特許文献1のシャワーヘッドにおいては、水を噴射しながら突条部を有するマッサージ体で人体表面を押圧することにより、洗髪や人体表面の洗浄を行いながら、人体表面にマッサージ体でマッサージ刺激を付与することができる。しかし、特許文献1のシャワーヘッドでは、マッサージ体で人体表面を押圧し、さらにユーザー自身がシャワーヘッドを人体表面に沿って移動操作してマッサージ刺激を付与する必要があり、こうしたシャワーヘッドの操作が煩わしい。
本発明の目的は、ユーザー自身による移動操作を必要とせず、人体表面に水を噴射しながらマッサージ体によるマッサージ刺激を付与することができるシャワーヘッドを提供することにある。
本発明のシャワーヘッド1は、ケーシング2と、該ケーシング2に支持されて人体表面に押圧されるマッサージ体3とを備えている。ケーシング2には、一群の吐水口86が形成された吐水壁34と、外部水源から供給される水を一群の吐水口86へと案内する通水路87とが設けられている。そして、マッサージ体3が吐水壁34に配され、マッサージ体3を動作させる駆動構造4がケーシング2の内部に設けられていることを特徴とする。
ケーシング2の内部が、吐水壁34に臨んで通水路87が画成される第1領域74と、駆動構造4が配される第2領域75とに離隔体73で隔てられている。
離隔体73は、弾性変形可能な隔膜76で構成され、該隔膜76は通水路87を画成している。ケーシング2の内部の第2領域75に、隔膜76を厚み方向に往復振動させる起振構造83が設けられている。
隔膜76と吐水壁34とは、互いに向かい合う状態で配されている。駆動構造4が、隔膜76と吐水壁34との対向方向に往復駆動できるように構成されて、隔膜76を往復振動させる起振構造83を兼ねている。
駆動構造4とマッサージ体3とは、隔膜76を厚み方向に貫通する連動体65を介して連動されている。連動体65が、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されている。
マッサージ体3は、吐水壁34に設けられた装着開口33に装着される、厚み方向に弾性変形可能な円盤状の弾性ベース12と、弾性ベース12の外面から外向きに突出形成されて人体表面に押圧される一群の突起13とを含み、弾性ベース12に一群のベース吐水口18が設けられている。弾性ベース12が、該弾性ベース12の周縁部がケーシング2で支持され、駆動構造4で厚み方向に往復駆動されるように構成されている。なお、ここで言う「弾性ベース12の周縁部」とは、弾性ベース12が円状(中実)円盤の場合では、円状円盤の外周縁部を意味し、リング状(中空)円盤の場合では、リング状円盤の内外のいずれか一方、または両方の周縁部を意味する。
駆動構造4は、回転駆動源36と、回転駆動源36の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39とを含む。運動変換機構39が、回転駆動源36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成されている。なお、ここで言う「カム原節」とは、カム機構において動きを伝える元となる側、すなわち駆動源側に連結されている部材のことを意味し、「カム従節」とは、カム原節から動きが伝えられて仕事をする部材を意味する。
カム原節45が、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成され、カム従節46が、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されている。
カム原節45が、端面に周回状のカム面151を有する端面カム180で構成され、カム従節46が、端面カム180のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を端面カム180に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されている。
カムピン48を有するピンフレーム47、あるいはカムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52のいずれか一方でカム原節45が構成され、残る他方でカム従節46が構成されている。
円筒カム52は中空円筒状に形成されている。円筒カム52が回転駆動源36の周囲に被さる状態で配されて、カムピン48および波形溝51が、回転駆動源36の出力軸38の軸心方向における回転駆動源36の長さ寸法幅内に収まる状態で配されている。
カム従節46が中空円筒状の円筒カム52で構成されている。
一群の吐水口86が、弾性ベース12の外周縁に臨む吐水壁34に形成されている。
マッサージ体3の弾性ベース12がリング状に形成されている。一群の吐水口86が、弾性ベース12で囲まれる吐水壁34にそれぞれ形成されている。
マッサージ体3の弾性ベース12がリング状に形成されている。一群の吐水口86が、弾性ベース12の外周縁に臨む吐水壁34、および弾性ベース12で囲まれる吐水壁34にそれぞれ形成されている。
本発明のシャワーヘッドにおいては、ケーシング2に、一群の吐水口86が形成された吐水壁34と、外部水源から供給される水を一群の吐水口86へと案内する通水路87とを設け、吐水壁34にマッサージ体3を配した。こうしたシャワーヘッドによれば、マッサージ体3を押圧させた人体表面に対して吐水口86から水を噴射することができるので、例えば頭皮にマッサージ体3を押圧させたときには、洗髪しながら頭皮をマッサージすることができる。また、マッサージ体3を動作させる駆動構造4がケーシング2の内部に設けられていると、駆動構造4を駆動することにより、マッサージ体3にマッサージ動作を実行させることができる。以上のように、本発明のシャワーヘッドによれば、ユーザー自身による移動操作を必要とせず、人体表面に水を噴射しながらマッサージ体3によるマッサージ刺激を付与することができる。
ケーシング2の内部が、吐水壁34に臨んで通水路87が画成される第1領域74と、駆動構造4が配される第2領域75とに離隔体73で隔てられていると、外部水源から供給され通水路87を流れる水が、駆動構造4が配される第2領域75に侵入するのを離隔体73で阻止できるので、水分によって駆動構造4が動作不良に陥るのを防止できる。
ケーシング2の内部の第2領域75に、離隔体73を構成し通水路87を画成する弾性変形可能な隔膜76を厚み方向に往復振動させる起振構造83が設けられていると、吐水口86から噴射される水勢に脈動を与えて、マッサージ体3によるマッサージ刺激に加え、水の圧力変化に伴う刺激を人体表面に付与することができる。具体的には、起振構造83を駆動すると、隔膜76が往復振動してふいご様の動きが生じるので、第1領域74、すなわち通水路87の容積を大小に変化させることができる。このとき外部水源からの水の供給圧が一定である場合、通水路87の容積が大から小に変化する際には、隔膜76で通水路87の水が加圧され、吐水口86から噴射される水は勢いを増す。逆に通水路87の容積が小から大に変化する際には、隔膜76で通水路87の水が減圧され、吐水口86から噴射される水は勢いを失う。従って、起振構造83で隔膜76を往復振動させることにより、吐水口86から噴射される水勢が脈動する。
