JP2010260881A - ポリオルガノシロキサン粒子の製造方法及びシリカ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオルガノシロキサン粒子は、R1 n−Si−(OR2)4−nで表されるアルコキシドの加水分解及び縮合を通じて製造される。こうしたアルコキシドとしては、例えばメチルトリメトキシシランが挙げられる。ポリオルガノシロキサン粒子及びシリカ粒子の製造方法では、アルコキシドを加水分解及び縮合させることで、液滴状のシード粒子が分散してなるシード粒子水性分散液を調製する。次に、シード粒子水性分散液とアルコキシドと混合することでシード粒子を成長させた成長粒子を得る。続いて、成長粒子を固化させることで固化粒子を得る。固化粒子は、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有しており、こうした固化粒子を焼成する。
【選択図】図1
Description
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(一般式(1)中、R1は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示し、R1が複数ある場合、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシドを加水分解及び縮合させることで、液滴状のシード粒子が分散してなるシード粒子水性分散液を調製する工程と、前記シード粒子水性分散液と前記アルコキシドと混合することで前記シード粒子を成長させた成長粒子を得る工程と、前記成長粒子を固化させることで固化粒子を得る工程と、前記固化粒子を焼成する工程とを含むポリオルガノシロキサン粒子の製造方法であって、前記固化粒子が、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有してなり、その固化粒子を前記焼成する工程に供することを要旨とする。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(一般式(1)中、R1は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示し、R1が複数ある場合、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表されるアルコキシドを加水分解及び縮合させることで、液滴状のシード粒子が分散してなるシード粒子水性分散液を調製する工程と、前記シード粒子水性分散液と前記アルコキシドと混合することで前記シード粒子を成長させた成長粒子を得る工程と、前記成長粒子を固化させることで固化粒子を得る工程と、前記固化粒子を焼成することで前記固化粒子に含まれる有機成分を除去する工程とを含むシリカ粒子の製造方法であって、前記固化粒子が、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有してなり、その固化粒子を前記焼成する工程に供することを要旨とする。
シリカ粒子の製造方法は、アルコキシドを加水分解及び縮合させることで、液滴状のシード粒子が分散してなるシード粒子水性分散液を調製する工程(シード粒子形成工程)と、シード粒子を成長させた成長粒子を得る工程(成長粒子形成工程)と、成長粒子を固化させることで固化粒子を得る工程(固化工程)と、固化粒子を焼成する工程(焼成工程)を含む。焼成工程に供される固化粒子は、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有してなり、その固化粒子を焼成工程に供する。
シード粒子形成工程に供されるアルコキシドは、下記一般式(1)で表される。
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
一般式(1)中、R1は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示し、R1が複数ある場合、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(2)中、R2及びnは、上記一般式(1)と同一であり、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
CV値(%)={[粒子径の標準偏差(μm)]/[平均粒径(μm)]}×100
シード粒子水性分散液中のシード粒子のCV値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。シード粒子の平均粒径は、例えば1μm〜50μmの範囲である。
成長粒子形成工程では、シード粒子水性分散液に上記一般式(1)で表されるアルコキシドを混合してシード粒子を成長させた成長粒子を得る。アルコキシドとしては、その加水分解及び縮合の反応性に優れるという観点から、好ましくは、メチルトリメトキシシラン及び上記一般式(2)で表されるアルコキシドから選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン又はビニルトリメトキシシランである。
