JP2010248877A - 衛生洗浄装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水の吐水を行う吐水手段と、吐水手段より下流に設けられ、水を人体局部に向けて吐水する吐水孔を備えたノズルと、を備えた衛生洗浄装置において、吐水手段は、第1の吐水と第2の吐水と、を行い、第1の吐水は、吐水孔から吐水される水が、ノズルからの吐水時に円錐状に拡張されることがないように構成され、人体局部の着水位置において第2の吐水よりも大きな吐水断面積となるように構成され、第2の吐水は、吐水孔から吐水される水が、ノズルからの吐水時に円錐状に拡張されることがないように構成され、人体局部の着水位置において第1の吐水よりも速い速度となるように構成され、さらに吐水手段は、第1の吐水と第2の吐水を異なるタイミングで吐水するように構成されている。
【選択図】図1
Description
ここで、使用水量を少なくしても心地良い洗浄感が得られるように、給水源より得られる吐水圧よりも高い圧力が間欠的に発生するような脈動推移を起こさせる圧力発生部を備えた衛生洗浄装置が提案されている(特許文献1を参照)。
この特許文献1に開示がされた衛生洗浄装置によれば、圧力の脈動推移を起こすことにより、速度が増加し、かつ脈動流が繰返し現れるような吐水を行なうことができる。
この特許文献2に開示された衛生洗浄装置によれば、噴流による空気の吸込効果(エジェクタ効果)により吸い込まれた空気によって連続吐水される水の表面が乱され、水に細い部位と太い部位とが形成される。水が太くなった部位は、言い換えると水が密となり、人体局部に着水した際に量感を感じさせる吐水となっている。さらに、エジェクタ効果を生じさせるオリフィス部から吐水孔に向けてまっすぐに噴出されるので、水がノズル内壁面に衝突することによるエネルギー損失を低減できる、すなわち水の減速による刺激感の低下を抑制することができるものである。従来の連続吐水の衛生洗浄装置と比して、量感と刺激感を両立した高い洗浄感を与えることができる優れた技術である。
この特許文献2に開示された衛生洗浄装置は、オリフィス部から洗浄水が噴出されると共振室内が負圧となることを利用し、洗浄水が共振室の負圧に引っ張られて吐水が円錐状に拡張するように構成したものである。一方で、共振室内が一定以上の負圧になると吐水孔から大気が引き込まれて共振室内が正圧となり、吐水は拡張されることなくオリフィス部から噴出されたままの直線状の吐水となる。この円錐状に拡張された吐水が人体局部に着水すると吐水断面積が大きくなるため一定の量感を感じさせ、直線状の吐水が人体局部に着水すると刺激感を感じさせることができるようにしたものである。また、この円錐状に拡張された吐水と直線状の吐水とを交互に繰り返し行なうように構成することで、従来の連続吐水の衛生洗浄装置と比して、少ない水量で量感と刺激感を両立した洗浄感をある程度提供できる優れた技術と言えるものであった。
まず、本実施の形態に係る衛生洗浄装置を例示する。
図1は、衛生洗浄装置を例示するための概略構成図である。
そして、脈動発生ユニット70からノズルユニット80の流量調整兼流路切替弁81を経てノズル82に、脈動発生ユニット70により付与された脈動を保った洗浄水が導かれ、当該ノズル82から吐水される。これらの各ユニットは、衛生洗浄装置1のケーシングに収納されている。また、制御部10には、電磁弁53、入水温センサ62a、ヒータ61、出水温センサ62b、フロートスイッチ63、脈動発生部(吐水手段)90、流量調節兼流路切替弁81、ノズル82および制御ボタン(図示せず)が接続されている。なお、制御ボタンには、強い刺激感のある「ハードなおしり洗浄」、「ソフトなおしり洗浄」(以下「やわらか洗浄」と呼ぶ)、「ビデ洗浄」の各洗浄モードを選択する洗浄ボタン、洗浄水の水勢を変化させるための水勢変更ボタン、洗浄水の温度を選択できる温度調整ボタン、洗浄を停止するための停止ボタンが含まれる。
図2は、モータ式レシプロタイプの脈動発生部90を例示するための概略構成断面図である。
脈動発生部90は、第一の脈動発生部91と第二の脈動発生部92とからなる2連構成とされている。第一の脈動発生部91と第二の脈動発生部92には、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ910a、920aが設けられている。シリンダ910a、920a内には、ピストン910b、920bが設けられている。ピストン910b、920bには、Oリング910c、920cが装着されている。ピストン910b、920bとシリンダ910a、920bとで画されたそれぞれの空間が加圧室910d、920dとなる。
その際、アンブレラパッキン910f、920fによって、逆流しないようになっている。すなわち、洗浄水入り口910e、920eが加圧室910d、920dに開口する部分にはアンブレラパッキン910f、920fが設けられ、加圧室910d、920d内に流入した洗浄水が給水管67側へ逆流しないようになっている。
また、洗浄水出口910g、920gがそれぞれ設けられ、途中で合流して、加圧された洗浄水が出水する。すなわち、加圧室910d、920dの天井部分には洗浄水出口910g、920gがそれぞれ設けられている。洗浄水出口910g、920gには配管がそれぞれ接続されており、接続されたそれぞれの配管が分岐部を介して給水管路75と接続されている。そのため、加圧室910d、920dから流出した洗浄水は、途中で合流して、加圧された洗浄水として給水管路75に出水する。
そして、その後、上死点から下死点(原位置)に復帰する際に、加圧室内の圧力が低下するとともに、アンブレラパッキン910f、920fが開き、洗浄水が加圧室内に流入する。その後、次回のピストン移動の際に、洗浄水が再度加圧され、この工程を連続して行うことで、圧力変動すなわち脈動が発生する。
図5は、ピストン910b、920bのストロークの様子を例示した図である。
図5に示すように、ピストン920bのストロークは、ピストン910bのストロークの約半分となり、かつ、90°位相がずれるように設定されている。なお、周期は、同一である。