マッサージ体3を動作させる駆動構造4が、隔膜76を往復振動させる起振構造83を兼ねていると、隔膜76用の起振構造83を別途設ける必要がないので、装置の複雑化、大型化、或いは全体コストの上昇などを抑えて、シャワーヘッド1の簡素化および小型化を図り、全体コストを削減できる。
駆動構造4とマッサージ体3とが、隔膜76を厚み方向に貫通する連動体65を介して連動されていると、駆動構造4とマッサージ体3とが直結されている場合に比べて、マッサージ体3を人体表面に押圧したときの瞬間的な反作用力を連動体65に吸収させることができるので、駆動構造4に過度な負荷が作用するのを可及的に阻止できる。また、連動体65が、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されていると、隔膜76の防水機能を維持しながらも、マッサージ体3と隔膜76とを駆動構造4で往復(振動)駆動できるので、シャワーヘッド1の複雑化、大型化、或いは全体コストの上昇などをより抑えることができる。
マッサージ体3は、吐水壁34に設けられた装着開口33に装着される、厚み方向に弾性変形可能な円盤状の弾性ベース12と、弾性ベース12の外面から外向きに突出形成されて人体表面に押圧される一群の突起13とを含み、弾性ベース12に一群のベース吐水口18が設けられており、弾性ベース12の周縁部がケーシング2で支持されて、弾性ベース12が、駆動構造4で厚み方向に往復駆動されるように構成されていると、駆動構造4による往復駆動に伴う弾性ベース12の撓み変形によって、ベース吐水口18の指向方向を周期的に変化させることができるので、水の噴射方向を弾性ベース12に同期させて変更することができる。従って、マッサージ体3によるマッサージ刺激に加え、水の噴射方向の変化に伴う刺激を人体表面に付与することができる。
駆動構造4は、回転駆動源36と、回転駆動源36の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39とを含み、運動変換機構39が、回転駆動源36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成されていると、簡単な構造で振幅に変化のある往復運動をマッサージ体3に与えることができるので、マッサージ動作が単調になるのを避けることができる。これは、カム機構においては、回転運動を往復運動に変換する例えばクランク機構に比べて、回転駆動源36の一回転当たりの往復駆動の往復回数を増加させることができ、さらに一往復毎の振幅をそれぞれ異なったものにすることができるからである。
カム原節45が、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成され、カム従節46が、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されていると、偏芯カム152のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現できるので、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
カム原節45が、端面に周回状のカム面151を有する端面カム180で構成され、カム従節46が、端面カム180のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を端面カム180に向かって付勢する付勢体155とを含んで構成されていると、端面カム180のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現できるので、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
カムピン48を有するピンフレーム47、あるいはカムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52のいずれか一方でカム原節45が構成され、残る他方でカム従節46が構成されていると、円筒カム52の波形溝51の形状を変更することで、多様な往復運動を実現できるので、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
円筒カム52は中空円筒状に形成されており、円筒カム52が回転駆動源36の周囲に被さる状態で配されて、カムピン48および波形溝51が、回転駆動源36の出力軸38の軸心方向における回転駆動源36の長さ寸法幅内に収まる状態で配されていると、出力軸38の軸心方向において回転駆動源36と運動変換機構39とを重畳する状態で配置できるので、ケーシング2の吐水壁34と正対する向きを正面視と規定したとき、回転駆動源36および運動変換機構39によって正面視におけるケーシング2の奥行方向の寸法が長尺化するのを抑制できる。
カム従節46が中空円筒状の円筒カム52で構成されていると、一周当たりの波形溝51の距離を大きくするために円筒カム52の直径を大径化した場合でも、円柱状の円筒カムに比べて軽量に形成できるので、往復運動の方向が反転する際の円筒カム52の慣性力を可及的に抑えることができる。従って、回転駆動源36の負荷が大きく変動するのを抑制でき、さらに、カムピン48の回転に対して円筒カム52を的確に追随させることができる。
一群の吐水口86が、弾性ベース12の外周縁に臨む吐水壁34に形成されていると、シャワーヘッド1を一方向に移動させたとき、マッサージ体3およびベース吐水口18から噴射される水の圧力刺激による複合的なマッサージ刺激と、吐水口86から噴射される水の圧力刺激とを、人体表面に対して順に付与することができる。
マッサージ体3の弾性ベース12がリング状に形成されており、一群の吐水口86が、弾性ベース12で囲まれる吐水壁34に形成されていると、上記と同様にシャワーヘッド1を一方向に移動させたとき、マッサージ体3およびベース吐水口18から噴射される水の圧力刺激による複合的なマッサージ刺激と、吐水口86から噴射される水の圧力刺激とを、人体表面に対して順に付与することができる。また、噴射され人体表面で反射した水は、マッサージ体3の突起13で受止めることができるので、噴射された水が周囲に飛散するのを可及的に阻止できる。
マッサージ体3の弾性ベース12がリング状に形成されており、一群の吐水口86が、弾性ベース12の外周縁に臨む吐水壁34、および弾性ベース12で囲まれる吐水壁34にそれぞれ形成されていると、上記と同様に、人体表面に対して複合的なマッサージ刺激と圧力刺激とを順に付与することができる。また、頭皮に対してシャワーヘッド1を使用した場合には、マッサージ体3の内外から多量の水を頭髪に供給できるので、より素早く洗剤等を洗い流すことができる。
(実施例1) 図1から図9に、本発明に係るシャワーヘッドの実施例1を示す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1、図2および図9に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2においてシャワーヘッド1は、該シャワーヘッド1の外殻を構成するケーシング2と、人体表面に押圧されてマッサージ刺激を付与するマッサージ体3と、ケーシング2の内部に配されてマッサージ体3を往復動作させる駆動構造4とを備える。ケーシング2は、太鼓状のヘッドケース5と、ヘッドケース5の周囲下面から前方下向きに延設されるグリップ6とを備えている。
