JP2010262947A - 選択的膜製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板表面におけるSi等の材料から成る対象表面部のみに選択的に薄膜を形成するうえで、CVD法を用いることなく、簡便に基板上に選択的に膜を形成する選択的膜製造方法を提供する。
【解決手段】圧力10〜202kPa(76〜1520Torr)の水素及び希ガスの混合ガスを主体とする反応ガスが充填された反応室内に、比較的高温に保持した基板、及び、比較的低温に保持した、水素化物が揮発性であるターゲットを平行に配置し、基板とターゲットの間に放電を生起させることで、対象表面部上と、他の表面上との間での膜堆積速度の違いを利用して対象表面部上に選択的にターゲットの薄膜を形成する。希ガスとしてはHeやNeを好適に用いることができる。
【選択図】図4
【解決手段】圧力10〜202kPa(76〜1520Torr)の水素及び希ガスの混合ガスを主体とする反応ガスが充填された反応室内に、比較的高温に保持した基板、及び、比較的低温に保持した、水素化物が揮発性であるターゲットを平行に配置し、基板とターゲットの間に放電を生起させることで、対象表面部上と、他の表面上との間での膜堆積速度の違いを利用して対象表面部上に選択的にターゲットの薄膜を形成する。希ガスとしてはHeやNeを好適に用いることができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、基板の表面を形成する材料の種類に応じて、基板表面の特定の箇所に選択的に薄膜を製造する方法に関する。
昨今、機能薄膜を高速、均質、低コストに作製することへの要求が高まっている。これとともに、基板表面における特定の箇所にのみ選択的に膜を形成させる選択成長技術の向上に対する要求も高まっている。代表的な選択成長はSi(シリコン)に関するものであり、例えば熱酸化等によりSi表面を不活性な物質で覆った後、その一部の酸化膜をエッチング等によって除去することにより、ベアシリコンの露出部分にSi膜を選択的に成長させる。
特に、MOSFETのドレイン・ソース部におけるレイズド・ソース・ドレイン構造や、太陽電池におけるBSF層の形成には選択成長技術が不可欠であるため、選択成長技術が発展することによって、例えばLSIや太陽電池といった製品の高性能化および低価格化の実現が期待される。
特に、MOSFETのドレイン・ソース部におけるレイズド・ソース・ドレイン構造や、太陽電池におけるBSF層の形成には選択成長技術が不可欠であるため、選択成長技術が発展することによって、例えばLSIや太陽電池といった製品の高性能化および低価格化の実現が期待される。
従来、Siの選択成長では、シラン、フッ化シランやトリクロロシラン等の原料ガスを適当な比率にて塩素等のエッチングガスに混入したうえ、適切な基板温度を維持することで、いわばCVD技術の延長として実施されてきた(例えば特許文献1参照)。とりわけ、プラズマにより生成された原子状水素やフッ素がシリコンに対してエッチング作用を示すことから、プラズマCVDにおいて選択成長を実施する際には、水素ガスや4フッ化シラン等のガスが併用されている。
先に述べたように、従来の選択成長は原料ガスを用いたCVD法を主体としたものである。しかし、これには次のような問題点が存在している。
第1に、CVD法に用いられるSiH4、SiF4等のSi原料ガスは、高価格である上に可燃性であり、かつ毒性を有しているため、複雑なガス処理設備を用いる必要がある。これにより、設備費用及びランニングコストの負担が大きい。加えて、CVD法での原料ガスの使用効率は高々20%程度であり、高価なガスの多くを廃棄しているのが現状である。さらには、不完全反応ガスの凝縮によりパーティクルが発生するため、真空ポンプ等の焼き付き保護のための微粒子除去設備が必要となる。これらの設備も、装置全体のコストを押し上げる要因となっている。
第1に、CVD法に用いられるSiH4、SiF4等のSi原料ガスは、高価格である上に可燃性であり、かつ毒性を有しているため、複雑なガス処理設備を用いる必要がある。これにより、設備費用及びランニングコストの負担が大きい。加えて、CVD法での原料ガスの使用効率は高々20%程度であり、高価なガスの多くを廃棄しているのが現状である。さらには、不完全反応ガスの凝縮によりパーティクルが発生するため、真空ポンプ等の焼き付き保護のための微粒子除去設備が必要となる。これらの設備も、装置全体のコストを押し上げる要因となっている。
