JP2010249780A - 赤外線センサおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造歩留りの低下を抑制でき、且つ熱型赤外線検出部の薄膜化を図りながらも熱型赤外線検出部の反りを防止することが可能な赤外線センサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】赤外線センサは、シリコン基板(半導体基板)1における熱型赤外線検出部3に対応する部位に熱絶縁用の空洞11がウェットエッチングにより形成されている。熱型赤外線検出部3は、シリコン基板1の熱絶縁層33上にn形ポリシリコン層(シリコン層)34、p形ポリシリコン層(シリコン層)35および電極37からなる温度検出部36と、温度検出部36を保護する層間絶縁膜(保護膜)49およびパッシベーション膜(保護膜)60とを備える。シリコン窒化膜からなるエッチング防止層71が、温度検出部36の両ポリシリコン層34,35の表面および熱絶縁層33の表面を覆う形で形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】赤外線センサは、シリコン基板(半導体基板)1における熱型赤外線検出部3に対応する部位に熱絶縁用の空洞11がウェットエッチングにより形成されている。熱型赤外線検出部3は、シリコン基板1の熱絶縁層33上にn形ポリシリコン層(シリコン層)34、p形ポリシリコン層(シリコン層)35および電極37からなる温度検出部36と、温度検出部36を保護する層間絶縁膜(保護膜)49およびパッシベーション膜(保護膜)60とを備える。シリコン窒化膜からなるエッチング防止層71が、温度検出部36の両ポリシリコン層34,35の表面および熱絶縁層33の表面を覆う形で形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、赤外線センサおよびその製造方法に関するものである。
従来から、図6(a)に示すように、単結晶のシリコン基板1’の一表面側において複数の熱型赤外線検出部3’が3行×3列に配列された赤外線センサが提案されている(特許文献1参照)。
図6(a)に示す構成の赤外線センサでは、図6(b)に示すように、単結晶のシリコン基板1’の前記一表面側において複数の熱型赤外線検出部3’が配置された領域の外側の領域に該熱型赤外線検出部3’からの出力を読み出すための信号出力回路の一部を構成する2つのMOSトランジスタ4a’,4b’とを有し、シリコン基板1’において熱型赤外線検出部3’それぞれに対応する各部位に熱絶縁用の空洞11’が形成されている。
ここにおいて、熱型赤外線検出部3’は、シリコン基板1’の前記一表面側に形成されたシリコン酸化膜からなる熱絶縁層33’と、当該熱絶縁層33’上にシリコンにより形成され赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知するpn接合ダイオードで構成された温度検出部36’とを備える。また、熱型赤外線検出部3’は、温度検出部36’が配設された平面視矩形状の赤外線吸収部33b’が、シリコン基板1’における熱絶縁用の空洞11’の周部に設けられた支持部33a’から延出した平面視L字状の梁部33c’によって、赤外線吸収部33b’を両側から支持する形でシリコン基板1’の前記一表面側に配置されている。
次に、図6に示す構成の赤外線センサの製造方法の概要について説明する。
まず、シリコン基板1’の前記一表面側にシリコン酸化膜からなる熱絶縁層33’を形成し、その後、当該熱絶縁層33’上における温度検出部36’の形成予定領域A1’および一方のMOSトランジスタ4a’の形成予定領域A2’に温度検出部36’および前記一方のMOSトランジスタ4a’の基礎となる単結晶シリコン層を島状に形成し、その後、他方のMOSトランジスタ4b’の形成予定領域A3’に形成されている熱絶縁層33’をエッチングにより除去し、その後、各MOSトランジスタ4a’,4b’それぞれのゲート電極を形成してシリコン基板1’の前記一表面側に温度検出部36’および各MOSトランジスタ4a’,4b’を形成する。その後、温度検出部36’および2つのMOSトランジスタ4a’,4b’を保護するための保護膜61’、温度検出部36’および2つのMOSトランジスタ4a’,4b’を電気的に接続する配線57’,58’を形成する。
保護膜61’および配線57’,58’を形成した後、各熱型赤外線検出部3’の形成予定領域A1’において、保護膜61’および熱絶縁層33’を厚み方向に貫通し且つ赤外線吸収部33b’と支持部33a’とを離間させる複数のスリット13’,13’を形成する。しかして、赤外線吸収部33b’と2つの梁部33c’,33c’と支持部33a’とが形成される。
複数のスリット13’,13’を形成した後に、スリット13,13を空洞11’形成用のエッチング液導入孔としてエッチング液(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液)を導入してシリコン基板1’をウェットエッチング(異方性エッチング)することによりシリコン基板1’における熱型赤外線検出部3’に対応する部位に空洞11’を形成することで、図6(b)に示す構造が得られる。
なお、この類の赤外線センサには、温度検出部(図示せず)がサーモパイルで構成された赤外線センサもある。また、熱型赤外線検出部(図示せず)を1個だけ備えた赤外線センサもある。
しかしながら、図6(b)に示す構成の赤外線センサでは、温度検出部36’がシリコンにより形成されているので、保護膜61’と配線57’,58’との線膨張係数の差異や保護膜61’の成膜不良等に起因して、保護膜61’にクラックやピンホールが存在する場合、シリコン基板1’における熱型赤外線検出部3’に対応する部位に空洞11’を形成する工程において、保護膜61’の表面側から当該クラックやピンホールを通して温度検出部36’にエッチング液が到達し温度検出部36’がエッチングされることにより欠損し、製造歩留りが低下するおそれがある。
また、図6に示す構成の赤外線センサは、各梁部33c’が熱絶縁層33’および保護膜61’からなる2層構造を有している。ここで、当該赤外線センサにおいて、赤外線吸収による温度検出部36’の温度変化を大きくすることで高感度化を図る目的で、各梁部33c’を含めた熱型赤外線検出器3’全体を薄くすることが考えられるが、この場合、例えば、梁部33c’の一部を構成するシリコン酸化膜からなる熱絶縁層33’や保護膜61’が圧縮応力を有する場合、梁部33c’が変形して熱型赤外線検出器3’に反りが発生し、感度が低下してしまうことが考えられる。
