JP2010249376A - 冷蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】断熱材が充填され、開口を有する断熱箱体で構成された冷蔵庫本体1が、圧縮器21、凝縮器25、膨張手段24、冷却器22を配管にて接続し、配管の内部に冷媒を流通させて構成した冷凍サイクルと、冷却器で生成された冷気を送出する送風手段である庫内ファン23とを備えた冷蔵庫において、冷却器22のフィン45又は伝熱管46の表面のほぼ全面に多数の細孔51aを設けたものである。
【選択図】図11
Description
冷却器への着霜は、冷媒と空気との熱交換の妨げとなるもので、着霜量が増加すると、冷却器の熱抵抗が増加し、熱交換性能が低下し、冷却効率が悪化する。
更に、着霜量が増加すると、庫内ファンの作用により冷却器周囲を流れる空気の流通抵抗が増え、風量が低下し、冷蔵庫本体が規定の冷却能力を維持することができなくなり、庫内温度が上昇してしまう。
そうなると、食品の品質保持面での問題があるため、冷蔵庫には除霜手段が設けられている。風量低下の遅延という目的で断熱箱体に設けられ、冷却器と断熱箱体との間に凹部が設けられており、一定量の霜を堆積させることができるようになっている。500リットルクラスの冷蔵庫であると、500cc程度の着霜量までは庫内温度維持できるような容積が必要である。
図1は本発明の実施の形態1に係る冷蔵庫の外観を示す正面図、図2は同冷蔵庫の側断面図、図3は同冷蔵庫の冷凍サイクルの冷媒回路図である。
図1、図2において、冷蔵庫本体1は断熱材で充填され、開口を有する断熱箱体で構成されている。
その冷蔵庫本体1には、上から冷蔵室2、製氷室3、温度設定変更可能な切替室4、冷凍室5及び野菜室6が設けられている。それぞれの室は、それぞれの室の開口を開閉自在とする冷蔵室扉7、(図においては観音式扉7A、7B)、製氷室扉8、切替室扉9、冷凍室扉10、野菜室扉11を有している。
冷蔵庫本体1の後方下部には圧縮機21が配設されている。また、冷凍室5の背面には冷却器22が配設されており、その冷却器22の上方には庫内ファン23が配設されている。また、冷却器22の下部には霜取りヒータ12が配設されている。
この冷凍サイクルの冷媒回路においては、圧縮機21により圧縮され高温高圧になった冷媒は、凝縮器25にて凝縮された後、絞り装置24にて低温低圧冷媒になり、冷却器22にて庫内ファン23の作用によって蒸発した後、再び圧縮機21へ戻る。
例えば、冷媒の蒸発温度は約−30℃である場合、冷却器22の配管およびフィンの表面温度は0℃以下であり、周囲空気温度よりも温度が低くかつ氷点下であるため、空気中の水蒸気が冷却器22の周囲に霜となって堆積、すなわち着霜する。
更に、着霜量が増加すると、庫内ファン23の作用により冷却器22の周囲を流れる空気の流通抵抗が増え、風量が低下し、冷蔵庫本体1が規定の冷却能力を維持することができなくなり、庫内温度が上昇してしまう。
この霜取りヒータ12は風量低下の遅延という目的で断熱箱体32に設けられ、冷却器22と断熱箱体32との間に凹部31が設けられており、一定量の霜を堆積させることができるようになっている。
500リットルクラスの冷蔵庫であると、550cc程度の着霜量までは庫内温度維持できるような容積が必要である。
図11は本実施の形態1の冷蔵庫の冷却器及びその周辺を示す斜視図である。冷却器22の表面処理がなされていない状態で、冷却器22に設けられたフィンピッチが5mmの場合、冷却器22の下部が目詰まりするまでに冷却器22の断面積と5mmの積と凹部31の容積の和が最短の目詰まりする着霜量である。例えば、冷却器22の幅(L)が40cm、奥行き(W)が7.5cmの場合、約400ccが冷却器22でホールドする着霜量であるため、150ccの凹部31の容積が必要である。
空気は、冷却面(冷却器表面)で冷やされ、露点(飽和温度)以下にまで冷却されると、冷却面近傍でミストができ、それが冷却面上に水滴(凝縮液滴)として析出し、冷却面に付着する。