固化工程においては、上記成長粒子水性分散液に、触媒を添加することで、成長粒子に含まれるアルコキシドを加水分解及び縮合させる。触媒としては、上記シード粒子形成工程に記載した触媒が挙げられる。アルコキシドの加水分解及び縮合を進行させることで、成長粒子が固化され、固化粒子が分散した固化粒子水性分散液が得られる。こうした得られた固化粒子は、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有している。コアシェル構造は、コア部分を構成するポリオルガノシロキサンとシェル部分を構成するポリオルガノシロキサンとにおいて屈折率が異なることにより観察される。なお、こうしたコアシェル構造は、固化工程に供されるシード粒子においても同じく光学顕微鏡で観察される。
本実施形態の焼成工程では、固化粒子を焼成することで、固化粒子に含まれる有機成分を除去する。すなわち、固化粒子としてのポリオルガノシロキサン粒子から、アルコキシドに由来する有機成分を除去することでシリカ粒子が得られる。こうした焼成により、例えば粒子の硬度を高めることができるようになる。このとき、本実施形態の固化粒子は、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有しているため、焼成により有機成分を除去するに際して、粒子が割れたり、粒子に亀裂が生じたりするという不具合が抑制される。
得られたシリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは10〜200μmである。ここで、焼成工程においては、固化粒子の粒径が大きくなるにしたがって、割れ、亀裂等の不具合が発生しやすくなる。特に、得られるシリカ粒子の平均粒子径が10μm以上の場合、前記不具合が発生しやすく、歩留まりが急激に低下する傾向にある。本実施形態の製造方法では、特に、平均粒子径が10μm以上のシリカ粒子の製造において不具合を抑制する点で有効である。
このようにして得られたシリカ粒子は、例えば液晶表示装置スペーサ、EL表示装置スペーサ、タッチパネル用スペーサ、各種基板の基板間の距離を均一に保持するためのスペーサ、導電性粒子のコア材、コーティング膜用の添加剤、光拡散フィルム用の添加剤、凹凸付与剤、化粧品用の添加剤、塗料又はインク用の添加剤、接着剤用の添加剤等として好適に用いられる。
(1)得られるシリカ粒子の粒径を大きくするには、それに応じて固化粒子の粒径を大きくする必要がある。ところが、固化粒子の粒径を大きくするにしたがって、焼成工程において粒子が割れたり、粒子に亀裂が生じたりするという不具合が発生しやすくなる。特に、シリカ粒子の粒径が約10μm以上になると、こうした不具合の発生は顕著となる。この点、本実施形態では、固化粒子は光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有しているため、焼成工程において、粒子が割れたり、粒子に亀裂が生じたりするという不具合が抑制される。すなわち、本発明者は、例えばシード粒子を成長させる時間、温度等の条件を、上記コアシェル構造が観察されるように設定することで、上記不具合が抑制されることを見出している。これにより、粒径を大きくするに際して焼成に伴う不具合を抑制することの容易なシリカ粒子の製造方法を提供することができる。
・例えば、シード粒子形成工程を複数回繰り返すことで、より大きく成長させたシード粒子を得た後に、成長粒子形成工程を実施してもよい。この場合であっても、固化粒子においてコアシェル構造が確認されていれば、焼成工程おける不具合を抑制することができる。
・前記シリカ粒子、又は焼成されたポリオルガノシロキサン粒子をコアとして、その粒子表面に、各種表面処理を施してもよい。また、前記シリカ粒子、又は焼成されたポリオルガノシロキサン粒子に各種コーティング剤をコーティングしてもよい。
・前記成長粒子形成工程において、前記シード粒子水性分散液と前記アルコキシドとの混合液の温度又は混合時間を調整することで、前記コアシェル構造を形成することを特徴とするポリオルガノシロキサン粒子又はシリカ粒子の製造方法。
(実施例1)
<シード粒子形成工程>
メチルトリメトキシシラン800gに、イオン交換水105.9gを添加して、30℃にて平羽根で攪拌した。約3時間後、メチルトリメトキシシランは完全に溶解して均一溶液となった。
イオン交換水4000gにメチルトリメトキシシラン800gを添加して、30℃にて100rpmで攪拌した。約3時間後、メチルトリメトキシシランは完全に溶解して均一溶液となった。これに、20質量%ドデシル硫酸アンモニウム水溶液4.5gを添加し、これを粒子成長用溶液とした。粒子成長用溶液の全量を30℃で80rpmにて攪拌しながら、これに25℃の上記シード粒子水性分散液を303g添加し、30℃で20rpmにて攪拌した。この攪拌をシード粒子水性分散液の添加から、194分間継続することで、成長粒子が液滴として分散してなる成長粒子水性分散液を得た。
上記成長粒子水性分散液に、25質量%アンモニア水溶液60gを5g/分の速度で滴下した後、一晩30℃にて攪拌することで、成長粒子を固化させた。これにより、固化粒子が分散してなる固化粒子水性分散液を得た。固化粒子の平均粒子径は、前記コールターカウンターにて測定した結果、37.89μmであり、CV値は3.13%であった。図1(a)には、固化粒子を光学顕微鏡(オリンパス社製、BX50)で観察した写真(100倍)を示している。図1(a)に示されるように、固化粒子には、コアシェル構造が観察されている。