第2に、熱CVD法は通常、反応温度が高い。例えばシランを用いてULSI用の基板上に選択成長を実施する際には、現状として700〜800℃の反応温度が必要となっている。このような高温で薄膜を作製すると、選択エピタキシャル成長以前に作製されたデバイス構造に大きな影響を与えてしまう。そのため望むらくは500℃以下での作製が好ましい。現状で500℃での選択成長が試みられた例が存在するが、これには反応律速過程のため成長速度が非常に遅いという問題点がある。
本願発明者らは、上述したような選択成長に関する問題を解決するために鋭意研究を進めた結果、既に国際出願(特許文献2)を行ってその中で詳細な技術内容を開示している、大気圧水素プラズマを用いた膜製造方法を応用することが極めて有効であることに想到した。
以上の経緯で成された本発明に係る選択的膜製造方法は、
基板において、表面が所定の材料から成る対象表面部のみに選択的に薄膜を形成する選択的膜製造方法であって、圧力10〜202kPa(76〜1520Torr)の、水素及び希ガスの混合ガスを主体とする反応ガスが充填された反応室内に、比較的高温に保持した基板、及び、比較的低温に保持した、水素化物が揮発性であるターゲットを平行に配置し、基板とターゲットの間に放電を生起させることで、該基板の対象表面部上に選択的にターゲットの薄膜を形成することを特徴としている。
基板において、表面が所定の材料から成る対象表面部のみに選択的に薄膜を形成する選択的膜製造方法であって、圧力10〜202kPa(76〜1520Torr)の、水素及び希ガスの混合ガスを主体とする反応ガスが充填された反応室内に、比較的高温に保持した基板、及び、比較的低温に保持した、水素化物が揮発性であるターゲットを平行に配置し、基板とターゲットの間に放電を生起させることで、該基板の対象表面部上に選択的にターゲットの薄膜を形成することを特徴としている。
前記希ガスは、好適にはHeとするのが良い。また、NeやArを用いても良い。
そして、水素と希ガスの混合比(分圧比)は50:50〜1:99程度とするのが良い。下限値である50:50は、混合させた希ガスの効果が顕著となり始める混合比である(図2(a)参照)。雰囲気中に水素分子と希ガスの粒子数比が等しくなることから、これら異なる種類の粒子が相互に衝突しあう確率が大きくなり、希ガスの導入効果が顕著になると考えられる。一方、上限値が1:99であるのは、そもそも原子状水素の元となる水素分子が少なければ原料シリコンのエッチングレートが極端に低下してしまい、実用的な成膜レートを得ることが出来ないからである。
本発明に係る選択的膜製造方法において、基板には表面が所定の材料から成る表面対象部が設けられているものとし、その表面対象部上にのみ選択的に膜を形成するものとする。この表面対象部の材料として、Si、Ge、SiGeなどが考えられる。また、ターゲットの材料は、表面対象部の材料と少なくとも主成分が同一のものを用いるのが好適であり、通常はSiやGe等が用いられるが、その他に、SiC、C、Sn、Ga、B、P、Sb、As等、水素化が可能で、かつ水素化合物が揮発性である全ての物質に適用が可能である。
また、ターゲットにドーピング元素を予め含ませておくことにより、ドーピングされた膜を対象表面部上に成膜するようにしてもよい。
また、ターゲットにドーピング元素を予め含ませておくことにより、ドーピングされた膜を対象表面部上に成膜するようにしてもよい。
更に、本発明の選択的膜製造法においては、基板における対象表面部以外の表面が、酸化物、窒化物、炭化物等からなるガラス状物質、もしくは、対象表面部の材料を含有しない金属であることが望ましい。
本発明の基礎となる原理を説明する。これは本願発明者らが既に上記国際出願にて開示している内容である。水素化物が揮発性である物質から成るターゲットを基板に対向して配置し、両者に温度差を設けておいて両者の間に大気圧程度の水素プラズマを生成すると、両板材の表面において(1)水素プラズマにより生起された原子状水素との化学反応によるターゲット物質Mの水素化物MHx(x=1, 2...)の生成、揮発によるエッチング、及び、(2)エッチングにより生成された該水素化物がプラズマ中で再分解されることによるターゲット物質Mの堆積の両工程が同時に生じる。しかし、その速度は、低温側のターゲットの表面では(1)のエッチングの方が大きく、(2)の堆積の方が小さい。一方、高温側の基板の表面では(2)の堆積の速度が大きく、(1)のエッチングの速度は小さい。従って、両者の温度差を適度に大きくしておくことにより、エッチング/堆積の速度差は非常に大きなものとなり、低温側のターゲットから高温側の基板への比較的高速の物質移動が生じる。