本願発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造歩留りの低下を抑制でき且つ熱型赤外線検出部の薄膜化を図りながらも熱型赤外線検出部の反りを防止することが可能な赤外線センサおよびその製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、半導体基板の一表面側に熱型赤外線検出部を有し、半導体基板における熱型赤外線検出部に対応する部位に熱絶縁用の空洞がウェットエッチングにより形成された赤外線センサであって、熱型赤外線検出部は、半導体基板の前記一表面側に形成された熱絶縁層と、当該熱絶縁層上に形成されたシリコン層を有し赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する温度検出部と、外部の湿気から温度検出部を保護するための保護膜とを備え、熱型赤外線検出部に対応する部位におけるシリコン層が形成されていない部位に保護膜の半導体基板側とは反対側の表面から半導体基板の前記一表面にまで達する形で形成されたエッチング液導入孔を通してエッチング液を導入し半導体基板における熱型赤外線検出部に対応する部位に熱絶縁用の空洞をウェットエッチングにより形成する際、温度検出部のシリコン層にエッチング液が到達しシリコン層が前記エッチング液によりエッチングされるのを防止し且つ熱絶縁層が有する残留応力と相殺して熱型赤外線検出部の残留応力を低減する応力を有する絶縁膜からなるエッチング防止層が、保護膜と温度検出部および熱絶縁層との間において温度検出部のシリコン層の表面および熱絶縁層の表面を覆う形で形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、温度検出部のシリコン層の表面を覆う形でエッチング防止層が形成されていることにより、熱型赤外線検出部に対応する部位におけるシリコン層が形成されていない部位に保護膜の半導体基板側とは反対側の表面から半導体基板の前記一表面にまで達する形で形成されたエッチング液導入孔を通してエッチング液を導入し半導体基板における熱型赤外線検出部に対応する部位に絶縁用の空洞をウェットエッチングにより形成する際、保護膜の製造過程で保護膜に生じたクラックやピンホールを通して温度検出部のシリコン層にエッチング液が到達しシリコン層が前記エッチング液によりエッチングされるのを防止することができるので、温度検出部のシリコン層がエッチングされることにより欠損し、製造歩留りが低下するのを抑制することができる。また、エッチング防止層が有する応力が、熱絶縁層が有する応力および保護膜が有する応力と相殺して熱型赤外線検出部に生ずる応力を低減することにより、熱型赤外線検出部の薄膜化を図りながらも熱型赤外線検出部の反りを防止することができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記熱型赤外線検出部に並設され当該熱型赤外線検出部の出力を読み出すためのMOSトランジスタを有し、MOSトランジスタは、前記半導体基板の内部の前記一表面側に形成されたウェル領域と、ウェル領域内における前記半導体基板の前記一表面側に形成されたドレイン領域と、前記半導体基板の前記一表面上であって且つウェル領域におけるドレイン領域とソース領域との間に位置する部位に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に半導体により形成されたゲート電極とを備え、熱絶縁用の前記空洞をウェットエッチングにより形成する際にエッチング液によりゲート電極がエッチングされるのを防止する絶縁膜からなる前記エッチング防止層が、ゲート電極の表面を覆う形で形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、ゲート電極の表面を覆う形で前記エッチング防止層が形成されていることにより、前記シリコン基板における前記熱型赤外線検出部に対応する部位に絶縁用の前記空洞をウェットエッチングにより形成する際、前記エッチング液がゲート電極に到達し半導体により形成されたゲート電極が前記エッチング液によりエッチングされることにより欠損し、製造歩留りが低下するのを抑制することができる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記熱絶縁層は、シリコン酸化膜により形成され、前記エッチング防止層は、シリコン窒化膜により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記エッチング防止層がシリコン窒化膜により形成されていることにより、前記エッチング防止層がシリコン酸化膜により形成されている場合に比べて緻密にできるので、前記温度検出部の前記シリコン層の欠損をより確実に防止することができる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記半導体基板がシリコン基板であって、前記熱絶縁層を構成する前記シリコン酸化膜は、前記シリコン基板の前記一表面側を酸化させることにより形成され、前記エッチング防止層を構成する前記シリコン窒化膜は、前記シリコン酸化膜が有する圧縮応力と相殺して前記熱型赤外線検出部の残留応力を低減する引張応力を有することを特徴とする。
この発明によれば、前記シリコン窒化膜の一般的な成膜方法を用いて、前記シリコン窒化膜が、前記シリコン酸化膜の有する圧縮応力と相殺して前記熱型赤外線検出部の残留応力を低減する引張応力を有するようにすることができる。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の発明において、前記半導体基板の前記一表面側に複数の前記熱型赤外線検出部が二次元アレイ状に配置されてなることを特徴とする。
この発明によれば、複数の前記熱型赤外線検出部が二次元アレイ状に配置されてなる赤外線センサについても製造歩留りを向上させることができる。
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の赤外線センサの製造方法であって、前記半導体基板の前記一表面側における熱型赤外線検出部の形成予定領域に前記熱絶縁層を形成する熱絶縁層形成工程と、熱絶縁層形成工程の後で赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する前記温度検出部の前記シリコン層を前記熱絶縁層上に形成するシリコン層形成工程と、シリコン層形成工程の後で前記熱絶縁層の表面および前記温度検出部の前記シリコン層の表面に前記エッチング防止層を形成するエッチング防止層形成工程と、エッチング防止層形成工程の後で前記エッチング防止層の表面側に前記保護膜を形成する保護膜形成工程と、保護膜形成工程の後で前記熱絶縁層、前記エッチング防止層および前記保護膜からなる積層構造部をパターニングして前記積層構造部の前記熱型赤外線検出部に対応する部位における前記シリコン層が形成されていない部位に前記熱絶縁層、前記エッチング防止層および前記保護膜の厚み方向に貫通するエッチング液導入孔を形成する積層構造部パターニング工程と、積層構造部パターニング工程の後で前記エッチング液導入孔を通して前記エッチング液を導入し前記半導体基板における前記熱型赤外線検出部に対応する部位に熱絶縁用の前記空洞をウェットエッチングにより形成する空洞形成工程とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する前記温度検出部の前記シリコン層を前記熱絶縁層上に形成するシリコン層形成工程の後で、前記熱絶縁層の表面および前記温度検出部の前記シリコン層の表面に前記エッチング防止層を形成するエッチング防止層形成工程を行ってから保護膜形成工程で前記保護膜を形成し、その後、空洞形成工程においてウェットエッチングにより前記空洞を形成するので、前記保護膜にクラックやピンホールがあっても当該クラックやピンホールを通して前記エッチング液が前記温度検出部の前記シリコン層に到達して前記温度検出部の前記シリコン層がエッチングされるのを防止でき、製造歩留りが低下するのを抑制することができる。
