記右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20の隙間sに引き込まれることにより、その隙間s内がろう24によって必要かつ十分に満たされたものである。上記金属粒子25は、それらの間に溶融したろう24を含浸させて蓄えることにより、溶融したろう24を隙間s内を満たす量は供給するが、余剰のろう24を吸引することで、隙間s内へ必要且つ十分に供給する機能を備えている。
以上のように構成された本実施例のスタティックミキサ10によれば、右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15(混合羽根部材)は、円筒部材12の内壁面18に対向する螺旋状且つ長手状の外側面20と、その外側面20の長手方向に沿って設けられた凹溝22と、その凹溝22内に収容されて溶融したろう24を含浸により蓄える金属粒子25とを有し、その凹溝22内の金属粒子25に含浸により蓄えられた溶融状態のろう24が毛管現象により円筒部材12の内壁面18との間の隙間内にその表面張力に基づいて浸み込むことによりその内壁面18にろう付されているものである。このため、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20の隙間sを満たす必要以上の余剰ろうは凹溝22の金属粒子25に溜め込まれるため、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する円筒部材12の内表面および右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の表面が滑らかなスタティックミキサ10を得ることができる。
また、本実施例のスタティックミキサ10によれば、金属粒子25は、#100メッシュパスの粒度を有するものであることから、円筒部材12の内壁面( 内周面)18と混合羽根部材14の外側面との間の隙間sから出ることができなくなる利点がある。
また、本実施例のスタティックミキサ10によれば、円筒部材12および混合羽根部材14、15と金属粒子25とはステンレス鋼製であり、前記ろうはニッケル基合金であることから、円筒部材12および混合羽根部材14、15とが相互に好適に接合される。
また、本実施例のスタティックミキサ10によれば、金属粒子25は、混合羽根部材14、15と円筒部材12の内壁面18との間の間隙sよりも大きい径を有するものであることから、その円筒部材12の内壁面( 内周面)18と混合羽根部材14、15の外側面の隙間sから出ることができない利点がある。
また、本実施例のスタティックミキサ10によれば、右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20の幅方向の側縁が面取りされた面取り面23を有することから、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20の隙間sを満たす必要以上の余剰ろうは、凹溝22と面取りにより形成された面取り面23の円筒部材12の内壁面18との間の空間とに溶融時の表面張力に基づいてそれぞれ溜め込まれる。このため、ろう剤( ろうペースト)の塗布量がばらついても、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する円筒部材12の内表面および右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の表面が滑らかなスタティックミキサ10を得ることができる。
図7は、上記スタティックミキサ10の製造方法を説明するための工程図である。以下、この図7の工程図を参照して製造方法を説明する。
まず、図7の混合羽根製造工程P1においては、たとえば図8(a)に示すような、#400研磨剤によりバフ研磨加工が施されたたとえば表面粗さRa0.4〜0.8程度の滑らかな表面を有するたとえば長さL3が90mm、幅が40mm、厚みt2が4mmのSUS304ステンレス鋼である板状部材Pに、たとえば図8(b)に示すような、その長手方向に平行な一対の厚み面26の幅方向および長手方向中央部にフライス盤で径1.5mmの超硬エンドミルでたとえば幅1.5mm、深さ1.5mm、長さ60mmの凹溝22を形成する。続いて、たとえば図8(c)に示すように、図示しない捻り加工機を用いて凹溝22が形成された板状部材Pの長手方向両端を把持して、その片端を板状部材Pの略重心を通る軸心Bの右まわりに略180°捻り、図示しない切断機で軸心B方向の長さを55mmに切断してたとえば図8(d)に示されるような、右捻り混合羽根素材30を製作する。また、右捻り混合羽根素材30に対して上記捻り方向が左まわりであとの構成は同様の左捻り混合羽根素材32も製作する。
