JP2009014304A - 伝熱部材、伝熱部材の製造方法、熱交換器および反応器 - Google Patents

伝熱部材、伝熱部材の製造方法、熱交換器および反応器 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた伝熱特性を実現しつつ濡れ性に優れた伝熱部材、伝熱部材の製造方法、熱交換器および反応器を提供する。
【解決手段】不規則な凹凸構造を有する伝熱面2を備え、当該凹凸構造を構成する凹部3の各表面に複数の細孔5が開口して形成され、前記伝熱面の最外表面Mからの前記細孔の最大深さHmaxは、前記最外表面からの前記凹部の最大深さXmaxよりも深く形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は伝熱部材、伝熱部材の製造方法、熱交換器および反応器に関し、より詳細には、伝熱効率に優れた伝熱部材、伝熱部材の製造方法、熱交換器および反応器に関する。
従来より、熱交換器の伝熱効率を高めるために、熱交換器を構成する伝熱管や伝熱板の表面にフィンや溝を設けて伝熱面積を増大させたり、微小突起を設けて熱媒体の核沸騰及び凝縮を活性化させたり、熱媒体となる流体を攪拌して乱流を促進させたりして熱伝達を促進することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭61−289293号公報
しかし、例えばフィンを形成する方法においては、流体抵抗の増加を招いて流量が減少する場合があり、また攪拌による乱流促進においても、圧力損失が発生するために流体抵抗が増加して流量が減少する場合があり、伝熱性の向上が困難となっている。
また、空気等の気体と熱交換を行う部位において、フィン表面などで水滴により流路が目詰まりした状態になり、十分な流量が得られないという問題も生じている。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、圧力損失の発生や流量の減少を抑制して優れた伝熱特性を実現しつつ、濡れ性に優れた伝熱部材、伝熱部材の製造方法、熱交換器および反応器を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る伝熱部材は、不規則な凹凸構造を有する伝熱面を備え、当該凹凸構造を構成する凹部の各表面に複数の細孔が開口して形成される。前記伝熱面の最外表面からの前記細孔の最大深さは、前記最外表面からの前記凹部の最大深さよりも深く形成される。
上記目的を達成する本発明に係る伝熱部材の製造方法は、まず、金属材料の表面を陽極酸化させることによって当該表面に開口する複数の細孔を形成する陽極酸化工程を実施する。この後、前記細孔が形成された表面をエッチング加工することにより細孔の径を拡げつつ、前記細孔同士を区切る細孔壁を部分的に破損させるエッチング工程を実施する。
上記目的を達成する本発明に係る熱交換器は、熱交換が行われる熱交換部に、上述した伝熱部材が適用される。
上記目的を達成する本発明に係る反応器は、燃料と水蒸気を反応させる流路表面に、上述した伝熱部材が適用される。
上記のように構成した本発明に係る伝熱部材は、伝熱面に細孔が形成されているため、圧力損失の発生や流量の減少を抑制しつつ伝熱特性を向上できる。また、不規則な凹部に複数の細孔が形成されているために濡れ性が向上する。
上記のように構成した本発明に係る伝熱部材の製造方法は、陽極酸化工程により伝熱面に細孔を形成することにより、圧力損失の発生や流量の減少を抑制しつつ伝熱特性が向上した伝熱部材を製造できる。また、エッチング工程により細孔壁を部分的に破損させることで、表面に、不規則な凹凸構造を形成することができ、濡れ性が向上した伝熱部材を製造できる。
上記のように構成した本発明に係る熱交換器は、熱交換部に上述の伝熱部材が適用されるため、圧力損失の発生や流量の減少が抑制されつつ伝熱特性が向上し、また濡れ性が向上して水滴の発生を抑えることができる。
