JP2010249164A - 鉄道車両駆動ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】トルク損失を低減すると共に、潤滑性能を向上させた鉄道車両駆動ユニットを提供する。
【解決手段】鉄道車両駆動ユニット12は、鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットである。そして、内部に潤滑油の封入された空間を有し、車輪の内径面に保持されて車輪と一体回転する減速機ハウジング13と、駆動源に接続されている入力側回転部材14と、少なくとも一部が潤滑油に浸かった状態で、減速機ハウジング13の空間内に配置され、入力側回転部材14の回転を減速して減速機ハウジング13に伝達する減速機構15と、減速機ハウジング13および入力側回転部材14のうちの少なくともいずれか一方の回転を利用して、空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ潤滑油移送機構とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、鉄道車両駆動ユニット、特に左右の車輪を独立して駆動可能な鉄道車両駆動ユニットに関するものである。
従来の鉄道車両駆動ユニットは、例えば、特開2007−230508号公報(特許文献1)に開示されている。同公報に開示されている鉄道車両駆動ユニットは、モータと、モータの回転を減速して車輪に伝達する減速機とを備える。
この鉄道車両駆動ユニットには、鉄道車両の運行に必要なトルクを発生させると共に、広い客室スペースを得るために、小型で高減速比が得られるサイクロイド減速機が採用されている。具体的には、モータと一体回転する入力軸と、入力軸に設けられた偏心部に回転自在に支持される曲線板と、曲線板の外周に係合して曲線板に自転運動を生じさせる外ピンと、曲線板の自転運動を回転運動に変換して車輪に伝達する内ピンとで構成される。
特開2007−230508号公報
上記構成の減速機は、各構成部品が相互に接触しながら回転するので、接触部分を潤滑する潤滑油が必要になる。しかし、減速機内部の潤滑油は、回転に伴う遠心力によって径方向外側に偏るので、入力軸周辺(径方向内側)で潤滑油が不足しがちになる。一方、入力軸周辺の潤滑油量を確保するために、減速機内部に封入する潤滑油量を増加すれば、攪拌抵抗によって減速機のトルク損失が増大する。
そこで、この発明の目的は、トルク損失を低減すると共に、潤滑性能を向上させた鉄道車両駆動ユニットを提供することである。
この発明に係る鉄道車両駆動ユニットは、鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットである。そして、内部に潤滑油の封入された空間を有し、車輪の内径面に保持されて車輪と一体回転する減速機ハウジングと、駆動源に接続されている入力側回転部材と、少なくとも一部が潤滑油に浸かった状態で空間内に配置され、入力側回転部材の回転を減速して減速機ハウジングに伝達する減速機構と、減速機ハウジングおよび入力側回転部材のうちの少なくともいずれか一方の回転を利用して、空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ潤滑油移送機構とを備える。
上記構成とすることにより、減速機ハウジング内の空間の上部領域にも積極的に潤滑油を供給することができるので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユニットを得ることができる。
一実施形態として、潤滑油移送機構は、入力側回転部材の回転を利用して、空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ。
好ましくは、駆動ユニットは、減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材をさらに備える。固定部材は、その内部に潤滑油移送機構と、潤滑油移送機構から空間の底部領域に向かって延び、潤滑油移送機構に潤滑油を供給する潤滑油供給路と、潤滑油移送機構から空間の上部領域に向かって延び、潤滑油移送機構からの潤滑油を排出する潤滑油排出路とを含む。
好ましくは、潤滑油移送機構は、入力側回転部材が正回転したことによって潤滑油を汲み上げる第1のポンプと、入力側回転部材が逆回転したことによって潤滑油を汲み上げる第2のポンプとを含む。これにより、鉄道車両が前進したときも後退したときも潤滑油を汲み上げることができる。
具体的には、第1のポンプは、外径面に歯形を有し、入力側回転部材と一体回転する第1駆動歯車と、内径面に第1駆動歯車に噛合する歯形を有し、固定部材に回転自在に支持されて第1駆動歯車の回転中心から水平方向一方側にずれた点を中心として回転する第1従動歯車とを備える。第2のポンプは、外径面に歯形を有し、第1のポンプと異なる位置で入力側回転部材と一体回転する第2駆動歯車と、内径面に第2駆動歯車に噛合する歯形を有し、固定部材に回転自在に支持されて第2駆動歯車の回転中心から水平方向他方側にずれた点を中心として回転する第2従動歯車とを備える。
または、第1のポンプは、外径面に歯形を有し、入力側回転部材と一体回転する駆動歯車と、外径面に駆動歯車に噛合する歯形を有し、駆動歯車の水平方向一方側に回転自在に配置される第1従動歯車とで構成される。第2のポンプは、駆動歯車と、外径面に駆動歯車に噛合する歯形を有し、駆動歯車の水平方向他方側に回転自在に配置される第2従動歯車とで構成される。
他の実施形態として、入力側回転部材は偏心部を有する。減速機構は、偏心部に相対回転自在に保持されて、入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する複数の自転規制部材と、減速機ハウジングに固定され、公転部材の外周に係合して減速機ハウジングを入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材と、偏心運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相で入力側回転部材に嵌合固定されたカウンタウェイトとを備える。そして、潤滑油移送機構は、カウンタウェイトに設けられている。
具体的には、カウンタウェイトは、大径扇状部と、大径扇状部より半径が小さく、互いの弦を接するように大径扇状部に接続される小径扇状部とを含む。そして、潤滑油移送機構は、大径扇状部の弦に開口部を有し、大径扇状部の内部を周方向に延びる周方向油路と、周方向油路から大径扇状部の外径面に向かって延びる径方向油路とを含む。
または、カウンタウェイトは、大径扇状部と、大径扇状部より半径が小さく、互いの弦を接するように大径扇状部に接続される小径扇状部とを含む。そして、潤滑油移送機構は、大径扇状部の端面から厚み方向に突出するフィンである。