続いて、たとえば図8(e)に示すように、複数(本実施例では4つ)の右捻り混合羽根素材30および複数(本実施例では4つ)の左捻り混合羽根素材32をそれぞれの軸心Bが一直線上になるように交互に、且つ、相互に隣接する右捻り混合羽根素材30および左捻り混合羽根素材32の端面34がその長手方向が相互に略90°で交差する状態になるように溶接等により接合した混合羽根群素材36を製作する。続いて、たとえば図8(f)に示すように、上記混合羽根群素材36を砥石38、39が装着されたセンタレスグラインダ40で外径D2を38.8mmに研削し、螺旋状且つ長手状の外側面20と、その外側面20の長手方向に沿って設けられた凹溝22とを有する複数の右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15が交互に連なった混合羽根部材群16を製作する。続いて、外側面20の幅方向の側縁に、その外側面20に垂直な断面内に有する曲率半径rが1mmの曲面から成る面取り面23を形成しバフ研磨加工を施す。
次いで、図7の円筒部材製造工程P2においては、たとえば、長手方向の長さL1が450mm、軸心A方向に直角な方向の外径D1が45.0mm、内径d1が39.0mm、肉厚t1が3.0mmの円筒状のSUS304、SUS316、SUS410、SUS440等のステンレス鋼(鋼管)であって、#400研磨剤によりバフ研磨加工が施されたたとえば表面粗さRa0.4〜0.8程度の滑らかな内壁面18を有する円筒部材12を製作する。
次いで、ろう調整工程P3においては、#100メッシュパスの粉末状のニッケル基合金製のろう( グレード:BNi―2、商品名:ニクロブレーズ、#LM、ウォールコルモノイ社製)が100重量部と、見掛比重2.0〜3.5、平均粒径150〜5μmのたとえばSUS304、SUS316、SUS410、SUS440等のステンレス鋼粉末が5〜20重量部と、たとえば固形物換算で3wt%のアクリル系樹脂( 有機結合剤)と、有機溶媒と、を混練してペースト状にしたものを、その有機溶媒の割合を調節してろう充填作業に適した所定の粘度に調整する。
次いで、ろう充填工程P4においては、混合羽根部材群16を有機溶剤たとえばトルエン等で洗浄し乾燥した後、凹溝22内に上記調整されたろうペーストをディスペンサ等を用いて塗布或いは充填する。なお、上記塗布する量は、理論必要量以上すなわち円筒部材12とそれぞれの右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20との隙間sを満たすために必要な量以上のろう24を含むペースト量を使用する。
次いで、ろう乾燥工程P5においては、上記凹溝22に塗布されたろうペーストを乾燥炉等で乾燥し、凹溝22より外方にある過剰なろうペーストをナイフ等で除去する。図9はこの状態を示している。なお、この時に凹溝22内に残っているろう24の量は、上記理論必要量以上である必要があり、好適には、凹溝22の寸法の設計は、凹溝22の容積が上記理論必要量の容積よりもやや大きくなるように設定されるので、凹溝22内に面一となるようにろうペーストを充填すればよい。
次いで、ろう付工程P6においては、有機溶剤たとえばトルエン等で洗浄し乾燥され、上記ろうペーストが塗布された混合羽根部材群16(混合羽根部材)が内部に配置された円筒部材12を、たとえば0.001Pa、1050℃に設定された真空炉中で30分間加熱してろう付を施すことによってスタティックミキサ10が得られる。図6はこの状態を示している。溶融状態のろう24は金属粒子25の間に貯留され、表面張力或いは毛管現象によって金属粒子25の間から引き出されたろう24が右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20との隙間sを必要かつ十分に満たしている。
