JP2010259258A - リニアモータの可動子、およびその製造方法 - Google Patents
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【解決手段】両側に余長部31aが延出形成された筒状軸31とコイルブロックと各コイル線端末と外部引出線35cが結線されたフレキシブルプリント基板35とを三位一体の筒状ユニットで構成し、両側余長部31aの外周域をケース体33の両側に密封支持させて、ケース体33内に密封状に内装するようにする。
【選択図】図2
Description
また、所定間隔の区画鍔を有するコイルボビンの胴部に、予め区画鍔毎にコイルを巻着してコイルブロックを形成して、コイル同士の位置ズレを防止しておき、これをコイル保持部材に固定することにより構成させたものが知られている(特許文献1の図6参照)。
シャフトは、通常、0.5mm程度のステンレス管内に複数のドーナツ棒状磁石が直列状に挿入された構成となっているため、長くなるに追随して、その自重で湾曲したり撓みを生じてしまう危惧があり、熱による膨張、収縮などの影響も考慮して、可動子は、その内周面とシャフト外周面との接触を回避するよう適正な隙間をもってスライド自在に外嵌させる必要がある。
このため、ドーナツ状の捲線コイル同士を直接接着させた可動子構造のものでは、シャフトとの外嵌隙間から液滴が侵入して、コイル内周面に悪影響を及ぼすため、シャフトや可動子及び基板を、全てケーシングなどにより覆って密封製作しなければならず、可動子を水、油、薬品などの液滴が付着する環境や、液槽内に直接潜在させる環境に用いることができない。
また、上記課題を解決するために本発明のリニアモータの可動子製造方法は、複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌される筒状軸と、その胴部に巻着された複数のコイルからなるコイルブロックと、該コイルブロックを内装するケース体とを備え、前記コイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子を製造する方法であって、前記筒状軸は、前記コイルブロックの両側端面から延出する長さをもって余長部を形成させておき、前記コイルブロックは、予めドーナツ状に捲線形成されたコイルを、前記筒状軸にそれぞれ嵌挿させて配列し、前記コイルブロックには、その両端側に配設されたコイル間に跨って、前記各コイルの線端末が結線される所定の配線パターンと端子部が形成されたプリント基板を外周面に沿わせて貼着し、各コイル相互の位置ズレを規制した後、前記各コイルの線端末と外部引出線とを前記端子部に結線せしめて、前記筒状軸とコイルブロックとプリント基板とを、その全体外観が筒状に形成された三位一体の筒状ユニットとして構成させ、該三位一体の筒状ユニットを、前記筒状軸の両側余長部をケース体の両側支持受け部に支持させた状態で、前記外部引出線をケース体の外部に引出しさせて、前記ケース体内に密封手段を介して内装することにより可動子を製造することを特徴とする。
筒状軸31は、コイルブロックの両側に配設されたコイル32の端面からそれぞれ突出して延出形成された余長部31a、31aが設けられており、ケース体33は、コイル32と両側の余長部31a、31a、および、後述する所定の配線パターンと端子部35bが外面側に形成されたフレキシブルプリント基板35を含め、熱可塑性ポリアミド系樹脂などのホットメルト樹脂により、その外周面域に密着被覆した状態で角柱の外観形状に一体形成された半硬質の樹脂製のケース体33によって構成されている。この様に、ケース体33を樹脂一体型ケースで形成した場合には、筒状ユニット自体の外周全面を樹脂皮膜する作業工程と、ナットプレート34のケース体33への組み付け作業工程が同時に行われることとなる。
なお、コイルブロックは、各コイル間に、絶縁紙などを挟んでも良く、筒状軸31は、高い耐水性、絶縁性、機械強度を有する樹脂で成型されることが好ましい。また、成型用樹脂は、成型中にコイル32の変形や、コイル32の絶縁皮膜が溶けることを防止するために、低温で融解し、低圧力で成型が可能な樹脂を選択することが好ましい。例えば、熱可塑性のポリアミド樹脂に換えて、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂又はゴム系のホットメルト樹脂等を用いても良い。
この様に各線端末32aを始端−終端の順に繰り返し配列させると、各コイル32の始端となる線端末32aが当該コイル32の側面(横面)を通ってコイル外周側に引き出され、隣接する各コイル32間が線端末32a(始端)の太さ(約0.3mm径)分の影響で離間することによりコイルブロック全体の筒形に湾曲状のゆがみ生じるのであるが、コイル外周側に引き出される始端が一方と他方の異なる方向に交互に振り分け配置され、筒状軸31へのセッティングにあたり、隣接する各コイル32相互を密接した際に、均等な間隔をもって密接させることができ、コイルブロック全体の筒形にゆがみを生じることなく、その長さ幅が円周面域全体に均等なものとしてセットすることができ、従来の如く始端を同一方向に並べ偏らせて配置することにより、各コイル32が始端側に比し終端側が全て密接して収縮した状態となり、コイルブロック全体の筒形に円弧状の湾曲ゆがみを生じ、シャフト2内に設けた棒状磁石2aとの配列バランスがズレて推力の低下を招来してしまうことを回避することができる。
