JP2010251100A - 入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に、従来に比べて、効果的に、操作音を小さくできる入力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 ラバーステム2と、前記ラバーステム2に押圧されて変形可能な可動接点8とを有し、前記ラバーステム2が、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムのうち、いずれかのゴム材により形成される。これらゴム材は、例えば、シリコーンゴム(比較例)の損失係数Tanδよりも高い損失係数Tanδを示すので、小音効果が高い。したがって、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴムあるいは低反発シリコーンゴムによりラバーステム2を形成することで、操作音が小さい入力装置を製造することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 ラバーステム2と、前記ラバーステム2に押圧されて変形可能な可動接点8とを有し、前記ラバーステム2が、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムのうち、いずれかのゴム材により形成される。これらゴム材は、例えば、シリコーンゴム(比較例)の損失係数Tanδよりも高い損失係数Tanδを示すので、小音効果が高い。したがって、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴムあるいは低反発シリコーンゴムによりラバーステム2を形成することで、操作音が小さい入力装置を製造することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、操作音を小さくできる入力装置に関する。
ラバーステムと、ラバーステムにより押圧されて変形可能な可動接点とを有して構成される押釦スイッチに対し、操作音を小さくする要求があった。
下記特許文献1の[0039]欄や、特許文献2の[0056]欄には、可動接点が反転したときにラバーステムにより音及び振動を吸収でき、これにより操作音を小さくできることが開示されている。
しかしながら、特許文献1には、ゴムの材質や特性について何も言及されていない。また特許文献2には、[0032]欄に、ゴムの材質は開示されているものの、これらの材質の特性、特に、小音効果の尺度となる物性、例えば、損失係数Tanδについて言及されていない。特許文献2にはシリコーンゴムの記載があるが、後述の実験に示すようにシリコーンゴムでは、小音効果を期待できないことがわかっている。
そこで本発明は上記従来課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べて、効果的に、操作音を小さくできる入力装置を提供することを目的とする。
本発明は、ラバーステムと、前記ラバーステムに押圧されて変形可能な可動接点とを有する入力装置において、
前記ラバーステムが、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムのうち、いずれかのゴム材により形成されていることを特徴とするものである。
前記ラバーステムが、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムのうち、いずれかのゴム材により形成されていることを特徴とするものである。
あるいは本発明は、ラバーステムと、前記ラバーステムに押圧されて変形可能な可動接点とを有する入力装置において、
前記ラバーステムは、損失係数Tanδが0.2以上のゴム材で形成されることを特徴とするものである。
前記ラバーステムは、損失係数Tanδが0.2以上のゴム材で形成されることを特徴とするものである。
ゴム材の小音効果は、損失係数Tanδ(損失正接)に依存し、損失係数Tanδが大きくなるほど、すなわち貯蔵弾性率に比して損失弾性率が大きくなるほど、小音効果が大きい。損失係数Tanδは、損失弾性率/貯蔵弾性率で示される。損失弾性率はゴムが受けた刺激(例えば音や振動)を熱エネルギーとして放出する成分である。損失係数Tanδが大きい、すなわち損失弾性率の比率が大きいゴム材は、音や振動を熱に変換しやすく、その結果として、小音効果が得られる。本発明におけるラバーステムとして使用されるフッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムはいずれも、例えば、シリコーンゴム(比較例)よりも高い損失係数Tanδを示すので小音効果が高い。したがって、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴムあるいは低反発シリコーンゴムによりラバーステムを形成することで、操作音が小さい入力装置を製造することができる。