図1および図9に示すように、ヘッドケース5の後部には、駆動構造4に電力を供給する電源ユニット7が着脱自在に装着されており、電源ユニット7の外観形状は円錐台状を呈している。グリップ6の前面上寄りの内部には、駆動構造4の動作を切換える切換スイッチ8と、駆動構造4の動作状態を表示する、チップLEDからなる2個の表示光源9とが基板に実装されて設置されている。駆動構造4が停止している状態からグリップ6の表面を介して切換スイッチ8を操作すると、駆動構造4が低速で駆動され下側の表示光源9が点灯される。次いで切換スイッチ8を操作すると、駆動構造4が高速で駆動され下側の表示光源9が消灯し上側の表示光源9が点灯される。次いで切換スイッチ8を操作すると、駆動構造4の動作が停止され上側の表示光源9が消灯される。表示光源9の光は、グリップ6の表面を透過して目視することができる。
マッサージ体3の全体は、弾性変形可能で透光性を有する素材で一体的に形成されており、図3および図5に示すように、リング状の円盤からなる弾性ベース12と、該弾性ベース12の前面(外面)から前向き(外向き)に突出形成される一群の突起13と、該弾性ベース12の後面(内面)から後向き(内向き)に突出形成される4個の連結体14とを備えている。一群の突起13は弾性ベース12の二重同心円上に等間隔置きに形成されて、弾性ベース12および一群の突起13はブラシ状を呈している。連結体14は等間隔置きに設けられており、その後端寄りに貫通状の接続孔15がそれぞれ開設されている。弾性ベース12は、外周縁から後方に向かって伸びる周回状の外周壁16を備えており、該外周壁16は断面が多段状の中空円筒状に形成されている。また、弾性ベース12は、内周縁から後方に向かって伸びる周回状の内周壁17を備えており、該内周壁17は断面が横臥V字状の中空円筒状に形成されている。弾性ベース12の盤面には、一群のベース吐水口18が三重同心円上に等間隔置きに形成されている。
図1および図6に示すようにヘッドケース5は、中間ケース20と、該中間ケース20の後方に装着される後ケース21と、該後ケース21の外面に被さるように装着されるカバーケース22と、中間ケース20の前側に着脱自在に装着される前ケース23とを備えている。中間ケース20は、円筒状の中間周壁24と、該中間周壁24の前側開口を塞ぐ中間底壁25とで後ろ向きに開口する有底筒状に形成されており、中間周壁24の下面にグリップ6が連結されるグリップベース26が設けられている。
後ケース21は、円筒状の後周壁27と、該後周壁27の後開口を塞ぐ後底壁28とで前向きに開口する有底筒状に形成されており、同様にカバーケース22は、円筒状のカバー周壁29と、該カバー周壁29の後開口を塞ぐカバー底壁30とで前向きに開口する有底筒状に形成されている。前ケース23は、円筒状の前周壁31と、該前周壁31の前端内面側に設けられるリング状の前底壁32とを備えている。該前底壁32の内方は、マッサージ体3を装着するための装着開口33とされており、前底壁32はマッサージ体3が装着される吐水壁34とされている。
図5および図7に示すように駆動構造4は、電源ユニット7から供給される電力で駆動される直流式のモータ(回転駆動源)36と、モータ36が固定されるモータケース37と、モータ36の出力軸38の回転運動を往復運動に変換する運動変換機構39などを備える。モータ36は減速機を一体に備えている。モータケース37は、前モータケース40と後モータケース41とでモータ36を収容できる中空筒状に形成されており、両ケース40・41は4個のビス42で一体に締結固定される。前モータケース40には、後述する連動体65が挿通される貫通孔43が開設されている(図4参照)。なお、回転駆動源36はモータと減速機とが別体に構成されていてもよく、またモータ単体であってもよい。
運動変換機構39は、モータ36の出力軸38に連結されて回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成されている。カム原節45は、出力軸38で回転駆動されるピンフレーム47と、ピンフレーム47に設けられて出力軸38の周囲を回転するカムピン48とで構成されている。ピンフレーム47は、円筒状のフレーム周壁49と、該フレーム周壁49の後開口を塞ぐフレーム底壁50とで前向きに開口する有底筒状に形成されており、フレーム周壁49の前端内面の対向位置に一対のカムピン48が設置されている。フレーム底壁50にはモータ36の出力軸38が固定される。
カム従節46は、周囲にカムピン48を受け入れる波形溝51が凹み形成された中空円筒状の円筒カム52で構成されており、該波形溝51は展開状態で振幅が同一である二周期分の正弦波形状に形成されている。円筒カム52は、その外径がピンフレーム47の内径寸法よりも僅かに小さく形成され、その内径が後モータケース41の外径と略同一に形成されている。先のピンフレーム47および円筒カム52は、後モータケース41に外嵌する状態で配置されており、前記寸法関係により、円筒カム52は後モータケース41で外嵌状に支持され、ピンフレーム47は円筒カム52に非接触状に外嵌される。円筒カム52の前端内面にはガイド溝53が凹み形成されており、該ガイド溝53は、後モータケース41に突出形成されたガイドリブ54に係合している(図4参照)。ガイド溝53およびガイドリブ54は等間隔置きに4組設けられており、円筒カム52は、これらガイド溝53およびガイドリブ54により、前後軸(出力軸38の軸心方向)まわりに回転不能かつ前後方向にスライド可能な状態で後モータケース41に支持されている。
図7に示すように円筒カム52は、波形溝51にカムピン48を係合させるために、円筒状のカム本体57と、該カム本体57の後端に固定されるリング状のカム蓋58の2ピース構造とされている。カム本体57の後端外側の対向周面には、カムピン48を後方から波形溝51へと係合させるための一対の切欠き59が設けられており、カム蓋58には、同蓋58をカム本体57に固定した際に、切欠き59を塞ぎつつ波形溝51の一部を構成する一対の蓋突起60が設けられている。ピンフレーム47と円筒カム52との組み付けは、まずピンフレーム47のフレーム周壁49の内部にカム蓋58を挿入したのち、カム本体57の切欠き59に対してカムピン48を位置合わせした状態で、カムピン48を切欠き59を介して波形溝51に侵入させる。次いで蓋突起60を切欠き59に差し込みつつカム本体57とカム蓋58とを接着剤で固定する。これにより、カムピン48と波形溝51とが係合した状態で、ピンフレーム47と円筒カム52とを相対回転可能に一体的に構成できる。