この様に端子部35bを振り分け配設すると、各端子部35b同士をスター結線させる配線35aへのハンダ付け作業が容易に行え、結線ミスを防止できるだけでなく、線端末32aをハンダ付けすることにより、フレキシブルプリント基板35は、丁度、その長手方向にコイル32の両側から線端末32aによりオーバーラップ状態で抱え込み保持されることとなって、フレキシブルプリント基板35が作業中に不用意に剥がれてしまうことが防止され、各コイル32の回転ズレを防止する機能が発揮されると共に、前記したコイルブロック全体が適正な筒形状に維持されることと相俟って、線端末32aが一方に偏ることなくバランス配置されて、円筒ユニット全体の厚みが均等化され電線などの部材による凹凸のないスッキリとした平滑な筒面とすることができる。
次いで、ナットプレート34を、下型52のそれぞれの凸部52aに対して、そのナット34a孔を挿入セットし、筒状軸31に芯棒6を挿入して、これを筒状ユニットとナットプレート34とが所定間隔を存した状態で下型52にセットする。その際、フレキシブルプリント基板35側をナットプレート34と重ならないよう上側に向けて配置させ、外部引出線35cを引出し溝54から引き出しておき、上型51を被せてボルト止め孔51bより下型52とボルト止めする。
また、収納ボックス331には、図示しない外部引出線35cの引出し孔が穿設されており、この引出し孔と外部引出線35cの密封は、引出し孔に外部から圧入可能なシールゴムやシール剤によりコーキングすることで密封補強部33bを形成すればよい。なお、箱型ケースを2分割型とするなど、その構造は任意である。
また、可動子3に箱型ケースを用いるにあたり、前記の樹脂一体型ケースで成形したものを箱型ケースに収納する際には、筒状ユニット自体が樹脂で被覆され密封されているので、箱型ケースとの密封は不要であることは勿論、樹脂被服自体も薄くすることができる。
つまり、筒状ユニット自体に密封手段を適用する際には、筒状ユニットを、両端のコイル32に連なる両側余長部31aを含め、前記コイルブロックとフレキシブルプリント基板35との外周全面を樹脂皮膜で被覆せしめる密封手段によって、前記ケース体33に内装させた構成とすることができる。
この様に構成すると、既に密封が完了した筒状ユニット自体を、両側余長部31aを介してケース体33内にセットすれば良く、ケース体33との間で密封を行う必要が無くなり、檻状や網状の箱型ケースを採用することができる。
この様に、樹脂一体型ケースで成形したものを、更に箱型ケースに収納することも可能である。その際、筒状ユニット自体が既に樹脂皮膜で被覆され密封されているので、箱型ケースとの密封は不要であることは勿論、樹脂皮膜も薄くすることができ、また、箱型ケースへの支持面となる両側余長部31aの両端部には樹脂被覆を施さないことが望ましい。
つまり、ケース体33を、余長部31aを挿入する支持孔33c(支持受け部)が穿設された断面視コ字状の横向き収納ボックス331と、蓋部332とによる箱型ケースによって構成する場合には、三位一体のユニットを構成する両側余長部31a、31aの外周面域に密封手段としてのパッキンゴム7を装着させておき、一方の余長部31aを収納ボックス331内にその支持孔33cに圧入させてセットした後、他方の余長部31aを蓋部332の支持孔33cに圧入させて、蓋部332を収納ボックス331に装着するだけでよく、三位一体のユニットを容易にケース体33内に内装することができ、箱型ケースであってもそのセッティング作業工数の簡素化と部品点数の削減による総重量の軽量化を実現することができる。しかも、両側余長部31aは、そのパッキンゴム7の介在により、両端側に配置されたコイル32の側面に、その基端面を面当てさせて、ケース体33内でのコイルブロックの移動ズレが規制されて補強されると共に、両側余長部31aと支持孔33cとの隙間を密封支持することができ、支持補強と密封を兼ね備えたケース体33(支持孔33c)への支持受け面として機能することができる。従って、ケース体33との密封は、三位一体のユニットがセッティングされた収納ボックス331に蓋部332を装着するだけで、筒状軸31の両側余長部31aの外周部との密封が行われ、外部への引出し外部引出線35c部分(引出し孔)についても、シール剤によりコーキングするだけの簡単な作業で密封補強部33bを形成することができ、防水性や防滴性を容易に確保することができる。
なお、コイルブロック等のケース体33内への密封手段による密封は、完全密封で有る必要はなく、耐防塵、耐液滴、液槽内潜在などの可動子3が使用される環境に併せて、内部への侵入が防止されるよう密封状に内装されるもので有れば良い。
2 シャフト
2a 棒状磁石
3 可動子
31 筒状軸
31a 余長部
32 コイル
32a コイルの線端末(始端または終端)
33 ケース体