上記構成によっても、カウンタウェイトの大径扇状部が、減速機ハウジング内の空間の底部領域を通過する際に潤滑油を保持し、上部領域で放出することによって、上部領域に積極的に潤滑油を供給することができる。
さらに好ましくは、減速機構は、互いに大径扇状部の位相が異なるように配置された複数のカウンタウェイトを有する。これにより、潤滑油を安定して移送することができる。
他の実施形態として、潤滑油移送機構は、減速機ハウジングの回転を利用して、空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ。
好ましくは、潤滑油移送機構は、減速機ハウジング、および減速機ハウジングの回転に伴って回転する部材の表面に形成される凹凸部である。一実施形態として、凹凸部は、減速機ハウジングの内径面から突出し、減速機ハウジングの回転方向と交差する方向に延びる突条である。
好ましくは、突条は、減速機ハウジングの内径面の複数箇所に等間隔に設けられている。これにより、潤滑油を安定して移送することができる。
好ましくは、減速機ハウジングの円周方向を向く突条の壁面は、減速機ハウジングの内径面の接線に対して鋭角に接している。一実施形態として、減速機ハウジングの回転軸線に垂直な突条の断面形状は、互いに平行な短辺と長辺とを有する等脚台形であって、短辺が減速機ハウジングの内径面に接するように配置されている。これにより、潤滑油を保持する能力がさらに向上する。
さらに好ましくは、突条は、減速機ハウジングの内径面に嵌め込まれた環状ベルトの内径面に形成されている。これにより、突条を減速機ハウジングの内径面に直接形成するのと比較して、製造が簡単になる。
他の実施形態として、駆動ユニットは、減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、固定部材の外径面に固定される内輪、減速機ハウジングの内径面に固定される外輪、内輪と外輪との間に配置される複数の転動体、および隣接する転動体の間隔を保持する保持器を備え、減速機ハウジングを固定部材に対して回転自在に支持する車軸軸受とをさらに備える。そして、凹凸部は、外輪、転動体、および保持器の少なくともいずれか1つに設けられている。
さらに他の実施形態として、駆動ユニットは、減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、減速機ハウジングの内径面に固定され、減速機ハウジングおよび固定部材の間を密封する円環形状の密封部材とをさらに備える。そして、潤滑油移送機構は、密封部材から減速機ハウジングの回転方向と交差する方向に張り出す堰である。
この発明によれば、潤滑油移送機構によって、減速機ハウジング内の空間の底部領域から上部領域に積極的に潤滑油を移送させるので、潤滑性能を向上した鉄道車両駆動ユニットを得ることができる。
この発明の一実施形態に係る鉄道車両用車輪駆動装置を示す図である。 図1のII−IIにおける断面図である。 図1の偏心部周辺の拡大図である。 両持ち内ピン周辺の拡大図である。 片持ち内ピン周辺の拡大図である。 潤滑油移送機構の一例である。 潤滑油移送機構の他の例である。 潤滑油移送機構のさらに他の例である。 潤滑油移送機構を備えたカウンタウェイトを示す図である。 この発明の他の実施形態に係る鉄道車両用車輪駆動装置を示す図である。 図10のXI−XIにおける断面図である。 第1の車軸軸受を示す図である。 密封部材の正面図である。
図1〜図9を参照して、第1実施形態として、この発明の一実施形態に係る鉄道車両駆動ユニット12および鉄道車両駆動ユニット12を含む鉄道車両用車輪駆動装置10を説明する。なお、図1は鉄道車両用車輪駆動装置10の概略断面図、図2は図1のII−IIにおける断面図、図3は偏心部16a,16b周辺の拡大図、図4は内ピン19の拡大図、図5は内ピン20の拡大図、図6〜8は潤滑油移送機構としてのポンプを示す図、図9は潤滑油移送機構を備えたカウンタウェイト22を示す図である。
まず、図1を参照して、鉄道車両用車輪駆動装置10は、鉄道車両用車輪11(以下「車輪11」という)と、車輪11の内径面に保持されて、駆動源(図示省略)の回転を減速して車輪11に伝達する駆動ユニット12(以下「鉄道車両駆動ユニット12」という)とで構成されており、鉄道車両本体(図示省略)の下部に配置されている。
鉄道車両駆動ユニット12は、減速機ハウジング13と、入力側回転部材14と、減速機構15と、固定部材としての第1および第2のキャリア24,25と、第1および第2の車軸軸受26,27と、入力側回転部材14の回転を利用して潤滑油を移送する潤滑油移送機構とを主に備える。
減速機ハウジング13は、内部に潤滑油の封入された空間を有し、車輪11の内径面に保持されている。潤滑油の封入された空間とは、減速機ハウジング13、第1および第2のキャリア24,25、および密封部材28,29(後述)で囲まれた領域を指す。また、内部に減速機構15を保持している。
減速機構15は、偏心部材16、公転部材としての曲線板17,18、自転規制部材としての複数の内ピン19,20、外周係合部材としての複数の外ピン21、およびこれらに付随する部材によって構成されており、入力側回転部材14の回転を減速して減速機ハウジング13に伝達する。
また、減速機構15は、少なくとも一部が潤滑油に浸かった状態で潤滑油の封入された空間内に配置されている。具体的には、減速機構15の停止時における油面高さが、図1の直線mの位置になるように潤滑油が封入されている。
また、減速機ハウジング13の内径面と第1および第2のキャリア24,25の外径面との間には第1および第2の車軸軸受26,27が配置されている。そして、減速機ハウジング13は、第1および第2のキャリア24,25に対して回転自在となっており、車輪11と一体回転する出力側回転部材(車軸)としても機能する。
第1の車軸軸受26は、第1のキャリア24の外径面に固定される内輪26aと、減速機ハウジング13の内径面に固定される外輪26bと、内輪26aおよび外輪26bの間に配置される複数の円すいころ26cと、隣接する円すいころ26cの間隔を保持する保持器26dとを含む円すいころ軸受である。第2の転がり軸受27も同様の構成であるので、説明は省略する。第1および第2の車軸軸受26,27として高負荷容量の円すいころ軸受を採用することにより、車輪11に作用するラジアル荷重およびアキシアル荷重を適切に支持することができる。
また、第1の車軸軸受26は車輪11の嵌合位置(より具体的には「車輪11の嵌合幅中心」であって、図1中一点鎖線lで示す位置を指す)の軸方向一方側(図1中の右側)で、第2の車軸軸受27は車輪11の嵌合位置の軸方向他方側(図2中の左側)でそれぞれ減速機ハウジング13を第1および第2のキャリア24,25に対して回転自在に支持している。この実施形態においては、第1および第2の車軸軸受26,27それぞれの車輪11の嵌合幅中心からの距離(オフセット)は、等しく設定されている。
