JP2007006637A - リニアモータ - Google Patents

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祐介 木村
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Abstract

【課題】可動子の大型化や部品点数の増加を抑えつつ、コイル線等の絶縁性を確保することのできるリニアモータを提供する。
【解決手段】複数の磁石4を互いに隣り合う磁石4の同じ磁極が対向するように直列状に配置してシャフト状に形成した固定子2と、電磁コイル13を備え固定子2の外周面に沿って移動可能に配設された可動子3と、電磁コイル13を構成するコイル線15の端末部と結線される配線パターン20が形成されるとともに、少なくとも配線パターン20が形成されていない面が絶縁性の材料で形成されたプリント基板18とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、リニアモータに係り、特に、シャフト状の固定子を備えるリニアモータに関するものである。
従来、例えば、OA機器である画像形成装置の印字ヘッド又は露光ヘッド等や各種医療機器における露光走査手段等において直線移動精度が要求される部位には、リニアモータを利用することが提案されている。
また、近年は、シャフト状の固定子と、固定子の外周面に沿って直線移動する可動子とから構成されるシャフト型のリニアモータが考案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。このようなシャフト型のリニアモータは、従来の平板状磁石を用いたリニアモータと比較して、磁束の利用効率が良いため、磁石をそれ程大型化しなくても大きな推力を得ることができる。このため、装置を小型化、低コスト化することができ、各種OA機器や医療機器等における精密搬送を行うのに適している。
特開平9−172767号公報 特開平9−275694号公報
ところで、リニアモータは可動子を構成する電磁コイルのコイル線を所定の組み合わせで互いに結線しなければならないが、従来は、コイル線同士を直接ハンダ付け等により結線する手法等が用いられていた。しかし、いずれのコイル線同士を結線するかは複雑であり、結線を誤る恐れがあることから、例えば、図8に示すように、結線用の配線パターン30が設けられたプリント基板31を用いる手法も用いられている。すなわち、例えば、可動子32を構成する電磁コイル33と、電磁コイル33を保持するコイル保持部材34とを備えるリニアモータにおいて、コイル保持部材34を一端が開口したほぼコ字状に形成し、前記開口部を覆うように結線用の配線パターン30を備えたプリント基板31を設けることが考えられている。このようなプリント基板31には、配線パターン30の他にコネクタ35等、種々の電子部品も実装されているのが一般である。
しかしながら、電磁コイル33のコイル線36のハンダ付け部分や結線用の配線パターン30、各種の電子部品等は、コイル保持部材34等の外部部材と接触するとショート等を起こして装置故障の原因となるおそれがあるため、コイル保持部材34等の外部部材とコイル線36のハンダ付け部分や結線用の配線パターン30等との間に十分な絶縁空間を確保する必要がある。このため、従来は、例えば、図8に示すように、コイル保持部材34とプリント基板31との間にプラスチック等の樹脂等で形成された絶縁部材37を配置することによってコイル保持部材34等の外部部材とコイル線36のハンダ付け部分や結線用の配線パターン30等との間に絶縁空間を確保する等の手法がとられていた。
しかし、このように別途絶縁部材37を用いると、部品点数が増加して装置コストの上昇につながるとの問題がある。また、十分な絶縁空間を確保しようとすると、可動子32が大型化し、ひいてはリニアモータ全体の大型化を招くとの問題もある。
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、可動子の大型化や部品点数の増加を抑えつつ、コイル線等の絶縁性を確保することのできるリニアモータを提供することを目的とするものである。
このような問題を解決するため、請求項1に記載されている発明は、複数の磁石を互いに隣り合う前記磁石の同じ磁極が対向するように直列状に配置してシャフト状に形成した固定子と、
電磁コイルを備え前記固定子の外周面に沿って移動可能に配設された可動子と、