上記のように構成した本発明に係る反応器は、流路表面に上述の伝熱部材が適用されるため、圧力損失の発生や流量の減少が抑制されつつ伝熱特性が向上し、また濡れ性が向上して水滴の発生を抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る伝熱部材の伝熱面の一部を示す部分概略断面図である。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明に係る実施形態は、熱交換器等に適用される伝熱部材1であり、図1に示すように、凹凸構造を有する伝熱面2を備え、金属材料により形成されている。凹凸構造を構成する凹部3および凸部4は、それぞれが不規則な形状を有して形成されている。すなわち、凹部3および凸部4の大きさ、深さおよび形状がそれぞれ異なり、例えば、凹部3の一部が凸部4の下方に入り込むようにして形成される場合もある。
それぞれの凹部3および凸部4の各表面には、それぞれ複数の細孔5が開口して形成されている。隣接する細孔5同士は、その間に位置する細孔壁6によって区切られている。細孔5は、細孔直径D(D1,2,・・・n)、細孔深さH(H1・・・n)等がばらつきを有して形成される。伝熱面2の最外表面Mからの細孔5の最大細孔深さHmaxは、凹部3の最外表面Mからの最大凹部深さXmaxよりも深く形成される。
本実施形態に係る伝熱部材1は、伝熱面2に細孔5が形成されているため、圧力損失の発生や流量の減少を抑制しつつ伝熱特性を向上させることができる。
また、開口幅Wが、伝熱部材1の使用される環境において生じる水滴の直径よりも小さい場合においても、水滴に対する伝熱面2の表面積が増加し、水滴が凹部3の内部しみ込んで、伝熱面2における水濡れ性を向上させることができる。
次に、本実施形態に係る伝熱部材1の製造方法について説明する。
図2は、陽極酸化が施された金属材料の表層部を示す概略断面図、図3は、同表層部を示す概略斜視図、図4は、伝熱部材の細孔ピッチと細孔直径とを示す平面概略図である。
初めに、金属材料からなる部材の表面(表層部)を陽極酸化し、図2,3に示すように、基板8の上に細孔5が複数設けられるポーラス構造層7を形成する(陽極酸化工程)。陽極酸化法とは、対象物を陽極として通電し、強制的に酸化させる方法である。金属に陽極酸化を施すことにより、微小な細孔5を有する酸化被膜が表面に形成される。
陽極酸化によるその他の利点として、被膜が形成されることで耐候性が向上する点が挙げられる。さらに他の利点として、絶縁性が向上する点が挙げられる。細孔5の深さ、直径、または細孔5の割合などは陽極酸化の条件により適宜調節することができる。
伝熱部材1を形成する金属としては、いわゆるバルブメタルが例示され、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金が好ましく、より好ましくはアルミニウムまたはアルミニウム合金である。アルミニウムおよびアルミニウム合金はリサイクル性に優れるという利点を有する。
前記アルミニウム合金としては特に限定されないが、Al−Cu系合金、Al−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、またはAl−Zn−Mg−Cu系合金などが挙げられる。アルミニウム合金を用いる場合、合金に含まれる各成分の割合は特に限定されず、伝熱部材1の用途などに応じて適宜決定される。
陽極酸化を行う方法としては特に限定されないが、電解液に前記伝熱部材1を陽極として浸漬しながら電解処理を行う方法が挙げられる。前記電解液としては特に限定されないがシュウ酸水溶液、リン酸水溶液、硫酸が好ましい。
電解処理時の電圧または処理時間は特に限定されず、目的の細孔5の形状に合わせて適宜決定することができる。例えば、電解処理時の電圧を大きくするほど細孔5の直径を大きくすることができる。また、電解処理時間を長くするほど細孔5の深さを大きくすることができる。また、電解処理の際に用いる陰極としては特に限定されず、従来公知の導電性物質が用いられうる。
陽極酸化の前に、伝熱部材1に研磨処理を施しておいてもよい。研磨処理を施すことにより、各細孔5の直径、深さ、または間隔を統一し易い。研磨処理としてはバフ研磨、化学研磨、または電解研磨などが挙げられる。バフ研磨は廃液処理などが不要であるという利点を有し、一方、化学研磨および電解研磨は液体を用いた研磨であることからバフが触れられない部分、例えばパイプ内部などを研磨できるという利点を有する。