本発明の入力装置によれば、従来に比べて、効果的に、操作音を小さくできる。
図1は本実施形態における押釦スイッチ(入力装置)を高さ方向から切断したときの縦断面図である。
本実施形態における押釦スイッチ1は、ラバーステム2とスイッチ部3とを備える。
ラバーステム2は、押圧部4と押圧部4と一体に形成された支持部5とを備える。支持部5は基板6に支持されている。押圧部4の上面4aは平坦面で形成された押圧面である。押圧部4の下面には下方向に突出する突出部4bが形成されている。ラバ−ステム2の上面(押圧面)4aを下方に押圧すると、支持部5が変形して押圧部4を下方向へ移動させることが出来る。
ラバーステム2は、押圧部4と押圧部4と一体に形成された支持部5とを備える。支持部5は基板6に支持されている。押圧部4の上面4aは平坦面で形成された押圧面である。押圧部4の下面には下方向に突出する突出部4bが形成されている。ラバ−ステム2の上面(押圧面)4aを下方に押圧すると、支持部5が変形して押圧部4を下方向へ移動させることが出来る。
スイッチ部3は、基板6上に形成された導電性の固定接点7と、固定接点7の上方を覆うように設けられたドーム状(あるいは凸状)の可動接点8とを備える。可動接点8は薄い金属板で形成されており、固定接点7に対向する可動接点8の下面8aは接触部となっている。また、可動接点8の外周部8bは、基板6上に固定されている。可動接点8の外周部8bには基板6上に配線された導電パターン9が接続されており、また固定接点7には基板6の下面側に配線された導電パターンがスルーホールを介して接続されている(図示せず)。
ラバーステム2が下方に押圧されると突出部4bにて可動接点8の上面に下方向の荷重が加えられる。荷重が一定以上になると、可動接点8は反転し、可動接点8の下面(接触部)8aの一部が固定接点7に接触し、これにより、スイッチ入力を行うことが出来る。
本実施形態における入力装置1の特徴的部分は、ラバーステム2が、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムのうち、いずれかのゴム材により形成されている点である。
ゴム材の小音効果は、損失係数Tanδに依存し、損失係数Tanδが大きくなるほど、すなわち貯蔵弾性率に比して損失弾性率が大きくなるほど、小音効果が大きい。損失係数Tanδは、損失弾性率/貯蔵弾性率で示される。損失弾性率はゴムが受けた刺激(例えば音や振動)を熱エネルギーとして放出する成分である。損失係数Tanδが大きい、すなわち損失弾性率の比率が大きいゴム材は、音や振動を熱に変換しやすく、その結果、小音効果が得られる。本実施形態におけるラバーステムとして使用されるフッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムはいずれも、例えば、シリコーンゴム(比較例)よりも高い損失係数Tanδを示すので小音効果が高い。したがって、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴムあるいは低反発シリコーンゴムでラバーステムを形成することにより、可動接点8が反転したときの音(振動)を、可動接点8に当接するラバーステム2が高効率に吸収することで操作音を効果的に小さくすることができる。
ゴム材料の小音効果は、ポリマー分子同士、もしくはポリマー分子と補強材との間の摩擦に基づくものである。音や振動によって歪が与えられたときに発生した応力を取り除くと、一旦、ほぐれた主鎖と側鎖との絡み合いが再度元へ戻る挙動を示すが、このような運動を繰り返すと、分子間に摩擦が発生し、その音や振動による機械エネルギーを摩擦による熱エネルギーに変換して音や振動を減衰させるものと論じられている。
そして、小音効果の高い(損失係数Tanδが高い)ゴム材は、例えば、分子鎖が長く(例えば、架橋型フッ素ゴム)、あるいは、低分子量成分(液体や低分子量ポリマー)が適度に混合され(例えば、フロロシリコーンゴム)、または、フィラーの分散状態を向上させた(例えば、低反発シリコーンゴム)構成を備えている。
フッ素ゴムはフッ素樹脂を無理やり可塑化させたものなので、フッ素ゴム内には架橋に与らない低分子量領域が存在する。この低分子量領域(おそらくガラス転移温度は低い)が存在すると、熱で分子が動きやすくなるため緩和機構が増える。その海島構造的な理由から、フッ素ゴムは相対的にTanδが大きいと考えられる。フッ素ゴムの構造式を以下の化学式1に示す。
架橋型フッ素ゴムは、フッ素化ポリエーテル骨格と末端にシリコーン架橋反応基を有する、いわゆるシリコーンエラストマーとフッ素エラストマーを複合化したもので、シリコーン末端で架橋する(以下の化学式2を参照)。