上記の一体化されたピンフレーム47および円筒カム52に対して、モータケース37に収容されたモータ36の出力軸38をフレーム底壁50に固定することにより、モータ36、モータケース37、ピンフレーム47(カム原節45)、および円筒カム52(カム従節46)が駆動構造4として一体化される。本実施例の駆動構造4においては、モータ36の出力軸38の軸心方向と、カム従節46の運動方向とが一致している。駆動構造4が一体化された状態では、モータ36が収容されたモータケース37に中空円筒状の円筒カム52が被さり、該円筒カム52にピンフレーム47のフレーム周壁49が被さることで、カムピン48、および波形溝51は、モータ36の前後寸法(出力軸38の軸心方向におけるモータ36の長さ寸法幅)内に収まるように配置される。駆動構造4は、前モータケース40が、ヘッドケース5を構成する中間ケース20と後ケース21との間において、両者20・21で挟持された状態でヘッドケース5内に収容配置される。前モータケース40と中間ケース20とは6個のビス61で締結固定され、前モータケース40と後ケース21とは4個のビス62(図4参照)で締結固定される。
図4および図5に示すように、モータ36の回転運動を運動変換機構39で往復運動に変換して得られた往復動力をマッサージ体3に伝動するために、円筒カム52(カム従節46)と、マッサージ体3の連結体14とが4個の連動体65を介して連動される。各連動体65は直線軸状の主軸部66と、主軸部66の前端に一体に設けられるコ字軸状の接続軸部67とで形成されている。連動体65と円筒カム52とは、円筒カム52の前端に形成された連動座69に開設された貫通孔70に主軸部66を挿通し、主軸部66の後端側に刻設された雄ねじ部68に螺合させた一対のナット71を連動座69に向かって移動させ、両ナット71で連動座69を挟持することにより固定される。4個の連動体65は、正面視においてモータ36の出力軸38を中心とする円上に配置されており、接続軸部67の開放端側の軸心方向は、当該円の接線方向に指向している(図8参照)。
図4に示すように、ヘッドケース5(ケーシング2)の内部は、離隔体73でマッサージ体3が配置される第1領域74と、駆動構造4が配置される第2領域75とに区画されている。本実施例の離隔体73は、具体的には、弾性変形可能で透光性を有する素材で円盤状に形成された隔膜76で構成されており、中間ケース20の中間底壁25と、モータケース37の前モータケース40との間に設けられている。隔膜76は、その外周縁部分と中央部分が、中間底壁25と前モータケース40とで前後に挟持され固定されている。
図1および図4に示すように、隔膜76の半径方向中央部分には、前後に貫通する貫通孔77が開設された貫通座78が先の連動体65に対応して4個設けられている。また、中間底壁25には、連動体65に対応して4個の導出開口79が開設されている。先の貫通孔43、貫通孔77、および導出開口79を介して、連動体65の接続軸部67が第1領域74に位置している。連動体65の主軸部66の中途部には、円盤状のフランジ80と軸径が大きな大径軸部81が前後に形成されており、また、貫通座78の貫通孔77の中途部には孔径が大きな大径孔部82が形成されている。貫通座78を貫通する主軸部66は、大径孔部82に大径軸部81が係合し、さらに貫通座78の前面にフランジ80の後面が密着している。これにより、連動体65は、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されている。
第2領域75には、先の隔膜76を厚み方向に往復振動させる起振構造83が設けられる。本実施例では、マッサージ体3を往復駆動する駆動構造4が起振構造83を兼ねるように構成されている。先に説明したように円筒カム52とマッサージ体3を連動する連動体65と隔膜76とは、貫通座78部分において固定されているので、駆動構造4が駆動されて連動体65が往復駆動されると、ヘッドケース5で挟持固定されていない部分の隔膜76は、連動体65で前後方向に弾性変形され振動し、ふいご様の動きが生じる。
図9に示すように、ヘッドケース5(ケーシング2)には給水口85が設けられており、外部水源からの水がグリップ6を介して給水口85に供給される。給水口85は第1領域74に連通している。第1領域74に臨む吐水壁34(前底壁32)には、給水口85へと供給された水を吐出する一群の吐水口86が設けられている。第1領域74には、給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87が形成されており、該通水路87は第1領域74に設けられた水路枠88で区画形成される。
図3および図8に示すように水路枠88は、円リング状の外枠89と、前向きに開口する有底筒状の内枠90と、外枠89の内周面と内枠90の外周面とを連結する、放射状に設けられる4個の放射枠91とを備えており、中間ケース20の中間底壁25の前面に固定されている。各放射枠91は中空状に形成されて、その軸心部分に連通水路92を備えており、該連通水路92の一端は外枠89の外周面に開口し、他端は内枠90の内周面に開口している。各放射枠91の前後壁には分配開口93が開設されており、該分配開口93は、通水路87を構成する分岐水路94へと水を供給する。内枠90には、同枠90の前方開口を塞ぐ前壁95を有するキャップ体96が着脱自在に装着されている。図4および図8において符号99は水路枠88を中間底壁25に固定するための5個のビスである。
マッサージ体3は、先の前ケース23とキャップ体96とにより、ヘッドケース5(ケーシング2)に装着される。前ケース23は中間ケース20に対して、雌雄のねじ部101・102からなる螺合構造で着脱自在に構成されており、前ケース23の後側内縁に雌ねじ部101が刻設され、中間ケース20の前側外縁に雄ねじ部102が刻設されている。また、キャップ体96は内枠90に対して、雌雄のねじ部103・104からなる螺合構造で着脱自在に構成されており、キャップ体96の後側内縁に雌ねじ部103が刻設され、内枠90の前側外縁に雄ねじ部104が刻設されている。ヘッドケース5に対してマッサージ体3が装着された状態において、中間底壁25、前周壁31、前底壁32、および外枠89で円環状の環状水路97が画成され、内枠90とキャップ体96とで円柱状の柱状水路98が画成される。環状水路97および柱状水路98は先の連通水路92で連通されている。また、これら3者92・97・98を除く第1領域74の空間は、前方が弾性ベース12に臨み、後方が隔膜76に臨む分岐水路94とされており、連通水路92、環状水路97、柱状水路98、および分岐水路94で通水路87が構成される。
本実施例では、マッサージ体3の弾性ベース12の外周縁に臨む前底壁32とともに、キャップ体96の前壁95が吐水壁34を構成しており、図2および図8に示すように一群の吐水口86は、前底壁32および前壁95においてそれぞれ二重同心円上に等間隔置きに形成されている。図4において符号105はシールリングであり、それぞれ中間底壁25と前周壁31との間、中間底壁25と外枠89との間、および中間底壁25と内枠90との間をシールしている。また、前底壁32と外枠89との間はマッサージ体3の外周壁16でシールされており、内枠90とキャップ体96との間はマッサージ体3の内周壁17でシールされている。これらシール構造により、第1領域74は水密状に構成され、さらに先の環状水路97および柱状水路98は、分岐水路94とは直接連通しない水路として構成されている。
