JP3948173B2 - 人体洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄水を吐水孔から人体に吐水する人体洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の人体洗浄装置、例えば人体局部を洗浄する局部洗浄装置は、人体局部を洗浄水で清潔にできることから急速に普及している。近年では、ただ単に洗浄水を吐水するだけではなく、吐水から受ける刺激感や水量感に強弱を付けるようにして付加価値を高めることがなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の局部洗浄装置では、洗浄水の給水経路に流量調整弁を設け、この流量調整弁にて洗浄水の流量を調整することでしか、刺激感や水量感の強弱等の洗浄体感を得ることができなかった。よって、洗浄水流量を一定にしたまま、洗浄体感の多様化を図ることは困難であった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、洗浄水流量を一定にしたまま、洗浄体感の多様化を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の人体洗浄装置は、
洗浄水を吐水孔から人体に吐水する人体洗浄装置であって、
前記吐水孔に洗浄水を給水する給水手段と、
前記吐水孔に至る経路において駆動する駆動体を有し、該駆動体を前記経路において駆動することで、前記給水手段から給水された洗浄水の流れに規則的な変動を生じさせる変動発生手段と、
前記吐水孔に到る経路において、前記給水された洗浄水の流量を調整する流量調整手段と、
該流量調整手段による洗浄水の流量調整とは無関係に前記変動発生手段を制御して前記駆動体を前記経路において駆動させ、前記変動発生手段の前記駆動体の駆動により前記洗浄水の流れに生じる前記流れの変動の規則性を、前記流量調整手段による洗浄水の流量が一定の状況下においても、使用者の指示に応じて変更する変動制御手段とを備える
ことを特徴とする。
【0006】
上記構成を有する本発明の人体洗浄装置では、給水された洗浄水の流れに規則的な変動を生じさせ、この変動が生じた洗浄水の流れの状態で洗浄水を吐水孔から吐水して洗浄水吐水を周期的なものとする。しかも、この洗浄水の流れの変動の規則性、例えば、変動周期やデューティ比等を、流量調整手段による洗浄水の流量が一定の状況下においても、使用者の指示に応じて変更して、設定洗浄体感を得ることができる。このため、変動の規則性を種々変更することで多様な洗浄体感を得ることができる。更に、洗浄体感を得るための変動の規則性の変更に際し流量調整手段による洗浄水流量の調整を伴わないので、流量調整手段により調整済みの流量を維持したまま洗浄体感の多様化を図ることができる。
【0007】
ところで、上記の本発明の人体洗浄装置のように、洗浄水の流れに変動を起こしこの洗浄水を吐水孔から吐水すると、周期的な洗浄水吐水は次のような形態となる。
吐水孔からの吐水洗浄水は、吐水孔に導かれた洗浄水の流れの状態が反映される。吐水孔に一律な流れ(連続流)で洗浄水が導かれれば、吐水孔からは洗浄水は連続的に吐水され、連続流の吐水形態となる。しかし、流れに変動を来して洗浄水が吐水孔に導かれると、この変動が反映した周期的な吐水形態となる。本発明では、吐水孔には脈動流の状態で洗浄水が導かれ、吐水孔からの吐水形態は、この脈動流が反映して吐水水量が増減するような脈動をもつものとなる。このような吐水形態を瞬間的に捕らえると、後に詳述するように、吐水水量が多い時に吐水された洗浄水が水塊となって、この水塊が吐水水量が少ないときに吐水された洗浄水で繋がったようなものとなる。
【0008】
このように脈動をもって吐水されると、即ち脈動流として洗浄水が吐水されると、同じ流量の連続流と比べて、洗浄面に当たる力、つまり瞬間の圧力ピーク値は大きくなる。よって、脈動流とすることにより連続流より少ない水量で同程度の洗浄強度を得ることができる。また、所望の洗浄強度を得るのに少ない水量で済むので、次のような利点がある。
【0009】
一般に、人体局部を洗浄する人体洗浄装置、即ち局部洗浄装置では、洗浄水が局部に当たる際の不快感を緩和するために、温水化した洗浄水を吐水する。よって、上記のように少ない水量であれば、洗浄水を所定温度まで温水化するに必要な熱源の容量を小さくすることができ、高い節電効果を得ることができる。換言すれば、小型で小容量のヒータを用いれば済むので、温水化機構の小型化、延いては装置そのものの小型化をも図ることができる。
【0010】
このように洗浄水の流れに変動を起こすに当たり、給水経路における洗浄水の流れに流量ゼロの状況を生じさせないようにすることもできる。
こうすれば、洗浄水の流れが瞬間的にでも遮断された状況を起こさないようにできるので、給水経路を含む洗浄水の系において水撃の発生を回避できる、或いは微弱な水撃しか発生させないようにできる。この結果、洗浄水の系に含まれる配管や管路内弁等の機器の損傷や劣化、或いはビビリ音等の異音や不用意な振動といった不具合を解消或いは軽減できる。
【0011】
また、洗浄水の流れに流量ゼロの状況を生じさせないで洗浄水の流れに変動を起こしこの洗浄水を吐水孔から吐水すると、既述した周期的な洗浄水の吐水形態を、流量ゼロの状況が生じないことから、より確実に上記の脈動流のものとできる。つまり、吐水孔からの吐水形態は、流量ゼロの状況が無いまま吐水水量が増減するような脈動をもつものとなる。
【0012】
本発明にいう洗浄体感は、吐水洗浄水から受ける使用者の感覚であり、刺激感や水量感の強弱はもとより、肛門内に洗浄水が入り込むことで体感する浣腸感の強弱や、洗浄範囲(洗浄面積)の広狭、吐水洗浄水により汚れを落としたという洗浄充足感の強弱等を含む。また、刺激感や水量感の強弱或いは洗浄範囲の広狭が規則的に又は不規則的に時系列的に推移することで得られる感覚も、本発明の洗浄体感に含まれる。更に、刺激感や水量感の強弱或いは洗浄範囲の広狭の時系列的な推移が人体特有のゆらぎ周期で起きることで得られる感覚も、本発明の洗浄体感に含まれる。
【0013】
このため、変動周波数やデューティ比といった変動の規則性を規則的或いは不規則的にもしくはゆらぎ周期的に変更すれば、流れの変動規則性の変更により脈動流での洗浄水吐水の様子を変更できる。よって、この脈動流での洗浄水吐水に基づく上記種々の洗浄体感が規則的或いは不規則的もしくはゆらぎ周期的に変化するので、洗浄体感の多様化に有益である。
【0014】
刺激感の強弱変化に着目すると次の利点がある。流れの変動規則性(例えば、変動周波数、デューティ比)を規則的に変更すれば、脈動流での洗浄水吐水を人体局部に当てることで刺激に規則変化を与えることができる。よって、刺激感の規則的な強弱繰り返しによりマッサージ効果を好適に発揮できるので、排便の促進を図ることができる。
一方、この刺激が不規則的に変化すれば、刺激の変化の様子を予測しにくいことから、洗浄時の単調感を緩和できると共に、後述のように無意識下での局部洗浄の際の排便促進を図ることができる。
【0015】
また、上記した洗浄充足感は、汚れを剥離させる洗浄力という物理的なものとしても捉えることができるので、本発明によれば、流れの変動の規則性の変更を通して、洗浄力の多様化も図ることができる。
【0016】
上記の構成を有する本発明の人体洗浄装置は、以下の態様を採ることもできる。即ち、
前記変動発生手段を、前記流れの変動の規則性が同一である状況下では、前記変動が生じた洗浄水の流れの状態での洗浄水吐水に基づく吐水状態変化を人体が刺激変化として認識しないように、前記流れの変動を誘起する変動誘起手段を有するものとすることができる。
【0017】
こうすれば、上記したように脈動流での洗浄水吐水に基づく吐水状態変化やこの脈動流での洗浄水吐水とするための流れの変動を、その変動の規則性が同一である状況下では、人体が刺激変化として認識しないようにできる。例えば、変動周波数やデューティ比が同じ状況下では、この変動周波数或いはデューティ比に基づく脈動流での吐水であることを、人体が刺激変化として認識しないようにできる。よって、脈動流での洗浄水吐水であるために上記のように水塊が繋がった吐水状態であることや、水塊が次々と人体表皮に当たっているということを人体に感じさせないまま、洗浄水の流れに変動を起こすことができる。このため、脈動流での洗浄水吐水であっても、使用者にはあたかも連続した流れで洗浄水吐水を受けているような感じを与えることができる。従って、本発明で実現した脈動流での洗浄水吐水を、洗浄水による連続的な洗浄が求められる通常のお尻洗浄やビデ洗浄にも好適に用いることができ、その際に違和感や不快感を与えることがない。
【0018】
また、洗浄水の流れの規則的な変動は、洗浄水流量の調整と独立して起こすことができるので、この変動誘起とは独立に洗浄水流量を低減できる。よって、洗浄水流量を低減しても脈動流での洗浄水吐水に基づく上記の種々の洗浄体感を得ることができることから、節水の実効性をより高めることができる。
【0019】
脈動流での洗浄水吐水に基づく吐水状態変化を人体が認識しないよう誘起するに当たっては、次のような手法を採ることができる。脈動流での洗浄水吐水の周期が約0.3秒程度の周期であると、脈動流の洗浄水吐水を受けることによる刺激変化を人体が比較的明確に認識することができるから、上記の脈動流の洗浄水吐水の周期、即ちこのような吐水を引き起こすための洗浄水の流れの変動を約0.2秒以下の短周期で起きるようにすることが好ましい。脈動流での洗浄水吐水が約3Hz以下の周波数でなされると、その刺激変化を人体が明確に認識することができ、これを越える周波数であると刺激変化として認識できない。つまり、刺激変化を認識するに当たっては不感帯領域(不感帯周波数)がある。よって、吐水状態変化を人体が認識しないようにするには、上記の洗浄水の流れの規則的な変動を不感帯周波数に含まれる約5Hz以上の周波数で起きるようにすることが好ましい。そして、この変動を商用電源の周波数で起こせば、こうした変動を起こすための機器の制御が容易となり好ましい。
【0020】
この場合、本願にいう人体が刺激変化として認識しないようにすることの意味は、刺激変化として認識させないようにすることを意図的に起こすことである。よって、局部洗浄の際の便意促進のために何らかの刺激変化(例えば、温度変化や流量変化に基づく刺激変化)を人体に認識させるマッサージ洗浄と対比すれば、刺激変化を認識させる認識させないという点で相違するものの、意図的な吐水制御を行う点では共通する。つまり、本発明にいう刺激変化は、どのような形態の洗浄水吐水であっても洗浄水吐水を行う上で或いは洗浄水吐水を継続する上で必然的に生じる刺激変化、例えば単に吐水を連続しているだけで必然的に起きるような周波数・周期の刺激変化を含むものではない。
【0021】
ところで、洗浄水の着水箇所(洗浄領域)は、例えば局部洗浄にあっては、肛門や女性局部となるが、これらの局部はデリケートな表皮部分であり、痔疾患や生理等により刺激に対して過敏な場合がある。しかも、局部によって過敏となる程度は異なる。よって、上記した不感帯領域を約5Hz以上の周波数領域に固定するのではなく、洗浄対象局部に応じて最低周波数を調整するようにすることもできる。更には、この不感帯領域のうちの低周波数領域では、使用者は、通常ならば局部洗浄に際して刺激変化を認識しないが、痔疾患や生理等により、この低周波数領域での洗浄水吐水に刺激変化を僅かに認識するようなことが起き得る。よって、この低周波数領域を不感帯領域の境界領域として設定し、この境界領域以上の周波数領域を確実な不感帯領域とするようにすることもできる。なお、刺激変化に対する認識を確実に起こさないようにするために、次のようにすることもできる。つまり、上記した境界領域を上記約5Hzから約60Hzもしくは約80Hzまでに設定し、この周波数領域の境界領域を越える周波数領域を確実な不感帯領域とする。
【0022】
上記した変動を起こすための前記変動発生手段を、
前記給水経路の一部をなすシリンダと、
該シリンダ内で往復動し、その往復動により洗浄水の流れに脈動を起こして洗浄水を前記シリンダ下流に圧送するプランジャと、
該プランジャを往復駆動させる電磁ソレノイドと、
該電磁ソレノイドを励磁する励磁手段と、
前記シリンダに設けられ、下流側への洗浄水の通過を許容する逆止弁とを有するものとすることができる。
こうすれば、電磁ソレノイドの励磁制御を通してプランジャをシリンダ内で往復動させ、これにより脈動を洗浄水の流れに起こして洗浄水を脈動流の状態で圧送することができる。
【0023】
しかも、下流側にしか逆止弁を備えず、シリンダの上流側には逆止弁を有しないので、脈動流での圧送時に、プランジャの移動状況によらずにシリンダ内に洗浄水を常時導いて洗浄水を圧送する。よって、特段の構成やプランジャ移動制御を用いなくても、脈動流での洗浄水圧送に際して流量ゼロの状況を起こさないようにできる。
【0024】
また、前記変動制御手段を、
前記励磁手段を制御して、前記電磁ソレノイドの励磁周波数を変更する第1変更手段と、
前記励磁手段を制御して、前記電磁ソレノイドのデューティ比を変更する第2変更手段との少なくとも一方の手段を有するものとすることができる。
【0025】
この場合、前記第1変更手段を、刺激感の強弱設定に応じて、刺激感が強くなるほど励磁周波数を低減変更するものとしたり、水量感の強弱設定に応じて、水量感が強くなるほど励磁周波数を低減変更するものとすることができる。
【0028】
更に、前記変動発生手段を、
洗浄水の給水経路に設けられ、外部から給水経路中に空気混入が可能に形成された空気混入部と、
該空気混入部に接続され、空気を圧力又は流量の変動をきたして前記空気混入部から空気を強制混入し、前記空気混入部で洗浄水の流れに前記規則的な変動を生じさせる空気混入手段とを有するものとすることができる。
こうすれば、圧力又は流量の変動をきたして空気を空気混入部から洗浄水に強制混入することで、洗浄水の流れに変動を生じさせるので、この変動を容易に起こすことができる。また、洗浄水の流れの変動は空気混入により起こり、空気は圧縮性を有することから、空気混入によっては洗浄水の流れに流量ゼロの状況が起きにくく、水撃抑制にも有益である。
【0029】
この場合、前記空気混入部を、前記吐水孔近傍とされているものとでき、こうすれば、空気の強制混入により洗浄水の流れに変動を起こした後に、速やかに洗浄水を吐水できる。よって、空気混入により生じた洗浄水の流れの変動を不用意に減衰させて洗浄水を吐水することが無い。
【0030】
また、前記変動発生手段を、前記吐水孔に至る給水経路において洗浄水の流れを約5Hz以上の周波数で断続させる断続手段を有するものとし、
前記変動制御手段を、前記断続手段を制御して、前記周波数を前記設定洗浄体感に応じて変更する手段を有するものとすることもできる。
こうすれば、吐水孔からの吐水は断続流での洗浄水吐水となるが、その周波数は約5Hz以上という上記した不感帯周波数である。そして、この断続流の周波数を設定洗浄体感に応じて変更して、設定洗浄体感を得ることができる。このため、断続流の周波数を約5Hz以上の範囲で種々変更することで多様な洗浄体感を得ることができる。更に、洗浄体感を得るための断続流の周波数変更に際し洗浄水流量の調整を伴わないので、流量を維持したまま洗浄体感の多様化を図ることができる。
【0031】
加えて、約5Hz以上という不感帯周波数での断続流としたので、断続流での洗浄水吐水を受ける使用者には、洗浄水が断続して人体表皮に当たっているということを感じさせないようにできる。このため、間欠的な吐水の一形態である断続流での洗浄水吐水であっても、使用者にはあたかも連続した流れで洗浄水吐水を受けているような感じを与えることができる。従って、上記した断続流での洗浄水吐水を、洗浄水による連続的な洗浄が求められる通常のお尻洗浄やビデ洗浄にも好適に用いることができ、その際に違和感や不快感を与えることがない。
【0032】
こうした断続手段の好適な態様としては、上記周波数で断続流とすることができる手段であれば、各種の態様をとることができ、たとえば、給水経路の開閉を行うオンオフ弁や、流量型電磁ポンプなどにより実現することができ、また、断続により増減する水量は、完全に0〜100%まで増減するほか、断続を体感でき、しかも節水に効果のある範囲であればよく、たとえば、10〜100%の範囲で増減する態様や、時間に応じて断続する水量を可変とする態様をとることができる。そして、断続の周波数を商用電源の周波数とすれば、上記弁・ポンプ等の制御が容易となる。
【0033】
また、前記給水経路を流れる洗浄水を所定圧に調整する調圧手段を、前記断続手段により洗浄水の流れに断続が生じた箇所より上流の前記給水経路に有するものとすることができる。
こうすれば、断続流の洗浄水吐水を行うに際して、洗浄水の圧力を調圧した上で洗浄水の流れに断続を生じさせる。給水経路を流れる洗浄水の圧力は洗浄水水量に影響を及ぼすので、断続発生前での洗浄水圧力の調圧を通して、断続流での洗浄水吐水の吐水量を調整できる。
【0034】
【発明の他の態様】
本発明は、次のような他の態様を採ることもできる。即ち、
前記変動発生手段により洗浄水の流れに生じた前記変動に伴う水撃を、前記変動発生手段より上流の前記給水経路において低減する水撃低減手段を有するものとすることができる。
こうすれば、確実に水撃を低減或いは回避できる。特に、洗浄水の流れに流量ゼロの状況を起こさないようにすることと併用すれば、より確実に水撃を低減或いは回避できる。
【0035】
この場合、前記給水された洗浄水を温水化する温水手段を、前記水撃低減手段の上流の前記給水経路に有するようにすることができる。
こうすれば、温水手段には水撃が伝わらないようにできるので、温水化されつつある洗浄水に乱れを生じさせ難くでき、温水化の際の温度分布を不用意に乱さない。よって、温水化の際の温度の安定化を図ることができ、制御も容易となる。
【0036】
更に、複数の前記吐水孔を異なる吐水対象ごとに有すると共に、前記吐水孔に至る管路を前記吐水孔ごとに有する吐水部と、
前記変動或いは前記断続が生じた洗浄水の供給先を、前記吐水部の複数の前記管路のいずれかに切り替える切替手段とを備えるものとすることができる。
また、前記吐水孔とこれに至る管路とを有し、異なる吐水対象ごとに用意された複数の吐水部と、
前記変動或いは前記断続が生じた洗浄水の供給先を、前記複数の吐水部のうちのいずれかの前記吐水部の前記管路に切り替える切替手段とを備えるものとすることができる。
【0037】
こうすれば、異なる吐水対象に脈動流或いは断続流の状態で洗浄水を吐水して、各吐水対象を洗浄できる。しかも、各吐水対象の洗浄時には、上記したように洗浄体感の多様化等をもたらすことができる。この場合、異なる吐水対象ごとに脈動流或いは断続流の周波数を設定できる。例えば、既述した境界領域も考慮して、局部洗浄装置においてお尻洗浄では約71Hz、柔らか洗浄で約71Hz、ビデ洗浄では約83Hzのように周波数を変更するというように、各種の洗浄形態の特性に合わせて周波数を設定してもよい。
【0038】
さらに、他の好適な態様として、脈動流或いは断続流での洗浄水吐水を指令する指令手段と、該指令手段からの信号により発生する脈動流或いは断続流の周波数を変更するとともに、該周波数を少なくとも被洗浄面に着水するときに約5Hz以上(不感帯周波数)になるように制御する周波数制御部とを備える構成をとることができる。この態様の一例として、人体を洗浄しない期間、たとえば洗浄開始の初期や洗浄終了後における吐水孔周辺洗浄のためのノズル洗浄の期間や、ノズル自体を掃除する際には脈動流や断続流としないで、被洗浄面に着水するときだけに脈動流や断続流の不感帯周波数になる構成をとることができる。また、人体洗浄の開始前にノズル洗浄を行なう場合において、このノズル洗浄のときに周波数が不感帯周波数より小さい脈動流や断続流を生成しておき、その後の被洗浄面への着水時に周波数を不感帯周波数域まで上昇させる構成をとることにより、脈動流や断続流による快適な洗浄を確実に行なうことができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る人体洗浄装置を人体局部を洗浄する局部洗浄装置に適用した実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、便器に装着した状態の実施例の局部洗浄装置10を表す概略斜視図、図2は、局部洗浄装置の概略構成を水路系を中心に表したブロック図、図3は、この水路系に配設されたアキュムレータ73の概略構成を示す断面図、図4は、同じく水路系に配設された波動発生機器74の構成を表す断面図である。また、図5は、この波動発生機器74による洗浄水の流れの様子を説明する説明図、図6は、波動発生機器74の設置の様子を模式的に表した模式図、図7は、制御系の概略構成を表すブロック図である。
【0040】
図示するように、局部洗浄装置10は、便器BTの後部上面に固定される本体部12と、洗浄動作や乾燥動作等を遠隔操作するための遠隔操作装置14とを有する。本体部12は、便器開口部側に、便座18並びに便蓋20を開閉自在に備える。また、この本体部は、便器の側方に袖部22を有すると共に、洗浄水を洗浄局部に吐水する洗浄ノズル24を有するノズル装置40(図8参照)の他、後述の種々の機能部品を収納している。
【0041】
遠隔操作装置14は、その前面に、排便時に常用される種々のボタンを備え、操作されたボタンに対応した信号(光信号)を発するようにされている。例えば、お尻洗浄が所望される際に操作されるお尻洗浄ボタン(図示省略)が操作されると、その旨の信号が発せられ、この信号は本体部12の側で受信される。そして、この信号を受けて、お尻洗浄が開始される。なお、この遠隔操作装置14は、停止ボタンやビデ洗浄ボタンの他、乾燥ボタン、水勢設定ボタン、ムーブ設定ボタン等の種々のボタンを有するが、本発明の要旨と直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
【0042】
袖部22は、その上面に、本局部洗浄装置の動作状況等を表示する表示部28と、開閉自在なカバー29とを有する。なお、この表示部には、上記の遠隔操作装置14から発せられた光信号を受光する受光部が組み込まれている。また、このカバー29の一部は、着座人体を検出するための着座センサSS10(図7参照)からの光を選択的に透過させるよう着色された光透過窓29aとされている。また、この袖部22のカバー下方には、局部洗浄に必要な最低限のボタンが設けられており、遠隔操作装置14が電池切れ等で操作不能なときでも袖部のボタン操作で局部洗浄を行うことができるようにされている。
【0043】