架橋型フッ素ゴムSIEFL9700は極めて分子鎖が長いゴム材料である。架橋型フッ素ゴムでの小音効果は分子鎖の構造的特徴が最も大きく影響していると思われる。この架橋型フッ素ゴムには、常温液状型で分子鎖が短いものも存在しており、この分子鎖が短い架橋型フッ素ゴムだと、Tanδが低く小音効果も得られない。架橋型フッ素ゴムについては、架橋密度により損失係数Tanδが変化すると考えられ、例えば架橋剤を低減したり熱プレス時間を短くして、架橋密度を低下させることで、損失係数Tanδを高めることができると考えられる。
架橋型フッ素ゴムは、ミラブル型、液状型の別を問わないが、液状型の場合は、架橋条件をミラブル型と異ならせることが必要である。液状型の場合、ミラブル型と同じ架橋条件とすると架橋が進みすぎ、良好な小音効果を得ることができない。よって、液状型の架橋型フッ素ゴムを用いる場合では、熱プレス温度を低くしたり、熱プレス時間を短くして架橋が進みすぎるのを抑制することで、良好な小音効果を得ることが出来る。
フロロシリコーンゴムは、シリコーンゴムの耐薬品性を向上させたもので、シリコーンエラストマーの側鎖にフッ素が付いている構造を持つ(以下の化学式3を参照)。
シリコーンゴムとフロロシリコーンゴムは分子構造が類似しているにも関わらず、Tanδに2倍以上の差が生じている。この理由として、フロロシリコーンゴムは適度に低分子量シロキサンを含むために高い損失係数Tanδが得られるものと考えられる。フロロシリコーンゴムにはトリフルオロプロピル基(−CH2CH2CF3)を有する低分子量シロキサンが含まれており、これが200℃の高温化で熱処理しても揮発せず、数千ppmのオーダーでゴム内に残留していることが確認されている。つまり、ゴム内には低分子量成分を比較的多く含んでおり、この低分子量成分が存在すると緩和機構が増えるためTanδの増加が起こり得ると考えられる。
またフロロシリコーンゴムは、架橋型フッ素ゴムよりも材料価格が安い。また、シリコーンゴムや架橋型フッ素ゴムと比較して伸び率が大きく裂けにくい性質を有する。
低反発シリコーンゴムは、例えば、ジメチルシロキサン系のシリコーンポリマーにシリカ粒子(極少量の酸化チタンも含む)を補強材として含有し、ポリマーを架橋した構造である。シリコーンゴムは、Tanδは0.1以下で小音には適さない材料である。しかし、このシリコーンゴムでもシリカ増量や分散状態を変えるとTanδを2倍以上も高くできる。このシリカの量や分散状態を変えることで小音効果を高めたのが低反発シリコーンゴムである。
ところで、反発弾性率が低いゴム材ほど損失係数Tanδは高いという相関関係がある。
R/100=H/Hc=exp(−2πTanδ)
ここでRは、反発弾性率で、Hは、リュプケ式反発弾性試験機での跳ね返り高さで、Hcが初期高さである。
ここでRは、反発弾性率で、Hは、リュプケ式反発弾性試験機での跳ね返り高さで、Hcが初期高さである。
このため、シリコーンゴムでも低反発タイプのシリコーンゴムを使用することで、損失係数Tanδを大きくでき小音効果を高めることができる。
低反発シリコーンゴムは、フッ素系のゴムよりも材料価格が安い。このため、ラバーステム2を低反発シリコーンゴムで形成すれば、高い小音効果を得た上に、より効果的に材料コストを低くすることが可能である。また、低反発シリコーンゴムの引張強さはシリコーンゴムと同程度で、破断までの伸び率はシリコーンゴムや架橋型フッ素ゴムよりも高く、また裂けにくいという特徴がある。
本実施形態では、上記のゴム材を用いることで、ラバーステム2の損失係数Tanδを0.2以上に設定することが出来る。シリコーンゴム(比較例)の損失係数Tanδが0.05〜0.1程度であるから、十分に損失係数Tanδが大きい。
本実施形態では、ラバーステム2のゴム硬度は、60°〜90°の範囲内であることが好適である。ゴム硬度の測定は、JIS−K6253に準拠する。
例えば上記に挙げた特許文献1,2は、操作面のある押圧部とは別にゴム材を取り付け、操作面のある押圧部は従来のように硬質な材質とし、その硬質な押圧部に軟質なゴム材を取り付ける構造としている。これに対して、本実施形態では、ラバーステム2全体を同じゴム材で形成し、しかもゴム硬度が高くても良好な小音効果を得ることができる。よって本実施形態では、簡単な構造を実現でき、また、ラバーステム2の薄型化を促進しやすい。
以下の様々なゴム材に対し、音圧測定、動的粘弾性(貯蔵弾性率、損失弾性率、損失係数Tanδ)の測定、反発弾性率の試験、応力ひずみ曲線の測定を行った。
(音圧測定方法)
押釦スイッチ操作音の音圧レベルと周波数特性を測定した。押釦スイッチの押圧部(ラバーステム2の押圧部4の上面4a)と測定器押圧部の間にシリコーンゴム(Hs40° 2mm厚)を挟んだ状態で音圧を測定した。つまり押釦スイッチを押すシリコーンゴムを人間の指に想定して測定した。測定機器には、小野側器の騒音計LA−5120とヒューレットパッカード社のファンクションジェネレータ3314Aを用いた。また、測定は、反無響音室(オーディオルーム)で行い、打鍵速度(ファンクションジェネレータにて測定)を打鍵周波数×振幅×2とした。