前記電磁コイルを構成するコイル線の端末部と結線される配線パターンが形成されるとともに、少なくとも前記配線パターンが形成されていない面が絶縁性の材料で形成されたプリント基板とを備えることを特徴としている。
このような構成を有する請求項1に記載の発明は、シャフト状に形成した固定子の外周面に沿って移動可能な可動子を構成する電磁コイルのコイル線の端末部をプリント基板に形成された配線パターンと結線するようになっており、このプリント基板は、少なくとも前記配線パターンが形成されていない面が絶縁性の材料で形成されている。
請求項2に記載されている発明は、請求項1に記載のリニアモータにおいて、前記プリント基板は、前記配線パターンが形成された面と同一面上に電子部品が配設されることを特徴としている。
このような構成を有する請求項2に記載の発明は、プリント基板の同一面上に配線パターンと電子部品とを配設するようになっている。
請求項3に記載されている発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアモータにおいて、前記プリント基板は、複数の層を有し、
前記複数の層のうち少なくとも1つに前記配線パターンが形成されるとともに、少なくとも前記配線パターンが形成されていない面であって外部に露出している面が絶縁性の材料で形成されていることを特徴としている。
このような構成を有する請求項3に記載の発明は、プリント基板の複数の層のうち少なくとも1つに配線パターンが形成されるとともに、少なくとも配線パターンが形成されていない面であって外部に露出している面が絶縁性の材料で形成されるようになっている。
請求項4に記載されている発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリニアモータにおいて、前記プリント基板は、前記配線パターンが形成されていない面が前記電磁コイルと対向するように配置されることを特徴としている。
このような構成を有する請求項4に記載の発明は、配線パターンが形成されていない面が電磁コイルと対向するようにプリント基板を配置するようになっている。
請求項5に記載されている発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリニアモータにおいて、前記プリント基板は、前記配線パターンが形成されていない面が前記電磁コイルに直接接着するように配置されることを特徴としている。
このような構成を有する請求項5に記載の発明は、プリント基板を配線パターンが形成されていない面が電磁コイルに直接接着するようになっている。
請求項6に記載されている発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリニアモータにおいて、前記電磁コイルは、前記コイル線を巻回する巻線部材を備え、
前記プリント基板は、前記配線パターンが形成されていない面が前記コイル線又は前記巻線部材に直接接着するように配置されることを特徴としている。
このような構成を有する請求項6に記載の発明は、プリント基板を配線パターンが形成されていない面が電磁コイルを構成するコイル線又はコイル線を巻回する巻線部材に直接接着するようになっている。
請求項1に記載された発明によれば、プリント基板は配線パターンが形成されていない面が絶縁性の材料で形成されているので、別途絶縁部材を配置する等により電磁コイルを保持する部材等、各種の外部部材とコイル線のハンダ付け部分や結線用の配線パターン、コネクタ等の電子部品等との間に絶縁空間を確保しなくても、プリント基板の絶縁性の材料で形成された面によって配線パターン等を外部部材から絶縁し、配線パターン等が外部部材と接触することによるショート等の装置故障を防止できる。
そして、このようにプリント基板の絶縁性の材料で形成された面によって装置の絶縁性を確保するので、部品点数を増やす必要がなく装置コストを抑えることができるとの効果を奏する。また、配線パターンが形成されていない面を電磁コイルと対向するようにプリント基板を配置することにより、電磁コイルを保持する部材とプリント基板とを接近して配置することができ、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができる。