33a 支持受け部
33b 密封補強部
331 収納ボックス
332 蓋部
33c 支持孔(支持受け部)
34 ナットプレート
34a ナット
35 フレキシブルプリント基板
35a 配線
35b 端子部
35c 外部引出線
4 基台
41 支持部
42 ガイドレール
43 走行台
431 ガイド片
5 金型
5a 内部空域
51 上型
51a 注入口
51b ボルト止め孔
52 下型
52a 凸部
53 円弧溝
54 配線引出し溝
6 芯棒
7 パッキンゴム
8 ビス
Claims (8)
- 複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌され、その内周部に備えるコイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子であって、
該可動子は、前記シャフトに外嵌される筒状軸と、該筒状軸の胴部に、予めドーナツ状に巻線形成された複数のコイルを嵌挿配列せしめたコイルブロックとからなり、
前記筒状軸は、前記コイルブロックの両側端面から延出する余長部を備える一方、
前記コイルブロックには、前記筒状軸の両端側に配設されたコイル間に跨って、前記各コイルの線端末が結線される所定の配線パターンと端子部が形成されたプリント基板をコイル外周面に沿わせて湾曲状に貼着すると共に、
前記可動子を、前記各コイルの線端末と外部引出線とを前記端子部に結線せしめて、前記筒状軸とコイルブロックとプリント基板とによって、その全体外観が筒状に形成された三位一体の筒状ユニットとして形成し、
該三位一体の筒状ユニットは、前記両側余長部の外周域を、ケース体の両側面部に対して支持させる支持受け部として、ケース体に内装可能に構成してあることを特徴とするリニアモータの可動子。 - 請求項1において、前記筒状ユニットは、前記外部引出線をケース体の外部に引出しすることで、前記ケース体内に密封手段を介して内装してあることを特徴とするリニアモータの可動子。
- 請求項2において、前記筒状ユニットは、前記両側余長部を含め、前記コイルブロックとプリント基板との外周全面を樹脂皮膜で被覆せしめる密封手段によって密封せしめ、前記ケース体に内装されていることを特徴とするリニアモータの可動子。
- 請求項2において、前記筒状ユニットは、前記両側余長部の外周域および外部に引出しされた前記外部引出線の外周域と、それぞれに対向するケース体の内周域とを密封手段を介して密封することにより、前記ケース体に内装してあることを特徴とするリニアモータの可動子。
- 請求項2乃至4の何れかにおいて、前記ケース体は、前記コイルブロックと両側余長部がセットされた囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入するケース体成形用の金型を介して、該コイルブロックと両側余長部の外周面域に密着被覆して、所定の外観形状に一体形成された樹脂製のケース体で構成せしめたことを特徴とするリニアモータの可動子。
- 請求項1乃至5の何れかにおいて、前記プリント基板は、フレキシブルプリント基板で構成し、該フレキシブルプリント基板を、前記各コイルの線端末と前記端子部との結線の際に、前記各コイル相互の配設位置の位置ズレを規制する固定部材に兼用すべく構成してあることを特徴とするリニアモータの可動子。
- 複数の棒状磁石が直列状に配列されたシャフトにスライド自在に外嵌される筒状軸と、その胴部に巻着された複数のコイルからなるコイルブロックと、該コイルブロックを内装するケース体とを備え、前記コイルの励磁によって直線的に駆動するよう構成されたリニアモータの可動子を製造する方法であって、
前記筒状軸は、前記コイルブロックの両側端面から延出する長さをもって余長部を形成させておき、
前記コイルブロックは、予めドーナツ状に捲線形成されたコイルを、前記筒状軸にそれぞれ嵌挿させて配列し、
前記コイルブロックには、その両端側に配設されたコイル間に跨って、前記各コイルの線端末が結線される所定の配線パターンと端子部が形成されたプリント基板を外周面に沿わせて貼着し、各コイル相互の位置ズレを規制した後、
前記各コイルの線端末と外部引出線とを前記端子部に結線せしめて、前記筒状軸とコイルブロックとプリント基板とを、その全体外観が筒状に形成された三位一体の筒状ユニットとして構成させ、
該三位一体の筒状ユニットを、前記筒状軸の両側余長部をケース体の両側支持受け部に支持させた状態で、前記外部引出線をケース体の外部に引出しさせて、前記ケース体内に密封手段を介して内装することにより可動子を製造することを特徴とするリニアモータの可動子製造方法。 - 請求項7において、前記ケース体は、前記コイルブロックと両側余長部が収納可能な囲繞空間を有するケース体成形用の金型内にセットし、該金型の囲繞空間内にホットメルト樹脂を注入し、前記プリント基板とコイルブロックと両側余長部の外周面域に、注入樹脂を密着被覆させることで一体形成させた所定の外観形状を有する樹脂製のケース体であることを特徴とするリニアモータの可動子製造方法。
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