JP2001090152A - 洗浄装置 - Google Patents

洗浄装置

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JP2001090152A
JP2001090152A JP29158299A JP29158299A JP2001090152A JP 2001090152 A JP2001090152 A JP 2001090152A JP 29158299 A JP29158299 A JP 29158299A JP 29158299 A JP29158299 A JP 29158299A JP 2001090152 A JP2001090152 A JP 2001090152A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄水の流れに変動を起こして洗浄水吐水を
行う際の不具合を解消する。 【解決手段】 局部洗浄装置10は、外部の給水源側か
ら、入水側弁ユニット50と熱交換ユニット60と流調
弁65と波動発生ユニット70とを備える。熱交換ユニ
ット60で設定温度に温水化された洗浄水は、流調弁6
5により流量調整を受けた上で、波動発生ユニット70
に流入する。波動発生機器74は、プランジャ74bを
シリンダ内で往復動させることで洗浄水の送り出し・引
き込みを起こして圧力が周期的に上下変動する脈動を引
き起こし、洗浄水を脈動流の状態で下流側給水管路72
に流す。この下流側給水管路72を高硬度を可撓性配管
として、当該管路を通過する洗浄水の脈動の減衰を抑制
し、脈動減衰を低減した状態で、脈動流の洗浄水を洗浄
ノズル24から吐水する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄水を吐水孔か
ら洗浄対象(例えば、人体)へ供給する洗浄装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】この種の洗浄装置、例えば人体局部を洗
浄する局部洗浄装置は、人体局部を洗浄水で清潔にでき
ることから急速に普及している。そして、近年では、た
だ単に洗浄水を吐水するだけではなく、流量を周期的に
変化させて洗浄水を吐水して、洗浄効果を高めたり排便
を促すようなことが行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
局部洗浄装置では、一旦生じた変動については何らの対
処もなされていないことが現状であるため、洗浄水の管
路通過の際に変動が減衰してもその減衰したままの変動
状態でしか洗浄水を吐水しない。よって、設計上期待し
たとおりの洗浄効果の向上や排便促進等を図ることがで
きず、これら吐水意図を損なうことがあった。
【0004】その一方、洗浄水の流れに変動を生じさせ
るためにポンプ等を用いたものにあっては、その駆動時
にポンプに振動が起き、この振動が管路を伝搬して装置
ケーシングを振動させて、不快なビビリ音やケーシング
の振動を起こすことがあった。また、洗浄水管路を流れ
に変動が起きた状態で洗浄水が通過するので、洗浄水管
路自体に振動が起きたりして、やはり不快なビビリ音や
ケーシングの振動を起こすことがあった。
【0005】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、洗浄水の流れに変動を起こして洗浄水吐水を行う
際の不具合を解消することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の洗
浄装置は、洗浄水を吐水孔から吐水する吐水部を有する
洗浄装置であって、前記吐水孔に洗浄水を給水する給水
手段と、給水される洗浄水の流れに前記吐水孔に至る給
水経路において変動を生じさせる変動吐水手段と、前記
変動吐水手段下流の給水経路における変動の減衰を抑制
する抑制手段とを備えることを特徴とする。
【0007】上記構成を有する本発明の洗浄装置では、
給水経路を経て吐水部の吐水孔から洗浄水を吐水するに
当たり、給水経路にて給水洗浄水の流れに変動を生じさ
せる。そして、給水洗浄水は、こうして生じさせられた
流れの変動の減衰が抑制されて吐水孔に至る。よって、
給水洗浄水の流れに生じさせた変動状態を維持して、洗
浄水を吐水孔から吐水できる。このため、洗浄水の流れ
に変動を生じさせて吐水する際の吐水意図を損なうこと
がない。
【0008】この本発明において洗浄水の流れの変動と
は、経路を流れる洗浄水の流速や流量或いは圧力が変化
しながら洗浄水が流れることを意味し、一時的或いは瞬
間的に洗浄水の流れが遮断されるような場合の他、洗浄
水の流れが遮断することなく、即ち洗浄水が流れた状態
でありながら流速や流量或いは圧力が変化する場合をも
含む。そして、流速や流量或いは圧力の変動に際し、周
期的な変動は勿論のこと、周期を持たないで起きる変動
も含む。
【0009】上記の構成を有する本発明の洗浄装置は、
種々の態様を採ることができる。即ち、前記抑制手段を
以下のようにすることができる。 (1)前記抑制手段を、前記給水経路において前記変動
吐水手段より下流の下流側給水経路を、前記給水経路を
洗浄水が通過する際の洗浄水の圧力変動の吸収特性が小
さい経路としてなるものとすることができる。 (2)前記抑制手段を、前記給水経路において前記変動
吐水手段より下流の下流側給水経路が全経路長の9割以
上においてその経路断面積が略等しい形状とされている
ものとすることができる。そして、下流側給水経路にお
いて、経路断面積変化が0.8ないし1.2であること
が好ましく、特に、経路断面積変化が0.9ないし1.
1であればより好ましい。 (3)前記抑制手段を、前記給水経路において前記変動
吐水手段より下流の下流側給水経路が直管路とされてい
るものとすることもできる。
【0010】上記のようにすれば、経路の特性(小さな
吸収特性)や経路断面積(均一化)或いは管路形状(直
管路)を規定することで、給水洗浄水の流れの変動の減
衰を抑制し、流れの変動状態を維持したまま、洗浄水を
吐水孔から吐水できる。そして、流れの変動状態を維持
したまま、洗浄水を移動自在な吐水部の吐水孔から吐水
できる。
【0011】また、以下のような態様を採ることもでき
る。前記下流側給水経路を、管路の拡張伸縮が小さくな
るよう高硬度の材料で形成された可撓性配管にて経路の
一部が形成されたものとすることができる。こうすれ
ば、配管材料或いは既存配管の適宜な選択で、流れの変
動状態維持を通して吐水意図を損なうことのない洗浄装
置を容易に提供もしくは改造できる。そして、この下流
側給水経路を硬度60以上の材料で形成すれば、管路の
拡張伸縮による変動減衰をより確実に抑制できる。
【0012】また、前記吐水部には複数の前記吐水孔及
び前記吐水孔に至る吐水部内管路を前記吐水孔ごとに有
すると共に前記変動吐水手段により前記変動が生じた洗
浄水の供給を受け、この洗浄水供給先を、前記吐水部の
複数の前記吐水部内管路のいずれかに切り替える切替手
段を備え、前記吐水部と前記切替手段とを一体化したも
のとできる。
【0013】こうすれば、異なる吐水対象にそれぞれの
吐水孔から洗浄水を吐水する場合であっても、洗浄水の
流れに生じた変動の減衰を抑制して洗浄水の流れの変動
状態を維持し、洗浄水を異なる吐水対象にそれぞれの吐
水孔から吐水できる。よって、洗浄水の流れに変動を生
じさせて吐水する際の吐水意図を、異なる吐水対象への
吐水時にも損なうことがない。しかも、切替手段はこの
吐水部に一体とされていることから、切替手段が吐水部
と別体に構成されたものに比べて、各吐水孔までの間に
おいて洗浄水の流れの変動の減衰を効果的に抑制でき
る。
【0014】この場合、吐水部における吐水部内経路を
非可撓性の管路とすれば、切替手段が吐水部に一体とさ
れていることと相まって、切替手段から各吐水孔までの
間において洗浄水の流れの変動の減衰をより効果的に抑
制できる。よって、異なる吐水対象ごとに洗浄水を吐水
する際の吐水意図をより確実に発揮できる。
【0015】また、前記給水経路において前記変動が生
じる変動発生箇所を、前記吐水孔近傍とすることができ
る。こうすれば、吐水孔に洗浄水が至る間における洗浄
水の流れの変動の減衰をより一層効果的に抑制できるの
で、吐水意図をより確実に発揮できる。
【0016】また、前記変動吐水手段を、前記給水経路
に設けられ、外部から給水経路中に空気混入が可能に形
成された空気混入部と、該空気混入部に接続され、空気
を圧力変動をきたして前記空気混入部から空気を強制混
入し、前記空気混入部で洗浄水の流れに前記変動を生じ
させる空気混入手段とを備えるものとし、前記抑制手段
を、前記空気混入手段から前記空気混入部に至る間の空
気経路を、空気の圧力変動の吸収特性が小さい経路とし
て有するものとすることもできる。こうすれば、洗浄水
の流れに変動を生じさせるために強制混入される空気の
圧力変動を、その空気経路が小さな吸収特性であるため
この空気経路で比較的減衰しないようにできる。よっ
て、空気の強制混入を通した洗浄水の流れの変動をより
確実に起こして洗浄水を吐水できるので、吐水意図を損
なわないようにできる。
【0017】この場合、前記空気混入部を、前記吐水孔
近傍とされているものとでき、こうすれば、空気の強制
混入により生じた洗浄水の流れの変動を維持したまま速
やかに洗浄水を吐水できる。よって、吐水意図を確実に
発揮できる。
【0018】また、前記変動吐水手段より上流の上流側
給水経路を、前記下流側給水経路に比べて洗浄水の圧力
変動の吸収特性が大きい経路とされたものとできる。こ
うすれば、次の利点がある。給水経路の変動発生箇所で
生じた変動は、その上流の上流側給水経路に洗浄水が存
在すると当該経路を経て変動吐水手段の上流に伝搬す
る。しかしながら、上流側給水経路は洗浄水の圧力変動
の吸収特性が大きいものとされているので、変動発生箇
所で生じた変動は上流側給水経路にて減衰される。この
ため、変動吐水手段の上流側に位置する機器には、洗浄
水流れの変動を比較的伝搬しないようにできる。
【0019】この場合、前記上流側給水経路に洗浄水を
温水化する温水化手段を設けたものとすることもでき
る。こうすれば、変動吐水手段の上流に位置する温水化
手段には、洗浄水流れの変動が伝搬しないようにでき
る。一般に、温水化手段での洗浄水の温水化に際して、
温水化対象となる洗浄水水量が変化すると安定した温度
での温水化が困難となる。よって、温水化手段に洗浄水
の流れの変動が伝搬可能なままであると、これにより洗
浄水水量の変動を来すので安定した温水化が困難とな
る。しかしながら、上記したように、温水化手段には上
流側給水経路による変動減衰により洗浄水流れの変動が
伝搬しないようにされているので、温水化手段では洗浄
水水量の変化は少なくなる。このため、安定した温度で
の洗浄水の温水化を図ることができる。
【0020】この場合、前記上流側給水経路のうち少な
くとも、温水化手段と変動吐水手段との間の経路は前記
下流側給水経路より管路の拡張伸縮が大きい可撓性配管
とすることができる。こうすれば、給水経路の変動発生
箇所で生じた変動を上流側給水経路の管路拡張伸縮によ
り容易に減衰でき、簡単な構成で安定して洗浄水を温水
化できる。
【0021】また、前記変動吐水手段の上流側に、より
好ましくは、前記温水化手段と変動吐水手段との間の経
路に変動吸収手段を備えたものとすることができ、変動
吸収手段をアキュームレータとすることもできる。こう
すれば、変動吐水手段の上流側への変動伝搬をより確実
に回避することができる。
【0022】また、前記変動吐水手段を、洗浄装置が有
する前記変動吐水手段よりその質量が大きい部材に直接
或いは間接的に取り付けられているものとすることがで
きる。こうすれば、変動吐水手段と質量大の部材とが一
体の質量体となり、その質量は大きくなる。よって、変
動吐水手段により洗浄水の流れに変動を生じさせた際に
変動吐水手段に振動が起きても、質量増大によりその振
幅を抑制できるので、ビビリ音等の不用意な異音の発生
をより確実に抑制でき、装置ケーシングの振動も抑制で
きる。このように変動吐水手段をその他の部材に間接的
に取り付けるに当たっては、防振ゴム、バネ等の弾性体
や、制振機構(ダンパー)等を用いれば、より好まし
い。
【0023】この際、上記の質量大の部材としては、変
動吐水手段の上流に位置しこれに洗浄水を導く洗浄水供
給手段、例えば、変動吐水手段に導く洗浄水流量を調整
する手段とできる。こうすれば、変動吐水手段とこれに
取り付ける洗浄水供給手段を近接配置できるので、不用
意に配管を長くする必要がない。
【0024】また、洗浄装置の各部材を取付けるベース
を設け、該ベースに前記変動吐水手段を弾性体を介して
取付けたものとしたり、前記変動吐水手段を弾性体を介
してプレートに取付け、更に該プレートを第2弾性体を
介して前記ベースに取付けたりしたものとすることもで
きる。このようにしても、変動吐水手段に振動が起きて
も、弾性体或いはこの弾性体と第2弾性体とにより、変
動吐水手段の振動振幅の抑制や異音の抑制等を図ること
ができるばかりか、この振動を洗浄装置本体にまで伝搬
しないようにすることができる。
【0025】この場合、前記プレートを前記変動吐水手
段より質量が大きくしたり、前記プレートには前記変動
吐水手段とは異なる部材を取付けることで、前記プレー
トの質量を大きくしたりすることは、制振性の観点から
好ましい。そして、プレートに変動吐水手段と一緒に取
り付けられる前記質量が大きい部材としては、前記変動
吐水手段の上流に位置し前記変動吐水手段に洗浄水を導
く洗浄水供給手段、例えば、変動吐水手段に導く洗浄水
流量を調整する手段とできる。
【0026】また、前記弾性体のバネ常数をk、減衰係
数をc、振動体の質量をm、振動伝達率をτ、振動体の
振動数をω、系の固有振動数をωn =k/mとした時、
下記式で表される振動伝達率τが0.1<τ<0.2と
なる弾性体を用いることもできる。 τ=|1/(1−(ω/ωn 2 | こうすれば、用いた弾性体により、振動伝達率τを低く
でき、例えば、ωn =ω/3となるバネ常数kを備え、
かつ、小さい減衰係数cをもつ弾性体を選定すれば、振
動伝達率τを、τ=0.13にまで低減することができ
る。よって、確実な制振を図ることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る洗浄装置を人
体局部を洗浄する局部洗浄装置に適用した実施の形態を
実施例に基づき説明する。図1は、便器に装着した状態
の実施例の局部洗浄装置10を表す概略斜視図、図2
は、局部洗浄装置の概略構成を水路系を中心に表したブ
ロック図、図3は、この水路系に配設されたアキュムレ
ータ73の概略構成を示す断面図、図4は、同じく水路
系に配設された波動発生機器74の構成を表す断面図で
ある。また、図5は、この波動発生機器74による洗浄
水の流れの様子を説明する説明図、図6は、波動発生機
器74の設置の様子を模式的に表した模式図、図7は、
制御系の概略構成を表すブロック図である。
【0028】図示するように、局部洗浄装置10は、便
器BTの後部上面に固定される本体部12と、洗浄動作
や乾燥動作等を遠隔操作するための遠隔操作装置14と
を有する。本体部12は、便器開口部側に、便座18並
びに便蓋20を開閉自在に備える。また、この本体部
は、便器の側方に袖部22を有すると共に、洗浄水を洗
浄局部に吐水する洗浄ノズル24を有するノズル装置4
0(図8参照)の他、後述の種々の機能部品を収納して
いる。
【0029】遠隔操作装置14は、その前面に、排便時
に常用される種々のボタンを備え、操作されたボタンに
対応した信号(光信号)を発するようにされている。例
えば、お尻洗浄が所望される際に操作されるお尻洗浄ボ
タン(図示省略)が操作されると、その旨の信号が発せ
られ、この信号は本体部12の側で受信される。そし
て、この信号を受けて、お尻洗浄が開始される。なお、
この遠隔操作装置14は、停止ボタンやビデ洗浄ボタン
の他、乾燥ボタン、水勢設定ボタン、ムーブ設定ボタン
等の種々のボタンを有するが、本発明の要旨と直接関係
しないので、その詳細な説明は省略する。
【0030】袖部22は、その上面に、本局部洗浄装置
の動作状況等を表示する表示部28と、開閉自在なカバ
ー29とを有する。なお、この表示部には、上記の遠隔
操作装置14から発せられた光信号を受光する受光部が
組み込まれている。また、このカバー29の一部は、着
座人体を検出するための着座センサSS10(図7参
照)からの光を選択的に透過させるよう着色された光透
過窓29aとされている。なお、この袖部22のカバー
下方には、局部洗浄に必要な最低限のボタンが設けられ
ており、遠隔操作装置14が電池切れ等で操作不能なと
きでも袖部のボタン操作で局部洗浄を行うことができる
ようにされている。
【0031】本実施例の局部洗浄装置10は、遠隔操作
装置14や袖部22のボタン操作に応じた洗浄動作・乾
燥動作等を行うため、以下の水路系構成並びに制御系構
成を有する。図2に示すように、本局部洗浄装置の水路
系は、図示しない外部の給水源側から、入水側弁ユニッ
ト50と熱交換ユニット60と流調弁65と波動発生ユ
ニット70とを備える。そして、この波動発生ユニット
70から洗浄ノズル24の流路切換弁71を経て洗浄ノ
ズル24に洗浄水が導かれ、当該ノズルから後述のよう
に洗浄水が吐水される。これら各ユニットは、波動発生
ユニット70を挟んだ上流側・下流側給水管路で接続さ
れている。即ち、入水側弁ユニット50と熱交換ユニッ
ト60は、上流側給水管路51で接続され、波動発生ユ
ニット下流のノズル装置40は、下流側給水管路72で
接続されている。
【0032】上流側給水管路51は、本局部洗浄装置に
給水源(水道管)から洗浄水(水道水)を直接給水すべ
く入水側弁ユニット50に配管されている。この上流側
給水管路51に導かれた洗浄水は、入水側弁ユニット5
0のストレーナ52でのごみ等の捕捉を経て、逆止弁5
3、調圧弁54に流れ込む。そして、調圧弁下流の電磁
弁55にて管路が開かれると、洗浄水は、調圧弁54で
所定の圧力(1次圧:約0.098MPa{約1.0k
gf/cm2 })に調圧された状態で、瞬間加熱方式の
熱交換ユニット60に流入する。このように調圧を受け
て流入する洗浄水流量は、約300〜500cc/mi
n程度となるようにされている。なお、上流側給水管路
51を、便器洗浄用の洗浄水を貯留する洗浄水タンク
(図示省略)から分岐して入水側弁ユニット50に配管
することもできる。
【0033】この入水側弁ユニット50から熱交換ユニ
ット60に至る間の上流側給水管路51には、リリーフ
弁56を介在させた第1洗浄水導出管路56aが配設さ
れている。この第1洗浄水導出管路56aは、リリーフ
弁上流側の管路圧力が何らかの原因で上昇してリリーフ
弁56により管路が開かれると、上流側給水管路51内
の洗浄水を外部に導出する。これにより、上流側給水管
路51、延いては熱交換ユニット60における熱交換部
内圧の上昇を回避できるので、熱交換部の変形や収縮・
膨張による疲労を回避でき好ましいばかりか、必要以上
に高い耐圧性能を有する熱交換部とする必要がない。
【0034】上記の第1洗浄水導出管路56aは、その
末端が脱臭用吸気口や局部乾燥用排気口に向くよう配設
されている。よって、この導出管路から導出された洗浄
水は、これら吸気口や排気口に吐水される。この吸気口
や排気口は、便器ボール部に臨んでいることから、ボー
ル部に配設された汚物の飛散水を浴びて汚れることがあ
る。しかし、吸気口や排気口は上記の導出管路からの洗