請求項2に記載された発明によれば、コネクタ等の各種電子部品をプリント基板上に実装する場合でも、配線パターンと各種電子部品とを同一面上に配置することにより、プリント基板の一方の面は配線パターンや各種電子部品の配されていない絶縁性の材料で形成された面とすることができる。このため、配線パターンや各種電子部品の配されていない面を電磁コイルと対向するようにプリント基板を配置することにより別途絶縁部材を設けなくても絶縁性を確保することができ、部品点数を減らすことができる。また、電磁コイルを保持する部材とプリント基板とを接近して配置することができるため、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができるとの効果を奏する。
請求項3に記載された発明によれば、プリント基板として複数の層を有する基板を用いるので、配線パターンや各種部品の実装密度が上がり、プリント基板を小型化することができる。そして、複数の層のうち配線パターンが配置されていない面であって外部に露出している面が絶縁性の材料で形成されているので、この絶縁性の材料で形成された面によって配線パターン等を外部部材から絶縁し、配線パターン等が外部部材と接触することによるショート等の装置故障を防止できる。
そして、このようにプリント基板の絶縁性の材料で形成された面によって装置の絶縁性を確保するので、部品点数を増やす必要がなく装置コストを抑えることができるとの効果を奏する。また、配線パターンが形成されていない面を電磁コイルと対向するようにプリント基板を配置することにより、電磁コイルを保持する部材とプリント基板とを接近して配置することができ、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができるとの効果を奏する。
請求項4に記載された発明によれば、配線パターンが形成されていない面を電磁コイルと対向するようにプリント基板を配置することにより、電磁コイルを保持する部材とプリント基板とを接近して配置することができ、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができるとの効果を奏する。また、電磁コイルと対向する面には絶縁性があるため、電磁コイルや電磁コイルを保持する部材とプリント基板との間に別途絶縁部材を配置する必要がなく、部品点数を少なくして装置コストの低減を図ることができる。
請求項5に記載された発明によれば、プリント基板の絶縁性の材料で形成された面を電磁コイルに直接接着することにより、コイル線が周囲と干渉してショート等を起こすおそれがなく、また、電磁コイルを保持する部材とプリント基板との間を空ける必要がないため、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができるとの効果を奏する。
請求項6に記載された発明によれば、電磁コイルがコイル線を巻回する巻線部材を備えているので、電磁コイルの幅調整等がし易く生産性が高まる。そして、このように巻線部材を備える場合でも、プリント基板の絶縁性の材料で形成された面を電磁コイルを構成するコイル線又は巻線部材に直接接着することにより、コイル線が周囲と干渉してショート等を起こすおそれがなく、また、電磁コイルを保持する部材とプリント基板との間を空ける必要がないため、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができるとの効果を奏する。
以下、図1〜5を参照しつつ本発明であるリニアモータの第一の実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は図示例に限定されない。
図1に示すように、本実施形態において、リニアモータ1は、長尺なシャフト状の固定子2と固定子2の外周面に沿って直線移動可能な可動子3とによって構成されている。
固定子2は、ほぼ断面円形状の磁石4をN極同士あるいはS極同士が互いに対向するように複数連結したものを長尺なパイプ状部材5の内部に収納したものである。
パイプ状部材5の一端は、例えば、図示しない蓋が一体に形成されて密閉される構造となっており、固定子保持部材6により保持されている。なお、パイプ状部材5の一端の構造は内部に収納した磁石が抜け落ちない構造であればよく、ここに例示したものに限定されない。例えば、別部材により蓋を形成し溶接や接着等により接合固定することによってパイプ状部材5の一端を密閉するようにしてもよい。