さらに、第1および第2の車軸軸受26,27は、互いの小径側端部を向かい合わせて配置されている(背面組合せ)。これにより、車輪11に作用するモーメント荷重を適切に支持することができる。
また、減速機ハウジング13の軸方向両端部には、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を封入するための密封部材28,29が設けられている。この密封部材28,29は、第1および第2のキャリア24,25の外径面に摺接するリップ部を有し、減速機ハウジング13の内径面に固定されて、減速機ハウジング13と一体回転する。
入力側回転部材14は、駆動源(例えば、モータ等)に接続されて、駆動源の回転に伴って回転する。また、曲線板17,18の両側で転がり軸受30a,30bによって両持ち支持されており、第1および第2のキャリア24,25に対して回転自在に保持されている。なお、この実施形態においては、転がり軸受30a,30bとして円筒ころ軸受を採用している。また、転がり軸受30aのさらに外側(図1中の右側)は、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を封入する密封部材31が配置されている。
偏心部材16は、第1および第2の偏心部16a,16bを有し、入力側回転部材14に嵌合固定されている。第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消しあう位相、つまり180°位相を変えて配置されている。すなわち、第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸収するバランス調整機構としても機能する。
曲線板17は、転がり軸受32によって第1の偏心部16aに相対回転自在に保持されている。そして、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする公転運動を行う。また、図2を参照して、曲線板17は、厚み方向に貫通する第1および第2の貫通孔17a,17bと、外周にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形17cと、内部を径方向に延びる油路17dと、油路17dの途中に潤滑油を一時的に保持する潤滑油保持空間17eとを有する。
第1の貫通孔17aは、曲線板17の中央部に形成されており、第1の偏心部16aおよび転がり軸受32を受け入れる。第2の貫通孔17bは、曲線板17の自転軸心を中心とする円周上に等間隔に複数個設けられており、第1および第2のキャリア24,25に保持される内ピン19,20を受入れる。波形17cは、減速機ハウジング13に保持される外ピン21に係合して、曲線板17の回転を減速機ハウジング13に伝達する。なお、曲線板18も同様の構成であって、転がり軸受33によって第2の偏心部16bに回転自在に保持されている。
油路17dは、第1の貫通孔17aから曲線板17の外周面に向かって延びている。なお、油路17dの位置は特に限定されないが、図2に示すように、第2の貫通孔17bを通過するように設けるのが望ましい。これにより、曲線板17と内ピン19,20との接触部分に積極的に潤滑油を供給することができる。また、油路17dの径方向外側の端部は、波形17cの谷部分に形成するのが望ましい。曲線板17と外ピン21との係合時に破損等するのを防止するためである。
さらに、油路17dから分岐する潤滑油保持空間17eを設けることにより、十分な量の潤滑油が供給されている時には曲線板17内に潤滑油を保持しておき、潤滑油の供給量が低下した時には潤滑油保持空間17eに保持されている潤滑油を油路17dに放出することができる。これにより、より安定して潤滑油を供給することができる。
転がり軸受32は、偏心部16aの外径面に嵌合し、その外径面に内側軌道面を有する内輪部材32aと、曲線板17の貫通孔17aの内径面に直接形成された外側軌道面と、内側軌道面および外側軌道面の間に配置される複数の円筒ころ32bと、隣接する円筒ころ32bの間隔を保持する保持器32cとを備える円筒ころ軸受である。転がり軸受33も同様の構成であるので、説明は省略する。
なお、2枚の曲線板17,18の中心点をGとすると、中心点Gは車輪11の中心位置と一致させているが、車輪11から鉄道車両駆動ユニット12に負荷されるモーメント荷重を極小化させるためには、中心点Gと車輪中心位置とをオフセットさせたほうがよい。これにより、構成部品(「曲線板17,18、内ピン19,20、および外ピン21等」を指す)が傾いて、接触部分に過大な負荷が生じるのを防止することができる。その結果、鉄道車両駆動ユニット12の回転がスムーズになると共に、耐久性が向上する。
また、2つの曲線板17,18の間には、複数の内ピン19,20に外接する外接リング36が配置されている。これにより、曲線板17,18の軸方向の動き量を規制している。なお、曲線板17,18と外接リング36とは滑り接触するので、互いに接触する壁面に研削加工を施す等するのが望ましい。また、この外接リング36の機能は、複数の内ピン19,20に内接する内接リング、または複数の外ピン21に内接する内接リングでも代替することができる。
内ピン19,20は、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設けられている。また、曲線板17,18の第2の貫通孔17b,18bの内壁面に当接する位置(両持ち内ピン19では、大径部19aの位置)には、内ピン軸受19e,20eが取り付けられている。これにより、曲線板17,18と内ピン19,20との摩擦抵抗を低減することができる。なお、この実施形態における内ピン軸受19e,20eは、滑り軸受である。
図4を参照して、内ピン19は、軸方向中央部に大径部19aと、軸方向両端部に大径部19aより直径が小さい第1および第2の小径部19b,19cと、大径部19aと第1および第2の小径部19b,19cの間に案内部19dとを含む。第1および第2の小径部19b,19cの外周面には、それぞれ雄ねじが形成されている。案内部19dの外径は、両持ち内ピン19を受け入れる孔24a,25aの内径と一致するように設定されており、第1および第2のキャリア24,25に対して内ピン19の径方向の位置決めをするために用いられる。
この内ピン19は、第1および第2のキャリア24,25に両持ち支持される両持ち内ピンである。より具体的には、第1の小径部19bは、第1のキャリア24に直接固定されており、第2の小径部19cは、押圧固定手段(後述する)によって第2のキャリア25を大径部19aの端面に押し付けて固定されている。