請求項1の発明によれば、温度検出部のシリコン層の表面および熱絶縁層の表面を覆う形でエッチング防止層が形成されていることにより、半導体基板における熱型赤外線検出部に対応する部位に絶縁用の空洞をウェットエッチングにより形成する際に使用するエッチング液が保護膜の製造過程で保護膜に生じたクラックやピンホールを通して温度検出部のシリコン層に到達し温度検出部のシリコン層がエッチングされるのを防止することができるので、熱絶縁用の空洞をウェットエッチングにより形成する際に、温度検出部のシリコン層がエッチングされることにより欠損し、製造歩留りが低下するのを抑制することができる。また、熱型赤外線検出部の薄膜化を図りながらも熱型赤外線検出部の反りを防止することができる。
請求項6の発明によれば、赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する前記温度検出部の前記シリコン層を前記熱絶縁層上に形成するシリコン層形成工程の後で、前記熱絶縁層の表面および前記温度検出部の前記シリコン層の表面に前記エッチング防止層を形成する前記エッチング防止層形成工程を行ってから保護膜形成工程で前記保護膜を形成し、その後、空洞形成工程においてウェットエッチングにより前記空洞を形成するので、前記保護膜にクラックやピンホールがあっても当該クラックやピンホールを通して前記エッチング液が前記温度検出部の前記シリコン層に到達して前記温度検出部の前記シリコン層がエッチングされるのを防止でき、製造歩留りが低下するのを抑制することができる。
以下、実施形態について図1乃至図5に基づいて説明する。
実施形態の赤外線センサは、図2(a)に示すように、熱型赤外線検出部3と画素選択用スイッチング素子であるMOSトランジスタ4とを有する画素2が半導体基板であるシリコン基板1の厚み方向の一表面において二次元アレイ(マトリクス状)に配置されている。なお、図2に示す構成の赤外線センサでは、1枚のシリコン基板1の前記一表面側にm×n(図示例では、8×8個)の画素2が配置されているが、画素2の数や配列は特に限定されるものではない。
また、図2(a)に示す構成の赤外線センサは、図2(b)に示すように、各列の複数個の熱型赤外線検出部3の温度検出部36(図1参照)の一端が前述のMOSトランジスタ4を介して各列ごとに共通接続された複数の垂直読み出し線7と、各行の熱型赤外線検出部3に対応するMOSトランジスタ4が各行ごとに共通接続された複数の水平信号線6と、各列の複数個の熱型赤外線検出部3の温度検出部36の他端が各列ごとに共通接続された複数の基準バイアス線5とを備えている。従って、全ての熱型赤外線検出部3の出力を時系列的に読み出すことができる。
要するに、実施形態の赤外線センサは、シリコン基板1の前記一表面側に熱型赤外線検出部3と当該熱型赤外線検出部3に並設され当該熱型赤外線検出部3の出力を読み出すためのMOSトランジスタ4とを有する複数の画素2が形成されている。
ここで、図2(c)に示すように、MOSトランジスタ4は、ゲート電極46(図1参照)が水平信号線6に接続され、ドレイン電極47(図1参照)が温度検出部36を介して基準バイアス線5に接続され、ソース電極48が垂直読み出し線7に接続されており、図2(a)に示すように、各垂直読み出し線7、各水平信号線6および共通グランド線8それぞれが、パッド9と接続配線91を介して電気的に接続されている。従って、MOSトランジスタ4が順次オン状態となるように各パッド9の電位を制御することで各熱型赤外線検出部3の出力を時系列的に読み出すことができる。実施形態では、例えば、水平信号線6に印加される電圧が5Vに設定されたときには、MOSトランジスタ4がオン状態となり、温度検出部36からの信号が垂直読み出し線7に出力され、水平信号線6に印加される電圧が0Vに設定されたときには、MOSトランジスタ4がオフ状態となり、温度検出部36からの信号は垂直読み出し線7に出力されないようにすることができる。なお、温度検出部36は、後述のように、シリコン層であるp形ポリシリコン層34とn形ポリシリコン層35とを後述の電極37により接続してなる熱電対からなるものであり、図2(c)に示す電圧源Vsは、熱型赤外線検出部3が赤外線を吸収したときに温度検出部36で発生する熱起電力に対応する。
なお、図2(b)では、温度検出部36の等価回路を、温度検出部36で発生する熱起電力に対応する電圧源Vsと、前記電圧源Vsに直列接続された抵抗Rと、前記抵抗Rに並列接続されたコンデンサCとで表している。
以下、熱型赤外線検出部3およびMOSトランジスタ4それぞれの構造について説明する。なお、実施形態では、シリコン基板1として、導電形がn形で前記一表面が(100)面の単結晶シリコン基板を用いている。
熱型赤外線検出部3は、シリコン基板1の前記一表面側における熱型赤外線検出部3の形成予定領域A1に形成され、シリコン基板1の前記一表面側に形成された矩形枠状の支持部33aと、当該支持部33aの内側に配置される矩形状の赤外線吸収部33bと、支持部33aと赤外線吸収部33bとを連結する複数(実施形態では2つ)の梁部33cと、赤外線吸収部33bで赤外線を吸収することにより発生した熱エネルギを電気エネルギに変換する温度検出部36とを備える。ここで、各梁部33cは、赤外線吸収部33bの一側縁の長手方向の一端部から当該一側縁に直交する方向に延長され更に当該一側縁の前記一端部から他端部に向かって当該一側縁に沿って延長され更に前記他端部側で支持部33aに連結されており、各梁部33cは、赤外線吸収部33bの厚み方向に沿った中心軸に対して回転対称となるように配置されている。また、実施形態の赤外線センサでは、シリコン基板1における平面視で支持部33aの内側に対応する部位に、熱絶縁用の空洞11が形成されている。