図3に示す様に、洗浄水は、脈動発生部90への導入水圧Pin(給水圧)を基準に脈動した圧力で脈動発生部90から給水管路75、ひいてはノズルユニット80に送られ、人体局部に向けて吐水される。なお、図3に示す圧力波形は、後述する吐水孔401もしくは吐水孔402、または、これらに連通する洗浄渦室301もしくは302において測定したものである。また、圧力計としては応答性が高いものを用い、高いサンプリング周期で測定するようにした。また、図中のMTは、1つの脈動周期を示している。
脈動発生部90は、あらかじめ設定されたピストンの動作によって、モータをON/OFFするだけの簡単な制御で、図3に示すように、1つの脈動周期において、少なくとも1つの凸状ピークと前後の傾きが正となる変曲点を有するように、周期的な脈動推移を発生させている。すなわち、モータをON/OFFするだけの簡単な制御により、脈動発生部90にあらかじめ設定されたピストンの動作を行わせることができる。その結果、図3に示すように、1つの脈動周期MTにおいて、少なくとも1つの凸状ピークと、前後の傾きが正となる変曲点とを有する周期的な脈動推移を発生させることができる。
このような構成を有するアキュームレータ73は、ダンパ73cの作用により脈動発生部90の上流側の給水管路67にかかる水撃を低減する。このため、熱交換部62の洗浄水温度分布に及ぼす水撃の影響を緩和することができ、洗浄水の温度を安定化することができる。この場合、アキュームレータ73は脈動発生部90に近接配置したり脈動発生部90と一体的に配置することが、脈動発生部90で発生された脈動を上流側に伝播することを速やかにかつ効果的に回避できる観点から好ましい。すなわち、アキュームレータ73を脈動発生部90に近接配置したり、アキュームレータ73と脈動発生部90とを一体化したりすることが好ましい。その様にすれば、脈動発生部90において発生した脈動が上流側に伝播することを速やか、かつ効果的に抑制することができる。
すなわち、ノズル82の先端近傍には、「おしり」(人体局部)に向って洗浄水を吐出するおしり洗浄用の吐水孔401と、ビデ洗浄用の吐水孔402とが設けられている。吐水孔401の上流側には洗浄水渦室301が連通するようにして設けられている。吐水孔402の上流側には洗浄水渦室302が連通するようにして設けられている。
一方、洗浄流路84は洗浄渦室301の上方に連通し、吐水孔401と連通している。すなわち、洗浄流路83は、洗浄水渦室302の下部に接続されている。また、洗浄流路84は、洗浄渦室301の上部に接続され、洗浄流路85は、洗浄渦室301の下部に接続されている。
なお、洗浄水渦室301、302は必ずしも設ける必要はない。
図6は、脈動発生部90によって生成された速度(初速)の変化の様子を示したタイミングチャートである。図6における速度(初速)の変化は、図5のピストン910b、920bの動作と連動している。図5における「S1」のタイミングでピストン920bが上死点までストロークすると、加圧部920d内の洗浄水は加圧され、洗浄水が吐水孔から吐水された時点での速度(初速)は、図6に示す速度V2まで加速される。その際、前後の傾きが正となる変曲点を有するように速度波形が変化する。その後、ピストン910bが上死点に到達するタイミングで、洗浄水の速度(初速)は、一つの凸状のピーク速度V4に到達する。そして、ピストン910b、920bが下降すると共に、洗浄水の速度(初速)もV1まで下降する。
そして、それぞれの洗浄水が、人体局部に着水するまでに、V2の速度で吐水された洗浄水が、V1の速度で吐水された洗浄水に追付くことで、V1の速度で吐水された洗浄水とV2の速度で吐水された洗浄水との間にある洗浄水が一体化し、吐水断面積の大きな吐水群(以下、単に「大きな吐水群」と称する)を形成する。つまり、速度波形において、速度の立ち上がりの勾配が生じたときには、吐水群が形成されることになる。よって、この関係は、V3の速度で吐水された洗浄水と、V4の速度で吐水された洗浄水との間にも成り立つ。このとき、速度V3および速度V4は、速度V1、速度V2に比べ速くなっている。このように、速度が速い場合、吐水されてから人体局部に着水するまでの間の時間は短くなる。よって、V3の速度で吐水された洗浄水が人体局部に着水するまでの間に、V4の速度で吐水された洗浄水が追付くことができた距離は、僅かとなり、一体化された吐水群はあまり形成されない。そのため、それぞれの速度で吐水された洗浄水が、連続的に人体局部に着水することになる。また、速度V1から凸状のピーク速度V4が現れる間に、前後が正の傾きとなる変曲点が現れるように制御すれば、速度V1から速度V2にかけて生成された吐水群と、速度V3から速度V4にかけて生成された吐水群は、一体化せずに独立して人体局部に着水することができる。
図7は、脈動流の洗浄水を仮定の吐水孔40から吐水した場合、その吐水された洗浄水が脈動流により増幅される過程を例示するための模式図である。
前述のように、速度波形の立ち上がりの勾配部分においては、速い速度で吐水された洗浄水が、その前に遅い速度で吐水された洗浄水と順次合体することにより、大きな吐水群となって、人体局部(洗浄面)に着水することになる。
また、このとき、速度V1から凸状のピーク速度V4が現れるまでの間に、前後が正の傾きとなる変曲点が現れるように制御することで、速度V1から速度V2にかけて生成された吐水群が人体局部に着水するタイミングと、速度V3から速度V4にかけて生成された吐水群が人体局部に着水するタイミングとの間に時間間隔を生じさせることができる。その結果、それぞれを一体化させずに独立して人体局部に着水させることができる。
なお、それぞれの吐水群が人体局部に着水する時の時間間隔は、十分短いため、それぞれの吐水群がほぼ同時に着水したと感じさせることができる。そのため、刺激感と量感とを両立させた洗浄と感じさせることができる。
図8に示すように、1つの周期(脈動周期MT)のなかに、2つの「山」が生じている。「山」は、後に吐水された洗浄水が追付くことで荷重値が大きくなったことをしめしている。また、2つの「山」は、1つの周期のなかで2つの独立した吐水群が生成されたこと、すなわち、遅くて大きな吐水群と、速くて小さな吐水群が独立して生成されたことを示している。この場合、使用者は、遅くて大きな吐水群で量感を感じ、後から出る速くて小さな吐水群で刺激感を感じることができる。
