JP2010254584A - 光安定性に優れたキノロン系抗菌薬含有液体製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 キノロン系抗菌薬、1種又は2種以上のクエン酸塩を水に溶解させ、必要により酸又はアルカリ剤によりこの溶液のpHを5.5〜7.5に調整し、かつ、中性塩により浸透圧比を0.85〜1.20に調整することを特徴とする光安定性が向上されたキノロン系抗菌薬含有液体製剤であり、特にキノロン系抗菌薬がレボフロキサシンであり、点眼用剤としての液体製剤である。
【選択図】 なし
Description
例えば、キノロン系抗菌薬に対して緩衝作用を有する少なくとも1種又は2種以上のリン酸塩水溶液にキノロン系抗菌薬を溶解させ、酸又はアルカリ剤によりこの溶解溶液のpHを5.5〜7.5にすると共に、中性塩により浸透圧比を0.85〜1.20に調整し、リン酸塩の配合量を無水物として0.5〜3.3wt/v%とすることにより光安定性を向上させるキノロン系抗菌薬液体製剤、及びこの液体製剤を、緑色透明性ないし半透明性材製の包装容器内に充填するキノロン系抗菌薬液体製剤の包装体が提案されている(特許文献1)。
(1)キノロン系抗菌薬、1種又は2種以上のクエン酸塩を水に溶解させ、必要により酸又はアルカリ剤によりこの溶液のpHを5.5〜7.5に調整し、かつ、中性塩により浸透圧比を0.85〜1.20に調整することを特徴とする光安定性が向上されたキノロン系抗菌薬含有液体製剤、
(2)キノロン系抗菌薬に対して少なくとも1種又は2種以上のクエン酸塩を0.2〜0.85wt/v%とすることを特徴とする上記(1)に記載の液体製剤、
(3)キノロン系抗菌薬がレボフロキサシンである上記(1)又は(2)に記載の液体製剤、
(4)液体製剤が点眼用剤である上記(1)に記載の液体製剤、
である。
また、本発明のキノロン系抗菌薬含有液体製剤は、光に対する安定性に優れたものであることから、その液体製剤を充填する包装容器(包装体)は透明性のものであっても良いことから、その品質検査等を外部からの視認により容易に行うことが可能であり、より安全性に優れたキノロン系抗菌薬含有液体製剤を提供することができる。
特に、本発明にあっては、レボフロキサシンに対する安定化剤として添加するクエン酸塩による緩衝作用と、レボフロキサシン自身の緩衝作用が相乗的に作用することにより、少数の配合成分にもかかわらず、上記した特定範囲のpH値及び浸透圧比の下で、その光安定性を著しく向上させる作用が発揮され、その効果は特異的なものである。
また、本発明のキノロン系抗菌薬含有液体製剤とは、上記したキノロン系抗菌薬を有効成分として含有する液状製剤をいい、具体的には、例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤等を挙げることができる。なかでも点眼剤としての液体製剤が特に好ましい。
この含有量は、目的とする液体製剤の用途に応じて適宜変更することができる。
この液体製剤のpHは、必要に応じて、適量の水酸化ナトリウム等のアルカリ剤、又は塩酸、クエン酸、クエン酸水和物等の酸の添加により調整することができる。好ましくはクエン酸であり、クエン酸水和物としての配合量は、0〜0.1wt/v%であることが好ましい。より好ましくは、0〜0.06wt/v%である。
本発明が提供するレボフロキサシン含有液体製剤は、特に光に対する安定性に優れたものであることより、容器として透明性の容器に充填することが可能となり、そのため、品質検査等を外部からの視認により容易に行うことが可能であり、より安全性に優れたキノロン系抗菌薬含有液体製剤を提供することができる。
なお、以下の実施例1〜10においては、点眼液の浸透圧比は塩化ナトリウムを用いて1.05に調整した。
また、必要に応じて、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムのpH調節剤を用いて点眼液がpH6.5となるように調節した。
常温下で、精製水80mLにレボフロキサシン500mgを添加し、撹拌して溶解させた後、クエン酸ナトリウム水和物850mgを添加し、撹拌して溶解させた。次いでこの溶液に塩化ナトリウム656mgを添加し、撹拌して溶解させた後、クエン酸水和物57mgを添加し、この溶解溶液のpH6.5に調整し、精製水を合計100mLになるように加えて、ろ過することにより、微黄色澄明な点眼液を得た。