前記の支持部33a、赤外線吸収部33bおよび2つの梁部33cからなる構造体は、シリコン基板1の前記一表面側に形成される第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31と当該第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31上に形成される第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32との積層膜(シリコン酸化膜)からなる熱絶縁層33と、熱絶縁層33上に形成されたシリコン窒化膜からなり後述の空洞形成工程においてエッチング液(実施形態では、TMAH溶液)により後述のn形ポリシリコン層34やp形ポリシリコン層35やゲート電極46がエッチングされるのを防止するエッチング防止層71と、エッチング防止層71上に形成されたBPSG膜からなる層間絶縁膜49と、当該層間絶縁膜49上に形成されたPSG膜と当該PSG膜上に形成されたNSG膜との積層膜からなるパッシベーション膜60との積層構造部をパターニングすることにより形成されている。なお、パッシベーション膜60および層間絶縁膜49は、熱型赤外線検出部3の形成予定領域A1とMOSトランジスタ4の形成予定領域A2とに跨って形成されているが、熱型赤外線検出部3の形成予定領域A1に形成された部分は赤外線吸収膜として機能する。ここで、層間絶縁膜49とパッシベーション膜60とから温度検出部36およびゲート電極46等を保護する保護膜が構成される。また、前記積層構造部をパターニングすることにより、熱型赤外線検出部3に対応する部位における後述のシリコン層であるn形ポリシリコン層34やp形ポリシリコン層35が形成されていない部位に保護膜のシリコン基板側とは反対側の表面からシリコン基板の前記一表面にまで達する形で後述のスリット13,13が形成され、後述の空洞形成工程では、後述のスリット13,13をエッチング液導入孔としてエッチング液(実施形態では、TMAH溶液)を導入し空洞11を形成する。
ここで、エッチング防止層71は、シリコン窒化膜で形成され、温度検出部36の表面と、ゲート電極46の表面と、熱絶縁層33の表面とを覆う形で形成されている。また、熱絶縁層33は、シリコン酸化膜である第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31および第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32からなり、第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31および第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32が、圧縮応力を有するのに対して、エッチング防止層71を構成する前記シリコン窒化膜は、引張応力を有する。即ち、エッチング防止層71が、熱絶縁層33を構成する第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31および第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32が有する残留応力である圧縮応力と相殺して熱型赤外線検出部3の残留応力を低減する引張応力を有する。
しかして、赤外線吸収による熱型赤外線検出部3の温度変化を大きくすることで高感度化を図る目的で、熱型赤外線検出部3を薄膜化した場合であっても、熱型赤外線検出部3の反りを防止することができる。
温度検出部36は、熱絶縁層33上に形成されたn形ポリシリコン層34と、p形ポリシリコン層35と、n形ポリシリコン層34とp型ポリシリコン層35とを電気的に接続する後述の電極37とを有する。ここで、n形ポリシリコン層34は、赤外線吸収部33bの中央部から2つの梁部33cの並び方向に直交する方向における一端部(図1(a)における下端部)まで延長され更に当該2つの梁部33cの並び方向に直交する方向における一端縁(図1(a)における下端縁)に沿って赤外線吸収部33bと梁部33c(図1(a)における右側の梁部33c)との連結部分まで延長され更に当該連結部分から梁部33c上に沿って支持部33aまで延長されている。一方、p形ポリシリコン層35は、赤外線吸収部33bの中央部から2つの梁部33cの並び方向に直交する方向における前記一端部とは反対側の他端部(図1(a)における上端部)まで延長され更に当該2つの梁部33cの並び方向に直交する方向における前記一端縁とは反対側の他端縁(図1(a)における上端縁)に沿って赤外線吸収部33bと梁部33c(図1(a)における左側の梁部33c)との連結部分まで延長され更に当該連結部分から梁部33c上に沿って支持部33aまで延長されている。つまり、n形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層35および電極37からなる温度検出部36は、平面形状が蛇行した形状であり、赤外線吸収部33bと2つの梁部33cと支持部33aとに跨って形成されている。また、温度検出部36は、赤外線吸収部33bにおける熱絶縁層33の中央部上にn形ポリシリコン層34の一端部とp形ポリシリコン層35の一端部とが接する形で形成されており、両ポリシリコン層34,35の前記各一端部上に跨って形成された金属材料(例えば、Al−Si)からなる電極(以下、第1の電極と称す。)37を備えており、両ポリシリコン層34,35の前記各一端部と第1の電極37とで温接点部T1が構成されている。また、温度検出部36は、n形ポリシリコン層34の前記一端部とは反対側の他端部と支持部33aに設けられた電極(以下、第2の電極と称す。)38とで1つの冷接点部T2が構成され、p形ポリシリコン層35の前記一端部とは反対側の他端部と支持部33aにおける第2の電極38とは赤外線吸収部33bの中央部に対して点対称となる位置に設けられた電極(以下、第3の電極と称す。)39とで1つの冷接点部T3が構成されている。
ここで、熱型赤外線検出部3の前記3つの電極37,38,39(第1の電極37、第2の電極38および第3の電極39)は、シリコン基板1上の前記一表面側において層間絶縁膜49により絶縁分離されている。ここに、第1の電極37は、層間絶縁膜49に形成されたコンタクトホール49aを通して両ポリシリコン層34,35の前記各一端部と電気的に接続され、第2の電極38は、層間絶縁膜49に形成されたコンタクトホール49bを通してn形ポリシリコン層34の前記他端部と電気的に接続され、第3の電極39は、層間絶縁膜49に形成されたコンタクトホール49cを通してp形ポリシリコン層35の前記他端部と電気的に接続されている。
