JP2004277476A - ポリオルガノシロキサン粒子の製造方法 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶表示装置、タッチパネル等のスペーサや標準粒子などとして用いられる、平均粒径が例えば10μmより大きく、かつ粒径分布が単分散のポリオルガノシロキサン粒子を、効果的に粒径を制御し、効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】ケイ素化合物(非加水分解性基をもつアルコキシシラン)を含む水性溶液を、塩基性触媒存在下で加水分解、縮合させて、ポリオルガノシロキサン粒子からなるシード粒子を形成させる工程、および該シード粒子を成長させる工程を含み、前記シード粒子成長工程において、アニオン性界面活性剤を関係式(II)
Y=α×(a×X)/(A×R) …(II)
ただし、aはケイ素化合物が加水分解、縮合した後の生成物の分子量をケイ素化合物の分子量で割った理論値
Yは粒径成長用液中におけるアニオン性界面活性剤の濃度(質量%)
Xはシード粒子合成に使用する原料の質量(g)
Aは粒子成長工程に使用する溶液の総質量(g)
Rはシード粒子の平均粒径(μm)
αは係数で、4.0<α≦75
を満たす濃度で含む粒径成長用液をシード粒子形成液に添加する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオルガノシロキサン粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、タッチパネル等のスペーサや標準粒子などとして用いられる、平均粒径が例えば10μmより大きく、かつ粒径分布が単分散のポリオルガノシロキサン粒子を、効果的に粒径を制御し、効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、粒径分布が単分散状のシリカ粒子(以下、単に単分散シリカ粒子ということがある)は、各種充填材やセラミックス原料などとして有用であることが知られているが、特に最近では、液晶表示装置のスペーサとしての用途が注目され、使用され始めている。
【0003】
液晶表示装置のスペーサには、従来ガラスファイバーチップあるいは合成樹脂の微粒子が用いられてきた。しかしながらガラスファイバーチップはファイバー径精度には優れているものの、その長さにばらつきが大きく、余りに長いものは目視され画質を低下するおそれがあり、またその端部が鋭利であるため、基板上に成形された配向膜や保護膜、カラーフィルターあるいは電気素子などを傷つけてしまうおそれがある。また、合成樹脂の微粒子は粒径精度に劣り、かつ軟らかいため、液晶表示装置用スペーサとして要求される性能を満たし得ないことがある。したがって、より高度のギャップ精度を要求される場合には、粒径精度が良く、かつ球形で、基板上に形成された配向膜や保護膜、カラーフィルターあるいはITO導電膜等の電気素子を傷つけるおそれのないものが要求される。
【0004】
これらの要求を満たすものとして、シリコンアルコキシドを加水分解・重縮合することによって得られたシリカ粒子が提案されている。このシリカ粒子は、
(1)純度が高く、溶出成分による液晶への影響が少ない
(2)粒径精度が良く、下式
Figure 2004277476
で得られるCV値(変動係数)を10%以下とすることができる
(3)ほとんど完全な真球にすることができるため、基板上に形成された配向膜や保護膜、カラーフィルターあるいはITO導電膜等の電気素子などを傷つけるおそれがない
などの利点を有している。
【0005】
シリコンアルコキシドの加水分解・重縮合により得られたシリカ粒子は上記のような利点を有するため、これまで数多くの製造方法が提案されている。
例えば、球状ポリメチルシルセスキオキサンの製造方法として、メチルトリアルコキシシランやその部分加水分解縮合物と、アンモニアやアミンを含む水溶液または水と有機溶剤との混合溶剤溶液とを、実質上混合することなく、2層状態を保持しながら反応させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、この方法においては、生成するポリメチルシルセスキオキサン粒子の粒径は、仕込み時の下層中のアンモニアやアミンの濃度によって制御されるが、核粒子の生成が不確定なため、発生粒子核数にバラツキが生じやすく、同一反応条件で反応を行っても、最終的に得られる粒子の径が目的とする粒径にならないという問題がある。例えば、平均粒径が5μmの粒子を得る目的で、同一条件で10回製造を行った場合、目的の粒径に対して40%程度(約±2.0μm)のバラツキが生じる。