本実施例の局部洗浄装置10は、遠隔操作装置14や袖部22のボタン操作に応じた洗浄動作・乾燥動作等を行うため、以下の水路系構成並びに制御系構成を有する。図2に示すように、本局部洗浄装置の水路系は、図示しない外部の給水源側から、入水側弁ユニット50と熱交換ユニット60と流調弁65と波動発生ユニット70とを備える。そして、この波動発生ユニット70から洗浄ノズル24の流路切換弁71を経て洗浄ノズル24に洗浄水が、波動発生ユニット70による変動を保ったまま案内され、当該ノズルから後述のように洗浄水が吐水される。これら各ユニットは、波動発生ユニット70を挟んだ上流側・下流側給水管路で接続されている。即ち、入水側弁ユニット50と熱交換ユニット60は、上流側給水管路51で接続され、波動発生ユニット下流の流路切換弁71は、下流側給水管路72で接続されている。
【0044】
上流側給水管路51は、本局部洗浄装置に給水源(水道管)から洗浄水(水道水)を直接給水すべく入水側弁ユニット50に配管されている。この上流側給水管路51に導かれた洗浄水は、入水側弁ユニット50のストレーナ52でのごみ等の捕捉を経て、逆止弁53、調圧弁54に流れ込む。そして、調圧弁下流の電磁弁55にて管路が開かれると、洗浄水は、調圧弁54で所定の圧力(1次圧:約0.098MPa{約1.0kgf/cm2 })に調圧された状態で、瞬間加熱方式の熱交換ユニット60に流入する。このように調圧を受けて流入する洗浄水流量は、約300〜600cc/min程度となるようにされている。なお、上流側給水管路51を、便器洗浄用の洗浄水を貯留する洗浄水タンク(図示省略)から分岐して入水側弁ユニット50に配管することもできる。
【0045】
この入水側弁ユニット50から熱交換ユニット60に至る間の上流側給水管路51には、リリーフ弁56を介在させた第1洗浄水導出管路56aが配設されている。この第1洗浄水導出管路56aは、リリーフ弁上流側の管路圧力が何らかの原因で上昇してリリーフ弁56により管路が開かれると、上流側給水管路51内の洗浄水を外部に導出する。これにより、上流側給水管路51、延いては熱交換ユニット60における熱交換部内圧の上昇を回避できるので、熱交換部の変形や収縮・膨張による疲労を回避でき好ましいばかりか、必要以上に高い耐圧性能を有する熱交換部とする必要がない。
【0046】
上記の第1洗浄水導出管路56aは、その末端が脱臭用吸気口や局部乾燥用排気口に向くよう配設されている。よって、この導出管路から導出された洗浄水は、これら吸気口や排気口或いは下ケースに形成されたトイに吐水される。この吸気口や排気口やトイは、便器ボール部に臨んでいることから、ボール部に配設された汚物の飛散水を浴びて汚れることがある。しかし、吸気口や排気口やトイは上記の導出管路からの洗浄水により洗浄されるので、衛生面や清潔感の観点から好ましい。なお、導出管から吐水された洗浄水は、便器ボール部に流れ落ちるので、便器周辺を汚すようなことがない。
【0047】
上記した入水側弁ユニット下流の熱交換ユニット60は、ヒータ61を内蔵する熱交換部62を備える。このヒータ61は、熱応答性が良好なタングステン−モリブデンを用いたものであり、次のようにして製造されている。まず、タングステン−モリブデンのペーストで、ヒータパターンをセラミックシートにスクリーン印刷し、このセラミックシートを円筒セラミックに巻付け、焼結する。こうすることで、ヒータ61は、ヒータパターンを絶縁層で絶縁して形成した円筒状セラミックヒータとして構成される。そして、通電用の電極部にはNiめっきしたコバール電極を用い、このコバール電極をヒータパターンにロー付け固定する。また、こうしてできた円筒形状のヒータにガラス溶着にて取付フランジ固定し、ヒータ61とされる。このようにヒータ61を熱応答性が良好なものとしたので、熱交換部62はこのヒータ61による洗浄水の瞬間加熱が可能な容量であればよくなり、熱交換部、延いては熱交換ユニット全体の小型化が可能である。また、熱交換ユニット60の構造が簡略となるので、組み付け工数の低減、低コスト化といった製造上の利点がある。なお、ヒータ61またはその近傍に、その異常加熱を機械的に遮断する図示しないバイメタルスイッチや温度ヒューズが装着されている。
【0048】
そして、この熱交換ユニット60は、熱交換部62へ流入する洗浄水の温度と熱交換部62から流出する洗浄水の温度を入水温センサSS16aと出水温センサSS16bで検出しつつ、ヒータ61で洗浄水を設定温度の洗浄水に温水化する。そして、このようにして温水化された洗浄水は、流調弁65により流量調整を受けた上で、後述の波動発生ユニット70に流入する。なお、この流調弁65を、波動発生ユニット70に至る管路とその他の外部管路(例えば、便器ボール部への捨て水管路)に切り換える流調切換弁とし、波動発生ユニット70に至る管路とその他の外部管路(捨て水管路)との開度比を変更することで、波動発生ユニット70への流量(洗浄水吐水流量)を調整するように構成してもよい。この場合には、流調切換弁に至った洗浄水流量とこの洗浄水吐水流量の差分の洗浄水が外部管路から便器ボール部に流れ落ちる。つまり、ノズル以外への洗浄水導出を介して、洗浄水吐水流量を調整する。
この場合、熱交換ユニット60を発泡材等の断熱材で被覆すれば、断熱材による洗浄水保温効果と相俟って、洗浄水温水化のヒータの消費電力を削減できる。つまり、省エネ効果が高まる。
【0049】
また、この熱交換ユニット60は、熱交換部内水位を検出するフロートスイッチSS18を有する。このフロートスイッチは、ヒータ61が水没する所定の水位以上になるとその旨の信号を出力するよう構成されている。そして、電子制御装置80はこの信号を入力している状況下でヒータ61を通電制御するので、水没していないヒータ61に通電してしまうとういような事態、いわゆるヒータの空焚きを回避する。なお、熱交換ユニット60のヒータ61は、後述する電子制御装置80によってフィード・フォワード制御とフィードバック制御を組合わせながら最適に制御される。
【0050】
更に、この熱交換ユニット60は、熱交換部62からの洗浄水出口、即ち、熱交換部下流の管路の熱交換部接続箇所に、バキュームブレーカ63を備える。このバキュームブレーカ63は、管路内に大気を導入して熱交換部下流の管路内の洗浄水を断ち切り、熱交換部下流側からの洗浄水逆流を防止する。
【0051】
波動発生ユニット70は、その上流側からアキュムレータ73と、波動発生機器74とを有する。このアキュムレータ73は、図3に示すように、波動発生機器74より上流の上流側給水管路51に接続されたハウジング73aと、ハウジング内のダンパ室73bに配置されたダンパ73cと、このダンパに付勢力を及ぼすスプリング73dとを有する。よって、アキュムレータ73は、波動発生機器74の上流において、上流側給水管路51の水撃を低減する。このため、熱交換部62の洗浄水温度分布に及ぼす水撃の影響を緩和でき、吐水洗浄水の温度を安定化することができる。
【0052】
この場合、アキュムレータ73は、波動発生機器74に近接配置したり当該機器と一体的に配置することが、後述するようにこの波動発生機器74で発生された脈動を上流側に伝播することを速やかにかつ効果的に回避できる観点から好ましい。なお、アキュムレータ73は、ダンパ73cとこれを付勢するスプリング73dの無い単なる空気室としてのダンパ室73bを有するだけの構成や、上流側給水管路51を一部上方に意図的に膨張させたようなエアー溜まりとして形成することもできる。
【0053】
波動発生機器74は、図4に示すように、上流側・下流側給水管路51、72に接続されるシリンダ74aにプランジャ74bを摺動自在に備える。そして、このプランジャ74bを電磁コイル(脈動発生コイル)74cの励磁制御により上流側・下流側に進退させる。プランジャ74bは、脈動発生コイル74cの励磁により図示する原位置(プランジャ原位置)から下流側に移動するが、コイル励磁が消えると、復帰スプリング74eの付勢力を受けて原位置に復帰する。この際、緩衝スプリング74dでプランジャ74bの動作が緩衝される。
【0054】
プランジャ74bは、その内部に鋼球とスプリングからなる逆止弁74fを有するので、プランジャ原位置から下流側への移動の際には、シリンダ74a内の洗浄水を加圧して下流側給水管路72に押し流す。この際、プランジャ原位置は一定であることから、一定量の洗浄水が下流側給水管路72に送られることになる。その後、原位置に復帰する際には、逆止弁74fを経てシリンダ74a内に洗浄水が流れ込むので、次回のプランジャ74bの下流側移動により、改めて一定量の洗浄水が下流側給水管路72に送られることになる。しかも、プランジャ74bの原位置復帰の際には、プランジャ下流側、即ち下流側給水管路72の洗浄水の引き込みが起きるので、この波動発生機器74は、プランジャ74bの往復動に伴って圧力が周期的に上下変動する脈動を引き起こし、洗浄水を脈動流の状態で下流側給水管路72に流す。
【0055】
この場合、波動発生ユニット70には上流側給水管路51を経て上記の1次圧の洗浄水が給水されている。よって、上記したようにプランジャ74bの原位置復帰の間に逆止弁74fを経てシリンダ74a内に流れ込んだ洗浄水は、逆止弁74fによる圧力損失や下流側の洗浄水の引き込みの影響を受けて1次圧のままではないものの、下流側給水管路72に送られる。この様子を図でもって表すと、図5に示すように、洗浄水は、波動発生ユニットへの導入水圧Pinを中心に脈動した圧力で波動発生機器74から下流側給水管路72、延いては洗浄ノズル24に送られて後述するように局部に吐水される。しかも、波動発生機器74からその下流に送られる洗浄水圧は、上記のようにプランジャ74bの原位置復帰の際の逆止弁74fを経たシリンダ74a内への洗浄水流れ込みにより、ゼロとなることはない。この洗浄水圧の脈動推移は、洗浄水流量の推移に反映する。この場合、脈動の中心となる上記の導入水圧Pinは流調弁65にて調圧されるので、脈動を図5に示す軌跡のまま上下にシフトしたものとできる。そして、洗浄水圧の脈動推移は洗浄水流量の推移に反映するので、脈動をシフトさせれば、吐水量自体を上下に調整できる。
【0056】
この図5に見られる脈動周期MTは、脈動発生コイル74cの励磁周期に同期し、この励磁周期の変更制御を通して後述のように種々設定可能である。しかも、洗浄水の脈動流発生にプランジャ74b往復動のためのコイル励磁だけで済むので、波動発生機器74の構成を簡単にすることができる。
【0057】
また、本実施例では、図2に示すように、波動発生機器74を熱交換ユニット60の熱交換部62の下流に配置したので、脈動流とされた洗浄水は、給水管路より大径であるために脈動減衰を起こし易い熱交換部を通過することが無い。よって、下流側給水管路72、延いては洗浄ノズル24には、熱交換部による脈動減衰の影響を受けることがない状態で、脈動流の洗浄水を送り込むことができる。
【0058】
更に、この波動発生機器74の設置に際しては、いわゆる防振ゴムを介在させた。よって、この防振ゴムによる制振作用により、脈動発生に伴う振動を抑制できると共に、振動による異音発生も抑制できる。この場合、波動発生機器74を、金属等の高比重の粉体物や粒状物を混合することで高比重化された樹脂プレート(図示省略)に設置し、この樹脂プレートを防振ゴムを介在させて本体部の底面プレートに配置することもできる。こうすれば、振動源質量を波動発生機器74と樹脂プレートの和として大きくしたこと自体で、脈動発生に伴う振動を起きにくくできることに加えて、防振ゴムによる制振作用により制振を図ることができる。
【0059】
このように振動源質量を大きくするに当たって、上記したような高比重の樹脂プレートに波動発生機器74を設置することに替えて、本局部洗浄装置が有する質量の大きな部材やユニットにこの波動発生機器74を設置することもできる。こうすれば、樹脂プレートを必要としないので、部材数低減によるコスト低下といった製造上の利点があり、装置の小型化も図ることができる。また、波動発生機器74と樹脂プレートとの間にも防振ゴムを配設すれば、この防振ゴムと樹脂プレート下面の防振ゴムとで、図6に示すような2自由度系の振動絶縁のダンパ機構を構成できる。このため、振動緩和に効果的なバネ常数k1、k2や減衰係数c1、c2とできるように防振ゴムを選定することで、高い制振効果を発揮することができ、便座等への振動伝播を効果的に回避できる。なお、このような制振により、振動に伴う異音の発生も効果的に抑制できる。
【0060】
また、波動発生機器74と熱交換部62との間にアキュムレータ73を配置していることと相俟って、熱交換部62に不要な脈動圧を与えることが無い。このため、熱交換部内圧の不用意な上昇を回避できるので、熱交換部の変形や収縮・膨張による疲労を回避でき好ましいばかりか、必要以上に高い耐圧性能を有する熱交換部とする必要がない。
【0061】
本実施例では、上記の水路系を構成するに当たり、次のようにした。即ち、上流側・下流側給水管路51、72の両給水管路を高硬度の可撓性配管とすると共に、上記の下流側給水管路72の硬度を上流側給水管路51より大きくした。また、これら管路と上記各ユニットの配管接続部にカプラ方式の継手を用いた。更に、各ユニットを近接配置して、ユニット間の給水管路長を短くした。これらの結果、給水管路自体の伸縮、膨張・収縮が起き難くなり、この伸縮に伴う脈動減衰の影響を抑制できるので、脈動減衰を低減した状態で、脈動流の洗浄水を洗浄ノズル24に送り込むことができる。特に、波動発生機器74と流路切換弁71の近接配置を図ったので、この間の下流側給水管路72を洗浄水が通過する際の脈動減衰は、下流側給水管路72が高硬度の可撓性配管であることと相俟って、より効果的に抑制できる。
【0062】
この場合、上流側・下流側給水管路51、72の両給水管路を次のようにすることができる。例えば、この両給水管路を同一材料の高硬度の可撓性配管とし、下流側給水管路72の配管壁を上流側給水管路51より厚くすることで、両給水管路に硬度の大小が生じるようにすることができる。また、両給水管路の材料自体に硬度の大小があるものを用いることもできる。
【0063】
本実施例の局部洗浄装置の制御系は、図7に示すように、マイクロコンピュータを主要機器とする電子制御装置80を中心に構成されている。この電子制御装置80は、上記した着座センサ、入水出水温センサ等の各種センサやフロートスイッチ、転倒検知センサSS30、洗浄水量センサSS14からの信号の他、遠隔操作装置14や袖部22における洗浄ボタン等の種々の操作ボタン並びにツマミの操作状況を、入力回路を介して有線もしくは無線(光信号)で入力する。この場合、洗浄水量センサは、下流側給水管路72における洗浄水量を検出し、その検出結果を電子制御装置80に出力する。転倒検知センサSS30は、本局部洗浄装置の傾き状態を検知してその結果を電子制御装置80に出力する。
【0064】
この電子制御装置80は、入力した上記信号に基づいて、入水側弁ユニット50の電磁弁開閉弁制御、熱交換ユニット60のヒータ通電制御、流調弁制御、本体袖部表示部の表示制御、局部乾燥用の乾燥ヒータやファンモータ等を含む乾燥部79の通電制御、臭気除去用のオゾナイザーや吸引ファンモータ等を含む脱臭部(図示省略)および室内暖房用のヒータやファンモータ等を含む暖房部(図示省略)の通電制御を実行する他、上記信号に基づいて、後述のノズル装置40のノズル駆動モータ制御、脈動発生コイル74cの励磁制御を通した脈動周波数制御を実行する。この脈動周波数制御については後に詳述する。なお、局部乾燥用の乾燥ヒータを室内暖房用のヒータと共用したり、局部乾燥用のファンモータを臭気除去用や室内暖房用のファンモータと共用したりすることもできる。
【0065】
次に、本実施例の局部洗浄装置10が有するノズル装置40について説明する。図8は、ノズル装置40を表す概略斜視図、図9は、図8における9−9線概略断面図、図10は、洗浄ノズル24の進退の様子を説明するための説明図である。
【0066】
図示するように、ノズル装置40は、局部洗浄装置10の本体部12(図1参照)に収納設置される。このノズル装置40は、本体部12に固定設置されるベース41と、このベース上面の架台41aに組み込み配設されたノズル駆動モータ42と、このモータの正逆回転を前後動に変換して洗浄ノズル24に伝達する伝達機構43と、ベース上面に立設され洗浄ノズル24を便器ボール部側で摺動自在に保持するノズル保持部41bと、洗浄ノズル24を後述のノズル進退軌道に沿って案内する案内レール部44とを有する。
【0067】
伝達機構43は、ノズル駆動モータ42の回転軸に固定された駆動プーリ43aと、上記のノズル進退軌道に沿った前後の従動プーリ43bと、これらプーリに掛け渡されたタイミングベルト43cと、当該ベルトにテンションを与えるテンションローラ43dとを有する。タイミングベルト43cは、洗浄ノズル24の筒状部24aから延びたベルト把持体24bを介して、当該ノズルと係合・固定されている。よって、この洗浄ノズル24は、タイミングベルト43cの正逆回転に応じて前後に進退駆動する。
【0068】
案内レール部44は、図10に示す円弧状のノズル進退軌道45と同心に湾曲形成されており、洗浄ノズル24の下方に位置するよう設置されている。そして、この案内レール部44は、図9に示すように、洗浄ノズル24の後端側下方の軌道把持体24cを介して当該ノズルと係合されている。この軌道把持体24cは、案内レール部44のレール部左右を上下に把持し、レール把持箇所に、上記のノズル進退軌道45と同じ曲率半径の軌道把持面とされた把持部24dを有する。この把持部24dは、レール部に対しての摺動性と振動吸収機能を備え、含油、WAX配合等の材料配合処理を経たゴム系材料、或いは、テフロンコート、ハロゲン処理、梨地処理等の表面処理を経たゴム系材料を用いて製造されている。よって、後述するように波動発生機器74から脈動流の洗浄水が洗浄ノズルに流れ込み、この洗浄ノズルに脈動流に起因する振動が起きても、その振動の他の部材への伝播を防止できる。このため、振動に伴う異音の発生も抑制できる。
【0069】
また、便器ボール部側のノズル保持部41bは、洗浄ノズル24を摺動自在に保持する。よって、洗浄ノズル24は、タイミングベルト43cにより前後に進退駆動する際、案内レール部44に沿って前後に進退駆動し、その移動軌跡は円弧状のノズル進退軌道45と一致する。この場合、洗浄ノズル24にあっても、その筒状部24aは、このノズル進退軌道45と同じ曲率半径で軸方向に沿って湾曲形成されている。このため、洗浄ノズル24は、円弧状のノズル進退軌道45と一致して、本体部内の待機位置HPと便器ボール部内の洗浄位置(お尻洗浄位置AWP、ビデ洗浄位置VWP)との間を前後に進退駆動する。なお、ノズル保持部41bは、洗浄ノズルの摺動抵抗を低減するため、ノズル外壁と一部しか接触しないようにされている。そして、この接触箇所に、上記配合処理や表面処理を受けて摺動性と振動吸収機能を発揮するゴム系材料の部材を配置すれば、上記した振動伝播の防止効果と異音発生の回避効果を高めることができる。
【0070】
この結果、図10に示すように、待機位置HPの洗浄ノズル24を、その軸方向に亘って便器上面に近づくよう、ノズル装置40に装着できる。よって、便器上面からの洗浄ノズル後端高さ(ノズル高さ)を、円柱状の洗浄ノズルを傾斜した直線軌道に沿って進退させる場合より低くできる。従って、このノズル高さの低減の分だけ本体部12(図1参照)を低くでき、局部洗浄装置自体を小型化することができる。また、ノズルの進出によってノズルヘッド上面の角度が変わって当該ヘッドからの洗浄水吐水角度が変わるので、少ないノズル移動で洗浄範囲を大きく移動することができる。具体的には、後述のムーブ洗浄の際のノズル往復動範囲を狭くしても、ムーブ洗浄に求められる洗浄範囲に亘って洗浄水を吐水できる。或いは、お尻洗浄位置AWPからビデ洗浄位置VWPまでのノズル移動距離が短くても、洗浄水による洗浄箇所をお尻からビデに変更できる。
なお、上記した洗浄ノズル24を直線管路形状とすると共に、ノズル進退軌道45をも直線軌道とし、ノズルを直線軌道に沿って進退させることもできる。
【0071】
この実施例のノズル装置40では、既述したように洗浄ノズル24と案内レール部44が上下に重なる位置関係を採ることから、幅方向についてコンパクト化できる。よって、このノズル装置40と波動発生機器74とのより一層の近接配置が可能となるので、下流側給水管路72における脈動減衰の抑制効果を高めることができる。また、このノズル装置40の設置に際しては、ベース41(図8参照)を防振ゴムを介在させて本体部の底面プレートに配置した。よって、このノズル装置40に脈動に伴う振動が伝播しても、防振ゴムによる制振作用によりこの振動を効果的に抑制できると共に、振動による異音発生も抑制できる。
【0072】
次に、洗浄ノズル24について説明する。図11は、この洗浄ノズル24が有する流路切換弁71の構成を説明するための要部概略断面図、図12は、この流路切換弁71の要部の分解斜視図である。図13は、ノズルヘッド25を平面視すると共にヘッド周辺を一部破断して示す平面図、図14は、このノズルヘッド25の変形例を示す平面図である。
【0073】
図8、図9および図11に示すように、流路切換弁71は、洗浄ノズル24の後端に位置する。そして、波動発生機器74から送られた脈動流の洗浄水の給水先を、洗浄ノズル24のお尻洗浄用、やわらか洗浄用およびビデ洗浄用の各ノズル流路に切り換えるべく以下の構成を有する。
【0074】
流路切換弁71は、後述の切換機構を内蔵したケーシング71aを備える。そして、この流路切換弁71は、ケーシング71aを洗浄ノズル24の筒状部24aの後端端面に溶着することで、洗浄ノズル24と一体とされている。よって、洗浄ノズル24と共に上記したように軌道に沿って進退する。
【0075】
ケーシング71aには、ノズル側から、ノズル内の各流路と連通した連通孔を有するステータ71bと、流路切換のために回転しステータ71bの各連通孔を択一的に開放するロータ71cと、このロータ71cに回転を伝達するためのカップリング71dと、このカップリング71dを回転自在に収納するハウジング71eと、ロータ71cをステータ71bに向けて付勢するスプリング71fとを有する。図12に示すように、ステータ71bの各連通孔71g〜71iは、ロータ71cに面する側では等分に開口され、ノズル側では、図9に示すノズル内流路、即ち、お尻洗浄用ノズル流路の第1ノズル流路26a、やわらか洗浄用ノズル流路の第2ノズル流路26b、ビデ洗浄用ノズル流路の第3ノズル流路26cの各流路に連通するよう空けられている。つまり、ステータ71b内で連通孔が湾曲形成されている。この各連通孔は、洗浄ノズル後端における上記の各ノズル流路の開口部の並びに併せて配置してもよく、この場合には、上記の各連通孔は、ストレートな孔でよい。なお、上記の第1〜第3ノズル流路26a〜26cは、ノズル先端のノズルヘッド25まで、筒状部24aの長手方向に亘って区画形成されている。