図1および図9に示すように電源ユニット7は、中空円錐台状のユニットケース108と、ユニットケース108の内部に配置される二次電池109および二次電池109の充放電を制御する電池基板110と、一部がユニットケース108の外面に露出する一対の出力端子111と、二次電池109へ充電電力を供給するための充電端子112などを備えている。充電端子112は電源ユニット7の前面凹部に配置されており、該前面凹部は水密蓋113で開閉できる。水密蓋113の前面はユニットケース108の前面と面一状になっている。ユニットケース108の前面には、電源ユニット7をヘッドケース5(ケーシング2)に装着するための断面L字状の係合爪114が突出形成されており、係合爪114はユニットケース108の前面中央を中心とする円上に等間隔置きに4個設けられている。一対の出力端子111は、対向位置にある係合爪114の前面にそれぞれ露出されている。
カバーケース22のカバー底壁30には、先の係合爪114に対応して4個の係合孔115が形成されており、係合爪114を係合孔115に差込み、背面視において電源ユニット7を時計まわり方向に回転させることにより、係合孔115に係合爪114を係止できる。図9において符号116は前後スライド可能なロックピース、符号117はユニットケース108に形成したロック溝であり、該ロックピース116を後方にスライドさせてロック溝117に係合させることにより、ヘッドケース5に対する電源ユニット7の回転をロックでき、両者5・7の固定状態を維持できる。電源ユニット7を分離する際には、ロックピース116を前方にスライドさせてロック溝117との係合を解除し、背面視において電源ユニット7を反時計まわり方向に回転させることにより、係合孔115から係合爪114を分離できる。
出力端子111が露出された係合爪114に対応する係合孔115に臨むように、出力端子111と接触する入力端子118が設けられている。入力端子118は、同端子118部分においてヘッドケース5の水密を図るパッキン119で前後スライド可能に支持されており、さらに圧縮コイル型の押圧ばね120で後方に向かって付勢されている。ヘッドケース5に電源ユニット7が装着された状態においては、入力端子118は押圧ばね120の付勢力で出力端子111に圧接されており、両端子111・118どうしが適正に接触されるようになっている。
図1および図4に示すように第2領域75には、駆動構造4を制御する制御基板123が設けられており、制御基板123は半リング状に形成されて、中間ケース20と駆動構造4との間の周回状の空間に配置されている。また、中間ケース20とモータケース37との間の第2領域75には、リング状の照明基板124に実装された、フルカラーチップLEDからなる8個の照明光源125が設けられている(図6・図8参照)。照明光源125の光は、透光性を有する隔膜76およびマッサージ体3を透過して外部に照射され、表示光源9に同期して駆動構造4の駆動状態(低速あるいは高速)を表示し、同時に水の吐水方向を照明する。また、照明光源125は点灯状態や発光色を様々に変化させることで、イルミネーションとして機能させることができ、シャワーヘッド1の趣向性やデザイン性を向上させることができる。さらに、照明光源125に電源ユニット7が適正に装着されたかどうかを表示する確認表示機能を付与することもできる。この場合には、電源ユニット7が適正に装着されたときに、例えば照明光源125を青色に点灯させ、所定時間(10秒)経過後に消灯させる。
マッサージ体3の装着は、まず図8の状態からマッサージ体3を先の水路枠88に前側から被せつけ、接続軸部67の開放端側の先端と、連結体14の接続孔15を正対させ、この状態から正面視においてマッサージ体3を時計まわり方向に回転させる。これにより、接続軸部67が接続孔15に侵入して連動体65とマッサージ体3とが連結される。次いで前ケース23を中間ケース20に装着し、さらにキャップ体96を内枠90に装着することにより、マッサージ体3はヘッドケース5に固定される。前ケース23の雌ねじ部101と中間ケース20の雄ねじ部102とを螺合させると、外枠89と装着開口33の後端とでマッサージ体3の外周壁16の後端が挟持保持される。また、内枠90の雄ねじ部104とキャップ体96の雌ねじ部103とを螺合させると、内枠90とキャップ体96の後端とでマッサージ体3の内周壁17の後端が挟持保持される。これにより、マッサージ体3は、弾性ベース12が前後方向に弾性変形可能な状態でヘッドケース5に固定される。洗浄等のためにヘッドケース5からマッサージ体3を分離する際には、前ケース23およびキャップ体96の螺合構造を解除することで簡便に取外すことができる。
シャワーヘッド1で人体表面のマッサージ刺激を付与する際には、切換スイッチ8を操作して駆動構造4を駆動させる。モータ36が低速あるいは高速で駆動されると、ピンフレーム47によりカムピン48がモータ36の周囲で回転駆動され、該カムピン48の回転を波形溝51で受止めた円筒カム52は、モータ36の出力軸38の軸心方向(前後方向)と一致する方向に往復駆動される。円筒カム52の動きは連動体65を介してマッサージ体3に伝動され、弾性ベース12が前後方向に弾性変形する。これに伴い各突起13は正面視において放射方向に拡縮され人体表面にマッサージ刺激が付与される。
円筒カム52の波形溝51は二周期分の正弦波形状であるので、モータ36が一回転する毎に、円筒カム52は二往復移動する。なお、波形溝51の各周期毎の振幅は同一に形成されているが、振幅は周期毎に異ならせてあってもよく、この場合には、各周期毎の円筒カム52、すなわちマッサージ体3の移動距離を異ならせることができる。また、波形溝51の周期は三周期以上あるいは一周期であってもよい。また、波形溝51は曲線のみで構成されたもの、直線のみで構成されたもの(折線状)、あるいは曲線と直線を組み合わせたもののいずれかで構成でき、本実施例では、曲線のみで波形溝51が構成されている。
外部水源から供給された水は、一群のベース吐水口18および吐水口86から前方に噴射される。駆動構造4の駆動により弾性ベース12は、横臥V字状の内周壁17が前後方向へ斜めに傾斜した状態で撓みながら弾性変形するので、該弾性ベース12のベース吐水口18の指向方向が周期的に変化する。これにより、ベース吐水口18から噴射される水の噴射方向は、弾性ベース12の運動に同期して変更される。また、駆動構造4の駆動により隔膜76が振動するので、通水路87の容積が周期的に変化する。具体的には、駆動構造4(起振構造83)を駆動すると、先に説明したように隔膜76が往復振動してふいご様の動きが生じるので、通水路87(第1領域74)の容積を大小に変化させることができる。このとき外部水源からの水の供給圧が一定である場合、通水路87の容積が大から小に変化する際には、隔膜76で通水路87の水が加圧され、一群のベース吐水口18および吐水口86から噴射される水は勢いを増す。逆に通水路87の容積が小から大に変化する際には、隔膜76で通水路87の水が減圧され、一群のベース吐水口18および吐水口86から噴射される水は勢いを失う。従って、駆動構造4(起振構造83)で隔膜76を往復振動させることにより、一群のベース吐水口18および吐水口86から噴射される水勢が脈動する。
上記のように実施例1のシャワーヘッドによれば、カムピン48を有するピンフレーム47でカム原節45を構成し、カムピン48と係合する波形溝51が凹み形成された円筒カム52でカム従節46を構成したので、円筒カム52の波形溝51の形状を変更することで、多様な往復運動を実現でき、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