このように、所望の粒径が得られないと、厳密にその粒径精度が要求される液晶表示装置用スペーサなどには使用しにくいという問題が生じる。
【0007】
そこで、本発明者らは、粒径4〜10μm程度で、かつ粒径分布が単分散のポリオルガノシロキサン粒子を、所望の粒径のものが得られるように、効率よく製造する方法について研究を重ね、先に、非加水分解性基と加水分解性のアルコキシル基がケイ素原子に結合したケイ素化合物を、均一な水性溶液とし、加水分解、縮合させてシード粒子液を調製したのち、特定の関係式に従って求められた希釈倍率に基づき、上記ケイ素化合物の水性溶液で希釈操作を行い、該粒子を成長させる方法を見出し、特許出願している(特許文献2参照)。
【0008】
ところで、最近、液晶表示装置の仕様変更により、これまでスペーサとして好適と考えられていた粒径の範囲(4〜10μm)を超える粒径を有するスペーサを必要とする場合が多くなってきた。また、有機エレクトロルミネッセンス素子やタッチパネル用では、粒径が数十μm程度の大きさのスペーサが必要とされている。
粒径の大きなポリオルガノシロキサン粒子を、前記のゾル−ゲル法で得る方法として、シード粒子を段階的に成長させる方法が知られている。しかしながら、従来のシード粒子を段階的に成長させる方法においては、工程数の増加によるコストの増加や歩留まりの著しい低下などの問題があった。
【0009】
また、前記の本発明者らが見出した方法では、平均粒径10μmを超える大きな粒径のポリオルガノシロキサン粒子が得られにくい。
そこで、本発明者らは、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、タッチパネル等のスペーサや標準粒子などとして用いられる、平均粒径が例えば10μmより大きく、かつ粒径分布が単分散のポリオルガノシロキサン粒子を効率よく製造する方法について研究を重ね、先に、非加水分解性基と加水分解性のアルコキシル基がケイ素原子に結合したケイ素化合物を水溶液とし、塩基性触媒存在下で加水分解、縮合させて、ポリオルガノシロキサン粒子からなるシード粒子を形成させる工程、および該シード粒子を成長させる工程を施してポリオルガノシロキサン粒子を製造するに際し、前記シード粒子形成工程において、別途作製したポリオルガノシロキサン粒子含有液をケイ素化合物を含む反応系に添加し、ポリオルガノシロキサン粒子の存在下にケイ素化合物を加水分解、縮合させることにより、添加しない場合よりも大きなシード粒子が得られ、このシード粒子を成長させることによって、平均粒径が10μmを超えるような大きな粒径のポリオルガノシロキサン粒子が得られることを見出し、特許を出願した(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
しかしながら、この場合、粒子成長の終了時点近くで、粒子の凝集が発生することがあり、その結果、歩留の低下を招き、安定して粒子製造を行えない場合がある。一方、この場合、粒径制御を行うために粒子成長用原料の使用量は予め決められていることから、凝集の発生にともなう反応容器底面への粒子沈降などによって、その凝集粒子分の粒子成長に使用されるばずの原料が余分となって、非凝集粒子への成長に使用されるため、計算上の粒径よりも実際に得られる粒子の粒径のほうが大きくなる場合があり、粒径制御については必ずしも十分に満足し得るものではなかった。
【0011】
【特許文献1】
特公平4−70335号公報
【特許文献2】
特開2002−80598号公報
【特許文献3】
特願2003−13097号明細書
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、タッチパネル等のスペーサや標準粒子などとして用いられる、粒径が例えば10μmより大きく、かつ粒径分布が単分散のポリオルガノシロキサン粒子を、効果的に粒径を制御し、効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、非加水分解性基と加水分解性のアルコキシル基がケイ素原子に結合したケイ素化合物をも含む水溶液を塩基性触媒存在下で加水分解、縮合させて、ポリオルガノシロキサン粒子からなるシード粒子を形成させてシード粒子形成液を得る工程、および該シード粒子形成液に前記ケイ素化合物を含む粒径成長用液を添加して、前記シード粒子を成長させる工程を施してポリオルガノシロキサン粒子を製造するに際し、前記シード粒子成長工程において、アニオン性界面活性剤を、粒径成長用液中のその濃度が特定の関係式を満たすように、前記粒径成長用液に存在させることにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)一般式(I)
Si(OR4−n …(I)
