図1は本発明による無線式の住警器の外観を示した説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に側面図を示している。
図1において、本実施形態の住警器10はカバー12と本体14で構成されている。カバー12の中央には、周囲に煙流入口を開口し、その内部には検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出するようにしている。
カバー12に設けた検煙部16の左下側には音響穴18が設けられ、この背後にブザーやスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には試験兼用警報停止スイッチ20が設けられている。
たとえば、火災警報中に試験兼用警報停止スイッチ20が操作されると警報を停止し、通常状態で警報停止スイッチ20が操作されると試験を行う。この試験の内容としては、警報器内部の機能点検とその結果報知、そして結果信号を他の警報器に送信し試験連動させる通信連動試験等がある。警報停止スイッチは必ずしも試験兼用でなくとも良く、独立の試験スイッチとしても良いし、試験の内容毎に適宜独立のスイッチを設けたり、スイッチの操作方法を異ならせて指示するようにしても良い。
試験兼用警報停止スイッチ20は、半透明部材で形成されたスイッチカバーと、スイッチカバーの内部に配置されたタクトスイッチ(図示せず)とで構成されている。スイッチカバー内部のタクトスイッチ近傍には、点線で示すようにLED22が配置されており、LED22が点灯すると、試験兼用警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から分かるようにしている。
また本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、この取付フック15にビスで取り付けることで、壁面に住警器10を設置することができる。
なお図1の住警器10にあっては、検煙部16を備えた火災による煙を検出する住警器を例に取っているが、これ以外に火災による熱を検出するサーミスタ等の温度検出素子を備えた住警器や火災に伴うその他の物理現象を検出する住警器、火災以外にガス漏れを検出する警報器、侵入者や地震その他の異常を検出する各種の警報器、これらを組み合わせて成る警報器についても、本発明の対象に含まれる。
また、本発明の警報システムは、上記のような異なる警報器を混在させるものであっても良い。
図2は住宅に対する本実施形態の住警器の設置状態を示した説明図である。図2の例にあっては、住宅24に設けられている居間、台所、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の住警器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも住警器10−5を設置している。
住警器10−1〜10−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能及び受信したイベント信号を中継する機能を備えており、更に5台の住警器10−1〜10−5で1つのグループを構成して、この住宅全体の火災監視を行っている。
住警器間相互の送受信は同期方式でタイミング整合させ、定期的に各住警器の同期ずれを一括調整するなどしても良い。
いま住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、住警器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、住警器における「発報」という。住警器10−4が発報すると、住警器10−4は連動元として機能し、連動先となる他の住警器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の住警器10−1〜10−3,10−5の内、連動元の住警器10−4からの火災発報を示すイベント信号を受信した住警器は、連動先としての警報動作を行うと共に受信したイベント信号を他の住警器に中継する。
ここで連動元となった住警器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を連続して出力するとともに、LED22を点灯駆動する。。一方、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5にあっては、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力するとともに、LED22を所定の第1周期で点滅駆動する。
住警器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、図1に示した住警器に設けている試験兼用警報停止スイッチ20を操作すると、警報音の停止処理が行われる。ここで、本実施形態の警報音の停止処理としては次のいずれかの停止処理を行う。
(1)連動元として警報中の住警器10−4の警報停止スイッチを操作すると、連動先を含め全ての住警器10―1〜10―5の警報音を停止する。
このとき、連動先の住警器10―1〜10―3、10―5に於いてはLED22を消灯するが、連動元のLED22だけは所定の点灯・点滅・明滅を、少なくとも所定期間継続させても良い。これにより連動元の発報履歴が残ることになり、消火後の発報元特定や、誤報・非火災報を発した住警器の特定が容易になる。