吐水群は、洗浄水が吐水孔40から吐水され、人体局部に当たるまでの時間において、速い速度で後から吐水された洗浄水が、遅い速度で先に吐水された洗浄水に追いつくことで生成される。
また、遅くて大きな吐水群および速くて小さな吐水群はそれぞれ十分な衝撃力を持っている。また、前述したように脈動周期MTに対して、約半分の周期で着水させることができる。この場合、それぞれの吐水群が人体局部に着水する時間間隔が十分短いため、それぞれの吐水群がほぼ同時に着水したと感じさせることができる。そのため、刺激感と量感を備えた連続感のある洗浄として体感させることができる。なお、大きな吐水群と小さな吐水群を、人体局部に同時に着水させれば、なおのこと、刺激感と量感を同時に感じることができ、たとえば、皮膚感覚が極めて優れた使用者であっても刺激感と量感を同時に感じることができる。
図9は、モータ式レシプロタイプの脈動発生部(吐水手段)90aを例示するための概略構成断面図である。
脈動発生部90aは、第一の脈動発生部91aと第二の脈動発生部92aとからなる2連構成とされている。第一の脈動発生部91aと第二の脈動発生部92aには、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ910a、920aが設けられている。シリンダ910a、920a内には、ピストン910b、920bが設けられている。ピストン910b、920bには、Oリング910c、920cが装着されている。ピストン910b、920bとシリンダ910a、920aとで画されたそれぞれの空間が加圧室910d、920dとなる。
その際、アンブレラパッキン910f、920fによって、逆流しないようになっている。すなわち、洗浄水入り口910e、920eが加圧室910d、920dに開口する部分にはアンブレラパッキン910f、920fが設けられ、加圧室910d、920d内に流入した洗浄水が給水管67側へ逆流しないようになっている。
また、洗浄水出口910g、920gがそれぞれ設けられ、途中で合流して、加圧された洗浄水が出水する。すなわち、加圧室910d、920dの天井部分には洗浄水出口910g、920gがそれぞれ設けられている。洗浄水出口910g、920gには配管がそれぞれ接続されており、接続されたそれぞれの配管が分岐部を介して給水管路75と接続されている。そのため、加圧室910d、920dから流出した洗浄水は、途中で合流して、加圧された洗浄水として給水管路75に出水する。
図10は、脈動発生部90aによって生成された圧力変動の様子を示したタイミングチャートである。
図10において、図5における「S1」のタイミングでピストン920bが上死点までストロークすると、加圧部920d内の洗浄水は加圧され、洗浄水の圧力は、図10に示す圧力Pm1まで加圧される。その後、ピストン920bが下がると同時に脈動発生部91aのピストン910bが上昇し上死点に到達するタイミングで、圧力は、凸状のピーク圧力Pm3に到達する。そして、ピストン910bが下降すると共に、圧力もPm4まで下降する。
そのため、本実施の形態においても、速度変動を生じさせることができる。そのため、速度Vm1で吐水された洗浄水は、それよりも先に吐水された洗浄水に追いつきながら、第一の吐水群(大きな吐水群)を形成することができる。また、速度Vm3で吐水された洗浄水は、それよりも先に吐水された洗浄水に追いつきながら、第二の吐水群(小さな吐水群)を形成する。その際、速度Vm1が形成されるタイミングと、速度Vm3が形成されるタイミングとの間には、十分な時間間隔がある。したがって、第二の吐水群が生成されるときには、第一の吐水群は十分進んだ位置にあるので、人体局部に着水する際には、それぞれが独立して着水することができる。よって、速度の異なる吐水群を連続して着水させることができるので、それぞれの吐水群により異なる感覚を与えることができる。
図12は、モータ式レシプロタイプの脈動発生部(吐水手段)90bを例示するための概略構成断面図である。
脈動発生部90bは、第一の脈動発生部91bと第二の脈動発生部92bとからなる2連構成とされている。第一の脈動発生部91bと第二の脈動発生部92bには、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ910a、920aが設けられている。シリンダ910a、920a内には、ピストン910b、920bが設けられている。ピストン910b、920bには、Oリング910c、920cが装着されている。ピストン910b、920bとシリンダ910a、920aとで画されたそれぞれの空間が加圧室910d、920dとなる。
その際、アンブレラパッキン910f、920fによって、逆流しないようになっている。すなわち、洗浄水入り口910e、920eが加圧室910d、920dに開口する部分にはアンブレラパッキン910f、920fが設けられ、加圧室910d、920d内に流入した洗浄水が給水管67側へ逆流しないようになっている。
そして、その後、上死点から下死点(原位置)に復帰する際に、加圧室内の圧力が低下するとともに、アンブレラパッキン910f、920fが開き、洗浄水が加圧室内に流入する。その後、次回のピストン移動の際に、洗浄水が再度加圧され、この工程を連続して行うことで、圧力変動すなわち脈動が発生する。
図14に示すように、ピストン920bのストロークは、ピストン910bのストロークの約半分となり、かつ、180°位相がずれるように設定されている。なお、周期は、同一である。
図13に示す様に、洗浄水は、脈動発生部90への導入水圧Pin(給水圧)を基準に脈動した圧力で脈動発生部90から給水管路75、ひいてはノズルユニット80に送られ、人体局部に向けて吐水される。なお、図13に示す圧力波形は、前述した吐水孔401もしくは吐水孔402、または、これらに連通する洗浄渦室301もしくは302において測定したものである。また、圧力計としては応答性が高いものを用い、高いサンプリング周期で測定するようにした。また、図中のMTは、1つの脈動周期を示している。