(式中、Rは非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、nは1〜3の整数を示し、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるケイ素化合物を含む水性溶液を、塩基性触媒存在下で加水分解、縮合させて、ポリオルガノシロキサン粒子からなるシード粒子を形成させてシード粒子形成液を得る工程、および該シード粒子形成液に前記ケイ素化合物を含む粒径成長用液を添加して、前記シード粒子を成長させる工程を含み、
前記シード粒子成長工程において、アニオン性界面活性剤を関係式(II)
Y=α×(a×X)/(A×R) …(II)
ただし、aはケイ素化合物が加水分解、縮合した後の生成物の分子量をケイ素化合物の分子量で割った理論値
Yは粒径成長用液中におけるアニオン性界面活性剤の濃度(質量%)
Xはシード粒子合成に使用する原料の質量(g)
Aは粒子成長工程に使用する溶液の総質量(g)
Rはシード粒子の平均粒径(μm)
αは係数で、4.0<α≦75
を満たす濃度で含む粒径成長用液をシード粒子形成液に添加して、シード粒子を成長させることを特徴とするポリオルガノシロキサン粒子の製造方法、
(2)アニオン性界面活性剤が、HLB値15〜40のものである上記(1)項に記載の方法、
(3)アニオン性界面活性剤が高級アルコール硫酸エステル塩である上記(2)項に記載の方法、
(4)高級アルコール硫酸エステル塩がドデシル硫酸ナトリウムである上記(3)項に記載の方法、
(5)シード粒子形成工程において、別途作製したポリオルガノシロキサン粒子含有液をケイ素化合物を含む反応系に添加し、ポリオルガノシロキサン粒子の存在下でケイ素化合物を加水分解、縮合させてシード粒子を形成させる上記(1)ないし(4)項のいずれか1項に記載の方法、および
(6)ポリオルガノシロキサン粒子が、平均粒子径10μmを超えるものである上記(1)ないし(5)項のいずれか1項に記載の方法、
を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオルガノシロキサン粒子の製造方法においては、原料として、一般式(I)
Si(OR4−n …(I)
で表されるケイ素化合物が用いられる。
【0016】
上記一般式(I)において、Rは炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基としては、上記置換基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。この置換基を有するアルキル基の例としては、γ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、また、このアルケニル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
【0017】
一方、Rは炭素数1〜6のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。nは1〜3の整数であり、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、またORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0018】
前記一般式(I)で表されるケイ素化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが挙げられる。これらの中で、ポリオルガノシロキサン粒子として得られた後、加熱処理によってシリカ化する工程において、その粒径収縮が少ないことや有機分除去によるシリカ化の際の効率などから、有機成分の少ないものが好ましく、特にメチルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシシランが好適である。
【0019】
本発明においては、原料として、前記一般式(I)で表されるケイ素化合物を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の方法は、前記ケイ素化合物を実質上均一な水性溶液とし、塩基性触媒存在下で加水分解、縮合させて、ポリオルガノシロキサン粒子からなるシード粒子を形成させる工程(シード粒子形成工程)、および該シード粒子を成長させる工程(粒子成長工程)を含むものであり、そして前記シード粒子形成工程においては、別途作製したポリオルガノシロキサン粒子含有液を反応系に添加し、その存在下でシード粒子を形成させることが、粒径の大きなシード粒子が得られるので好ましい。
【0020】
次に、各工程について説明する。
シード粒子形成工程