【0076】
ロータ71cは、ステータ71b上面に等分に開口した上記各連通孔の一つを開放できる切欠71jを有し、この切欠71jを連通孔開口と重ねることでその連通孔を開放する。この場合、ロータ71cは、切欠71jを隣り合う連通孔間に位置させることで、各連通孔を遮蔽できるようにされている。つまり、切欠71jが隣り合う連通孔開口間にある位置からロータ71cが僅かに回転すれば、連通孔を介して上記の各ノズル内流路に洗浄水を送り込める。なお、ノズル内に残存した水の排出(水抜き)の便のため、このロータ71cを総ての連通孔開口と重なることもできる切欠を有するようにして、水抜き時には、この切欠により総ての連通孔を開口させることもできる。
【0077】
カップリング71dは、流路切換弁71の有する駆動モータ71kの回転軸に装着され、スリット71mに回転軸ピン71nを位置させる。また、このカップリング71dは、回転キー71qをロータ71cのスリット71rに位置させている。よって、駆動モータ71kが正逆回転すると、その回転は、回転軸ピンにてカップリング71dに、回転キー71qにてロータ71cに伝達される。そして、ロータ71cの回転により切欠71jが上記したように各連通孔のうちの一つを選択的に開放するので、選択された連通孔に対応するノズル流路に、波動発生機器74からの脈動流の洗浄水が給水される。
【0078】
この場合、波動発生機器74からの洗浄水は、下流側給水管路72(図2参照)並びに流路切換弁71のケーシング71aに設けた接続継手71sを経てこの流路切換弁71に流れ込む。この接続継手71sに波動発生機器74から下流側給水管路72を接続するに当たっては、波動発生機器74を接続継手71sより下方側に配置する等の処置を採って、下流側給水管路途中にエアー溜まりができないようにした。このため、波動発生機器74から流路切換弁71まで脈動流の洗浄水が達する間においては、エアー溜まりが無いことと上記したように管路が高硬度のものであることから、脈動の減衰をより効果的に抑制できる。また、波動発生機器74で脈動流とされた洗浄水がノズル装置40に至るまでの管路は、この波動発生機器74と流路切換弁71までの下流側給水管路72だけである。そして、この下流側給水管路72が周囲の部材と接触を起こし得る場所には、防振ゴム等の緩衝材を配置した。具体的には、周囲の部材側に防振ゴムを装着したり、給水管路に防振ゴムを巻き付けたりした。よって、下流側給水管路72が上記したように高硬度のものであることと相俟って、脈動の減衰をより効果的に抑制できる。
【0079】
この流路切換弁71のケーシング等の各部材は、ポリフェニレンサルファイド(略称PPS)、ポリアセタール(略称POM)、ポリブチレンテレフタレート(略称PBT)、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート(略称GF・PBT)等の耐久性・耐熱性に富むエンジニアリングプラスチックを用いて形成されている。よって、流路切換弁内の洗浄水流路は、高強度の管路として機能するので、管路伸縮による脈動減衰を招かない。そして、波動発生機器74からの脈動流洗浄水をノズル流路に給水するに際しては、流路切換弁71が洗浄ノズル24と一体とされその間に配管が無いことも相俟って、脈動の減衰をほとんど起こすことがない。また、上記したように給水先を切り換えるに際しては、ロータ71cの回転を利用しているので、ダイアフラム等の弾性体の弾発を利用した流路切換弁に比べて、脈動の減衰をより効果的に抑制できる。
【0080】
この流路切換弁71によれば、次のような利点がある。流路切換弁71は、波動発生機器74ではなくその下流の洗浄ノズル24に一体とされ、脈動流の発生に伴って振動源となりうる波動発生機器74から切り離されている。よって、振動源をこの波動発生源だけとすることができる。また、流路切換弁71は、洗浄ノズル24と一体に進退するが、駆動モータ71kはそのコイル巻線部分が樹脂モールドされているので、洗浄位置への進出時に洗浄水が駆動モータ71kに飛散してもモータ駆動に支障はない。更に、ノズル装置40に至る下流側給水管路72を1本にできるので、管路がノズル進退時の負荷となる程度を低減できる。よって、ノズル駆動モータ42に対する負荷トルクを低減できる。
【0081】
洗浄ノズル24のノズルヘッド25は、通常のお尻洗浄用のお尻吐水孔31と、お尻のやわらか洗浄用のやわらか吐水孔32と、ビデ洗浄用のビデ吐水孔33を有する。このノズルヘッド25は、洗浄ノズル24の筒状部24aの先端に水密に固定され、ノズルヘッド内部に形成された第1ヘッド流路34、第2ヘッド流路35、第3ヘッド流路36を、それぞれ、洗浄ノズルの第1ノズル流路26a、第2ノズル流路26b、第3ノズル流路26cに接続する。図示するように、これらノズル流路は、ノズルヘッド上面にて上記の各吐水孔に至っている。よって、流路切換弁71(図8参照)が洗浄水の給水先を、ノズル後端にて、第1ないし第3ノズル流路26a〜26cのいずれかに切り換えると、洗浄水は、その切り換えられたノズル流路並びにヘッド流路を経て、上記各吐水孔から吐水される。この場合、波動発生機器74から脈動流の洗浄水が給水されるので、各吐水孔からは、脈動の性質を持った洗浄水吐水がなされる。
【0082】
この場合、ノズルヘッド25の上記各吐水孔31〜33は、お尻吐水孔31が最もその孔径が小さく、ビデ吐水孔33とやわらか吐水孔32はこのお尻吐水孔より孔径が大きくされている。このため、図示しない遠隔操作装置の水勢強弱設定ボタンSWhu、SWhdにより水勢が一定に設定されている状況下であれば、各吐水孔からの洗浄水の吐水速度は、お尻吐水孔31が最も速く、ビデ吐水孔33とやわらか吐水孔32ではお尻吐水孔31より遅くなる。このように吐水速度が遅いやわらか吐水孔32を用いるやわらか洗浄は、お尻吐水孔31での通常のお尻洗浄の場合より、吐水から受ける洗浄感を吐水速度が遅い分だけ少なくとも柔らかなものとする。なお、ビデ吐水孔33ややわらか吐水孔32は、図示するように単一の孔に限られるものではなく、図14に示すように、小径の細孔を複数配置してその全体でビデ吐水孔33ややわらか吐水孔32と形成することもできる。この場合には、複数の細孔面積の総和である吐水孔総面積をお尻吐水孔面積以上とすれば、細孔全体として吐水は、お尻洗浄の場合より柔らかくなる。
【0083】
次に、お尻洗浄を例に採り、この実施例の局部洗浄装置10による洗浄水吐水の様子について説明する。図15は、洗浄水吐水に際して脈動を発生させる波動発生機器74の脈動発生コイル74cの励磁の様子を説明する説明図、図16は、波動発生機器74から流出する洗浄水の水量及び流速を示すタイミングチャート、図17は、ノズルヘッド25のお尻吐水孔31からの洗浄水吐水の様子を模式的に説明する説明図である。
【0084】
電子制御装置80は、脈動発生コイル74cを励磁して波動発生機器74にて脈動を発生させるに当たり、パルス状の信号を出力する。そして、このパルス信号を、脈動発生コイル74cに接続されこれをオンさせるためのスイッチングトランジスタ86(図29参照)に出力する。よって、脈動発生コイル74cは、パルス信号に従ったスイッチングトランジスタ86のON・OFFにより繰り返し励磁し、上記したようにプランジャ74bを周期的に往復動させる。これにより、波動発生機器74からノズルヘッド25の各吐水孔には、圧力が周期的に上下変動する脈動流の状態で洗浄水が給水され、この脈動流の洗浄水が各吐水孔から吐出される。この際、電子制御装置80は、所定の周波数範囲において、上記のパルス信号の周波数を可変制御すると共に、コイル励磁パルスのオンオフをデューティ比制御する。これにより、種々の脈動を引き起こすことができる。この場合、波動発生機器74で引き起こされた脈動の圧力を検出する圧力センサをこの波動発生機器74の直後の下流側に設け、このセンサの検出値によりデューティ比制御にフィードバックをかけることもできる。
なお、このセンサの設置位置は、脈動圧力を反映できる位置であればその位置は限定されない。例えば、洗浄ノズル近傍に設けたり、波動発生機器74の機構を流用してこの近傍もしくは略一体となって設けてもよい。
【0085】
図15に示すように、図5で示した脈動周期MTを周期T1とし、パルス信号のオン時間をt1とすると、デューティ比は(t1/T1)×100(%)で表わされる。図5で示したような圧力の脈動を起こすと、洗浄水水量は、連続流と比べてデューティ比で表わされる値まで少なくなる。こうした脈動流の水量は、図16に示すように、最大流量Qmaxから最小流量Qminの範囲で増減し、流速についても最大流速Vmaxから最小流速Vminの範囲で増減することになる。なお、この図16において、最小流量Qminおよび最小流速Vminがゼロとなっていないのは、波動発生機器74による脈動圧がその最小でも既述したようにゼロとなっていないことによる。
【0086】
この場合、既述したように波動発生機器74への導入水圧Pinを調圧弁54で調整すれば、脈動の上下シフトにより、図16に示す最大流量Qmaxと最小流量Qmin並びに最大流速Vmaxと最小流速Vminを上下に調整できる。つまり、導入水圧Pinの調圧によっても、吐水水量の調整を行うことができる。
【0087】
従来のように連続流の洗浄水が吐水孔(例えばお尻吐水孔31)から吐水されると、吐水孔からの洗浄水は、図17(A)に示すように連続流としての吐水形態を採る。これに対し、上記のような脈動流の洗浄水が吐水されると、図17(B)に示すように、離散的または水塊状態というように表現できる吐水形態を採って洗浄水が吐水される。このように、波動発生機器74で脈動流とされた洗浄水が、洗浄ノズルの吐水孔から噴出されると、離散的または水塊状態となる理由について、図16および図18を用いて説明する。
【0088】
図18は、脈動流の洗浄水を仮定の吐水孔30から吐水した場合、その吐水された洗浄水が脈動流に増幅される過程を説明する説明図である。図16(A)に示すように、波動発生機器74により洗浄水量が脈動となると、流速Vも同様に変動して脈動になる。すなわち、吐水される洗浄水は、その水量が最大流量Qmaxになると、流速も最大速度Vmaxになり、瞬間の流速および流量が時間とともに変動する。また、図16の脈動流の洗浄水の各部位をWp1,Wp2,Wp3,Wp4,Wp5とすると、この各部位の量はWp1(≒Wp5)<Wp2(≒Wp4)<Wp3となり、それぞれの流速も、V1(≒V5)<V2(≒V4)<V3となる。よって、吐水直後から図18の(A)〜(C)へと移行するにつれて、Wp3はWp2より速度が大きいから、Wp3はWp2と合体し、さらにWp1と合体して大きな水塊となる。
【0089】
このように最大流速のWp3がその前のWp2,Wp1と順次合体することにより、大きな塊となって、人体局部(洗浄面)に着水することになる。この洗浄水は、人体局部に当たるときには、衝突エネルギ(洗浄強度)が大きい水塊状態となっている。この流速V3は、図16に示す最大流速Vmaxであることから、脈動流で吐水された洗浄水は、合体した水塊の状態が脈動周期MTごとに現れるような吐水形態で、吐水孔から吐水されていることになる。しかも、脈動周期でこのような現象が起きることから、上記のように最大流速のWp3の合体を経た水塊は繰り返し現れ、ある吐水タイミングでの水塊とその次の吐水タイミングでのWp3の合体を経た水塊とはほぼ同じ速度(最大速度)で移動(吐水)されることになる。しかも、このそれぞれの水塊は、最大流速でのWp3に遅れて吐水されたWp4、Wp5で繋がれたような状態となる。
【0090】
次に、洗浄水をお尻吐水孔31から連続流として噴出する場合と脈動流として噴出する場合との洗浄強度の相違について説明する。脈動流は、従来の連続流と比較して、同一水量で2倍以上の洗浄強度を有する。これは、以下の理由と考えられる。質量mの洗浄水が速度Vで壁面に衝突したときのエネルギEは、式(1)により表わされる。
E=(1/2)mV2 …(1)
【0091】
また、そのとき壁面に衝突したときの力をfとし、速度Vの洗浄水流が0まで減速して消滅するまでの時間をΔtとすると、エネルギEは、力積により式(2)により表わされ、さらにそのときの力は、減速度をαとすると、式(3)により表わされる。
E=fΔt …(2)
f=mα …(3)
【0092】
図19は、洗浄水流が壁面に衝突する状態を説明する説明図である。図19において、水塊がW1、W2、W3の3つの形態となっている場合を想定し、これらの各々の形態の洗浄水流の洗浄強度について検討する。ここで、水塊W1は断面積S1で長い形態であり、水塊W2は断面積S2がS1の2倍であって短い形態であり、水塊W3は断面積がS1で長さが水塊W1の1/2の形態である。これらの形態において、水塊W1が連続流に相当し、水塊W2、W3が脈動流に相当する。このとき、水塊W1と水塊W2とが壁面に衝突して消滅するまでの時間Δt1とΔt2は、Δt1>Δt2となる。このことは、式(3)から減速度αが大きく、短時間で大きな力で水塊が消滅していることを意味し、水塊W1の力f1と水塊W2の力f2は、f1<f2となる。したがって、連続している水塊W1より、短時間で消滅する水塊W2の方が人体局部に加わる力f2が大きいことが分かる。このことから、脈動流に相当する水塊W3は、水塊W1と比べて質量がm/2であるが、力f3がf1と比べてさほど減少しない。したがって、脈動流として噴出した場合に、連続流より水量を少なくすることができるうえに、人体局部に衝突するときの力はさほど減少することがなく、人体局部に付着している汚れを強い力で除去することができる。そして、水塊W2、W3を比べると、断面積の大きな水塊の方が上記の力fが大きいことから、水塊を大きくするほどこの力fを大きくできる。後述するように、この水塊の大きさは、デューティ比が大きければ大きくなるので、デューティ比により力f(洗浄力)を増減制御できることになる。
【0093】
次に、人体局部の洗浄感を表わす指標である洗浄強度と水量感との関係を説明する。図20は、お尻吐水孔31に対向して所定距離Laだけ隔てて圧力センサ板Psを設置した状態を説明する説明図である。上記所定距離Laは、人体局部が洗浄される位置に設定する。圧力センサ板Psは、2次元のマトリックス状に検出部を備え、各検出部の検出値をそれぞれ独立に出力するセンサである。このような装置を用いて、洗浄ノズル24のお尻吐水孔31から洗浄水を吐水させたときの各検出部から出力される圧力のピーク値を測定した。その結果を図21に示す。図21は、圧力センサ板Ps上の位置と圧力のピーク値とを3次元的に表現した説明図であり、X−Y平面は圧力センサ板Psの位置、つまり被検出体の位置を表しており、Z軸は各位置での圧力のピーク値を表している。図21(A)は、吐水孔に至る洗浄水が流量1.1L/min.の連続流の時の測定結果であり、図21(B)は吐水孔に至る洗浄水が流量0.5L/min.の脈動流の時の測定結果を表す。図21において、洗浄感を左右する要素である洗浄強度は圧力のピーク値にて表され、一方量感は全体的な圧力分布である山の体積で示される。
【0094】
これらを比較すると、図21(B)の脈動流は、図21(A)の連続流に比べて洗浄水量が半減しているにもかかわらず、圧力のピーク値は大幅に増大している。これは被水体への洗浄圧力が大きいことを示しており、すなわち洗浄強度が大きいことを示している。図22は、検出部の1つから検出される検出信号を表わすタイミングチャートであり、図22(A)が連続流、図22(B)が脈動流を示す。脈動流は、連続流に比べてピーク値が高く強度が大きいことが分かる。また全体的な圧力分布である山の体積も図21(A)の連続流に比べて図21(B)の脈動流の方がはるかに大きい。このように、脈動流の方が連続流と比較して極めて量感(水量感)が大きく、洗浄感という官能的な要素を数値に具現化すれば、脈動流による洗浄力が優れていることが分かる。
【0095】
このような脈動流による実際の洗浄量を連続流と比較して調べた結果を図23に示す。図23は、平均吐水量と洗浄量との関係を示すグラフであり、つまり人体局部に付着している汚れを洗浄水で落とす際に、必要とする平均吐水量を示している。図23から分かるように、人体局部に付着した洗浄量D1の汚れを落とすのに、脈動流は、連続流の洗浄水吐水しかできない従来品に比べ約1/4の水量でよいことが分かった。このように、脈動流の洗浄水を吐水孔から吐水させる方法により、洗浄強度(洗浄力)と使用者の洗浄感(洗浄充足感)を飛躍的に高めることができる。
【0096】
この図23における平均吐水量は、脈動流にあっては上記した水塊が連続した形態でのものとなり、水塊の大きさが増すほど平均吐水量も大きくなる。そして、水塊の大きさは既述したようにデューティ比制御で大小制御できるので、デューティ比制御によっても、洗浄力を調整でき、デューティ比を大きくするほど大きな洗浄力を得ることができる。
【0097】
また、脈動流の洗浄水を吐水すると洗浄強度が増して人体局部への刺激が大きくなるが、これは次のように説明できる。
一般に、人体表皮の同一箇所に感知可能な刺激(本実施例では図19に示す水塊W1、W2、W3の衝突による刺激)が意図的に繰り返し加えされた場合、この繰り返し間隔(本実施例では脈動周期MT)が長く繰り返し周波数が低いと、人は、この繰り返された刺激を振動刺激としてその都度感知する。その一方、繰り返し間隔が短く繰り返し周波数が高いと、人は、この意図的に繰り返された刺激を振動刺激とは感知できず、連続的な刺激として感知する。つまり、人体表皮への繰り返し刺激に対しては、振動刺激としては感知できない不感帯周波数がある。
【0098】
ここで、局部及びその周辺の洗浄において、刺激を受ける人体表皮から見て洗浄水の流量または流速の大小を繰り返し吐水(以下、繰り返し吐水という)したと仮定すると、吐水からの刺激の大小が繰り返されることになるので、この繰り返し吐水は洗浄箇所表皮に振動刺激として現れる。これが約5Hz以上の不感帯周波数域の繰り返し周波数であると、この意図的な繰り返し吐水に基づく振動に知覚が追従できなくなる。このため、意図的な繰り返し吐水であるという吐水態様(脈動流での洗浄水吐水形態)を意識できなくなり、無用な振動による不快感が減少される。繰り返し吐水の繰り返し周波数が高まるほど、意図的な繰り返し吐水に基づく振動に対しての知覚の追従が困難となるので、この繰り返し周波数が約10Hz以上の繰り返し周波数になると、通常の知覚を有する大多数の人では意図的な繰り返し吐水に基づく振動に対して知覚がほとんど追従できなくなる。よって、意図的な繰り返し吐水であるという吐水態様(脈動流での洗浄水吐水形態)の認識が困難となり、無用な振動による不快感もより減少される。
【0099】
また、約15Hz以上の繰り返し周波数では、人体表皮の平均的な部位であっても振動認識周波数を超えるので、通常の知覚を有する大多数の人において不快感が感じられなくなる。さらに、約20Hz以上の繰り返し周波数では、人体表皮の敏感な部位であっても振動認識周波数を超えるので、通常の知覚を有する大多数の人において連続的で良好な洗浄感を確実に感じることができる。その上、約30Hz以上の繰り返し周波数では、人体表皮の神経が特に集中した敏感な部位であっても、振動認識周波数を超えるので、通常の知覚を有する大多数の人においてソフトな洗浄感を得ることができる。そして、繰り返し周波数を商用周波数と一致させる(商用周波数50Hz地域では50Hz、商用周波数60Hz地域では60Hz)と、駆動が容易となるという効果も加わる。このように周波数を高くするほど、連続的な洗浄感をより確実に感じながら洗浄を行うことができ、よりソフトな洗浄感を求める使用者に十分対応させることができる。つまり、周波数が低いほど刺激感が強くなり、周波数が高くなるほど刺激感は弱くなるので、脈動流での吐水を図る際の周波数制御を行うことで、刺激感を強弱調整できる。
【0100】
この場合、上記した不感帯領域のうちの5Hz〜20Hzといった低周波数領域では、既述したように、使用者は、通常ならば局部洗浄に際して刺激変化を認識しない。しかし、痔疾患や生理等により、この低周波数領域での洗浄水吐水に刺激変化を僅かに認識するようなことが起き得る。よって、低周波数側の領域を不感帯領域の境界領域として設定し、例えば、上記約5Hzから約60Hzもしくは約80Hzまで領域を境界領域として設定し、この境界領域以上の周波数領域を確実な不感帯領域とするようにすることもできる。こうすれば、刺激変化に対する認識を確実に起こさないようにすることができる。
【0101】
これらのことから、本実施例の脈動流の洗浄水吐水という意図的な繰り返し吐水を行うに当たり、繰り返し周波数が高まるほど、意図的な繰り返し吐水に基づく振動に対しての知覚の追従が困難となる。そして、この繰り返し周波数が約10Hz以上の繰り返し周波数になると、通常の知覚を有する大多数の人では意図的な繰り返し吐水に基づく振動に対して知覚がほとんど追従できなくなる。よって、意図的な繰り返し吐水であるという吐水態様(脈動流の洗浄水吐水)の認識が困難となり、本実施例では、図19に示す水塊の衝突を受ける使用者、即ち通常の知覚を有する大多数の人は、この水塊の衝突が間欠的であると感知できず、あたかも連続流の洗浄水であるかのように感じさせることができるのである。
【0102】
図を用いて説明すると次のようになる。図24は、周波数の増減により洗浄強度が異なる理由を説明する説明図であり、図24(A)は、図24(B)より同じ洗浄水量でも、脈動周期MTが大きいためにこの周期で定まる脈動周波数fmt(=1/MT)が小さい状態を示している。図24(A)と図24(B)とでは、周期の長短により上記の水塊の合体程度に大小ができる。よって、脈動周期MTが大きく脈動周波数の小さい図24(A)の場合が、1回の衝突時における水塊の質量が大きくなって、衝突エネルギが大きくなり、人体への刺激が強い。すなわち、図24(A)の場合には、人体は、大きな刺激を1度に受けて強い刺激を感じる。また、図24(A)のように脈動周波数fmtが上記の不感帯周波数を下回る或いはこの周波数に近い周波数となると、人体は、強い刺激感をその都度感知しながら繰り返し受けるので、より強い刺激感を感じる。
【0103】
その一方、図24(B)のように、脈動周波数fmtが大きく上記の不感帯周波数内の周波数であれば、小さい刺激を上記したように連続的な刺激として受けるので、刺激をあまり感じない。このことから、同じ水量であっても、周波数が大きくなり、水塊が大きくなるほど人体への刺激(洗浄強度)を強く感じることになる。図25は、脈動流の脈動周波数および洗浄強度と人体局部の刺激に伴う不快感との関係を示すグラフである。人体皮膚は、周波数が5Hzを越えると連続流に近づいて柔らかな洗浄と感じることができ、約30Hzを越えると、ほとんど連続流との区別がつかなくなる。したがって、脈動流の周波数は、5Hz以上であることが好ましく、さらに波動発生機器74の脈動発生コイル74cの励磁制御に商用電源の周波数をそのまま利用することを考慮すると、50〜60Hzを制御周波数領域とすれば、制御のための構成を簡単にすることができる。