脈動発生部90bは、あらかじめ設定されたピストンの動作によって、モータをON/OFFするだけの簡単な制御で、図13に示すように、1つの脈動周期において、複数の凸状ピークを異なる圧力で有するように周期的な脈動推移を発生している。
図15は、脈動発生部90bによって生成された速度(初速)の変化の様子を示したタイミングチャートである。図15における速度の変化は、図14のピストン910b、920bの動作と連動している。図14における「S11」のタイミングでピストン920bが上死点までストロークすると、加圧部920d内の洗浄水は加圧され、洗浄水の速度は、図15に示す速度V12まで加速される。その際、第一のピーク速度V12が形成される。その後、ピストン920bが下がると、速度も低下し、「S12」のタイミングで、速度は一度下がる。すなわち、速度V12と速度V13との間で速度が低下する。
そしてさらにその後、ピストン910bが上死点に到達するタイミングで、洗浄水の速度は、第二のピーク速度V14に到達する。そして、ピストン910b、920bが下降すると共に、洗浄水の速度もV11まで下降する。
そして、それぞれの洗浄水が、人体局部に着水するまでに、V12の速度で吐水された洗浄水が、V11の速度で吐水された洗浄水に追付くことで、V11の速度で吐水された洗浄水とV12の速度で吐水された洗浄水との間にある洗浄水が一体化し、大きな吐水群を生成する。つまり、速度波形において、速度の立ち上がりの勾配が生じたときには、吐水群が生成されることになる。よって、この関係は、V13の速度で吐水された洗浄水と、V14の速度で吐水された洗浄水との間にも成り立つ。このとき、速度V13および速度V14は、速度V11、速度V12に比べ速くなっている。このように、速度が速い場合、吐水されてから人体局部に着水するまでの間の時間は短くなる。よって、V13の速度で吐水された洗浄水が人体局部に着水するまでの間に、V14の速度で吐水された洗浄水が追付くことができた距離は、僅かとなり、一体化された吐水群はあまり生成されない。そのため、それぞれの速度で吐水された洗浄水が、連続的に人体局部に着水することになる。
図16は、モータ式レシプロタイプの脈動発生部(吐水手段)90cを例示するための概略構成断面図である。
脈動発生部90cは、第一の脈動発生部91cと第二の脈動発生部92cとからなる2連構成とされている。第一の脈動発生部91cと第二の脈動発生部92cには、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ910a、920aが設けられている。シリンダ910a、920a内には、ピストン910b、920bが設けられている。ピストン910b、920bには、Oリング910c、920cが装着されている。ピストン910b、920bとシリンダ910a、920aとで画されたそれぞれの空間が加圧室910d、920dとなる。
その際、アンブレラパッキン910f、920fによって、逆流しないようになっている。すなわち、洗浄水入り口910e、920eが加圧室910d、920dに開口する部分にはアンブレラパッキン910f、920fが設けられ、加圧室910d、920d内に流入した洗浄水が給水管67側へ逆流しないようになっている。
図17は、脈動発生部90cによって生成された圧力変動の様子を示したタイミングチャートである。
図17において、図14における「S11」のタイミングでピストン920bが上死点までストロークすると、加圧部920d内の洗浄水は加圧され、洗浄水の圧力は、図17に示す圧力Pm11まで加速される。その後、ピストン920bが下がると、圧力も低下し、「S12」のタイミングで、圧力はPm12まで下がる。そしてその後、第一の脈動発生部91cのピストン910bが上死点に到達するタイミングで、圧力は、第二のピーク圧力Pm13に到達する。そして、ピストン910bが下降すると共に、圧力もPm14まで低下する。
そのため、本実施の形態においても、速度変動を生じさせることができる。そのため、速度Vm11で吐水された洗浄水は、それよりも先に吐水された洗浄水に追いつきながら、第一の吐水群(大きな吐水群)を生成することができる。また、速度Vm13で吐水された洗浄水は、それよりも先に吐水された洗浄水に追いつきながら、第二の吐水群(小さな吐水群)を生成する。その際、速度Vm11が形成されるタイミングと、速度Vm13が形成されるタイミングとの間には、十分な時間間隔がある。したがって、第二の吐水群が生成されるときには、第一の吐水群は十分進んだ位置にあるので、人体局部に着水する際には、それぞれが独立して着水することができる。よって、速度の異なる吐水群を連続して着水させることができるので、それぞれの吐水群により異なる感覚を与えることができる。
図19は、モータ式レシプロタイプの脈動発生部(吐水手段)90dを例示するための概略構成断面図である。
脈動発生部90dには、円柱状の空間を有するシリンダ910が設けられている。シリンダ910内には、ピストン910bが設けられている。ピストン910bには、Oリング910cが装着されている。ピストン910bとシリンダ910とで画された空間が加圧室910dとなる。加圧室910dには、洗浄水入り口910e給水管67から洗浄水が流入するようになっている。すなわち、加圧室910dには、洗浄水入り口910eが設けられている。そして、給水管67が洗浄水入り口910eに接続され、給水管67から加圧室910dに洗浄水を流入させることができるようになっている。
その際、アンブレラパッキン910fによって、逆流しないようになっている。すなわち、洗浄水入り口910eが加圧室910dに開口する部分にはアンブレラパッキン910fが設けられ、加圧室910d内に流入した洗浄水が給水管67側へ逆流しないようになっている。
すなわち、制御部10によりモータ911の回転速度を制御することで、最も速度の速くなる(圧力の高くなる)上死点と、最も速度の遅くなる(圧力の低くなる)下死点との間において所望のピストン速度が得られるようになっている。