この工程においては、所望により(1)添加用粒子含有液の調製、(2)シード粒子形成用液の調製および(3)シード粒子の形成の操作が行われる。
【0021】
本発明の方法においては、所望により行われる添加用粒子の形成、シード粒子の形成および粒子径の成長を、それぞれ水性媒体を用いた実質的な均一系で実施するために、前記添加用粒子含有液の調製およびシード粒子形成用液の調製に用いられるケイ素化合物としては、前記一般式(I)で表される化合物の中から、比重に関係なく、適宜選択して使用することができる。添加用粒子の形成、シード粒子の形成および粒子径の成長を、それぞれ2層法で実施する場合には、ケイ素化合物として、水性媒体よりも比重の軽いものを用いることが必要であるので、原料の種類が制限されるのを免れないが、本発明においては、このような比重の制約がないので、原料の選択自由度が大きい。
【0022】
該ケイ素化合物としては、水性媒体に対して混和性を有するものであればよく、特に制限はないが、なかでも水性媒体に溶解しやすいもの、例えばメトキシ基を有するケイ素化合物が好適である。
なお、添加用粒子の形成およびシード粒子の形成に用いられるケイ素化合物の種類、水性媒体の種類、塩基性触媒の種類などは、同一であってもよいし、異なっていてもよいが、作業性や得られる粒子の性状などの点から、同一であることが好ましい。
〈添加用粒子含有液の調製〉
所定のケイ素化合物を水性媒体に加え、通常0〜50℃程度の温度で攪拌して、実質上均一な水性溶液としたのち、塩基性触媒を加え、該ケイ素化合物の加水分解、縮合を行い、粒子を形成させ、添加用粒子含有液を調製する。
【0023】
上記水性媒体としては、水または水と水混和性有機溶剤との混合物を用いることができる。ここで、水混和性有機溶剤の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコール類、アセトンなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で水と混合してもよいし、2種以上を組み合わせて水と混合してもよい。
また、塩基性触媒として、好ましくはアンモニアおよび/またはアミン含有水性溶液を一気に添加し、ケイ素化合物を加水分解、縮合させて、添加用粒子を形成させ、添加用粒子含有液とする。
【0024】
ここで、アミンとしては、例えばモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミンなどを好ましく挙げることができる。このアンモニアやアミンは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、毒性が少なく、除去が容易で、かつ安価なことから、アンモニアが好適である。
また、アンモニアおよび/またはアミン含有水性溶液としては、水または水と水混和性有機溶剤との混合溶剤にアンモニアおよび/またはアミンを溶解した溶液が挙げられる。ここで、水混和性有機溶剤の例としては、前記で例示したものと同じものを挙げることができる。
【0025】
水性溶液中のケイ素化合物の濃度は、20質量%以下が好ましく、特に5〜15質量%の範囲が、生成する粒子の粒径および容積効率などの点から好適である。また、アンモニアおよび/またはアミン含有水性溶液の添加量は、粒子形成後の添加用粒子含有液のpHが、好ましくは8.0〜10.5の範囲になるように選定するのが有利である。反応時間は、通常1時間以内で十分である。
【0026】
このようにして形成された添加用粒子の平均粒子径は、一般に3.0〜6.0μm程度である。
〈シード粒子形成用液の調製〉
このシード粒子形成用液の調製は、上記水性媒体中に、所定ケイ素化合物を添加し、通常0〜50℃程度の温度で撹拌して実質上均一な水性溶液とすることにより、行われる。この際、ケイ素化合物の濃度は、20質量%以下が好ましく、特に5〜15質量%の範囲が、生成するシード粒子の粒径および容積効率などの点から好適である。
〈シード粒子の形成〉
上記で調製したシード粒子形成用液を攪拌しながら、上記の塩基性触媒および好ましくは、添加用粒子含有液を加え、ケイ素化合物を加水分解、縮合させてシード粒子を新たに形成させる。
この際、塩基性触媒の添加量は、シード粒子形成後のシード粒子液のpHが、好ましくは8.2〜11.0の範囲になるように選定するのが有利である。反応温度は、原料のケイ素化合物の種類などにより左右されるが、一般的には0〜50℃の範囲で選ばれる。
【0027】
シード粒子の形成時間は、通常1時間以内で十分である。シード粒子を2層法で形成する場合には、4〜10時間程度を要するが、本発明のように実質的な均一系による方法を採用すると、はるかに短時間でシード粒子を形成させることができる。