図5を参照して、内ピン20は、長手方向全域で直径が同一の単純円柱形状であって、軸方向一方側端部のみを第1のキャリア24に片持ち支持されている片持ち内ピンである。
また、片持ち内ピン20には、その内部に潤滑油保持空間20aと、潤滑油保持空間20aから径方向に延びる貫通孔20bとが設けられている。同様に、内ピン軸受20eにも、径方向に貫通する貫通孔20fが設けられている。なお、貫通孔20b,20fの位置は特に限定されないが、図5に示すように、曲線板17,18の間の空間に対面する位置に設けるのが望ましい。
潤滑油保持空間20aには潤滑油が保持されており、主に、内ピン20と内ピン軸受20eとの間、および内ピン軸受20eと曲線板17,18との接触部分に潤滑油を供給する。具体的には、十分な量の潤滑油が供給されている時には潤滑油保持空間20a内に潤滑油を保持しておき、潤滑油の供給量が低下したときには潤滑油保持空間20aに保持されている潤滑油を貫通孔20b,20fを通じて放出する。これにより、より安定して潤滑油を供給することができる。
さらに、潤滑油保持空間20aに潤滑油を含浸した多孔質部材(図示省略)を格納してもよい。これにより、貫通孔20b,20fを通じて徐々に潤滑油が染み出すので、長期間に亘って安定して潤滑油を供給することができる。なお、多孔質部材としては、焼結金属や発泡グリース等が挙げられる。
なお、上記の実施形態においては、片持ち内ピン20にのみ潤滑油保持空間20aおよび貫通孔20bを設け、内ピン軸受20eにのみ貫通孔20fを設けた例を示したが、両持ち内ピン19および内ピン軸受19eも同様の構成とすることができる。また、内ピン19,20だけに留まらず、外ピン21および外ピン軸受21aをも同様の構成とすることができる。
なお、第2の貫通孔17b,18bの直径は、内ピン19,20の直径(「内ピン軸受19e,20eを含む最大外径」を指す)と比較して所定分だけ大きく設定されている。その結果、内ピン19は、曲線板17,18が入力側回転部材14の回転に伴って回転しようとする際に、曲線板の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部材として機能する。
外ピン21は、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設けられている。この外ピン21は、その中央部が減速機ハウジングに保持されると共に、両端部が車軸軸受26,27に当接して固定されている。そして、外ピン21は、曲線板17,18の波形17c,18cに係合して、減速機ハウジング13を入力側回転部材14に対して減速回転させる。
さらに、曲線板17,18の波形17c,18cに当接する位置には、外ピン軸受21aが取り付けられている。これにより、曲線板17,18と外ピン21との摩擦抵抗を低減することができる。なお、この実施形態に係る外ピン軸受21aは、滑り軸受である。
カウンタウェイト22は、重心と異なる位置に入力側回転部材14を受け入れる貫通孔を有し、偏心部16aの偏心運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相、つまり偏心部16aと180°位相を変えて入力側回転部材14に嵌合固定されている。つまり、カウンタウェイト22は、偏心部16aの偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸収するバランス調整機構として機能する。なお、カウンタウェイト23も同様の構成であって、偏心部16bの偏心運動による不釣合い慣性偶力を打ち消す位相で入力側回転部材14に嵌合固定されている。
図3を参照して、2枚の曲線板17,18の中心点Gの右側について、中心点Gと曲線板17の中心との距離をL、曲線板17、転がり軸受32、および偏心部16aの質量の和をm、曲線板17の重心の回転軸心からの偏心量をεとし、中心点Gとカウンタウェイト22との距離をL、カウンタウェイト22の質量をm、カウンタウェイト22の重心の回転軸心からの偏心量をεとすると、L×m×ε=L×m×εを満たす関係となっている。また、図3の中心点Gの左側の曲線板18とカウンタウェイト23との間にも同様の関係が成立する。
第1および第2のキャリア24,25は、鉄道車両本体に連結固定されており、曲線板17,18に対面する壁面に内ピン19,20を保持すると共に、外径面に嵌合固定された第1および第2の車軸軸受26,27によって減速機ハウジング13を、内径面に嵌合固定された転がり軸受30a,30bによって入力側回転部材14をそれぞれ回転自在に支持している。
第1のキャリア24は、両持ち内ピン19の第1の小径部19bを受け入れる孔24aと、片持ち内ピン20の軸方向一方側端部を受け入れる孔24bとを有する。なお、孔24aは、内壁面に雌ねじが形成されているねじ穴である。一方、孔24bは、単純孔(ねじが形成されていない孔)である。
第2のキャリア25は、両持ち内ピン19の第2の小径部19cを受け入れる貫通孔25aと、片持ち内ピン20の軸方向他方側端部を受け入れる孔25bとを有する。なお、貫通孔25aの直径は第2の小径部19cより、孔25bの直径は片持ち内ピン20のよりそれぞれ大きく設定されている。
ここで、内ピン19,20を第1および第2のキャリア24,25に取り付ける方法を説明する。まず、内ピン19,20を第1のキャリア24に固定する。具体的には、両持ち内ピン19の第1の小径部19bを孔24aに螺合固定すると共に、片持ち内ピン20の軸方向一方側端部を孔24bに圧入固定する。
なお、内ピン19,20と第1のキャリア24との固定方法は、上記の例に限ることなく、例えば、両持ち内ピン19の一方側端部を孔24aに圧入し、片持ち内ピン20の一方側端部と孔24bとにねじを形成して両者を螺合してもよい。
次に、内ピン19,20それぞれに内ピン軸受19e,20eを嵌め入れる。
そして、両持ち内ピン19の第2の小径部19cが貫通孔25aに、片持ち内ピン20の軸方向他方側端部が孔25bにそれぞれ嵌まり込むように第2のキャリア25を嵌め入れる。このとき、内ピン19,20と貫通孔25a,25bとの間には隙間が設けられているので、ある程度の製造誤差や取付け誤差を許容することができる。
最後に、両持ち内ピン19を押圧固定手段によって固定する。この実施形態における押圧固定手段は、第2の小径部19cに設けられた雄ねじと、これに螺合するナット37とで構成される。つまり、第2の小径部19cにナット37を螺合すると、第2のキャリア25が大径部19aに押し付けられるので、両持ち内ピン19が第1および第2のキャリア24,25に対して強固に固定される。