【0104】
この不感帯周波数の観点から、本実施例にあっては、脈動発生コイル74cの励磁周期、即ち脈動周期MTをその脈動周波数ftm(=1/MT)が約5Hz以上の範囲となるよう可変制御することとし、上記の水塊による人体局部への刺激が連続的な刺激として感知されるようにした。つまり、洗浄水水塊を人体局部の洗浄箇所に脈動周期MTで間欠的にしか吐水しないようにして洗浄水水量を低減しているにも拘わらず、使用者には、この洗浄箇所に連続的な洗浄水の吐水を受けているような洗浄感を与えることができる。よって、本実施例によれば、洗浄水流量を流調弁65により従来の約1/2〜1/3程度である約500cc/min程度にまで低減しても、洗浄能力並びに洗浄感を高めることができるので、最大この流量の洗浄水を吐水(給水)するだけでよい。つまり、節水の実効性を高めつつ、使用者には連続した吐水を受けているような感じを与えることができる。
【0105】
脈動周波数ftmを上記の不感帯周波数に設定しても、洗浄水の連続的な吐水から受ける吐水連続感は、脈動周波数ftmが低いほど薄れがちであるといえる。よって、脈動周波数ftmを上記範囲内で意図的に低くして、使用者の洗浄感(刺激感)に僅かな間欠的な感じを持たせることもできる。
【0106】
また、次のように脈動周波数制御とコイル励磁のデューティ比制御とを行うこともできる。図26は、洗浄水の脈動流における脈動周波数をお尻洗浄とビデ洗浄で異なるようにした制御例を説明する説明図、図27は、脈動周波数ftmとデューティ比Dtmの制御例を説明する説明図である。
【0107】
図26に示すように、お尻洗浄の際とやわらか・ビデ洗浄の際の脈動周期MTA、MTVに大小を設け、それぞれの脈動周波数ftmを異なるものとできる。しかも、お尻洗浄の際の脈動周波数ftmAをやわらか・ビデ洗浄の際の脈動周波数ftmVより低くした。この場合、両周波数とも上記した不感帯周波数の範囲である。例えば、お尻洗浄では50Hz、柔らか洗浄で60Hz、ビデ洗浄では70Hzのように周波数を変更することにより、或いは、お尻洗浄では約71Hz、柔らか洗浄で約71Hz、ビデ洗浄では約83Hzのように周波数を変更することにより、以下に説明するように、ビデ洗浄などがお尻洗浄より水勢の小さい洗浄形態となるように周波数を設定してもよい。
【0108】
この図26に示すような洗浄対象に応じた周波数制御により、図24で説明したように、お尻洗浄時には、図24(A)に近い吐水形態となることから、充分な刺激感を連続して受けているような洗浄となり、ハードな洗浄感を得ることができる。また、やわらか・ビデ洗浄時には、図24(B)の吐水形態となることから、比較的弱い刺激感を連続して受けているような洗浄となり、ソフトな洗浄感を得ることができる。特に、やわらか・ビデ洗浄では、脈動周波数ftmを高くすることで間欠的な刺激感を与えないようにするので、ソフトな洗浄感をより連続的なものとできる。しかも、このような多様な洗浄感を達成するに当たって、既述したように流量低減を図ることができる。
【0109】
また、図中に点線或いは一点鎖線で示すように、脈動周波数ftmをそれぞれの洗浄で同一としておいて、各洗浄で、デューティ比Dtmを変更制御することができる。デューティ比Dtmはコイル励磁力、即ち波動発生機器74におけるプランジャ74bの移動速度並びに移動量を定めるので、脈動の振幅を増減制御できる。よって、図16に示した洗浄水量と流速をデューティ比Dtmに応じて制御できる。この結果、各洗浄で、図24に示した水塊質量を変更制御でき、ハード・ソフトの洗浄感でありながら、刺激感の強弱調整と洗浄力調整を行うことができる。しかも、流速変更に基づいて、水勢の強弱をも調整できる。換言すれば、使用者の所望する洗浄感や水勢を脈動流のデューティ比制御や周波数制御で確保できることから、既述したように洗浄水水量の大幅な低減を図ることができる。しかも、このデューティ比制御と周波数制御の両制御は、流調弁65による流量調整とは無関係なため、流調弁65での流量調整では調整できないような水勢調整を、上記両制御を通して実現できる。つまり、デューティ比制御と周波数制御により、流調弁65の流量調整を補完できる。そして、流調弁65による流量調整を通した水勢等の調整と上記両制御を通した水勢等の調整の併用により、きめ細かな水勢等の調整を行うことができる。
【0110】
この図26に示すように、お尻・ビデの各洗浄時においてデューティ比DtmをDtmS、DtmM、DtmLのように変更制御する場合、デューティ比Dtmは、プランジャストローク(移動量)の長短、即ち、図19や図24に示した水塊の大きさを程度規定する。そして、デューティ比Dtmが大きいほど水塊も大きくなる。水塊の大きさは、図19に示す水塊断面積の大小を規定することから、水塊の着水範囲としての洗浄面積は、デューティ比Dtmが大きいほど広くなる。従って、デューティ比Dtmの変更制御を通して、刺激感や水量感の強弱調整や洗浄力調整並びに水勢の強弱調整のみならず、洗浄面積の広狭調整も行うことができる。この際、洗浄面積は、デューティ比Dtmが大きくなるほど広くなる。
【0111】
図27に示すように、脈動周波数ftmを制御したり、脈動周波数ftmとデューティ比Dtmを同時に制御することもできる。即ち、図27(a)に示すように、洗浄継続中の各洗浄期間TA、TB、TC・・・において、デューティ比Dtmを値DtmLとしておき、それぞれの洗浄期間で脈動周波数ftmを増減制御する。例えば、図示するように、脈動周波数ftmをftmS、ftmM、ftmL(ftmS<ftmM<ftmL)のいずれかの値に可変制御する。或いは、2段階や4段階以上、もしくは無段階に増減制御してもよい。こうすれば、ハード・ソフトの洗浄感の洗浄期間ごとの推移や刺激感の強弱推移を図ることができ、洗浄感の多様化を図ることができる。
【0112】
また、周波数が相違すれば、上記の水塊の衝突の連続間隔が異なることから、水塊の衝突で得られる水勢の強弱も周波数制御で調整できる。しかも、この周波数制御は、流調弁による流量調整とは無関係なため、流調弁での流量調整では調整できないような水勢調整を、周波数制御を通して実現できる。つまり、周波数制御により、流調弁の流量調整を補完できる。そして、流調弁による流量調整を通した水勢等の調整と周波数制御を通した水勢等の調整の併用により、きめ細かな水勢等の調整を行うことができる。
【0113】
この場合、各洗浄期間は同じ時間間隔であってもよく、洗浄期間ごとに異なる時間間隔であってもよい。しかも、異なる時間間隔とする場合には、時間間隔が規則的に変わってもよく、不規則的に変わってもよい。例えば、時間間隔をtS、tM、tL(tS<tM<tL)とした場合、tS→tM→tL→tS→tM・・・のように規則的に変化してもよく、tL→tS→tS→tM→tL→tM・・・のように不規則的に変化してもよい。なお、このような不規則的な時間間隔変化は、乱数発生プログラムをロードして、その発生した乱数に応じて各時間間隔を定めるようにすればよい。
【0114】
また、図27(b)に示すように、洗浄継続中の各洗浄期間TA、TB、TC・・・において、デューティ比Dtmを増減制御する。例えば、図示するように、デューティ比DtmをDtmS、DtmM、DtmL(DtmS<DtmM<DtmL)のいずれかの値に可変制御する。或いは、2段階や4段階以上、もしくは無段階に増減制御してもよい。加えて、脈動周波数ftmを上記したように各洗浄期間ごとに増減制御する。こうすれば、洗浄感をより一層多様化することができる。この場合であっても、各洗浄期間を同じ時間間隔としたり、規則的或いは不規則的に変更してもよい。
【0115】
次に、上記構成を有する本実施例の局部洗浄装置10が実行する洗浄動作について説明する。図28は、この実施例の局部洗浄装置の洗浄動作を表すタイムチャートである。
【0116】
図示するように、本局部洗浄装置は、便座18(図1参照)に使用者が着座して着座センサSS10(図7参照)がオンすると、このオン信号を受けて、まず、入水側弁ユニット50の電磁弁55(図2参照)を開弁制御する。これにより、装置内への洗浄水の給水が開始されるので、洗浄に先立つ洗浄水の予備的昇温のためにヒータ61をフル通電する。なお、着座直後になされた電磁弁オンにより給水された洗浄水は、図示しない配管を通して、便器ボール部に排出されたり、ノズルヘッド表面に排出されてヘッド掃除に用いられたりする。
【0117】
こうして着座直後になされた給水・温水化は、センサオンから所定時間経過後、或いは、出水温センサSS16bが所定温度(例えば、局部洗浄時の温水温度より2〜3度程度低い温度)を検出した時点で停止される。つまり、電磁弁の閉弁、ヒータの通電低減(例えば、フル通電の2%程度)を行い、その後の洗浄ボタンの操作を待機する。このように着座後の短時間のヒータフル通電その後の通電低減を行って、洗浄水を予備的に温水化しその温度を維持するので、その後の局部洗浄時にはヒータの急速な通電制御を必要としない。また、既述したように本実施例では洗浄水流量の低減効果が高いことから、ヒータ通電に際して省電力化を図ることができる。
【0118】
その後、洗浄ボタン、例えばお尻洗浄ボタンSWbがオンされると、電磁弁55を開弁制御してお尻洗浄のための洗浄水給水を行うと共に、ヒータ61をフル通電する。ヒータ61は、停止ボタンSWaが操作されるまで継続してフル通電とされる。電磁弁の閉弁については後述する。
【0119】
この電磁弁55の開弁により、局部洗浄に先立って、ノズルヘッド25を自己洗浄するノズル前洗浄を行う。つまり、電磁弁55の開弁に続いて、洗浄ノズル24での洗浄水給水先を流路切換弁71によりお尻流路に切り換え、次いで流調弁65により洗浄水の給水流量を設定する。これにより、調整された流量の洗浄水が洗浄ノズル24に送られてお尻吐水孔31から吐水される。この際、洗浄ノズル24は待機位置にあり、ノズルヘッド25はノズル保持部41b先端のチャンバ41c(図8参照)で覆われているので、このチャンバ41cでの跳ね返り水によりノズルヘッド25が洗浄される。このノズル前洗浄における通水により、ヒータのフル通電によって既に適正な温度に温水化済みの洗浄水が、ノズルヘッド25に至る間の管路に行き渡る。
【0120】
このため、後述する本洗浄開始当初から、適正温度の洗浄水を局部に吐水でき、低温洗浄水の吐水による不快感を与えることがない。また、流調弁65より下流側の流路切換弁71の流路切換を先に行い、その後に流調弁65の流量設定を行う。よって、流路切換弁71を洗浄水の水圧がほとんどかかっていない無負荷状態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ71kに過負荷をかけることが無く好ましい。なお、このノズル前洗浄時にあっても、波動発生機器74を駆動して脈動流の洗浄水でノズルヘッド25を自己洗浄するようにすることもできる。この場合、コイルの脈動周波数ftmは、不感帯領域内であっても不感帯領域外であってもよい。
【0121】
このノズル前洗浄は、所定時間経過した時点で停止される。つまり、図示するように、まず、上流側の流調弁65を止水状態として洗浄ノズル24の側に洗浄水が流れないようにする。その後に、流路切換弁71を止水して、ノズル前洗浄を停止する。このように、ノズル前洗浄の停止時にあっても、流路切換弁71を無負荷状態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ71kに過負荷をかけることが無く好ましい。
【0122】
このノズル前洗浄に続いては、ノズル装置40のノズル駆動モータ42を正転駆動制御して、洗浄ノズル24をお尻洗浄位置に待機位置から進出させる。このノズル進出の間にも、電磁弁は開弁状態にあり、この際に給水される洗浄水は図示しない管路から便器ボール部に捨て水される。なお、この捨て水のための管路を、流調切換弁とした流調弁65に接続し、当該弁にて管路切換を行ってもよい。また、この捨て水を機能水(遊離塩素水)を生成する図示しない機能水ユニットに供給し、この生成した機能水をチャンバ41cから吐水されるようにすることもできる。こうすれば、この機能水により、洗浄ノズル24の筒状部24aをノズル進出の際に殺菌洗浄することができる。
このノズル進出までの動作においては、操作された洗浄ボタンに応じて流路切換弁の切換先、洗浄ノズルの進出先(ビデであればビデ洗浄位置)が異なるだけであり、やわらか洗浄ボタンやビデ洗浄ボタンについても同様である。
【0123】
こうして洗浄位置への洗浄ノズル24の進出が完了すると、局部の本洗浄(お尻洗浄、やわらか洗浄、ビデ洗浄)を操作ボタンに応じて実行する。図示するようにお尻洗浄では、お尻吐水孔31からの脈動流の洗浄水吐水を開始すべく、以下のソフトスタートを行う。まず、流路切換弁71をお尻流路に切り換え、次いで流調弁65により、その際の流量を設定済みの設定水勢に対応した流量までゼロから漸増調整する。なお、設定水勢対応の流量より所定量だけ少量の流量からこの設定水勢対応流量に漸増調整するようにすることもできる。
【0124】
このソフトスタートでは、波動発生機器74による脈動流の生成も開始する。つまり、電子制御装置80はパルス信号を出力して脈動発生コイル74cを繰り返し励磁し、プランジャ74bを往復動させる。これにより、既述したように脈動流を発生させる。お尻洗浄であれば、図26に示すようにビデ・やわらか洗浄より小さな脈動周波数ftmで、コイル励磁を繰り返す。このコイル励磁にあっても、パルス信号のデューティ比Dtmを設定済みの設定水勢に応じたデューティ比に徐々に近づくよう漸増制御する。こうしたソフトスタートにより、設定水勢が大きい場合であっても、吐水量が少なく、かつ、小さなデューティ比Dtmに基づいた脈動流であるソフトな吐水から徐々に設定水勢の吐水とできるので、使用者に違和感や不快感を与えることが無く好ましい。こうしたソフトスタートが完了すれば、設定水勢での吐水が、脈動流の洗浄水の吐水で行われ、本洗浄に移行する。この本洗浄では、その後に水勢が変更設定されれば、この変更された水勢となるように流調弁65での流量調整や波動発生機器74での脈動流制御(デューティ比制御、脈動周波数制御)がなされる。
【0125】
ところで、一般に、低流量の洗浄水を流量調整する際、流量の細かな調整はその調整精度の信頼性に欠ける。このことは、水勢を流量調整で行う従来の局部洗浄装置では低流量化を実現できない理由の一つである。しかしながら、この実施例の局部洗浄装置では、脈動流制御(デューティ比制御、脈動周波数制御)を通して既述したように水勢調整ができることから、低減した洗浄水流量でありながら、きめ細かく水勢調整できるという利点がある。よって、本実施例の局部洗浄装置10では、最低水勢に近い水勢から最大水勢に近い水勢に大きく変更設定されたような場合は、流量調整と脈動調整を併用して実施し、その他の場合には、脈動流制御で水勢調整を図るようにした。つまり、水勢変更程度を水勢強弱設定ボタンSWhu、SWhdの操作状況から読み取り、その結果に応じて脈動流制御(デューティ比制御、脈動周波数制御)を行う。具体的には、水勢強設定されれば、デューティ比Dtmを増大制御する、或いは脈動周波数ftmを低減制御する、もしくはこの両者の制御を併用する。水勢弱設定はこの逆である。
【0126】
この際、波動発生機器74に至る実際の洗浄水流量を図示しない流量センサで検出し、この検出流量と水勢変更設定量とに基づいて脈動流制御(デューティ比制御、脈動周波数制御)を行うので、より細かな水勢調整が可能である。この場合、圧力センサを流量センサとして代用したり、流量設定に関与するスイッチ等からの信号などにより間接的にその流量を検出してもよい。また、流量センサは波動発生機器74の上流に配置する構成のほかに、洗浄水水量が検出できる位置にあればどこに配置されてもよく、各ユニットのレイアウトに応じて配置すれば製品のコンパクト化を図ることができる。
【0127】
本洗浄は、停止ボタンの操作により次のように終了し、その後、ノズル後退・ノズル後洗浄が行われる。即ち、停止ボタンが操作されると、そのボタンON信号を受けて、ノズルからのお尻洗浄吐水を停止すべく、まず、流調弁65で流量をゼロとし、次いで、流路切換弁71の止水並びにコイル励磁のパルス信号の出力停止、ヒータの通電低減を行う。このヒータ通電低減は、着座センサSS10がオフとなるまで維持される。よって、洗浄水は着座センサオフとなるまでの間に亘って不用意にその温度が低下せず、適正温度よりわずかに低い上記温度に保温される。このため、便座に着座したまま局部洗浄が繰り返された場合には、速やかに洗浄水を適正温度に温水化でき、好ましい。また、このお尻洗浄吐水停止の際も、流調弁・流路切換弁の順に弁駆動して、流路切換弁を無負荷状態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ71kに過負荷をかけることが無く好ましい。なお、上記の本洗浄(お尻洗浄本洗浄)は、使用者が便座から離れて着座センサSS10が停止ボタン操作以前にオフしたり、お尻洗浄中にやわらか・ビデの各洗浄ボタンが操作された場合にも同様に終了する。
【0128】
流路切換弁71が止水となると、ノズル装置40のノズル駆動モータ42を逆転駆動制御して、洗浄ノズル24を待機位置に後退復帰させる。このノズル後退の際、電磁弁65は開弁状態にあり、この間の給水洗浄水は既述したように捨て水等される。そして、この給水洗浄水を機能水ユニットにて機能水とし、これをチャンバ41cから吐水すれば、機能水により、ノズル後退の際にあっても洗浄ノズル24の筒状部24aを殺菌洗浄することができる。
【0129】
洗浄ノズル24が待機位置に復帰すると、ノズル後洗浄を開始すべく、流路切換弁71をお尻流路に切り換え、次いで流調弁65により、その際の流量を設定する。これにより、調整された流量の洗浄水が待機位置にある洗浄ノズル24に送られてお尻吐水孔31から吐水されるので、ノズル前洗浄と同様に、チャンバ41cでの跳ね返り水によりノズルヘッド25が洗浄される。なお、上記したように機能水をノズル後退時にかけるものであれば、このノズル後洗浄における通水により、ノズル後退時にノズルヘッド25にかけられた機能水は洗い流される。このノズル後洗浄にあっても、流調弁・流路切換弁の順に弁駆動して、流路切換弁71を無負荷状態に近い状態で駆動できるので、その駆動モータ71kに過負荷をかけることが無く好ましい。
【0130】
このノズル後洗浄が所定時間行われると、次回以降の局部洗浄に備えるべく、電磁弁55を閉弁制御して、局部洗浄装置10への洗浄水給水を停止する。その後、流調弁65より下流の給水管路並びに流路切換弁71、洗浄ノズル24に残留する洗浄水を排出する。つまり、上記の電磁弁55の閉弁を受けて、波動発生機器74の脈動発生コイル74cを小さなデューティ比Dtmで繰り返し励磁し、プランジャ74bを往復動させる。この場合、脈動周波数ftmは低周波数でよい。このようにプランジャ74bが往復動している際、波動発生機器74には洗浄水が給水されていないが、プランジャ74bの往復動により、上流側の洗浄水のシリンダ74a内への吸込、その吸い込んだ洗浄水の送り出しがなされる。よって、上記の給水管路等に残存している洗浄水は、プランジャ74bの送り出す洗浄水により徐々に下流に送られ、流路切換弁71の切換流路(この場合は、お尻流路)を経て、待機位置のノズルのお尻吐水孔から便器ボール部に排出される。こうして、残存洗浄水の排出が完了すると、流調弁65並びに流路切換弁71の止水により、一連のお尻洗浄動作を終了する。
なお、このノズル後退以降の動作においては、操作された洗浄ボタンに応じて流路切換弁71の切換先、洗浄ノズル24の進出先(ビデであればビデ洗浄位置)が異なるだけであり、やわらか洗浄ボタンやビデ洗浄ボタンについても同様である。
【0131】
本実施例では、波動発生機器74を用いた残存洗浄水の排出を完了させるに際し、次のようにした。
【0132】
波動発生機器74の脈動発生コイル74cを通電励磁してプランジャ74bを移動させると、このプランジャ74bの移動に伴ってコイルには逆起電力が発生し、通電電流が一旦減少するいわゆるボトム現象が起きる。このボトム現象はコイルを流れる電流の波形として現れるので、電流波形とプランジャ74bの移動の様子とは相関関係にある。ところで、上記した残存洗浄水排出の際に脈動発生コイル74cを励磁させた状況を考えると、残存洗浄水が完全に排出された前後では、プランジャ74bのシリンダ74a内に洗浄水がある状況下でのプランジャ移動と、洗浄水がない空の状況下でのプランジャ移動が起きる。シリンダ74a内の洗浄水は、プランジャ74bの移動抵抗として働くので、コイル励磁を同一条件化(本実施例では、同一デューティ比Dtm)で行えば、洗浄水がない空の状況下では、それ以前よりプランジャ74bは速く移動する。よって、シリンダ74a内に洗浄水がある状況下でのプランジャ移動から洗浄水がない空の状況下でのプランジャ移動に推移した時点、即ち残存洗浄水が完全に排出された時には、ボトム現象の発現の様子が変化する。よって、本実施例の局部洗浄装置10では、このボトム現象をボトム検知回路81(図7参照)で検知して残存洗浄水の排出完了を検出し、上記したように流路切換弁71の止水を経て一連のお尻洗浄動作を終了するようにした。
【0133】
図29は、脈動発生コイル74cについてのボトム検知回路81の一例を表す回路図、図30は、脈動発生コイル74cの通電励磁の際の電流波形の様子を説明するための説明図である。
【0134】
図29に示すように、ボトム検知回路81は、コンパレータ82とコンデンサ83と抵抗84を有し、この抵抗84とコンデンサ83とでCRフィルタ回路からなる遅延回路を構成して備える。CRフィルタ回路は入力した信号を抵抗84とコンデンサ83とで定まる遅延程度で遅延して出力する。よって、このボトム検知回路81は、マイナス側端子に入力される入力信号(通電電流を反映して検出抵抗85に発生する電圧)とこの入力信号を遅延した遅延信号とを、コンパレータ82での演算処理に処す。これにより、このボトム検知回路81からは、プランジャ74bの移動完了を表すパルス状の信号(ボトム検出信号)が以下のようにして電子制御装置80に出力される。
【0135】