浄水により洗浄されるので、衛生面や清潔感の観点から
好ましい。なお、導出管から吐水された洗浄水は、便器
ボール部に流れ落ちるので、便器周辺を汚すようなこと
がない。
【0035】上記した入水側弁ユニット下流の熱交換ユ
ニット60は、ヒータ61を内蔵する熱交換部を備え
る。このヒータ61は、熱応答性が良好なニクロム線を
螺旋状に巻いて構成されている。よって、熱交換部はこ
のヒータ61による洗浄水の瞬間加熱が可能な容量であ
ればよいので、熱交換部、延いては熱交換ユニット全体
の小型化が可能である。また、熱交換ユニット60の構
造が簡略となるので、組み付け工数の低減、低コスト化
といった製造上の利点がある。なお、ヒータ61または
その近傍に、その異常加熱を機械的に遮断する図示しな
いバイメタルや温度ヒューズが装着されている。
【0036】そして、この熱交換ユニット60は、熱交
換部へ流入する洗浄水の温度と熱交換部から流出する洗
浄水の温度を入水温センサSS16aと出水温センサS
S16bで検出しつつ、ヒータ61で洗浄水を設定温度
の洗浄水に温水化する。そして、このようにして温水化
された洗浄水は、流調弁65により流量調整を受けた上
で、後述の波動発生ユニット70に流入する。なお、こ
の流調弁65を、波動発生ユニット70に至る管路とそ
の他の外部管路(例えば、便器ボール部への捨て水管
路)に切り換える流調切換弁とし、波動発生ユニット7
0に至る管路とその他の外部管路との開度比を変更する
ことで、波動発生ユニット70への流量(洗浄水吐水流
量)を調整するように構成してもよい。この場合には、
流調切換弁に至った洗浄水流量とこの洗浄水吐水流量の
差分の洗浄水が外部管路から便器ボール部に流れ落ち
る。つまり、ノズル以外への洗浄水導出を介して、洗浄
水吐水流量を調整する。この場合、熱交換ユニット60
を発泡材等の断熱材で被覆すれば、断熱材による洗浄水
保温効果と相俟って、洗浄水温水化のヒータの消費電力
を削減できる。つまり、省エネ効果が高まる。
【0037】また、この熱交換ユニット60は、熱交換
部内水位を検出するフロートスイッチSS18を有す
る。このフロートスイッチは、ヒータ61が水没する所
定の水位以上になるとその旨の信号を出力するよう構成
されている。そして、電子制御装置80はこの信号を入
力している状況下でヒータ61を通電制御するので、水
没していないヒータ61に通電してしまうとういような
事態、いわゆるヒータの空焚きを回避する。なお、熱交
換ユニット60のヒータ61は、後述する電子制御装置
80によってフィード・フォワード制御とフィードバッ
ク制御を組合わせながら最適に制御される。
【0038】更に、この熱交換ユニット60は、熱交換
部からの洗浄水出口、即ち、熱交換部下流の管路の熱交
換部接続箇所に、バキュームブレーカ63を備える。こ
のバキュームブレーカ63は、管路内に大気を導入して
熱交換部下流の管路内の洗浄水を断ち切り、熱交換部下
流側からの洗浄水逆流を防止する。また、このバキュー
ムブレーカ63は、その下流の残水をそのヘッド差によ
りノズルから排出する。
【0039】波動発生ユニット70は、その上流側から
アキュムレータ73と、波動発生機器74とを有する。
このアキュムレータ73は、図3に示すように、波動発
生機器74より上流の上流側給水管路51に接続された
ハウジング73aと、ハウジング内のダンパ室73bに
配置されたダンパ73cと、このダンパに付勢力を及ぼ
すスプリング73dとを有する。よって、アキュムレー
タ73は、波動発生機器74の上流において、上流側給
水管路51の水撃を低減する。このため、熱交換部の洗
浄水温度分布に及ぼす水撃の影響を緩和でき、吐水洗浄
水の温度を安定化することができる。また、熱交換部へ
水撃が加わらないので熱交換部自体が破裂する恐れも防
止できる。更に、アキュームレータ73が無い時に比
べ、波動発生機器74よりも下流での波動が減衰しない
ので、より大きな変動を起こすことができる。これにつ
いては、図31を用い詳細に後述する。
【0040】この場合、アキュムレータ73は、波動発
生機器74に近接配置したり当該機器と一体的に配置す
ることが、後述するようにこの波動発生機器74で発生
された脈動を上流側に伝播することを速やかにかつ効果
的に回避できる観点から好ましい。この場合、アキュム
レータ73は、ダンパ73cとこれを付勢するスプリン
グ73dの無い単なる空気室としてのダンパ室73bを
有するだけの構成や、上流側給水管路51を一部上方に
意図的に膨張させたようなエアー溜まりとして形成する
こともできる。
【0041】波動発生機器74は、図4に示すように、
上流側・下流側給水管路51、72に接続されるシリン
ダ74aにプランジャ74bを摺動自在に備える。そし
て、このプランジャ74bを電磁コイル(脈動発生コイ
ル)74cの励磁制御により上流側・下流側に進退させ
る。プランジャ74bは、脈動発生コイル74cの励磁
により図示する原位置(プランジャ原位置)から下流側
に移動するが、コイル励磁が消えると、上流側・下流側
スプリング74d、74eの付勢力を受けて原位置に復
帰する。
【0042】プランジャ74bは、その内部に鋼球とス
プリングからなる逆止弁74fを有するので、プランジ
ャ原位置から下流側への移動の際には、シリンダ74a
内の洗浄水を加圧して下流側給水管路72に押し流す。
この際、プランジャ原位置は一定であることから、一定
量の洗浄水が下流側給水管路72に送られることにな
る。その後、原位置に復帰する際には、逆止弁74fを
経てシリンダ74a内に洗浄水が流れ込むので、次回の
プランジャ74bの下流側移動により、改めて一定量の
洗浄水が下流側給水管路72に送られることになる。し
かも、プランジャ74bの原位置復帰の際には、プラン
ジャ下流側、即ち下流側給水管路72の洗浄水の引き込
みが起きるので、この波動発生機器74は、プランジャ
74bの往復動に伴って圧力が周期的に上下変動する脈
動を引き起こし、洗浄水を脈動流の状態で下流側給水管
路72に流す。
【0043】この場合、波動発生ユニット70には上流
側給水管路51を経て上記の1次圧の洗浄水が給水され
ている。よって、上記したようにプランジャ74bの原
位置復帰の間に逆止弁74fを経てシリンダ74a内に
流れ込んだ洗浄水は、逆止弁74fによる圧力損失や下
流側の洗浄水の引き込みの影響を受けて1次圧のままで
はないものの、下流側給水管路72に送られる。この様
子を図でもって表すと、図5に示すように、洗浄水は、
1次圧を中心に脈動した圧力で波動発生機器74から下
流側給水管路72、延いては洗浄ノズル24に送られて
後述するように局部に吐水される。しかも、波動発生機
器74からその下流に送られる洗浄水圧は、上記のよう
にプランジャ74bの原位置復帰の際の逆止弁74fを
経たシリンダ74a内への洗浄水流れ込みにより、ゼロ
となることはない。この洗浄水圧の脈動推移は、洗浄水
流量の推移に反映する。
【0044】この図5に見られる脈動周期MTは、脈動
発生コイル74cの励磁周期に同期し、この励磁周期の
変更制御を通して後述のように種々設定可能である。し
かも、洗浄水の脈動流発生にプランジャ74b往復動の
ためのコイル励磁だけで済むので、波動発生機器74の
構成を簡単にすることができる。
【0045】また、本実施例では、図2に示すように、
波動発生機器74を熱交換ユニット60の熱交換部の下
流に配置したので、脈動流とされた洗浄水は、給水管路
より大径であるために脈動減衰を起こし易い熱交換部を
通過することが無い。よって、下流側給水管路72、延
いては洗浄ノズル24には、熱交換部による脈動減衰の
影響を受けることがない状態で、脈動流の洗浄水を送り
込むことができる。
【0046】更に、この波動発生機器74の設置に際し
ては、いわゆる防振ゴムを介在させた。よって、この防
振ゴムによる制振作用により、脈動発生に伴う振動を抑
制できると共に、振動による異音発生も抑制できる。こ
の場合、波動発生機器74を、金属等の高比重の粉体物
や粒状物を混合することで高比重化された樹脂プレート
(図示省略)に設置し、この樹脂プレートを防振ゴムを
介在させて本体部の底面プレートに配置することもでき
る。こうすれば、振動源質量を波動発生機器74と樹脂
プレートの和として大きくしたこと自体で、脈動発生に
伴う振動を起きにくくできることに加えて、防振ゴムに
よる制振作用により制振を図ることができる。
【0047】このように振動源質量を大きくするに当た
って、上記したような高比重の樹脂プレートに波動発生
機器74を設置することに替えて、本局部洗浄装置が有
する質量の大きな部材やユニット(例えば、波動発生機
器74の上流に配設される流調弁)にこの波動発生機器
74を直接取り付けることもできる。こうすれば、流調
弁等と波動発生機器74との一体化により振動源質量の
増大を図れるので、樹脂プレートを必要とせず、部材数
低減によるコスト低下といった製造上の利点があり、装
置の小型化も図ることができる。
【0048】また、樹脂プレートに金属等の高比重の粉
体物や粒状物を混合することで高比重化とすることに換
えて、樹脂プレートに本局部洗浄装置が有する質量の大
きな部材やユニット(例えば、波動発生機器74の上流
に配設される流調弁)を直接取付けることもできる。こ
うすれば、流調弁等と樹脂プレートとの一体化により振
動源質量の増大を図れるので、金属等の高比重の粉体物
や粒状物を混合することを必要とせず、製造上の利点が
ある。更に、波動発生機器74と樹脂プレートとの間に
も防振ゴムを配設すれば、この防振ゴムと樹脂プレート
下面の防振ゴムとで、図6に示すような2自由度系の振
動絶縁のダンパ機構を構成できる。このため、振動緩和
に効果的なバネ常数k1、k2や減衰係数c1、c2と
できるように防振ゴムを選定することで、高い制振効果
を発揮することができ、便座等への振動伝播を効果的に
回避できる。なお、このような制振により、振動に伴う
異音の発生も効果的に抑制できる。
【0049】ここで、上記した防振特性について説明す
る。防振理論によれば、振動伝達率τは、防振特性を発
揮する部材、本実施例では上記の防振ゴムの減衰係数c
項が小さい場合の近似式として、下記式で表される。な
お、防振ゴムに限られるわけではなく、この防振ゴムと
同じ特性(防振特性)を発揮できるバネ等の弾性体であ
ればよい。 τ=|1/(1−(ω/ωn 2
【0050】ここに、ωn は系の固有振動数、ωは振動
体の振動数(但し、ω=120〜200π)であり、k
を上記の防振ゴムのバネ常数、mを振動体の質量とする
と、ωn =√(k/m)で表される。
【0051】防振ゴムの選定に当たり、例えば、ωn =
ω/3となるバネ常数kを備え、かつ、小さい減衰係数
cをもつ防振ゴムを選定するようにすると、理論上、振
動伝達率τを、τ=0.13にまで低減することが可能
である。
【0052】図43は、上記を具現化した波動発生ユニ
ット70を中心とした要部概略斜視図である。図示する
ように、波動発生ユニット70と流調弁65は、防振プ
レート76に近接して設置されている。つまり、この波
動発生ユニット70とその上流の流調弁65は間接的に
取り付け設置され、これにより振動源質量の増大を通し
た振動抑制が図られている。また、両部材の防振プレー
ト76への固定に際しても次のようにして、振動伝播抑
制が図られている。
【0053】図43に示すように、流調弁65は、次の
ように固定した。即ち、この流調量弁前方の取付穴65
a、65bを防振プレート76の取付ボス76a、76
bに合わせ、図示しない雄ネジを各取付穴に挿入して取
付ボスのネジ穴に締め付け、流調弁65を防振プレート
76に直接固定した。波動発生ユニット70はそれ自体
が振動源となるので、次のように固定した。まず、防振
プレート76(図6に示す樹脂プレートに相当)に取付
部76c〜76fを設け、波動発生機器74にこの各取
付部に対応する取付穴74g〜74j(一部を図示す
る)を設ける。そして、各取付部76c〜76fに防振
ゴム76gを装着した状態で、波動発生機器74の各取
付穴74g〜74jを防振プレート76の各取付部76
c〜76fに合わせ、図示しない雄ネジを各取付穴に挿
入して取付部のネジ穴に締め付ける。これにより、波動
発生ユニット70は、防振ゴム76gを介在させて防振
プレート76に固定される。このように波動発生ユニッ
ト70と流調弁65が固定された防振プレート76は、
その前方・後方の側で防振ゴム76h、76iを介在さ
せて、図示しない本体部底面プレートにネジ止め固定さ
れている。なお、流調弁65も振動源であるが、防振ゴ
ム76h、76iにより振動伝播は抑制される。
【0054】上記した波動発生機器74の設置構造は、
図6に示した2自由度系の振動絶縁のダンパ機構に他な
らなず、制振効果を発揮できる。よって、図43に示す
構造によれば、防振プレート76への波動発生ユニット
70と流調弁65の取り付けによる振動源質量の増大と
相俟って、より効果的に振動伝播抑制を図ることができ
る。
【0055】このような波動発生機器の設置に際し、波
動発生機器74と熱交換部との間にアキュムレータ73
を配置していることと相俟って、熱交換部に不要な脈動
圧を与えることが無い。このため、熱交換部内圧の不用
意な上昇を回避できるので、熱交換部の変形や収縮・膨
張による疲労を回避でき好ましいばかりか、必要以上に
高い耐圧性能を有する熱交換部とする必要がない。
【0056】本実施例では、上記の水路系を構成するに
当たり、次のようにした。即ち、上流側・下流側給水管
路51、72の両給水管路を高硬度の可撓性配管とする
と共に、上記の下流側給水管路72の硬度を上流側給水
管路51より大きくした。また、これら管路と上記各ユ
ニットの配管接続部にカプラ方式の継手を用いた。更
に、各ユニットを近接配置して、ユニット間の給水管路
長を短くした。これらの結果、給水管路自体の伸縮、膨
張・収縮が起き難くなり、この伸縮に伴う脈動減衰の影
響を抑制できるので、脈動減衰を低減した状態で、脈動
流の洗浄水を洗浄ノズル24に送り込むことができる。
特に、波動発生機器74と流路切換弁71の近接配置を
図ったので、この間の下流側給水管路72を洗浄水が通
過する際の脈動減衰は、下流側給水管路72が高硬度の
可撓性配管であることと相俟って、より効果的に抑制で
きる。
【0057】この場合、上流側・下流側給水管路51、
72の両給水管路を次のようにすることができる。例え
ば、この両給水管路をシリコン、若しくはエラストマ或
はウレタン等から形成された高硬度(例えば硬度80)
の可撓性配管とし、下流側給水管路72の配管壁を上流
側給水管路51より厚くすることで、両給水管路に硬度
の大小が生じるようにすることができる。また、両給水
管路の材料自体に硬度の大小があるものを用いることも
できる。例えば、下流側給水管路72をシリコン、若し
くはエラストマ或はウレタン等から形成された高硬度
(例えば硬度80)の可撓性配管とし、上流側給水管路
51をこれより硬度の小さな(例えば硬度60)塩化ビ
ニル若しくはシリコン等から形成された可撓性配管とす
ることで、両給水に硬度の大小が生じるようにすること
ができる。
【0058】本実施例の局部洗浄装置の制御系は、図7
に示すように、マイクロコンピュータを主要機器とする
電子制御装置80を中心に構成されている。この電子制
御装置80は、上記した着座センサ、入水出水温センサ
等の各種センサやフロートスイッチ、転倒検知センサS
S30、洗浄水量センサSS14からの信号の他、遠隔
操作装置14や袖部22における洗浄ボタン等の種々の
操作ボタン並びにツマミの操作状況を、入力回路を介し
て有線もしくは無線(光信号)で入力する。この場合、
洗浄水量センサは、下流側給水管路72における洗浄水
量を検出し、その検出結果を電子制御装置80に出力す
る。転倒検知センサSS30は、本局部洗浄装置の傾き
状態を検知してその結果を電子制御装置80に出力する
ものだが、これは、局部洗浄装置が便器から取り外され
た状態を検知することを目的としているので、それを検
知できるものであれば良い。
【0059】この電子制御装置80は、入力した上記信
号に基づいて、入水側弁ユニット50の電磁弁開閉弁制
御、熱交換ユニット60のヒータ通電制御、流調弁制
御、本体袖部表示部の表示制御、局部乾燥用の乾燥ヒー
タやファンモータ等を含む乾燥部79の通電制御、臭気
除去用のオゾナイザーや吸引ファンモータ等を含む脱臭
部(図示省略)および室内暖房用のヒータやファンモー
タ等を含む暖房部(図示省略)の通電制御を実行する
他、上記信号に基づいて、後述のノズル装置40のノズ
ル駆動モータ制御、脈動発生コイル74cの励磁制御を
通した脈動周波数制御を実行する。この脈動周波数制御
については後に詳述する。なお、局部乾燥用の乾燥ヒー
タを室内暖房用のヒータと共用したり、局部乾燥用のフ
ァンモータを臭気除去用や室内暖房用のファンモータと
共用したりすることもできる。
【0060】次に、本実施例の局部洗浄装置10が有す
るノズル装置40について説明する。図8は、ノズル装
置40を表す概略斜視図、図9は、図8における9−9
線概略断面図、図10は、洗浄ノズル24の進退の様子
を説明するための説明図である。
【0061】図示するように、ノズル装置40は、局部
洗浄装置10の本体部12(図1参照)に収納設置され
る。このノズル装置40は、本体部12に固定設置され
るベース41と、このベース上面の架台41aに組み込
み配設されたノズル駆動モータ42と、このモータの正
逆回転を前後動に変換して洗浄ノズル24に伝達する伝
達機構43と、ベース上面に立設され洗浄ノズル24を
便器ボール部側で摺動自在に保持するノズル保持部41
bと、洗浄ノズル24を後述のノズル進退軌道に沿って
案内する案内レール部44とを有する。
【0062】伝達機構43は、ノズル駆動モータ42の
回転軸に固定された駆動プーリ43aと、上記のノズル
進退軌道に沿った前後の従動プーリ43bと、これらプ
ーリに掛け渡されたタイミングベルト43cと、当該ベ
ルトにテンションを与えるテンションローラ43dとを
有する。タイミングベルト43cは、洗浄ノズル24の
筒状部24aから延びたベルト把持体24bを介して、
当該ノズルと係合・固定されている。よって、この洗浄
ノズル24は、タイミングベルト43cの正逆回転に応
じて前後に進退駆動する。
【0063】案内レール部44は、図10に示す円弧状
のノズル進退軌道45と同心に湾曲形成されており、洗
浄ノズル24の下方に位置するよう設置されている。そ
して、この案内レール部44は、図9に示すように、洗
浄ノズル24の後端側下方の軌道把持体24cを介して
当該ノズルと係合されている。この軌道把持体24c
は、案内レール部44のレール部左右を上下に把持し、
レール把持箇所に、上記のノズル進退軌道45と同じ曲
率半径の軌道把持面とされた把持部24dを有する。こ
の把持部24dは、レール部に対しての摺動性と振動吸
収機能を備え、含油、WAX配合等の材料配合処理を経
たゴム系材料、或いは、テフロンコート、ハロゲン処
理、梨地処理等の表面処理を経たゴム系材料を用いて製
造されている。よって、後述するように波動発生機器7
4から脈動流の洗浄水が洗浄ノズルに流れ込み、この洗
浄ノズルに脈動流に起因する振動が起きても、その振動
の他の部材への伝播を防止できる。このため、振動に伴
う異音の発生も抑制できる。
【0064】また、便器ボール部側のノズル保持部41
bは、洗浄ノズル24を摺動自在に保持する。よって、
洗浄ノズル24は、タイミングベルト43cにより前後
に進退駆動する際、案内レール部44に沿って前後に進