このとき、案内部19dによって、両持ち内ピン19が径方向に位置決めされる。なお、図4に示す案内部19dは円柱形状であるが、これに限らず、任意の形状を採用することができる。例えば、案内部を両持ち内ピン19の端部に向かって直径が徐々に小さくなる円錐形状とし、孔24a,25aの両持ち内ピン19と対面する側の開口部も案内部の形状に対応する円錐面とすれば、さらに簡単に位置決めを行うことができる。
上記のようにすることで、鉄道車両駆動ユニット12の組立性が向上する。なお、組立性向上および部品点数の削減等の観点からは、両持ち内ピン19を片持ち内ピン20よりも少なくするのが望ましい。ただし、内ピン19,20には曲線板17,18から荷重が負荷されるので、両持ち内ピン19および片持ち内ピン20は、それぞれ等間隔に配置するのが望ましい。
潤滑油移送機構は、入力側回転部材14の回転を利用して、上記した潤滑油の封入された空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ。より具体的には、第1のキャリア24の内部に配置されるポンプ41と、ポンプ41から空間の底部領域に向かって延び、ポンプ41に潤滑油を供給する潤滑油供給路34と、ポンプ41から空間の上部領域に向かって延び、ポンプ41からの潤滑油を排出する潤滑油排出路35とを含む。
図6を参照して、ポンプ41は、外径面に歯形を有し、入力側回転部材14と一体回転する駆動歯車42と、内径面に駆動歯車42に噛合する歯形を有し、第1のキャリア24に回転自在に支持されて駆動歯車42の回転中心cから水平方向一方側にずれた点cを中心として回転する従動歯車43とを備えるサイクロイドポンプである。
上記構成のポンプ41は、入力側回転部材14が反時計回り(正回転)に回転したときに、空間の底部領域から潤滑油供給路34を通じて汲み上げた潤滑油を、潤滑油排出路35を通じて上部領域に排出することができる。
一方、このポンプ41は、入力側回転部材14が時計回り(逆回転)に回転したときには潤滑油を移送することができない。そこで、このポンプ41とは異なる位置に、入力側回転部材14が時計回りに回転したときに潤滑油を移送可能な第2のポンプを設けるのが望ましい。具体的には、ポンプ41と同じ構造で、c,cの位置関係を逆転させたポンプを設ければよい。
また、図7を参照して、他の実施形態に係るポンプ51は、外径面に歯形を有し、入力側回転部材14と一体回転する駆動歯車52と、外径面に駆動歯車52に噛合する歯形を有し、駆動歯車52の水平方向一方側に回転自在に配置される従動歯車53とで構成される。なお、この実施形態においては、従動歯車53は、第1のキャリア24に回転自在に取り付けられた回転軸24cに嵌合固定されている。
図6のポンプ41に代えて、上記構成のポンプ51を採用しても、入力側回転部材14が反時計回りに回転したときに潤滑油を移送することができる。また、ポンプ41と同じ構造で、駆動歯車52と従動歯車53との位置関係を逆転させた第2のポンプを設ければ、入力側回転部材14が時計回りに回転したときにも潤滑油を移送することが可能となる。
さらに、図8を参照して、さらに他の実施形態に係るポンプ61は、外径面に歯形を有し、入力側回転部材14と一体回転する駆動歯車62と、外径面に駆動歯車62に噛合する歯形を有し、駆動歯車62の水平方向一方側に回転自在に配置される第1従動歯車63と外径面に駆動歯車62に噛合する歯形を有し、駆動歯車62の水平方向他方側に回転自在に配置される第2従動歯車64とで構成される。なお、この実施形態においては、従動歯車63,64は、第1のキャリア24に回転自在に取り付けられた回転軸24c,24dに嵌合固定されている。
上記構成のポンプ61によれば、入力側回転部材14が反時計回りに回転したときに、駆動歯車62と第1従動歯車63とが潤滑油を移送する第1のポンプとして機能する。一方、入力側回転部材14が時計回りに回転したときに、駆動歯車62と第2従動歯車64とが潤滑油を移送する第2のポンプとして機能する。これにより、図6または図7に示すポンプ41,51を2箇所に配置する場合と比較して、ポンプを配置するスペースを小さくすることができる。
上記の各実施形態においては、潤滑油移送機構としてポンプを採用した例を示したが、これに限ることなく、入力側回転部材14の回転を利用して潤滑油を移送するあらゆる構成を採用することができる。例えば、図9に示すように、カウンタウェイト22に潤滑油移送機構を設けてもよい。カウンタウェイト23についても同様であるので、説明は省略する。
図9を参照して、カウンタウェイト22は、大径扇状部22aと、大径扇状部22aより半径が小さく、互いの弦を接するように大径扇状部22aに接続される小径扇状部22bとを含む。
また、大径扇状部22aには、その弦に開口部を有し、大径扇状部22aの内部を周方向に延びる周方向油路22cと、周方向油路22cから大径扇状部22aの外径面に向かって延びる径方向油路22dとが設けられている。さらに、カウンタウェイト22の端面には、厚み方向に突出する複数のフィン22eが設けられている。
上記構成の鉄道車両駆動ユニット12の作動原理を詳しく説明する。
まず、駆動源の回転に伴って入力側回転部材14および偏心部材16が一体回転する。このとき、曲線板17,18も回転しようとするが、第2の貫通孔17b,18bに挿通する内ピン19,20に自転運動を阻止され、公転運動のみを行うことになる。つまり、曲線板17,18は、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする円周軌道上を平行移動する。
曲線板17,18が公転運動すると、波形17c,18cと外ピン21とが係合し、減速機ハウジング13および車輪11が入力側回転部材14と同一方向に一体回転する。このとき、曲線板17,18から減速機ハウジング13に伝達される回転は減速され、高トルクになっている。
具体的には、外ピン21の数をZ、曲線板17,18の波形の数をZとすると、鉄道車両駆動ユニット12の減速比はZ/(Z−Z)で算出され、さらに減速比をnとすると、図1の実施形態における速度比は1/(n+1)で算出される。図2に示す実施形態では、Z=24、Z=22であるので、減速比は11となり、速度比は1/12となる。したがって、低トルク、高回転型の駆動源を採用した場合でも、車輪11に必要なトルクを伝達することが可能となる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速機構15を採用することにより、コンパクトで高減速比の鉄道車両駆動ユニット12を得ることができる。また、内ピン19,20および外ピン21の曲線板17,18に当接する位置に内ピン軸受19e,20eおよび外ピン軸受21aを設けたことにより、接触部分の摩擦抵抗が低減される。その結果、鉄道車両駆動ユニット12の伝達効率が向上する。