ノズル後洗浄の完了後、脈動発生コイル74cのスイッチングトランジスタ86には、図示する所定周期(デューティ比Dtm一定)のパルス信号が出力され、各パルスに対応してコイルに通電が開始される。あるパルスに着目すると、時間の経過と共に脈動発生コイル74cに流れる電流は上昇する。そして、パルスによる通電開始から所定時間経過すると、プランジャ74bは移動を始め、このプランジャ74bの移動に伴って脈動発生コイル74cには逆起電力が発生するので、図30に実線で示すように、通電電流が一旦減少するボトム現象が起きる。この電流波形(原信号波形)が電圧としてコンパレータ82のマイナス側端子に入力される。一方、プラス側端子には、図中点線で示すような遅延信号がCRフィルタ回路で生成されて入力される。このため、コンパレータ82ではこれら信号がその入力端子の極性を考慮して演算されるので、図示するようにパルス状の信号が生成される。
【0136】
このパルス状の信号(ボトム検知信号)は、上記のスイッチングトランジスタ86に出力された各パルスに対応して生成され、電子制御装置80に上記所定周期で入力される。ところが、上記したように、残存洗浄水が完全に排出された時には、プランジャ74bの移動速度が速いことから、この時のボトム検知信号は、それ以前と異なる周期で入力されることになる。よって、この信号入力の状況から、電子制御装置80は残存水排出完了を判断して、それ以降のパルス出力を停止し、一連のお尻洗浄動作を終了させる。なお、このようなボトム検知結果により残存水排出を完了させるほか、残存水排出のためのコイル励磁から所定時間経過した時点でパルス出力を停止してコイル励磁を止め、洗浄動作を終了させることもできる。
【0137】
ここで、脈動発生コイル74cを所定のデューティ比Dtmで繰り返し励磁してプランジャ74bを往復動させる際の電流制御について説明する。図57は、脈動発生コイル74cの電流波形を表す。
本局部洗浄装置では、定格の電圧が脈動発生コイル74cに印加されるようにしているが、外部の不確定要因により、コイルの実際の印加電圧は変動する。このような電圧変動に対処するため、図29に示すように、スイッチングトランジスタ86のベース配線に波形制御回路87を有する。波形制御回路87は、基準電圧Vcc(定格電圧)と実際の印加電圧Vcとの比較結果に基づいて、電子制御装置80からのパルス信号のオン時間において脈動発生コイル74cの電流波形ピークが所定値を上回らないように構成されている。この結果、図57に示すように、印加電圧Vcが基準電圧Vccを越えている状況下では、電流ピークがカットされることになる(図57(c))。従って、脈動発生コイル74cの励磁磁力を不用意に大きくしないので、プランジャ74bの打音がでないようにできる。
【0138】
次に、刺激感や水量感の強弱、洗浄面積の広狭が使用者により設定されたときの制御の様子について説明する。電子制御装置80は、これらの設定値を、着座センサSS10がオンの期間に亘って所定時間ごとに読み出す。具体的には、図示しない刺激感設定スイッチ、水量感設定スイッチ、洗浄面積設定スイッチの操作状況をスキャンし、各設定値を読み出す。そして、これら設定値を読み出した都度、ROM或いはバックアップメモリに記憶済みのマップを参照して、デューティ比Dtmや脈動周波数ftmを決定し、例えばお尻洗浄時の上記した本洗浄の間において、この決定したデューティ比Dtmや脈動周波数ftmで脈動発生コイル74cを励磁制御する。
【0139】
このようにデューティ比Dtmや脈動周波数ftmを決定するマップとしては、次の表1に示すようなものを例示することができる。
【0140】
【表1】
Figure 0003948173
【0141】
この表は、それぞれ、刺激感はSS1〜SS7まで、水量感はS1〜S7まで、洗浄面積はM1〜M3まで使用者に設定可能とされており、これらが設定されると、対応するデューティ比Dtmと脈動周波数ftmが定まること表している。また、表中のデューティ比Dtmと脈動周波数ftmは、設定刺激感或いは設定水量感が強くなるほど、デューティ比Dtmは大きく、脈動周波数ftmは低くなるように設定されている。洗浄面積についても同様に、設定洗浄面積が広くなるほど、デューティ比Dtmは大きく、脈動周波数ftmは低くなるように設定されている。
このようにして定めたデューティ比Dtmと脈動周波数ftmで脈動発生コイル74cを励磁制御して、既述したように脈動流での洗浄水吐水を図るので、多様な洗浄体感をコイル励磁制御という簡単な制御で得ることができる。
【0142】
本実施例の局部洗浄装置10では、以下のようにしてムーブ洗浄を行うことができる。まず、本実施例では、以下に説明するようなデューティ比制御を行うに当たり、ムーブ幅(ノズル往復幅)を既存の局部洗浄装置に比べて広くした。具体的には、既存装置では約20mm程度であったムーブ幅を、本実施例では約26mmにした。また、ムーブ速度についても、既存の局部洗浄装置に比べて3割り程度遅くして、速度低減の分だけ、同一箇所の洗浄をゆっくり行うようにした。具体的には、既存装置における1秒当たりのノズル駆動モータの駆動パルス数(500pps)を333ppsにした。こうした、ムーブ幅・ムーブ速度の設定をした上で、ムーブ洗浄を以下のように行うようにした。
【0143】
例えば、洗浄ノズル24をセンタ位置を中心に前後往復動させながら、ノズル位置に応じて脈動周波数ftm或いはデューティ比Dtmを変更制御する。この際、センタ位置周辺では、脈動周波数ftmを高めてソフト感・連続感を高め、前進端と後退端近傍では、脈動周波数ftmを低くしてハード感を強調させることができる。また、デューティ比Dtmもセンタ位置周辺で小さくすれば、ソフト感を強調できる。この逆に、センタ位置周辺では、脈動周波数ftmを低くしてハード感と刺激感を高め、前進端と後退端近傍では、脈動周波数ftmを高くしてソフト感を強調させることができる。なお、脈動周波数ftmが一定条件下で、洗浄ノズル24のムーブ位置に応じて上記のようにデューティ比Dtmを変更制御したり、デューティ比Dtmが一定条件下で、脈動周波数ftmを上記のように変更制御することもできる。
【0144】
また、ムーブ洗浄の様子を説明するための説明図である図58に示すように、洗浄ノズル24のノズルヘッドがムーブ範囲のセンタ位置(洗浄位置WPc)付近にある場合は、デューティ比Dtmを実用可能設定範囲の最大デューティ比Dtmmaxとする。そして、ノズルヘッドがこのセンタ位置から前進端位置WPf・後退端位置WPbに離れるほど、デューティ比Dtmをデューティ比Dtmmaxから減少させ、前進端位置WPf・後退端位置WPbでは、実用可能設定範囲の最小デューティ比Dtmminとなるようにする。こうすれば、センタ位置付近では、大きなデューティ比により洗浄面積が大きく、前進端或いは後退端に行くほど洗浄面積が狭くなるようにして、局部周辺をムーブ洗浄できる(図58(a)参照)。よって、ムーブ洗浄時の洗浄位置の変化に合わせて洗浄面積が増減変化する、即ち洗浄位置変化に合わせて刺激感が強弱変化するという多様な洗浄感を与えることができる。また、ムーブ範囲に亘る全体の洗浄面積形状をセンタ位置で広く前後端側で狭くできるので、この洗浄面積を洗浄を所望する洗浄対象局部の形状により適合させて、この洗浄対象局部、例えばビデ洗浄対象局部を確実に洗浄できるという利点がある。この場合、上記の実用可能設定範囲の最大デューティ比Dtmmaxを、使用者が設定した水勢に応じたデューティ比Dtmとすることもできる。
【0145】
また、ノズル位置に合わせたデューティ比Dtmの可変制御に当たり、センタ位置(洗浄位置WPc)付近にある場合は、デューティ比Dtmを実用可能設定範囲の中央デューティ比Dtmmidとし、前進端位置WPf・後退端位置WPbではデューティ比Dtmmaxとする。そして、センタ位置から各端部位置までの間では、Dtmmid→Dtmmin→Dtmmaxのように増減変更する。こうすれば、センタ位置付近で洗浄面積が中程度、前進端・後退端位置で洗浄面積が大きく、その間は洗浄面積が増減変化するようにして、局部周辺をムーブ洗浄できる(図58(b)参照)。よって、洗浄位置変化に合わせて刺激感が強弱変化するという多様な洗浄感に加え、洗浄対象局部の前後を広い洗浄面積で念入りに洗えるという効果も得ることができる。
【0146】
なお、ノズル位置に合わせた上記のようなデューティ比Dtmの可変制御を、図26で説明した3段階のデューティ比(DtmS、DtmM、DtmL)を用いて行うようにすることもできる。こうすれば、ノズル位置に合わせてデューティ比Dtmを切り換えるだけでよいので、その制御が容易となり電子制御装置の演算負荷の軽減を図ることができる。
【0147】
また、デューティ比Dtmの可変制御による洗浄力の増減に着目して、次のようにムーブ洗浄を行うこともできる。即ち、洗浄ノズル24が前進端位置WPfの側に移動している間は、デューティ比Dtmを最大デューティ比Dtmmax或いは設定水勢に応じたデューティ比Dtmとする。そして、後退端位置WPbの側に移動している間は、デューティ比Dtmを最小デューティ比Dtmminとする。こうすれば、ノズル前進時にあっては、大きなデューティ比Dtmにより強い洗浄力で局部の付着汚物を剥離できる。このノズル前進時には、図8、図10に示したように、ノズルの移動軌跡が斜め下方で移動方向が下向きであることから、上記のように強い洗浄力での洗浄剥離と相俟って、汚物をその下方に向けて効果的に剥離できる。
【0148】
その逆に、洗浄ノズル24の前進端側移動の間はデューティ比Dtmを小さく、後退端側移動の間はデューティ比Dtmを大きくすることもできる。こうすれば、ノズル後退時にあって強い洗浄力で局部の付着汚物を剥離でき、その際には、ノズル移動方向が斜め上向きであることから、剥離された汚物を前方に流れにくくできる。よって、ビデ洗浄をこのムーブ洗浄で実施した際には、局部周辺の清潔感が高まり好ましい。
【0149】
本実施例の局部洗浄装置では、以下のようにしてマッサージ洗浄を行うことができる。マッサージ洗浄期間を同じ時間間隔の洗浄期間TA、TB、TC・・・の繰り返しとしてこの時間間隔をマッサージ周期とし(Dtmは固定、例えばDtm=DtmL)、図27(a)に示すように、このマッサージ周期で脈動周波数ftmを規則的に増減制御する。例えば、脈動周波数ftmをftmS→ftmM→ftmL→ftmM→ftmS・・・(ftmS<ftmM<ftmL)のようにマッサージ周期ごとに規則的に変化させる。また、ftmS→ftmM→ftmL→ftmS→ftmM・・・のようにすることもできる。或いは、このような脈動周波数ftmの規則的な増減制御に加え、図27(b)に示すように、同じ時間間隔の洗浄期間TA、TB、TC・・・の各マッサージ周期ごとに、デューティ比Dtmを規則的に可変制御する。例えば、デューティ比DtmをDtmL→DtmM→DtmS→DtmM→DtmL・・・(DtmS<DtmM<DtmL)のように洗浄期間ごとに規則的に変化させる。また、DtmS→DtmM→DtmL→DtmS→DtmM・・・のようにすることもできる。
或いは、脈動発生コイル74cへ脈動周波数ftmで洗浄期間TA間通電し、その後の洗浄期間TAでは脈動発生コイル74cへの通電を停止した洗浄を行い、その繰り返しとしてこの時間間隔をマッサージ周期とすることでも良い。
【0150】
このマッサージ周期は、その逆数で定まる周波数が既述した不感帯周波数範囲外(約5Hz未満)となるようにされている。これにより、上記したようにデューティ比Dtmや脈動周波数ftmに伴う洗浄感や刺激感の推移は、使用者に明確に感知される。よって、吐水から受ける洗浄感や刺激感を規則的に繰り返し使用者に与えることができると共に、その規則的な繰り返しも種々の形態を採ることができる。また、デューティ比Dtmを増大制御して刺激を高めたときに、脈動周波数ftmを低減制御すれば刺激の連続感が薄れるので、強い刺激を強調できる。よって、刺激感の強弱を増幅でき、排便を促進することができる。
【0151】
ここで、上記したマッサージ洗浄の一例について、その様子を表す図59を用いて説明する。なお、説明の便宜のため、脈動周波数ftmは一定とする。図示するように、このマッサージ洗浄の周期は2秒とされているので、その周波数は0.5Hzとなり、上記したように使用者は、洗浄感や刺激感の推移を明確に感知できる。
【0152】
今、マッサージ洗浄ボタンが操作されると、1秒間隔で、デューティ比Dtmは高低切り替わり、デューティ比Dtm/Lowの期間では、設定可能範囲の最小値のデューティ比Dtmminで脈動発生コイル74cが励磁される。一方、デューティ比Dtm/Highの期間では、使用者が設定した水勢に応じた値のデューティ比Dtmssで脈動発生コイル74cが励磁される。従って、使用者は、最小デューティ比Dtmminによる洗浄感・刺激感と、設定デューティ比Dtmssによる洗浄感・刺激感とを交互に受け、この洗浄感・刺激感の交互切り替わりを明確に感知する。このため、マッサージ効果による排便促進を効果的に達成することができる。
なお、デューティ比Dtm/Highの期間のデューティ比Dtmを、上記の設定デューティ比Dtmssとしたが、設定可能範囲の最大値のデューティ比Dtmmaxとしたり、設定デューティ比Dtmssより所定の値だけ大きなデューティ比Dtmのようにすることもできる。
【0153】
また、上記したマッサージ洗浄において、各洗浄期間TA、TB、TC・・・をそれぞれ異なるものとする。こうすれば、それぞれの洗浄期間でのデューティ比Dtm或いは脈動周波数ftmに伴った刺激の認知時間を変化させるので、刺激感の受け方が多様化し、より効果的に排便感を促すことができる。また、音楽や光、臭い(アロマテラピー)などの五感と同期させることにより、リラックスできる空間を提供でき、ひいては排便感をさらに促すことができる。
【0154】
本実施例の局部洗浄装置10では、吐水から受ける洗浄感や刺激感を不規則的に変化させて安らぎ感や心地よさなどを与えるゆらぎ洗浄を以下のようにして行うことができる。ゆらぎ洗浄期間を同じ時間間隔の洗浄期間TA、TB、TC・・・の繰り返しとしてこの時間間隔をゆらぎ周期とし、デューティ比Dtmや脈動周波数ftmもしくはその両者を、このゆらぎ周期で不規則的に増減制御する。例えば、デューティ比Dtmや脈動周波数ftmを不規則変化させるに際して、乱数発生プログラムをロードして乱数を発生させ、得られた乱数でデューティ比Dtmや脈動周波数ftmを定める。このようにすれば、デューティ比Dtmは、DtmS→DtmM→DtmS→DtmS→DtmL→DtmS・・・のように、脈動周波数ftmは、ftmM→ftmS→ftmM→DtmL→DtmS→DtmL・・・のように一定のゆらぎ周期で推移する。或いは、この両者が無関係に推移する。
【0155】
このようにしてデューティ比Dtm或いは脈動周波数ftmの推移に伴って、その吐水から受ける洗浄感や刺激感は不規則的に変化する。この場合、デューティ比Dtm或いは脈動周波数ftmに伴う洗浄感や刺激感が変化する上記のゆらぎ周期についても、このゆらぎ周期の逆数で定まる周波数fがマッサージ周期TMの場合と同様の周波数(約5Hz未満)となるようにされている。これにより、上記したようにデューティ比Dtmや脈動周波数ftmに伴う洗浄感や刺激感の推移は、使用者に明確に感知される。そして、この推移する洗浄感や刺激感は各ゆらぎ周期ごとに異なり、洗浄感や刺激感の推移も不規則的であることから、使用者は、このゆらぎ洗浄により、強弱の刺激を不規則的に受けることになる。これにより、刺激変化推移の予測困難性から、次の利点がある。
【0156】
排便のために肛門を開いたり閉じたりする内肛門括約筋は、自立神経系による不随意筋であり、無意識下で収縮・弛緩する。上記したマッサージ洗浄では、刺激感を左右する周期が規則的に変化するため、長期に亘ってこのマッサージ洗浄が継続されると、周期変化のタイミングが脳に予測されてしまうことがある。このため、周期変化に伴う刺激変化推移も予測されることになり、交感神経優位の状態となって内肛門括約筋の収縮を招くことがある。その反面、周期が不規則的に変化するゆらぎ洗浄では、周期変化のタイミングが予測され難いので、周期変化に伴う刺激変化推移も予測されないことになる。このため、副交感神経優位の状態となって無意識下で内肛門括約筋の弛緩を引き起こしやすい。この結果、上記のゆらぎ洗浄によれば、より効果的に排便を促進できる。
【0157】
また、このゆらぎ洗浄を排便後の局部洗浄のために行うと、デューティ比Dtmや脈動周波数ftmの変更に伴う強弱刺激の予測が困難であることから、局部洗浄時の単調感をより一層解消できる。
【0158】
また、上記したゆらぎ洗浄において、各洗浄期間TA、TB、TC・・・をそれぞれ異なるものとする。こうすれば、それぞれの洗浄期間でのデューティ比Dtm或いは脈動周波数ftmに伴った刺激の認知時間を変化させるので、刺激感の予測がより困難となる。よって、更に効果的に排便を促すことができる。また、音楽や光、臭い(アロマテラピー)などの五感と同期させることにより、リラックスできる空間を提供でき、ひいては排便感をさらに促すことができる。
【0159】
また、上記したデューティ比Dtmや脈動周波数ftmの推移幅や、これらの推移タイミングを定める上記のゆらぎ周期或いは瞬間流量等の物理量のパワースペクトルが、心拍数等の人体の生体リズムや自然界のリズムと同様に、周波数の逆数に比例したものとすることもできる。こうすれば、使用者にリラックス感を与えることが可能となるため副交感神経優位となり、内肛門括約筋の弛緩を引き起こし、排便の促進効果が高まる。
【0160】
上記した本実施例の局部洗浄装置10によれば、上記したほか、次のような利点がある。まず第1に、波動発生機器74の上流に設けたアキュムレータ73により、次の利点がある。図31は、アキュムレータ73により得られる効果を説明するための説明図である。
【0161】
波動発生機器74を駆動して上記した脈動流の洗浄水を吐水中に、上流側給水管路51(図2参照)の圧力(1次圧力)と、波動発生機器74の下流側の下流側給水管路72の圧力(2次圧力)を測定することにした。そして、アキュムレータ73を波動発生機器74の上流に設けない状態での1次圧を、流調弁65の下流で測定した。また、アキュムレータ73を図2に示すように設けた場合の1次圧を、流調弁下流、即ちアキュムレータ上流で測定した。その結果を図31に示す。
【0162】
アキュムレータ73を本実施例の波動発生機器74の管路上流に組み込むと、アキュムレータ73としての本来の機能である水撃低減を上流側給水管路51において発揮できることに加え、以下の利点がある。即ち、図31に示すように、波動発生機器74による脈動流生成の際に、上流側給水管路51における1次圧力の圧力変動を効果的に抑制できる。よって、既述した水撃抑制による熱交換部62の洗浄水温度分布の乱れ回避と、この1次圧力変動抑制による熱交換部62の洗浄水温度分布の乱れ回避とを図ることができる。従って、熱交換部62では温度分布に乱れが無い状態でヒータ61による温水化を図ることができるので、ヒータ制御を簡略化できると共に、洗浄水温度の均一化を応答性良く図ることができる。しかも、波動発生機器74の発生させる脈動流は、アキュムレータ73により1次圧が蓄圧され2次側で増幅された状態となるので、波動発生機器74の低能力化や小型化を図ることができる。加えて、アキュムレータ73による圧力増幅を得られる分、波動発生機器74では圧力変動生成(脈動生成)に要するエネルギが少なくなり、省電力化を図ることもできる。なお、アキュムレータ73を波動発生機器74に近接配置したり当該機器と一体的に配置するようにしたが、流調弁65に近接配置したり当該機器と一体的に配置することもできる。
【0163】
また、この実施例の局部洗浄装置10では、洗浄水の流れに周期的な変動を与えて洗浄水を吐水するに当たり、プランジャ74bの往復動を利用した波動発生機器74を用い、この波動発生機器74で発生させる脈動流を、流量ゼロの状況が現れないようにした。よって、管路における洗浄水の流れが遮断される状況を発生させないので、水撃が発生しにくくなる。このため、波動発生機器74を始めとする水路系構成機器を耐水撃性が高いものとする必要がなくなり、構成・構造の簡略化や小型化、延いては樹脂化を図ることができる。
【0164】
また、波動発生機器74では、プランジャ74bの往復動により脈動を発生させるに際し、上記のように流量ゼロの状況を発現させないので、洗浄水吐出側に逆止弁74f等の止水構造を必要としない。このため、より一層の構成・構造の簡略化や小型化を図ることができる。そして、このように小型化を図ることができることから、波動発生機器74の設置場所の自由度が高まると共に、質量の大きな他の部材への取付や一体化が簡便化する。
【0165】
更に、脈動流の洗浄水吐水の際に流量ゼロの洗浄水吐水の状況を起こさないので、以下の利点がある。脈動周波数が不感帯周波数領域内(約5Hz以上)であっても、吐水を受ける使用者の刺激の連続感は、この脈動周波数がこの不感帯周波数領域の下限に近づくほど薄れがちとなるといえる。しかし、上記のように流量ゼロの洗浄水吐水状況を起こさないので、この刺激の連続感を薄れにくくできる。よって、波動発生機器74による脈動流の洗浄水吐水では、脈動周波数の調整範囲を不感帯領域の下限近くにまで広げることができ、広範囲の脈動周波数調整により、洗浄感や水勢の多様化を図ることができる。
【0166】
また、この実施例の局部洗浄装置10では、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄で洗浄動作の終了時に、上記したように波動発生機器74を駆動してプランジャ74bを往復動させ、残存洗浄水を強制的に排出するようにした。よって、流調弁65から洗浄ノズル24のノズルヘッド25までに亘る管路の水抜きが完全に行われる。このため、残存水の凍結を確実に回避できる。このような水抜きのために波動発生機器74を駆動する際、脈動発生コイル74cのデューティ比Dtmを小さくし脈動周波数ftmを低周波数としたので、プランジャ74bを定速かつ弱い力で移動させるに過ぎず、プランジャ74bをシリンダ74a端部に高速かつ強い力で衝突させない。このため、プランジャ74bの打音を低減できる。更に、既述したように流路切換弁71を水抜き時に各ノズル流路の総ての連通孔を開口させるようにすれば、洗浄ノズル24における総ての流路で水抜きできる。
【0167】
加えて、この実施例の局部洗浄装置10では、既述したように、使用者には連続した吐水を受けているような感じを与えつつ洗浄水水量(吐水量)を低減して節水の実効性を高めた。このため、所望温度まで洗浄水をヒータ61で加熱するための消費電力の低減を図ることができる。すなわち、一般にトイレ室内のコンセントの限界容量は15Aである。しかし、従来トイレで使用される既存の局部洗浄装置では、瞬間式の熱交換器の温水ヒータ容量を、寒冷期でも充分な温度、充分な時間の吐水を可能にするために2500ワット程度に設定している。このヒータ容量の低減を図るために洗浄水に空気を強制的に混入させて洗浄水量を低減させることが行われているが、このようにしても、少なくとも1000ワット以上のヒータ容量が必要であった。このため、このようなヒータ容量を有する局部洗浄装置をトイレ室内のコンセントに差すと、コンセントの限界容量に近づくため、他の電気機器が接続できないという問題があった。そればかりでなく、局部洗浄装置に設けられた温風乾燥機能や室内暖房機能などを同時に作動させると総合的なヒータ容量は大きくなる。よって、これらの機能が同時に作動したときは、何れかのヒータ通電を停止するなどの措置を取らなければならないといった問題もあった。