押釦スイッチ操作音の音圧レベルと周波数特性を測定した。押釦スイッチの押圧部(ラバーステム2の押圧部4の上面4a)と測定器押圧部の間にシリコーンゴム(Hs40° 2mm厚)を挟んだ状態で音圧を測定した。つまり押釦スイッチを押すシリコーンゴムを人間の指に想定して測定した。測定機器には、小野側器の騒音計LA−5120とヒューレットパッカード社のファンクションジェネレータ3314Aを用いた。また、測定は、反無響音室(オーディオルーム)で行い、打鍵速度(ファンクションジェネレータにて測定)を打鍵周波数×振幅×2とした。
また押釦スイッチの可動接点(メタルコンタクト)には、材質:SUS301、大きさ:φ5mm、厚さ:75μmを使用した。
(動的粘弾性の測定(貯蔵弾性率、損失弾性率、損失係数Tanδ))
動的粘弾性は、TAインスツルメント社の固体粘弾性測定装置RSA3により測定した。摩擦や音に関連する振動は1kHz以上の周波数になる。しかし、このような高周波数になると試験機の駆動系のパワーが不足したり、試験機自体の振動がノイズとして現れたりする。よって、安定して測定ができる周波数は最大で100〜200Hz程度である。それ以上の周波数での粘弾性測定の実測は困難なのが現状である。ただ、動的粘弾性には時間温度換算則が利用でき、温度を段階的に変えて動的粘弾性の周波数依存性を測定することで、1kHz以上の周波数帯域での粘弾性が予測できる。音圧のデータとの相関を考えると1kHz以上の周波数帯域での測定が必要となるので、時間温度換算則を利用したTanδの周波数依存性の測定が必要である。今回のTanδ、貯蔵弾性率、損失弾性率の周波数依存性は、時間温度換算則を利用したものを示す。
動的粘弾性は、TAインスツルメント社の固体粘弾性測定装置RSA3により測定した。摩擦や音に関連する振動は1kHz以上の周波数になる。しかし、このような高周波数になると試験機の駆動系のパワーが不足したり、試験機自体の振動がノイズとして現れたりする。よって、安定して測定ができる周波数は最大で100〜200Hz程度である。それ以上の周波数での粘弾性測定の実測は困難なのが現状である。ただ、動的粘弾性には時間温度換算則が利用でき、温度を段階的に変えて動的粘弾性の周波数依存性を測定することで、1kHz以上の周波数帯域での粘弾性が予測できる。音圧のデータとの相関を考えると1kHz以上の周波数帯域での測定が必要となるので、時間温度換算則を利用したTanδの周波数依存性の測定が必要である。今回のTanδ、貯蔵弾性率、損失弾性率の周波数依存性は、時間温度換算則を利用したものを示す。
(反発弾性率の試験)
反発弾性試験機(東洋精機製作所製トリプソ式)を用いて、反発弾性率を測定した。なお、測定は、基本的にJIS−K6255「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの反発弾性試験方法」に準拠した。
反発弾性試験機(東洋精機製作所製トリプソ式)を用いて、反発弾性率を測定した。なお、測定は、基本的にJIS−K6255「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの反発弾性試験方法」に準拠した。
(応力ひずみ曲線)
12cm×12cmのゴムシート(厚さ約2mmと約0.3mm)をダンベル3号と引き裂き強度試験片A型で加工してゴム試験片を作製した。このゴム試験片に対し、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック RTC-1150A)を用いて、移動速度500mm/minで試験片が破断するまでゴムを引っ張った。このときのゴムの伸びに対する荷重を自動測定して、引張強さと伸び率の関係及び引き裂き強さと伸び率の関係(応力ひずみ曲線:SS曲線)を測定した。引き裂き試験の場合は移動速度50mm/minとした。
12cm×12cmのゴムシート(厚さ約2mmと約0.3mm)をダンベル3号と引き裂き強度試験片A型で加工してゴム試験片を作製した。このゴム試験片に対し、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック RTC-1150A)を用いて、移動速度500mm/minで試験片が破断するまでゴムを引っ張った。このときのゴムの伸びに対する荷重を自動測定して、引張強さと伸び率の関係及び引き裂き強さと伸び率の関係(応力ひずみ曲線:SS曲線)を測定した。引き裂き試験の場合は移動速度50mm/minとした。
(フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、シリコーンゴムの実験)