次に、上記構成の鉄道車両駆動ユニット12の潤滑油の流れを詳しく説明する。まず、潤滑油は、減速機ハウジング13の内部の空間内、すなわち、減速機ハウジング13、第1および第2のキャリア24,25、および密封部材28,29で囲まれた領域内に封入されており、減速機構15の停止時における油面高さは、図1の直線mの位置である。
次に、入力側回転部材14が回転すると、潤滑油移送機構としてのポンプ41が、空間の底部領域から潤滑油供給路34を通じて汲み上げた潤滑油を、潤滑油排出路35を通じて上部領域に排出する。また、潤滑油移送機構としてのカウンタウェイト22は、回転しながら空間の底部領域と上部領域との間を移動する。このとき、底部領域で周方向油路22cおよび径方向油路22dに潤滑油を保持し、上部領域で潤滑油を放出すると共に、フィン22eによって潤滑油を掻き揚げる。これにより、空間の上部領域(図1の入力側回転部材14より上側の領域)に潤滑油を供給することができる。
潤滑油移送機構によって放出された潤滑油は、上部領域に位置する構成部品、特に内ピン19と内ピン軸受19eとの間、内ピン軸受19eと曲線板17,18との間を潤滑しながら、重力によって底部領域に戻される。また、その一部は、潤滑油保持空間17e,20aに保持される。
上記構成とすることにより、減速機ハウジング13内の空間の上部領域にも積極的に潤滑油を供給することができるので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユニット12を得ることができる。なお、上述した潤滑油移送機構(ポンプ41,51,61、カウンタウェイト22)を全て設ける必要はなく、少なくとも1つ設ければ、この発明の効果を得ることができる。
なお、図1に示す実施形態においては、潤滑油移送機構を有するカウンタウェイト22,23を180°位相を変えて配置している。これにより、一方の大径扇状部が減速機ハウジング13内の空間の底部領域に位置しているとき、他方の大径扇状部が減速機ハウジング13内の空間の上部領域で潤滑油を放出する。その結果、潤滑油を安定して移送することができる。
次に、第2実施形態として、この発明の他の実施形態に係る鉄道車両駆動ユニット12aおよび鉄道車両駆動ユニット12aを含む鉄道車両用車輪駆動装置10aを説明する。なお、以下に示す図において、同一の構成要素には同一の参照番号を付し、説明は省略する。図10は鉄道車両用車輪駆動装置10aの概略断面図、図11は図10のXI−XIにおける断面図、図12は第1の車軸軸受26を示す図、図13は密封部材28の正面図である。
図10を参照して、他の実施形態に係る鉄道車両駆動ユニット12aは、減速機ハウジング13と、入力側回転部材14と、減速機構15と、固定部材としての第1および第2のキャリア24,25と、第1および第2の車軸軸受26,27と、減速機ハウジング13の回転を利用して潤滑油を移送する潤滑油移送機構とを主に備える。
潤滑油移送機構は、減速機ハウジング13の回転を利用して、上記した潤滑油の封入された空間、すなわち、減速機ハウジング13、第1および第2のキャリア24,25、および密封部材28,29で囲まれた領域において、その底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ。具体的には、減速機ハウジング13、および減速機ハウジング13の回転に伴って回転する部材の表面に形成される凹凸部である。なお、「減速機ハウジング13の回転に伴って回転する部材」には、例えば、外ピン21および外ピン軸受21a、第1および第2の車軸軸受26,27の外輪26b,27b、円すいころ26c,27c、および保持器27d,27d、密封部材28,29等が該当する。
図11を参照して、減速機ハウジング13の内径面には、凹凸部13aが形成されている。この実施形態における凹凸部13aは、減速機ハウジング13の回転方向と交差する方向に延びる複数の突条である。なお、この凹凸部13aは、減速機ハウジング13の内径面に直接形成してもよいし、内径面に凹凸部13aを有する環状ベルト(図示省略)を減速機ハウジング13の内径面に嵌め込んでもよい。
なお、突条の形状は特に限定されないが、この実施形態においては、減速機ハウジング13の回転軸線に垂直な突条の断面形状は、互いに平行な短辺と長辺とを有する等脚台形となっている。そして、短辺が減速機ハウジング13の内径面に接するように配置されている。つまり、減速機ハウジング13の円周方向を向く突条の壁面(等脚台形の斜辺に相当する壁面)は、減速機ハウジング13の内径面の接線に対して鋭角に接している。これにより突条の潤滑油を保持する能力が向上する。
また、突条は、減速機ハウジング13の内径面の12箇所に30°間隔で配置されている。このように、複数の突条を等間隔で配置することにより、潤滑油を安定して移送することが可能となる。
また、図12を参照して、第1の車軸軸受26にも凹凸部26eが形成されている。この実施形態における凹凸部26eは、外輪26bの内径面、円すいころ26cの端面、および保持器26dの端面に設けられている。なお、第2の車軸軸受27も同様であるので、説明は省略する。
さらに、図10を参照して、密封部材28には、減速機ハウジング13の回転方向と交差する方向に張り出す堰28aが設けられている。この堰28aも潤滑油移送機構として機能する。図13を参照して、この実施形態における堰28aは、45°の間隔を空けて8箇所に等間隔に設けられている。
なお、鉄道車両駆動ユニット12aを構成するその他の要素については、上記した実施形態の鉄道車両駆動ユニット12と共通するので、説明は省略する。
ここで、他の実施形態に係る鉄道車両駆動ユニット12aの潤滑油の流れを詳しく説明する。まず、潤滑油は、減速機ハウジング13の内部の空間内、すなわち、減速機ハウジング13、第1および第2のキャリア24,25、および密封部材28,29で囲まれた領域内に封入されており、減速機構15の停止時における油面高さは、図10の直線mの位置である。
次に、減速機ハウジング13が回転すると、潤滑油移送機構(凹凸部13a,26e、および堰28)は、回転しながら空間の底部領域と上部領域との間を移動する。このとき、底部領域で潤滑油を保持し、上部領域で潤滑油を放出する。これにより、減速機ハウジング13内の空間の上部領域(図10の入力側回転部材14より上側の領域)に潤滑油を供給することができる。
潤滑油移送機構によって放出された潤滑油は、上部領域に位置する構成部品、特に内ピン19と内ピン軸受19eとの間、内ピン軸受19eと曲線板17,18との間を潤滑しながら、重力によって底部領域に戻される。また、その一部は、潤滑油保持空間17e,20aに保持される。