MOSトランジスタ4は、前記のように、シリコン基板1の前記一表面側におけるMOSトランジスタ4の形成用領域A2に形成されている。ここで、MOSトランジスタ4は、シリコン基板1の前記一表面側にp+形ウェル領域41が形成され、p+形ウェル領域41内に、n+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44とが離間して形成されている。また、p+形ウェル領域41内には、n+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44とを囲むp++形チャネルストッパ領域42が形成されている。また、シリコン基板1の前記一表面上であって且つp+形ウェル領域41におけるn+形ドレイン領域43とn+形ソース領域44との間の部位に対応する位置には、シリコン酸化膜(熱酸化膜)からなるゲート絶縁膜45を介してポリシリコン層からなるゲート電極46が設けられている。また、シリコン基板1の前記一表面上であって且つn+形ドレイン領域43の一部に対応する位置には、ドレイン電極47が設けられ、シリコン基板1の前記一表面上であって且つn+形ソース領域44の一部に対応する位置には、ソース電極48が設けられている。ここで、ゲート電極46、ドレイン電極47およびソース電極48は、層間絶縁膜49により絶縁分離されている。ここに、ドレイン電極47は、層間絶縁膜49に形成されたコンタクトホール49dを通してn+ドレイン領域43と電気的に接続され、ソース電極48は、層間絶縁膜49に形成されたコンタクトホール49eを通してn+ソース領域44に電気的に接続されている。なお、実施形態では、導電形がn形のシリコン基板1の前記一表面側に、p+形ウェル領域41、n+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、導電形がp形のシリコン基板1の前記一表面側に、n+形ウェル領域(図示せず)、p+形ドレイン領域(図示せず)およびp+形ソース領域(図示せず)を有するものであってもよい。
ところで、本実施形態の赤外線センサの各画素2では、MOSトランジスタ4のドレイン電極47が当該ドレイン電極47および温度検出部36の第2の電極38と連続一体に形成された金属配線(例えば、Al−Si配線)57を介して第2の電極38と電気的に接続され、温度検出部36の第3の電極39が当該第3の電極39および基準バイアス線5と連続一体に形成された金属配線(例えば、Al−Si配線)59を介して基準バイアス線5と電気的に接続されている。また、本実施形態の赤外線センサの各画素2では、MOSトランジスタ4のソース電極48が当該ソース電極48および基準読み出し線7と連続一体に形成された金属配線(例えば、Al−Si配線)58を介して垂直読み出し線7と電気的に接続され、ゲート電極46が当該ゲート電極46と連続一体に形成されたポリシリコン配線からなる水平信号線6と電気的に接続されている。また、各画素2では、MOSトランジスタ4のp++形チャネルストッパ領域42が、当該p++形チャネルストッパ領域42をn+形ドレイン領域43およびn+ソース領域44よりも低電位にバイアスして素子分離するための共通グランド線8(図1(a)、(b)参照)と電気的に接続されている。なお、共通グランド線8は、金属配線8aとポリシリコン配線8bとを組み合わせて構成してある。
以下、実施形態の赤外線センサの製造方法について、図3乃至図5を参照しながら簡単に説明する。
まず、シリコン基板1の前記一表面側における熱絶縁層33の一部を構成する第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31を形成する熱絶縁層形成工程を行うことによって、図3(a)に示す構造を得る。この熱絶縁層形成工程では、シリコン基板1の前記一表面側の前面に第1の所定の膜厚(例えば、5000Å)のシリコン酸化膜51を形成する。ここに、熱型赤外線検出部3の形成予定領域A1に形成されたシリコン酸化膜51は、第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31を構成する。ここにおいて、シリコン酸化膜51は、シリコン基板1を所定温度(例えば、1100℃)で熱酸化することにより形成する。ここで、第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31には、圧縮応力が発生している。
熱絶縁層形成工程の後でシリコン基板1の前記一表面側におけるMOSトランジスタ4の形成予定領域に第1導電形のウェル領域41を形成するウェル領域形成工程を行い、その後、シリコン基板1の前記一表面側におけるp+形ウェル領域41内にp++チャネルストッパ領域42を形成するチャネルストッパ領域形成工程を行う。ここで、ウェル領域形成工程では、p+形ウェル領域41を形成するためのマスクを利用したフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、シリコン基板1の前記一表面側に形成されたシリコン酸化膜51をパターニングし、続いて、パターニングされたシリコン酸化膜51をイオン注入マスクとして、p形不純物(例えば、ホウ素など)のイオン注入を行ってから、ドライブイン(不純物拡散)を行うことにより、p+形ウェル領域41を形成する。また、チャネルストッパ領域形成工程では、シリコン基板1の前記一表面側を所定温度で熱酸化することによりシリコン酸化膜(熱酸化膜)52を形成し、その後、p+形チャネルストッパ領域42を形成するためのマスクを利用したフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してシリコン酸化膜52をパターニングし、続いて、パターニングされたシリコン酸化膜52をイオン注入マスクとして、p形不純物(例えば、ホウ素など)のイオン注入を行ってから、ドライブインを行うことにより、p++形チャネルストッパ領域42を形成する。ここで、チャネルストッパ領域形成工程において、第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31上に第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32が形成される。しかして、第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31と第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32とからなる熱絶縁層33が形成される。
チャネルストッパ領域形成工程の後、シリコン基板1の前記一表面側に熱酸化によりシリコン酸化膜(熱酸化膜)からなるゲート酸化膜45を形成するゲート絶縁膜形成工程を行い、ゲート絶縁膜形成工程の後に、熱絶縁層33上に赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する温度検出部36のn形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35からなるシリコン層を形成するシリコン層形成工程を行う。その後、p+ウェル領域41内に第2導電形のドレイン領域43およびソース領域44を形成するドレイン・ソース領域形成工程を行うことにより、図3(c)に示す構造を得る。