(2)連動先として住警器10−1〜10−3、10−5の内の任意の住警器の警報停止スイッチを押すと、連動元の住警器10−4のみが警報音の出力を継続し、連動先の住警器10−1〜10−3,10−5は警報音出力を停止する。
(3)警報中の住警器10−1〜10−5の内の任意の住警器の警報停止スイッチを操作すると、連動先、連動元に関わらず、全ての住警器の警報音を停止する。
このとき、各住警器のLED22は、(1)と同様の制御とすることが出来る。
(4)前記(1)の停止処理を第1モード、前記(2)の停止処理を第2モード、前記(3)の停止処理を第3モードとし、少なくとも2つのモードからいずれかのモードを選択して停止処理を行う。
図3は本発明による住警器の実施形態を示したブロック図である。図3は図2に示した5台の住警器10−1〜10−5につき、その内の住警器10−1について回路構成を詳細に示している。他の住警器10−2〜10―5についても、住警器10−1と同様の構成を備えている。
住警器10−1はCPU28を備え、CPU28に対してはアンテナ31を備えた無線回路部30、記録回路部32、センサ部34、報知部36、操作部38を設け、及び必要各部に電源を供給する電池電源40を備えている。
無線回路部30には送信回路42と受信回路44が設けられ、他の住警器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信し、またイベント信号を中継できるようにしている。無線回路部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステム無線局の無線設備標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
もちろん無線回路部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
記録回路部32にはメモリ46が設けられている。メモリ46には住警器を特定するID(識別子)となる送信元符号52と、図2のように複数の住警器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号54が格納されている。送信元符号52としては、国内に提供される住警器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
グループ符号54はグループを構成する複数の住警器に共通に設定される符号であり、無線回路部30で受信した他の住警器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ46に登録しているグループ符号54に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理することになるので、近隣住宅等に設置された、連動を要しない他グループの警報器との混信を回避出来る。
またメモリ46にはグループ管理テーブル74、中継管理テーブル76及び試験結果リスト78が設けられる。グループ管理テーブル74にはグループを構成する住警器10−1〜10−5の送信元符号を予め登録している。中継管理テーブル76には一度中継したイベント信号に関する情報が記憶されている。試験結果リスト78には連動試験によるイベント信号を受信した他の住警器確認応答情報が記憶される。
センサ部34には、本実施形態にあっては検煙部16が設けられている。検煙部16は煙をとらえると検出信号を出力する。検煙部16から検出信号はCPU28に取り込まれ(AD変換)、CPU28側で所定の火災レベルを超えると火災発報を判別し、また、検煙部16からの検出信号が低下して火災レベルを下回ることで火災発報がなくなったこと(火災復旧)を判別するようにしている。
センサ部34には検煙部16以外に、火災による温度上昇を検出するサーミスタを設けてもよい。またガス漏れ監視用の警報器の場合には、センサ部34にガス漏れセンサが設けられることになる。
報知部36にはスピーカ58とLED22が設けられている。スピーカ58は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED22は図示しない駆動回路を介して点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20を操作すると、住警器10−1から出力している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ20は、本実施形態にあっては点検スイッチと兼用している。警報停止スイッチ20は、警報中に操作されたときにのみ警報停止操作として受け付けられる。一方、警報中でない通常監視状態で警報停止スイッチ20は点検スイッチとして機能し、警報中以外のときに操作されると)、報知部36から点検用の音声メッセージなどが出力される。
電池電源40は、例えば所定セル数のリチウム電池やアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては住警器10−1における無線回路部30を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