また、ピストン910bを上死点から下死点に移行させる時の速度がより速くなるような制御を行っている。これによって、下死点近傍において形成される圧力をより下げることができるので、圧力の低い領域を大きくすることができる。その結果、圧力の低い領域における速度変動量をより大きくすることができるので、より大きな吐水群を生成することができる。
なお、この場合、シリンダ数は1つに限らない。また、1つのシリンダ内に複数の加圧室が設けられていても良い。
本実施の形態においては、下死点からピストンが上昇し加圧が行われる領域においてピストンの上昇速度を制御することで、すなわち、モータの回転速度を制御することで「大きな吐水群」を生成するようにしている。また、ピストンが上死点に近づき圧力がさらに上昇する領域においてピストンの上昇速度を制御することで、すなわち、モータの回転速度を制御することで「小さな吐水群」を生成するようにしている。そして、これらが生成される領域の間に、モータの回転数比が小さな領域を設けて、「大きな吐水群」が生成される圧力領域と「小さな吐水群」が生成される圧力領域との間に時間的な間隔を生じさせている。
また、ピストンを上死点から下死点に移行させる工程(加圧室内に洗浄水を流入させる工程)におけるモータの回転数比を高く設定することで、加圧室内の圧力を低下させるようにしている。その様にすれば、下死点近傍において形成される圧力をより下げることができるので、圧力の低い領域を大きくすることができる。その結果、圧力の低い領域における速度変動量をより大きくすることができるので、より大きな吐水群を生成することができる。
続いて第6の実施形態について例示する。
図21は、モータ式レシプロタイプの脈動発生部(吐水手段)90eを例示するための概略構成断面図である。
脈動発生部90eは、第一の脈動発生部191と第二の脈動発生部192とからなる2連構成とされている。第一の脈動発生部191と第二の脈動発生部192には、それぞれ円柱状の空間を有するシリンダ191a、192aが設けられている。シリンダ191a、192a内には、ピストン191b、192bが設けられている。ピストン191b、192bには、図示しないOリングが装着されている。ピストン191b、192bとシリンダ191a、192aとで画されたそれぞれの空間が加圧室191d、192dとなる。
また、加圧室191d、192dの天井部分には洗浄水出口191g、192gがそれぞれ設けられている。洗浄水出口191g、192gには配管がそれぞれ接続されており、接続されたそれぞれの配管が分岐部を介して給水管路75と接続されている。そのため、加圧室191d、192dから流出した洗浄水は、途中で合流して、加圧された洗浄水として給水管路75に出水する。
また、ギア912とギア913bとがかみ合っている。ギア913bには、ピストン192bを動作させるクランクシャフト194bの一端が取り付けられている。クランクシャフト194bの他端はピストン192bに取り付けられている。
ギア913bのピッチ円直径寸法は、ギア913aのピッチ円直径寸法の2倍となっている。そのため、ピストン192bの移動周期はピストン191bの移動周期の2倍となる。
また、加圧室192dの容積が加圧室191dの容積よりも大きくなるようになっている。すなわち、加圧室192dの直径寸法(断面寸法)が加圧室191dの直径寸法(断面寸法)よりも大きくなっている。また、ピストン192bのストロークがピストン191bのストロークよりも大きくなっている。
図22は、圧力波形を例示するための模式図である。なお、図22(A)は圧力波形が形成される様子を例示するための模式図、図22(B)は吐水群が生成される様子を例示するための模式図である。
図22(A)に示すように、第一の脈動発生部191により形成される圧力波形は図中の「X」のようになる。一方、第二の脈動発生部192により形成される圧力波形は図中の「Y」のようになる。
前述したように、加圧室192dの容積が加圧室191dの容積よりも大きくなっているので、圧力波形「Y」における最大圧力は圧力波形「X」における最大圧力よりも大きくなる。また、圧力波形「Y」の周期は圧力波形「X」の周期の2倍となる。
そのため、本実施の形態においても、前述した「大きな吐水群」と「小さな吐水群」とを生成することができる。
この場合、例えば、圧力波形「X」の周期や振幅、圧力波形「Y」の周期や振幅を適宜変更することで「大きな吐水群」と「小さな吐水群」とが生成される順番などを変更することができる。例えば、「大きな吐水群」の後に「小さな吐水群」が生成され、さらにその後に「小さな吐水群」が生成される様な吐水サイクルが繰り返されるようにすることもできる。
図23は、脈動発生部(吐水手段)90fの概略構成断面図である。なお、ここでいう脈動発生部は、圧力変動を起こす圧力変動部ということもできる。
その後、原位置に復帰する際には、逆止弁74gを経てシリンダ74b内に洗浄水が流れ込む。そのため、次回のプランジャ74cの下流側移動の際には、改めて、一定量の洗浄水が給水管路75に送られることになる。
図24は、洗浄水の圧力変動の様子を例示するための模式図である。
図24に示す様に、洗浄水は、脈動発生部90fへの導入水圧Pin(給水圧)を基準に脈動した圧力で脈動発生部90fから給水管路75、ひいてはノズルユニット80に送られ、人体局部に向けて吐水される。なお、図24に示す圧力波形は、前述した吐水孔401もしくは吐水孔402、または、これらに連通する洗浄渦室301もしくは302において測定したものである。また、圧力計としては応答性が高いものを用い、高いサンプリング周期で測定するようにした。
図25は、洗浄水吐水に際して脈動を発生させる脈動発生部90fの脈動発生コイル74dの励磁の様子を示す電圧波形の図(脈動発生コイル74dに印加される電圧波形を例示するための模式図)であり、図26は、脈動発生部90fから流出する洗浄水の速度(初速)を示すタイミングチャートである。
これにより、脈動発生部90fから吐水孔401には、圧力が周期的に上下変動する脈動流の状態で洗浄水が供給され、この脈動流の洗浄水が各吐水孔から吐水される。