冷却面に水滴が生成されると、それが核となり、水滴が成長し大きさが大きくなる。その際、図4のように、冷却面に特別な表面処理を施していない場合、水滴は、冷却面上の至る所に、任意に発生する(図4の(a)参照)。
そのため、水滴の間の距離が短い箇所と長い箇所が存在する。水滴が成長し、隣同士の水滴が接触する程の大きさになると、水滴同士が合体し大きな水滴となる(図4の(b)、(c)参照)。
水滴は更に冷却面で冷却されて凝固し、氷滴となり、その氷滴から針状に霜が生成し、霜層が形成されていく(図4の(d)参照)。この際、着霜量が同じである場合、氷滴(または凝固直前の水滴)の大きさが大きいと、凹凸の大きい霜層となるため、霜層厚さの最大値が厚くなる。
冷却器22の通風抵抗は、最大霜層厚さで決まるため、無処理のフィンで構成された冷却器は通風抵抗が大きくなり、冷却器として動作している冷却器22に送風している庫内ファン23の風量が低下し、冷却性能が悪化し易い。
水滴は更に冷却面で冷却されて凝固し、氷滴となり、その氷滴から針状に霜が生成し、霜層が形成されていく(図5の(d)参照)。この際、着霜量が同じである場合、氷滴(または凝固直前の水滴)の大きさが小さいと、凸凹の小さい霜層となるため、霜層厚さの最大値が薄くなる。
このように、多数の細孔を持った冷却器22のフィン43(冷却面)を用いると、大きさも形も一定したきれいな水滴、ひいては氷滴ができ、凹凸が小さい、最大霜層厚さが薄い霜層が生成され、風路圧損が小さく、冷却性能の低下が少なく、省エネとなる冷却器22を構成することができる。
空気は、冷却面で冷やされ、冷却面の近傍では過飽和空気になり、気流中に微小液滴が混在するミスト状になる。
そのミストの一部が気流により移流されて冷却面近傍から排出され、残りが冷却面上に水滴として凝縮する。
この際、冷却面のどこに初期の水滴(凝縮液滴)ができるかは、冷却面表面の部位によるミクロな状態での違い(微細な凹凸など)によって決まり、図6のような無処理の場合はどこに初期の水滴(凝縮液滴)ができるか分からない。
従って、無処理の場合は、水滴のできる位置が特定されていないため、ランダムに水滴が発生し、水滴間の距離が一定していないため、水滴の成長に伴う合体が起き易く、大きな水滴ができ易い。
従って、冷却面に多数の細孔を一定間隔で配置しておけば、水滴の位置が一定間隔に特定されているため、水滴が合体して成長する過程において、均一な大きさの小さい水滴がたくさん生成されることになる。
また、図8のように、細孔が水滴の大きさ又は水蒸気の振動振幅よりも十分に大きい場合は、空気中の水分は孔の上部の稜線および孔の内部に生成される。この場合も、冷却面に多数の細孔を一定間隔で配置しておけば、水滴の位置が一定間隔に特定されているため、水滴が合体して成長する過程において、均一な大きさの小さい水滴がたくさん生成されることになる。
また、細孔の大きさ(等価直径または最短辺の長さ)についても、同様のことが言え、最大で0.1mm(100μm)程度までであれば小さな水滴の生成が可能であるが、100nm程度以下の細孔の大きさであれば、初期の水滴に対して十分に大きくなく、最も効果が高い。
図9において、冷却器22は、フィンチューブ式で、フィン45と伝熱管46で構成されており、フィン45は多数の細孔51aを持つような処理が施されている。
フィン45は、アルミニウム、伝熱管は銅であることが多いが、これに限るものではなく、熱伝導率のよい材料であれば、どんなものでもよい。例えば、伝熱管として、フィン材と同じアルミニウムを用いた熱交換器とし、フィン表面および伝熱管表面の両方に細孔を施すようにすれば、より省エネ効果が大きくなる。
なお、冷却器22の強度面より、細孔51aはフィン表面に貫通しない形で設ける方が好ましいが、フィンを貫通した細孔51aにしてもよく、小さな水滴を生成するという効果は変わらない。
陽極酸化(アノード酸化)は、フィン表面に両面同時に細孔を形成することができる。 フィン(アルミニウム)を陽極として、硫酸、シュウ酸、リン酸、クロム酸などの酸性溶液中、リン酸ナトリウムなどのアルカリ性溶液中などの環境で直流電解を行うと、フィン(アルミニウム)から溶解したアルミニウムイオン(Al3+)と水(H2O )とが反応し、酸化アルミニウム(アルミナ)の皮膜(アノード酸化皮膜)が素地金属であるアルミニウム上に生成される。