CPU28にはプログラムの実行により実現される機能として、イベント検知部60を含んだイベント処理部62、中継処理部64及び連動試験部66が設けられている。
イベント検知部60は、センサ部34の検出信号に基づく異常(火災)発生、操作部38による警報停止、電池電源40又はセンサ部34の障害検出、センサ部34の検出信号に基づく異常がなくなる異常復旧、及び電池電源40又はセンサ部34の障害がなくなる障害復旧等の状態変化をイベントとして検知する。なお、本実施形態にあっては、センサ部34の検出信号から異常の有無を判定する異常判定部の機能はイベント検知部60に含まれている。
イベント処理部62は、イベント検知部60によりセンサ部34からの検出信号に基づく異常検知、操作部38による警報停止、電池電源40又はセンサ部34の障害検知、センサ部34の検出信号に基づく異常検知がなくなる異常復旧、及び電池電源40又はセンサ部34の障害検知がなくなる障害復旧を含むイベントを検知した時に、連動元のイベント対応処理を行った後に、検知イベントを示すイベント信号を連動先の警報器に送信させ、一方、連動元の警報器からイベント信号を受信した時に、連動先としてのイベント対応処理を行わせる。
この機能を実現するためイベント処理部64には、異常(火災)監視部68、障害検知部69を含むイベント検知部60、警報停止部70及び復旧部72が設けられている。
異常監視部68は、センサ部34からの検出信号に基づいて火災を判別したときに、報知部36のスピーカ58から連動元を示す警報音例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させると共にLED22を駆動し、そしてイベント処理部60の、図示しない通信制御部を介して火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42によりアンテナ31から他の住警器10−2〜10−5に向けて送信させる。
また異常監視部68は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときに、自身が連動元でない場合には、報知部36のスピーカ58から連動先を示す警報音例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」となる音声メッセージを連続的に出力させる。
ここで、異常監視部68で火災発報を検知して連動元警報音を出すときには、報知部36のLED22を例えば明滅させ、一方、連動先警報音を出す場合には、報知部36のLED22を点滅させる。若しくは、連動元警報音を出す場合と連動先警報音を出す場合について、LEDの発光周期を異ならせる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22の表示を区別できるようにしている。
さらには、LED発光の明るさを両者に於いて異ならせることで、どちらかの警報器の電力消耗を抑制することが出来る。たとえば、連動元は監視エリア内に火災が発生していることから、目視確認を目的とする警報(表示警報)は重要度が相対的に低いとも考えられ、連動元については発光周期を連動先に比べて長くしたり、表示を暗くしたり、表示警報を行わないようにすることも出来る。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED22の明滅または点滅表示であってもよい。
警報停止部70は、連動元を示す警報出力中に操作部38に設けている試験兼用警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、スピーカ58から出力している連動元を示す警報音を停止させると共に、警報停止のイベント信号を、図示しない通信制御部を介して無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信し、他の住警器10−2〜10−5における連動先の警報音を停止させる。
この場合、スピーカ58から出力している連動元を示す警報音を停止させずに、警報停止のイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信し、他の住警器10−2〜10−5における連動先の警報音を停止させ、連動元警報だけは残すようにしても良い。もちろん、前述の(1)〜(3)で示した第1〜第3のモード、また(4)で選択された第1〜第3のモードの停止処理に従って動作させることも出来る。
また警報停止部70は、連動先を示す警報中に自身の操作部38の試験兼用警報停止スイッチ20の操作を検出したとき、スピーカ58から出力している連動先を示す警報音を停止させると共にLED22に対し所定の表示制御を行い、警報停止のイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の住警器10−2〜10−5に送信する。
更に警報停止部70は、連動先を示す警報出力中に他の住警器10−2〜10−5から警報停止のイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときは、連動先を示す警報音を停止させると共に、所定の表示制御を行う。