このシード粒子の形成においては、シード粒子形成終了後において、所望により加えられた添加用粒子含有液中の粒子数に対する新たに生成した粒子数の比(以下、個数比と称す。)が2以上であることが好ましい。本発明においては、このシード粒子の形成で新たに生成した粒子を成長させたものが、目的のポリオルガノシロキサン粒子となることから、上記個数比が2未満ではシード粒子中の添加粒子の存在が無視できなくなり、最終的に得られるポリオルガノシロキサン粒子の歩留まりが低下し、工業的に不利となる場合がある。また、該個数比があまり大きすぎると新たに生成する粒子の粒径を大きくする効果が十分に発揮されず、添加用粒子含有液を加える目的が達せられにくい。より好ましい個数比は4〜50であり、特に20〜45の範囲が好ましい。
【0028】
本発明においては、前記の個数比を求めるために、シード粒子形成後、シード粒子液の一部を採取し、保護コロイド形成剤と接触させて、シード粒子に保護コロイドを形成させたのち、例えばコールター法にて、該シード粒子の粒子径を測定し、添加用粒子が成長した粒子の平均粒子径および新たに生成した粒子の平均粒子径を求めることにより、前記の個数比を算出することができる。
【0029】
ここでコールター法とは、溶液中に分散している粒子の大きさを電気的に測定する装置を用いた測定方法をいう。本装置は、測定粒子を懸濁・分散させた電解液中に微細孔を有するチューブ(アパチャ−・チューブ)を設置したもので、アパチャーチューブの内側と外側に電極を置き、電解液を介して両電極間に電流が流れるように構成される。電解液中に分散した測定粒子が吸引され、アパチャーチューブの微細孔を通過する際、粒子体積に相当する電解液が置換されて両電極間の電気抵抗に変化が生じ、かかる抵抗変化を電圧パルスに変換し、これを増幅・検出して粒径測定を行うものである。
上記のように、保護コロイドを形成させることにより、コールター法における計測時の粒子径が収縮することなく、安定した計測が可能となる。
【0030】
ここで、保護コロイド形成剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、ドデシルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸石鹸などのアニオン性界面活性剤、ポリメタクリル酸、アルギン酸、ポリマレイン酸、ポリビニルアルコールなどの高分子界面活性剤などを挙げることができる。これらの中で、特にポリビニルアルコールが好適である。これらの保護コロイド形成剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粒子成長工程
この工程においては、粒径成長用液の調製および粒子径の成長の操作が行われる。
該工程における粒子径の成長操作は、一段階で行ってもよいし、必要に応じ、多段階で行ってもよい。
前記粒径成長用液は、アニオン性界面活性剤を加えること以外は、前述のシード粒子形成用液の調製と同様にして調製することができる。
【0031】
前記アニオン性界面活性剤の添加により、粒径成長時において、粒子表面の加水分解縮合が進むに伴い、表面特性が非加水分解性基に基づく疎水性を示すことによる凝集を防ぐことができる。このアニオン性界面活性剤としては、HLB値(親水性と親油性のバランスを表す指標)が15〜40の範囲にあるものが好ましく、さらに高級アルコール硫酸エステル塩(長鎖アルキル硫酸塩)が好ましく、特にドデシル硫酸ナトリウムが好適である。
【0032】
本発明においては、このアニオン性界面活性剤は、粒径成長用液中の濃度が、関係式(II)
Y=α×(a×X)/(A×R) …(II)
ただし、aはケイ素化合物が加水分解、縮合した後の生成物の分子量をケイ素化合物の分子量で割った理論値
Yは粒径成長用液中におけるアニオン性界面活性剤の濃度(質量%)
Xはシード粒子合成に使用する原料の質量(g)
Aは粒子成長工程に使用する溶液の総質量(g)
Rはシード粒子の平均粒径(μm)
αは係数で、4.0<α≦75
を満たすように、粒径成長用液に添加することが必要である。なお、上記関係式(II)において、Aで示される粒子成長工程に使用する溶液の総質量とは、粒径成長工程に用いるケイ素化合物の質量とイオン交換水などの水性溶媒の質量の和のことである。
【0033】
粒径成長用液中のアニオン性界面活性剤の濃度Yが、関係式(II)で算出される値より低い場合、粒子表面の非加水分解性基に基づく疎水性により、粒子の凝集が生じ、本発明の目的が達せられない。一方、該Yが、関係式(II)で算出される値よりも高い場合、粒子の成長速度が著しく低下し、目的とする粒径に達した段階で、例えばアンモニアを添加すると、内部に気泡を有する粒子が生成し、得られる粒子の圧縮強度が低下する。前記関係式(II)におけるαの好ましい値は4.0より大きく70以下であり、特に20〜60の範囲が好ましい。