その後、圧力は給水圧Pinまで復帰しようとし、速度も給水圧時の速度Vinまで復帰しようとする。この復帰のタイミングに、T1よりも短いON時間のT3の矩形波を加えることにより、脈動発生コイル74dを励磁させ、プランジャ74cを下流側へ引き付けることで、洗浄水を再度加圧する。すなわち、この復帰のタイミングにおいて、ON時間がT1よりも短いT3の矩形波電圧を脈動発生コイル74dに印加する。そして、脈動発生コイル74dを励磁し、プランジャ74cを下流側へ引き付けることで、洗浄水を再度加圧する。
図27は、脈動流の洗浄水を仮定の吐水孔40から吐水した場合に、その吐水された洗浄水が増幅される過程を例示するための模式図である。
ここで、図24と図26の図を用いて、圧力変動と速度変化の関係について例示をする。脈動発生部90fにより圧力が脈動すると、速度Vも同様に変動して脈動する。すなわち、吐水される洗浄水は、圧力変動がPmaxになると、速度も最大速度Vmaxになり、瞬間の速度が時間とともに変動する。また、図24の脈動流の洗浄水の圧力波形における各部位をP21、P22、P23、P24、P25とすると、速度も図26上のV21、V22、V23、V24、V25がそれぞれの番号同士で対応する。
この洗浄水(大きな吐水群)は、人体局部に当たるときには、吐水の断面積(量感)が大きい状態になっている。
すなわち、速度V23と速度V24との間における速度の立ち上がり勾配部分においては、全体の速度が速い。そのため、速度V23で吐水された洗浄水が人体局部に着水する前に、速度V24で吐水された洗浄水が速度V23で吐水された洗浄水に追いつきにくい。その結果、洗浄水が円錐状に拡張されることなく直線状に吐水されて、人体局部に着水する前に、速度V23で吐水された洗浄水と速度V24で吐水された洗浄水とがほとんど合体せず、吐水断面積の小さな吐水群(小さな吐水群)として着水することになる。この洗浄水(小さな吐水群)は、人体局部に当たるときには、衝突エネルギー(刺激感)における速度成分が大きい状態になっている。
すなわち、OFF時間T4を設けることで、速度V22で吐水された洗浄水と速度V24で吐水された洗浄水との間に十分な時間の開きを設けることができる。
その結果、速度V22で吐水されることで生成された吐水断面積が大きく速度V24で吐水されることで生成されたものよりは速度の遅い吐水群(大きな吐水群)と、速度V24で吐水されることで生成された吐水断面積が小さく速度の速い吐水群(小さな吐水群)とは、お互いに干渉することなく、人体局部に異なる速度をもって独立して着水することができる。
本実施の形態においても、図8に例示をしたように、1つの周期(脈動周期MT)において、2つのタイミングで荷重が大きくなる。すなわち、1つの周期において、2つの吐水群が生成され、それらが独立して人体局部に当たることになる。
図28は、速度波形と、追付き曲線を示したタイミングチャートである。まず、追付き曲線について例示をする。追付き曲線とは、吐水されたタイミングと吐水された速度がそれぞれ異なる洗浄水であっても、この曲線上に載っていれば60mm先の人体局部に同時に着水することを示している。すなわち、追付き曲線とは、所定の距離(本実施の形態においては60mmとした)にある着水位置に同時に着水させる際の速度と吐水タイミングとの関係を表すための仮想曲線である。
洗浄感は、刺激感と量感で表される感覚であって、それらは、吐水のもつ衝撃力M・V(Mは重さ、Vは速度)に依存すると考えられる。ここで、刺激感とは、速い吐水が人体局部に当たることで、痛みに近い刺激を感じることであり、速度Vに依存する。
まずは、「大きな吐水群」と、「速い吐水群」とを交互に生成し、独立して人体局部に着水させることができる。
この2種類の吐水群を不感帯周波数域内(5Hz以上)でそれぞれを少なくとも1回ずつ着水させることで、刺激感と量感とを兼ね備えた吐水と感じさせることができる。
なお、図29(A)は、図24に対応するものであり、圧力波形を実測したものである。この場合、洗浄水の圧力は、吐水孔401もしくは402、または、これらに連通する洗浄渦室301もしくは302において測定した。また、圧力計としては応答性が高いものを用い、高いサンプリング周期で測定するようにした。また、図29(B)は、図25に対応するものであり、脈動発生コイル74dに印加されたパルス状の電圧の波形を表したものである。
図30は、電圧印加のタイミング、プランジャの動作、圧力波形、吐水された洗浄水の状態を例示するための模式図である。なお、「吐水された洗浄水の状態」欄における上段の図は吐水直後の状態を表し、下段の図は人体局部に着水する直前の状態を表している。また、図中のa、b、c、d、eは、圧力a、b、c、d、eの場合にそれぞれ吐水された洗浄水を表している。
すなわち、図29に示すように、ON時間をT1として脈動発生コイル74dに電圧を印加すると、洗浄水の圧力は給水圧近傍の圧力P23から最も高い圧力P24にまで上昇する。この際、圧力が変動すると速度も対応するようにして変動する。
そのため、図30[I]の「吐水された洗浄水の状態」欄に示すように、先に速度V23で吐水された洗浄水aに、後から速度V24で吐水された洗浄水bが追いつきにくい。その結果、速度V23で吐水された洗浄水aと、速度V24で吐水された洗浄水bとがほとんど合体せず、小さな吐水群として人体局部に着水することになる。この場合、速度V23、速度V24が速いので、速度が速く小さな吐水群が生成されることになる。
この場合、圧力bにおいて先に吐水された洗浄水の速度は、圧力cにおいて後から吐水された洗浄水の速度よりも速い。
そのため、図33[II]の「吐水された洗浄水の状態」欄に示すように、後から吐水された洗浄水が追い付くことができず、それぞれが人体局部に着水することになる。この場合、図33[I]の場合と比べて洗浄水の速度が遅く、洗浄水の量が少なくなるので、刺激感と量感とを高めることに対する寄与が少なくなる。