そして、本発明に係る選択的膜製造方法では、上記の方法で基板上にプラズマによる成膜を行う際に、反応ガスとして水素及び希ガスの混合ガスを主体としたものを用いる。水素ガスに希ガスを混合することによってプラズマ中のラジカル密度を変調し、とりわけ、プラズマ中で生成される各ラジカル種の密度分布を、対象表面部以外の箇所で核生成しにくいラジカルを多く含んだものにする。そして、このことにより、対象表面部以外の箇所での成長核発生頻度を対象表面部上での成長核発生頻度よりも低下させる。
本発明の方法において対象表面部上にのみ選択的に膜が形成される原理を、図1を参照しつつ説明する。ここでは、対象表面部の材料がSiであり、基板における対象表面部以外の表面がガラス(アモルファス材料)であるものとし、対象表面部上にSiの膜を形成するものとする。
上述の方法によって基板上にプラズマによるSi成膜を行う際、全面が成長核であるSiから成る対象表面部には、処理を開始するとSi膜がすぐに堆積してゆく。一方、ガラス表面においては、一旦Si膜が堆積するが、その付着によって基板−膜界面に界面エネルギーが新たに発生するため、対象表面部上に堆積するSi膜に比較して不安定な状態となる。このとき、プラズマ中の原子状水素の密度が高い場合、ガラス表面に付着したSiが再離脱する。こうして、対象表面上への優先的な薄膜堆積が実現する。
上述の方法によって基板上にプラズマによるSi成膜を行う際、全面が成長核であるSiから成る対象表面部には、処理を開始するとSi膜がすぐに堆積してゆく。一方、ガラス表面においては、一旦Si膜が堆積するが、その付着によって基板−膜界面に界面エネルギーが新たに発生するため、対象表面部上に堆積するSi膜に比較して不安定な状態となる。このとき、プラズマ中の原子状水素の密度が高い場合、ガラス表面に付着したSiが再離脱する。こうして、対象表面上への優先的な薄膜堆積が実現する。
また、プラズマ中のラジカル種の密度分布は、反応ガスを構成する希ガスの種類によっても制御可能である。例として、図2に希ガスとして(a)He、(b)Arをそれぞれ用いたとき、水素:希ガス比を変化させた場合の発光分光スペクトルを示す。これによると、Heをプラズマ雰囲気中に混合することにより、Si原子からの発光(222, 252, 288nm)及びSiH(414nm)分子に起因する発光強度が大きく変化していることがわかる。また、希ガスをHeからArに変更することによっても発光スペクトルが大きく変化していることがわかるから、希ガスの種類を変更することによっても、プラズマ中で生成されるラジカル種の密度を変調することが可能であることがわかる。
図3に、Heで希釈したプラズマに対してSiの各励起準位からの緩和に起因する各波長における発光強度比 ISi222/ISi288の水素比率依存性を示す。図3に示すように、雰囲気中のHeの割合を大きくすることにより、即ち水素濃度を低下させることにより、発光強度比が大きく異なることがわかる。これは、222nmの発光に寄与するSiの励起準位が288nmの発光に寄与する励起準位に比べて約0.5eV高いことを考慮すると、電子温度が上昇したことを示している。即ち、プラズマ中で生成される各ラジカル種の密度分布は電子温度を変調することによって変調され、選択的な膜成長を行うのに最適な各ラジカル種の密度分布が達成されうることが分かる。
また、基板表面上での成長核の発生は熱力学的な反応過程であるため、基板温度の制御を行うことも選択的な膜成長のパラメータとなる。
本発明に係る選択的膜製造法によれば、上記特許文献2に記載されている大気圧水素プラズマを利用した膜製造方法が具備する利点、すなわち、
・従来、例えばSi薄膜の成膜において使用していたSiH4のような有害且つ高価な成膜ガスを使用せず、無害で安価な水素を主体とするガスのみ使用するため、設備のコストを低く抑えることができる
・原料の利用効率が従来の方法に比べて格段に高い
・比較的高圧の水素プラズマを用いるため、従来の低圧スパッタ法よりも高速な成膜を行うことができる
・ターゲットの揮発には大気圧近傍の水素プラズマによる化学反応を利用しているため、従来の低圧プラズマを利用したCVDと比較すると基板に入射する荷電粒子のエネルギーが低減され、生成される膜への物理的な損傷が少なく、欠陥のない良質な膜を製造することができる