復旧部72は、センサ部34に設けた検煙部16から煙がなくなることで火災が判別されなくなった時に、連動元警報を停止させて通常状態に戻す共に、火災復旧を示すイベント信号を図示しない通信制御部を介して無線回路部30の送信回路42から連動先の住警器10−2〜10−5に送信させ、一方、自身が連動先として動作している場合に、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから火災復旧を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44で受信した時に、連動先警報を停止させて通常状態に戻す。
これよって、住警器10−1で連動元警報が出され、その後火災状態が解消し、センサ部34からの検出信号が火災レベルを下回った場合には、復旧部72により自動的に連動元の警報音は停止して通常の監視状態に復旧することができる。このとき、LED22については、履歴表示として所定の駆動を行っても良い。
同時に住警器10−1から連動先警報を出している他の住警器10−2〜10−5に火災復旧を示すイベント信号が送信され、それぞれの連動元警報を自動的に停止させることができ、住警器10−2〜10−5に出向いて警報停止操作を行う必要はない。
中継制御部64は、連動元又は中継元の警報器からイベント信号を受信した時に、イベント信号を中継する。また、イベント処理部62は、イベント信号に送信毎に順次増加する連続番号〔以下「連番」という〕と送信元符号を含めて送信しており、これを受けて中継制御部64は、連動元又は中継元の警報器からイベント信号を受信した時に、イベント信号に含まれる連番と送信元符号の組を、メモリ46の中継管理テーブル76に記憶している既に受信済みの連続番号と送信元符号の組と比較し、一致した場合は同じイベント信号は既に中継済みであることから、イベント信号の中継を終了させ、同じイベント信号を繰り返し中継しないようにしている。
連動試験部66は、連動試験時に、試験情報を含むイベント信号を連動先の住警器10−2〜10−5に送信し、一方、他の警報器10−2〜10−5から試験情報を含むイベント信号を受信した時に中継制御部64による中継を禁止させ、報知部36のスピーカ58からの音および/またはLED22の表示によりイベント信号の着信を示す連動試験正常を報知させる。
本実施形態における連動試験制御は、次の2つの方法がある。
(1)連動試験のイベント信号を受信して中継を禁止すると共にイベント信号の着信を報知する方法。
(2)連動試験のイベント信号を受信して中継を禁止すると共にイベント信号の着信を報知し、更に、確認応答のイベント信号を送信して試験元で着信した住警器を集計する方法。
なお、連動試験部66は、操作部38に設けているディップスイッチの操作により試験モードの設定時に、試験モードの設定時に受信したイベント信号の中継を禁止させるようにしても良い。更に、連動試験部66は、試験操作を検出した時(不定期)または所定の時間間隔を経過する毎(定期的)に、連動試験を行う。
このような住警器10−1に設けた回路部は他の住警器10−2〜10−5についても同様であり、メモリ46に格納している送信元符号52が、シリアル番号等の各住警器固有の符号となっている。
図4は本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。図4において、イベント信号48は連番50、送信元符号52、グループ符号54及びイベント符号56で構成されている。
連番50はイベント信号の順番を示す連続番号であり、イベント信号を送信する毎に1つずつ増加させる。また、連番50は住警器10−1〜10−5の各々で非同期に生成している。この連番は、例えば点検処理時や復旧処理時に各住警器個別に初期化するようにしても良いし、点検連動処理時や復旧連動処理時に、グループ内の全住警器一斉に初期化するようにしても良い。また中継管理テーブル76に記憶しておく連番と送信元符号の組は、その送信元符号について最新のものだけを記憶しておくようにすれば、連番と送信元符号の組が重複することによる無駄な中継を避けることが出来る。加えて、住警器のメモリ容量が少なくて済む。
送信元符号52は例えば26ビットの符号である。またグループ符号5254は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図3の5台の住警器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
なおグループ符号54としては、同一グループの住警器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する住警器に共通な基準符号と、各住警器に固有な送信元符号との演算から求めた住警器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
イベント符号56は、火災、ガス漏れなどのイベント内容を表す符号であり、本実施形態にあっては4ビット符号を使用しており、例えば「0001」で火災、「0010」でガス漏れ、「0011」で復旧、「0100」で警報停止、「0101」で障害、「0110」で障害復旧、「0111」で連動試験、「1000」で確認応答、残りをリザーブとしている。なおイベント符号56のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に5ビット、6ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。なお、「1000」の確認応答は前記(2)の連動試験方法で使用される。