パイプ状部材5の他端には、パイプ状部材5に対応する位置に一端側から他端側に向かって貫通し開口する貫通孔7が形成された取付ブロック部材8がパイプ状部材5と一体として形成されている。なお、取付ブロック部材8及びパイプ状部材5の構成はここに例示したものに限定されない。例えば、取付ブロック部材8はパイプ状部材5と別の部材として形成した後、パイプ状部材5と取付ブロック部材8とを固着するようにしてもよい。
貫通孔7の径は、パイプ状部材5の内部に収納される磁石4の径よりも大きく形成されており、貫通孔7の内周面には雌ネジ部9が形成されている。貫通孔7には前記雌ネジ部9に螺合する雄ネジ部10が外周面に形成された蓋体11が、貫通孔7の開口する側から装着可能となっている。蓋体11の一端面には図示しない組付け工具と係合する工具係合溝12が設けられている。パイプ状部材5の内部に磁石4を収納した後、取付ブロック部8の雌ネジ部9に蓋体11の雄ネジ部10を螺着して組み付けることによりパイプ状部材5に収納された磁石4がパイプ状部材5の内部に押し込まれ固定されるようになっている。
固定子2に用いられる磁石4は磁束密度の大きい希土類磁石が好ましく、特に、希土類磁石としてネオジム系磁石、例えば、ネオジム-鉄-ボロン磁石(Nd-Fe-B磁石)等が好適に用いられる。このような希土類磁石をリニアモータ1の固定子2に用いる場合は、他の磁石を用いる場合と比べて高い推力を得ることができる。なお、磁石4は、ここに例示したものに限定されず、他の磁石を用いることもできる。
また、パイプ状部材5は、アルミニウム合金、銅合金、非磁性ステンレス鋼等の非磁性材料によって形成される。パイプ状部材5は、内部に収納される磁石4から生じる磁界を減少させないようにできるだけ薄いことが好ましい。例えば、パイプ状部材5は厚さ1mmのステンレス鋼で形成したものが適用される。なお、パイプ状部材5を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
図1及び図2に示すように、可動子3は、電磁コイル13と電磁コイル13を保持するコイル保持部材14とを備えている。
コイル保持部材14は、非磁性体により、一端に開口部を有するほぼコ字状に形成されている。コイル保持部材14の底部は、電磁コイル13の外周面に沿う半円筒状に形成されており、電磁コイル13を保持したときに、電磁コイル13が内部で安定するようになっている。コイル保持部材14を形成する材料は非磁性体であれば特に限定されないが、熱伝導性のよいものであれば電磁コイル13から発生した熱を放熱することができるため好ましい。したがって、コイル保持部材14は、例えばアルミニウム等の非磁性体でありかつ熱伝導性のよい材料で形成されることが好ましい。なお、コイル保持部材14の形状はここに例示したものに限定されない。また、コイル保持部材14は、電磁コイル13の全体を覆うものでなくてもよく、少なくとも電磁コイル13の一部を保持し得るものであればよい。
電磁コイル13はコイル線15を複数巻回した中空のコイル群であり、前記固定子2を電磁コイル13の中空部分に挿通させることにより前記固定子2の外周面と電磁コイル13の内周面とが対向するようになっている。図1及び図3に示すように、本実施形態において、電磁コイル13はコイル16U、コイル16V、コイル16Wの3相からなり、前記3相のコイル16は中空部の中心軸がほぼ一致するように互いに接着固定されている。なお、コイル1相分の幅は、磁石4の1個の長さのほぼ3分の1が好ましい。
また、図1及び図2に示すように、可動子3には、コイル保持部材14の開口部分を覆うように電磁コイル13をコネクタ17等の電子部品と接続するためのプリント基板18が設けられている。プリント基板18は、ガラス−エポキシ樹脂等の絶縁性の材料によって形成されており、プリント基板18の一方の面にはコイル線15の端末部である始端又は終端を接続する接続端19を有する配線パターン20及びコネクタ17等の各種電子部品が設けられている。なお、プリント基板18を形成する材料はここに例示したものに限定されず、他の絶縁性の材料を用いることも可能である。
図2及び図5に示すように、プリント基板18は、前記配線パターン20や電子部品の設けられていない面が電磁コイル13の外周面に接するように電磁コイル13の外周面上に接着剤21により直接接着されている。プリント基板18を接着するための接着剤21としては、例えば、エポキシ、ポリイミド、シリコン、ウレタン等の絶縁性を有する各種樹脂からなる接着剤21が好適に用いられるが、接着剤21はここに例示したものに限定されない。絶縁性を有しない接着剤21を用いることも可能である。また、プリント基板18を電磁コイル13上に接着する手段は接着剤に限定されない。