円筒カム52を中空円筒状に形成し、円筒カム52をモータ36の周囲に被さる状態で配して、カムピン48および波形溝51を、モータ36の出力軸38の軸心方向におけるモータ36の長さ寸法幅内に収まる状態で配置したので、出力軸38の軸心方向においてモータ36と運動変換機構39とを重畳する状態で配置して、モータ36および運動変換機構39によって正面視におけるケーシング2の奥行方向の寸法が長尺化するのを抑制できる。
また、カム従節46を中空円筒状の円筒カム52で構成したので、一周当たりの波形溝51の距離を大きくするために円筒カム52の直径を大径化した場合でも、円柱状の円筒カムに比べて軽量に形成できる。これにより、往復運動の方向が反転する際の円筒カム52の慣性力を可及的に抑えることができ、従って、モータ36の負荷が大きく変動するのを抑制でき、さらに、カムピン48の回転に対して円筒カム52を的確に追随させることができる。
マッサージ体3の弾性ベース12をリング状に形成し、一群の吐水口86を、弾性ベース12の外周縁に臨む吐水壁34、および弾性ベース12で囲まれる吐水壁34にそれぞれ形成したので、シャワーヘッド1を一方向に移動させたとき、人体表面に対してマッサージ体3およびベース吐水口18から噴射される水の圧力刺激による複合的なマッサージ刺激と圧力刺激とを交互に付与することができる。また、頭皮に対してシャワーヘッド1を使用した場合には、マッサージ体3の内外から多量の水を頭髪に供給できるので、より素早く洗剤等を洗い流すことができる。また、ベース吐水口18および弾性ベース12内方の吐水口86から噴射され人体表面で反射した水は、マッサージ体3の突起13で受止めることができるので、噴射された水が周囲に飛散するのを可及的に阻止できる。なお、一群の吐水口86は、弾性ベース12の外周縁に臨む前底壁32と、弾性ベース12で囲まれる前壁95のいずれか一方のみに形成するようにしてもよく、この場合も上記と同様にシャワーヘッド1を一方向に移動させたとき、人体表面に対してマッサージ刺激と圧力刺激とを順に付与することができる。
(実施例2) 図10から図13に、本発明に係るシャワーヘッドの実施例2を示す。なお、実施例1と同じ構造や部材には同じ符号を付してその説明を省略する。以下の各実施例においても同じとする。
マッサージ体3の全体は弾性変形可能であり、さらに透光性を有する素材で一体的に形成されている。図10および図11に示すようにマッサージ体3は、リング状の円盤からなる弾性ベース12と、該弾性ベース12の前面(外面)から前向き(外向き)に突出形成される一群の突起13と、該弾性ベース12の後方に設けられる連結体14と、弾性ベース12の外周縁から後方に向かって伸びる周回状の外周壁16とを備えている。一群の突起13は弾性ベース12の三重同心円上に等間隔置きに形成されて、弾性ベース12および一群の突起13はブラシ状を呈している。突起13は外周側に配置されるものほど、その長さ寸法が大きく設定されている。連結体14は弾性ベース12の内周縁に連続する有底筒状に形成されて、その底壁132にビス通孔133が開設されている。外周壁16は断面が多段状の中空円筒状に形成されている。弾性ベース12の盤面には、一群のベース吐水口18が二重同心円上に等間隔置きに形成されている。
図11および図13に示すようにヘッドケース5は、ヘッドケース5の大半を占める主ケース134と、該主ケース134の後方に装着される後面カバー135と、該主ケース134の前方に着脱自在に装着される前面カバー136とを備えている。主ケース134は円筒状の周壁137と、該周壁137で囲まれる内部空間に設けられる隔壁138と、周壁137の下面に設けられる、グリップ6が連結されるグリップベース139とを備える。隔壁138は、周壁137内面に連続する第1リング壁140と、第1リング壁140の内周縁から前向きに連設される筒壁141と、該筒壁141の前端内面から内向きに連設される第2リング壁142とを備える。
後面カバー135は、後方に膨出する皿状に形成されており、周壁137の後方開口を塞ぐように固定されている。前面カバー136は、装着開口33を備えるカバー壁145と、該カバー壁145の外周縁から後向きに延設される縁周壁146とを備えており、カバー壁145はマッサージ体3が装着される吐水壁34とされている。本実施例では、モータ36に電力を供給する二次電池109はヘッドケース5の内部に固定されている。
図11および図12に示すように駆動構造4は、二次電池109から供給される電力で駆動される直流式のモータ(回転駆動源)36と、モータ36の出力軸38の回転運動を往復運動に変換する、カム原節45とカム従節46からなるカム機構で構成される運動変換機構39などを備える。モータ36は減速機を一体に備えており、後述する支持フレーム164および第1リング壁140と、後面カバー135とにそれぞれ設けた支持リブ147・148で挟持固定されている。モータ36の出力軸38は、上下方向に沿う方向に配置されて、出力軸38の軸心方向と、カム従節46の運動方向は直交している。
カム原節45は、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成され、カム従節46は、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する、圧縮コイル型の付勢ばね(付勢体)155とを備えている。図12に示すように偏芯カム152は、所定距離を置いて配置された曲率が大小に異なる第1円弧部156および第2円弧部157と、両円弧部156・157の共通接線からなる一対の直線部158とで構成されるカム面151を有する平面視で涙滴状に形成されている。第1円弧部156は第2円弧部157よりも曲率が大きく設定されている。モータ36の出力軸38は、涙滴型の長径方向(第1円弧部156と第2円弧部157の円弧中心を結んだ方向)の中心よりも、第1円弧部156寄りに配置されている。
従動体154は、上面にカム受面153を有する当接板161と、該当接板161の前側に設けられる有底筒状の連動筒162と、当接板161の後側上下に設けられる一対の規制板163とを備えている。規制板163は、偏芯カム152と接触することにより、従動体154が前後軸まわりに回転するのを規制している。従動体154は、連動筒162が支持フレーム164で前後方向にスライド可能に支持されており、該支持フレーム164は、連動筒162を摺動案内する支持筒165と、支持筒165の前端外面から外向きに連続する円盤状のフレーム壁166と、該フレーム壁166の外周縁から前向きに連続するフレーム周壁167と、該フレーム周壁167の前端外面から外向きに連続するリング状のフレーム座168とを備えている。支持フレーム164は、隔壁138に対してそのフレーム座168が不図示のビスで締結固定されている。先の付勢ばね155は、当接板161とフレーム壁166との間に介在している。