【0034】
当該粒径成長用液においては、ケイ素化合物の種類、その濃度及び水性媒体の種類などは、前述のシード粒子形成用液のそれらと同一であってもよいし、異なっていてもよいが、作業性や得られる粒子の性状などの点から、同一であるものが好ましい。
なお、粒子径の成長を多段階で行う場合には、界面活性剤を含まない粒径成長用液を別途調製して、各段階で用いるのがよい。
〈粒子径の成長〉
上記のアニオン性界面活性剤を含む粒径成長用液を攪拌しながら、これに、前述のシード粒子形成液を加え、粒子径を成長させるのがよい。この際の反応温度は、原料のケイ素化合物の種類などに左右されるが、一般的には0〜50℃の範囲で選ばれる。
【0035】
本発明においては、上記粒子径の成長は、一般に3時間以内で十分である。2層法を採用して粒子径を成長させる場合、通常6〜10時間程度を要するが、本発明のように実質的な均一系で行うことにより、はるかに短時間で粒子径を成長させることができる。2層法の場合、上層のケイ素化合物が、空気中の水分などによって自己縮合を起こして変質し、例えば飴状になって撹拌翼に巻き付いたりして、粒子径の成長に使用されるケイ素化合物量が低下し、所望の粒子径を有する粒子が得られない場合がある。これに対し、本発明の方法では、実質的な均一系で粒子径を成長させるので、このような問題は生じない。
【0036】
本発明においては、この粒子径の成長は、必要に応じ、多段階で行うことができる。多段階で粒子径の成長を行う場合には、界面活性剤を含まない粒径成長用液を攪拌しながら、これに、前段階の粒子径の成長操作で得られた粒子成長液をシード粒子液として加え、粒子径を成長させるのがよい。反応温度、反応時間は、前述のとおりである。
【0037】
各粒子径の成長操作においては、シード粒子液の添加後から、光学顕微鏡ビデオミクロメーターで、連続的あるいは一定時間おきに粒子径を測定し、該粒子径の変化が実質上なくなった時点で、粒子径の成長が終了したと判断することができる。
このようにして、粒子成長工程終了後、粒子成長液に、塩基性触媒を添加して熟成を行う。この熟成は、原料のケイ素化合物の種類にもよるが、通常の0〜50℃の範囲の温度において、6〜24時間程度行われる。
【0038】
この熟成操作終了後、常法に従い生成した粒子を十分に洗浄したのち、必要に応じ、その中に含まれる比率の高い粒径の粒子を分級して取り出し、乾燥処理を行う。なお、比率の低い粒径の粒子についても、CV値が格段悪化するわけではないため、場合によっては、分級して取り出し、使用することは可能である。分級処理方法としては特に制限はないが、粒径により沈降速度が異なるのを利用して分級を行う湿式分級法が好ましい。なお、ポリオルガノシロキサン粒子を最終的にシリカ粒子化する場合、上記の湿式分級は水を用いることが可能となるシリカ粒子化後に行うことが、コストや環境の面から好ましい。乾燥処理は、通常100〜200℃の範囲の温度で行われる。本発明においては、この乾燥処理において、粒子の凝集が実質上生じることはない。
このような本発明の方法で得られたポリオルガノシロキサン粒子は、目的の粒径を有し、平均粒径が、通常10μmより大きく、好ましくは12.5〜25μmである。また、粒度分布の変動係数(CV値)が、通常2.5%以下であって、真球状の単分散粒子である。
【0039】
なお、変動係数(CV値)は下式により求められる。
CV値(%)=(粒径の標準偏差/平均粒径)×100
また、本発明における平均粒径とCV値は、以下の方法で算出した。
まずコールター法の測定結果から、予備的に、孤立した粒径分布ピーク幅を測定範囲として選択し、予備平均粒径値とσ(標準偏差)を算出する。そして、その予備平均粒径値から、±3σの範囲を選択し、改めて、その範囲内において、平均粒径とCV値を算出する。複数の孤立した粒径分布ピークが複数ある場合は、そのピーク毎に、算出を行う。
このようにして得られたポリオルガノシロキサン粒子は、必要により焼成処理して、その中に含まれる有機基を分解し、シリカ粒子を製造することができる。
この焼成処理においては、前述の方法で得られたポリオルガノシロキサン粒子を、その中に含まれる有機基の分解温度より100℃低い温度以上で、かつ当該有機基の分解温度未満の範囲において予備焼成した後、当該有機基の分解温度以上の温度で本焼成処理することが好ましい。
【0040】