フッ素ゴム(3M製のSFM−70A)、架橋型フッ素ゴム(信越化学工業製SIFEL9700)、シリコーンゴム(東レダウコーニング製のSH材とSE材)でラバーステムを作製し、図1に示す押釦スイッチを用いて、上記した音圧測定、動的粘弾性の測定を行った。なおフッ素ゴムと架橋型フッ素ゴムの熱プレス条件は160℃−4分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。また、シリコーンゴムの熱プレス条件は175℃−4分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。
フッ素ゴム(3M製のSFM−70A)、架橋型フッ素ゴム(信越化学工業製SIFEL9700)、シリコーンゴム(東レダウコーニング製のSH材とSE材)でラバーステムを作製し、図1に示す押釦スイッチを用いて、上記した音圧測定、動的粘弾性の測定を行った。なおフッ素ゴムと架橋型フッ素ゴムの熱プレス条件は160℃−4分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。また、シリコーンゴムの熱プレス条件は175℃−4分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。
図2は、各ゴム材にて形成したラバーステムを使用した押釦スイッチにおける音圧の周波数特性を示すグラフである。音圧が高いほど操作音が高いことを示す。よって、音圧が低いほど小音効果に優れていることになる。図2に示すように、ラバーステム2にシリコーンゴムを使用した場合、最も操作音が高く、次いで、架橋型フッ素ゴム、フッ素ゴムの順に操作音が小さくなることがわかった。
図3は、各ゴム材における損失係数Tanδの周波数特性、図4は、各ゴム材における損失弾性率の周波数特性、図5は、各ゴム材における貯蔵弾性率の周波数特性を示す。
図3に示すように、音圧が最も低かったフッ素ゴムの損失係数Tanδが最も大きくなり、音圧が最も高かったシリコーンゴムの損失係数Tanδが最も小さくなった。フッ素ゴムの損失係数Tanδは相対的に高い値を示し0.5〜2程度を示した。また架橋型フッ素ゴムの損失係数Tanδも0.2以上得られることがわかった。また、損失弾性率及び貯蔵弾性率も、シリコーンゴム、架橋型フッ素ゴム及びフッ素ゴムの順に高くなった。
以上により、ゴム材の損失係数Tanδが高いほど小音効果が大きいことがわかった。
以上により、ゴム材の損失係数Tanδが高いほど小音効果が大きいことがわかった。
(ミラブル型の架橋型フッ素ゴムと、液状型の架橋型フッ素ゴムの実験)
架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)と、SIFEL3702(液状型)の2種類でラバーステムを作製した。
架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)と、SIFEL3702(液状型)の2種類でラバーステムを作製した。
実験では、架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)の熱プレス条件を160℃−4分間に設定した。一方、架橋型フッ素ゴムSIFEL3702(液状型)の熱プレス温度を120℃とし、熱プレス時間を1分間−4分間に設定した。また、熱プレス圧力を200kg/cm2に固定した。また2次架橋条件は全て200℃−4時間とした。
図6は、各ゴム材を使用した押釦スイッチにおける音圧の周波数特性を示すグラフである。
図6に示すように架橋型フッ素ゴムSIFEL3702(液状型)を用いた場合、熱プレス時間が短くなるほど、音圧を低下できることがわかった。このように、架橋型フッ素ゴムSIFEL3702(液状型)でも架橋条件を調整することで、架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)とほぼ同等の音圧まで低下させることができるとわかった。
図7は、ラバーステムとして使用する架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)に対する熱プレス時間を変化させたときの、押釦スイッチにおける音圧の周波数特性を示すグラフである。なお熱プレス温度は160℃とした。図7に示すように、架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)の場合も熱プレス時間を短くすることで、音圧が低下する傾向が見られた。