実施例1の処方において、クエン酸水和物57mgを30mgに変更し、塩酸により、この溶解溶液のpH6.5に調整した以外は、実施例1と同様に処理することにより、微黄色澄明な点眼液を得た。
実施例2の処方において、クエン酸水和物30mgを0mg(すなわち、無添加)に変更した以外は、実施例2と同様に処理することにより、微黄色澄明な点眼液を得た。
これらの組成を表1にまとめた。なお、表中の数値は、試料1mL中のmgを示す。
市販品(商品名:クラビット(登録商標)点眼液、レボフロキサシンを0.5wt/v%含有する)を比較例1とした。ただし、この比較例1のpHは6.55であった。
比較例2として、生理食塩水にレボフロキサシンを添加溶解し、適量の塩酸を添加することによりpHを6.5とした試料を調製した。
比較例3として、リン酸緩衝液にレボフロキサシンを溶解したものに、酸又はアルカリのpH調製剤を添加することによりpHを6.5とした試料を調製した。
これら比較例1〜3の組成を表2にまとめた。
実施例1〜10及び比較例1〜3の各点眼液を、無色透明性のポリエチレン製容器(円筒形状、5mL容量、大成化工社製)に充填して密閉し、光安定性試験に供した。
各点眼液を充填した容器に対して、その上方から昼光色蛍光灯を3000lx・hrの光強度で照射した。
光照射量が60万lx・hrに達した時点で、各容器中に充填された点眼液についてレボフロキサシンの含有量を定量し、その定量値より、レボフロキサシンの残存率を算出した。
その結果を、表3に示した。
実施例1〜10の試料におけるレボフロキサシンの残存率は、比較例1〜3の検体試料の残存率と対比した場合、その残存率が極めて高く、優れた光安定性を有していることが判明した。
また、比較例2(本発明の液剤からクエン酸塩を除いたもの)と対比させると、本発明の液剤が、優れた光安定性を示すことが判明する。
さらに、比較例3(リン酸緩衝液を含む液剤)と対比させると、本発明の液剤が、優れた光安定性を示すことが判明する。
下記に従って、試料溶液、標準溶液及び内標準溶液を調製し、以下、日局一般試験法液体クロマトグラフ法により試験を行い、内標準物質のピーク面積に対するレボフロキサシンのピーク面積の比を求め、次の計算式に基づいて算出した。
薬液(5mg/mL)2.5mL/0.01mol/L−塩酸50mL 0.25mg/mL
上記薬液10mL+内標4mL/精製水50mL
レボフロキサシン50mg/0.01mol/L−塩酸100mL 0.5mg/mL
上記レボフロキサシン溶液の5mL+内標4mL/精製水50mL
レボフロキサシン採取量(mg)×Qt/Qs×1/4×K×100
式中、1/4は希釈倍率、K=1/[表示量(mg)×試料採取量(mL)]を示す。
また、内標準溶液は、パラオキシ安息香酸メチル溶液(3→20000)である。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:内径約4.6mm、長さ150mmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填したもの。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
注入量:10μL。
前記実施例1〜10及び比較例1〜3の各試料に含有される分解生成物の量を求めた。
その結果を表4に示す。
この光に対する安定性は、特にクエン酸塩の配合による緩衝効果、等張化等により、溶液中に溶解されたキノロン系抗菌薬が、光に対して安定して存在するものであり、その安定性は、従来のキノロン系抗菌薬含有液体製剤に比較してよりすぐれたものである。
したがって、より安定性の優れたキノロン系抗菌薬含有液体製剤を提供できる点で、本発明の医療上の有用性は多大なものである。
Claims (4)
- キノロン系抗菌薬、1種又は2種以上のクエン酸塩を水に溶解させ、必要により酸又はアルカリ剤によりこの溶液のpHを5.5〜7.5に調整し、かつ、中性塩により浸透圧比を0.85〜1.20に調整することを特徴とする光安定性の向上したキノロン系抗菌薬含有液体製剤。
- キノロン系抗菌薬に対して少なくとも1種又は2種以上のクエン酸塩を0.2〜0.85wt/v%とすることを特徴とする請求項1に記載の液体製剤。
- キノロン系抗菌薬がレボフロキサシンである請求項1又は2に記載の液体製剤。
- 液体製剤が点眼用剤である請求項1記載の液体製剤。
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