該ポリオルガノシロキサン粒子に含まれる有機基の分解温度以上の温度に直ちに昇温して焼成すると、当該有機基の分解、脱離が急激に起こり、粒子の破壊強度が低下したり、場合によっては急激な収縮に耐えきれず、粒子が割れるなど、好ましくない事態を招来することがある。しかし、上記のように、当該有機基の分解温度より100℃低い温度以上で、かつ当該有機基の分解温度未満の範囲において予備焼成を行ってから、当該有機基の分解温度以上の温度で焼成処理することにより、上記の好ましくない事態を回避することができる。焼成温度の選定は、ポリオルガノシロキサン粒子を構成する有機基の種類に依存しており、熱分解しやすい有機基を有する場合、比較的低い温度で処理するのが望ましく、反対に熱分解しにくい有機基を有する場合には高温で処理するのが好ましい。いずれにしても、必要となる破壊強度や弾性率に応じて最適な条件を選定すればよい。具体的には、ポリメチルシルセスキオキサン(PMSO)粒子の場合、250〜350℃の範囲の温度において3〜50時間程度保持して予備焼成処理を行ったのち、500〜1000℃の範囲の温度において3〜50時間程度保持して本焼成処理し、有機基を完全に分解するのがよい。
上記焼成処理における雰囲気としては、有機基を酸化分解してシリカ化するために、酸素濃度が一定以上、例えば10容量%以上であることが好ましい。また、焼成装置については特に制限はなく、電気炉やロータリーキルンなど公知の焼成装置を用いることができる。
【0041】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)添加用粒子含有液の調製
イオン交換水450gに、メチルトリメトキシシラン(以下、MTMSと略記する。)45gを加え、30℃にて100rpmで攪拌した。MTMS添加当初は、水溶液中に油滴の状態で分散していたが、約3時間後、MTMSは完全に溶解して均一溶液となった。そして、攪拌速度を30rpmに下げ、1モル/リットルのアンモニア水0.72ミリリットルを一気に添加した。アンモニア水を添加してから15分後には、粒子が成長し、溶液が白濁した。30分後、光学顕微鏡ビデオミクロメーター(オリンパス社製ビデオミクロメーター「VM−50」)にて粒径を測定したところ、平均粒子径4.2μmであった。
(2)第一工程のシード粒子形成用液の調製
イオン交換水5000gに、MTMS500gを加え、20℃にて100rpmで攪拌した。約3時間後、MTMSは完全に溶解して均一溶液となり、これを第一工程のシード粒子形成用液とした。
(3)第二工程の粒径成長用液の調製
イオン交換水33000gに、MTMS4950gとHLB値40のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)16.5g(関係式(II)におけるY=0.0435%)を加え、30℃にて100rpmで攪拌した。約3時間後、MTMSは完全に溶解して均一な溶液となり、これを第二工程の粒子成長用液とした。ここに、関係式(II)におけるaはMTMSの加水分解、縮合生成物CHSiO の分子量67をMTMSの分子量136で割ることにより求められ、0.49であった。
(4)第三工程の粒径調整用液の調製
イオン交換水33000gに、MTMS3300gを加え、30℃にて100rpmで攪拌した。約3時間後、MTMSは完全に溶解して均一な溶液となり、これを第三工程の粒径調整用液とした。
(5)第一工程:シード粒子の形成
上記(2)で調製した第一工程シード粒子形成用液において、攪拌速度を30rpmに下げ、1モル/リットルのアンモニア水50ミリリットルと上記(1)で得られた添加用粒子含有液を全量添加した。添加30分後のシード粒子液0.2ミリリットルを、0.1質量%ポリビニルアルコール水溶液2ミリリットルに加え、直ちにコールターカウンターで粒子径を測定した。その結果、添加粒子が成長したものは、平均粒子径7.380μm(CV値1.99%)であり、新たに発生した粒子は、平均粒子径(関係式(II)におけるR)4.305μm(CV値2.54%)であった。
(6)第二工程:粒子径の成長
上記(3)で得られた粒径成長用液の全量37966.5g(関係式(II)におけるA)を20rpmで攪拌しながら、これに上記(5)で得られたシード粒子形成液の内4144gを添加し(関係式(II)におけるX=376.7g)、粒子径の成長を行った。シード粒子形成液の添加後から10分毎に、光学顕微鏡ビデオミクロメーター(オリンパス社製ビデオミクロメーター「VM−50」)で粒子径を測定した。添加から1時間後と1時間10分後は、いずれも平均粒子径が約13μmであり、粒径成長が終了したと判断したが、目的粒径に対して微妙に粒径が足りないことが明らかとなった。そこで、(4)の粒径調整用液の滴下混合を開始し平均粒径が0.5μm大きくなるようにビデオミクロメーターで確認しながら粒径の調整を行った。滴下開始から、粒径調整用液を3800ミリリットル添加した段階で目的とする平均粒径13.5μmの粒子が得られていることが分かった。その後45分間保持した後、25質量%アンモニア水500gを定量ポンプにて滴下して熟成を室温で16時間行った。このようにして得られたポリメチルシルセスキオキサン(PMSO)粒子の粒子径をコールターカウンターにより測定したところ、それぞれが孤立した複数の粒径分布ピークが確認された。その中で、体積換算で75%が平均粒子径13.48μm(CV値1.72%)の粒子であった。その他は、6.0μmが14%、16μmが9%であった。一方、2μm以下の微小粒子も含まれていたが、その含有量は1%にも満たなかった。