連動体65は、直線棒状の連動棒171と、該連動棒171の前端に設けられて、連結体14を受け入れる有底筒状の接続カップ172とを備えており、連動棒171は連動体65の連動筒162にビス173で締結固定されている。主ケース134の隔壁138と支持フレーム164との間には、ヘッドケース5(ケーシング2)の内部を第1領域74と第2領域75とに区画する隔膜76(離隔体73)が固定されている。隔膜76は、その外周縁部分が、第2リング壁142とフレーム座168とで前後に挟持され固定されている。隔膜76の中央部分には、前後に貫通する貫通孔77が開設された貫通座78が設けられている。該貫通孔77を介して、連動体65の接続カップ172が第1領域74に位置している。連動体65の連動棒171の中途部には、軸径が大きな大径軸部81が形成されており、また、貫通座78の貫通孔77には孔径が大きな大径孔部82が形成されている。貫通座78を貫通する連動棒171は、大径孔部82に大径軸部81が係合している。これにより、連動体65は、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定されている。連動体65が往復駆動されると、挟持固定されていない部分の隔膜76は連動体65とともに前後方向に弾性変形され、ふいご様の動きが生じる。
図11に示すように、ヘッドケース5(ケーシング2)には給水口85が設けられており、外部水源からの水がグリップ6を介して給水口85に供給される。給水口85は第1領域74に連通している。第1領域74に臨むカバー壁145(吐水壁34)には、給水口85へと供給された水を吐出する一群の吐水口86が設けられている。第1領域74には、給水口85から一群の吐水口86に至る通水路87が形成されている。具体的には、ヘッドケース5に対してマッサージ体3が装着された状態において、周壁137、隔壁138、カバー壁145で円環状の環状水路97が画成される。
図11および図13に示すように、隔壁138を構成する筒壁141には、その外周面から筒前端面に至るL字状の分配開口93が等間隔置きに4個開設されており、該分配開口93を介して環状水路97の水が通水路87を構成する分岐水路94へと供給される。先の環状水路97を除く第1領域74の空間が分岐水路94とされており、該分岐水路94は、前方が弾性ベース12に臨み、後方が隔膜76に臨んでいる。本実施例では、環状水路97および分岐水路94で通水路87が構成される。
マッサージ体3の装着は、まず図13の状態からマッサージ体3を筒壁141に前側から被せつけ、次いで前面カバー136を周壁137に装着し、連結体14の底壁132を連動体65の接続カップ172にビス174で締結固定することにより、マッサージ体3はヘッドケース5に固定される。具体的には、前面カバー136は周壁137に対して、雌雄のねじ部175・176からなる螺合構造で着脱自在に構成されており、縁周壁146の内面に雌ねじ部175が刻設され、周壁137の前側外縁に雄ねじ部176が刻設されている。周壁137の雄ねじ部176と縁周壁146の雌ねじ部175とを螺合させると、筒壁141の前端と、装着開口33の後端とでマッサージ体3の外周壁16の後端が挟持保持される。連結体14は、ビス174を底壁132に開設したビス通孔133を介して連動体65にねじ込むことにより、連動体65と一体化される。洗浄等のためにヘッドケース5からマッサージ体3を分離する際には、前面カバー136およびビス174の螺合構造を解除することで簡便に取外すことができる。
図11において符号105は、周壁137と縁周壁146との間をシールするシールリングであり、該シールリング105と隔膜76とで第1領域74が水密状に構成される。
切換スイッチ8は、ヘッドケース5の内部に配置されており、後面カバー135を介して操作することができる。切換スイッチ8は制御基板123上に実装されている。フレーム壁166、フレーム周壁167、および隔膜76で囲まれる第2領域75には、リング状の照明基板124に実装された、フルカラーチップLEDからなる4個の照明光源125が設けられている(図13参照)。照明光源125の光は、透光性を有する隔膜76およびマッサージ体3を透過して外部に照射され、駆動構造4の駆動状態(低速あるいは高速)を表示し、水の吐水方向を照明する。また、点灯状態や発光色を様々に変化させてイルミネーションとして機能させ、シャワーヘッド1の趣向性やデザイン性を向上させることができる。
シャワーヘッド1で人体表面にマッサージ刺激を付与する際には、切換スイッチ8を操作して駆動構造4を駆動させる。モータ36が低速あるいは高速で駆動されると、偏芯カム152が回転駆動され、該偏芯カム152のカム面151をカム受面153で受止めた従動体154がモータ36の出力軸38の軸心方向(上下方向)と直交する方向(前後方向)に往復駆動される。従動体154の動きは連動体65を介してマッサージ体3に伝動され、弾性ベース12が前後方向に弾性変形する。これに伴い各突起13は正面視において放射方向に拡縮され人体表面にマッサージ刺激が付与される。外部水源から供給された水は、一群のベース吐水口18および吐水口86から前方に噴射される。
本実施例では、モータ36が一回転する毎に、従動体154は二往復移動する。第1円弧部156を経て一方の直線部158から他方の直線部158に至るカム面151で従動体154が往復操作されるときの振幅および周期は、第2円弧部157を経て一方の直線部158から他方の直線部158に至るカム面151で従動体154が往復操作されるときの振幅および周期より小さく設定されている。偏芯カム152は円弧部を3個以上設けてもよく、あるいは円形や楕円形で形成してもよい。
上記のように実施例2のシャワーヘッド1においては、出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と直交する方向にモータ36を設置し、出力軸38にカム原節45を連結したので、モータ36の軸心方向をヘッドケース5(ケーシング2)の吐水壁34と平行な方向に沿わせて、モータ36によって正面視におけるケーシング2の奥行方向の寸法が長尺化するのを抑制できる。また、カム原節45を、周面にカム面151を有する偏芯カム152で構成し、カム従節46を、偏芯カム152のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を偏芯カム152に向かって付勢する付勢ばね155とを含んで構成したので、偏芯カム152のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現でき、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
(実施例3) 図14に、本発明に係るシャワーヘッドの実施例3を示す。本実施例では、駆動構造4が実施例2と異なる。本実施例では、モータ36の出力軸38の軸心方向をカム従節46の運動方向に一致する上下方向として、円柱の一端面(前端)にカム面151を有する端面カム180でカム原節45を構成した点と、従動体154のカム受面153を半球状にした点が実施例2と異なる。カム受面153は、連動筒の後面に形成した連動軸181の後端に設けられている。カム面151は、出力軸38の軸心方向と交差する斜面で構成されており、モータ36が一回転する毎に、従動体154は一往復する。なお、カム受面153を周方向に波打つ波状面として、モータ36が一回転する毎に、従動体154を複数回往復動するように構成することもできる。また、カム原節45は、円筒の一端面にカム面を有する端面カム180であってもよい。