といった利点を引き続き損なうことなく、簡便に、基板において選択的に膜を生成することができる。
・従来、例えばSi薄膜の成膜において使用していたSiH4のような有害且つ高価な成膜ガスを使用せず、無害で安価な水素を主体とするガスのみ使用するため、設備のコストを低く抑えることができる
・原料の利用効率が従来の方法に比べて格段に高い
・比較的高圧の水素プラズマを用いるため、従来の低圧スパッタ法よりも高速な成膜を行うことができる
・ターゲットの揮発には大気圧近傍の水素プラズマによる化学反応を利用しているため、従来の低圧プラズマを利用したCVDと比較すると基板に入射する荷電粒子のエネルギーが低減され、生成される膜への物理的な損傷が少なく、欠陥のない良質な膜を製造することができる
といった利点を引き続き損なうことなく、簡便に、基板において選択的に膜を生成することができる。
概略構成を図4に示すような装置を用いて、HeとH2の混合ガスを導入し、全圧を400Torrとして、開口処理が施された酸化膜付きSi基板を用いて実験を行った。ここでは、開口処理が施された箇所が対象表面部となる。
単結晶Si(001)板から成るターゲットを上部電極の下に設け、開口付き基板をヒータ上に設置した。上部電極は20℃の冷却水を2l/minの流量で流すことにより成り行きの冷却を行った。酸化膜の最小開口のサイズは約300nm×300nmであり、酸化膜厚は300nmである。また、ターゲット−基板間の距離は1mmとした。
なお、本発明においてターゲット−基板間の距離は特に限定はされるものではないが、上記特許文献2において指摘してある通り、数mm程度とするとよい。ターゲット−基板間の距離を過度に大きくする(例えば1cm以上にする)ことは成膜速度が低下することに加えてプラズマも不安定化するため、好ましくない。
まず、水素比率を10%、及び25%として全圧400Torrの条件で実験を行った。基板温度は300℃とし、成膜時間は5分とした。水素比率10%で作製した試料の表面及び断面SEM像を図5(a),(b)に、水素比率25%で作製した試料の表面SEM像を図5(c)に示す。図5の表面SEM観察像より、水素比率10%の時には開口部におけるSiの付着は観察されず、その断面観察像である図5(b)からは、開口部において露出している基板Siが選択的にエッチングされているのがわかる。一方、水素比率が25%である場合には、開口部からSi膜が選択的に成長していることがわかる。
本実施例に係る選択的膜製造方法においては、反応ガスにおける水素比率の増加とともに、成膜速度が増加する。上記の実験で水素濃度を10%とした場合にSi膜が開口部に付着しなかった理由は、ターゲットからのSiの供給量が過小となって基板表面近傍のプラズマ雰囲気中のSi関連ラジカルが極端に低下してしまい、Siの付着量に対してエッチング効果が優勢となってしまったためと考えられる。このことから、低い水素比率における成膜の場合には、対象表面部でのSiのエッチングを低減するために、基板温度をより高くする必要があることが理解される。
次に、水素比率を上記実験で選択成長が見られた25%とし、1737ガラス及びSi(001)ウエハを基板に用いて、基板温度300℃にて、各基板における成膜速度の時間変化を調べた。この結果を図6に示す。図6において四角記号はSi基板上での成膜レートの時間変化を示し、丸記号はガラス基板上での成膜レートの時間変化を示す。図6より、Si基板上では成膜レートが初期からほぼ一定の値を示すのに対して、ガラス基板上では一定の時間を経過した後に、一定値に漸近することがわかる。これは、上述したように、Si基板上では成長初期から表面全体が成長核として働くのに対して、ガラス基板上では、そのガラス基板上に一旦Siの成長核を形成する必要があるためである。
また、図6の三角記号は、水素200Torr、基板温度200℃でガラス基板上へ成膜した結果を示している。これにより、成膜条件、とりわけ水素濃度及び基板温度の変調により、Si膜の成膜レートが一様な値になるまでの時間を制御できることが確認された。
本願発明者らは次に水素:ヘリウム比率を一定として、基板温度を変化させ、パターン付き熱酸化Si基板上への成膜を5分間行った。基板温度は200, 300, 400, 600℃の4種類とした。この成膜の結果得られた膜の表面観察像を図7に示す。図7より、成膜温度の低下に伴って、酸化膜上に形成されるSi膜の面積が減少し、開口パターンの形状が明瞭になることがわかる。