図5(A)は図3のメモリ46に記憶したグループ管理テーブル70の内容を示した説明図であり、図3の同一グループに属する住警器10−1〜10−5の送信元符号を101,102,103,104,105とした場合を例にとっている。
グループ管理テーブル70の登録処理は、例えば工場出荷時や住宅に設置するときに、5台の住警器10−1〜10−5を作業テーブルなどの1箇所に並べて発報登録作業を行うことで実現できる。
ここで示す一例としての発報登録作業は、住警器10−1〜10−5の内のいずれか1つを順次、登録送信モードとして登録イベント信号を送信し、登録受信モードにより待受け状態となっている他の住警器で登録イベント信号を受信し、登録イベント信号に含まれる送信元符号を取得してメモリ46のグループ管理テーブル70に登録する処理を行わせる。
ここに登録された送信元符号から、演算処理によりグループ内住警器に共通の共通符号を生成する。簡単な例として、それぞれの送信元符号の下数桁を加算した値とすること等が出来る。もちろん、予め決定した共通符号を、同一グループに属する住警器に直接登録するようにしても良い。
図5(B)は図3のメモリ46に記憶した中継管理テーブル72の内容を示した説明図であり、例えば送信元符号=101をもつ住警器10−2からイベント信号を受信して中継した場合の記憶内容を示している。
例えば中継管理テーブル72に登録が無い状態で住警器10−2からイベント信号を受信したとすると、受信したイベント信号から連番=00001と送信元符号=102の組を取得し、この場合、中継管理テーブル72に同じ組はないことから、イベント信号を中継送信すると共に連番=00001と送信元符号=102の組を中継管理テーブル72に登録する。
その後、中継した同じイベント信号か他の住警器による中継を経て再び受信された場合、そのイベント信号から取得した連番と送信元符号の組は、中継管理テーブル72に登録している組に一致することを判別して中継を終了し、それ以上中継しないようにする。
なお無線通信に関する法規格上、信号送信する端末は送信信号に送信元を特定できる符号を付加しなければならない。このため本実施例の住警器でも、信号送信する際に自身の送信元符号を付加しなければならないことから、実際にはイベント信号48には送信元符号52の他に、中継送信元符号を含めることになる。従って連動元となる住警器が発信する(中継でない)イベント信号では、送信元符号と中継送信元符号が同じになる。そして、中継イベント信号を送信する住警器は、自身の中継送信元符号と連動元の送信元符号を含むイベント信号を送信する。以下の説明では、中継送信元符号を省略する。
図5(C)は前記(2)の連動試験方法で使用する試験結果リスト78の内容を示した説明図であり、例えば住警器10−1で連動試験操作を行ったとすると、他の住警器10−2〜10−5に連動試験のイベント信号が送信され、着信した住警器から確認応答のイベント信号が送信され、この確認応答のイベント信号からリスト上に確認応答の有無が登録される。
この場合の試験結果リスト78の内容から、住警器10−2〜10−4は確認応答があることから、中継なしでイベント信号が着信していることが分かり、一方、住警器10−5からは確認応答がないことから、イベント信号が着信していないことが分かる。
この試験結果リスト78は無線回路部30との間で通信機能をもつ試験装置を使用して読出し、リスト内容を表示して確認可能である。もちろん、住警器10−1に確認機能を搭載しても良い。このような試験指示元での確認手段が無い場合には、各連動先の住警器設置場所へ出向いて確認することになるが、これでも一応の目的を達成することが出来る。
図6は本実施形態による基本的な処理を示したフローチャートであり、電池電源40による電源供給で動作し、まずステップS1で初期化処理と自己診断を行う。この処理には、同じ住戸に設置されている例えば5台の住警器10−1〜10−5でグループを形成するためのグループ符号の設定、図5に示したグループ管理テーブル74や中継管理テーブル76の中の遅延タイミングの設定などが含まれる。自己診断で故障がなければステップS2の連動試験処理、ステップS3の火災監視処理、及びステップS4の障害監視処理を繰り返し実行している。
図7は図6のステップS2における第1実施形態としての連動試験処理の詳細を示したフローチャートであり、図3のCPU28のプログラムの実行による処理であり、前記(1)の連動試験方法に対応した処理である。
住警器10−1の操作部38に設けている試験兼用警報停止スイッチ20を、警報出力が行われていない通常の状態で操作すると、CPU28に連動試験指示が与えられ、図7の連動試験処理が開始される。
連動試験処理はステップS11で試験操作を判別するか、或いはステップS12で予め定めた時間間隔毎の自動連動試験タイミングを判別すると、ステップS13に進んで図4に示したイベント符号56に連動試験を示す「0111」を試験情報として設定したイベント信号を連動先の住警器10−2〜10−5に対し送信する。
