JP4622511B2 - 赤外線センサー - Google Patents
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Description
このバイアス電圧をキャンセルをするために、また、ゼーベック効果による起電力は非常に微小なためにこれを増幅するために、従来の赤外線センサーにおいては、通常、赤外線を感じないダミー画素からの出力を基準レベルとし、赤外線検出素子の出力と基準レベルとの差分をとってこれを増幅することにより、赤外線検出信号を取り出すようにしている。
この結果、増幅して得られる信号は、赤外線検出素子の出力信号とサーモパイルの抵抗差による電圧差の和となってしまい、受光した赤外線の量に対応する真の出力値からずれたものとなってしまうという問題がある。
本実施形態の赤外線センサーは、赤外線検出素子とダミー素子(ダミー画素と称する場合もある)とを有するサーモパイル型赤外線検出センサーである。
まず、本実施形態の赤外線センサーの赤外線検出素子101について、図1〜図5を参照して説明する。
まず、赤外線検出素子101の構造について図1を参照して説明する。
図1は、赤外線検出素子101の構造を示す図であり、(A)はその平面図であり、(B)は(A)のX−X線における断面図である。
また、温点接合部120aにて支持梁170aと受光部150が接続され、冷点接合部120bにて支持梁170aとSi基板110とが接続されている。
なお、支持梁170aとSi基板110とが接続された冷点接合部120b側のP型ポリシリコン114aとN型ポリシリコン114bの端部には、赤外線センサーのアルミ配線をつなぐコンタクト121が形成されている。
図2〜図5においては、各々(A)が平面図であり、(B)が(A)のX−X線における断面図である。
まず、第1の工程として、Si基板の表面上にポリシリコンからなるポリシリコンエッチング犠牲層を堆積し、このポリシリコンエッチング犠牲層の中でSi基板をエッチングしない領域にボロン(B)をインプランテーションし、エッチングストッパーを形成する。具体的には、図2に示すように、Si基板110の基枠111に囲まれるエリア上全面にポリシリコンエッチング犠牲層112を蒸着する。そして、ポリシリコンエッチング犠牲層112の中の基枠111に沿った周領域にボロン(B)を注入し、空隙123(図1参照)を形成しないストッパーポリシリコン112aを形成する。
Si基板110は、ヒドラジンなどのアルカリ系エッチング液によって除去されると、Si基板110の(111)面が露出した空隙が形成される。これはアルカリ系エッチング液によるエッチングでは、Si基板の(111)面のエッチングレートが(100)面のエッチングレートに比べて極めて遅いためである。
したがって、Si基板110においては、ストッパーポリシリコン112a以外の領域にあるポリシリコンエッチング犠牲層112が等方的にエッチングされ、その下にあるSi基板110の(111)面が露出するように異方性エッチングされる。すなわち、エッチング液に浸されるとまず、エッチングストッパー112a以外のポリシリコンエッチング犠牲層が溶け、空隙123が形成されるべき領域のSi基板110の(100)表面が露出する。この露出されたSi基板110のエッチングが進むと、図5に示すように、(111)面が露出した四角錘上の空隙123が形成される。
まず、ダミー画素102の構造について図6を参照して説明する。
図6は、ダミー画素102の構造を示す図であり、(A)はその平面図であり、(B)は(A)のX−X線における断面図である。
なお、ダミー画素102は前述した赤外線検出素子101に似た構造の素子なので、以下の説明及び図面において、赤外線検出素子101と同じあるいは略同じ構成部には、前述した赤外線検出素子101と同一の符号を付してその説明は省略する。
このような構成のダミー画素102においては、受光部150の底面はSi基板110と直接につながっており、受光部150に入射した赤外線のエネルギーは充分にSi基板110内に伝導し拡散する。そのため、温点接合部120aと冷点接合部120bとの間に温度差ができることはない。したがって、ダミー画素102が赤外線の入射による熱効果に基づく起電力を出力することはなく、バイアス電圧のみを出力することになる。