上述の陽極酸化工程の後に、伝熱部材1の細孔5が形成された部位にエッチング加工を行う(エッチング工程)。エッチング加工を行うことにより、細孔5の細孔直径Dや細孔深さH等の形状や、伝熱部材1の表面において細孔5が占める割合である開口率等を調節するとともに、細孔5同士を区切る細孔壁6を部分的に破損させる。これにより、伝熱面2に不規則な凹部3および凸部4が形成される。
細孔壁6を部分的に破損させるには、エッチング加工における細孔直径Dの拡大速度から換算される細孔5の平均直径が、細孔ピッチPの平均値よりも大きくなるようにエッチング加工条件(例えば、加工時間)を制御する。エッチング加工の際の温度または時間は特に限定されず、目的の細孔5の形状、凹部3の形状に合わせて適宜決定することができる。エッチング加工によって、細孔壁6の一部が破損し、不規則な凹凸構造を有する伝熱面2が形成される。この際には、細孔壁6の構造の弱い部位が破損して取り除かれるが、細孔壁6を構成する部材の内部は比較的安定なアルミナとなっていることが予想され、細孔壁6の内部はエッチング加工においても溶けにくいと考えられる。したがって、エッチング加工によって細孔壁6の全てが破損されることなく、部分的に残存する。さらに、細孔5の直径、深さおよび形状等の不均一も、細孔壁6に破損する部位と残存する部位を不規則に生じさせる要因となる。破損は、細孔壁6の深い部位でも生じ、凸部4の下方に凹部3が入り込んだ構造も生じて、より不規則な形状が形成される。
陽極酸化による細孔構造はアルミの酸化物から形成されており、通常、高温の水や蒸気にさらすことで構造が変化する封孔処理を行うことが可能である。しかし、本実施形態に係る伝熱部材1は、エッチングにより孔径を拡大しているため、同様の封孔処理を行っても構造変化が起こらない。すなわち、細孔壁6を構成する部材の内部が比較的安定なアルミナとなっていることから、高温の水、水蒸気にさらされた場合においても構造の変化を生じることなく、伝熱部材1の伝達性能および水濡れ性の効果を長時間持続することが可能となる。
本実施形態に係る伝熱部材1の製造方法によれば、陽極酸化工程により伝熱面2に細孔5を形成することにより、圧力損失の発生や流量の減少を抑制しつつ伝熱特性が向上される伝熱部材2を製造できる。また、エッチング工程により細孔壁6を部分的に破損させることで、伝熱面2に、不規則な凹凸構造を形成することができ、水濡れ性が向上した伝熱部材1を製造できる。
伝熱面2の最外表面からの細孔5の最大細孔深さHmaxは、0.15mm以下であることが好ましい。最大細孔深さHmaxが0.15mm以下であれば、一般的な熱交換器の動作条件において流体力学的に滑面であるため、圧力損失を発生させずに伝熱特性を向上させることが可能である。
細孔5の平均直径は40nm以上であることが好ましい。細孔の平均直径が40nmより小さいと、細孔が小さすぎるために、伝熱部材の伝熱性能が向上しない場合がある。本発明において細孔5の形状が真円でない場合、細孔5の断面積から算出される等価円直径を細孔直径Dとする。
凹部3の開口幅Wの平均値は、複数の細孔5が形成されるために細孔直径Dよりも大きく、例えば300nm以上であり、さらに、水濡れ性が向上するように、伝熱部材1の使用される環境において生じる水滴の直径よりも小さい。
次に、上述の伝熱部材1の用途につい説明する。
上述の伝熱部材1は、従来公知の様々な用途に用いることができるが、好ましくは熱交換器に用いられる。熱交換器に含まれる伝熱部材1は用途に合わせて様々な形状を有しているが、フィンの形状で用いる場合には、上述の処理は少なくともフィン表面に施されていることが好ましい。フィンに施すことで、フィンの伝熱効率を向上させることができる。その結果、フィンの数を減らすことができ、フィンの間隔を広げることができる。さらにその結果、熱交換器を小型化することができたり、フィン同士の間の熱媒体の流量を増加させて熱交換量をさらに向上させることができたりする。またチューブの形状で用いる場合には、上述の処理は少なくともチューブ内面に施されていることが好ましい。チューブ内部に施すことで、チューブの口径を小さくすることができ、熱交換器を小型化することができる。