退駆動し、その移動軌跡は円弧状のノズル進退軌道45
と一致する。この場合、洗浄ノズル24にあっても、そ
の筒状部24aは、このノズル進退軌道45と同じ曲率
半径で軸方向に沿って湾曲形成されている。このため、
洗浄ノズル24は、円弧状のノズル進退軌道45と一致
して、本体部内の待機位置HPと便器ボール部内の洗浄
位置(お尻洗浄位置AWP、ビデ洗浄位置VWP)との
間を前後に進退駆動する。なお、ノズル保持部41b
は、洗浄ノズルの摺動抵抗を低減するため、ノズル外壁
と一部しか接触しないようにされている。そして、この
接触箇所に、上記配合処理や表面処理を受けて摺動性と
振動吸収機能を発揮するゴム系材料の部材を配置すれ
ば、上記した振動伝播の防止効果と異音発生の回避効果
を高めることができる。
【0065】この結果、図10に示すように、待機位置
HPの洗浄ノズル24を、その軸方向に亘って便器上面
に近づくよう、ノズル装置40に装着できる。よって、
便器上面からの洗浄ノズル後端高さ(ノズル高さ)を、
円柱状の洗浄ノズルを傾斜した直線軌道に沿って進退さ
せる場合より低くできる。従って、このノズル高さの低
減の分だけ本体部12(図1参照)を低くでき、局部洗
浄装置自体を小型化することができる。また、ノズルの
進出によってノズルヘッド上面の角度が変わって当該ヘ
ッドからの洗浄水吐水角度が変わるので、少ないノズル
移動で洗浄範囲を大きく移動することができる。具体的
には、後述のムーブ洗浄の際のノズル往復動範囲を狭く
しても、ムーブ洗浄に求められる洗浄範囲に亘って洗浄
水を吐水できる。或いは、お尻洗浄位置AWPからビデ
洗浄位置VWPまでのノズル移動距離が短くても、洗浄
水による洗浄箇所をお尻からビデに変更できる。なお、
上記した洗浄ノズル24を直線管路形状とすると共に、
ノズル進退軌道45をも直線軌道とし、ノズルを直線軌
道に沿って進退させることもできる。
【0066】この実施例のノズル装置40では、既述し
たように洗浄ノズル24と案内レール部44が上下に重
なる位置関係を採ることから、幅方向についてコンパク
ト化できる。よって、このノズル装置40と波動発生機
器74とのより一層の近接配置が可能となるので、下流
側給水管路72における脈動減衰の抑制効果を高めるこ
とができる。また、このノズル装置40の設置に際して
は、ベース41(図8参照)を防振ゴムを介在させて本
体部の底面プレートに配置した。よって、このノズル装
置40に脈動に伴う振動が伝播しても、防振ゴムによる
制振作用によりこの振動を効果的に抑制できると共に、
振動による異音発生も抑制できる。
【0067】次に、洗浄ノズル24について説明する。
図11は、この洗浄ノズル24が有する流路切換弁71
の構成を説明するための要部概略断面図、図12は、こ
の流路切換弁71の要部の分解斜視図である。図13
は、ノズルヘッド25を平面視すると共にヘッド周辺を
一部破断して示す平面図、図14は、このノズルヘッド
25の変形例を示す平面図である。
【0068】図8、図9および図11に示すように、流
路切換弁71は、洗浄ノズル24の後端に位置する。そ
して、波動発生機器74から送られた脈動流の洗浄水の
給水先を、洗浄ノズル24のお尻洗浄用、やわらか洗浄
用およびビデ洗浄用の各ノズル流路に切り換えるべく以
下の構成を有する。
【0069】流路切換弁71は、後述の切換機構を内蔵
したケーシング71aを備える。そして、この流路切換
弁71は、ケーシング71aを洗浄ノズル24の筒状部
24aの後端端面に溶着することで、洗浄ノズル24と
一体とされている。よって、洗浄ノズル24と共に上記
したように軌道に沿って進退する。
【0070】ケーシング71aには、ノズル側から、ノ
ズル内の各流路と連通した連通孔を有するステータ71
bと、流路切換のために回転しステータ71bの各連通
孔を択一的に開放するロータ71cと、このロータ71
cに回転を伝達するためのカップリング71dと、この
カップリング71dを回転自在に収納するハウジング7
1eと、ロータ71cをステータ71bに向けて付勢す
るスプリング71fとを有する。図12に示すように、
ステータ71bの各連通孔71g〜71iは、ロータ7
1cに面する側では等分に開口され、ノズル側では、図
9に示すノズル内流路、即ち、お尻洗浄用ノズル流路の
第1ノズル流路26a、やわらか洗浄用ノズル流路の第
2ノズル流路26b、ビデ洗浄用ノズル流路の第3ノズ
ル流路26cの各流路に連通するよう空けられている。
つまり、ステータ71b内で連通孔が湾曲形成されてい
る。この各連通孔は、洗浄ノズル後端における上記の各
ノズル流路の開口部の並びに併せて配置してもよく、こ
の場合には、上記の各連通孔は、ストレートな孔でよ
い。なお、上記の第1ないし第3のノズル流路26a〜
26cは、ノズル先端のノズルヘッド25まで、筒状部
24aの長手方向に亘って区画形成されている。
【0071】ロータ71cは、ステータ71b上面に等
分に開口した上記各連通孔の一つを開放できる切欠71
jを有し、この切欠71jを連通孔開口と重ねることで
その連通孔を開放する。この場合、ロータ71cは、切
欠71jを隣り合う連通孔間に位置させることで、各連
通孔を遮蔽できるようにされている。つまり、切欠71
jが隣り合う連通孔開口間にある位置からロータ71c
が僅かに回転すれば、連通孔を介して上記の各ノズル内
流路に洗浄水を送り込める。なお、ノズル内に残存した
水の排出(水抜き)の便のため、このロータ71cを総
ての連通孔開口と重なることもできる切欠を有するよう
にして、水抜き時には、この切欠により総ての連通孔を
開口させることもできる。
【0072】カップリング71dは、流路切換弁71の
有する駆動モータ71kの回転軸に装着され、スリット
71mに回転軸ピン71nを位置させる。また、このカ
ップリング71dは、回転キー71qをロータ71cの
スリット71rに位置させている。よって、駆動モータ
71kが正逆回転すると、その回転は、回転軸ピンにて
カップリング71dに、回転キー71qにてロータ71
cに伝達される。そして、ロータ71cの回転により切
欠71jが上記したように各連通孔のうちの一つを選択
的に開放するので、選択された連通孔に対応するノズル
流路に、波動発生機器74からの脈動流の洗浄水が給水
される。
【0073】この場合、波動発生機器74からの洗浄水
は、下流側給水管路72(図2参照)並びに流路切換弁
71のケーシング71aに設けた接続継手71sを経て
この流路切換弁71に流れ込む。この接続継手71sに
波動発生機器74から下流側給水管路72を接続するに
当たっては、波動発生機器74を接続継手71sより下
方側に配置する等の処置を採って、下流側給水管路途中
にエアー溜まりができないようにした。このため、波動
発生機器74から流路切換弁71まで脈動流の洗浄水が
達する間においては、エアー溜まりが無いことと上記し
たように管路が高硬度のものであることから、脈動の減
衰をより効果的に抑制できる。また、波動発生機器74
で脈動流とされた洗浄水がノズル装置40に至るまでの
管路は、この波動発生機器74と流路切換弁71までの
下流側給水管路72だけである。そして、この下流側給
水管路72が周囲の部材と接触を起こし得る場所には、
防振ゴム等の緩衝材を配置した。具体的には、周囲の部
材側に防振ゴムを装着したり、給水管路に防振ゴムを巻
き付けたりした。よって、下流側給水管路72が上記し
たように高硬度のものであることと相俟って、脈動の減
衰をより効果的に抑制できる。
【0074】この流路切換弁71のケーシング等の各部
材は、ポリフェニレンサルファイド(略称PPS)、ポ
リアセタール(略称POM)、ポリブチレンテレフタレ
ート(略称PBT)、ガラス繊維強化ポリブチレンテレ
フタレート(略称GF・PBT)等の耐久性・耐熱性に
富むエンジニアリングプラスチックを用いて形成されて
いる。よって、流路切換弁内の洗浄水流路は、高強度の
管路として機能するので、管路伸縮による脈動減衰を招
かない。そして、波動発生機器74からの脈動流洗浄水
をノズル流路に給水するに際しては、流路切換弁71が
洗浄ノズル24と一体とされその間に配管が無いことも
相俟って、脈動の減衰をほとんど起こすことがない。ま
た、上記したように給水先を切り換えるに際しては、ロ
ータ71cの回転を利用しているので、ダイアフラム等
の弾性体の弾性を利用した流路切換弁に比べて、脈動の
減衰をより効果的に抑制できる。
【0075】この流路切換弁71によれば、次のような
利点がある。流路切換弁71は、波動発生機器74では
なくその下流の洗浄ノズル24に一体とされ、脈動流の
発生に伴って振動源となりうる波動発生機器74から切
り離されている。よって、振動源をこの波動発生源だけ
とすることができる。また、流路切換弁71は、洗浄ノ
ズル24と一体に進退するが、駆動モータ71kはその
コイル巻線部分が樹脂モールドされているので、洗浄位
置への進出時に洗浄水が駆動モータ71kに飛散しても
モータ駆動に支障はない。更に、ノズル装置40に至る
下流側給水管路72を1本にできるので、管路がノズル
進退時の負荷となる程度を低減できる。よって、ノズル
駆動モータ42に対する負荷トルクを低減できる。な
お、下流側給水管路72を可撓性とするのは、局部洗浄
装置内に固定された波動発生機器74と伸縮自在な洗浄
ノズル24とを接続しなければならないからである。も
し、洗浄ノズル24進出時のみ、下流側給水管路72と
流路切換弁71とを連通するよう構成すれば、下流側給
水管路72は可撓性とする必要は無い。
【0076】洗浄ノズル24のノズルヘッド25は、通
常のお尻洗浄用のお尻吐水孔31と、お尻のやわらか洗
浄用のやわらか吐水孔32と、ビデ洗浄用のビデ吐水孔
33を有する。このノズルヘッド25は、洗浄ノズル2
4の筒状部24aの先端に水密に固定され、ノズルヘッ
ド内部に形成された第1ヘッド流路34、第2ヘッド流
路35、第3ヘッド流路36を、それぞれ、洗浄ノズル
の第1ノズル流路26a、第2ノズル流路26b、第3
ノズル流路26cに接続する。図示するように、これら
ノズル流路は、ノズルヘッド上面にて上記の各吐水孔に
至っている。よって、流路切換弁71(図8参照)が洗
浄水の給水先を、ノズル後端にて、第1ないし第3ノズ
ル流路26a〜26cのいずれかに切り換えると、洗浄
水は、その切り換えられたノズル流路並びにヘッド流路
を経て、上記各吐水孔から吐水される。この場合、波動
発生機器74から脈動流の洗浄水が給水されるので、各
吐水孔からは、脈動の性質を持った洗浄水吐水がなされ
る。
【0077】この場合、ノズルヘッド25の上記各吐水
孔31〜33は、お尻吐水孔31が最もその孔径が小さ
く、ビデ吐水孔33とやわらか吐水孔32はこのお尻吐
水孔より孔径が大きくされている。このため、図示しな
い遠隔操作装置の水勢強弱設定ボタンSWhu、SWh
dにより水勢が一定に設定されている状況下であれば、
各吐水孔からの洗浄水の吐水速度は、お尻吐水孔31が
最も速く、ビデ吐水孔33とやわらか吐水孔32ではお
尻吐水孔31より遅くなる。このように吐水速度が遅い
やわらか吐水孔32を用いるやわらか洗浄は、お尻吐水
孔31での通常のお尻洗浄の場合より、吐水から受ける
洗浄感を吐水速度が遅い分だけ少なくとも柔らかなもの
とする。なお、ビデ吐水孔33ややわらか吐水孔32
は、図示するように単一の孔に限られるものではなく、
図14に示すように、小径の細孔を複数配置してその全
体でビデ吐水孔33ややわらか吐水孔32と形成するこ
ともできる。この場合には、複数の細孔面積の総和であ
る吐水孔総面積をお尻吐水孔面積以上とすれば、細孔全
体として吐水は、お尻洗浄の場合より柔らかくなる。
【0078】次に、お尻洗浄を例に採り、この実施例の
局部洗浄装置10による洗浄水吐水の様子について説明
する。図15は、洗浄水吐水に際して脈動を発生させる
波動発生機器74の脈動発生コイル74cの励磁の様子
を説明する説明図、図16は、波動発生機器74から流
出する洗浄水の水量及び流速を示すタイミングチャー
ト、図17は、ノズルヘッド25のお尻吐水孔31から
の洗浄水吐水の様子を模式的に説明する説明図である。
【0079】電子制御装置80は、脈動発生コイル74
cを励磁して波動発生機器74にて脈動を発生させるに
当たり、パルス状の信号を出力する。そして、このパル
ス信号を、脈動発生コイル74cに接続されこれをオン
させるためのスイッチングトランジスタ(図示省略)に
出力する。よって、脈動発生コイル74cは、パルス信
号に従ったスイッチングトランジスタのON・OFFに
より繰り返し励磁し、上記したようにプランジャ74b
を周期的に往復動させる。これにより、波動発生機器7
4からノズルヘッド25の各吐水孔には、圧力が周期的
に上下変動する脈動流の状態で洗浄水が給水され、この
脈動流の洗浄水が各吐水孔から吐出される。この際、電
子制御装置80は、所定の周波数範囲において、上記の
パルス信号の周波数を可変制御すると共に、コイル励磁
パルスのオンオフをデューティ比制御する。これによ
り、種々の脈動を引き起こすことができる。この場合、
波動発生機器74で引き起こされた脈動の圧力を検出す
る圧力センサをこの波動発生機器74の直後の下流側に
設け、このセンサの検出値によりデューティ比制御にフ
ィードバックをかけることもできる。なお、このセンサ
の設置位置は、脈動圧力を反映できる位置であればその
位置は限定されない。例えば、洗浄ノズル近傍に設けた
り、波動発生機器74の機構を流用してこの近傍もしく
は略一体となって設けてもよい。
【0080】図15に示すように、図5で示した脈動周
期MTを周期T1とし、パルス信号のオン時間をt1と
すると、デューティ比は(t1/T1)×100(%)
で表わされる。図5で示したような圧力の脈動を起こす
と、洗浄水水量は、連続流と比べてデューティ比で表わ
される値まで少なくなる。こうした脈動流の水量は、図
16に示すように、最大流量Qmaxから最小流量Qm
inの範囲で増減し、流速についても最大流速Vmax
から最小流速Vminの範囲で増減することになる。な
お、この図16において、最小流量Qminおよび最小
流速Vminがゼロとなっていないのは、波動発生機器
74による脈動圧がその最小でも既述したようにゼロと
なっていないことによる。
【0081】従来のように連続流の洗浄水が吐水孔(例
えばお尻吐水孔31)から吐水されると、吐水孔からの
洗浄水は、図17(A)に示すように連続流としての吐
水形態を採るのに対し、上記のような脈動流の洗浄水が
吐水されると、図17(B)に示すように離散的または
水塊状態の吐水形態を採って洗浄水が吐水される。この
ように、波動発生機器74で脈動流とされた洗浄水が、
洗浄ノズルの吐水孔から噴出されると、離散的または水
塊状態となる理由について、図16および図18を用い
て説明する。
【0082】図18は、脈動流の洗浄水を仮定の吐水孔
30から吐水した場合、その吐水された洗浄水が脈動流
に増幅される過程を説明する説明図である。図16
(A)に示すように、波動発生機器74により洗浄水量
が脈動となると、流速Vも同様に変動して脈動になる。
すなわち、吐水される洗浄水は、その水量が最大流量Q
maxになると、流速も最大速度Vmaxになり、瞬間
の流速および流量が時間とともに変動する。また、図1
6の脈動流の洗浄水の各部位をWp1,Wp2,Wp
3,Wp4,Wp5とすると、この各部位の量はWp1
(=Wp5)<Wp2(=Wp4)<Wp3となり、そ
れぞれの流速も、V1(=V5)<V2(=V4)<V
3となる。よって、吐水直後から図18の(A)〜
(C)へと移行するにつれて、Wp3はWp2より速度
が大きいから、Wp3はWp2と合体し、さらにWp1
と合体して大きな水塊となる。
【0083】このように最大流速のWp3がその前のW
p2,Wp1と順次合体することにより、大きな塊とな
って、人体局部(洗浄面)に着水することになる。この
洗浄水は、人体局部に当たるときには、衝突エネルギ
(洗浄強度)が大きい水塊状態となっている。この流速
V3は、図16に示す最大流速Vmaxであることか
ら、脈動流で吐水された洗浄水は、合体した水塊の状態
が脈動周期MTごとに現れるような吐水形態で、吐水孔
から吐水されていることになる。しかも、脈動周期でこ
のような現象が起きることから、上記のように最大流速
のWp3の合体を経た水塊は繰り返し現れ、ある吐水タ
イミングでの水塊とその次の吐水タイミングでのWp3
の合体を経た水塊とはほぼ同じ速度(最大速度)で移動
(吐水)されることになる。
【0084】次に、洗浄水をお尻吐水孔31から連続流
として噴出する場合と脈動流として噴出する場合との洗
浄強度の相違について説明する。脈動流は、従来の連続
流と比較して、同一水量で2倍以上の洗浄強度を有す
る。これは、以下の理由と考えられる。質量mの洗浄水
が速度Vで壁面に衝突したときのエネルギEは、式
(1)により表わされる。 E=(1/2)mV2 …(1)
【0085】また、そのとき壁面に衝突したときの力を
fとし、速度Vの洗浄水流が0まで減速して消滅するま
での時間をΔtとすると、エネルギEは、力積により式
(2)により表わされ、さらにそのときの力は、減速度
をαとすると、式(3)により表わされる。 E=fΔt …(2) f=mα …(3)
【0086】図19は、洗浄水流が壁面に衝突する状態
を説明する説明図である。図19において、水塊がW
1、W2、W3の3つの形態となっている場合を想定
し、これらの各々の形態の洗浄水流の洗浄強度について
検討する。ここで、水塊W1は断面積S1で長い形態で
あり、水塊W2は断面積S2がS1の2倍であって短い
形態であり、水塊W3は断面積がS1で長さが水塊W1
の1/2の形態である。これらの形態において、水塊W
1が連続流に相当し、水塊W3が脈動流に相当する。こ
のとき、水塊W1と水塊W2とが壁面に衝突して消滅す
るまでの時間Δt1とΔt2は、Δt1>Δt2とな
る。このことは、式(3)から減速度αが大きく、短時
間で大きな力で水塊が消滅していることを意味し、水塊
W1の力f1と水塊W2の力f2は、f1<f2とな
る。したがって、連続している水塊W1より、短時間で
消滅する水塊W2の方が人体局部に加わる力f2が大き
いことが分かる。このことから、脈動流に相当する水塊
W3は、水塊W1と比べて質量がm/2であるが、力f
3がf1と比べてさほど減少しない。したがって、脈動
流として噴出した場合に、連続流より水量を少なくする
ことができるうえに、人体局部に衝突するときの力はさ
ほど減少することがなく、人体局部に付着している汚れ
を強い力で除去することができる。
【0087】次に、人体局部の洗浄感を表わす指標であ
る洗浄強度と量感との関係を説明する。図20は、お尻
吐水孔31に対向して所定距離Laだけ隔てて圧力セン
サ板Psを設置した状態を説明する説明図である。上記
所定距離Laは、人体局部が洗浄される位置に設定す
る。圧力センサ板Psは、2次元のマトリックス状に検
出部を備え、各検出部の検出値をそれぞれ独立に出力す
るセンサである。このような装置を用いて、洗浄ノズル
24のお尻吐水孔31から洗浄水を吐水させたときの各
検出部から出力される圧力のピーク値を測定した。その
結果を図21に示す。図21は、圧力センサ板Ps上の
位置と圧力のピーク値とを3次元的に表現した説明図で
あり、X−Y平面は圧力センサ板Psの位置、つまり被
検出体の位置を表しており、Z軸は各位置での圧力のピ
ーク値を表している。図21(A)は、吐水孔に至る洗
浄水が流量1.1L/min.の連続流の時の測定結果
であり、図21(B)は吐水孔に至る洗浄水が流量0.