上記実施例3のシャワーヘッド1においては、出力軸38の軸心がカム従節46の運動方向と一致する方向にモータ36を設置し、出力軸38にカム原節45を連結したので、モータ36の軸心方向をヘッドケース5(ケーシング2)の吐水壁34に直交する方向に沿わせて、モータ36によって正面視におけるケーシング2の径方向の寸法が大径化するのを抑制できる。また、カム原節45を、端面に周回状のカム面151を有する端面カム180で構成し、カム従節46を、端面カム180のカム面151と接触するカム受面153を有する従動体154と、該従動体154を端面カム180に向かって付勢する付勢ばね155とを含んで構成したので、端面カム180のカム面151の形状を変更することで、多様な往復運動を実現でき、簡単な構造で振幅が多様に変化するマッサージ刺激を付与することができる。
(実施例4) 図15に、本発明に係るシャワーヘッドの実施例4を示す。本実施例では、駆動構造4のカム原節45を、モータ36の出力軸38に連結されるレバーカム184と、ヘッドケース5に設けられるストッパー185とで構成した点が実施例2と異なる。当接板161はレバーカム184の回転軌跡上に配置されており、レバーカム184と当接板161とは断続的に接触する。従動体154(カム従節46)は、レバーカム184が回転することにより、前方に移動操作されるようになっており、レバーカム184で移動操作されていない従動体154はストッパー185で受止められている。このように、運動変換機構39を構成するカム機構は、実施例1から3のようなカム原節45とカム従節46とが常時接触している構成以外であってもよい。2個のレバーを備えるレバーカム184を採用することにより、モータ36が一回転する毎に、従動体154を二往復移動させることができる。
上記実施例1から4のシャワーヘッド1においては、ケーシング2の内部を、吐水壁34に臨んで通水路87が画成される第1領域74と、駆動構造4が配される第2領域75とに離隔体73で隔てるようにしたので、外部水源から供給され通水路87を流れる水が、駆動構造4が配される第2領域75に侵入するのを離隔体73で阻止でき、水分によって駆動構造4が動作不良に陥るのを防止できる。
ケーシング2の内部の第2領域75に、離隔体73を構成し通水路87を画成する弾性変形可能な隔膜76を厚み方向に往復振動させる起振構造83を設けたので、吐水口86から噴射される水勢に脈動を与えて、マッサージ体3によるマッサージ刺激に加え、水の圧力変化に伴う刺激を人体表面に付与することができる。
マッサージ体3を動作させる駆動構造4に、隔膜76を往復振動させる起振構造83の機能を付加したので、隔膜76用の起振構造83を別途設ける必要がなく、装置の複雑化、大型化、或いは全体コストの上昇などを抑えて、シャワーヘッド1の簡素化および小型化を図り、全体コストを削減できる。
駆動構造4とマッサージ体3とを、隔膜76を厚み方向に貫通する連動体65を介して連動したので、駆動構造4とマッサージ体3とが直結されている場合に比べて、マッサージ体3を人体表面に押圧したときの瞬間的な反作用力を連動体65に吸収させることができ、駆動構造4に過度な負荷が作用するのを可及的に阻止できる。また、連動体65を、隔膜76を水密状に貫通するとともに、貫通部分において隔膜76に固定したので、隔膜76の防水機能を維持しながらも、マッサージ体3と隔膜76とを駆動構造4で往復(振動)駆動できるので、シャワーヘッド1の複雑化、大型化、或いは全体コストの上昇などをより抑えることができる。
マッサージ体3を、一群のベース吐水口18を設けた弾性ベース12と一群の突起13とを含むものとし、弾性ベース12の周縁部をケーシング2で支持し、駆動構造4で弾性ベース12を厚み方向に往復駆動するように構成したので、駆動構造4による往復駆動に伴う弾性ベース12の撓み変形によって、ベース吐水口18の指向方向を周期的に変化させることができ、水の噴射方向を弾性ベース12に同期させて変更することができる。従って、マッサージ体3によるマッサージ刺激に加え、水の噴射方向の変化に伴う刺激を人体表面に付与することができる。
駆動構造4の運動変換機構39を、モータ36で回転駆動されるカム原節45と、該カム原節45で往復駆動されるカム従節46とを備えるカム機構で構成したので、簡単な構造で振幅に変化のある往復運動をマッサージ体3に与えることができ、マッサージ動作が単調になるのを避けることができる。これは、カム機構においては、回転運動を往復運動に変換する例えばクランク機構に比べて、モータ36の一回転当たりの往復駆動の往復回数を増加させることができ、さらに一往復毎の振幅をそれぞれ異なったものにすることができるからである。
(実施例5) 図16に、本発明に係るシャワーヘッドの実施例5を示す。本実施例では、駆動構造4の構造を変更した点と、マッサージ体3のマッサージ動作の形態を変更した点が実施例2と異なる。駆動構造4は、モータ36と、モータ36の出力軸38に連結されるピニオンギヤ188と、該ピニオンギヤ188で回転駆動されるクラウンギヤ189とで構成されている。クラウンギヤ189の前面には、連動体65が差込み連結される接続ボス190が形成されており、クラウンギヤ189の回転中心軸と接続ボス190の回転中心軸とは偏芯している。モータ36が駆動されクラウンギヤ189が回転すると、接続ボス190の中心軸は正面視において円運動をするので、本実施例のマッサージ体3は、一群の突起13がそれぞれクラウンギヤ189と接続ボス190との偏芯寸法を半径とする円を描くように人体表面にマッサージ刺激を付与する。本実施例の駆動構造4は、隔膜76の起振構造83を兼ねていない。
(実施例6) 図17に、本発明に係るシャワーヘッドの実施例6を示す。本実施例では、実施例5と同様に、駆動構造4の構造を変更した点と、マッサージ体3のマッサージ動作の形態を変更した点が実施例2と異なる。駆動構造4は、モータ36と、一端にモータ36の出力軸38が連結され、他端に連動体65が差込み連結される接続ボス190が形成される偏芯軸193とで構成されている。本実施例においても実施例5と同様に、モータ36が駆動されると、マッサージ体3は、一群の突起13がそれぞれ偏芯軸193の偏芯寸法を半径とする円を描くように人体表面にマッサージ刺激を付与する。
以上のように、上記各実施例のシャワーヘッド1においては、ケーシング2に、一群の吐水口86を形成した吐水壁34と、外部水源から供給される水を一群の吐水口86へと案内する通水路87とを設け、吐水壁34にマッサージ体3を配置したので、マッサージ体3を押圧させた人体表面に対して吐水口86から水を噴射することができ、例えば頭皮にマッサージ体3を押圧させたときには、洗髪しながら頭皮をマッサージすることができる。また、マッサージ体3を動作させる駆動構造4をケーシング2の内部に設けたので、駆動構造4を駆動することにより、マッサージ体3にマッサージ動作を実行させることができる。従って、上記各実施例のシャワーヘッド1によれば、ユーザー自身による移動操作を必要とせず、人体表面に水を噴射しながらマッサージ体3によるマッサージ刺激を付与することができる。