また、陽極酸化皮膜50の形成速度と厚さは供給する両極間の電流または電位及び陽極酸化時間に依存するため、所定の深さの細孔51aを形成するときには供給する両極間の電流または電位及び陽極酸化時間を制御する。
また、単位面積当たりの細孔数(密度)及び細孔径は両極間の電位に依存するため、所定の数及び細孔径を形成するためには、両極間の電位を制御する。
さらに、陽極酸化により形成された細孔51aが空気中の水分と反応して閉塞するのを防ぐため、細孔形成後に直ちに100〜200℃程度の温風でフィン45を加熱して皮膜に含まれる水分を除去し、安定な酸化物に変える操作を行う。
以上のようにして形成したフィン45の複数の貫通穴に伝熱管46を通し、熱交換器である冷却器22を形成する。
細孔51aの深さが深い方が、孔内に保水される水分量が多くなるため、着霜遅延効果、省エネ効果が、より大きくなる。細孔51aの深さは、例えば10μm以上あると、十分な保水量が得られ、省エネ効果が大きい。
バルブ金属とは、アノード酸化法により電解整流作用を示す酸化皮膜を形成できる、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン等の金属の総称である。
このうち、フィン45として実用的に用いることができる金属は、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル等である。これらの金属を用いても、アルミニウムと同様の効果を得ることができる。
しかし、フィン45の表面にできる液滴、氷滴の大きさは、細孔51aの大きさ及び間隔によって決るため、親水性であっても撥水性であっても、効果にほとんど違いは無く、同様の効果を奏する。即ち、陽極酸化処理に基づく方法は、経年的に効果がほとんど変わらず、省エネ効果を持続させることができる。
なお、細孔51aが必要であることから一般のアルマイト処理における封孔処理は施すことは全くの逆効果となる。
例えば、冷却器22の幅(L)が40cm、奥行き(W)が7.5cm、高さ(T)が20cm、フィンピッチ5mmの冷却器22の場合、目詰まりする最短の冷却器22のホールドする着霜量は上述の表面処理されている場合、無処理の場合の2倍以上のため、800cc以上になる。
したがって、50ccの凹部31の容積まであれば十分である。この場合の凹部31の容積は冷却器22の容積の1%未満となるが、0.5%以上であれば十分である。
なお、細孔51aを設ける手段は陽極酸化処理に限らず、べーマイト処理でも構わない。また親水性を獲得する手段には親水性塗料と撥水性塗料をブレンドしたものを用いても構わない。
Claims (5)
- 断熱材が充填され、開口を有する断熱箱体で構成された冷蔵庫本体が、圧縮器、凝縮器、膨張手段、冷却器を配管にて接続し、配管の内部に冷媒を流通させて構成した冷凍サイクルと、前記冷却器で生成された冷気を送出する送風手段とを備えた冷蔵庫において、
前記冷却器のフィン又は伝熱管の表面のほぼ全面に複数の細孔を設けたことを特徴とする冷蔵庫。 - 前記冷却器と前記断熱箱体との間に設けられた凹部の容積が前記冷却器の容積の1%〜0.5%としたことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
- 前記細孔の隣接する細孔間の距離が20〜100nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
- 前記細孔は、その等価直径または最短辺の長さが100nm〜0.1mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の冷蔵庫。
- 前記細孔は、前記フィン又は前記伝熱管に陽極酸化処理を施すことにより生成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の冷蔵庫。
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