5L/min.の脈動流の時の測定結果を表す。図21
において、洗浄感を左右する要素である洗浄強度は圧力
のピーク値にて表され、一方量感は全体的な圧力分布で
ある山の体積で示される。
【0088】これらを比較すると、図21(B)の脈動
流は、図21(A)の連続流に比べて洗浄水量が半減し
ているにもかかわらず、圧力のピーク値は大幅に増大し
ている。これは被水体への洗浄圧力が大きいことを示し
ており、すなわち洗浄強度が大きいことを示している。
図22は、検出部の1つから検出される検出信号を表わ
すタイミングチャートであり、図22(A)が連続流、
図22(B)が脈動流を示す。脈動流は、連続流に比べ
てピーク値が高く強度が大きいことが分かる。また全体
的な圧力分布である山の体積も図21(A)の連続流に
比べて図21(B)の脈動流の方がはるかに大きい。こ
のように、脈動流の方が連続流と比較して極めて量感が
大きく、洗浄感という官能的な要素を数値に具現化すれ
ば、脈動流による洗浄力が優れていることが分かる。
【0089】このような脈動流による実際の洗浄量を連
続流と比較して調べた結果を図23に示す。図23は、
平均吐水量と洗浄量との関係を示すグラフであり、つま
り人体局部に付着している汚れを洗浄水で落とす際に、
必要とする平均吐水量を示している。図23から分かる
ように、人体局部に付着した洗浄量D1の汚れを落とす
のに、脈動流は、連続流の洗浄水吐水しかできない従来
品に比べ約1/4の水量でよいことが分かった。このよ
うに、脈動流の洗浄水を吐水孔から吐水させる方法によ
り、洗浄強度と使用者の洗浄感を飛躍的に高めることが
できる。
【0090】また、脈動流の洗浄水を吐水すると洗浄強
度が増して人体局部への刺激が大きくなるが、これは次
のように説明できる。
【0091】一般に、人体表皮の同一箇所に感知可能な
刺激(本実施例では図19に示す水塊W1、W2、W3
の衝突による刺激)が意図的に繰り返し加えされた場
合、この繰り返し間隔(本実施例では脈動周期MT)が
長く繰り返し周波数が低いと、人は、この繰り返された
刺激を振動刺激としてその都度感知する。その一方、繰
り返し間隔が短く繰り返し周波数が高いと、人は、この
意図的に繰り返された刺激を振動刺激とは感知できず、
連続的な刺激として感知する。つまり、人体表皮への繰
り返し刺激に対しては、振動刺激としては感知できない
不感帯周波数がある。
【0092】ここで、局部及びその周辺の洗浄におい
て、刺激を受ける人体表皮から見て洗浄水の流量または
流速の大小を繰り返し吐水(以下、繰り返し吐水とい
う)したと仮定すると、吐水からの刺激の大小が繰り返
されることになるので、この繰り返し吐水は洗浄箇所表
皮に振動刺激として現れる。これが約5Hz以上の繰り
返し周波数であると、この意図的な繰り返し吐水に基づ
く振動に知覚が追従できなくなる。このため、意図的な
繰り返し吐水であるという吐水態様を意識できなくな
り、無用な振動による不快感が減少される。繰り返し吐
水の繰り返し周波数が高まるほど、意図的な繰り返し吐
水に基づく振動に対しての知覚の追従が困難となるの
で、この繰り返し周波数が約10Hz以上の繰り返し周
波数になると、通常の知覚を有する大多数の人では意図
的な繰り返し吐水に基づく振動に対して知覚がほとんど
追従できなくなる。よって、意図的な繰り返し吐水であ
るという吐水態様の認識が困難となり、無用な振動によ
る不快感もより減少される。
【0093】また、約15Hz以上の繰り返し周波数で
は、人体表皮の平均的な部位であっても振動認識周波数
を超えるので、通常の知覚を有する大多数の人において
不快感が感じられなくなる。さらに、約20Hz以上の
繰り返し周波数では、人体表皮の敏感な部位であっても
振動認識周波数を超えるので、通常の知覚を有する大多
数の人において連続的で良好な洗浄感を確実に感じるこ
とができる。その上、約30Hz以上の繰り返し周波数
では、人体表皮の神経が特に集中した敏感な部位であっ
ても、振動認識周波数を超えるので、通常の知覚を有す
る大多数の人においてソフトな洗浄感を得ることができ
る。そして、繰り返し周波数を商用周波数と一致させる
(商用周波数50Hz地域では50Hz、商用周波数6
0Hz地域では60Hz)と、駆動が容易となるという
効果も加わる。このように周波数を高くするほど、連続
的な洗浄感をより確実に感じながら洗浄を行うことがで
き、よりソフトな洗浄感を求める使用者に十分対応させ
ることができる。
【0094】これらのことから、本実施例の脈動流の洗
浄水吐水という意図的な繰り返し吐水を行うに当たり、
繰り返し周波数が高まるほど、意図的な繰り返し吐水に
基づく振動に対しての知覚の追従が困難となる。そし
て、この繰り返し周波数が約10Hz以上の繰り返し周
波数になると、通常の知覚を有する大多数の人では意図
的な繰り返し吐水に基づく振動に対して知覚がほとんど
追従できなくなる。よって、意図的な繰り返し吐水であ
るという吐水態様(脈動流の洗浄水吐水)の認識が困難
となり、本実施例では、図19に示す水塊の衝突を受け
る使用者、即ち通常の知覚を有する大多数の人は、この
水塊の衝突が間欠的であると感知できず、あたかも連続
流の洗浄水であるかのように感じさせることができるの
である。
【0095】図を用いて説明すると次のようになる。図
24は、周波数の増減により洗浄強度が異なる理由を説
明する説明図であり、図24(A)は、図24(B)よ
り同じ洗浄水量でも、脈動周期MTが大きいためにこの
周期で定まる脈動周波数fmt(=1/MT)が小さい
状態を示している。図24(A)と図24(B)とで
は、周期の長短により上記の水塊の合体程度に大小がで
きる。よって、脈動周期MTが大きく脈動周波数の小さ
い図24(A)の場合が、1回の衝突時における水塊の
質量が大きくなって、衝突エネルギが大きくなり、人体
への刺激が強い。すなわち、図24(A)の場合には、
人体は、大きな刺激を1度に受けて強い刺激を感じる。
また、図24(A)のように脈動周波数fmtが上記の
不感帯周波数を下回る或いはこの周波数に近い周波数と
なると、人体は、強い刺激感をその都度感知しながら繰
り返し受けるので、より強い刺激感を感じる。
【0096】その一方、図24(B)のように、脈動周
波数fmtが大きく上記の不感帯周波数内の周波数であ
れば、小さい刺激を上記したように連続的な刺激として
受けるので、刺激をあまり感じない。このことから、同
じ水量であっても、周波数が大きくなり、水塊が大きく
なるほど人体への刺激(洗浄強度)を強く感じることに
なる。図25は、脈動流の脈動周波数および洗浄強度と
人体局部の刺激に伴う不快感との関係を示すグラフであ
る。人体皮膚は、周波数が5Hzを越えると連続流に近
づいて柔らかな洗浄と感じることができ、約30Hzを
越えると、ほとんど連続流との区別がつかなくなる。し
たがって、脈動流の周波数は、5Hz以上であることが
好ましく、さらに波動発生機器74の脈動発生コイル7
4cの励磁制御に商用電源の周波数をそのまま利用する
ことを考慮すると、50〜60Hzを上限とすれば、制
御のための構成を簡単にすることができる。
【0097】この不感帯周波数の観点から、本実施例に
あっては、脈動発生コイル74cの励磁周期、即ち脈動
周期MTをその脈動周波数ftm(=1/MT)が約5
Hz以上の範囲となるよう可変制御することとし、上記
の水塊による人体局部への刺激が連続的な刺激として感
知されるようにした。つまり、洗浄水水塊を人体局部の
洗浄箇所に脈動周期MTで間欠的にしか吐水しないよう
にして洗浄水水量を低減しているにも拘わらず、使用者
には、この洗浄箇所に連続的な洗浄水の吐水を受けてい
るような洗浄感を与えることができる。よって、本実施
例によれば、洗浄水流量を流調弁65により約500c
c/min程度にまで低減しても、洗浄能力並びに洗浄
感を高めることができるので、最大この流量の洗浄水を
吐水するだけでよい。つまり、節水の実効性を高めつ
つ、使用者には連続した吐水を受けているような感じを
与えることができる。
【0098】脈動周波数ftmを上記の不感帯周波数に
設定しても、洗浄水の連続的な吐水から受ける吐水連続
感は、脈動周波数ftmが低いほど薄れがちであるとい
える。よって、脈動周波数ftmを上記範囲内で意図的
に低くして、使用者の洗浄感(刺激感)に僅かな間欠的
な感じを持たせることもできる。
【0099】また、次のように脈動周波数制御とコイル
励磁のデューティ比制御とを行うこともできる。図26
は、洗浄水の脈動流における脈動周波数をお尻洗浄とビ
デ洗浄で異なるようにした制御例を説明する説明図、図
27は、脈動周波数ftmとデューティ比Dtmの制御
例を説明する説明図である。
【0100】図26に示すように、お尻洗浄の際とやわ
らか・ビデ洗浄の際の脈動周期MTA、MTVに大小を
設け、それぞれの脈動周波数ftmを異なるものとでき
る。しかも、お尻洗浄の際の脈動周波数ftmAをやわ
らか・ビデ洗浄の際の脈動周波数ftmVより低くし
た。この場合、両周波数とも上記した不感帯周波数の範
囲である。例えば、お尻洗浄では50Hz、柔らか洗浄
で60Hz、ビデ洗浄では70Hzのように周波数を変
更することにより、或いは、お尻洗浄では約71Hz、
柔らか洗浄で約71Hz、ビデ洗浄では約83Hzのよ
うに周波数を変更することにより、以下に説明するよう
に、ビデ洗浄などがお尻洗浄より水勢の小さい洗浄形態
となるように周波数を設定してもよい。
【0101】この図26に示すような洗浄対象に応じた
周波数制御により、図24で説明したように、お尻洗浄
時には、図24(A)に近い吐水形態となることから、
充分な刺激感を連続して受けているような洗浄となり、
ハードな洗浄感を得ることができる。また、やわらか・
ビデ洗浄時には、図24(B)の吐水形態となることか
ら、比較的弱い刺激感を連続して受けているような洗浄
となり、ソフトな洗浄感を得ることができる。特に、や
わらか・ビデ洗浄では、脈動周波数ftmを高くするこ
とで間欠的な刺激感を与えないようにするので、ソフト
な洗浄感をより連続的なものとできる。しかも、このよ
うな多様な洗浄感を達成するに当たって、既述したよう
に流量低減を図ることができる。
【0102】また、図中に点線或いは一点鎖線で示すよ
うに、脈動周波数ftmをそれぞれの洗浄で同一として
おいて、各洗浄で、デューティ比Dtmを変更制御する
ことができる。デューティ比Dtmはコイル励磁力、即
ち波動発生機器74におけるプランジャ74bの移動速
度並びに移動量を定めるので、脈動の振幅を増減制御で
きる。よって、図16に示した洗浄水量と流速をデュー
ティ比Dtmに応じて制御できる。この結果、各洗浄
で、図24に示した水塊質量を変更制御でき、ハード・
ソフトの洗浄感でありながら、刺激感の強弱調整と洗浄
力調整を行うことができる。しかも、流速変更に基づい
て、水勢の強弱をも調整できる。換言すれば、使用者の
所望する洗浄感や水勢を脈動流のデューティ比制御や周
波数制御で確保できることから、既述したように洗浄水
水量の大幅な低減を図ることができる。しかも、このデ
ューティ比制御と周波数制御の両制御は、流調弁65に
よる流量調整とは無関係なため、流調弁65での流量調
整では調整できないような水勢調整を、上記両制御を通
して実現できる。つまり、デューティ比制御と周波数制
御により、流調弁65の流量調整を補完できる。そし
て、流調弁65による流量調整を通した水勢等の調整と
上記両制御を通した水勢等の調整の併用により、きめ細
かな水勢等の調整を行うことができる。
【0103】図27に示すように、脈動周波数ftmを
制御したり、脈動周波数ftmとデューティ比Dtmを
同時に制御することもできる。即ち、図27(a)に示
すように、洗浄継続中の各洗浄期間TA、TB、TC・
・・において、デューティ比Dtmを値DtmLとして
おき、それぞれの洗浄期間で脈動周波数ftmを増減制
御する。例えば、図示するように、脈動周波数ftmを
ftmS、ftmM、ftmL(ftmS<ftmM<
ftmL)のいずれかの値に可変制御する。或いは、2
段階や4段階以上、もしくは無段階に増減制御してもよ
い。こうすれば、ハード・ソフトの洗浄感の洗浄期間ご
との推移や刺激感の強弱推移を図ることができ、洗浄感
の多様化を図ることができる。
【0104】また、周波数が相違すれば、上記の水塊の
衝突の連続間隔が異なることから、水塊の衝突で得られ
る水勢の強弱も周波数制御で調整できる。しかも、この
周波数制御は、流調弁による流量調整とは無関係なた
め、流調弁での流量調整では調整できないような水勢調
整を、周波数制御を通して実現できる。つまり、周波数
制御により、流調弁の流量調整を補完できる。そして、
流調弁による流量調整を通した水勢等の調整と周波数制
御を通した水勢等の調整の併用により、きめ細かな水勢
等の調整を行うことができる。
【0105】この場合、各洗浄期間は同じ時間間隔であ
ってもよく、洗浄期間ごとに異なる時間間隔であっても
よい。しかも、異なる時間間隔とする場合には、時間間
隔が規則的に変わってもよく、不規則的に変わってもよ
い。例えば、時間間隔をtS、tM、tL(tS<tM
<tL)とした場合、tS→tM→tL→tS→tM・
・・のように規則的に変化してもよく、tL→tS→t
S→tM→tL→tM・・・のように不規則的に変化し
てもよい。なお、このような不規則的な時間間隔変化
は、乱数発生プログラムをロードして、その発生した乱
数に応じて各時間間隔を定めるようにすればよい。
【0106】また、図27(b)に示すように、洗浄継
続中の各洗浄期間TA、TB、TC・・・において、デ
ューティ比Dtmを増減制御する。例えば、図示するよ
うに、デューティ比DtmをDtmS、DtmM、Dt
mL(DtmS<DtmM<DtmL)のいずれかの値
に可変制御する。或いは、2段階や4段階以上、もしく
は無段階に増減制御してもよい。加えて、脈動周波数f
tmを上記したように各洗浄期間ごとに増減制御する。
こうすれば、洗浄感をより一層多様化することができ
る。この場合であっても、各洗浄期間を同じ時間間隔と
したり、規則的或いは不規則的に変更してもよい。
【0107】次に、上記構成を有する本実施例の局部洗
浄装置10が実行する洗浄動作について説明する。図2
8は、この実施例の局部洗浄装置の洗浄動作を表すタイ
ムチャートである。
【0108】図示するように、本局部洗浄装置は、便座
18(図1参照)に使用者が着座して着座センサSS1
0(図7参照)がオンすると、このオン信号を受けて、
まず、入水側弁ユニット50の電磁弁55(図2参照)
を開弁制御する。これにより、装置内への洗浄水の給水
が開始されるので、洗浄に先立つ洗浄水の予備的昇温の
ためにヒータ61をフル通電する。なお、着座直後にな
された電磁弁オンにより給水された洗浄水は、図示しな
い配管を通して、便器ボール部に排出されたり、ノズル
ヘッド表面に排出されてヘッド掃除に用いられたりす
る。
【0109】こうして着座直後になされた給水・温水化
は、センサオンから所定時間経過後、或いは、出水温セ
ンサSS16bが所定温度(例えば、局部洗浄時の温水
温度より2〜3度程度低い温度)を検出した時点で停止
される。つまり、電磁弁の閉弁、ヒータの通電低減(例
えば、フル通電の30%程度)を行い、その後の洗浄ボ
タンの操作を待機する。このように着座後の短時間のヒ
ータフル通電その後の通電低減を行って、洗浄水を予備
的に温水化しその温度を維持するので、その後の局部洗
浄時にはヒータの急速な通電制御を必要としない。ま
た、既述したように本実施例では洗浄水流量の低減効果
が高いことから、ヒータ通電に際して省電力化を図るこ
とができる。
【0110】その後、洗浄ボタン、例えばお尻洗浄ボタ
ンSWbがオンされると、電磁弁55を開弁制御してお
尻洗浄のための洗浄水給水を行うと共に、ヒータ61を
フル通電する。ヒータ61は、停止ボタンSWaが操作
されるまで継続してフル通電とされる。電磁弁の閉弁に
ついては後述する。
【0111】この電磁弁55の開弁により、局部洗浄に
先立って、ノズルヘッド25を自己洗浄するノズル前洗
浄を行う。つまり、電磁弁55の開弁に続いて、洗浄ノ
ズル24での洗浄水給水先を流路切換弁71によりお尻
流路に切り換え、次いで流調弁65により洗浄水の給水
流量を設定する。これにより、調整された流量の洗浄水
が洗浄ノズル24に送られてお尻吐水孔31から吐水さ
れる。この際、洗浄ノズル24は待機位置にあり、ノズ
ルヘッド25はノズル保持部41b先端のチャンバ41
c(図8参照)で覆われているので、このチャンバ41
cでの跳ね返り水によりノズルヘッド25が洗浄され
る。このノズル前洗浄における通水により、ヒータのフ
ル通電によって既に適正な温度に温水化済みの洗浄水
が、ノズルヘッド25に至る間の管路に行き渡る。
【0112】このため、後述する本洗浄開始当初から、
適正温度の洗浄水を局部に吐水でき、低温洗浄水の吐水
による不快感を与えることがない。また、流調弁65よ
り下流側の流路切換弁71の流路切換を先に行い、その
後に流調弁65の流量設定を行う。よって、流路切換弁
71を洗浄水の水圧がほとんどかかっていない無負荷状