【0168】
また、ホテルや施設などは複数の局部洗浄装置を設置する必要があるものの、消費電力の上限のために設置できないといった問題があった。しかしながら、この実施例の局部洗浄装置10によれば、波動発生機器74により脈動を発生させ、この脈動の脈動周波数ftm並びにデューティ比Dtmの制御を通して、洗浄水水量の大幅な減少及び消費電力の低減が図れ、上述したような電源の問題の解決も図ることができる。
【0169】
上記した実施例の局部洗浄装置10では、波動発生機器74に至る洗浄水流量を図示しない流量センサで検出している。よって、既述したように、このセンサの検出流量を用いた脈動流制御(デューティ比制御、脈動周波数制御)による細かな水勢調整が可能であるほか、以下の利点がある。即ち、電子制御装置80は、電磁弁55の不良等により過度の流量が発生した時や断水などの異常発生時に、この流量センサからの検出信号を受けて、波動発生機器74の駆動停止、ヒータ61への通電停止、洗浄ノズル24の待機位置復帰等の動作を行なう。こうすれば、プランジャ74bの空打ちによる打音の発生を回避したり、ヒータ61の空だきを回避等できる。
【0170】
次に、上記した局部洗浄装置10の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上記した実施例或いはその変形例と同一の部材については同一の部材名とその符号をそのまま用い、同一の機能を果たす部材については同一の部材名を用いることとする。
【0171】
既述した脈動流の洗浄水吐水において、流量・流速を可変制御したり、流量を一定にしたまま流速を可変制御するよう変形できる。図60は、この脈動吐水において、流量・流速を増減制御する一例を示したものであり、図32は、この脈動吐水において、流量を一定にしたままで流速vmを減速制御(vm2→vm3)した一例を示したものである。なお、図において、t2、t3(>t2)は、波動発生機器のコイル励磁のための通電時間を表し、T2は波動発生機器にて発生させる脈動の脈動発生周期を、Vは脈動発生機器の脈動発生コイル74cへの通電をON・OFFするためにスイッチングトランスへ印加される電圧、換言すればコイル励磁電圧を表す。また、図において、(a)はパルス信号のデューティ比の様子を、(b)は電圧V−時間の関係を、(c)は吐水される洗浄水の流速vm−時間の関係を、それぞれ表している。
【0172】
まず、図60を用いて、流量・流速を増減制御する例について説明する。
既述したように、脈動発生コイル74cの励磁により駆動するプランジャ74bで脈動流の洗浄水とされる時、その流量は駆動されるプランジャ74bのストローク長に応じて、流速はプランジャ74bの駆動速度、即ちプランジャ74bの吸引力に応じてそれぞれ規定される。脈動流生成に当たり、洗浄水速度を減速させるには、デューティ比Dtmを維持したまま、脈動発生コイル74cへの通電電圧V(即ち脈動発生コイル74cへ流れる電流)を小さくする(V2→V2’;図60(b)参照)。これにより、プランジャ74bの吸引力は低下するので、この通電電圧低下によりプランジャ74bの駆動速度は遅くなる。脈動発生周期T2においてデューティ比が同一であるために同一の通電時間t2の間にあっては、プランジャ駆動速度の低減分だけプランジャ74bの移動距離(ストローク長)が短くなり、プランジャ移動量で定まる洗浄水流量は低減する。よって、デューティ比一定の状況下でコイルへの通電電圧を低減すれば、洗浄水の流量と流速を共に低減させることができる。流量・流速の増大の場合はこの逆となるので、デューティ比一定の状況下でコイルへの通電電圧を増減制御すれば、洗浄水の流量と流速を同時に増減調整できる。
【0173】
次に、図32を用いて、流量を一定にしたままで流速vmを減速制御(vm2→vm3)する例について説明する。
洗浄水の流量変化を来すことなく流速のみ加減速するには、次のように制御する。まず、図32(b)に示すように、脈動発生コイル74cへの通電電圧Vを小さくする。この際、デューティ比一定状況下では、上記したようにストローク長の短縮に伴う流量低減と流速低減が起きるので、流量不足の補填だけを行うべく、図32(a)に示すように、デューティ比を大きくする(t2/T2→t3/T2)。こうしてデューティ比が大きくされると、コイル励磁期間もt2からt3に長くなるので、プランジャ74bを正規のストローク分だけ駆動でき、プランジャ74bのストローク長を一定に保つことができる。よって、流量を一定としたまま、流速のみを減速できる。この現象は、流速と時間の関係を示す左右のグラフ(c)において、1周期間の面積S2が等しいことからも説明できる。増速制御の場合は、この逆となる。もちろんこの他に、プランジャ74bのストローク限界にて常時脈動を発生している場合においては駆動ストローク長が変わらないため流量は変化せず、脈動発生コイル74cへの印加電圧もしくは通電電流を制御するだけで、流量一定かつ流速可変の制御が可能となる。
【0174】
次に、上記した実施例の局部洗浄装置10の別の変形例について説明する。
【0175】
図33は、変形例の局部洗浄装置100が有する水路系構成を表すブロック図、図34は、他の変形例の局部洗浄装置110が有する水路系構成を表すブロック図、図35は、これら変形例の流調切換弁75の概略構成を一部破断して示す概略構成図である。図36は、また別の変形例の局部洗浄装置120が有する水路系構成を表すブロック図である。図37は、この水路系に配置された断続弁128の構成を表す断面図、図38は、この断続弁を有する変形例の局部洗浄装置の水路系における水圧を説明する説明図である。図39は、また別の変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を表すブロック図である。
である。
【0176】
(1)図33に示すように、この変形例の局部洗浄装置100では、アキュムレータ73と波動発生機器74とを有する波動発生ユニット70を、熱交換ユニット60の下流に備え、この波動発生ユニット70の下流に流調切換弁75を有する。この流調切換弁75は、洗浄ノズル24とは別体で構成され、洗浄ノズル24の上記各ノズル流路(お尻洗浄用、やわらか洗浄用およびビデ洗浄用の各ノズル流路)のいずれかに洗浄水の給水先を切り換えると共に、切り換えた各流路に流す洗浄水流量を調整する。よって、この流調切換弁75で、洗浄ノズル24における各ノズル流路の給水切換、並びに各流路への洗浄水流量調整を行うことができる。このため、上記の実施例では、洗浄ノズル24への流量調整を行う流調弁65と、洗浄ノズル24の各ノズル流路の切換を行う流路切換弁71の二つの弁を用いていたが、この変形例では、一つの流調切換弁75で済む。よって、部品点数減少により組み付け工数の低減、コスト低減等の製造上の利点がある。
【0177】
また、この局部洗浄装置100では、波動発生ユニット70下流の流路、即ち、波動発生ユニット70から流調切換弁75までの流路と流調切換弁75から洗浄ノズル24までの流路である下流側給水管路72を、波動発生ユニット70より上流の上流側給水管路51より高硬度の可撓性配管とした。よって、流調切換弁75を洗浄ノズル24から離したものであっても、給水管路自体の伸縮、膨張・収縮を起き難くでき、この伸縮に伴う脈動減衰の影響を抑制できる。このため、この変形例にあっても、流路における脈動減衰を低減して、脈動流の洗浄水を洗浄ノズル24に送り込むことができる。
【0178】
(2)図34に示す他の変形例の局部洗浄装置110では、お尻用とビデ用で別々の洗浄ノズルを備え、各ノズルを上記の変形例の流調切換弁75に接続させている。そして、この流調切換弁75は、お尻用洗浄ノズル114とビデ用洗浄ノズル116と接続され、これら各洗浄ノズルごとのノズル流路(お尻洗浄用ノズル流路およびビデ洗浄用ノズル流路)に洗浄水の給水先を切り換えると共に、切り換えた各流路に流す洗浄水流量を調整する。
【0179】
お尻用、ビデ用の洗浄ノズル114、116は、ノズル装置112に装着されている。このノズル装置112は、上記各洗浄ノズルを別々に待機位置からそれぞれの洗浄位置に進退するよう構成され、電子制御装置80によって駆動制御される。このように、お尻用とビデ用で別々の洗浄ノズルを有する局部洗浄装置110であっても、上記したように、脈動周波数ftm並びにデューティ比Dtmの制御を通して、節水の実効性を高めたまま、多様な洗浄感や水勢を設定できる。また、上記の局部洗浄装置100と同様に、波動発生ユニット70下流の下流側給水管路72を上流側給水管路51より高硬度の可撓性配管とすることで、お尻用とビデ用で別々の洗浄ノズルを有する局部洗浄装置110にあっても、流路における脈動減衰を低減して、脈動流の洗浄水をお尻用とビデ用の各洗浄ノズルに送り込むことができる。
【0180】
これら変形例の流調切換弁75は、例えば、図35のようなドラム式の流調切換弁とすることができる。この流調切換弁75では、ドラムケーシング75aの内部に、ドラム75bを回転(正逆回転)自在に有する。このドラム表面には、各給水口ごとに給水溝75cが形成されており、ドラムの各給水溝と給水口との重なり程度を調整して、給水先の切り換えと、切り換えた給水先への給水流量を調整する。このドラム式の流調切換弁75によれば、ダイアフラム等の弾性体の弾発を利用した切換弁に比べて、脈動の減衰をより効果的に抑制できる。
【0181】
また、お尻用洗浄ノズル114とビデ用洗浄ノズル116を備えるものにあって、お尻用・ビデ用のいずれかの洗浄ノズルをやわらか洗浄用の吐水孔とそのためのノズル流路を有するものにできる。更に、やわらか洗浄用の洗浄ノズルを上記両洗浄ノズルと別に有するものとできる。
【0182】
(3)図36に示す変形例の局部洗浄装置120は、断続流での洗浄水吐水を行う点に特徴がある。即ち、給水されてきた洗浄水の加圧とその下流での洗浄水流の断続を図って洗浄水の流れを、瞬間的には流量がゼロとなる断続流とする点に特徴がある。即ち、この変形例の局部洗浄装置120は、その水路系において、熱交換ユニット60の下流側に、加圧機器122と流調弁124と断続流発生ユニット126とを備え、流路切換弁71を経て洗浄ノズル24から洗浄水を吐水する。
【0183】
加圧機器122は、ラインポンプ等の加圧ポンプを備えており、熱交換ユニット60から供給される洗浄水を加圧して下流の上記機器に供給する。そして、この加圧機器122は、調圧弁54で調圧された約0.13MPa{1.3kgf/cm2 }の1次圧を約0.2MPa{約2kgf/cm2 }まで高めるポンプ容量を備えている。なお、この調圧弁54による調圧圧力(約0.13MPa{1.3kgf/cm2 })は、従来品とほぼ同じである。
【0184】
断続流発生ユニット126は、その上流側からアキュムレータ73と、流路を断続する断続弁128とを有する。断続弁128は、図37に示すように、モータ128aで、バルブ体128bをハウジング128cの内部で回転させる。そして、この断続弁128は、内部のバルブ体流路128dを、モータ128aの回転周期に併せてバルブ流路128eと連通させて流路を断続させる。これにより、断続弁128は、加圧機器122で加圧された洗浄水流を断続した出力(断続流)とし、断続流の洗浄水を洗浄ノズル24に給水する。この断続流の生成の様子を図でもって説明すると、次のようになる。
【0185】
図38に示すように、給水源からの給水圧がPwであると、洗浄水は、調圧弁54により約0.13MPa{1.3kgf/cm2 }まで圧力が下げられて加圧機器122に至り、この加圧機器122で約0.2MPa{約2kgf/cm2 }まで昇圧される。そして、この洗浄水は、断続弁128による周期的な洗浄水流の断続を受けて断続流とされ、洗浄ノズル24から吐水される。この際の断続流の断続周期DTは、断続弁128のモータ回転周期の2倍であることから、電子制御装置80によるモータ128aの回転制御を通して可変制御可能である。そして、この変形例では、断続周期DTで規定される周波数(断続周波数)が既述した不感帯周波数範囲(5Hz以上、好ましくは10〜100Hz)となるようにされている。従って、流路の断続を経て得られた断続流の洗浄水を洗浄ノズル24から吐水するこの変形例にあっても、既述した実施例と同様に洗浄水吐水の周波数制御により、洗浄水水量が一定であっても、洗浄感の多様化や水勢調整を行うことができる。また、洗浄水水量の調整を併用すれば洗浄水流速も変更できることから、より一層の洗浄感の多様化ときめ細かな水勢調整を行うことができる。また、周波数制御により既述したように水勢調整が可能であることから、洗浄水水量の不足が起きても、使用者の所望する水勢を確保することができる。換言すれば、使用者の所望する洗浄感や水勢を断続流の周波数制御で確保できることから、既述したように洗浄水水量の大幅な低減を図ることができる。
【0186】
この変形例によれば、次の利点がある。図37に示すように、断続弁128は、バルブ体流路128dの開口部に傾斜部128fを有する。この傾斜部128fは、バルブ体128bがバルブ流路128eを遮蔽側に回転する際に、バルブ流路128eを徐々に閉める機能を果たす。よって、断続流生成のための断続弁駆動の際に、この弁駆動に伴う流路遮断時の水撃の発生を抑制できる。
【0187】
また、この変形例では、図38に示すように、加圧機器122で昇圧して得た圧力(約0.2MPa{約2kgf/cm2 })を最高圧力とし、断続弁128による断続で圧力がこの最高圧力から降下する断続流としている。よって、加圧機器122による昇圧圧力を上下にシフトさせれば、この断続流をも既述した脈動流の場合と同様(図5参照)上下にシフトして、流量調整することができる。
【0188】
(4)図39に示す他の変形例の局部洗浄装置130では、加圧機器122と断続流発生ユニット126により、洗浄水を加圧して断続流の洗浄水とする。また、お尻用とビデ用の洗浄ノズル114、116をノズル装置112により進退させ、流調切換弁75でノズルへの流路切換並びに流量調整を行う。そして、流量調整を経た上で、上記の断続流の洗浄水をお尻・ビデの各洗浄ノズルから吐水する。このように、お尻用とビデ用の別々の洗浄ノズル114、116を有するものにあって断続流の洗浄水をそれぞれ吐水するように構成することもできる。
【0189】
各局部洗浄においてやわらかな感の向上を図るため、洗浄水に強制的に空気を混入するよう変形することもできる。図40は、空気の強制混入を行う変形例の洗浄ノズル140の構成を説明する説明図、図41は、洗浄水に強制的に空気を混入するにした際の空気混入量と空気混入を受けた洗浄水吐水による洗浄面積との関係を示すグラフである。図42は、空気の強制混入を行う他の変形例の洗浄ノズル140Aの構成を説明する説明図である。
【0190】
(1)図40に示すように、変形例の洗浄ノズル140は、ノズルヘッド142に、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄の各吐水孔31〜33の各ヘッド流路34〜36に連通した第1〜第3エアー流路143〜145を有する。これらエアー流路は、洗浄ノズル140の筒状部140aの上部区画室140bにおいて、エアー配管146〜148と個別に接続されている。そして、この各エアー配管には、空気ポンプ149から圧送された圧搾空気が、空気流量調整弁150で流量調節されて供給される。この空気流量調整弁150は、各エアー配管146〜148へのエアー供給の切換も行う。よって、圧搾空気は、ノズルヘッド142において、各エアー流路を介してそれぞれのヘッド流路に吹き込まれる。上記各ヘッド流路を脈動流或いは断続流の状態で流れる洗浄水は、脈動流或いは断続流での吐水により上記したように水塊状で吐水されながら、圧搾空気の吹き込みで生じる摩擦力を受ける。このため、圧搾空気の吹き込みにより、洗浄水は、図示するように微少の水塊となって吐水される。この微小の水塊は、各吐水孔から噴出されても互いに再度結合し難い状態になっている。
【0191】
このように空気混入を行うと、図41に示すように、吹き込む空気流量を増大させるにしたがって水塊が細かく分散して洗浄面積が増大することが分かる。よって、水量を少なくして洗浄範囲が狭くなったときに空気流量を増大することにより洗浄範囲を広げることができる。また、図18に示したように、吐水孔から吐水された脈動流或いは断続流の洗浄水は、大きな水塊に増大するが、空気を吹き込むことにより、空気の剪断力を利用して水塊を小さなものにできるので、柔らかな洗浄感を得ることができる。このように、空気の吹き込みにより、洗浄範囲の増減や、洗浄強度の調節を行なうことができる。また、脈動流或いは断続流での水勢調整や洗浄感調整と相俟って、よりきめ細かく洗浄強度等を調整できる。更には、空気混入の分だけ洗浄水水量の低減ができ、節水化の実効性を高めつつ、やわらかな感じの洗浄感をもたらすことができる。
【0192】
(2)図42に示すように、他の変形例の洗浄ノズル140Aは、ノズルヘッド142Aにおけるお尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄の各ヘッド流路34〜36の各吐水孔31〜33に、それぞれ第1〜第3エアー配管151〜153を挿入して備える。この第1〜第3エアー配管151〜153は、上記の空気ポンプ149と接続されている。よって、この第1〜第3エアー配管151〜153からの圧搾空気は、それぞれのヘッド流路34〜36を流れる洗浄水の中に直接噴出される。この構成によると、洗浄水流の中に直接、空気が吹き込まれるので、洗浄水流を分散させる作用を一層高めることができる。
【0193】
洗浄ノズルを洗浄水流の負圧を利用して自然吸気を図るよう変形することもできる。図43と図44は、自然吸気を図るそれぞれの変形例の洗浄ノズルの要部概略断面図である。図45は、自然吸気を図る他の変形例の洗浄ノズルを模式的に表した模式図、図46は、この他の変形例における空気の巻き込み特性を示すグラフである。
【0194】
(1)図43に示すように、この変形例の洗浄ノズルが有するノズルヘッド142Bは、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄の各ヘッド流路34〜36の一部に、流路面積を狭くするオリフィス154〜156を有する。また、この各オリフィスの下流側に、ノズルヘッド背面から外気を導入する外気導入通路157〜159を有する。この構成によると、各オリフィスから流出した洗浄水流が流路面積を増大するときに負圧を生じて、各外気導入通路157〜159から空気を洗浄水に混入する。この変形例によると、空気ポンプなどを設ける必要がないので、構成を簡単にすることができる。この場合、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄のヘッド流路34〜36に対応する各オリフィスを、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄ごとにオリフィス径を異なるようにすることもできる。例えば、お尻洗浄よりもやわらか洗浄・ビデ洗浄の方が空気混入量が多くなるように、オリフィス径を規定する。こうすれば、お尻洗浄・やわらか洗浄・ビデ洗浄のそれぞれで空気の混入程度が異なるので、各洗浄動作ごとに洗浄感を変化させることができる。
【0195】
(2)図44に示す他の変形例では、ノズルヘッド142Cは、ビデ洗浄用のノズル流路36の中に外気導入管160を配置して備える。こうしても、洗浄水流の中に直接空気を導入することができる。お尻洗浄用、やわらか洗浄用のノズル流路についても同様である。
【0196】
(3)図45に示す別の変形例では、自然吸気の効率を向上させるため以下の構成を有する。なお、説明の便宜上、一つの吐水孔(お尻吐水孔)について説明するが、やわらか吐水孔、ビデ吐水孔についても同様である。この別の変形例は、ノズルヘッド161に、外気巻き込み室162を備える。そして、このノズルヘッド161は、外気巻き込み室162を挟んで、お尻洗浄用のヘッド流路34におけるオリフィス163とお尻吐水孔31とを対向配置し、外気巻き込み室162には、外気導入通路164を備える。このように構成することで、オリフィス163から吐水される洗浄水を駆動流体として外気導入通路164からの空気を被駆動流体とすると共に、お尻吐水孔31をスロートとするいわゆるジェットポンプが構成させる。
【0197】
この変形例では、オリフィス163が洗浄水の吐水方向と同一方向で設けられているので、水勢の減衰を抑制できる。また、ジェットポンプとしての作用により、空気巻き込み量を増大させることができる。よって、空気量増大の分だけ洗浄水水量の低減ができ、節水化の実効性をより高めることができると共に、よりやわらかな感じの洗浄感をもたらすことができる。更に、オリフィス163と洗浄水吐水方向とが同一方向であるため、オリフィス下流に管路の曲がりがない。よって、この管路曲がり部での洗浄水の衝突が起きないので、その分、エネルギロスが無く流速の低下を招かない。
【0198】
この変形例においてオリフィス径S1とスロート径S2の面積比(S2/S1)を種々変更して空気巻き込み量を測定した。この空気巻き込み量を水に対する空気の比(空気混入率%)として表してグラフ化したところ、図46に示すように、この面積比を1〜4とすれば、40〜80%という大きな空気巻き込み量とできた。つまり、この変形例のようにジェットポンプを構成して上記の面積比を1〜4とすれば、図43のようにオリフィスと外気導入通路を有するものよりも、約1.2〜2倍程度、空気巻き込み量を増大でき、節水化の実効性の向上・やわらかな感じの洗浄感の付与に有利である。なお、空気巻き込み量は、次のように測定した。即ち、空気吸込口に熱線式の微少空気流量計を接続して空気流量を直接測定し、この空気流量とノズルへの給水流量とから空気混入率を演算し、これを空気巻き込み量として、図46のグラフを得た。
【0199】
図47は、図45に示す洗浄ノズルを更に変形したノズルヘッド170を説明するため内部構造を透視して概略的に表した概略斜視図、図48は、この他の変形例におけるノズルヘッド170における空気の巻き込み特性を示すグラフ、図49は、このノズルヘッド170からの洗浄水の吐水の様子を模式的に示す説明図である。
【0200】