上述のような、螺旋状且つ長手状の外側面20と、その外側面20の長手方向に沿って設けられた凹溝22とを有する右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15を製造する混合羽根製造工程P1と、凹溝22内にろう24を含んだろうペーストを充填するろう充填工程P4と、凹溝22内に塗布されたろうペーストを乾燥するろう乾燥工程P5と、ろうペースト(ろう24)が充填された右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15が内部に配置された円筒部材12を加熱してろう付を施すろう付工程P6とを、含む本実施例のスタティックミキサ10の製造方法によれば、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20の隙間sを満たす必要以上の余剰ろうは凹溝22内の金属粒子25間に溜め込まれるため、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の外側面20とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する円筒部材12の内表面および右捻り混合羽根部材14および左捻り混合羽根部材15の表面が滑らかなスタティックミキサ10を得ることができる。
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前述の実施例と重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10は、本発明の他の実施例の混合羽根部材44、46の構成例を説明するための前記図4に対応する図である。本実施例の右捻り混合羽根部材44および左捻り混合羽根部材46は、外側面20の長手方向に沿って設けられた凹溝48を有する。その凹溝48は、図10に示すように、外側面20の幅方向中央部に外側面20に垂直な断面において溝幅bが1.5mm、溝深さhが略1.8mmの三角形から成る形状が外側面20の長手方向に連続させられて形成されている。また、外側面20の幅方向の側縁がその外側面20に垂直な断面において直線から成るよう面取されて成る面取り面50を有する。上記面取り面50は、外側面20の幅方向の寸法a1が略0.5mmであり、外側面20の垂直方向の寸法a2が略0.5mmである。
以上のように構成された本実施例の混合羽根部材44、46によれば、右捻り混合羽根部材44および左捻り混合羽根部材46(混合羽根部材)の外側面20の幅方向の側縁が面取りされた面取り面50を有することから、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材44および左捻り混合羽根部材46(混合羽根部材)の外側面20の隙間sを満たす必要以上の余剰ろうは、凹溝48内の金属粒子25間と面取りにより形成された面取り面50の円筒部材12の内壁面18との間の空間とに溶融時の表面張力に基づいてそれぞれ溜め込まれる。このため、ろう剤( ろうペースト)の塗布量がばらついても、円筒部材12の内壁面18と右捻り混合羽根部材44および左捻り混合羽根部材46の外側面20とが隙間なく接合され、且つ、内部の表面すなわち流通させられる流体が接触する円筒部材12の内表面および右捻り混合羽根部材44および左捻り混合羽根部材46の表面が滑らかなスタティックミキサ10を得ることができる。また、特に、本実施例の凹溝48は、鋭角部を有する三角形の断面を有するため溶融したろう24の表面張力に基づくより強力な毛管現象が働き溶融したろう24を多量に溜めておくことができるという利点がある。
以下において、前述の実施例のろうペースト中の金属粒子25の作用を評価した評価試験を説明する。先ず、図11に示すテストピースNo.1〜No.9を用意した。これらのテストピースNo.1〜No.9は、前述の円筒部材12と同様の外径45mmφ×内径39mmφ×厚み3mmtのステンレス鋼管の内壁面と前述の右捻り混合羽根部材14或いは左捻り混合羽根部材15と同様の外径38.8mmφ×厚み4mmtのステンレス混合羽根部材( エレメント) とを、図11に示す9種類の混合割合( 重量部) のろうペーストでろう付したときのろうの広がりを外観検査にて評価する試験を行った。上記混合羽根部材のろうペーストが塗布された凹溝の深さは1.5mmである。上記混合羽根部材の凹溝内に充填されたろうは粒度#100メッシュのJIS規格のBNi−2(LM)であり、金属粒子DAP304Lは#100メッシュパスの相対的に荒いステンレス鋼粒子であり、金属粒子DAP304MINIは、30μm以下の粒径範囲である相対的に細かなステンレス鋼粒子であり、バインダーはエポキシ樹脂である。次いで、上記の各テストピースNo.1〜No.9を、0.001Pa、1050℃に設定された真空炉中で30分間加熱した。本試験では、上記ステンレス鋼管内にろう付された混合羽根部材( エレメント) の凹溝内からのろうの加熱後における広がり具合を評価した。