図7〜図9の各図において、(A)は平面図であり、(B)は(A)のX−X線における断面図である。
そして、さらに、本実施形態のダミー画素102は、サーモパイルが存在する場所の断面構造が赤外線検出素子101と同じ構造をしているため、応力によって生じるダミー画素102と赤外線検出素子101との各々のサーモパイルの抵抗値の差を大きく低減することができる。したがって、ダミー画素102の出力を基準レベルとして後段の増幅回路にて差動増幅を行う場合、赤外線検出素子101の信号成分以外に混入する余分な信号を排除でき、より正確な信号処理が可能となる。すなわち、赤外線検出素子の出力信号のみを増幅することが非常に容易になる。
第2実施形態の赤外線センサーも、第1実施形態と同じく、赤外線検出素子とダミー素子(ダミー画素と称する場合もある)とを有するサーモパイル型赤外線検出センサーである。そして、赤外線検出素子の構造は前述した第1実施形態と同じであり、ダミー素子の構造のみが第1実施形態のダミー画素202(図6参照)の構造とは異なる。以下、そのダミー画素の構造について、第1実施形態のダミー画素との相違点を中心に説明する。
なお、本実施形態のダミー画素は前述した第1実施形態の赤外線検出素子101(図1参照)及びダミー画素202(図6参照)と類似した構造の素子なので、以下の説明及び図面においては、それら赤外線検出素子101及びダミー画素202と同じあるいは略同じ構成部には、前述した赤外線検出素子101及びダミー画素202と同一の符号を付してその説明は省略する。
図11に示すように、ダミー画素202も、第1実施形態のダミー画素202と同様に、支持梁170a及び170bの下部のみに空隙223が形成されており、受光部150の下部には空隙が存在せずSi基板110に直接つながっている。
しかしながら、第2実施形態のダミー画素202は、受光部150の下部の構造及び製造プロセスが、前述した第1実施形態のダミー画素202とは異なる。
第1実施形態のダミー画素202(図6参照)においては、受光部150の下部領域のSi基板110上にストッパーポリシリコン112bを形成することにより、この部分のSi基板110のアルカリ系エッチング液によるエッチングを阻止した。第2実施形態のダミー画素202においては、図11に示すように、ストッパーポリシリコン112bを形成せずに、シリコン窒化膜113をSi基板110上に直接形成することにより、同様に、この部分のSi基板110のアルカリ系エッチング液によるエッチングを阻止している。
第1の工程として、図12に示すように、Si基板110内の基枠111に囲まれるエリア上所定の領域にポリシリコンエッチング犠牲層212を蒸着する。本実施形態においては、Si基板110の表面上の、受光部(150(図11参照))の予定領域151を除く領域にポリシリコンエッチング犠牲層212を形成する。そして、形成したポリシリコンエッチング犠牲層212の中の基枠111に沿った周領域にボロン(B)を注入し、ストッパーポリシリコン212aを形成する。
第3実施形態の赤外線センサーは、第1実施形態及び第2実施形態と同じく赤外線検出素子とダミー素子(ダミー画素と称する場合もある)とを有するサーモパイル型赤外線検出センサーである。また、特に第2実施形態と同じく、ダミー画素を形成する際に受光部(150)の下部にストッパーポリシリコンを形成しない製造プロセス及び構造のダミー画素を有する赤外線センサーである。第3実施形態の赤外線センサーは、赤外線検出素子及びダミー画素において、受光部150及び支持梁170a及び170bの底面の膜(第1実施形態及び第2実施形態においてはシリコン窒化膜113)の材料を、シリコン酸化膜313にしたものである。
そして、このシリコン酸化膜313の上にサーモパイル114(P型ポリシリコン114a及びN型ポリシリコン114b)、アルミ配線115等が形成され、これらの上面に保護膜としてシリコン酸化膜316が形成されている。