上記構成とすることにより、減速機ハウジング13内の空間の上部領域にも積極的に潤滑油を供給することができるので、潤滑性能に優れた鉄道車両駆動ユニット12aを得ることができる。なお、上述した潤滑油移送機構(凹凸部13a,26e、および堰28)を全て設ける必要はなく、少なくとも1つ設ければ、この発明の効果を得ることができる。
なお、上記の実施形態においては、減速機構15の曲線板17,18を180°位相を変えて2枚設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
また、上記の実施形態において、偏心部16a,16bを有する偏心部材16を入力側回転部材14に嵌合固定した例を示したが、これに限ることなく、入力側回転部材14の外径面に直接偏心部16a,16bを形成してもよい。
また、上記の実施形態においては、第1実施形態として、潤滑油移送機構は、入力側回転部材14の回転を利用して潤滑油を移送する場合について説明し、第2実施形態として、潤滑油移送機構は、減速機ハウジング13の回転を利用して潤滑油を移送する場合について説明したが、これに限ることなく、潤滑油移送機構は、入力側回転部材14および減速機ハウジング13の両方の回転を利用して、潤滑油を移送してもよい。例えば、上記したポンプ41を設けると共に、第1の車軸軸受26に凹凸部26eを設けることによって、潤滑油を移送してもよい。これにより、さらに、潤滑性能を向上させることができる。
また、上記の実施形態における転がり軸受26,27,30a,30b,32,33は、図の形態に限定されることなく、例えば、すべり軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、3点接触球軸受、4点接触玉軸受等、すべり軸受であるか転がり軸受であるかを問わず、転動体がころであるか玉であるかを問わず、さらには複列か単列かを問わず、あらゆる軸受を適用することができる。
また、上記の実施形態における内ピン軸受19e,20eおよび外ピン軸受21aは、滑り軸受である例を示したが、これに限ることなく、転がり軸受を採用してもよい。この場合、厚み方向にコンパクト化する観点から針状ころ軸受を採用するのが望ましい。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、鉄道車両駆動ユニットに有利に利用される。
10,10a 鉄道車両用車輪駆動装置、11 車輪、12,12a 鉄道車両駆動ユニット、13 減速機ハウジング、13a,26e 凹凸部、14 入力側回転部材、15 減速機構、16 偏心部材、16a,16b 偏心部、17,18 曲線板、17a,17b,18a,18b,20b,20f,25a 貫通孔、17c,18c 波形、17d,18d 油路、17e,18e,20a 潤滑油保持空間、19,20 内ピン、19a 大径部、19b,19c 小径部、19d 案内部、21 外ピン、19e,20e,21a 軸受、22,23 カウンタウェイト、22a 大径扇状部、22b 小径扇状部、22c 周方向油路、22d 径方向油路、22e フィン、24,25 キャリア、24a,24b,25b 孔、24c,24d 回転軸、26,27 車軸軸受、26a,27a 内輪、26b,27b 外輪、26c,27c,32b,33b 円すいころ、26d,27d,32c,33c 保持器、28,29,31 密封部材、28a 堰、30a,30b,32,33 転がり軸受、32a,33a 内輪部材、34 潤滑油供給路、35 潤滑油排出路、36 外接リング、37 ナット、41,51,61 ポンプ、42,43,52,62 駆動歯車、53,63,64 従動歯車。

Claims (19)

  1. 鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットであって、
    内部に潤滑油の封入された空間を有し、車輪の内径面に保持されて車輪と一体回転する減速機ハウジングと、
    駆動源に接続されている入力側回転部材と、
    少なくとも一部が潤滑油に浸かった状態で前記空間内に配置され、前記入力側回転部材の回転を減速して前記減速機ハウジングに伝達する減速機構と、
    前記減速機ハウジングおよび前記入力側回転部材のうちの少なくともいずれか一方の回転を利用して、前記空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ潤滑油移送機構とを備える、鉄道車両駆動ユニット。
  2. 前記潤滑油移送機構は、前記入力側回転部材の回転を利用して、前記空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  3. 前記駆動ユニットは、前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材をさらに備え、
    前記固定部材は、
    その内部に前記潤滑油移送機構と、
    前記潤滑油移送機構から前記空間の底部領域に向かって延び、前記潤滑油移送機構に潤滑油を供給する潤滑油供給路と、
    前記潤滑油移送機構から前記空間の上部領域に向かって延び、前記潤滑油移送機構からの潤滑油を排出する潤滑油排出路とを含む、請求項2に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  4. 前記潤滑油移送機構は、
    前記入力側回転部材が正回転したことによって潤滑油を汲み上げる第1のポンプと、
    前記入力側回転部材が逆回転したことによって潤滑油を汲み上げる第2のポンプとを含む、請求項2または3に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  5. 前記第1のポンプは、外径面に歯形を有し、前記入力側回転部材と一体回転する第1駆動歯車と、内径面に前記第1駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記固定部材に回転自在に支持されて前記第1駆動歯車の回転中心から水平方向一方側にずれた点を中心として回転する第1従動歯車とを備え、
    前記第2のポンプは、外径面に歯形を有し、前記第1のポンプと異なる位置で前記入力側回転部材と一体回転する第2駆動歯車と、内径面に前記第2駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記固定部材に回転自在に支持されて前記第2駆動歯車の回転中心から水平方向他方側にずれた点を中心として回転する第2従動歯車とを備える、請求項4に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  6. 前記第1のポンプは、外径面に歯形を有し、前記入力側回転部材と一体回転する駆動歯車と、外径面に前記駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記駆動歯車の水平方向一方側に回転自在に配置される第1従動歯車とで構成され、