次に、上記実験結果(図7)において酸化膜の開口パターンが明瞭となった基板温度、すなわち200、300℃で作製した試料に対するSEM観察を行った。図8(a)は200℃、図8(b)は300℃で成膜処理を行った試料のSEM像である。図8より、200℃では酸化膜上へのSi膜の形成が観察されないのみならず、酸化膜開口部よりSiが選択的に等方的にエッチングされていることがわかる。一方、300℃では、開口部からの優先的なSi膜の成長が観察され、Si膜の形成されている領域が、ほぼ酸化膜の開口パターンに倣った形で得られていることがわかる。これによって、反応ガスの適切な混合比に対して、基板温度や成膜時間を適切に設定することにより、選択的な膜製造が実現されることが確認された。一方、200℃で選択的成膜を行うためには、水素比率をさらに高めることが必要と考えられる。
また、最適な選択比が得られた成膜条件において、成膜時間を3分間に短縮して成膜を行った。図9に、作製された試料の(a)表面SEM観察像、(b)断面TEM像(ネガ像)、(c)TED像を示す。図9(a)より、酸化膜開口部のみにSi膜の形成がみられ、良好な選択的成膜が実施されたことがわかる。また、図9(b)より、開口部のSi基板から成長するSi膜の様子が観察でき、図9(c)のTED像において、基板と同位置における回折スポット以外の回折パターンが一切観察されないことから、成長したSi膜は基板に対してエピタキシャル成長していることがわかった。
以上、本発明に係る選択的膜製造方法について具体的に説明を行ったが、上記は例に過ぎず、本発明の精神内において自由に変更や改良を行っても構わない。
一変形例として、ターゲットに複数種類の材料を組み合わせることにより、その複数種類の材料から成る混合膜を対象表面部に選択的に形成することもできる。この場合、図10に示すように、基板側を各ターゲットの材料の幅と同程度のストロークで、放電領域内で往復(揺動)させることにより、対象表面部に形成される膜の均質化を図ることができる。具体的には、ターゲットAとしてSi、ターゲットBとしてCを用いることによって、Si-Cの混合膜を対象表面上に選択的に且つ簡便に作製することができる。また、基板側ではなくターゲット側を往復運動させることもできる。
また、同様に複数のターゲットを使用しつつも、それらをプラズマが生成される領域よりも大きく動かし、順次(又は交互に)プラズマ中に入れることにより、基板上の対象表面部上に異なる成分の膜を積層することも可能である。ただし、この場合でも、プラズマ中でのターゲット滞在時間が1原子層をエッチングする程度の時間であれば、混合膜が作製される。
Claims (7)
- 基板において、表面が所定の材料から成る対象表面部のみに選択的に薄膜を形成する選択的膜製造方法であって、
圧力10〜202kPa(76〜1520Torr)の、水素及び希ガスの混合ガスを主体とする反応ガスが充填された反応室内に、比較的高温に保持した基板、及び、比較的低温に保持した、水素化物が揮発性であるターゲットを平行に配置し、基板とターゲットの間に放電を生起させることで、該基板の対象表面部上に選択的にターゲットの薄膜を形成する選択的膜製造方法。 - 前記希ガスがHe又はNeである請求項1に記載の選択的膜製造方法。
- 前記ターゲットがSi又はGeを主成分とするものである請求項1又は2に記載の選択的膜製造方法。
- 前記ターゲットがC, SiC, Sn, Ga, B, P, Sb, Asのいずれかを主成分とするものである請求項1又は2に記載の選択的膜製造方法。
- 前記ターゲットの主成分と、前記対象表面部の主成分とが同一である請求項1〜3のいずれかに記載の選択的膜製造方法。
- 基板において、表面が所定の材料から成る対象表面部のみに選択的に薄膜を形成する選択的膜製造方法であって、
圧力10〜202kPa(76〜1520Torr)の、水素及び希ガスの混合ガスを主体とする反応ガスが充填された反応室内に、比較的高温に保持した基板、及び、比較的低温に保持した複数のターゲットを略並行に配置し、基板とターゲットの間に放電を生起させつつ、該複数のターゲットを放電領域内で基板に並行に揺動させることで基板の対象表面部上に該複数のターゲットの混合膜を作製する選択的膜製造方法。 - 前記水素及び希ガスの混合比が水素:希ガス=50:50〜1:99である請求項1〜6のいずれかに記載の選択的膜製造方法。
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