態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ71k
に過負荷をかけることが無く好ましい。なお、このノズ
ル前洗浄時にあっても、波動発生機器74を駆動して脈
動流の洗浄水でノズルヘッド25を自己洗浄するように
することもできる。この場合、コイルの脈動周波数ft
mは、不感帯領域内であっても不感帯領域外であっても
よい。
【0113】このノズル前洗浄は、所定時間経過した時
点で停止される。つまり、図示するように、まず、上流
側の流調弁65を止水状態として洗浄ノズル24の側に
洗浄水が流れないようにする。その後に、流路切換弁7
1を止水して、ノズル前洗浄を停止する。このように、
ノズル前洗浄の停止時にあっても、流路切換弁71を無
負荷状態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ
71kに過負荷をかけることが無く好ましい。
【0114】このノズル前洗浄に続いては、ノズル装置
40のノズル駆動モータ42を正転駆動制御して、洗浄
ノズル24をお尻洗浄位置に待機位置から進出させる。
このノズル進出の間にも、電磁弁は開弁状態にあり、こ
の際に給水される洗浄水は図示しない管路から便器ボー
ル部に捨て水される。なお、この捨て水のための管路
を、流調切換弁とした流調弁65に接続し、当該弁にて
管路切換を行ってもよい。また、この捨て水を機能水
(遊離塩素水)を生成する図示しない機能水ユニットに
供給し、この生成した機能水をチャンバ41cから吐水
されるようにすることもできる。こうすれば、この機能
水により、洗浄ノズル24の筒状部24aをノズル進出
の際に殺菌洗浄することができる。このノズル進出まで
の動作においては、操作された洗浄ボタンに応じて流路
切換弁の切換先、洗浄ノズルの進出先(ビデであればビ
デ洗浄位置)が異なるだけであり、やわらか洗浄ボタン
やビデ洗浄ボタンについても同様である。
【0115】こうして洗浄位置への洗浄ノズル24の進
出が完了すると、局部の本洗浄(お尻洗浄、やわらか洗
浄、ビデ洗浄)を操作ボタンに応じて実行する。図示す
るようにお尻洗浄では、お尻吐水孔31からの脈動流の
洗浄水吐水を開始すべく、以下のソフトスタートを行
う。まず、流路切換弁71をお尻流路に切り換え、次い
で流調弁65により、その際の流量を設定済みの設定水
勢に対応した流量までゼロから漸増調整する。なお、設
定水勢対応の流量より所定量だけ少量の流量からこの設
定水勢対応流量に漸増調整するようにすることもでき
る。
【0116】このソフトスタートでは、波動発生機器7
4による脈動流の生成も開始する。つまり、電子制御装
置80はパルス信号を出力して脈動発生コイル74cを
繰り返し励磁し、プランジャ74bを往復動させる。こ
れにより、既述したように脈動流を発生させる。お尻洗
浄であれば、図26に示すようにビデ・やわらか洗浄よ
り小さな脈動周波数ftmで、コイル励磁を繰り返す。
このコイル励磁にあっても、パルス信号のデューティ比
Dtmを設定済みの設定水勢に応じたデューティ比に徐
々に近づくよう漸増制御する。こうしたソフトスタート
により、設定水勢が大きい場合であっても、吐水量が少
なく、かつ、小さなデューティ比Dtmに基づいた脈動
流であるソフトな吐水から徐々に設定水勢の吐水とでき
るので、使用者に違和感や不快感を与えることが無く好
ましい。こうしたソフトスタートが完了すれば、設定水
勢での吐水が、脈動流の洗浄水の吐水で行われ、本洗浄
に移行する。この本洗浄では、その後に水勢が変更設定
されれば、この変更された水勢となるように流調弁での
流量調整や波動発生機器74での脈動流制御(デューテ
ィ比制御、脈動周波数制御)がなされる。
【0117】ところで、一般に、低流量の洗浄水を流量
調整する際、流量の細かな調整はその調整精度の信頼性
に欠ける。このことは、水勢を流量調整で行う従来の局
部洗浄装置では低流量化を実現できない理由の一つであ
る。しかしながら、この実施例の局部洗浄装置では、脈
動流制御(デューティ比制御、脈動周波数制御)を通し
て既述したように水勢調整ができることから、低減した
洗浄水流量でありながら、水勢調整できるという利点が
ある。よって、本実施例の局部洗浄装置10では、最低
水勢に近い水勢から最大水勢に近い水勢に大きく変更設
定されたような場合は、流量調整と脈動調整を併用して
実施し、その他の場合には、脈動流制御で水勢調整を図
るようにした。つまり、水勢変更程度を水勢強弱設定ボ
タンSWhu、SWhdの操作状況から読み取り、その
結果に応じて脈動流制御(デューティ比制御、脈動周波
数制御)を行う。具体的には、水勢強設定されれば、デ
ューティ比Dtmを増大制御する、或いは脈動周波数f
tmを低減制御する、もしくはこの両者の制御を併用す
る。水勢弱設定はこの逆である。
【0118】この際、波動発生機器74に至る実際の洗
浄水流量を図示しない流量センサで検出し、この検出流
量と水勢変更設定量とに基づいて脈動流制御(デューテ
ィ比制御、脈動周波数制御)を行うので、より細かな水
勢調整が可能である。この場合、圧力センサを流量セン
サとして代用したり、流量設定に関与するスイッチ等か
らの信号などにより間接的にその流量を検出してもよ
い。また、流量センサは波動発生機器74の上流に配置
する構成のほかに、洗浄水水量が検出できる位置にあれ
ばどこに配置されてもよく、各ユニットのレイアウトに
応じて配置すれば製品のコンパクト化を図ることができ
る。
【0119】本洗浄は、停止ボタンの操作により次のよ
うに終了し、その後、ノズル後退・ノズル後洗浄が行わ
れる。即ち、停止ボタンが操作されると、そのボタンO
N信号を受けて、ノズルからのお尻洗浄吐水を停止すべ
く、まず、流調弁65で流量をゼロとし、次いで、流路
切換弁71の止水並びにコイル励磁のパルス信号の出力
停止、ヒータの通電低減を行う。このヒータ通電低減
は、着座センサSS10がオフとなるまで維持される。
よって、洗浄水は着座センサオフとなるまでの間に亘っ
て不用意にその温度が低下せず、適正温度よりわずかに
低い上記温度に保温される。このため、便座に着座した
まま局部洗浄が繰り返された場合には、速やかに洗浄水
を適正温度に温水化でき、好ましい。また、このお尻洗
浄吐水停止の際も、流調弁・流路切換弁の順に弁駆動し
て、流路切換弁を無負荷状態に近い状態で駆動できるの
で、その駆動モータ71kに過負荷をかけることが無く
好ましい。なお、上記の本洗浄(お尻洗浄本洗浄)は、
使用者が便座から離れて着座センサSS10が停止ボタ
ン操作以前にオフしたり、お尻洗浄中にやわらか・ビデ
の各洗浄ボタンが操作された場合にも同様に終了する。
【0120】流路切換弁71が止水となると、ノズル装
置40のノズル駆動モータ42を逆転駆動制御して、洗
浄ノズル24を待機位置に後退復帰させる。このノズル
後退の際、電磁弁55は開弁状態にあり、この間の給水
洗浄水は既述したように捨て水等される。そして、この
給水洗浄水を機能水ユニットにて機能水とし、これをチ
ャンバ41cから吐水されれば、機能水により、ノズル
後退の際にあっても洗浄ノズル24の筒状部24aを殺
菌洗浄することができる。
【0121】洗浄ノズル24が待機位置に復帰すると、
ノズル後洗浄を開始すべく、流路切換弁71をお尻流路
に切り換え、次いで流調弁65により、その際の流量を
設定する。これにより、調整された流量の洗浄水が待機
位置にある洗浄ノズル24に送られてお尻吐水孔31か
ら吐水されるので、ノズル前洗浄と同様に、チャンバ4
1cでの跳ね返り水によりノズルヘッド25が洗浄され
る。なお、上記したように機能水をノズル後退時にかけ
るものであれば、このノズル後洗浄における通水によ
り、ノズル後退時にノズルヘッド25にかけられた機能
水は洗い流される。このノズル後洗浄にあっても、流調
弁・流路切換弁の順に弁駆動して、流路切換弁71を無
負荷状態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ
71kに過負荷をかけることが無く好ましい。
【0122】このノズル後洗浄が所定時間行われると、
次回以降の局部洗浄に備えるべく、電磁弁55を閉弁制
御して、局部洗浄装置10への洗浄水給水を停止する。
その後、流調弁65より下流の給水管路並びに下流の流
路切換弁71、洗浄ノズル24に残留する洗浄水を排出
する。つまり、上記の電磁弁55の閉弁を受けて、波動
発生機器74の脈動発生コイル74cを小さなデューテ
ィ比Dtmで繰り返し励磁し、プランジャ74bを往復
動させる。この場合、脈動周波数ftmは低周波数でよ
い。このようにプランジャ74bが往復動している際、
波動発生機器74には洗浄水が給水されていないが、プ
ランジャ74bの往復動により、上流側の洗浄水のシリ
ンダ74a内への吸込、その吸い込んだ洗浄水の送り出
しがなされる。よって、上記の下流の給水管路等に残存
している洗浄水は、プランジャ74bの送り出す洗浄水
により徐々に下流に送られ、流路切換弁71の切換流路
(この場合は、お尻流路)を経て、待機位置のノズルの
お尻吐水孔から便器ボール部に排出される。こうして、
残存洗浄水の排出が完了すると、流調弁65並びに流路
切換弁71の止水により、一連のお尻洗浄動作を終了す
る。なお、このノズル後退以降の動作においては、操作
された洗浄ボタンに応じて流路切換弁71の切換先、洗
浄ノズル24の進出先(ビデであればビデ洗浄位置)が
異なるだけであり、やわらか洗浄ボタンやビデ洗浄ボタ
ンについても同様である。
【0123】本実施例では、波動発生機器74を用いた
残存洗浄水の排出を完了させるに際し、次のようにし
た。
【0124】波動発生機器74の脈動発生コイル74c
を通電励磁してプランジャ74bを移動させると、この
プランジャ74bの移動に伴ってコイルには逆起電力が
発生し、通電電流が一旦減少するいわゆるボトム現象が
起きる。このボトム現象はコイルを流れる電流の波形と
して現れるので、電流波形とプランジャ74bの移動の
様子とは相関関係にある。ところで、上記した残存洗浄
水排出の際に脈動発生コイル74cを励磁させた状況を
考えると、残存洗浄水が完全に排出された前後では、プ
ランジャ74bのシリンダ74a内に洗浄水がある状況
下でのプランジャ移動と、洗浄水がない空の状況下での
プランジャ移動が起きる。シリンダ74a内の洗浄水
は、プランジャ74bの移動抵抗として働くので、コイ
ル励磁を同一条件化(本実施例では、同一デューティ比
Dtm)で行えば、洗浄水がない空の状況下では、それ
以前よりプランジャ74bは速く移動する。よって、シ
リンダ74a内に洗浄水がある状況下でのプランジャ移
動から洗浄水がない空の状況下でのプランジャ移動に推
移した時点、即ち残存洗浄水が完全に排出された時に
は、ボトム現象の発現の様子が変化する。よって、本実
施例の局部洗浄装置10では、このボトム現象をボトム
検知回路81(図7参照)で検知して残存洗浄水の排出
完了を検出し、上記したように流路切換弁71の止水を
経て一連のお尻洗浄動作を終了するようにした。
【0125】図29は、脈動発生コイル74cについて
のボトム検知回路81の一例を表す回路図、図30は、
脈動発生コイル74cの通電励磁の際の電流波形の様子
を説明するための説明図である。
【0126】図29に示すように、ボトム検知回路81
は、コンパレータ82とコンデンサ83と抵抗84を有
し、この抵抗84とコンデンサ83とでCRフィルタ回
路からなる遅延回路を構成して備える。CRフィルタ回
路は入力した信号を抵抗84とコンデンサ83とで定ま
る遅延程度で遅延して出力する。よって、このボトム検
知回路81は、マイナス側端子に入力される入力信号
(通電電流を反映して検出抵抗85に発生する電圧)と
この入力信号を遅延した遅延信号とを、コンパレータ8
2での演算処理に処す。これにより、このボトム検知回
路81からは、プランジャ74bの移動完了を表すパル
ス状の信号(ボトム検出信号)が以下のようにして電子
制御装置80に出力される。
【0127】ノズル後洗浄の完了後、脈動発生コイル7
4cのスイッチングトランジスタ86には、図示する所
定周期(デューティ比Dtm一定)のパルス信号が出力
され、各パルスに対応してコイルに通電が開始される。
あるパルスに着目すると、時間の経過と共に脈動発生コ
イル74cに流れる電流は上昇する。そして、パルスに
よる通電開始から所定時間経過すると、プランジャ74
bは移動を始め、このプランジャ74bの移動に伴って
脈動発生コイル74cには逆起電力が発生するので、図
30に実線で示すように、通電電流が一旦減少するボト
ム現象が起きる。この電流波形(原信号波形)が電圧と
してコンパレータ82のマイナス側端子に入力される。
一方、プラス側端子には、図中点線で示すような遅延信
号がCRフィルタ回路で生成されて入力される。このた
め、コンパレータ82ではこれら信号がその入力端子の
極性を考慮して演算されるので、図示するようにパルス
状の信号が生成される。
【0128】このパルス状の信号(ボトム検知信号)
は、上記のスイッチングトランジスタ86に出力された
各パルスに対応して生成され、電子制御装置80に上記
所定周期で入力される。ところが、上記したように、残
存洗浄水が完全に排出された時には、プランジャ74b
の移動速度が速いことから、この時のボトム検知信号
は、それ以前と異なる周期で入力されることになる。よ
って、この信号入力の状況から、電子制御装置80は残
存水排出完了を判断して、それ以降のパルス出力を停止
し、一連のお尻洗浄動作を終了させる。なお、このよう
なボトム検知結果により残存水排出を完了させるほか、
残存水排出のためのコイル励磁から所定時間経過した時
点でパルス出力を停止してコイル励磁を止め、洗浄動作
を終了させることもできる。
【0129】本実施例の局部洗浄装置10では、以下の
ようにしてムーブ洗浄を行うことができる。例えば、洗
浄ノズル24をセンタ位置を中心に前後往復動させなが
ら、ノズル位置に応じて脈動周波数ftm或いはデュー
ティ比Dtmを変更制御する。この際、センタ位置周辺
では、脈動周波数ftmを高めてソフト感・連続感を高
め、前進端と後退端近傍では、脈動周波数ftmを低く
してハード感を強調させることができる。また、デュー
ティ比Dtmもセンタ位置周辺で小さくすれば、ソフト
感を強調できる。この逆に、センタ位置周辺では、脈動
周波数ftmを低くしてハード感と刺激感を高め、前進
端と後退端近傍では、脈動周波数ftmを高くしてソフ
ト感を強調させることもできる。あるいは、ノズル位置
とは非同期に脈動周波数ftm、デューティ比Dtmを
制御することもできる。
【0130】本実施例の局部洗浄装置では、以下のよう
にしてマッサージ洗浄を行うことができる。マッサージ
洗浄期間を同じ時間間隔の洗浄期間TA、TB、TC・
・・の繰り返しとしてこの時間間隔をマッサージ周期と
し(Dtmは固定、例えばDtm=DtmL)、図27
(a)に示すように、このマッサージ周期で脈動周波数
ftmを規則的に増減制御する。例えば、脈動周波数f
tmをftmS→ftmM→ftmL→ftmM→ft
mS・・・(ftmS<ftmM<ftmL)のように
マッサージ周期ごとに規則的に変化させる。また、ft
mS→ftmM→ftmL→ftmS→ftmM・・・
のようにすることもできる。或いは、このような脈動周
波数ftmの規則的な増減制御に加え、図17(b)に
示すように、同じ時間間隔の洗浄期間TA、TB、TC
・・・の各マッサージ周期ごとに、デューティ比Dtm
を規則的に可変制御する。例えば、デューティ比Dtm
をDtmL→DtmM→DtmS→DtmM→DtmL
・・・(DtmS<DtmM<DtmL)のように洗浄
期間ごとに規則的に変化させる。また、DtmS→Dt
mM→DtmL→DtmS→DtmM・・・のようにす
ることもできる。
【0131】このマッサージ周期は、その逆数で定まる
周波数が既述した不感帯周波数範囲外(約5Hz未満)
となるようにされている。これにより、上記したように
デューティ比Dtmや脈動周波数ftmに伴う洗浄感や
刺激感の推移は、使用者に明確に感知される。よって、
吐水から受ける洗浄感や刺激感を規則的に繰り返し使用
者に与えることができると共に、その規則的な繰り返し
も種々の形態を採ることができる。また、デューティ比
Dtmを増大制御して刺激を高めたときに、脈動周波数
ftmを低減制御すれば刺激の連続感が薄れるので、強
い刺激を強調できる。よって、刺激感の強弱を増幅で
き、排便を促進することができる。
【0132】また、上記したマッサージ洗浄において、
各洗浄期間TA、TB、TC・・・をそれぞれ異なるも
のとする。こうすれば、それぞれの洗浄期間でのデュー
ティ比Dtm或いは脈動周波数ftmに伴った刺激の認
知時間を変化させるので、刺激感の受け方が多様化し、
より効果的に排便感を促すことができる。また、音楽や
光、臭い(アロマテラピー)などの五感と同期させるこ
とにより、リラックスできる空間を提供でき、ひいては
排便感をさらに促すことができる。
【0133】本実施例の局部洗浄装置10では、吐水か
ら受ける洗浄感や刺激感を不規則的に変化させて安らぎ
感や心地よさなどを与えるゆらぎ洗浄を以下のようにし
て行うことができる。ゆらぎ洗浄期間を同じ時間間隔の