    前記第2のポンプは、前記駆動歯車と、外径面に前記駆動歯車に噛合する歯形を有し、前記駆動歯車の水平方向他方側に回転自在に配置される第2従動歯車とで構成される、請求項4に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  7. 前記入力側回転部材は、偏心部を有し、
    前記減速機構は、
    前記偏心部に相対回転自在に保持されて、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、
    前記公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する複数の自転規制部材と、
    前記減速機ハウジングに固定され、前記公転部材の外周に係合して前記減速機ハウジングを前記入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材と、
    偏心運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相で前記入力側回転部材に嵌合固定されたカウンタウェイトとを備え、
    前記潤滑油移送機構は、前記カウンタウェイトに設けられている、請求項2〜6のいずれかに記載の鉄道車両駆動ユニット。
  8. 前記カウンタウェイトは、大径扇状部と、前記大径扇状部より半径が小さく、互いの弦を接するように前記大径扇状部に接続される小径扇状部とを含み、
    前記潤滑油移送機構は、前記大径扇状部の弦に開口部を有し、前記大径扇状部の内部を周方向に延びる周方向油路と、前記周方向油路から前記大径扇状部の外径面に向かって延びる径方向油路とを含む、請求項7に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  9. 前記カウンタウェイトは、大径扇状部と、前記大径扇状部より半径が小さく、互いの弦を接するように前記大径扇状部に接続される小径扇状部とを含み、
    前記潤滑油移送機構は、前記大径扇状部の端面から厚み方向に突出するフィンである、請求項7または8に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  10. 前記減速機構は、互いに前記大径扇状部の位相が異なるように配置された複数の前記カウンタウェイトを有する、請求項8または9に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  11. 前記潤滑油移送機構は、前記減速機ハウジングの回転を利用して、前記空間の底部領域から上部領域に潤滑油を運ぶ、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  12. 前記潤滑油移送機構は、前記減速機ハウジング、および前記減速機ハウジングの回転に伴って回転する部材の表面に形成される凹凸部である、請求項11に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  13. 前記凹凸部は、前記減速機ハウジングの内径面から突出し、前記減速機ハウジングの回転方向と交差する方向に延びる突条である、請求項12に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  14. 前記突条は、前記減速機ハウジングの内径面の複数箇所に等間隔に設けられている、請求項13に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  15. 前記減速機ハウジングの円周方向を向く前記突条の壁面は、前記減速機ハウジングの内径面の接線に対して鋭角に接している、請求項13または14に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  16. 前記減速機ハウジングの回転軸線に垂直な前記突条の断面形状は、互いに平行な短辺と長辺とを有する等脚台形であって、前記短辺が前記減速機ハウジングの内径面に接するように配置されている、請求項15に記載の鉄道車両駆動ユニット。
  17. 前記突条は、前記減速機ハウジングの内径面に嵌め込まれた環状ベルトの内径面に形成されている、請求項13〜16のいずれかに記載の鉄道車両駆動ユニット。
  18. 前記駆動ユニットは、
    前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
    前記固定部材の外径面に固定される内輪、前記減速機ハウジングの内径面に固定される外輪、前記内輪と前記外輪との間に配置される複数の転動体、および隣接する前記転動体の間隔を保持する保持器を備え、前記減速機ハウジングを前記固定部材に対して回転自在に支持する車軸軸受とをさらに備え、
    前記凹凸部は、前記外輪、前記転動体、および前記保持器の少なくともいずれか1つに設けられている、請求項12〜17のいずれかに記載の鉄道車両駆動ユニット。
  19. 前記駆動ユニットは、
    前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
    前記減速機ハウジングの内径面に固定され、前記減速機ハウジングおよび前記固定部材の間を密封する円環形状の密封部材とをさらに備え、
    前記潤滑油移送機構は、前記密封部材から前記減速機ハウジングの回転方向と交差する方向に張り出す堰である、請求項11〜18のいずれかに記載の鉄道車両駆動ユニット。
JP2009096452A 2009-04-10 2009-04-10 鉄道車両駆動ユニット Withdrawn JP2010249164A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014105749A (ja) * 2012-11-26 2014-06-09 Sumitomo Heavy Ind Ltd 遊星歯車装置
JP2017044288A (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 住友重機械工業株式会社 偏心揺動型の歯車装置

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JP2017044288A (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 住友重機械工業株式会社 偏心揺動型の歯車装置

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