本実施形態においては、図5に示すように、コイル16Uとコイル16Wのコイル線15の終端及びコイル16Vのコイル線15の始端は、例えばハンダ付け等により接続されている。また、これ以外のコイル16Uとコイル16Wのコイル線15の始端及びコイル16Vのコイル線15の終端はプリント基板18の配線パターン20のそれぞれ対応する接続端19にハンダ22により接続されている。これにより、各コイル16U,16V,16Wは、配線パターンと接続されたコネクタ17等の電子部品と電気的に接続されるようになっている。なお、各コイル線15の始端、終端同士、又は各コイル線15の始端、終端と配線パターン20とを接続する手段はハンダ付けに限定されない。
また、図5においては、コイル16Uとコイル16Wのコイル線15の始端及びコイル16Vのコイル線15の終端のみがプリント基板18上で接続される構成を示したが、各コイル線15の始端及び終端の接続の構成はここに例示したものに限定されない。例えば、コイル16U,16V,16Wの各コイル線15の終端及び始端全てがプリント基板18上で配線パターン20のそれぞれ対応する接続端19にハンダ22により接続され、これによりコイル16Uとコイル16Wのコイル線15の終端及びコイル16Vのコイル線15の始端は互いに結線され、他のコイル16Uとコイル16Wのコイル線15の始端及びコイル16Vのコイル線15の終端はコネクタ17等の電子部品と接続されるようにしてもよい。
なお、本実施形態において電磁コイル13は3相のコイル16U,16V,16Wを1セットだけ備えるものとしたが、電磁コイル13を構成するコイルは、3相のコイル×n(n=整数)であればよく、電磁コイル13は、必要な推力に応じて、例えば、3相のコイルを2セットとして計6個のコイルで構成されていてもよいし、3相のコイルを3セットとして計9個のコイルで構成されていてもよい。
また、電磁コイル13の巻き数は、得たい推力以上の推力を得ることができるように、適当な巻き数、巻き線径を決めることが好ましい。
リニアモータ1は、可動子3の電磁コイル13に図示しない電源から電流が流されることにより電磁コイル13に磁界(N極、S極)を発生させ、電磁コイル13と固定子2のパイプ状部材5内部に直列状に配置された磁石4との間に吸引力及び反発力を生じさせることにより推力を得て、可動子3を固定子2の長手方向に移動させるようになっている。また、リニアモータ1は電磁コイル13を構成するコイル16各相に流れる電流の向きにより推力の向きが変化するようになっており、コイル16各相に流れる電流の向きを切り替えることにより可動子3の移動方向を切り替え可能となっている。さらに、リニアモータ1は電源から流される電流の大きさにより推力の大きさを変化させることができ、電流の大きさを変えることにより可動子3の移動速度を変更可能となっている。
なお、固定子2の外周面と電磁コイル13の内周面との間には微小な間隙があり、電磁コイル13は固定子2の外周面を一部摺動してもよいし、摺動せずに間隙を保ったまま移動してもよい。
本実施形態に示すような円柱形状の磁石4を用いることにより磁石4の製造コストを抑えることができるとともに、円柱形状の磁石4からなる固定子2を電磁コイル13に貫通させる構成とすることにより磁束の利用効率が良く、固定子2の大きさを必要以上に大きくしなくても大きな推力を得ることができる。なお、リニアモータ1を構成する固定子2及び電磁コイル13の形状はここに例示したものに限定されず、他の形状の固定子2及び電磁コイル13を備えてもよい。
次に、本実施形態におけるリニアモータ1の組立例について説明する。
まず、固定子2のパイプ状部材5に設けられた取付ブロック部材8の貫通孔7から磁石4をN極同士あるいはS極同士が互いに対向するように順次挿入し、所定の個数を収納すると貫通孔7の雌ネジ部9に蓋体11の雄ネジ部10を螺合させる。さらに、工具係合溝12に組付け工具を係合して貫通孔7の雌ネジ部9に蓋体11の雄ネジ部10を螺合させることにより、磁石4をパイプ状部材5の内部に押し込み固定する。
次に、公知の自動巻き線機によってコイル線15を1相分ずつ巻回し、コイル16U,16V,16Wを形成する。この際、各コイル16U,16V,16Wは幅が磁石4の1個の長さのほぼ3分の1となるようにし、得たい推力に応じて必要相当分のコイル線15を巻回する。