また、熱交換器の伝熱効率を高めるために、熱交換器を構成する伝熱管や伝熱板の表面にフィンや溝を設けて伝熱面積を増大させることがあるが、このフィンや溝は、流体抵抗の増加をまねいて流量の減少を生じさせ、ポンプ動力の増加が必要となる場合がある。しかし、本実施形態に係る伝熱部材1が熱交換器に適用されれば、例えばフィンや溝等を設けずに伝熱効果を向上させることも可能であり、流量の減少が抑制され、ポンプ動力の増加も抑えることができる。なお、当然に、フィンや溝に本実施形態に係る伝熱部材1が適用されてもよい。
また、熱交換器の伝熱効率を高めるために、熱媒体となる流体を攪拌して乱流を促進させる方法もあるが、この方法では、圧力損失が発生するため流体抵抗が増加し、流量の減少が発生したり、ポンプ容量の増加が必要となる場合がある。しかし、本実施形態に係る伝熱部材1が熱交換器に適用されれば、撹拌することなく伝熱効果を向上させることが可能であり、圧力損失の発生や流量の減少が抑制され、ポンプ動力の増加も抑えることができる。なお、当然に、撹拌を行う熱交換器に本実施形態に係る伝熱部材1が適用されてもよい。
また、熱交換器の伝熱効率を高めるために、微小突起を設けて熱媒体の核沸騰及び凝縮を活性化させる方法もあるが、核沸騰及び凝縮は限られた条件下でのみ発生するため、広く使用することができないという問題がある。しかし、本実施形態に係る伝熱部材1が熱交換器に適用されれば、核沸騰及び凝縮を生じさせることなく伝熱効果を向上させることが可能であり、使用条件が限定されない。なお、当然に、核沸騰及び凝縮を行う熱交換器に本実施形態に係る伝熱部材1が適用されてもよい。
また、例えばフィンにおいては、水滴がフィンの間に溜まり空気との熱伝達を阻害することが考えられる。しかし、本実施形態に係る伝熱部材1がフィンに適用される場合には、水滴が表面に吸収されて濡れ広がることで、フィンの間が水滴により目詰まりし難くなり、伝熱性能の低下を抑制することが可能である。
熱交換器としては特に限定されず従来公知のものに適用することができるが、ラジエーター、ヒーター、コンデンサ、コンデンサの伝熱フィン、エバポレータ、ウォータージャケット、オイルクーラー、インタークーラー、またはヒートパイプなどが挙げられる。
また、上述の伝熱部材1を、燃料改質器や反応器における燃料と水蒸気を反応させる流路表面に適用することもできる。すなわち、燃料改質器、反応器の流路表面に不規則な凹凸構造およびそれぞれの凹部3に対して複数設けられる細孔5を形成することで、反応に要する熱を効率よく伝達することが可能となる。さらに、停止時に残存した水蒸気が改質器、反応器の内部で氷結した際に、水滴が濡れ広がって氷結することで融けやすくなり、起動までの時間を短縮することが可能となる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
図5は、実施例1の伝熱面の表面SEM観察像、図6は、実施例1の伝熱面の断面SEM観察像である。
(比較例1)
比較例1の伝熱部材には、表面が圧延した状態のままの純アルミニウム(純度99.99%)からなる板材(直径100.5mm、厚み1.5mm)を用意した。なお、前処理として、バフ研磨、脱脂、水洗、電解研磨の各処理を施した。
比較例2〜4の伝熱部材には、比較例1と同様の純アルミニウムからなる板材に、比較例1と同様に前処理を行った後、陽極酸化を施して細孔を形成した。なお、比較例3には、比較例2よりも細孔の直径が大きくなる条件で、比較例4には、比較例3よりも細孔の直径が大きくなる条件で陽極酸化を施した。陽極酸化は電解液としてシュウ酸水溶液を用い、陰極としてアルミニウムを用いた。
実施例1の伝熱部材には、比較例1と同様の純アルミニウムからなる板材に比較例3と同一条件で前処理、陽極酸化処理を実施した後、エッチング加工を行った。エッチング加工は腐食液としてリン酸水溶液を用い、伝熱部材を腐食液に浸漬することで行った。
上述のように用意した比較例1〜4および実施例1の伝熱部材の熱伝達率を、特開2005−98694号公報に記載の装置を用いて測定した。結果は、比較例1の伝熱部材の熱伝達率を1とした際の相対値で下記表1に示す。
また、比較例1,2,4および実施例1の熱伝達試験の前後において、伝熱面における水の接触角を測定した。接触角は、5箇所の値を計測し、その平均値を算出した。結果を、表1に示す。なお、比較例3においては、接触角の測定は行わなかった。