【0042】
ここに関係式(II)において上記Y、a、XおよびRの値に基いて得られる係数αは38.5であった。
(7)微小分級および乾燥
得られた粒子は遠心分離機により合成溶液と分離し、その後メタノール中で超音波を照射した後デカンテーションを行う操作を数回繰り返すことにより微小粒子を除去した。残った粒子は風乾した後、残留メタノールを除去するため150℃に加熱して乾燥させた。
【0043】
実施例2、3および比較例1、2
実施例1(3)における第二工程の粒径調整用液の調製において、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の使用量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様な操作を行った。これらの結果を実施例1の結果とともに表1に示す。表1より、αが4.0より大きく75以下である実施例1〜3において、αが4.0に満たない比較例1およびαが75より大きい比較例2よりもポリオルガノシロキサン粒子を効率良く製造できることが明らかである。
【0044】
【表1】
Figure 2004277476
【0045】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子、タッチパネル等のスペーサや標準粒子などとして用いられる、平均粒径が例えば10μmより大きく、かつ粒径分布が単分散のポリオルガノシロキサン粒子を、効果的に粒径を制御し、効率よく製造する方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    Si(OR4−n …(I)
    (式中、Rは非加水分解性基であって、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、nは1〜3の整数を示し、Rが複数ある場合、各Rはたがいに同一であっても異なっていてもよく、ORが複数ある場合、各ORはたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるケイ素化合物を含む水性溶液を、塩基性触媒存在下で加水分解、縮合させて、ポリオルガノシロキサン粒子からなるシード粒子を形成させてシード粒子形成液を得る工程、および該シード粒子形成液に前記ケイ素化合物を含む粒径成長用液を添加して、前記シード粒子を成長させる工程を含み、
    前記シード粒子成長工程において、アニオン性界面活性剤を関係式(II)
    Y=α×(a×X)/(A×R) …(II)
    ただし、aはケイ素化合物が加水分解、縮合した後の生成物の分子量をケイ素化合物の分子量で割った理論値
    Yは粒径成長用液中におけるアニオン性界面活性剤の濃度(質量%)
    Xはシード粒子合成に使用する原料の質量(g)
    Aは粒子成長工程に使用する溶液の総質量(g)
    Rはシード粒子の平均粒径(μm)
    αは係数で、4.0<α≦75
    を満たす濃度で含む粒径成長用液をシード粒子形成液に添加して、シード粒子を成長させることを特徴とするポリオルガノシロキサン粒子の製造方法。
  2. アニオン性界面活性剤が、HLB値15〜40のものである請求項1に記載の方法。
  3. アニオン性界面活性剤が高級アルコール硫酸エステル塩である請求項2に記載の方法。
  4. 高級アルコール硫酸エステル塩がドデシル硫酸ナトリウムである請求項3に記載の方法。
  5. シード粒子形成工程において、別途作製したポリオルガノシロキサン粒子含有液をケイ素化合物を含む反応系に添加し、ポリオルガノシロキサン粒子の存在下でケイ素化合物を加水分解、縮合させてシード粒子を形成させる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ポリオルガノシロキサン粒子が、平均粒子径10μmを超えるものである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
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