コイル16U,16V,16Wは、例えば、図示しないシャフト状の治具にコイル16U,16V,16Wの中空部を通すことにより内径位置を揃えた上で、隣接するコイル16U,16V,16W同士を図示しない接着剤等で接着固定することにより、3相のコイル16U,16V,16Wからなる電磁コイル13を形成する。
次に、電磁コイル13をコイル保持部材14に装着するとともに、プリント基板18を配線パターン20等が形成されていない面が電磁コイル13の外周面に接するように接着剤21で接着固定する。
そして、コイル16Uとコイル16Wのコイル線15の終端及びコイル16Vのコイル線15の始端をハンダ付けにより接続し、コイル16Uとコイル16Wのコイル線15の始端及びコイル16Vのコイル線15の終端をプリント基板18の配線パターン20のそれぞれ対応する接続端19にハンダ付けにより結線する。これにより、各コイル16U,16V,16Wは、配線パターン20と接続されたコネクタ17等の電子部品と電気的に接続される。
なお、前記のように、全てのコイル線15の始端及び終端をプリント基板18上で接続し、これによりコイル16Uとコイル16Wのコイル線15の終端及びコイル16Vのコイル線15の始端を互いに結線し、他のコイル16Uとコイル16Wのコイル線15の始端及びコイル16Vのコイル線15の終端をコネクタ17等の電子部品と接続する場合には、各コイル線15の始端及び終端を配線パターン20のそれぞれ対応する接続端19にハンダ22により接続する。
最後に電磁コイル13の中空部からシャフト状の治具を抜き取り、前記中空部に固定子2を挿入する。これにより、リニアモータ1の組立てが完了する。なお、電磁コイル13とコイル保持部材14と固定子2とを組み付ける順番は、ここに例示したものに限定されない。
次に、本実施形態におけるリニアモータ1の作用について説明する。
電磁コイル13におけるコイル16U,16V,16Wのコイル線15の配線、接続作業が完了後、作業者の操作により、図示しない電源から、コネクタ17と、プリント基板18の配線パターン20とを介して、電磁コイル13に電流を導通させる。これにより、電磁コイル13に磁界(N極、S極)が発生し、電磁コイル13と固定子2のパイプ状部材5内部に直列状に配置された磁石4との間に吸引力及び反発力が生じる。これにより可動子3は推力を得て、固定子2に沿って所定の方向に移動する。なお、電磁コイル13に導通させる電流を適宜切り替えることにより可動子3の移動方向及び移動速度を調整することができる。
以上より、本実施形態によれば、配線パターン20とコネクタ17とを同一面上に配置しプリント基板18の他方の面を絶縁性の材料で形成しているので、プリント基板18の絶縁性の材料で形成されている面を電磁コイル13に直接接着することができる。このため、別途絶縁部材を配置する等によりコイル保持部材14等、各種の外部部材とコイル線15のハンダ付け部分や結線用の配線パターン、コネクタ17等の電子部品等との間に絶縁空間を確保しなくても、配線パターン20等を外部部材から絶縁し、配線パターン20等が外部部材と接触することによるショート等の装置故障を防止できる。これにより、可動子3の小型化、ひいてはリニアモータ1全体の小型化を実現することができる。
また、プリント基板18を電磁コイル13に直接接着するため、部品点数を減らして装置コストを抑えることができる。
なお、本実施形態においては、プリント基板18を電磁コイル13の外周面に接着剤で直接接着するように構成したが、プリント基板18を設ける位置はここに例示した位置に限定されない。例えば、プリント基板18を電磁コイル13から離して配置することも可能である。この場合にも、プリント基板18の絶縁性の材料で形成された面を外部部材と接するように配置し、コイル線や、配線パターン、各種電子部品等と干渉により故障等が懸念される各種の外部部材とが干渉しないようにする。
また、本実施形態においては、図2及び図5に示すように、プリント基板18として配線パターン20及びコネクタ17等の各種電子部品を実装したものを例示したが、プリント基板18の構成はここに例示したものに限定されない。例えば、プリント基板18上には配線パターン20のみを形成し、コネクタ17等の電子部品を実装する代わりに各種電子部品と接続可能なハンダ付け部を設ける構成のものを用いてもよい。