図8では、ゴム硬度が60°の架橋型フッ素ゴムSIFEL3605(液状型)で形成したラバーステム搭載押釦スイッチにおける音圧の周波数特性を調べた。なお、架橋型フッ素ゴムSIFEL3605(液状型)に対する熱プレス条件は、160℃−4分間とした。また、ゴム硬度が70°の架橋型フッ素ゴムSIFEL3702(液状型)で形成したラバーステム(熱プレス条件は、160℃−4分間)を搭載した押釦スイッチにおける音圧の周波数特性、及び、ゴム硬度が70°の架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)から形成したラバーステム(熱プレス条件は、160℃−4分間)を搭載した押釦スイッチにおける音圧の周波数特性についても図8に記載した。なお、2次架橋条件を、200℃−4時間とした。
図8に示すように、架橋型フッ素ゴムSIFEL3605(液状型)を用いた場合でも、架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)を用いた場合とほぼ同様の音圧が得られることがわかった。
図9、図10は、架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)と、架橋型フッ素ゴムSIFEL3702(液状型)の応力ひずみ曲線(SS曲線)を示す。引張りと引き裂きにおける応力ひずみ曲線は、架橋型フッ素ゴムSIFEL9700(ミラブル型)と架橋型フッ素ゴムSIFEL3702(液状型)とでほぼ同等であった。
(フロロシリコーンゴムの実験)
実験には、信越化学工業製のFE−361−U(硬度は62°)(図には「F36」と記載)、東レダウコーニング製のLS63U(硬度は60°)(図には「LS6」と記載)の各フロロシリコーンゴムを使用した。熱プレス条件は165℃−10分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。
実験には、信越化学工業製のFE−361−U(硬度は62°)(図には「F36」と記載)、東レダウコーニング製のLS63U(硬度は60°)(図には「LS6」と記載)の各フロロシリコーンゴムを使用した。熱プレス条件は165℃−10分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。
図11は、各ゴム材で形成したラバーステム搭載押釦スイッチにおける音圧の周波数特性を示す。図12は、各ゴム材の損失係数Tanδの周波数特性を示す。図13は、各ゴム材の貯蔵弾性率の周波数特性を示す。図14は、各ゴム材の損失弾性率の周波数特性を示す。図15、図16は各ゴム材の応力ひずみ曲線(SS曲線)を示す。なお各図には、架橋型フッ素ゴム(SIEFL9700)及びシリコーンゴム(SH−871U:硬度70°)の実験結果も合わせて掲載した。
図11に示すように、フロロシリコーンゴムを使用した場合では、シリコーンゴムを用いた場合に比べて音圧を低くでき、また架橋型フッ素ゴムを用いた場合とほぼ同等、あるいは材質によっては架橋型フッ素ゴムを用いた場合よりも低い音圧を得ることが出来た。
図12に示すように、フロロシリコーンゴムの損失係数Tanδは、シリコーンゴムよりも高くなった。また、フロロシリコーンゴムの損失係数Tanδは、架橋型フッ素ゴムとほぼ同等で、材質によっては架橋型フッ素ゴムよりも損失係数Tanδを高くできた。フロロシリコーンゴムの損失係数Tanδは0.3〜0.4程度であることがわかった。また、貯蔵弾性率は各ゴム材でさほど大きな差はなかったが、損失弾性率は、シリコーンゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴムの順に高くなった。
また図15、図16に示すように、フロロシリコーンゴムは、シリコーンゴムに比べて、引張強さが小さくなったが、伸び率が高く裂けにくい材質であることがわかった。
(低反発シリコーンゴムの実験)
実験には、信越化学工業製のKE−5560U(硬度は60°)、及び信越化学工業製のKE−5570U(硬度は72°)の低反発シリコーンゴムを用いた。熱プレス条件は170℃−10分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。
実験には、信越化学工業製のKE−5560U(硬度は60°)、及び信越化学工業製のKE−5570U(硬度は72°)の低反発シリコーンゴムを用いた。熱プレス条件は170℃−10分間とし、2次架橋条件は200℃−4時間とした。また、熱プレス圧力を200kg/cm2にした。
低反発シリコーンゴムKE−5560Uの固形成分比は約58%で、低反発シリコーンゴムKE−5570Uの固形成分比は約54%であった。ちなみにフロロリシコーンゴムの固形成分比は15%程度であった。また、低反発シリコーンゴムKE−5560Uの比重は約1.45で、低反発シリコーンゴムKE−5570Uの比重は約1.41であった。ちなみに一般のシリコーンゴムの比重は約1.14であった。