この場合、図30[II]に例示をしたように、復帰スプリング74fの付勢力によってプランジャ74cが原位置に復帰する際に洗浄水が引き込まれることで、圧力cが給水圧よりも低くなる。そのため、給水圧よりも低い圧力の領域を容易に形成することができる。 給水圧よりも低い圧力の領域においては速度を遅くすることができるので、人体局部に到達するまでの時間を長くすることができる。そのため、先に吐水された洗浄水に後から吐水された洗浄水が追い付く量を多くすることができるので、速度が遅く大きな吐水群の生成が容易となる。
すなわち、図29に示すように、ON時間をT3として脈動発生コイル74dに電圧を印加すると、洗浄水の圧力は圧力P24までは高まらず、給水圧よりも少し高い第2のピークである圧力P22まで上昇する。
そのため、図30[III]、[IV]の「吐水された洗浄水の状態」欄に示すように、先に速度V21で吐水された洗浄水cに、後から速度V22で吐水された洗浄水dが追いつくことができる。その結果、速度V21で吐水された洗浄水cと、速度V22で吐水された洗浄水dとが合体し、大きな吐水群となる。この場合、速度V21、速度V22は、速度V23、速度V24より速度が遅い。そのため、速度が遅く大きな吐水群が生成されることになる。
そのため、図30[V]の「吐水された洗浄水の状態」欄に示すように、後から吐水された洗浄水eが追い付くことができず、それぞれが人体局部に着水することになる。
このことは、1つの周期の中で異なる吐水群を均等なタイミングでつくることに繋がるので、不感帯周波数域よりも低い周波数においても断続感の少ない快適な洗浄を実現することが可能となる。また、それぞれを不感帯周波数域内で着水させるようにすれば、刺激感と量感とを備えた吐水がされていると感じさせることもできる。
また、給水圧近傍からの積極的な加圧を行うことで圧力b(圧力P24)をより高めるようにすれば、その後に形成される圧力c(圧力P21)をより低くすることができる。そのため、前述した「給水圧よりも低い圧力の領域」の形成を容易とすることができる。 また、圧力が給水圧へと復帰する際に積極的な加圧を行うようにすれば、迅速、かつ安定的に給水圧近傍の圧力を得ることができる。
図31には、脈動発生部90fに印加される電圧波形を、図32には、脈動発生部90fの圧力変動によって生じる吐水の速度変化のタイミングチャートを示す。なお、衛生洗浄装置の構成は、第1の実施形態に係るものとほぼ同じであるため、詳細な説明は省略する。
次に、吐水の様子について図32に基いて例示をする。電圧印加が断続的に行われる領域Ta1においてはON時間が断続的となるため、プランジャ74cは、通常の電圧印加が行われる領域Ta3の場合に比べ、ややゆっくりとした速度で吸引される。その結果、第1のボトム速度Va1から第1のピーク速度Va2までの速度の上昇はややなだらかになる。
このように、吐水断面積の大きさの異なる吐水群を生成し、不感帯周波数域内において、少なくとも1回人体局部に当てることで刺激感と量感を両立させることができる。
図33は、蓄圧部が設けられている場合を例示するための模式図である。なお、前述したものと同様の構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図33に示すように、脈動発生部90fと流量調節兼流路切替弁81とは蓄圧部75aで接続されている。また、流量調節兼流路切替弁81とノズル82とは蓄圧部86aで接続されている。
水圧を受けて蓄圧部75a、86aに蓄えられた弾性エネルギーは、洗浄水の加圧を補助するために利用することができる。特に、圧力の低い領域においては洗浄水の加圧を効果的に行うことができる。例えば、図33の「B」に示す領域においては洗浄水の加圧を効果的に行うことができる。
なお、図33に例示をしたものは、蓄圧部75aと蓄圧部86aとを設けるようにしたが、少なくともいずれかが設けられるようにすることができる。
また、蓄圧部75a、86aに蓄えられる弾性エネルギーは、材料のバネ定数を適宜選択することで変更することができる。
図34は、空気混入部が設けられた衛生洗浄装置を例示するための水路系統図である。なお、図1において例示をしたものと同様の構成要素には同じ符号を付し、それらの説明は省略する。
図34に示すように、衛生洗浄装置1aの水路系には、供給源側(IN側)から順に、定流量弁105、給水弁106、熱交換ユニット60、アキュームレータ73、脈動発生部90、流量調節兼流路切替弁81、ノズル82が設けられている。また、ノズル82の先端部において空気を混入させる空気供給部107と、制御部10とが設けられている。
給水弁106は、流路の開閉を行うことで衛生洗浄装置1aへの洗浄水の流入を制御する。
制御部10は、給水弁106、熱交換ユニット60、脈動発生部90、流量調節兼流路切替弁81、空気供給部107の制御を行う。
空気供給部107によって加圧された空気は、ノズル82の先端に連結されたチューブ107aを介してノズル82内に供給される。なお、チューブ107bを介して流量調節兼流路切替弁81に供給されるようにすることもできる。ここで、チューブ107aやチューブ107bは、空気供給部107から供給された空気を洗浄水中に混入させる空気混入部ということもできる。
この場合、脈動発生部90によって生じる圧力変動(図3などを参照)に合わせて空気供給部107を制御することによって、加圧された空気が混入されるタイミングを合わせるようにすることができる。
なお、空気供給部107からの空気の供給位置は、ノズル82の先端に限ったものではなく、ノズル82の上流側の配管などに空気が混入できるようにしてもよい。例えば、前述したように流量調節兼流路切替弁81に空気を供給することもできる。
ノズル82の先端部(図4における旋回渦室301)において、旋回渦室301に対して接線方向に接続された洗浄流路(図4における洗浄流路85)から洗浄水を旋回渦室301に流入させることで、吐水方向に対して、回転方向成分を付与することができる。
洗浄水路85から流入する洗浄水の流量と、旋回渦室301の軸中心に向けて接続された洗浄水路(図4における洗浄流路84)から流入する洗浄水の流量との比率を調整することで、吐水方向成分と旋回方向成分の比率を調整することができるので、「大きな吐水」の吐水断面積をさらに拡げることができる。その結果、量感をさらに高めることができ、最適な範囲を確実に洗浄することができる。さらに、「大きな吐水」のときに旋回方向成分の比率を大きくすれば、吐水断面積のみをさらに拡大することができる。この場合、吐水断面積は小さいが速度が速い「小さな吐水」の吐水断面積を広げることがないので、刺激感を持った快適な洗浄をすることができ、かつ最適な範囲を確実に洗浄することができる。