洗浄期間TA、TB、TC・・・の繰り返しとしてこの
時間間隔をゆらぎ周期とし、デューティ比Dtmや脈動
周波数ftmもしくはその両者を、このゆらぎ周期で不
規則的に増減制御する。例えば、デューティ比Dtmや
脈動周波数ftmを不規則変化させるに際して、乱数発
生プログラムをロードして乱数を発生させ、得られた乱
数でデューティ比Dtmや脈動周波数ftmを定める。
このようにすれば、デューティ比Dtmは、DtmS→
DtmM→DtmS→DtmS→DtmL→DtmS・
・・のように、脈動周波数ftmは、ftmM→ftm
S→ftmM→DtmL→DtmS→DtmL・・・の
ように一定のゆらぎ周期で推移する。或いは、この両者
が無関係に推移する。
【0134】このようにしてデューティ比Dtm或いは
脈動周波数ftmの推移に伴って、その吐水から受ける
洗浄感や刺激感は不規則的に変化する。この場合、デュ
ーティ比Dtm或いは脈動周波数ftmに伴う洗浄感や
刺激感が変化する上記のゆらぎ周期についても、このゆ
らぎ周期の逆数で定まる周波数fがマッサージ周期TM
の場合と同様の周波数(約5Hz未満)となるようにさ
れている。これにより、上記したようにデューティ比D
tmや脈動周波数ftmに伴う洗浄感や刺激感の推移
は、使用者に明確に感知される。そして、この推移する
洗浄感や刺激感は各ゆらぎ周期ごとに異なり、洗浄感や
刺激感の推移も不規則的であることから、使用者は、こ
のゆらぎ洗浄により、強弱の刺激を不規則的に受けるこ
とになる。これにより、上記の実施例と同様に、刺激変
化推移の予測困難性から、洗浄時の単調感の解消や、副
交感神経優位の状態となって無意識下で内肛門括約筋の
弛緩を引き起こしやすくなり、より効果的に排便を促進
できる。また、このゆらぎ洗浄を排便後の局部洗浄のた
めに行うと、デューティ比Dtmや脈動周波数ftmの
変更に伴う強弱刺激の予測が困難であることから、局部
洗浄時の単調感をより一層解消できる。
【0135】また、上記したゆらぎ洗浄において、各洗
浄期間TA、TB、TC・・・をそれぞれ異なるものと
する。こうすれば、それぞれの洗浄期間でのデューティ
比Dtm或いは脈動周波数ftmに伴った刺激の認知時
間を変化させるので、刺激感の予測がより困難となる。
よって、更に効果的に排便を促すことができる。また、
音楽や光、臭い(アロマテラピー)などの五感と同期さ
せることにより、リラックスできる空間を提供でき、ひ
いては排便感をさらに促すことができる。
【0136】また、上記したデューティ比Dtmや脈動
周波数ftmの推移幅や、これらの推移タイミングを定
める上記のゆらぎ周期或いは瞬間流量等の物理量のパワ
ースペクトルが、心拍数等の人体の生体リズムや自然界
のリズムと同様に、周波数の逆数に比例したものとする
こともできる。こうすれば、使用者にリラックス感を与
えることが可能となるため副交感神経優位となり、内肛
門括約筋の弛緩を引き起こし、排便の促進効果が高ま
る。
【0137】上記した本実施例の局部洗浄装置10によ
れば、上記したほか、次のような利点がある。まず第1
に、波動発生機器74の上流に設けたアキュムレータ7
3により、次の利点がある。図31は、アキュムレータ
73により得られる効果を説明するための説明図であ
る。
【0138】波動発生機器74を駆動して上記した脈動
流の洗浄水を吐水中に、上流側給水管路51(図2参
照)の圧力(1次圧力)と、波動発生機器74の下流側
の下流側給水管路72の圧力(2次圧力)を測定するこ
とにした。そして、アキュムレータ73を波動発生機器
74の上流に設けない状態での1次圧を、流調弁65の
下流で測定した。また、アキュムレータ73を図2に示
すように設けた場合の1次圧を、流調弁下流、即ちアキ
ュムレータ上流で測定した。その結果を図31に示す。
【0139】アキュムレータ73を本実施例の波動発生
機器74の管路上流に組み込むと、アキュムレータ73
としての本来の機能である水撃低減を上流側給水管路5
1において発揮できることに加え、以下の利点がある。
即ち、図31に示すように、波動発生機器74による脈
動流生成の際に、上流側給水管路51における1次圧力
の圧力変動を効果的に抑制できる。よって、既述した水
撃抑制による熱交換部の洗浄水温度分布の乱れ回避と、
この1次圧力変動抑制による熱交換部の洗浄水温度分布
の乱れ回避とを図ることができる。従って、熱交換部で
は温度分布に乱れが無い状態でヒータ61による温水化
を図ることができるので、ヒータ制御を簡略化できると
共に、洗浄水温度の均一化を応答性良く図ることができ
る。しかも、波動発生機器74の発生させる脈動流は、
アキュムレータ73により1次圧が蓄圧され2次側で増幅
された状態となるので、波動発生機器74の低能力化や
小型化を図ることができる。加えて、アキュムレータ7
3による圧力増幅を得られる分、波動発生機器74では
圧力変動生成(脈動生成)に要するエネルギが少なくな
り、省電力化を図ることもできる。なお、アキュムレー
タ73を波動発生機器74に近接配置したり当該機器と
一体的に配置するようにしたが、流調弁65に近接配置
したり当該機器と一体的に配置することもできる。
【0140】また、この実施例の局部洗浄装置10で
は、洗浄水の流れに周期的な変動を与えて洗浄水を吐水
するに当たり、プランジャ74bの往復動を利用した波
動発生機器74を用い、この波動発生機器74で発生さ
せる脈動流を、流量ゼロの状況が現れないようにした。
よって、管路における洗浄水の流れが遮断される状況を
発生させないので、水撃を発生させることがない。この
ため、波動発生機器74を始めとする水路系構成機器を
耐水撃性が高いものとする必要がなくなり、構成・構造
の簡略化や小型化、延いては樹脂化を図ることができ
る。
【0141】また、波動発生機器74では、プランジャ
74bの往復動により脈動を発生させるに際し、上記の
ように流量ゼロの状況を発現させないので、洗浄水吐出
側に逆止弁74f等の止水構造を必要としない。このた
め、より一層の構成・構造の簡略化や小型化を図ること
ができる。そして、このように小型化を図ることができ
ることから、波動発生機器74の設置場所の自由度が高
まると共に、質量の大きな他の部材への取付や一体化が
簡便化する。
【0142】更に、脈動流の洗浄水吐水の際に流量ゼロ
の洗浄水吐水の状況を起こさないので、以下の利点があ
る。脈動周波数が不感帯周波数領域内(約5Hz以上)
であっても、吐水を受ける使用者の刺激の連続感は、こ
の脈動周波数がこの不感帯周波数領域の下限に近づくほ
ど薄れがちとなるといえる。しかし、上記のように流量
ゼロの洗浄水吐水状況を起こさないので、この刺激の連
続感を薄れにくくできる。よって、波動発生機器74に
よる脈動流の洗浄水吐水では、脈動周波数の調整範囲を
不感帯領域の下限近くにまで広げることができ、広範囲
の脈動周波数調整により、洗浄感や水勢の多様化を図る
ことができる。
【0143】また、この実施例の局部洗浄装置10で
は、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄で洗浄動作の終
了時に、上記したように波動発生機器74を駆動してプ
ランジャ74bを往復動させ、残存洗浄水を強制的に排
出するようにした。よって、流調弁65から洗浄ノズル
24のノズルヘッド25までに亘る管路の水抜きが完全
に行われる。このため、残存水の凍結を確実に回避でき
る。このような水抜きのために波動発生機器74を駆動
する際、脈動発生コイル74cのデューティ比Dtmを
小さくし脈動周波数ftmを低周波数としたので、プラ
ンジャ74bを定速かつ弱い力で移動させるに過ぎず、
プランジャ74bをシリンダ74a端部に高速かつ強い
力で衝突させない。このため、プランジャ74bの打音
を低減できる。更に、既述したように流路切換弁71を
水抜き時に各ノズル流路の総ての連通孔を開口させるよ
うにすれば、洗浄ノズル24における総ての流路で水抜
きできる。
【0144】加えて、この実施例の局部洗浄装置10で
は、既述したように、使用者には連続した吐水を受けて
いるような感じを与えつつ洗浄水水量(吐水量)を低減
して節水の実効性を高めた。このため、所望温度まで洗
浄水をヒータ61で加熱するための消費電力の低減を図
ることができる。すなわち、一般にトイレ室内のコンセ
ントの限界容量は15Aである。しかし、従来トイレで
使用される既存の局部洗浄装置では、瞬間式の熱交換器
の温水ヒータ容量を、寒冷期でも充分な温度、充分な時
間の吐水を可能にするために2500ワット程度に設定
している。このヒータ容量の低減を図るために洗浄水に
空気を強制的に混入させて洗浄水量を低減させることが
行われているが、このようにしても、少なくとも100
0ワット以上のヒータ容量が必要であった。このため、
このようなヒータ容量を有する局部洗浄装置をトイレ室
内のコンセントに差すと、コンセントの限界容量に近づ
くため、他の電気機器が接続できないという問題があっ
た。そればかりでなく、局部洗浄装置に設けられた温風
乾燥機能や室内暖房機能などを同時に作動させると総合
的なヒータ容量は大きくなる。よって、これらの機能が
同時に作動したときは、何れかのヒータ通電を停止する
などの措置を取らなければならないといった問題もあっ
た。
【0145】また、ホテルや施設などは複数の局部洗浄
装置を設置する必要があるものの、消費電力の上限のた
めに設置できないといった問題があった。しかしなが
ら、この実施例の局部洗浄装置10によれば、波動発生
機器74により脈動を発生させ、この脈動の脈動周波数
ftm並びにデューティ比Dtmの制御を通して、洗浄
水水量の大幅な減少及び消費電力の低減が図れ、上述し
たような電源の問題の解決も図ることができる。
【0146】上記した実施例の局部洗浄装置10では、
波動発生機器74に至る洗浄水流量を図示しない流量セ
ンサで検出している。よって、既述したように、このセ
ンサの検出流量を用いた脈動流制御(デューティ比制
御、脈動周波数制御)による細かな水勢調整が可能であ
るほか、以下の利点がある。即ち、電子制御装置80
は、電磁弁55の不良等により過度の流量が発生した時
や断水などの異常発生時に、この流量センサからの検出
信号を受けて、波動発生機器74の駆動停止、ヒータ6
1への通電停止、洗浄ノズル24の待機位置復帰等の動
作を行なう。こうすれば、プランジャ74bの空打ちに
よる打音の発生を回避したり、ヒータ61の空だきを回
避等できる。
【0147】次に、上記した局部洗浄装置10の変形例
について説明する。なお、上記した実施例或いはその変
形例と同一の部材については同一の部材名とその符号を
そのまま用い、同一の機能を果たす部材については同一
の部材名を用いることとする。
【0148】既述した脈動流の洗浄水吐水において、流
量を一定にしたまま流速を可変制御するよう変形でき
る。図32は、この脈動吐水において、流量を一定にし
たままで流速vmを減速制御(vm2→vm3)した一
例を示したものである。なお、図において、t2、t3
(>t2)は、波動発生器のコイル励磁のための通電時
間を表し、T2は波動発生器にて発生させる脈動の脈動
発生周期を、Vは脈動発生器の脈動発生コイル74cへ
の通電をON・OFFするためにスイッチングトランス
へ印加される電圧、換言すればコイル励磁電圧を表す。
また、図において、(a)はパルス信号のデューティ比
の様子を、(b)は電圧V−時間の関係を、(c)は吐
水される洗浄水の流速vm−時間の関係を、それぞれ表
している。この図32を用いて、脈動吐水において流量
を一定にしたままで流速を上げる制御を説明する。
【0149】脈動発生装置が脈動発生コイル74cとこ
のコイルで駆動するプランジャ74bで構成される時、
流量は駆動されるプランジャ74bのストローク長に応
じて、流速はプランジャ74bの駆動速度、即ちプラン
ジャ74bの吸引力に応じてそれぞれ規定される。ま
ず、減速すべきとして、脈動発生コイル74cへ通電さ
れる電圧V(即ち脈動発生コイル74cへ流れる電流)
を小さくする(V3→V2;(b)参照)。これによ
り、プランジャ74bの吸引力は低下して流速は低下す
る。この際、電圧変更の前後でデューティ比が同じであ
れば、プランジャ74bの駆動速度の低減分だけプラン
ジャ74bのストローク長が短くなり、流量は低減す
る。よって、流量の低減を招いても流速を減速するだけ
でよい場合は、上記したようにデューティ比一定で電圧
を低減するだけでよい。流速の増速の場合は、この逆と
なる。
【0150】その一方、流量の変化を来すことなく流速
のみ加減速するには、次のように制御する。減速制御の
場合は、上記したストローク長の短縮、即ち流量不足を
補うべく、デューティ比を大きくする(t2/T2→t
3/T2;(a)参照)。こうしてデューティ比が大き
くされると、コイル励磁期間も長くなるので、プランジ
ャ74bを正規のストローク分だけ駆動でき、プランジ
ャ74bのストローク長を一定に保つことができる。よ
って、流量を一定としたまま、流速のみを減速できる。
この現象は、流速と時間の関係を示す左右のグラフ
(c)において、1周期間の面積S2が等しいことから
も説明できる。増速制御の場合は、この逆となる。もち
ろんこの他に、プランジャ74bのストローク限界にて
常時脈動を発生している場合においては駆動ストローク
長が変わらないため流量は変化せず、脈動発生コイル7
4cへの印加電圧もしくは通電電流を制御するだけで、
流量一定かつ流速可変の制御が可能となる。
【0151】次に、上記した実施例の局部洗浄装置10
の別の変形例について説明する。
【0152】図33は、変形例の局部洗浄装置100が
有する水路系構成を表すブロック図、図34は、他の変
形例の局部洗浄装置110が有する水路系構成を表すブ
ロック図、図35は、これら変形例の流調切換弁75の
概略構成を一部破断して示す概略構成図である。図36
は、また別の変形例の局部洗浄装置120が有する水路
系構成を表すブロック図である。図37は、この水路系
に配置された流調切換弁77の構成を表す断面図、図3
8は、この断続弁を有する変形例の局部洗浄装置の水路
系における水圧を説明する説明図である。図39は、ま
た別の変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を表す
ブロック図である。である。
【0153】(1)図33に示するように、この変形例
の局部洗浄装置100では、アキュムレータ73と波動
発生機器74とを有する波動発生ユニット70を、熱交
換ユニット60の下流に備え、この波動発生ユニット7
0の下流に流調切換弁75を有する。この流調切換弁7
5は、洗浄ノズル24とは別体で構成され、洗浄ノズル
24の上記各ノズル流路(お尻洗浄用、やわらか洗浄用
およびビデ洗浄用の各ノズル流路)のいずれかに洗浄水
の給水先を切り換えると共に、切り換えた各流路に流す
洗浄水流量を調整する。よって、この流調切換弁75
で、洗浄ノズル24における各ノズル流路の給水切換、
並びに各流路への洗浄水流量調整を行うことができる。
このため、上記の実施例では、洗浄ノズル24への流量
調整を行う流調弁65と、洗浄ノズル24の各ノズル流
路の切換を行う流路切換弁71の二つの弁を用いていた
が、この変形例では、一つの流調切換弁75で済む。よ
って、部品点数減少により組み付け工数の低減、コスト
低減等の製造上の利点がある。
【0154】また、この局部洗浄装置100では、波動
発生ユニット70下流の流路、即ち、波動発生ユニット
70から流調切換弁75までの流路と流調切換弁75か
ら洗浄ノズル24までの流路である下流側給水管路72
を、波動発生ユニット70より上流の上流側給水管路5
1より高硬度の可撓性配管とした。よって、流調切換弁
75を洗浄ノズル24から離したものであっても、給水
管路自体の伸縮、膨張・収縮を起き難くでき、この伸縮
に伴う脈動減衰の影響を抑制できる。このため、この変
形例にあっても、流路における脈動減衰を低減して、脈
動流の洗浄水を洗浄ノズル24に送り込むことができ
る。
【0155】(2)図34に示す他の変形例の局部洗浄
装置110では、お尻用とビデ用で別々の洗浄ノズルを
備え、各ノズルを上記の変形例の流調切換弁75に接続
させている。そして、この流調切換弁75は、お尻用洗
浄ノズル114とビデ用洗浄ノズル116と接続され、
これら各洗浄ノズルごとのノズル流路(お尻洗浄用ノズ
ル流路およびビデ洗浄用ノズル流路)に洗浄水の給水先
を切り換えると共に、切り換えた各流路に流す洗浄水流
量を調整する。
【0156】お尻用、ビデ用の洗浄ノズル114、11
6は、ノズル装置112に装着されている。このノズル
装置112は、上記各洗浄ノズルを別々に待機位置から
それぞれの洗浄位置に進退するよう構成され、電子制御
装置80によって駆動制御される。このように、お尻用
とビデ用で別々の洗浄ノズルを有する局部洗浄装置11
0であっても、上記したように、脈動周波数ftm並び
にデューティ比Dtmの制御を通して、節水の実効性を
高めたまま、多様な洗浄感や水勢を設定できる。また、
上記の局部洗浄装置100と同様に、波動発生ユニット
70下流の下流側給水管路72を上流側給水管路51よ