図47に示すように、この変形例のノズルヘッド170は、上記のノズルヘッド161と同様、外気巻き込み室162、オリフィス163、スロートとしてのお尻吐水孔31並びに外気導入通路164で構成されたジェットポンプを有する。そして、このノズルヘッド170は、オリフィス163とお尻洗浄用のヘッド流路34の間に、洗浄水渦室171を有する。この洗浄水渦室171は、底部ほど大径とされこの底部からオリフィスまで傾斜した内周壁を有する。この洗浄水渦室171には、ヘッド流路34が図示するように偏心して接続されているので、渦室内に流入した洗浄水は、図中矢印SYで示すように上記の傾斜した内周壁に沿って旋回する。そして、このように旋回した洗浄水は、オリフィス163を通過し外気巻き込み室162を経てスロート(お尻吐水孔)から吐水する際に多量の空気を巻き込んだ状態で吐水される。
【0201】
このようにして吐水された洗浄水は、この洗浄水自体が有する旋回力の影響を受け、図中に模式的に示すように螺旋状の吐水形態を採る。この変形例では、洗浄水渦室171に洗浄水を流入するに当たり、お尻洗浄用のヘッド流路34から上記した脈動流或いは断続流の状態で洗浄水を給水する。よって、このようにして吐水された洗浄水は、この脈動流或いは断続流での上記した吐水の性質を持ったまま、図示するように空気混入済みで螺旋状(コーン状)の吐水形態を採る。上記の洗浄水の旋回力は洗浄水渦室171への洗浄水の流入速度(洗浄水速度)で定まり、この流入速度は洗浄水渦室171における洗浄水の旋回程度を規定する。また、空気混入程度も、洗浄水速度で定まる。よって、洗浄水渦室171への洗浄水流入速度(洗浄水速度)を調整することで、螺旋状の吐水形態での螺旋の広がり程度や空気混入程度を種々調整できる。螺旋の広がり程度は洗浄面積を左右することから、この変形例では、洗浄面積をも調整できる。そして、洗浄水速度は、脈動流或いは断続流における周波数調整やデューティ比調整、並びに流調弁による流量調整によって種々変更可能である。よって、多様な洗浄面積での吐水や多様な空気混入量の吐水が可能であり、より心地よい洗浄感・柔らか感等を付与することができる。しかも、脈動流或いは断続流による低流量下での水勢調整等をも実現できる。
なお、図47は洗浄水の吐水の様子を瞬間的に示しているが、この状態が連続して起きているので、実際の吐水形態は、中空の図示するコーン形状KSが吐水洗浄水で形成されているものとなる。
【0202】
この変形例においてもオリフィス径S1とスロート径S2の面積比(S2/S1)を種々変更して空気巻き込み量を測定したところ、図48に示すような結果を得た。即ち、渦室を有しない上記のノズルヘッド161(図45参照)に比べ、約1.3〜2倍程度、空気巻き込み量を増大でき、節水化の実効性の向上・柔らかな感じの洗浄感の付与の観点から更に有利である。そして、この面積比を1.2〜3程度にすることが、空気巻き込み量増大の点で好ましい。なお、空気巻き込み量は、上記と同じ方法で測定した。
【0203】
図49に示すように、コーン形状KSの吐水形態を採っていることから、この変形例のノズルヘッド170からの吐水は、被洗浄部分の中心を取り囲むようにこの被洗浄部分に着水する。よって、被洗浄部分の汚れをコーン形状KSの中に閉じ込めた状態での洗浄が可能となり、洗浄効果を高めることができる。また、このコーン形状KSの吐水形態では、洗浄水が単に拡散吐水しているのではなく、コーン外壁に沿った洗浄水の回転(旋回)が起きている。このため、コーンの内部に図中白抜き矢印で示す空気の巻き込みが起こり、被洗浄部分着水部の略中心部に、着水洗浄水が略柱状に垂れ下がった垂れ下がり部KSCが形成される。よって、被洗浄部分を取り囲むよう着水して洗浄しつつ、この垂れ下がり部KSCでも被洗浄部分中央を洗浄できる。
【0204】
この図47に示す変形例のノズルヘッド170は、螺旋状の吐水形態での螺旋の広がり程度と空気巻き込み程度を、洗浄水渦室171への洗浄水流入速度(洗浄水速度)で規定する。よって、流量調整弁等による通常の流量調整を行った連続流の洗浄水を給水するだけで、多様な洗浄面積での吐水や多様な空気混入量の吐水が可能であり、より心地よい洗浄感・柔らか感等を付与することができる。つまり、上記のノズルヘッド170によれば、脈動流或いは断続流の状態での洗浄水給水とする必要はなく、連続流での吐水を行う既存の局部洗浄装置のノズルヘッドと交換等するだけで、心地よい洗浄感や柔らか感等を付与できるよう既存装置を簡単に改良することができる。
【0205】
また、このノズルヘッド170は、螺旋状の吐水形態での螺旋の広がり程度のみを、洗浄水渦室171への洗浄水流入速度(洗浄水速度)で規定する。よって、流量調整弁等による通常の流量調整を行った連続流の洗浄水を給水するだけで、上記の螺旋の広がり程度により多様な洗浄面積での吐水が可能である。このため、上記のノズルヘッド170では、脈動流或いは断続流の状態での洗浄水給水と空気巻き込みに関する構成を省略しても、心地よい洗浄感・柔らか感等を付与することができる。
【0206】
その一方、脈動流の状態で洗浄水を洗浄水渦室171に導くようにすれば、図32を用いて説明したように、デューティ比制御を通して、水量一定のままこの洗浄水渦室171への洗浄水流入速度を増減制御できる。そして、上記したデューティ比制御による洗浄水速度調整は、流量調整弁による流量調整を経た速度制御と比べて調整感度が高く、きめ細かくな速度調整が可能となる。よって、脈動流の状態で洗浄水を導く構成とすれば、螺旋状の吐水形態での螺旋の広がり程度(即ち、洗浄面積の広狭)と空気巻き込み量を、きめ細かな速度調整を通してきめ細かく調整できるので、洗浄体感の多様化に有益である。
【0207】
また、このノズルヘッド170によれば、次のような利点がある。
吐水孔から洗浄水を吐水して被洗浄面に着水させた場合、その洗浄水の及ぼす力Fは、次の式で表される。なお、ρは洗浄水密度、Vは吐水速度、Qは吐水量、Sは吐水孔開口面積を示す。
F=ρ・V・Q=ρ・(Q2 /S)
【0208】
ノズルヘッド170での吐水形態では、吐水孔(お尻吐水孔31)から洗浄水が吐水する際に洗浄水は旋回しつつ吐水してコーン状KSをなしている。よって、吐水孔開口の洗浄水通過の様子は、開口部全域から洗浄水が通過して吐水されているのではなく、開口部中心には洗浄水がなく壁面に沿って環状に洗浄水が通過して吐水されている状態となる。このため、ノズルヘッド170では、吐水孔を洗浄水が通過する際の実吐水孔面積S1は、吐水孔壁面に沿った環状形状の面積となり、吐水孔開口面積Sよりも小さくなる。
よって、吐水孔から単純に洗浄水を吐水したときの力Fとコーン形状KSの吐水形態の時の力F1とを比べると、F1は次式で表されS>S1であることから、F1>Fとなる。
F1=ρ・(Q2 /S1)
【0209】
しかも、ノズルヘッド170では、吐水洗浄水に空気を混入させているので、空気混入の分だけ洗浄水が占める面積は少なくなるので、上記した実吐水孔面積S1はより小さくなり、F1は大きくなる。従って、ノズルヘッド170によれば、同じ吐水量Qでも洗浄水の及ぼす力F1を大きくできるので、局部洗浄に必要とされるこの力Fを得るのに少ない吐水量で済むことになる。
【0210】
このように実吐水孔面積S1を小さくして力F1を大きくすることの主要因は、洗浄水に旋回を与えて吐水することである。よって、洗浄水に旋回を与えて吐水することだけでも、節水の実効性を高めることができる。そして、上記のように空気混入することでは、空気混入吐水とすることで柔らか感を高めることができる。従って、ノズルヘッド170によれば、節水を図った上で柔らか感を発揮できる吐水を実行できる。しかも、このノズルヘッド170では、脈動流或いは断続流での洗浄水吐水を行っているので、上記した旋回付与による効果と空気混入による効果に加え、脈動流或いは断続流としてことで得られる既述した効果(例えば、節水効果等)を発揮することができる。
【0211】
また、このノズルヘッド170に、空気ポンプ等を用いて強制的に空気を混入するようにすることもできる。こうすれば、空気混入量が増大するので、より一層の柔らか感をもたらすことができる。このように強制的に空気混入を図るよう構成した場合は、強制的な空気混入を行いつつ上記の脈動流或いは断続流の洗浄水による吐水を行ったり、強制的な空気混入を停止した状態で脈動流或いは断続流の洗浄水による吐水を行ったりするようにすることもできる。
【0212】
次に、ノズルヘッド170で説明した洗浄水渦室171を利用した他の変形例について説明する。図50は、この他の変形例のノズルヘッド200の要部概略断面図、図51は、そのX方向概略斜視図、図52は、ノズルヘッド200の底部蓋210の斜視図である。
【0213】
図示するように、このノズルヘッド200は、お尻洗浄・柔らか洗浄・ビデ洗浄の各吐水孔31〜33を、ヘッド上面に装着される上蓋202に有する。この上蓋202は、着脱自在とされており、各吐水孔31〜33の孔径が異なるものが種々用意されているので、各吐水孔の孔径の組み合わせを複数選択可能である。上蓋202の下面には、上記の各吐水孔に連通するエアーギャップ室204が形成されており、このエアーギャップ室204に、吐水孔ごとのヘッド流路が次のように接続されている。
【0214】
お尻吐水用の第1ヘッド流路34は、エアーギャップ室204に直接接続され、その流路末端をお尻吐水孔31に対向させている。柔らか吐水用の第2ヘッド流路35とビデ吐水用の第3ヘッド流路36は、図50および図51に示すように、ノズル下端側に形成され、ノズルヘッドにおいては、ノズルヘッド下端に底部蓋210を水密に装着することで形成される。第2ヘッド流路35と第3ヘッド流路36は、ノズルヘッド内に形成され底部蓋210の装着により密閉空間とされる柔らか洗浄水渦室206とビデ洗浄水渦室208にそれぞれ偏心接続されている。この場合、図51に示すように、第2ヘッド流路35は柔らか洗浄水渦室206にノズルヘッド右方から達し、このヘッド流路からの洗浄水は、接続口206aから渦室内に偏心して入り込む。第3ヘッド流路36はビデ洗浄水渦室208にノズルヘッド左方から達し、このヘッド流路からの洗浄水は、接続口208aから渦室内に偏心して入り込む。この両渦室は、既述した洗浄水渦室171と同様に、底部ほど大径とされこの底部からその上端のオリフィス207、209まで傾斜した内周壁を有する。
【0215】
また、底部蓋210およびヘッド先端部には、上記したエアーギャップ室204に連通し当該ギャップ室に空気導入を図るための外気導入通路212が空けられている。このため、第1〜第3ノズル流路34〜36からエアーギャップ室204を経てそれぞれの吐水孔に向けて洗浄水が吐水される際、このエアーギャップ室204にて外気導入通路212からの空気巻き込みを起こす。そして、柔らか吐水とビデ吐水にあっては、それぞれの渦室での洗浄水旋回を起こして、その旋回した洗浄水は、オリフィス207、209を通過しエアーギャップ室204を経てスロート(柔らか吐水孔32、ビデ吐水孔33)から吐水する際に多量の空気を巻き込んだ状態で吐水される。よって、お尻洗浄時には、断続流或いは脈動流での洗浄水吐水に空気混入を図った状態で吐水し、柔らか洗浄とビデ洗浄の際には、断続流或いは脈動流での洗浄水吐水に空気混入と洗浄水旋回とを図った状態で吐水することができる。そして、各洗浄の際には、断続流或いは脈動流での洗浄水吐水、空気混入および洗浄水旋回で得られる上記の効果を奏することができる。なお、このノズルヘッド200にあっても、ノズルヘッド170と同様に、連続流での洗浄水吐水を行うものに適用することができる。
【0216】
更に、このノズルヘッド200では、底部蓋210に、ビデ洗浄水渦室208の底部中央に位置する立設板213を設けた。この立設板213は、ビデ洗浄水渦室208に入り込むので、当該渦室の中央付近の旋回洗浄水に干渉する。よって、この立設板213の高さや幅等の寸法調整により、ビデ洗浄水渦室内の洗浄水の旋回状態(旋回量)をコントロールすることができる。このため、旋回状態のコントロールにより、空気巻き込み量がほぼ同じ状態でビデ吐水を毎回実施できる。
【0217】
次に、ノズルヘッド170のまた別の変形例について説明する。図53は、この変形例のノズルヘッド220を説明するため内部構造を透視して概略的に表した概略斜視図である。
【0218】
図示するように、この変形例のノズルヘッド220は、上記のノズルヘッド170と同様、外気巻き込み室162、オリフィス163、スロートとしての吐水孔221並びに外気導入通路164で構成されたジェットポンプを有し、オリフィス163の下方に洗浄水渦室171を有する。そして、洗浄水のノズル給水経路として、洗浄水渦室171に偏心して接続された偏心経路222と、当該渦室にその中心を指向して接続された中心指向経路223とを有する。また、この両経路に独立して洗浄水を給水する図示しない洗浄水給水ユニットを有する。この洗浄水給水ユニットは、中心指向経路223のみへの洗浄水給水、中心指向経路223と偏心経路222の両経路への洗浄水同時給水が可能であり、その給水の際には各経路ごとの流量Q1、Q2の流量調整を行うよう構成されている。なお、洗浄水給水ユニットを偏心経路222にのみ給水するようにすれば、既述したノズルヘッド170と同一となる。
【0219】
ここで、上記したノズルヘッド220から洗浄水を吐水した際の吐水の様子について説明する。
まず、中心指向経路223のみに洗浄水を給水した場合には、洗浄水は、洗浄水渦室171にその中心を指向して流入する。このようにして流入した洗浄水は、渦室内でほとんど旋回することなくオリフィス163を通過し、外気巻き込み室162通過時に空気を巻き込んでスロート(吐水孔221)から吐水される。そして、この場合には、渦室内での洗浄水旋回が起きないことから、次のような吐水状況となる。
【0220】
▲1▼外気巻き込み室162での空気巻き込み量は、洗浄水旋回有りの場合より少なくなるので、柔らか感は小さくなる。
▲2▼吐水形態はコーン状KSとはならずほぼ円柱状のままのものとなる。このため、図53に示すように狭い洗浄面積SMaを、空気混入量が少なく円柱状をした洗浄水水柱で強く洗浄できる。また、吐水形態が円柱状と細いことから、洗浄水をお尻洗浄の際に強制的に肛門内に張り込ませることもでき、いわゆる浣腸効果を奏することができる。
上記した現象は、中心指向経路223と偏心経路222の両経路に洗浄水を同時に給水し、中心指向経路223の流量Q1と偏心経路222の流量Q2がQ1>>Q2の場合でも起きる。
【0221】
その一方、中心指向経路223の流量Q1と偏心経路222の流量Q2とを調整しつつこれら両経路に洗浄水を同時に給水した場合は、次のようになる。
流量Q1と流量Q2をQ2>>Q1の関係で調整した場合は、偏心経路222から給水された流量大の洗浄水が渦室内挙動を決定するので、両経路から渦室内に流入した洗浄水は、図中矢印SYで示すように渦室内で旋回する。
よって、▲1▼この旋回により、外気巻き込み室162での空気巻き込み量は多くなり、十分な柔らか感をもった吐水とすることができる。
▲2▼吐水形態はコーン状KSとなるので、図53に示すように広い洗浄面積SMcを、空気混入量が多いために十分な水量感を与えつつ洗浄できる。なお、コーン状KSの吐水形態であることから、図49で説明した洗浄感や洗浄効果を発揮することができる。
【0222】
そして、流量Q1と流量Q2を、Q2がQ1に近づくよう調整した場合は、渦室内挙動に及ぼす偏心経路222からの洗浄水の影響が小さくなる。よって、このように流量調整をした場合は、両経路から渦室内に流入した洗浄水は、図中矢印SYで示すように渦室内で旋回するものの、旋回程度が小さくなり、次のようになる。
【0223】
▲1▼この旋回程度が小さくなる分、外気巻き込み室162での空気巻き込み量は減少するので、柔らか感は少しずつ薄れる吐水となる。
▲2▼吐水形態はコーン状KSであるものの、旋回程度に応じて、図53に示すように洗浄面積SMbは狭くなり、空気混入量も少なくなる。
もっとも、中心指向経路単独での洗浄水給水時に比べれば、十分な柔らか感や水量感を得ることができる。
【0224】
従って、このノズルヘッド220によれば、上記の両経路からの同時給水とその際の各経路の流量調整とにより、空気混入量、吐水強さ、洗浄面積並びに柔らか感を種々調節した洗浄水吐水を実現することができる。また、中心指向経路223のみからの洗浄水給水を行うことで、特定の空気混入量、吐水強さ、洗浄面積と、浣腸効果を得ることができる。なお、中心指向経路223のみからの洗浄水給水を行う際に流量調整を行えば、流量に応じて空気混入量、吐水強さ、洗浄面積を変更することができる。
【0225】
このようにノズルヘッド220では柔らか感等を上記のように調節できることから、次のように構成することもできる。
図示しないお尻洗浄ボタンが操作されて通常のお尻洗浄が所望される際には、中心指向経路223のみからの洗浄水給水を行うようにする。そして、水勢調整ボタンの操作に応じて流量調整を行うようにする。この通常のお尻洗浄の場合は、調整水勢に制限を設けて、円柱状の洗浄水水柱が極端に細くならないようにして、不用意に浣腸効果を起きないようにすることが好ましい。浣腸効果を発揮することが所望される場合には、通常のお尻洗浄とは別に浣腸ボタン等を設け、当該ボタンが操作されたときに、洗浄水水柱を細くして浣腸効果を発揮するようにする。
【0226】
また、柔らか洗浄ボタンとビデ洗浄ボタンを設け、柔らか洗浄ボタンが操作されれば、中心指向経路223の流量Q1と偏心経路222の流量Q2とを調整しつつこれら両経路に洗浄水を同時に給水することとし、その際、Q2とQ1が所定範囲で近似するよう両流量を調整するようにする。その一方、ビデ洗浄ボタンが操作されれば、両経路に洗浄水を同時に給水しつつ、その際、Q2がQ1に対して十分大きくなるよう両流量を調整するようにする。なお、Q2とQ1が近似している所定範囲において、Q2がQ1に対して十分大きくなっている範囲において、流量変更できるようにし、柔らか洗浄・ビデ洗浄の洗浄時に水勢設定ボタンで水勢を調整できるようにする。
【0227】
以上説明したように、このノズルヘッド220によれば、単独の吐水孔で浣腸効果の有無、柔らか感等の調整が可能となり、お尻・柔らか・ビデといった異なる洗浄を、これら各洗浄に求められる異なる洗浄感を充足しつつ行うことができる。そして、単独の吐水孔でよいことから、ノズルヘッドの小型化、延いては装置の小型化・携帯化を図ることができる。
【0228】
また、上記のノズルヘッド220にて洗浄水吐水を行うに当たり、洗浄水給水ユニットを上記した実施例のように脈動流或いは断続流で洗浄水を給水するよう構成することもできる。こうすれば、旋回程度に応じた柔らか感等の多様化といった上記した効果に加え、脈動流或いは断続流での洗浄水吐水で得られる効果を併せて発揮することができる。
【0229】
そして、脈動流或いは断続流での洗浄水給水を併用した場合には、洗浄水旋回室171による螺旋の広がりを考慮して、設定刺激感、設定水量感或いは設定洗浄面積に応じて、コイル励磁のデューティ比Dtmや脈動周波数ftmを定めればよい。
【0230】
このほか、上記の実施例或いは各変形例の局部洗浄装置は、次のように変形することもできる。
(1)脈動流の洗浄水とするに当たり、既述した波動発生機器74を用いたが、脈動出力を得ることのできるポンプ、例えば、ギヤポンプやトロコイドポンプ等を用いることができる。この場合には、これらポンプの回転数制御を通して脈動周波数を可変制御し、水勢等の調整を行うことができる。また、波動発生機器74をAC駆動としてその位相角制御を行い、上記した実施例におけるデューティ比制御と同様に、水勢等の調整を行うようにすることもできる。
(2)また、流路の断続を介して断続流の洗浄水とする断続弁128を、ソレノイドを用いたソレノイド弁や、給水口のポペットを前後させて給水口の開閉させ流路断続を行うポペット式の弁であってもよい。
【0231】
(3)また、洗浄水の加圧並びにその後の断続流化に、ラインポンプからなる加圧ポンプを有する加圧機器122と断続弁128を用い、この両者を別体の構成とした。しかし、これに限らず、洗浄水を加圧しかつ断続できる構成とすればよい。図54は、更に別の変形例の洗浄ノズル175を説明する説明図、図55は、この変形例の洗浄ノズル175で用いたソレノイドポンプ176の概略構成を説明する説明図である。
【0232】
図示するように、このソレノイドポンプ176は、吸入側逆止弁176aと吐出側逆止弁176bを有する通常の流量型電磁ポンプである。そして、このソレノイドポンプ176は、電磁ソレノイド176cを励磁してプランジャ176dを進退させることにより、ポンプ室176eから断続流化された加圧水を得る弁である。通常のソレノイドポンプは、吸入側・吐出側の逆止弁に挟まれたプランジャの進退に伴う流体の断続をなくして平滑な圧とするためにアキュムレータを併用する。しかし、この変形例のソレノイドポンプ176は、アキュムレータを用いないで圧力の断続をそのまま利用して、電磁ソレノイドの励磁電圧に同期した断続周期を得ることができる。この実施の形態によれば、加圧部及び断続部を1つのソレノイドポンプ176により実現することができるので、構成を簡単にすることができる。この場合であっても上記の電磁コイルの励磁周期、即ち断続周期は、その周波数が既述した不感帯周波数範囲となるようにされている。
【0233】
(4)また、洗浄水の加圧並びにその後の断続流化に加圧機器122と断続弁128を用い、図38に示すように、調圧弁の調圧圧力を最大圧力として圧力の周期的変動の起きる断続流としたが、調圧弁の調圧圧力を最小圧力として圧力の周期的な変動が起きた断続流とすることもできる。こうすれば、水道等の給水源自体の圧力がもともと低い場合であっても、既述した通りの断続流の洗浄水で吐水できる。
【0234】
(5)更に、上記した実施例およびその変形例では、波動発生機器74等の駆動を停止することで、従来と同様の連続流による洗浄水吐水が可能である。よって、遠隔操作装置や本体の袖部等に脈動流吐水の入り切りを選択できるボタンを設け、当該ボタンの操作に応じて、即ち、使用者の好みに応じて、脈動流の洗浄水による吐水形態での局部洗浄と、連続流の洗浄水による従来と同じ吐水形態を選択できるようにすることもできる。
【0235】
(6)また、熱交換ユニット60の熱交換部62の出湯側に緩衝貯湯槽を設け、これをアキュムレータ73に代用して用いてもよい。この緩衝貯湯槽の構成としては、熱交換部62より高い水位となるように配置された槽を備え、この槽にフロートスイッチSS18とバキュームブレーカ63を設置する。この緩衝貯湯槽は、その下流側から熱交換部に伝播する圧力変動をアキュムレータとほぼ同様に吸収する。よって、この緩衝貯湯槽によっても、変動吸収により熱交換部内の温度分布の乱れを抑制して熱交換部内の温度を均一にすることができ、温度の制御特性を安定させている。なお、緩衝貯湯槽内には、温水を混ぜることを促進する混合板や混合通路を設けて、その圧力変動の吸収作用を一層高めてもよい。また、緩衝貯湯槽を熱交換ユニットと一体として、その内部に混合板などを設置してもよい。