一方、ステップS14〜S16は、他の住警器10−2〜10−5のいずれかから連動試験をイベント符号に設定したイベント信号を受信したときの処理である。即ち、ステップS14で他の住警器から送信された試験情報を含むイベント信号を受信すると、ステップS15に進んで中継制御部64によるイベント信号の中継動作を禁止させた後、ステップS16で連動試験正常の報知を報知部38のスピーカ58から音及びLED22の表示で行い、連動試験によるイベント信号が着信したことを知らせる。
このため例えば住警器10−1で試験操作を行ってイベント信号を送信すると、連動先となる住警器10−2〜10−5の内、イベント信号が着信した住警器から着信を示す報知音の出力や表示が行われ、住警器10−2〜10−5の設置場所に出向いて確認することで、中継なしでどの住警器にイベント信号が届き、どの住警器にイベント信号が届いていないかが分かり、中継なしで信号電波が届く範囲を正確に知ることができる。
例えば、図1の居間の住警器10−1の連動試験で住警器10−2〜10−4に電波が届き、ガレージの住警器10−5に電波が届いていないことが判明した場合、次に台所の住警器10−2で連動試験を行い、そのときガレージの住警器10−5に電波が届いていることが判明した場合、通常の監視状態での住警器10−1でのイベント発生によるイベント信号は、住警器10−2の中継により中継器10−5に届くことが確認できる。
もし、住警器10−2の連動試験でも住警器10−5に電波が届いていないことが判明した場合は、最も近い住警器10−2の設置場所を変更して連動試験を行って確認するか、それでもだめであれば、住警器10−2と住警器10−5の間に中継専用に使用する別の住警器を設置して連動試験により電波が届くことを確認すれば良い。
なお、ステップS14,S15にあっては、試験情報を含むイベント信号の受信により中継動作を禁止しているが、住警器自体に設けたディップスイッチなどの操作により連動試験の際に中継動作を禁止するようにしても良い。
このようにすれば、連動試験で電波が届かなかった警報器の近傍に設置されている電波の届いた住警器の中継をディップスイッチ操作で有効に切り替えて再度試験を行い、前回試験で電波が届かなかった場所に電波が届くようになるかどうかを確認して、最適な中継ルートを見出すことが出来る。
図8は図6のステップS2における第2実施形態としての連動試験処理の詳細を示したフローチャートであり、図3のCPU28のプログラムの実行による処理であり、前記(2)の連動試験方法に対応した処理である。
住警器10−1の操作部38に設けている試験兼用警報停止スイッチ20を、警報出力が行われていない通常の状態で操作すると、CPU28に連動試験指示が与えられ、図8の連動試験処理が開始される。
連動試験処理はステップS21で試験操作を判別するか、或いはステップS22で予め定めた時間間隔毎の自動連動試験タイミングを判別すると、ステップS23に進んで図4に示したイベント符号56に連動試験を示す「0111」を試験情報としてセットしたイベント信号を連動先の住警器10−2〜10−5に対し送信する。
続いてステップS24で連動試験を示すイベント信号を受信した連動先の住警器10−2〜10−5からの確認応答のイベント信号の受信の有無を判別している。確認応答のイベント信号を受信するとステップS25に進み、確認応答先を示す送信元符号をメモリ46の試験結果リスト78に登録する。
続いてステップS26で所定の待ち時間の経過を判別する。これは連動先の住警器が確認応答のイベント信号を異なる遅延タイミングで送信してくることに対応した処理である。ステップS26で所定の待ち時間の経過を判別するとステップS27に進み、確認応答なしか否か判別する。
確認応答が1つでもあればステップS28で試験結果の出力要求を待つ。別途準備した試験装置からの試験結果出力要求を判別するとステップS29に進み、試験結果リスト78を外部の試験装置に例えば無線回路部30をインタフェースとして出力する。
一方、ステップS27で全く確認応答のない応答無しが判別されるとステップS30に進み、連動障害を報知部38のスピーカ58からの音やLED22による表示で報知する。この連動障害は、連動試験のイベント信号を送信しても、連動先の住警器のいずれにも届かず、確認応答のイベント信号が全く得られなかった場合であり、このとき連動試験を行った住警器はスタンドアローンとしてしか動作しない孤立状態にあることを報知している。
次のステップS31〜S36は、他の住警器から連動試験のイベント信号を受信したときの処理である。即ち、ステップS31で他の住警器から送信された試験情報を含むイベント信号を受信すると、ステップS32に進んで中継制御部64によるイベント信号の中継動作を禁止させた後、ステップS33で連動試験正常の報知を報知部38のスピーカ58からの音及び/またはLED22の表示で行い、連動試験によるイベント信号が着信したことを知らせる。
続いてステップS34でイベント符号に確認応答を示す「1000」をセットしたイベント信号を生成し、ステップS35で図5(B)の中継管理テーブル76から遅延タイミングを取得し、遅延タイミングへの到達を監視する。
遅延タイミングの監視は、所定の単位時間でカウントアップするタイマカウンタを起動して遅延タイミングの値と比較し、一致したときに遅延タイミングへの到達を判定する。ステップS35で遅延タイミングへの到達が判別されると、ステップS36に進んで確認応答のイベント信号を送信する。
これによって送信元からの連動試験のイベント信号を複数の住警器で略同時に受信したとしても、確認応答の送信タイミングがずらされることで、確認応答におけるイベント信号の衝突確率を低くできる。