シリコン層形成工程では、まず、シリコン基板1の前記一表面側にゲート電極46、ポリシリコン配線8b、水平信号線6、温度検出部36を構成するn形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35の基礎となる第2の所定の膜厚(例えば、3000Å)のノンドープポリシリコン層をLPCVD法により形成するノンドープポリシリコン層形成工程を行う。
その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して前記ノンドープポリシリコン層のうちゲート電極46、ポリシリコン配線8b、水平信号線6、n形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35それぞれに対応する部分が残るようにパターニングするポリシリコン層パターニング工程を行う。
続いて、前記ノンドープポリシリコン層のうちp形ポリシリコン層35に対応する部分にp形不純物(例えば、ホウ素など)のイオン注入を行ってからドライブインを行うことによりp形ポリシリコン層35を形成するp形ポリシリコン層形成工程を行う。
その後、前記ノンドープポリシリコン層のうちn形ポリシリコン層34に対応する部分にn形不純物(例えば、リンなど)のイオン注入を行ってからドライブインを行うことによりn形ポリシリコン層34を形成するn形ポリシリコン層形成工程を行う。
また、ドレイン・ソース領域形成工程では、前記ノンドープポリシリコン層のうちゲート電極46、ポリシリコン配線8b、水平信号線6に対応する部分、p+形ウェル領域41におけるn+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44それぞれの形成予定領域にn形不純物(例えば、リンなど)のイオン注入を行ってからドライブインを行うことによりゲート電極46、ポリシリコン配線8b、水平信号線6、n+ドレイン領域43およびn+ソース領域44を形成する。ここにおいて、ゲート絶縁膜形成工程、ポリシリコン層形成工程、ポリシリコン層パターニング工程、p形ポリシリコン層形成工程、n形ポリシリコン層形成工程、ドレイン・ソース形成工程における各プロセス温度は、熱絶縁層33の形成温度(実施形態では、1100℃)以下にしているので、熱絶縁層33の残留応力の変化はほとんどない。ここで、前記ノンドープポリシリコン層のうちゲート電極46となる部分がp+ウェル領域41におけるn+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44それぞれの形成予定領域にn形不純物をイオン中注入する際のp+形ウェル領域41におけるゲート電極46直下へのn形不純物のイオン注入を阻止するマスクを兼ねている。要するに、ドレイン・ソース領域形成工程では、n+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44が周知のセルフアライメント技術を利用して形成されている。
ところで、実施形態では、ドレイン・ソース領域形成工程の後、熱絶縁層33の表面、温度検出部36の表面およびゲート電極46の表面に、エッチング防止層71を形成するエッチング防止層形成工程を行うことで、図4(a)に示す構造を得る。
エッチング防止層形成工程では、シリコン窒化膜を第3の所定の膜厚(例えば、700Å)だけ形成する。エッチング防止層71を構成するシリコン窒化膜は、LPCVD法により成膜してからN2ガス雰囲気中においてアニールすることにより形成している。ここにエッチング防止層71を構成する前記シリコン窒化膜は、引張応力を有する。
エッチング防止層形成工程の後、シリコン基板1の前記一表面側にn形ポリシリコン層34、p形ポリシリコン層およびゲート電極46を保護するための保護膜である層間絶縁膜49を形成する層間絶縁膜形成工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して層間絶縁膜49に前記各コンタクトホール49a〜49eを形成するコンタクトホール形成工程を行うことによって、図4(b)に示す構造を得る。
ここで、層間絶縁膜形成工程では、シリコン基板1の前記一表面側に第4の所定の膜厚(例えば、6500Å)のBPSG膜をCVD法により堆積させてから、所定温度(例えば、800℃)でリフローすることにより平坦化された層間絶縁膜49を形成する。また、コンタクトホール形成工程では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して、BPSG膜からなる層間絶縁膜49における温度検出部36の温接点部T1、冷接点部T2,T3に対応する部位と、MOSトランジスタ4のn+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44に対応する部位とにコンタクトホール49a〜49eを形成する。ここで、層間絶縁膜49をバッファードフッ酸によりエッチング防止層71をエッチングストッパ層としてエッチングし、その後、エッチング防止層71をリン酸溶液によりエッチングし、続いて、シリコン酸化膜52をバッファードフッ酸によりエッチングする。
前記のコンタクトホール形成工程の後、シリコン基板1の前記一表面側の全面に第1の電極37、第2の電極38、第3の電極39、ドレイン電極47、ソース電極48、各金属配線8a,57,58,59および各パッド9の基礎となる第5の所定の膜厚(例えば、1μm)の金属膜をスパッタ法などにより形成する金属膜形成工程を行い、続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して前記金属膜をパターニングすることで第1の電極37、第2の電極38、第3の電極39、ドレイン電極47、ソース電極48、各金属配線8a,57,58,59、および各パッド9を形成する金属膜パターニング工程を行うことによって、図4(c)に示す構造を得る。なお、金属膜パターニング工程では、RIE(反応性イオンエッチング)により前記金属膜をエッチングする。
金属膜パターニング工程の後、シリコン基板1の前記一表面側(つまり、層間絶縁膜49の表面側)に第6の所定の膜厚(例えば、0.2μm)のPSG膜と第7の所定の膜厚(例えば、0.2μm)のNSG膜との積層膜からなり赤外線センサの外部の湿気から温度検出部36およびゲート電極46を保護する保護膜であるパッシベーション膜60をCVD法により形成するパッシベーション膜形成工程を行うことによって、図5(a)に示す構造を得る。ここに、前述の層間絶縁膜形成工程と、パッシベーション膜形成工程とから保護膜形成工程が構成されている。