図17は、各ゴム材で形成したラバーステム搭載押釦スイッチにおける音圧の周波数特性、図18は、各ゴム材における損失係数Tanδの周波数特性、図19は、各ゴム材における貯蔵弾性率の周波数特性、図20は、各ゴム材における損失弾性率の周波数特性、図21ないし図24は、各ゴム材の応力ひずみ曲線(SS曲線)を示す。なお各図には、架橋型フッ素ゴム(SIEFL9700)及びシリコーンゴム(SH−871U:硬度70°)の実験結果も合わせて掲載した。
図17に示す実験結果に示すように、低反発シリコーンゴムを用いることで、シリコーンゴムよりも効果的に音圧を小さくできることがわかった。
また図18に示す実験結果に示すように、低反発シリコーンゴムの損失係数Tanδは、シリコーンゴムよりも高く出来ることがわかった。また図18に示すように低反発シリコーンの損失係数Tanδは0.2〜0.3程度になることがわかった。また、低反発シリコーンゴムの貯蔵弾性率及び損失弾性率は、シリコーンゴムよりも大きくなった。
図21ないし図24の応力ひずみ曲線の実験は試験片の厚みを変えて行ったものである。低反発シリコーンゴムの引張強さはシリコーンゴムの引張強さとほぼ同等となった。ただし低反発シリコーンゴムの引張強さは、架橋型フッ素ゴムの引張強さに比べて10〜20%程度低下した。また破断までの伸び率について、低反発シリコーンゴムの伸び率は、シリコーンゴムや架橋型フッ素ゴムよりも50%〜130%程度大きくなった。
また、低反発シリコーンゴムの引き裂き強度は、シリコーンゴムと比較して約60%〜130%程度、架橋型フッ素ゴムと比較して30%〜90%程度高くなった。また低反発シリコーンゴムの破断までの伸び率も、シリコーンゴムや架橋型フッ素ゴムに比べて、250%〜850%程度に大きくなった。このように低反発シリコーンゴムは、シリコーンゴムや架橋型フッ素ゴムと比較して、伸び率が大きくて裂けにくい性質を持っていることがわかった。
(反発弾性率と損失係数Tanδとの相関関係の実験)
各ゴム材の反発弾性率と損失係数Tanδ(周波数は1Hzとした)との相関関係を図25に示す。
各ゴム材の反発弾性率と損失係数Tanδ(周波数は1Hzとした)との相関関係を図25に示す。
図25に示すように、反発弾性率が低くなるほど、損失係数Tanδが高くなることがわかった。図25に示すように、シリコーンゴムは反発弾性率が高く且つ損失係数Tanδが低く、損失係数Tanδは高くても0.15程度であったが、本実施例のフッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムは、いずれも反発弾性率が低く、また0.2以上の損失係数Tanδが得られることがわかった。また低反発シリコーンゴムは、架橋型フッ素ゴムやフロロシリコーンゴムとほぼ同等の反発弾性率及び損失係数Tanδを備えることがわかった。
1 押釦スイッチ(入力装置)
2 ラバーステム
3 スイッチ部
4 押圧部
5 支持部
6 基板
7 固定接点
8 可動接点
2 ラバーステム
3 スイッチ部
4 押圧部
5 支持部
6 基板
7 固定接点
8 可動接点
Claims (3)
- ラバーステムと、前記ラバーステムに押圧されて変形可能な可動接点とを有する入力装置において、
前記ラバーステムが、フッ素ゴム、架橋型フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム及び低反発シリコーンゴムのうち、いずれかのゴム材により形成されていることを特徴とする入力装置。 - 前記ゴム材の損失係数Tanδは、0.2以上である請求項1記載の入力装置。
- ラバーステムと、前記ラバーステムに押圧されて変形可能な可動接点とを有する入力装置において、
前記ラバーステムは、損失係数Tanδが0.2以上のゴム材で形成されることを特徴とする入力装置。
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Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JP2002357240A (ja) * | 2001-06-04 | 2002-12-13 | Kurashiki Kako Co Ltd | 気体ばね式除振装置 |
JP2004071225A (ja) * | 2002-08-02 | 2004-03-04 | Alps Electric Co Ltd | 押釦スイッチ構造 |
JP2005197109A (ja) * | 2004-01-08 | 2005-07-21 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | キートップ構造体 |
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2009
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