図11の外観評価に示されるように、テストピースNo.1に示すように、金属粒子DAP304Lおよび金属粒子DAP304MINIのいずれも含まれていない場合には、評価結果はろうの流出が見られたことを示す※1という評価であった。5重量部および20重量部の金属粒子DAP304Lが含まれるテストピースNo.2およびテストピースNo.3と、5重量部および20重量部の金属粒子DAP304MINIが含まれるテストピースNo.6およびテストピースNo.7とは、ろうの流出がなく、且つステンレス鋼管の内壁面と混合羽根部材( エレメント) との間の隙間が十分に満たされた良好な状態であるという評価であった。30重量部および40重量部の金属粒子DAP304Lが含まれるテストピースNo.4およびテストピースNo.5と、30重量部および40重量部の金属粒子DAP304MINIが含まれるテストピースNo.8およびテストピースNo.9とは、ステンレス鋼管の内壁面と混合羽根部材( エレメント) との間の隙間がろうによって十分に満たされていないということを示す※2という評価であった。すなわち、金属粒子DAP304Lおよび金属粒子DAP304MINIのいずれにおいても、粉末状のニッケル基合金製のろうを100重量部に対して、見掛比重2.0〜3.5、#100メッシュパスのステンレス鋼粉末を5〜20重量部を含むろう剤を用いると、良好な結果が得られる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施でき、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:スタティックミキサ
12:円筒部材
14、44:右捻り混合羽根部材(混合羽根部材)
15、46:左捻り混合羽根部材(混合羽根部材)
16:混合羽根部材群
18:内壁面
20:外側面
22、48:凹溝
23、50:面取り面
24:ろう
25:金属粒子
P4:ろう充填工程
P6:ろう付工程

Claims (8)

  1. 円筒部材と、板状部材の両端部が前記円筒部材の略軸心まわりに所定角度ずつ交互に逆まわりに捻られた形状を有する複数の混合羽根部材とを備え、相互に隣接する該板状部材の端縁の長手方向が相互に交差する状態で前記円筒部材の内部に位置固定に設けられたスタティックミキサであって、
    前記混合羽根部材は、前記円筒部材の内壁面に対向する螺旋状且つ長手状の外側面と該外側面の長手方向に沿って設けられた凹溝とを有し、
    該混合羽根部材は、該凹溝内に収容された金属粒子間に保持され且つ該金属粒子間から前記円筒部材の内壁面との間へ供給されたろうによって該円筒部材の内壁面にろう付されているものであることを特徴とするスタティックミキサ。
  2. 前記金属粒子は、#100メッシュパスの粒度を有するものである請求項1のスタティックミキサ。
  3. 前記円筒部材および混合羽根と前記金属粒子はステンレス鋼製であり、前記ろうはニッケル基合金である請求項1または2のスタティックミキサ。
  4. 前記金属粒子は、前記混合羽根と前記円筒部材の内壁面との間の間隙よりも大きい径を有するものである請求項1のスタティックミキサ。
  5. 前記混合羽根部材の外側面の幅方向の側縁が面取りされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1のスタティックミキサ。
  6. 円筒部材と、板状部材の両端部が前記円筒部材の略軸心まわりに所定角度ずつ交互に逆まわりに捻られた形状を有する複数の混合羽根部材とを備え、相互に隣接する該板状部材の端縁の長手方向が相互に交差する状態で前記円筒部材の内部に位置固定に設けられたスタティックミキサの製造方法であって、
    螺旋状且つ長手状の外側面と該外側面の長手方向に沿って設けられた凹溝とを有する前記混合羽根部材の該凹溝内に、粉末状のろうと該ろうよりも融点が高い金属粒子とを含むろう剤を充填するろう充填工程と、
    前記粉末状のろうが前記金属粒子とともに前記凹溝内に充填された前記混合羽根部材が内部に配置された前記円筒部材を加熱することにより、該金属粒子間に保持され且つ該金属粒子間から前記円筒部材の内壁面との間へ供給されたろうによって該混合羽根部材を前記円筒部材の内壁面にろう付するろう付工程と
    を、含むことを特徴とするスタティックミキサの製造方法。
  7. 前記円筒部材および混合羽根と前記金属粒子はステンレス鋼製であり、
    前記ろう剤は、粉末状のニッケル基合金製のろうを100重量部に対して、見掛比重2.0〜3.5、#100メッシュパスのステンレス鋼粉末を5〜20重量部を含むものである請求項6のスタティックミキサの製造方法。
  8. 前記金属粒子は、前記混合羽根と前記円筒部材の内壁面との間の間隙よりも大きい径を有するものである請求項6または7のスタティックミキサの製造方法。
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