また、プリント基板18は、必ずしも全体が絶縁性を有する材料で形成されている必要はなく、少なくとも配線パターン、各種電子部品等が設けられている面とは異なるいずれかの面が外部との絶縁を確保できるのもであればよい。絶縁を確保する手段としては、例えば、絶縁性を確保したい面に絶縁性の塗料を塗布したり、絶縁性のシートや薄い板等を貼付する等の手段を取ることが考えられるが、絶縁を確保する手段はここに例示したものに限定されない。
また、電磁コイル13は図5等に例示した構成のものに限定されず、例えば、図6に示すように、各コイル16U,16V,16W毎にコイル線を巻回する巻線部材としての中空のボビン40を備え、このボビン40にそれぞれコイル線15を巻回する構成としてもよい。ボビン40を備える場合には、コイル線15の巻き幅の調整等を容易に行い生産性を高めることが可能である。
このように電磁コイル13を巻線部材としてのボビン40を備える構成とした場合には、プリント基板18は、プリント基板18の絶縁性の材料で形成されている面を電磁コイル13のコイル線15に接するように直接接着されてもよいし、ボビン40の端部等に直接接着されてもよい。
ボビン40に直接接着した場合でも、プリント基板18は、配線パターン20とコネクタ17とを同一面上に配置し他方の面を絶縁性の材料で形成されているので、コイル線15のハンダ付け部分や結線用の配線パターン、コネクタ17等の電子部品等と各種の外部部材との間には絶縁性が確保され、配線パターン20等が外部部材と接触することによるショート等の装置故障を防止できる。
なお、巻線部材としてのボビン40の形状は、図6に例示したものに限定されない。
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
次に、図7を参照しつつ、本発明に係るリニアモータの第二の実施形態について説明する。なお、本実施形態は、プリント基板の構成のみが第一の実施形態と異なるものであるので、以下においては、特に第一の実施形態と異なる点について説明する。
本実施形態において、リニアモータは第一実施形態と同様、複数の磁石を直列状に配置してなるシャフト状の固定子と固定子の外周面に対向して固定子の長手方向に移動可能に嵌装された可動子とを備えている(いずれも図示せず)。
可動子は第一実施形態と同様、複数のコイルからなる電磁コイルを備えており(いずれも図示せず)、可動子は図示しないコイル保持部材によって保持されている。また、可動子には、電磁コイルのコイル線の端末部である始端又は終端を接続する接続端を有する配線パターン20及びコネクタ17等の各種電子部品が設けられたプリント基板28が設けられている。プリント基板28は、第一実施形態と同様に、電磁コイルの外周面に接着剤等により直接接着されている。
図7に示すように、本実施形態において、プリント基板18は、ウエハース状に4層の絶縁体と配線パターン20とを積み重ねた多層基板である。本実施形態においては、電磁コイル13に接触する一番下の4層目及びその上の3層目は配線パターン20が形成されていない絶縁体によって構成された層であり、これ以外の1層目、2層目等に配線パターン20やコネクタ17等の各種電子部品が設けられている。また、1層目と2層目との間には各層を互いに接続するためのバイアホール(Via Hole)29が形成されている。本実施形態においてバイアホール29は電磁コイル13に接触する4層目まで貫通しないよう、配線パターン20やコネクタ17等の設けられた各層間のみを接続するIVH(Interstitial Via Hole)となっている。
なお、その他の構成は、第一実施形態のものと同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施形態におけるリニアモータの作用について説明する。
電磁コイルのコイル線をプリント基板28の所定の接続端に接続配線する。接続作業が完了後、作業者の操作により、図示しない電源から、コネクタ17と、プリント基板28の配線パターン20とを介して、電磁コイルに電流を導通させる。これにより、電磁コイルに磁界(N極、S極)が発生し、電磁コイルと固定子を構成する磁石との間に吸引力及び反発力が生じる。これにより可動子は推力を得て、固定子に沿って所定の方向に移動する。なお、電磁コイルに導通させる電流を適宜切り替えることにより可動子の移動方向及び移動速度を調整することができる。