前記のパッシベーション膜形成工程の後、第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31と第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32との積層膜からなる熱絶縁層33と、当該熱絶縁層33上に形成された温度検出部36と、当該熱絶縁層33の表面および温度検出部36の表面を覆う形で形成されたエッチング防止層71と、シリコン基板1の前記一表面側に形成された層間絶縁膜49と、層間絶縁膜49上に形成されたパッシベーション膜60との積層構造部をパターニングすることにより前記の赤外線吸収部33bと2つの梁部33cと支持部33aとの構造体を形成する積層構造部パターニング工程を行うことによって、図5(b)に示す構造を得る。なお、積層構造部パターニング工程では、積層構造部の厚み方向に貫通した赤外線吸収部33bと支持部33aとを離間させる複数(実施形態では、2つ)のスリット13,13を形成することで赤外線吸収部33bと2つの梁部33cと支持部33aとの構造体を形成している。しかして、積層構造部パターニング工程では、前記積層構造部の熱型赤外線検出部3に対応する部位におけるシリコン層であるn形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35が形成されていない部位に、熱絶縁層33とエッチング防止層71と保護膜である層間絶縁膜49およびパッシベーション膜60との厚み方向に貫通し後述のエッチング液導入孔となるスリット13,13を形成する。
前記の積層構造部パターニング工程の後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパッド9を露出させる開口部(図示せず)を形成する開口部形成工程を行い、続いて、前記のスリット13,13をエッチング液導入孔としてエッチング液を導入してシリコン基板1をウェットエッチング(実施形態では、異方性エッチング)することによりシリコン基板1に空洞11を形成する空洞形成工程を行うことによって、図5(c)に示す構造の赤外線センサを得る。
ここで、開口部形成工程では、RIEにより前記積層構造部をエッチングする。また、空洞形成工程では、エッチング液としてアルカリ系溶液(実施形態では、TMAH溶液)を用いたウェットエッチングを行う。
なお、実施形態では、空洞形成工程までの全工程をウェハレベルで行い、空洞形成工程が終了した後に、赤外線センサに分離する分離工程を行う。また、前記の説明から分かるように、MOSトランジスタ4の製造方法に関してみれば、周知の一般的なMOSトランジスタ4の製造方法を採用しており、熱酸化による熱酸化膜の形成、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術による熱酸化膜のパターニング、不純物のイオン注入、ドライブインの基本工程を繰り返すことにより、p+形ウェル領域41、p++形チャネルストッパ領域42、n+形ドレイン領域43およびn+形ソース領域44を形成している。
以上説明したように、実施形態の赤外線センサの製造方法は、シリコン基板1の一表面側に熱型赤外線検出部3と当該熱型赤外線検出部3に並設され当該熱型赤外線検出部3の出力を読み出すためのMOSトランジスタ4とを有し、シリコン基板1における熱型赤外線検出部3に対応する部位に熱絶縁用の空洞11が形成された赤外線センサの製造方法であって、シリコン基板1の前記一表面側における熱型赤外線検出部3の形成予定領域A1に第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31を形成するシリコン酸化膜形成工程と、シリコン酸化膜形成工程の後で赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する温度検出部36のn形ポリシリコン層34およびp形ポリシリコン層35を熱絶縁層33上に形成するシリコン層形成工程と、シリコン層形成工程の後で熱絶縁層33の表面および温度検出部36の両ポリシリコン層34,35の表面にシリコン窒化膜からなるエッチング防止層71を形成するエッチング防止層形成工程と、エッチング防止層形成工程の後でエッチング防止層71の表面側に保護膜である層間絶縁膜49を形成する層間絶縁膜形成工程と、層間絶縁膜形成工程の後で層間絶縁膜49の表面側に保護膜であるパッシベーション膜60を形成するパッシベーション膜形成工程と、パッシベーション膜形成工程の後でシリコン基板1における熱型赤外線検出部3に対応する部位に熱絶縁用の空洞11を形成する空洞形成工程とを備えている。
しかして、温度検出部36の両ポリシリコン層34,35の表面およびゲート電極46の表面を覆う形でシリコン窒化膜からなるエッチング防止層71が形成されていることにより、熱絶縁用の空洞11をウェットエッチングにより形成する際に、温度検出部36の両ポリシリコン層34,35およびゲート電極46がエッチングされるのを防止することができるので、空洞形成工程において温度検出部36の両ポリシリコン層34,35およびゲート電極46がエッチングされることにより欠損し、製造歩留りが低下するのを抑制することができる。
また、赤外線吸収による熱型赤外線検出部3の温度変化を大きくすることで高感度化を図る目的で、熱型赤外線検出部3が薄膜化されている場合であっても、エッチング防止層71が有する引張応力が、熱絶縁層33が有する圧縮応力と相殺することで熱型赤外線検出部3に生ずる応力を低減することにより、熱型赤外線検出部3の薄膜化を図りながらも熱型赤外線検出部3の反りを防止することができる。
また、エッチング防止層71がシリコン窒化膜から構成されていることにより、エッチング防止層71がシリコン酸化膜から構成されている場合に比べて緻密にできるので、エッチング防止層71がシリコン酸化膜から形成されている場合に比べて温度検出部36の両ポリシリコン層34,35およびゲート電極46の欠損をより確実に防止することができる。
また、熱絶縁層33を構成する第1の熱絶縁用シリコン酸化膜31および第2の熱絶縁用シリコン酸化膜32が、MOSトランジスタ4の形成予定領域にp+形のウェル領域41を形成するウェル領域形成工程、およびシリコン基板1の前記一表面側におけるp+形ウェル領域41内にp++チャネルストッパ領域42を形成するチャネルストッパ領域形成工程において使用するイオン注入マスクの基礎を兼ねることにより、前記イオン注入マスクの基礎を形成する工程を別途設ける必要がないので、製造工程を削減することができる。
また、実施形態の赤外線センサは、複数の熱型赤外線検出部3とMOSトランジスタ4とを備える例について説明したが、これに限定されず、例えば、1つの熱型赤外線検出部3のみを備えたものであってもよい。また、温度検出部36は、多数のn形ポリシリコン層(図示せず)とp形ポリシリコン層(図示せず)とを電極(図示せず)により接続してなる熱電対を直列に連結してなるサーモパイル、或いはpn接合ダイオードからなるものであってもよい。
1 シリコン基板(半導体基板)
3 熱型赤外線検出部
4 MOSトランジスタ
11 空洞
13 スリット(エッチング液導入孔)
31 第1の熱絶縁用シリコン酸化膜
32 第2の熱絶縁用シリコン酸化膜
33 熱絶縁層
34 n形ポリシリコン層(シリコン層)