得られた固化粒子を遠心分離機によって分散媒と分離した。その固化粒子をメタノール中にて超音波を照射した後にデカンテーションを行う操作を複数回繰り返した。これにより、固化粒子水性分散液に含まれる微小粒子を除去するとともに成長粒子を洗浄した。次に、成長粒子を風乾した後、150℃に加熱乾燥することで、残留メタノールを除去した。
次に固化粒子を、空気流量0.36リットル/分の条件で、室温から340℃まで昇温し、その温度で18時間保持して予備焼成した。その後、460℃まで昇温し、その温度で13時間保持して本焼成した。本焼成後、室温まで冷却し、シリカ粒子を取り出した。得られたシリカ粒子の平均粒子径は、前記コールターカウンターにて測定した結果、31.37μmであり、CV値は3.29%であった。図1(b)には、シリカ粒子の光学顕微鏡写真(100倍)を示している。図1(b)に示されるように、シリカ粒子の割れ、亀裂等の不具合は確認されなかった。図1(c)に示されるように、得られたシリカ粒子においてもコアシェル構造が光学顕微鏡で観察された。図1(d)に示されるように、得られたシリカ粒子の断面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、コアシェル構造が確認された。
<シード粒子形成工程>
比較例1では、実施例1と同様にしてシード粒子水性分散液を調製した。得られたシード粒子の平均粒子径は、15.58μmであり、CV値は4.03%であった。
比較例1では、粒子成長用溶液を実施例1と同様に調製した。シード粒子水性分散液を30℃、80rpmの条件で攪拌しながら、これに20℃の粒子成長用溶液303gを添加し、30℃、20rpmの条件で攪拌した。この攪拌を粒子成長用溶液の添加から、248分間継続することで、成長粒子が液滴として分散してなる成長粒子水性分散液を得た。
上記成長粒子水性分散液に、25%アンモニア水溶液60gを5g/分の速度で滴下した後、一晩30℃にて攪拌することで、成長粒子を固化させた。これにより、固化粒子が分散してなる固化粒子水性分散液を得た。固化粒子の平均粒子径は36.78μmであり、CV値は4.07%であった。図2(a)には、固化粒子の光学顕微鏡写真を示している。図2(a)に示されるように、比較例1の固化粒子においては、コアシェル構造が確認されていない。
比較例1では、実施例1と同様に洗浄及び乾燥工程を行った。
<焼成工程>
比較例1では、実施例1と同様に焼成工程を行った。得られた焼成粒子の平均粒子径は30.11μm、CV値は4.43%であった。図2(b)には、シリカ粒子の光学顕微鏡写真を示している。図2(b)に示されるように、比較例1では多数のシリカ粒子において、割れ、亀裂等の不具合が発生していた。
Claims (2)
- 一般式(1):
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(一般式(1)中、R1は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示し、R1が複数ある場合、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシドを加水分解及び縮合させることで、液滴状のシード粒子が分散してなるシード粒子水性分散液を調製する工程と、
前記シード粒子水性分散液と前記アルコキシドと混合することで前記シード粒子を成長させた成長粒子を得る工程と、
前記成長粒子を固化させることで固化粒子を得る工程と、
前記固化粒子を焼成する工程とを含むポリオルガノシロキサン粒子の製造方法であって、
前記固化粒子が、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有してなり、その固化粒子を前記焼成する工程に供することを特徴とするポリオルガノシロキサン粒子の製造方法。 - 一般式(1):
R1 n−Si−(OR2)4−n ・・・(1)
(一般式(1)中、R1は非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数7〜20のアラルキル基を示し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を示し、nは1〜3の整数を示し、R1が複数ある場合、各R1は互いに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシドを加水分解及び縮合させることで、液滴状のシード粒子が分散してなるシード粒子水性分散液を調製する工程と、
前記シード粒子水性分散液と前記アルコキシドと混合することで前記シード粒子を成長させた成長粒子を得る工程と、
前記成長粒子を固化させることで固化粒子を得る工程と、
前記固化粒子を焼成することで前記固化粒子に含まれる有機成分を除去する工程とを含むシリカ粒子の製造方法であって、
前記固化粒子が、光学顕微鏡で観察されるコアシェル構造を有してなり、その固化粒子を前記焼成する工程に供することを特徴とするシリカ粒子の製造方法。
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