り高硬度の可撓性配管とすることで、お尻用とビデ用で
別々の洗浄ノズルを有する局部洗浄装置110にあって
も、流路における脈動減衰を低減して、脈動流の洗浄水
をお尻用とビデ用の各洗浄ノズルに送り込むことができ
る。
【0157】これら変形例の流調切換弁75は、例え
ば、図35のようなドラム式の流調切換弁とすることが
できる。この流調切換弁75では、ドラムケーシング7
5aの内部に、ドラム75bを回転(正逆回転)自在に
有する。このドラム表面には、各給水口ごとに給水溝7
5cが形成されており、ドラムの各給水溝と給水口との
重なり程度を調整して、給水先の切り換えと、切り換え
た給水先への給水流量を調整する。このドラム式の流調
切換弁75によれば、ダイアフラム等の弾性体の弾発を
利用した切換弁に比べて、脈動の減衰をより効果的に抑
制できる。
【0158】また、お尻用洗浄ノズル114とビデ用洗
浄ノズル116を備えるものにあって、お尻用・ビデ用
のいずれかの洗浄ノズルをやわらか洗浄用の吐水孔とそ
のためのノズル流路を有するものにできる。更に、やわ
らか洗浄用の洗浄ノズルを上記両洗浄ノズルと別に有す
るものとできる。
【0159】(3)図36に示す変形例の局部洗浄装置
120は、給水されてきた洗浄水の加圧とその下流での
洗浄水流の断続を図って洗浄水の流れを、瞬間的には流
量がゼロとなる断続流とする点に特徴がある。即ち、こ
の変形例の局部洗浄装置120は、その水路系におい
て、熱交換ユニット60の下流側に、加圧機器122と
流調弁124と断続流発生ユニット126とを備え、流
路切換弁71を経て洗浄ノズル24から洗浄水を吐水す
る。
【0160】加圧機器122は、ラインポンプ等の加圧
ポンプを備えており、熱交換ユニット60から供給され
る洗浄水を加圧して下流の上記機器に供給する。そし
て、この加圧機器122は、調圧弁54で調圧された約
0.13MPa{1.3kgf/cm2 }の1次圧を約
0.2MPa{約2kgf/cm2 }まで高めるポンプ
容量を備えている。なお、この調圧弁54による調圧圧
力(約0.13MPa{1.3kgf/cm2 })は、
従来品とほぼ同じである。
【0161】断続流発生ユニット126は、その上流側
からアキュムレータ73と、流路を断続する断続弁12
8とを有する。断続弁128は、図37に示すように、
モータ128aで、バルブ体128bをハウジング12
8cの内部で回転させる。そして、この断続弁128
は、内部のバルブ体流路128dを、モータ128aの
回転周期に併せてバルブ流路128eと連通させて流路
を断続させる。これにより、断続弁128は、加圧機器
122で加圧された洗浄水流を断続した出力(断続流)
とし、断続流の洗浄水を洗浄ノズル24に給水する。こ
の断続流の生成の様子を図でもって説明すると、次のよ
うになる。
【0162】図38に示すように、給水源からの給水圧
がPwであると、洗浄水は、調圧弁54により約0.1
3MPa{1.3kgf/cm2 }まで圧力が下げられ
て加圧機器122に至り、この加圧機器122で約0.
2MPa{約2kgf/cm 2 }まで昇圧される。そし
て、この洗浄水は、断続弁128による周期的な洗浄水
流の断続を受けて断続流とされ、洗浄ノズル24から吐
水される。この際の断続流の断続周期DTは、断続弁1
28のモータ回転周期の2倍であることから、電子制御
装置80によるモータ128aの回転制御を通して可変
制御可能である。そして、この変形例では、断続周期D
Tで規定される周波数(断続周波数)が既述した不感帯
周波数範囲(5Hz以上、好ましくは10〜100H
z)となるようにされている。従って、流路の断続を経
て得られた断続流の洗浄水を洗浄ノズル24から吐水す
るこの変形例にあっても、既述した実施例と同様に洗浄
水吐水の周波数制御により、洗浄水水量が一定であって
も、洗浄感の多様化や水勢調整を行うことができる。ま
た、洗浄水水量の調整を併用すれば洗浄水流速も変更で
きることから、より一層の洗浄感の多様化ときめ細かな
水勢調整を行うことができる。また、周波数制御により
既述したように水勢調整が可能であることから、洗浄水
水量の不足が起きても、使用者の所望する水勢を確保す
ることができる。換言すれば、使用者の所望する洗浄感
や水勢を断続流の周波数制御で確保できることから、既
述したように洗浄水水量の大幅な低減を図ることができ
る。
【0163】この変形例によれば、次の利点がある。図
37に示すように、断続弁128は、バルブ体流路12
8dの開口部に傾斜部128fを有する。この傾斜部1
28fは、バルブ体128bがバルブ流路128eを遮
蔽側に回転する際に、バルブ流路128eを徐々に閉め
る機能を果たす。よって、断続流生成のための断続弁駆
動の際に、この弁駆動に伴う流路遮断時の水撃の発生を
抑制できる。
【0164】(4)図39に示す他の変形例の局部洗浄
装置130では、加圧機器122と断続流発生ユニット
126により、洗浄水を加圧して断続流の洗浄水とす
る。また、お尻用とビデ用の洗浄ノズル114、116
をノズル装置112により進退させ、流調切換弁75で
ノズルへの流路切換並びに流量調整を行う。そして、流
量調整を経た上で、上記の断続流の洗浄水をお尻・ビデ
の各洗浄ノズルから吐水する。このように、お尻用とビ
デ用の別々の洗浄ノズル114、116を有するものに
あって断続流の洗浄水をそれぞれ吐水するように構成す
ることもできる。
【0165】このほか、上記の実施例或いは各変形例の
局部洗浄装置は、次のように変形することもできる。 (1)脈動流の洗浄水とするに当たり、既述した波動発
生機器74を用いたが、脈動出力を得ることのできるポ
ンプ、例えば、ギヤポンプやトロコイドポンプ等を用い
ることができる。この場合には、これらポンプの回転数
制御を通して脈動周波数を可変制御し、水勢等の調整を
行うことができる。また、波動発生機器74をAC駆動
としてその位相角制御を行い、上記した実施例における
デューティ比制御と同様に、水勢等の調整を行うように
することもできる。 (2)また、流路の断続を介して断続流の洗浄水とする
断続弁128を、ソレノイドを用いたソレノイド弁や、
給水口のポペットを前後させて給水口の開閉させ流路断
続を行うポペット式の弁であってもよい。
【0166】(3)また、洗浄水の加圧並びにその後の
断続流化に、ラインポンプからなる加圧ポンプを有する
加圧機器122と断続弁128を用い、この両者を別体
の構成とした。しかし、これに限らず、洗浄水を加圧し
かつ断続できる構成とすればよい。図40は、更に別の
変形例の洗浄ノズル175を説明する説明図、図41
は、この変形例の洗浄ノズル175で用いたソレノイド
ポンプ176の概略構成を説明する説明図である。
【0167】図示するように、このソレノイドポンプ1
76は、吸入側逆止弁176aと吐出側逆止弁176b
を有する通常の流量型電磁ポンプである。そして、この
ソレノイドポンプ176は、電磁ソレノイド176cを
励磁してプランジャ176dを進退させることにより、
ポンプ室176eから断続流化された加圧水を得る弁で
ある。通常のソレノイドポンプは、吸入側・吐出側の逆
止弁に挟まれたプランジャの進退に伴う流体の断続をな
くして平滑な圧とするためにアキュームレータを併用す
る。しかし、この変形例のソレノイドポンプ176は、
アキュームレータを用いないで圧力の断続をそのまま利
用して、電磁ソレノイドの励磁電圧に同期した断続周期
を得ることができる。この実施の形態によれば、加圧部
及び断続部を1つのソレノイドポンプ176により実現
することができるので、構成を簡単にすることができ
る。この場合であっても上記の電磁コイルの励磁周期、
即ち断続周期は、その周波数が既述した不感帯周波数範
囲となるようにされている。
【0168】(4)また、洗浄水の加圧並びにその後の
断続流化に加圧機器122と断続弁128を用い、図3
8に示すように、調圧弁の調圧圧力を最大圧力として圧
力の周期的変動の起きる断続流としたが、調圧弁の調圧
圧力を最小圧力として圧力の周期的な変動が起きた断続
流とすることもできる。こうすれば、水道等の給水源自
体の圧力がもともと低い場合であっても、既述した通り
の断続流の洗浄水で吐水できる。
【0169】(5)更に、上記した実施例およびその変
形例では、波動発生機器74等の駆動を停止すること
で、従来と同様の連続流による洗浄水吐水が可能であ
る。よって、遠隔操作装置や本体の袖部等に脈動流吐水
の入り切りを選択できるボタンを設け、当該ボタンの操
作に応じて、即ち、使用者の好みに応じて、脈動流の洗
浄水による吐水形態での局部洗浄と、連続流の洗浄水に
よる従来と同じ吐水形態を選択できるようにすることも
できる。
【0170】(6)また、熱交換ユニット60の熱交換
部の出湯側に緩衝貯湯槽を設け、これをアキュムレータ
73に代用して用いてもよい。この緩衝貯湯槽の構成と
しては、熱交換部より高い水位となるように配置された
槽を備え、この槽にフロートスイッチSS18とバキュ
ームブレーカ63を設置する。この緩衝貯湯槽は、その
下流側からタンクに伝播する圧力変動をアキュムレータ
とほぼ同様に吸収する。よって、この緩衝貯湯槽によっ
ても、変動吸収によりタンク内の温度分布の乱れを抑制
してタンク内の温度を均一にすることができ、温度の制
御特性を安定させている。なお、緩衝貯湯槽内には、温
水を混ぜることを促進する混合板や混合通路を設けて、
その圧力変動の吸収作用を一層高めてもよい。また、緩
衝貯湯槽を熱交換ユニットと一体として、その内部に混
合板などを設置してもよい。
【0171】(7)また、熱交換ユニット60への入水
温度を検出するために、入水温センサを用いる代わり
に、ヒータ61に供給した通電量に基づいて、たとえ
ば、ヒータへ供給される通電量の微分値に基づいて算出
してもよい。これにより、入水温センサが不要となり、
構成を簡単にできる。入水温センサSS16aおよび出
水温センサSS113は、熱交換部内の温水の温度を反
映する箇所であれば、熱交換部内ばかりか、熱交換ユニ
ットの前後に設けることもできる。
【0172】次に、また別の変形例について説明する。
図42は、この変形例の局部洗浄装置が有する洗浄ノズ
ル180の要部概略断面図である。なお、以下の説明に
際しても、既述したとおり同一の部材名とその符号を用
いることとする。また、この洗浄ノズル180をお尻洗
浄用のものとして説明する。
【0173】この変形例の洗浄ノズル180は、洗浄水
に空気を強制的に混入して吐水するに当たり、空気混入
量を周期的に変動させることで脈動流或いは断続流の洗
浄水を吐水する点に特徴がある。即ち、図42に示すよ
うに、洗浄ノズル180は、ノズル先端にお尻吐水孔3
1を有し、この吐水孔31にノズル流路181を経て洗
浄水を給水する。この吐水孔開口の下方には、空気混入
室182が形成されており、この空気混入室182にお
いて、ノズル流路は、樹脂や金属、セラミック等を材料
とする多孔質パイプ183で形成されている。
【0174】空気混入室182は、空気流路184を介
して、空気圧送混入ユニット185と連通されている。
この空気流路184は、シリコン、若しくはエラストマ
或はウレタン等で形成され管路の拡張伸縮の少ない可撓
性配管であり、空気の圧力変動の吸収特性が小さいこと
から、空気圧力の変動を比較的減衰させない。空気圧送
混入ユニット185は、図中に模式的に示したように、
空気流量を周期的に変動させながら或いは一定の設定流
量で空気を空気混入室に圧送する。そして、空気圧送混
入ユニット185は、空気混入室182にて、多孔質パ
イプ183により洗浄水に空気を混入させるものであ
る。この多孔質パイプ183は、多孔質という性質か
ら、内部を通過する洗浄水に空気を微細な気泡として混
入する。よって、空気圧送混入ユニット185からの圧
送と相まって、洗浄水に対して体積比で最大4倍の空気
を混入可能である。
【0175】上記した空気圧送混入ユニット185は、
容量可変型の空気ポンプを用いて構成したり、定容量も
しくは容量可変型の空気ポンプとその下流に配置した流
調弁とを用いて構成することができる。或いは、これら
空気ポンプとその下流に配置され管路の開閉を行う開閉
弁とを用いて構成することができる。そして、このよう
に構成した空気圧送混入ユニット185で空気流量を周
期的に変動させながら空気を圧送するには、空気ポンプ
の回転数制御による流量の周期的変動を起こしたり、流
調弁により管路の有効面積を0〜100%の範囲で周期
的に変更したり、10〜100%の範囲で周期的に変更
すればよい。また、開閉弁にあっては、周期的に管路の
開放・遮断を繰り返せばよい。
【0176】この場合、空気ポンプとして容積型の空気
ポンプを用いれば、空気ポンプの動作に合わせて空気の
圧送・停止・が繰り返される。このように構成した場
合、流調弁により管路の有効面積が0とされたり、開閉
弁により管路が遮断されたり、容積型の空気ポンプが動
作を停止した状況では、洗浄水が絶たれた状況、即ち空
気のみが吐水孔から出ているようにすることができる。
よって、混入された空気が水に微細化して混ざることな
く、水・空気・水・空気・・といった状態でサンドイッ
チ状になる吐水形態を採ることができる。この吐水形態
は、既述した脈動流の洗浄水の吐水形態とほぼ同じ挙動
を採る。このため、空気混入により見かけの体積が増加
して洗浄水の流速が高められ、かつ水が空気に挟まれて
洗浄水が水塊状になって吐水することになるので、脈動
流の洗浄水吐水と同等の効果が期待できる。
【0177】この洗浄ノズル180では、空気圧送混入
ユニット185からの空気圧送を停止した状態で、洗浄
水給水ユニット186からノズルに給水を行うと、お尻
吐水孔31からは、連続流で洗浄水を吐水できる。ま
た、空気圧送混入ユニット185からの空気圧送を一定
の設定流量の状態として、ノズルに給水を行うと、気泡
がほぼ一定の比率で混入した洗浄水を連続流の状態でき
る。つまり、空気混入済みの洗浄水吐水と洗浄水のみの
吐水とを使い分けることができる。そして、空気混入の
分だけ節水を図ることができる。しかも、混入空気量の
設定調整や洗浄水の流速調整もしくはこの両者を調整す
ることで、種々の比率で空気が混入した洗浄水を連続流
の状態で吐水でき、混入空気量・流速に応じた洗浄感や
水勢を得ることができる。
【0178】また、洗浄ノズル180では、空気流量を
周期的に変動させながら空気を圧送して洗浄水に混入す
るので、洗浄水の流れに対して空気混入量が密な部分と
疎な部分が周期的に繰り返された洗浄水とする。空気混
入量が密な部分では、空気混入が多い分、洗浄水の流速
が高まり、疎な部分では、密な部分ほど流速は上がらな
い。そして、空気混入量が密で流速が高まった部分は、
疎で流速の遅い部分に追いつきこれに合体する。この現
象は、図18で説明した現象と変わることがない。しか
も、この変形例では、空気流量を周期的に変動させなが
ら空気を圧送するに当たって、この変動周期で定まる変
動周波数が既述した不感帯周波数範囲内となるようにし
た。この結果、この変形例での洗浄水吐水は、空気流量
の周期的変動の様子に応じて脈動流或いは断続流の洗浄
水の吐水となり、既述した実施例でのもの或いはこれに
空気混入を図ったものと同等である。つまり、この変形
例の洗浄ノズル180での洗浄水吐水は、図40で示し
たようになる。従って、洗浄ノズル180によっても、
既述した実施例と同様の効果、即ち、節水の実効性向上
と多様な洗浄感・水勢等の設定が可能である。そして、
この洗浄ノズル180では、空気流量の周期的変動の際
の変動幅調整や洗浄水の流速調整もしくはこの両者を調
整することで、洗浄感の多様化をもたらすことができ
る。つまり、水量不足により流速が低下しても、空気圧
送の際の上記変動幅調整により、水勢を維持したり強弱
調整できる。
【0179】なお、上記の実施例および各変形例におい
て、ノズルヘッドにおけるお尻洗浄・やわらか洗浄・ビ
デ洗浄の各ヘッド流路を上下に並べて形成することもで
きる。こうすれば、洗浄ノズルの幅方向を狭くでき、ノ
ズル装置を始めとする種々の機器やユニットを近接配置
でき、装置の小型化を図ることができる。この場合、上
下のヘッド流路に併せて洗浄ノズルにおいても、ノズル
流路を上下に形成することもできる。また、ノズルヘッ
ドを、上記の各ヘッド流路を有するベースに上記の各吐
水孔を有するヘッドカバーを装着する構成とし、ベース
とヘッドカバーの間に、外気導入孔を設けるようにする
こともできる。
【0180】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0181】例えば、熱交換ユニット60を、螺旋状の
ニクロム線からなるヒータ61を小容量の熱交換部に内
蔵したものとしたが、次のようにすることもできる。即
ち、ヒータ61を積層円筒セラミックヒータとすれば、
漏電検知回路や過熱防止回路を焼成前生シートにペース
ト印刷して、各回路を焼成によりヒータ表面に形成でき
る。よって、外部に漏電検知・漏電保護回路が不要とな
ると共に、バイメタル等の過熱防止機器も不要となる。
そして、積層化と機器省略により、熱交換ユニット60
の小型化を図ることができる。また、ヒータ61を、高