なお、赤外線検出素子301の製造プロセスは、前述した第1実施形態の赤外線検出素子101の製造プロセスと同じなので説明を省略する。
そして、このシリコン酸化膜313の上に、赤外線検出素子301と同様にサーモパイル114(P型ポリシリコン114a及びN型ポリシリコン114b)、アルミ配線115等が形成され、これらの上面に保護膜としてシリコン酸化膜316が形成されている。
そして、前述したような赤外線検出素子及びダミー画素の製造プロセスにおいて、空隙が形成される前の第3の工程が終了した時点において発生している残留応力は、ヤング率が小さいほど、つまり柔らかいほど、変形しやすくなり低くなる。シリコン窒化膜のヤング率に対し、シリコン酸化膜のヤング率は非常に小さい。そのため、ポリシリコン114a及び114b、アルミ配線115及び122といった抵抗や配線を覆う絶縁膜を窒化膜を含まずシリコン酸化膜のみで構成することによって、もともと発生する残留応力を低下させることができる。
また、この膜構成と、ダミー画素303の支持梁170a及び170bの下地に空隙223を形成することによって、赤外線検出素子301とダミー画素302との抵抗値の差異を大きく下げることができる。
例えば、前述した各実施形態においては、シリコン基板上に熱電材料としてP型ポリシリコン及びN型ポリシリコンを形成した構成について説明したが、基板はシリコンに限らず、また、熱電材料もこれに限らない。ボロメータや焦電型温度検出素子を用いてもよい。
また、前述した実施形態においては、L字型の支持梁170a及び170bにより受光部150を支えているが、支持梁の形状、受光部の形状は任意の形状でよい。
102,202,302…ダミー画素
110…Si基板
111…基枠
112,212…ポリシリコンエッチング犠牲層
112a,112b,212a…ストッパーポリシリコン
113…シリコン窒化膜
114…サーモパイル
114a…P型ポリシリコン
114b…N型ポリシリコン
115,122…アルミ配線
116,313,316…シリコン酸化膜
117…保護膜
118…赤外線吸収膜
119…スリット
120a…温点接合部
120b…冷点接合部
121…コンタクト
123、223…空隙
150…受光部
151…受光部予定領域
170a,170b…支持梁
Claims (5)
- 赤外線検出素子と基準レベル検出用のダミー素子とを有する赤外線センサーであって、
前記赤外線検出素子及び前記ダミー素子は、各々、同一構成の、赤外線を受光する受光部及び前記受光部と基板とを連結する支持部を有し、
前記受光部及び前記支持部は前記基板上の同一平面上に形成され、
前記赤外線検出素子は、
前記受光部と前記基板とを熱分離する空隙部、及び前記支持部と前記基板とを熱分離する空隙部を有し、
前記ダミー素子は、
前記支持部の下部のみに当該支持部と前記基板とを熱分離する空隙部を有し、
前記受光部の下部は前記基板に導熱状態に直接接続されている
ことを特徴とする赤外線センサー。 - 前記基板はシリコン基板であり、
前記赤外線検出素子及び前記ダミー素子は、各々、前記支持部の中に前記受光部と前記基板との温度差を検出する温度検出部を有し、
前記温度検出部は、P型ポリシリコンとN型ポリシリコンとからなる
ことを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサー。 - 前記ダミー素子の前記受光部と前記シリコン基板との間に、ボロンを注入したポリシリコン層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の赤外線センサー。
- 前記ダミー素子の前記受光部と前記シリコン基板との間に、シリコン窒化膜又はシリコン酸化膜が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の赤外線センサー。
- 前記赤外線検出素子及び前記ダミー素子において、前記受光部の絶縁層及び前記支持部の絶縁層は、いずれもシリコン酸化膜のみによって構成されていることを特徴とした請求項1又は2に記載の赤外線センサー。
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