図9は図6のステップS3における火災監視処理の詳細を示したフローチャートであり、図3のCPU28のプログラムの実行による処理となる。
図9において、火災監視処理は、ステップS41で火災発報を監視しており、センサ部34からの検出信号が所定の火災レベルを超えると火災発報を判別してステップS42に進み、連番、送信元符号、火災発報を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に無線により送信する。続いてステップS43で連動元を示す警報を出力する。
続いて、ステップS44でセンサ部34からの検出信号が低下して火災発報がなくなる火災復旧の有無を判別しており、火災発報が継続している場合はステップS45で試験兼用警報停止スイッチ20による警報停止操作の有無を判別し、警報停止操作が無ければステップS46で他の住警器からの警報停止のイベント信号の受信の有無を判別する処理を繰り返している。なお、火災発報の継続中にあっては、所定時間毎に火災発報を示すイベント信号の送信を繰り返している。
ステップS44〜S46の処理サイクル中に、センサ部34からの検出信号が低下して火災発報が無くなるとステップS44で火災復旧が判別され、ステップS48で火災復旧のイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS50に進んで連動元警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
またステップS46で他の住警器から警報停止イベント信号の受信を判別すると、ステップS47で中継制御を行った後、ステップS50に進んで連動元警報を停止する。ここで、ステップ47の中継制御の詳細は図10のフローチャートに示すようになる。
図10の中継制御は、ステップS61で受信したイベント信号から連番と送信元符号の組を取得し、ステップS62で中継管理テーブル76に登録済みの組に一致するか否か判別し、不一致の場合はステップS63に進んで連番と送信元符号の組を中継管理テーブル76に登録する。
続いてステップS64で中継管理テーブル76から遅延タイミングを取得し、ステップS65で遅延タイミングへの到達を監視する。遅延タイミングの監視は、所定の単位時間でカウントアップするタイマカウンタを起動して遅延タイミングの値と比較し、一致したときに遅延タイミングへの到達を判定する。ステップS65で遅延タイミングへの到達が判別されると、ステップS66に進んでイベント信号を中継送信する。
これによって送信元または中継元からのイベント信号を複数の住警器で略同時に受信したとしても、中継送信のタイミングがずらされることで、中継送信によるイベント信号の衝突確率を低くできる。
またステップS62で登録している組に一致した場合は、ステップS67に進んで中継を終了とする。
なお、中継管理テーブル76に登録している組は、次に受信したイベント信号から取得した連番と送信元符号の組の上書きで更新される。また、上書きとせずに、先入れ後出しで一定数の組を記憶するようにしても良い。
なお、連動元としてイベント信号を送信した場合には、連動先から中継送信されてくるそのイベントを受信したときに再中継しないため、たとえば連動元としてイベント信号を送信するときには、自己の中継管理テーブルに自己の送信元符号と連番を記憶するようにすることが出来る。
再び図9を参照するに、ステップS45で自己の警報停止操作を判別した場合はステップS49に進んで他の住警器に連番、送信元符号、:警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を送信した後、ステップS50で連動元警報を停止する。
一方、ステップS41で火災発報でなかった場合には、ステップS51で火災発報を示すイベント信号を他の住警器からの受信の有無を判別している。他の住警器から火災発報を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS52に進み、図10に示した中継制御を行った後、ステップS53で連動先を示す警報を出力する。
続いてステップS54で他の住警器からの火災復旧を示すイベント信号の受信の有無を判別しており、火災復旧を示すイベント信号を受信すると、ステップS58に進んで図10に示した中継制御を行った後、ステップS59に進んで連動先警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
続いてステップS55で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS58に進んで図10に示した中継制御を行った後、ステップS59で連動先を示す警報を停止する。
続いてステップS56で試験兼用警報停止スイッチ20による警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作を判別すると、ステップS57で連番、送信元符号、:警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS59で連動先を示す警報を停止する。
図11は図6のステップS4における障害監視処理の詳細を示したフローチャートであり、センサ部34のセンサ障害を例にとって説明すると次のようになる。