以上のように、本実施形態によれば、プリント基板28としてウエハース状に4層の絶縁体と配線パターン20とを積み重ねた多層基板を用いるので、配線パターン20やコネクタ17等の各種電子部品の実装密度が上がるため、複雑な回路構成にも対応可能となる。そして、このような基板を用いた場合でも、4層目及び3層目は配線パターン20が形成されていない絶縁体によって構成された層となっているので、この面を電磁コイルに直接接着することができる。このため、別途絶縁部材を配置する等によりコイル保持部材等、各種の外部部材とコイル線のハンダ付け部分や結線用の配線パターン20、コネクタ17等の電子部品等との間に絶縁空間を確保しなくても、配線パターン20等を外部部材から絶縁し、配線パターン20等が外部部材と接触することによるショート等の装置故障を防止できる。これにより、可動子の小型化、ひいてはリニアモータ全体の小型化を実現することができる。
また、プリント基板28を電磁コイルに直接接着するため、部品点数を減らして装置コストを抑えることができる。
なお、本実施形態においては、プリント基板28として4層からなるものを例に説明したが、プリント基板の層は4層に限定されず、4層以下であってもよいし、さらに多くの層が積層された構成のものでもよい。
その他、本発明が本実施の形態に限られないことは、第一の実施形態と同様である。
本発明に係るリニアモータの第一の実施形態を模式的に示した斜視図である。 図1に示すリニアモータの可動子部分の要部断面図である。 本実施形態における電磁コイルを構成する3相のコイル同士の接続を説明する図である。 本実施形態における電磁コイルを構成する3相のコイルの配線を説明する模式図である。 本実施形態における電磁コイルとプリント基板との接続を説明する図である。 本実施形態における電磁コイルの一変形例を示す斜視図である。 本発明に係るリニアモータの第二の実施形態に適用されるプリント基板を模式的に示した要部段面図である。 従来のリニアモータの可動子部分の要部断面図である。
符号の説明
1 リニアモータ
2 固定子
3 可動子
4 磁石
5 パイプ状部材
8 取付ブロック部材
11 蓋部
13 電磁コイル
14 コイル保持部材
15 コイル線
16 コイル
17 コネクタ
18 プリント基板
20 配線パターン
21 接着剤
22 ハンダ
29 バイアホール
37 絶縁部材
40 ボビン

Claims (6)

  1. 複数の磁石を互いに隣り合う前記磁石の同じ磁極が対向するように直列状に配置してシャフト状に形成した固定子と、
    電磁コイルを備え前記固定子の外周面に沿って移動可能に配設された可動子と、
    前記電磁コイルを構成するコイル線の端末部と結線される配線パターンが形成されるとともに、少なくとも前記配線パターンが形成されていない面が絶縁性の材料で形成されたプリント基板とを備えることを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記プリント基板は、前記配線パターンが形成された面と同一面上に電子部品が配設されることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
  3. 前記プリント基板は、複数の層を有し、
    前記複数の層のうち少なくとも1つに前記配線パターンが形成されるとともに、少なくとも前記配線パターンが形成されていない面であって外部に露出している面が絶縁性の材料で形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリニアモータ。
  4. 前記プリント基板は、前記配線パターンが形成されていない面が前記電磁コイルと対向するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のリニアモータ。
  5. 前記プリント基板は、前記配線パターンが形成されていない面が前記電磁コイルに直接接着するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリニアモータ。
  6. 前記電磁コイルは、前記コイル線を巻回する巻線部材を備え、
    前記プリント基板は、前記配線パターンが形成されていない面が前記コイル線又は前記巻線部材に直接接着するように配置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のリニアモータ。
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