35 p形ポリシリコン層(シリコン層)
36 温度検出部
41 p+形ウェル領域
43 n+形ドレイン領域
44 n+形ソース領域
45 ゲート絶縁膜
46 ゲート電極
49 層間絶縁膜(保護膜)
51,52 シリコン酸化膜
57 金属配線
60 パッシベーション膜(保護膜)
71 エッチング防止層
3 熱型赤外線検出部
4 MOSトランジスタ
11 空洞
13 スリット(エッチング液導入孔)
31 第1の熱絶縁用シリコン酸化膜
32 第2の熱絶縁用シリコン酸化膜
33 熱絶縁層
34 n形ポリシリコン層(シリコン層)
35 p形ポリシリコン層(シリコン層)
36 温度検出部
41 p+形ウェル領域
43 n+形ドレイン領域
44 n+形ソース領域
45 ゲート絶縁膜
46 ゲート電極
49 層間絶縁膜(保護膜)
51,52 シリコン酸化膜
57 金属配線
60 パッシベーション膜(保護膜)
71 エッチング防止層
Claims (6)
- 半導体基板の一表面側に熱型赤外線検出部を有し、半導体基板における熱型赤外線検出部に対応する部位に熱絶縁用の空洞がウェットエッチングにより形成された赤外線センサであって、熱型赤外線検出部は、半導体基板の前記一表面側に形成された熱絶縁層と、前記半導体基板と同種類の半導体からなり且つ当該熱絶縁層上に形成されたシリコン層を有し赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する温度検出部と、外部の湿気から温度検出部を保護するための保護膜とを備え、熱型赤外線検出部に対応する部位におけるシリコン層が形成されていない部位に保護膜の半導体基板側とは反対側の表面から半導体基板の前記一表面にまで達する形で形成されたエッチング液導入孔を通してエッチング液を導入し半導体基板における熱型赤外線検出部に対応する部位に熱絶縁用の空洞をウェットエッチングにより形成する際、温度検出部のシリコン層にエッチング液が到達しシリコン層が前記エッチング液によりエッチングされるのを防止し且つ熱絶縁層が有する残留応力と相殺して熱型赤外線検出部の残留応力を低減する応力を有する絶縁膜からなるエッチング防止層が、保護膜と温度検出部および熱絶縁層との間において温度検出部のシリコン層の表面および熱絶縁層の表面を覆う形で形成されてなることを特徴とする赤外線センサ。
- 前記熱型赤外線検出部に並設され当該熱型赤外線検出部の出力を読み出すためのMOSトランジスタを有し、MOSトランジスタは、前記半導体基板の内部の前記一表面側に形成されたウェル領域と、ウェル領域内における前記半導体基板の前記一表面側に形成されたドレイン領域と、前記半導体基板の前記一表面上であって且つウェル領域におけるドレイン領域とソース領域との間に位置する部位に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に半導体により形成されたゲート電極とを備え、熱絶縁用の前記空洞をウェットエッチングにより形成する際にエッチング液によりゲート電極がエッチングされるのを防止する絶縁膜からなる前記エッチング防止層が、ゲート電極の表面を覆う形で形成されてなることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ。
- 前記熱絶縁層は、シリコン酸化膜により形成され、前記エッチング防止層は、シリコン窒化膜により形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の赤外線センサ。
- 前記半導体基板がシリコン基板であって、前記熱絶縁層を構成する前記シリコン酸化膜は、前記シリコン基板の前記一表面側を酸化させることにより形成され、前記エッチング防止層を構成する前記シリコン窒化膜は、前記シリコン酸化膜が有する圧縮応力と相殺して前記熱型赤外線検出部の残留応力を低減する引張応力を有することを特徴とする請求項3記載の赤外線センサ。
- 前記半導体基板の前記一表面側に複数の前記熱型赤外線検出部が二次元アレイ状に配置されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の赤外線センサ。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の赤外線センサの製造方法であって、前記半導体基板の前記一表面側における熱型赤外線検出部の形成予定領域に前記熱絶縁層を形成する熱絶縁層形成工程と、熱絶縁層形成工程の後で赤外線を吸収するとともに該吸収による温度変化を検知する前記温度検出部の前記シリコン層を前記熱絶縁層上に形成するシリコン層形成工程と、シリコン層形成工程の後で前記熱絶縁層の表面および前記温度検出部の前記シリコン層の表面に前記エッチング防止層を形成するエッチング防止層形成工程と、エッチング防止層形成工程の後で前記エッチング防止層の表面側に前記保護膜を形成する保護膜形成工程と、保護膜形成工程の後で前記熱絶縁層、前記エッチング防止層および前記保護膜からなる積層構造部をパターニングして前記積層構造部の前記熱型赤外線検出部に対応する部位における前記シリコン層が形成されていない部位に前記熱絶縁層、前記エッチング防止層および前記保護膜の厚み方向に貫通するエッチング液導入孔を形成する積層構造部パターニング工程と、積層構造部パターニング工程の後で前記エッチング液導入孔を通して前記エッチング液を導入し前記半導体基板における前記熱型赤外線検出部に対応する部位に熱絶縁用の前記空洞をウェットエッチングにより形成する空洞形成工程とを備えることを特徴とする赤外線センサの製造方法。
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JP2009102202A JP2010249780A (ja) | 2009-04-20 | 2009-04-20 | 赤外線センサおよびその製造方法 |
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JP2009102202A JP2010249780A (ja) | 2009-04-20 | 2009-04-20 | 赤外線センサおよびその製造方法 |
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2009
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CN112591706A (zh) * | 2020-12-03 | 2021-04-02 | 杭州士兰集昕微电子有限公司 | 集成cmos电路的热电堆传感器系统及其制造方法 |
CN112591706B (zh) * | 2020-12-03 | 2024-02-23 | 杭州士兰集昕微电子有限公司 | 集成cmos电路的热电堆传感器系统及其制造方法 |
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