図11において、ステップS71でセンサ部34のセンサ障害の検出の有無を監視しており、センサ部34からの検出信号が所定の零点レベル(通常時正常信号レベル:センサの検出能力が失われていないか確認するため、煙発生が無い場合でも若干の信号が出力されるようにしている)を下回るとセンサ障害が検出されてステップS72に進み、連番、送信元符号、センサ障害を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に無線により送信する。続いてステップS73で連動元を示す障害警報を出力する。
続いて、ステップS74でセンサ部34からの検出信号が零点レベルに回復するか否か判別しており、センサ障害が継続している場合はステップS75で警報停止スイッチ20による警報停止操作の有無を判別し、警報停止操作が無ければステップS76で他の住警器からの警報停止のイベント信号受信の有無を判別する処理を繰り返している。なお、センサ障害の継続中にあっては、所定時間毎にセンサ障害を示すイベント信号の送信を繰り返している。
ステップS74〜S76の処理サイクル中に、センサ部34から検出信号が零点レベルに回復するとステップS74で障害復旧が判別され、ステップS78で連番、送信元符号、障害復旧を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS80に進んで連動元障害警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
またステップS76で他の住警器から警報停止イベント信号の受信を判別すると、ステップS77に進んで図10に示した中継制御を行った後、ステップS80に進んで連動元障害警報を停止する。更に、ステップS75で自己の警報停止操作を判別した場合はステップS79に進んで他の住警器に、連番、送信元符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を送信した後、ステップS80で連動元障害警報を停止する。
一方、ステップS71でセンサ障害が検出されなかった場合には、ステップS81で他の住警器からの障害を示すイベント信号受信の有無を判別している。他の住警器からセンサ障害を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS82に進んで図10に示した中継制御を行った後、ステップS83に進み、連動先を示す障害警報を停止する。
ステップS84で障害を示すイベント信号受信が無い場合には、ステップS85で他の住警器からの障害復旧を示すイベント信号受信の有無を判別しており、障害復旧を示すイベント信号を受信すると、ステップS88に進んで図10に示した中継制御を行った後、ステップS89に進んで連動先を示す障害警報を停止し、この場合は通常の監視状態に戻る。
ステップS85で警報停止を示すイベント信号の受信が無い場合には、ステップS86で他の住警器からの警報停止を示すイベント信号の受信の有無をチェックしており、警報停止を示すイベント信号の受信を判別すると、ステップS88に進んで図10に示した中継制御を行った後、ステップS89で連動先を示す障害警報を停止する。
続いてステップS86で警報停止スイッチ20による警報停止操作の有無を判別しており、警報停止操作を判別するとステップS87で連番、送信元符号、警報停止を示すイベント符号を含むイベント信号を他の住警器に送信した後、ステップS89で連動先を示す警報を停止する。
ここで、図11はセンサ障害を例にとっているが、電池電源40からの電源電圧が所定電圧以下に低下することで検出するローバッテリー障害(電池容量低下障害)についても同様である。もちろん、その他の障害についても同様に適用できる。
なお、上記の実施形態にあっては、イベント符号に連動試験をセットすることで試験情報を含むイベント信号を送信して受信先での中継動作を禁止させているが、イベント信号に中継を禁止する中継情報を含ませることで受信先での中継動作を連動試験の際に禁止させるようにしても良い。
また上記の実施形態の中継制御は、連動試験以外のイベント信号については無制限に中継するようにしているが、イベント信号に中継回数を制御する情報を含めるか、住警器に中継回数を制御する情報を設定することで、中継回数を制限する中継制御としても良い。
また上記の実施形態は火災検出を対象とした住警器を例に取るものであったが、これ以外にガス漏れ警報器や、防犯用警報器など、各種の異常を検出する適宜の警報器につき、本実施形態の警報停止処理をそのまま適用することができる。また住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
また、例えば親機と子機を設けてイベント情報を親機経由で連動させていた従来の連動型警報システムの、複数の親機間、さらにシステム内に組み込まれた中継器を介する中継にも本発明が適用できる。即ちこの場合は、連動試験時に中継器の中継を無効化して中継の要否を確認し、必要に応じて有効化して運用する。
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部を別体とした警報器であっても良い。
また本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。