周波電流に連動した磁束変化により抵抗体に電磁誘導を
起こしてこの抵抗体をジュール熱で発生させる電磁誘導
加熱ヒータとすることもできる。こうすれば、熱交換部
内でヒータ61を水没配置する必要がないので、漏電保
護回路が不要となり、その分、小型化ができる。更に、
ヒータ形状の自由度が高いので、ヒータ61を蛇行水路
に沿った形状等とすることができ、効率よく洗浄水を温
水化できる。
【0182】また、熱交換ユニット60を、瞬間式では
なく貯湯式とすることもできる。こうすれば、所定温度
の洗浄水の連続吐水時間を長くすることができる。ま
た、熱交換部内洗浄水の温水化を深夜等の便器未使用時
に実施でき、その際には低消費電力のヒータ61を用い
ることができる。こうすれば、局部洗浄装置全体として
の最大消費電力を低減できるので、既設のトイレに局部
洗浄装置を設置するような場合に、屋内配線容量不足を
招いたり容量契約の変更を来すようなことが少なくな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】便器に装着した状態の実施例の局部洗浄装置1
0を表す概略斜視図である。
【図2】局部洗浄装置10の概略構成を水路系を中心に
表したブロック図である。
【図3】この水路系に配設されたアキュムレータ73の
概略構成を示す断面図である。
【図4】同じく水路系に配設された波動発生機器74の
構成を表す断面図である。
【図5】この波動発生機器74による洗浄水の流れの様
子を説明する説明図である。
【図6】波動発生機器74の設置の様子を模式的に表し
た模式図である。
【図7】制御系の概略構成を表すブロック図である。
【図8】ノズル装置40を表す概略斜視図である。
【図9】図8における9−9線概略断面図である。
【図10】洗浄ノズル24の進退の様子を説明するため
の説明図である。
【図11】洗浄ノズルが有する流路切換弁71の構成を
説明するための要部概略断面図である。
【図12】この流路切換弁71の要部の分解斜視図であ
る。
【図13】ノズルヘッド25を平面視すると共にヘッド
周辺を一部破断して示す平面図である。
【図14】このノズルヘッド25の変形例を示す平面図
である。
【図15】洗浄水吐水に際して脈動を発生させる波動発
生機器74の脈動発生コイル74cの励磁の様子を説明
する説明図である。
【図16】波動発生機器74から流出する洗浄水の水量
及び流速を示すタイミングチャートである。
【図17】ノズルヘッド25のお尻吐水孔31からの洗
浄水吐水の様子を模式的に説明する説明図である。
【図18】脈動流の洗浄水を吐水孔から吐水した場合、
その吐水された洗浄水が脈動流に増幅される過程を説明
する説明図である。
【図19】洗浄水流が壁面に衝突する状態を説明する説
明図である。
【図20】お尻吐水孔31に対向して所定距離Laだけ
隔てて圧力センサ板Psを設置した状態を説明する説明
図である。
【図21】圧力センサ板Ps上の位置と圧力のピーク値
とを3次元的に表現した説明図である。
【図22】検出部の1つから検出される検出信号を表わ
すタイミングチャートである。
【図23】平均吐水量と洗浄量との関係を示すグラフで
ある。
【図24】周波数の増減により洗浄強度が異なる理由を
説明する説明図である。
【図25】脈動流の脈動周波数および洗浄強度と人体局
部の刺激に伴う不快感との関係を示すグラフである。
【図26】洗浄水の脈動流における脈動周波数をお尻洗
浄とビデ洗浄で異なるようにした制御例を説明する説明
図である。
【図27】脈動周波数ftmとデューティ比Dtmの制
御例を説明する説明図である。
【図28】実施例の局部洗浄装置10の洗浄動作を表す
タイムチャートである。
【図29】脈動発生コイル74cについてのボトム検知
回路81の一例を表す回路図である。
【図30】脈動発生コイル74cの通電励磁の際の電流
波形の様子を説明するための説明図である。
【図31】アキュムレータ73により得られる効果を説
明するための説明図である。
【図32】脈動流の洗浄水吐水を行う場合、流量を一定
にしたまま流速を増速制御する制御方法を説明する説明
図であり、低流速の場合の制御の状態を示す説明図であ
る。
【図33】変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を
表すブロック図である。
【図34】他の変形例の局部洗浄装置が有する水路系構
成を表すブロック図である。
【図35】変形例の流調切換弁75の概略構成を一部破
断して示す概略構成図である。
【図36】また別の変形例の局部洗浄装置が有する水路
系構成を表すブロック図である。
【図37】この水路系に配置された断続弁128の構成
を表す断面図である。
【図38】この断続弁を有する変形例の局部洗浄装置の
水路系における水圧を説明する説明図である。
【図39】また別の変形例の局部洗浄装置が有する水路
系構成を表すブロック図である。
【図40】更に別の変形例の洗浄ノズル175を説明す
る説明図である。
【図41】この変形例の洗浄ノズルで用いたソレノイド
ポンプ176の概略構成を説明する説明図である。
【図42】その他の変形例の局部洗浄装置が有する洗浄
ノズル180の要部概略断面図である。
【図43】波動発生機器74の設置の様子を説明するた
めの要部概略斜視図である。
【符号の説明】
10…局部洗浄装置 12…本体部 14…遠隔操作装置 20…便蓋 22…袖部 24a…筒状部 24b…ベルト把持体 24c…軌道把持体 24d…把持部 24…洗浄ノズル 25…ノズルヘッド 26a…第1ノズル流路 26b…第2ノズル流路 26c…第3ノズル流路 28…表示部 29…カバー 29a…光透過窓 30…吐水孔 31…お尻吐水孔 32…やわらか吐水孔 33…ビデ吐水孔 34…第1ヘッド流路 35…第2ヘッド流路 36…第3ヘッド流路 40…ノズル装置 41…ベース 41a…架台 41b…ノズル保持部 41c…チャンバ 42…ノズル駆動モータ 43…伝達機構 43a…駆動プーリ 43b…従動プーリ 43c…タイミングベルト 43d…テンションローラ 44…案内レール部 45…ノズル進退軌道 50…入水側弁ユニット 51…上流側給水管路 52…ストレーナ 53…逆止弁 54…調圧弁 55…電磁弁 56…リリーフ弁 56a…第1洗浄水導出管路 60…熱交換ユニット 61…ヒータ 62…熱交換部 63…バキュームブレーカ 65…流調弁 70…波動発生ユニット 71…流路切換弁 71a…ケーシング 71b…ステータ 71c…ロータ 71d…カップリング 71e…ハウジング 71f…スプリング 71g…連通孔 71j…切欠 71k…駆動モータ 71m…スリット 71n…回転軸ピン 71q…回転キー 71r…スリット 71s…接続継手 72…下流側給水管路 73…アキュムレータ 73a…ハウジング 73b…ダンパ室 73c…ダンパ 73d…スプリング 74…波動発生機器 74a…シリンダ 74b…プランジャ 74c…電磁コイル(脈動発生コイル) 74d、74e…上流側・下流側スプリング 74f…逆止弁 75…流調切換弁 75a…ドラムケーシング 75b…ドラム 75c…給水溝 76…防振プレート 77…流調切換弁 79…乾燥部 80…電子制御装置 81…ボトム検知回路 82…コンパレータ 83…コンデンサ 84…抵抗 85…検出抵抗 86…スイッチングトランジスタ 100…局部洗浄装置 110…局部洗浄装置 112…ノズル装置 114…お尻用洗浄ノズル 116…ビデ用洗浄ノズル 120…局部洗浄装置 122…加圧機器 124…流調弁 126…断続流発生ユニット 128…断続弁 128a…モータ 128b…バルブ体 128c…ハウジング 128d…バルブ体流路 128e…バルブ流路 128f…傾斜部 130…局部洗浄装置 175…洗浄ノズル 176…ソレノイドポンプ 176a…吸入側逆止弁 176b…吐出側逆止弁 176c…電磁ソレノイド 176d…プランジャ 176e…ポンプ室 180…洗浄ノズル 181…ノズル流路 182…空気混入室 183…多孔質パイプ 184…空気流路 185…空気圧送混入ユニット 186…洗浄水給水ユニット BT…便器 SS16a…入水温センサ SS16b…出水温センサ SS18…フロートスイッチ SS30…転倒検知センサ SS14…洗浄水量センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 良祐 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 筒井 治雄 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D038 JA02 JA03 JA05 JB01 JB02 JB05 JF00 JF03 JF05 JF06 JH11 JH12 KA03

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄水を吐水孔から吐水する吐水部を有
    する洗浄装置であって、 前記吐水孔に洗浄水を給水する給水手段と、 給水される洗浄水の流れに前記吐水孔に至る給水経路に
    おいて変動を生じさせる変動吐水手段と、 前記変動吐水手段下流の給水経路における変動の減衰を
    抑制する抑制手段とを備えることを特徴とする洗浄装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の洗浄装置であって、 前記抑制手段は、 前記給水経路において前記変動吐水手段より下流の下流
    側給水経路を、前記給水経路を洗浄水が通過する際の洗
    浄水の圧力変動の吸収特性が小さい経路としてなる、洗
    浄装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の洗浄装置であって、 前記抑制手段は、 前記給水経路において前記変動吐水手段より下流の下流
    側給水経路を、全経路長の9割以上においてその経路断
    面積が略等しい形状とした、洗浄装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の洗浄装置であって、 前記経路断面積変化が0.8ないし1.2とした、洗浄
    装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の洗浄装置であって、 前記経路断面積変化が0.9ないし1.1とした、洗浄
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の洗浄装置であって、 前記抑制手段は、 前記給水経路において前記変動吐水手段より下流の下流
    側給水経路を、直管路とした、洗浄装置。
  7. 【請求項7】 請求項2ないし請求項6いずれか記載の
    洗浄装置であって、 前記吐水部を移動自在とした、洗浄装置。
  8. 【請求項8】 請求項2ないし請求項7いずれか記載の
    洗浄装置であって、 前記下流側給水経路は、管路の拡張伸縮が小さくなるよ
    う高硬度の材料で形成された可撓性配管にて経路の一部
    を形成した、洗浄装置。
  9. 【請求項9】 請求項2ないし請求項8いずれか記載の
    洗浄装置であって、 前記下流側給水経路を硬度60以上の材料で形成した、
    洗浄装置。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9いずれか記載
    の洗浄装置であって、 前記吐水部には複数の前記吐水孔及び前記吐水孔に至る
    吐水部内管路を前記吐水孔ごとに有すると共に前記変動
    吐水手段により前記変動が生じた洗浄水の供給を受け、
    この洗浄水供給先を、前記吐水部の複数の前記吐水部内
    管路のいずれかに切り替える切替手段を備え、 前記吐水部と前記切替手段とを一体化した、洗浄装置。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項9いずれか記載
    の洗浄装置であって、 前記給水経路において前記変動が生じる変動発生箇所
    は、前記吐水孔近傍とされている、洗浄装置。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の洗浄装置であって、 前記変動吐水手段は、 前記給水経路に設けられ、外部から給水経路中に空気混
    入が可能に形成された空気混入部と、 該空気混入部に接続され、空気を圧力変動をきたして前
    記空気混入部から空気を強制混入し、前記空気混入部で
    洗浄水の流れに前記変動を生じさせる空気混入手段とを
    備え、 前記抑制手段は、 前記空気混入手段から前記空気混入部に至る間の空気経
    路を、空気の圧力変動の吸収特性が小さい経路として有
    する、洗浄装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の洗浄装置であって、 前記空気混入部は、前記吐水孔近傍とされている、洗浄
    装置。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし請求項13いずれか記
    載の洗浄装置であって、 前記変動吐水手段より上流の上流側給水経路を、前記下
    流側給水経路に比べて洗浄水の圧力変動の吸収特性が大
    きい経路とした、洗浄装置。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の洗浄装置であって、 前記上流側給水経路に洗浄水を温水化する温水化手段を
    設けた、洗浄装置。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の洗浄装置であって、 前記上流側給水経路のうち少なくとも、温水化手段と変
    動吐水手段との間の経路は前記下流側給水経路より管路
    の拡張伸縮が大きい可撓性配管とした、洗浄装置。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし請求項15いずれか記
    載の洗浄装置であって、 前記変動吐水手段の上流側に変動吸収手段を備えた、洗
    浄装置。
  18. 【請求項18】 請求項16記載の洗浄装置であって、 前記温水化手段と変動吐水手段との間の経路に変動吸収
    手段を備えた、洗浄装置。
  19. 【請求項19】 請求項17又は請求項18記載の洗浄
    装置であって、 前記変動吸収手段はアキュームレータである、洗浄装
    置。
  20. 【請求項20】 請求項1ないし請求項19いずれか記
    載の洗浄装置であって、 前記変動吐水手段は、洗浄装置が有する前記変動吐水手
    段よりその質量が大きい部材に直接或いは間接的に取り
    付けられている、洗浄装置。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の洗浄装置であって、 前記質量が大きい部材は、前記変動吐水手段の上流に位
    置し前記変動吐水手段に洗浄水を導く洗浄水供給手段で
    ある、洗浄装置。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の洗浄装置であって、 前記洗浄水供給手段は、前記変動吐水手段に導く洗浄水
    流量を調整する手段である、洗浄装置。
  23. 【請求項23】 請求項1ないし請求項19いずれか記
    載の洗浄装置であって、 洗浄装置の各部材を取付けるベースを設け、該ベースに
    前記変動吐水手段を弾性体を介して取付けた、洗浄装
    置。
  24. 【請求項24】 請求項23記載の洗浄装置であって、 前記変動吐水手段を弾性体を介してプレートに取付け、
    更に該プレートを第2弾性体を介して前記ベースに取付
    けた、洗浄装置。
  25. 【請求項25】 請求項24記載の洗浄装置であって、 前記プレートは前記変動吐水手段より質量が大きくされ
    ている、洗浄装置。
  26. 【請求項26】 請求項24記載の洗浄装置であって、 前記プレートには前記変動吐水手段とは異なる部材を取
    付けることで、前記プレートの質量を大きくした、洗浄
    装置。
  27. 【請求項27】 請求項26記載の洗浄装置であって、 前記質量が大きい部材は、前記変動吐水手段の上流に位
    置し前記変動吐水手段に洗浄水を導く洗浄水供給手段で
    ある、洗浄装置。
  28. 【請求項28】 請求項27記載の洗浄装置であって、 前記洗浄水供給手段は、前記変動吐水手段に導く洗浄水
    流量を調整する手段である、洗浄装置。
  29. 【請求項29】 請求項23記載の洗浄装置であって、 前記弾性体のバネ常数をk、減衰係数をc、振動体の質
    量をm、振動伝達率をτ、振動体の振動数をω、系の固
    有振動数をωn =√(k/m)とした時、下記式で表さ
    れる振動伝達率τが0.1<τ<0.2となる弾性体を
    用いた洗浄装置。 τ=|1/(1−(ω/ωn 2
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