また、SEM観察により、比較例2〜4および実施例1(図5,6参照)の細孔の細孔直径D、細孔ピッチP、ポーラス構造層厚さおよび開口率を計測した。図6中の上下方向に沿って延在する複数の細く白い線が細孔壁6を示し、細孔壁6の間の黒い線が細孔5を示している。なお、ポーラス構造層厚さは、細孔深さHとほぼ一致する。これらの値は、計測した値の平均値である。細孔直径D(図4参照)は、画像処理ソフトを用いて表面SEM画像(図5参照)を解析して求めた、細孔の等価円直径である。また、同一のSEM画像から細孔の開口率も算出した。細孔ピッチP(図4参照)は、細孔の等価円直径と開口率とから算出した平均値である。ポーラス構造層厚さは、断面SEM画像(図6参照)から算出した。なお、実施例1では、凹凸構造は考慮せずに細孔の構造を計測した。結果を下記表1に示す。
細孔の形成されていない比較例1に比べて、比較例2〜4および実施例1では熱伝達率が向上した。しかし、細孔直径Dが小さい比較例2では、熱伝達があまり向上しておらず、細孔直径D(細孔等価円直径)が40nm以上となる比較例3,4および実施例1において、熱伝達率が顕著に向上することが確認された。
熱伝達試験前の接触角測定結果において、実施例1の表面の一部では水滴が濡れ広がり計測不能であった。伝熱面2は陽極酸化を行うことで親水性表面となっているが、エッチング加工を行い表面に不規則な凹凸構造を形成することで、表面に水滴が濡れ広がり測定できない状態となった。また、熱伝達試験後の水の接触角測定結果から、いずれの試験片も熱伝達試験によって表面が汚染されることにより、水の接触角が大きくなることが確認された。しかし、実施例1の熱伝達試験後の水の接触角は、比較例1,2および4の熱伝達試験前の水の接触角よりも小さくなっており、実施例1の伝熱部材1が水濡れ性に優れていることが確認された。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
本発明の実施形態に係る伝熱部材の伝熱面の一部を示す部分概略断面図である。 陽極酸化が施された金属材料の表層部を示す概略断面図である。 同表層部を示す概略斜視図である。 伝熱部材の細孔ピッチと細孔直径とを示す平面概略図である。 実施例1の伝熱面の表面SEM観察像である。 実施例1の伝熱面の断面SEM観察像である。
符号の説明
1 伝熱部材、
2 伝熱面、
3 凹部、
4 凸部、
5 細孔、
6 細孔壁、
D 細孔直径、
H 細孔深さ、
max 最大細孔深さ、
M 最外表面、
P 細孔ピッチ、
W 開口幅、
X 凹部深さ、
max 最大凹部深さ。

Claims (8)

  1. 不規則な凹凸構造を有する伝熱面を備え、当該凹凸構造を構成する凹部の各表面に複数の細孔が開口して形成され、前記伝熱面の最外表面からの前記細孔の最大深さは、前記最外表面からの前記凹部の最大深さよりも深いことを特徴とする伝熱部材。
  2. 前記伝熱面は、アルミまたはアルミ合金からなることを特徴とする請求項1に記載の伝熱部材。
  3. 前記細孔の平均直径は40nm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の伝熱部材。
  4. 前記伝熱面の最外表面からの前記細孔の最大深さは、0.15mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の伝熱部材。
  5. 金属材料の表面を陽極酸化させることによって当該表面に開口する複数の細孔を形成する陽極酸化工程と、
    前記細孔が形成された表面をエッチング加工することにより細孔の径を拡げつつ、前記細孔同士を区切る細孔壁を部分的に破損させるエッチング工程と、を有することを特徴とする伝熱部材の製造方法。
  6. 前記エッチング工程は、エッチング加工における細孔の直径の拡大速度から換算される細孔の平均直径が、細孔の平均細孔ピッチよりも大きくなるように加工条件を制御することを特徴とする請求項5に記載の伝熱部材の製造方法。
  7. 熱交換が行われる熱交換部に請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝熱部材が適用されたことを特徴とする熱交換器。
  8. 燃料と水蒸気を反応させる流路表面に請求項1〜4のいずれか1項に記載の伝熱部材が適用されたことを特徴とする反応器。
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