前記第1の吐水及び第2の吐水を、人体局部の同じ部位に向けて吐水し、同時もしくは交互に同一の前記着水位置に着水するように構成するのが、より好ましい。
なお、流路開閉部(例えば、前述したアンブレラパッキンなど)により蓄圧される時間は、例えば、材料のバネ定数を適宜選択したり、流路を開閉する部分の厚さなどの寸法を適宜変更したりすることで変化させることができる。
本発明によれば、限られた水量の中で、多くの水量で洗浄されているような量感を実現させ、かつ、刺激感も両立して実現させることができる。そのため、快適性の高い衛生洗浄装置を実現することができる。
また、前述した実施形態においては、用途別に設けられた1つの吐水孔(例えば、「おしり洗浄」、「ビデ洗浄」など)から吐水を行うようにしているが、「大きな吐水群(吐水断面積が大きく(流量が多く)速度の遅い吐水群)」を生成するための吐水孔と、「小さな吐水群(吐水断面積が小さく(流量が少なく)速度の速い吐水群)」を生成するための吐水孔とを設けるようにすることもできる。また、前述した流量が多い第1の吐水を行うための吐水孔と、第1の吐水より速度が速い第2の吐水を行うための吐水孔とを設けるようにすることもできる。
Claims (12)
- 水の吐水を行う吐水手段と、
前記吐水手段より下流に設けられ、前記水を人体局部に向けて吐水する吐水孔を備えたノズルと、
を備えた衛生洗浄装置において、
前記吐水手段は、第1の吐水と、第2の吐水を行うものであって、
前記第1の吐水は、前記吐水孔から吐水される水が、前記ノズルからの吐水時に円錐状に拡張されることがないように構成され、且つ、人体局部の着水位置において前記第2の吐水よりも大きな吐水断面積となるように構成され、
前記第2の吐水は、前記吐水孔から吐水される水が、前記ノズルからの吐水時に円錐状に拡張されることがないように構成され、且つ、人体局部の着水位置において前記第1の吐水よりも速い速度となるように構成され、
更に前記吐水手段は、前記第1の吐水と第2の吐水を異なるタイミングで吐水するように構成されていることを特徴とする衛生洗浄装置。 - 前記第1の吐水及び第2の吐水を、人体局部の同じ部位に向けて吐水し、同時もしくは交互に同一の前記着水位置に着水するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
- 前記第1の吐水及び第2の吐水が、同一の吐水孔から交互に吐水されていることを特徴とする請求項2記載の衛生洗浄装置。
- 前記吐水手段は、
前記第1の吐水が、前記着水位置において前記第2の吐水よりも大きな吐水断面積となるように、吐水孔からの前記着水位置までの間において、先に吐水された洗浄水に後から吐水された洗浄水が追いつく追付き量が、第2の吐水よりも第1の吐水の方が多くなるように、前記第1の吐水が始まる時点での初速が第2の吐水が始まる時点での初速より遅くなるように、且つ、第1の吐水が終わる時点での初速が第2の吐水が終わる時点での初速より遅くなるように構成し、
前記第2の吐水は、前記着水位置において前記第1の吐水よりも速い速度となるように吐水孔から前記着水位置までの間において、先に吐水された洗浄水に後から吐水された洗浄水が追いつく追付き量が、第1の吐水よりも第2の吐水の方が少なくなるように、前記第2の吐水が始まる時点での初速が第1の吐水が始める時点での初速より速くなるように、且つ、第2の吐水が終わる時点での初速が第2の吐水が終わる時点での初速より速くなるように構成されていることを特徴とする請求項2記載の衛生洗浄装置。 - 前記吐水手段は、
前記第2の吐水を、前記第1の吐水よりも初速の変化の増加率が小さくなるように吐水するよう構成されていることを特徴とする請求項4記載の衛生洗浄装置。 - 前記吐水手段は、加圧によって吐水を行うものであるとともに、第1の加圧工程と、前記第1の加圧工程とは異なる吐水がされるように構成された第2の加圧工程を備え、
前記第1の吐水は、前記第1の加圧工程によって、前記着水位置において前記第2の吐水よりも大きな吐水断面積となるように加圧され、
前記第2の吐水は、前記第2の加圧工程によって、前記着水位置において前記第1の吐水よりも速い速度となるように加圧されるように構成されてなることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。 - 前記吐水手段は、加圧によって吐水を行うものであるとともに、前記第1の加圧工程を行う第1の加圧部と、前記第2の加圧工程を行う第2の加圧部を備えていることを特徴とする請求項6記載の衛生洗浄装置。
- 前記第2の加圧部は、前記第1の加圧部よりも吐水の初速が速くなるように加圧量が設定されていることを特徴とする請求項7記載の衛生洗浄装置。
- 前記第2の加圧部は、前記第1の加圧部よりも吐水の初速が速くなるように、第2の加圧部下流の流路が、第1の加圧部下流の流路よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項7記載の衛生洗浄装置。
- 前記第2の加圧部は、前記第1の加圧部よりも吐水の初速が速くなるように、第2の加圧部下流の蓄圧量が、第1の加圧部下流の蓄圧量よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項7記載の衛生洗浄装置。
- 前記吐水手段は、前記水に空気を混入させる空気混入手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
- さらに、前記吐水孔から水が吐水される方向を中心として前記水を旋回させる旋回方向付与手段を備えていることを特徴とする請求項4記載の衛生洗浄装置。
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