【0236】
(7)また、熱交換ユニット60への入水温度を検出するために、入水温センサを用いる代わりに、ヒータ61に供給した通電量に基づいて、たとえば、ヒータへ供給される通電量の微分値に基づいて算出してもよい。これにより、入水温センサが不要となり、構成を簡単にできる。
入水温センサSS16aおよび出水温センサSS113は、熱交換部内の温水の温度を反映する箇所であれば、熱交換部内ばかりか、熱交換ユニットの前後に設けることもできる。
【0237】
次に、また別の変形例について説明する。図56は、この変形例の局部洗浄装置が有する洗浄ノズル180の要部概略断面図である。なお、以下の説明に際しても、既述したとおり同一の部材名とその符号を用いることとする。また、この洗浄ノズル180をお尻洗浄用のものとして説明する。
【0238】
この変形例の洗浄ノズル180は、洗浄水に空気を強制的に混入して吐水するに当たり、空気混入量を周期的に変動させることで脈動流或いは断続流の洗浄水を吐水する点に特徴がある。即ち、図56に示すように、洗浄ノズル180は、ノズル先端にお尻吐水孔31を有し、この吐水孔31にノズル流路181を経て洗浄水を給水する。この吐水孔開口の下方には、空気混入室182が形成されており、この空気混入室182において、ノズル流路は、樹脂や金属、セラミック等を材料とする多孔質パイプ183で形成されている。
【0239】
空気混入室182は、空気流路184を介して、空気圧送混入ユニット185と連通されている。この空気圧送混入ユニット185は、図中に模式的に示したように、空気流量を周期的に変動させながら或いは一定の設定流量で空気を空気混入室に圧送する。そして、空気圧送混入ユニット185は、空気混入室182にて、多孔質パイプ183により洗浄水に空気を混入させるものである。この多孔質パイプ183は、多孔質という性質から、内部を通過する洗浄水に空気を微細な気泡として混入する。よって、空気圧送混入ユニット185からの圧送と相まって、洗浄水に対して体積比で最大4倍の空気を混入可能である。
【0240】
上記した空気圧送混入ユニット185は、容量可変型の空気ポンプを用いて構成したり、定容量もしくは容量可変型の空気ポンプとその下流に配置した流調弁とを用いて構成することができる。或いは、これら空気ポンプとその下流に配置され管路の開閉を行う開閉弁とを用いて構成することができる。そして、このように構成した空気圧送混入ユニット185で空気流量を周期的に変動させながら空気を圧送するには、空気ポンプの回転数制御による流量の周期的変動を起こしたり、流調弁により管路の有効面積を0〜100%の範囲で周期的に変更したり、10〜100%の範囲で周期的に変更すればよい。また、開閉弁にあっては、周期的に管路の開放・遮断を繰り返せばよい。この場合、空気ポンプとして容積型の空気ポンプを用いれば、空気ポンプの動作に合わせて空気の圧送・停止・が繰り返される。このように構成した場合、流調弁により管路の有効面積が0とされたり、開閉弁により管路が遮断されたり、容積型の空気ポンプが動作を停止した状況では、洗浄水が絶たれた状況、即ち空気のみが吐水孔から出ているようにすることができる。よって、混入された空気が水に微細化して混ざることなく、水・空気・水・空気・・といった状態でサンドイッチ状になる吐水形態を採ることができる。この吐水形態は、既述した断続流の洗浄水の吐水形態とほぼ同じ挙動を採る。このため、空気混入により見かけの体積が増加して洗浄水の流速が高められ、かつ水が空気に挟まれて洗浄水が水塊状になって吐水することになるので、波動流の洗浄水吐水と同等の効果が期待できる。
【0241】
この洗浄ノズル180では、空気圧送混入ユニット185からの空気圧送を停止した状態で、洗浄水給水ユニット186からノズルに給水を行うと、お尻吐水孔31からは、連続流で洗浄水を吐水できる。また、空気圧送混入ユニット185からの空気圧送を一定の設定流量の状態として、ノズルに給水を行うと、気泡がほぼ一定の比率で混入した洗浄水を連続流の状態できる。つまり、空気混入済みの洗浄水吐水と洗浄水のみの吐水とを使い分けることができる。そして、空気混入の分だけ節水を図ることができる。しかも、混入空気量の設定調整や洗浄水の流速調整もしくはこの両者を調整することで、種々の比率で空気が混入した洗浄水を連続流の状態で吐水でき、混入空気量・流速に応じた洗浄感や水勢を得ることができる。
【0242】
また、洗浄ノズル180では、空気流量を周期的に変動させながら空気を圧送して洗浄水に混入するので、洗浄水の流れに対して空気混入量が密な部分と疎な部分が周期的に繰り返された洗浄水とする。空気混入量が密な部分では、空気混入が多い分、洗浄水の流速が高まり、疎な部分では、密な部分ほど流速は上がらない。そして、空気混入量が密で流速が高まった部分は、疎で流速の遅い部分に追いつきこれに合体する。この現象は、図18で説明した現象と変わることがない。しかも、この変形例では、空気流量を周期的に変動させながら空気を圧送するに当たって、この変動周期で定まる変動周波数が既述した不感帯周波数範囲内となるようにした。
【0243】
この結果、この変形例での洗浄水吐水は、空気流量の周期的変動の様子に応じて脈動流或いは断続流の洗浄水の吐水となり、既述した実施例でのもの或いはこれに空気混入を図ったものと同等である。つまり、この変形例の洗浄ノズル180での洗浄水吐水は、脈動流或いは断続流での吐水により上記したように水塊状の吐水でありながら、空気混入により洗浄水が図示するように微少の水塊となった状態となる。この微小の水塊は、各吐水孔から噴出されても互いに再度結合し難い状態になっている。従って、洗浄ノズル180によっても、既述した実施例と同様の効果、即ち、節水の実効性向上と多様な洗浄感・水勢等の設定が可能である。そして、この洗浄ノズル180では、空気流量の周期的変動の際の変動幅調整や洗浄水の流速調整もしくはこの両者を調整することで、洗浄感の多様化をもたらすことができる。つまり、水量不足により流速が低下しても、空気圧送の際の上記変動幅調整により、水勢を維持したり強弱調整できる。
【0244】
なお、上記の実施例および各変形例において、ノズルヘッドにおけるお尻洗浄・柔らか洗浄・ビデ洗浄の各ヘッド流路を上下に並べて形成することもできる。こうすれば、洗浄ノズルの幅方向を狭くでき、ノズル装置を始めとする種々の機器やユニットを近接配置でき、装置の小型化を図ることができる。この場合、上下のヘッド流路に併せて洗浄ノズルにおいても、ノズル流路を上下に形成することもできる。また、ノズルヘッドを、上記の各ヘッド流路を有するベースに上記の各吐水孔を有するヘッドカバーを装着する構成とし、ベースとヘッドカバーの間に、外気導入孔を設けるようにすることもできる。
【0245】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0246】
例えば、熱交換ユニット60を、螺旋状のニクロム線からなるヒータ61を小容量の熱交換部62に内蔵したものとしたが、次のようにすることもできる。即ち、ヒータ61を積層円筒セラミックヒータとすれば、漏電検知回路や過熱防止回路を焼成前生シートにペースト印刷して、各回路を焼成によりヒータ表面に形成できる。よって、外部に漏電検知・漏電保護回路が不要となると共に、バイメタル等の過熱防止機器も不要となる。そして、積層化と機器省略により、熱交換ユニット60の小型化を図ることができる。また、ヒータ61を、高周波電流に連動した磁束変化により抵抗体に電磁誘導を起こしてこの抵抗体をジュール熱で発生させる電磁誘導加熱ヒータとすることもできる。こうすれば、熱交換部内でヒータ61を水没配置する必要がないので、漏電保護回路が不要となり、その分、小型化ができる。更に、ヒータ形状の自由度が高いので、ヒータ61を蛇行水路に沿った形状等とすることができ、効率よく洗浄水を温水化できる。
【0247】
また、熱交換ユニット60を、瞬間式ではなく貯湯式とすることもできる。こうすれば、所定温度の洗浄水の連続吐水時間を長くすることができる。また、熱交換部内洗浄水の温水化を深夜等の便器未使用時に実施でき、その際には低消費電力のヒータ61を用いることができる。こうすれば、局部洗浄装置全体としての最大消費電力を低減できるので、既設のトイレに局部洗浄装置を設置するような場合に、屋内配線容量不足を招いたり容量契約の変更を来すようなことが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】便器に装着した状態の実施例の局部洗浄装置10を表す概略斜視図である。
【図2】局部洗浄装置10の概略構成を水路系を中心に表したブロック図である。
【図3】この水路系に配設されたアキュムレータ73の概略構成を示す断面図である。
【図4】同じく水路系に配設された波動発生機器74の構成を表す断面図である。
【図5】この波動発生機器74による洗浄水の流れの様子を説明する説明図である。
【図6】波動発生機器74の設置の様子を模式的に表した模式図である。
【図7】制御系の概略構成を表すブロック図である。
【図8】ノズル装置40を表す概略斜視図である。
【図9】図8における9−9線概略断面図である。
【図10】洗浄ノズル24の進退の様子を説明するための説明図である。
【図11】洗浄ノズルが有する流路切換弁71の構成を説明するための要部概略断面図である。
【図12】この流路切換弁71の要部の分解斜視図である。
【図13】ノズルヘッド25を平面視すると共にヘッド周辺を一部破断して示す平面図である。
【図14】このノズルヘッド25の変形例を示す平面図である。
【図15】洗浄水吐水に際して脈動を発生させる波動発生機器74の脈動発生コイル74cの励磁の様子を説明する説明図である。
【図16】波動発生機器74から流出する洗浄水の水量及び流速を示すタイミングチャートである。
【図17】ノズルヘッド25のお尻吐水孔31からの洗浄水吐水の様子を模式的に説明する説明図である。
【図18】脈動流の洗浄水を吐水孔から吐水した場合、その吐水された洗浄水が脈動流に増幅される過程を説明する説明図である。
【図19】洗浄水流が壁面に衝突する状態を説明する説明図である。
【図20】お尻吐水孔31に対向して所定距離Laだけ隔てて圧力センサ板Psを設置した状態を説明する説明図である。
【図21】圧力センサ板Ps上の位置と圧力のピーク値とを3次元的に表現した説明図である。
【図22】検出部の1つから検出される検出信号を表わすタイミングチャートである。
【図23】平均吐水量と洗浄量との関係を示すグラフである。
【図24】周波数の増減により洗浄強度が異なる理由を説明する説明図である。
【図25】脈動流の脈動周波数および洗浄強度と人体局部の刺激に伴う不快感との関係を示すグラフである。
【図26】洗浄水の脈動流における脈動周波数をお尻洗浄とビデ洗浄で異なるようにした制御例を説明する説明図である。
【図27】脈動周波数ftmとデューティ比Dtmの制御例を説明する説明図である。
【図28】実施例の局部洗浄装置10の洗浄動作を表すタイムチャートである。
【図29】脈動発生コイル74cについてのボトム検知回路81の一例を表す回路図である。
【図30】脈動発生コイル74cの通電励磁の際の電流波形の様子を説明するための説明図である。
【図31】アキュムレータ73により得られる効果を説明するための説明図である。
【図32】脈動流の洗浄水吐水を行う場合、流量を一定にしたまま流速を増速制御する制御方法を説明する説明図であり、低流速の場合の制御の状態を示す説明図である。
【図33】変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を表すブロック図である。
【図34】他の変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を表すブロック図である。
【図35】変形例の流調切換弁75の概略構成を一部破断して示す概略構成図である。
【図36】また別の変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を表すブロック図である。
【図37】この水路系に配置された断続弁128の構成を表す断面図である。
【図38】この断続弁を有する変形例の局部洗浄装置の水路系における水圧を説明する説明図である。
【図39】また別の変形例の局部洗浄装置が有する水路系構成を表すブロック図である。
【図40】空気の強制混入を行う変形例の洗浄ノズル140の構成を説明する説明図である。
【図41】洗浄水に強制的に空気を混入するようにした際の空気混入量と空気混入を受けた洗浄水吐水による洗浄面積との関係を示すグラフである。
【図42】空気の強制混入を行う他の変形例の洗浄ノズル140Aの構成を説明する説明図である。
【図43】自然吸気を図るそれぞれの変形例の洗浄ノズルの要部概略断面図である。
【図44】同じく、自然吸気を図るそれぞれの変形例の洗浄ノズルの要部概略断面図である。
【図45】自然吸気を図る他の変形例の洗浄ノズルを模式的に表した模式図である。
【図46】この他の変形例における空気の巻き込み特性を示すグラフである。
【図47】図45に示す洗浄ノズルを更に変形したノズルヘッド170を説明するため内部構造を透視して概略的に表した概略斜視図である。
【図48】この他の変形例におけるノズルヘッド170における空気の巻き込み特性を示すグラフである。
【図49】このノズルヘッド170からの洗浄水の吐水の様子を模式的に示す説明図である。
【図50】他の変形例のノズルヘッド200の要部概略断面図である。
【図51】そのX方向概略斜視図である。
【図52】このノズルヘッド200の底部蓋210の斜視図である。
【図53】ノズルヘッド170を変形した変形例のノズルヘッド220を説明するため内部構造を透視して概略的に表した概略斜視図である。
【図54】更に別の変形例の洗浄ノズル175を説明する説明図である。
【図55】この変形例の洗浄ノズルで用いたソレノイドポンプ176の概略構成を説明する説明図である。
【図56】その他の変形例の局部洗浄装置が有する洗浄ノズル180の要部概略断面図である。
【図57】プランジャ74bを往復動させる際の脈動発生コイル74cの電流波形を示す説明図である。
【図58】第1実施例におけるムーブ洗浄の様子を説明するための説明図である。
【図59】第1実施例におけるマッサージ洗浄の様子を説明するための説明図である。
【図60】脈動流の洗浄水吐水を行う場合、流量・流速を増減制御する制御方法を説明する説明図であり、低流速の場合の制御の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10…局部洗浄装置
12…本体部
14…遠隔操作装置
20…便蓋
22…袖部
24a…筒状部
24b…ベルト把持体
24c…軌道把持体
24d…把持部
24…洗浄ノズル
25…ノズルヘッド
26a…第1ノズル流路
26b…第2ノズル流路
26c…第3ノズル流路
28…表示部
29…カバー
29a…光透過窓
30…吐水孔
31…お尻吐水孔
32…柔らか吐水孔
33…ビデ吐水孔
34…第1ヘッド流路
35…第2ヘッド流路
36…第3ヘッド流路
40…ノズル装置
41…ベース
41a…架台
41b…ノズル保持部
41c…チャンバ
42…ノズル駆動モータ
43…伝達機構
43a…駆動プーリ
43b…従動プーリ
43c…タイミングベルト
43d…テンションローラ
44…案内レール部
45…ノズル進退軌道
50…入水側弁ユニット
51…上流側給水管路
52…ストレーナ
53…逆止弁
54…調圧弁
55…電磁弁
56…リリーフ弁
56a…第1洗浄水導出管路
60…熱交換ユニット
61…ヒータ
62…熱交換部
63…バキュームブレーカ
65…流調弁
65…電磁弁
70…波動発生ユニット
71…流路切換弁
71a…ケーシング
71b…ステータ
71c…ロータ
71d…カップリング
71e…ハウジング
71f…スプリング
71g…連通孔
71j…切欠
71k…駆動モータ
71m…スリット
71n…回転軸ピン
71q…回転キー
71r…スリット
71s…接続継手
72…下流側給水管路
73…アキュムレータ
73a…ハウジング
73b…ダンパ室
73c…ダンパ
73d…スプリング
74…波動発生機器
74a…シリンダ
74b…プランジャ
74c…電磁コイル(脈動発生コイル)
74d…上流側・下流側スプリング
74f…逆止弁
75…流調切換弁
75a…ドラムケーシング
75b…ドラム
75c…給水溝
77…流調切換弁
79…乾燥部
80…電子制御装置
81…ボトム検知回路
82…コンパレータ
83…コンデンサ
84…抵抗
85…検出抵抗
86…スイッチングトランジスタ
100…局部洗浄装置
110…局部洗浄装置
112…ノズル装置
114…お尻用洗浄ノズル
116…ビデ用洗浄ノズル
120…局部洗浄装置
122…加圧機器
124…流調弁
126…断続流発生ユニット
128…断続弁
128a…モータ
128b…バルブ体
128c…ハウジング
128d…バルブ体流路
128e…バルブ流路
128f…傾斜部
130…局部洗浄装置
140…洗浄ノズル
140A…洗浄ノズル
140a…筒状部
140b…上部区画室
142…ノズルヘッド
142A…ノズルヘッド
142B…ノズルヘッド
142C…ノズルヘッド
146…エアー配管
149…空気ポンプ
150…空気流量調整弁
154…オリフィス
157…外気導入通路
160…外気導入管
161…ノズルヘッド
162…外気巻き込み室
163…オリフィス
164…外気導入通路
170…ノズルヘッド
171…洗浄水渦室
175…洗浄ノズル
176…ソレノイドポンプ
176a…吸入側逆止弁
176b…吐出側逆止弁
176c…電磁ソレノイド
176d…プランジャ
176e…ポンプ室
180…洗浄ノズル
181…ノズル流路
182…空気混入室
183…多孔質パイプ
184…空気流路
185…空気圧送混入ユニット
186…洗浄水給水ユニット
200…ノズルヘッド
202…上蓋
204…エアーギャップ室
206…柔らか洗浄水渦室
206a…接続口
207…オリフィス
208…ビデ洗浄水渦室
208a…接続口
210…底部蓋
212…外気導入通路
213…立設板
220…ノズルヘッド
221…吐水孔(スロート)
222…偏心経路
223…中心指向経路
BT…便器
SS16a…入水温センサ
SS16b…出水温センサ
SS18…フロートスイッチ
SS30…転倒検知センサ
SS14…洗浄水量センサ

Claims (12)

  1. 洗浄水を吐水孔から人体に吐水する人体洗浄装置であって、
    前記吐水孔に洗浄水を給水する給水手段と、
    前記吐水孔に至る経路において駆動する駆動体を有し、該駆動体を前記経路において駆動することで、前記給水手段から給水された洗浄水の流れに規則的な変動を生じさせる変動発生手段と、
    前記吐水孔に到る経路において、前記給水された洗浄水の流量を調整する流量調整手段と、
    該流量調整手段による洗浄水の流量調整とは無関係に前記変動発生手段を制御して前記駆動体を前記経路において駆動させ、前記変動発生手段の前記駆動体の駆動により前記洗浄水の流れに生じる前記流れの変動の規則性を、前記流量調整手段による洗浄水の流量が一定の状況下においても、使用者の指示に応じて変更する変動制御手段とを備える
    ことを特徴とする人体洗浄装置。
  2. 洗浄水を吐水孔から人体に吐水する人体洗浄装置であって、
    前記吐水孔に洗浄水を給水する給水手段と、
    前記吐水孔に到る経路において、前記給水された洗浄水の流量を調整する流量調整手段と、
    洗浄水の給水経路に設けられ、外部から給水経路中に空気混入が可能に形成された空気混入部と、
    該空気混入部に空気を圧力又は流量の変動をきたして強制混入し、空気の該強制混入により、前記給水手段から給水された洗浄水の流れに規則的な変動を生じさせる変動発生手段と、
    前記流量調整手段による洗浄水の流量調整とは無関係に前記変動発生手段を制御して空気の前記強制混入を起こし、空気の前記強制混入により前記洗浄水の流れに生じる前記流れの変動の規則性を、前記流量調整手段による洗浄水の流量が一定の状況下においても、使用者の指示に応じて変更する変動制御手段とを備える
    ことを特徴とする人体洗浄装置。
  3. 請求項1または請求項2記載の人体洗浄装置において、
    前記変動制御手段は、前記流れの変動の規則性のうち変動周波数を変更する周波数変更手段を有する、人体洗浄装置。
  4. 請求項1記載の人体洗浄装置であって、
    前記変動制御手段は、前記流れの変動の規則性のうち前記変動発生手段のデューティ比を変更するデューティ比変更手段を有する、人体洗浄装置。
  5. 請求項1ないし請求項4いずれか記載の人体洗浄装置であって、
    前記変動発生手段は、前記流れの変動の規則性が同一である状況下では、前記変動が生じた洗浄水の流れの状態での洗浄水吐水に基づく吐水状態変化を人体が刺激変化として認識しないように、前記流れの変動を誘起する変動誘起手段を有する、人体洗浄装置。
  6. 請求項5記載の人体洗浄装置であって、
    前記変動誘起手段は、前記洗浄水の流れの変動を、人体が周期的な刺激を刺激変化として認識できる周波数よりも高い周波数で誘起する誘起手段を有する、人体洗浄装置。
  7. 請求項1記載の人体洗浄装置であって、
    前記変動発生手段は、
    洗浄水の給水経路の一部をなすシリンダと、
    該シリンダ内で往復動し、その往復動により洗浄水の流れに脈動を起こして洗浄水を前記シリンダ下流に圧送する前記駆動体としてのプランジャと、
    該プランジャを往復駆動させる電磁ソレノイドと、
    該電磁ソレノイドを励磁する励磁手段と、
    前記シリンダに設けられ、下流側への洗浄水の通過を許容する逆止弁とを有する、人体洗浄装置。
  8. 請求項7記載の人体洗浄装置であって、
    前記変動制御手段は、
    前記励磁手段を制御して、前記電磁ソレノイドの励磁周波数を変更する第1変更手段と、
    前記励磁手段を制御して、前記電磁ソレノイドのデューティ比を変更する第2変更手段との少なくとも一方の手段を有する、人体洗浄装置。
  9. 請求項8記載の人体洗浄装置であって、
    前記第2変更手段は、
    使用者の指示により、吐水洗浄水が着水する洗浄面積の広狭が設定されると、前記洗浄面積が広くなるほど前記デューティ比を増大変更する、人体洗浄装置。
  10. 請求項2記載の人体洗浄装置であって、
    前記空気混入部は、前記吐水孔近傍とされている、人体洗浄装置。
  11. 請求項1記載の人体洗浄装置であって、
    前記変動発生手段は、前記吐水孔に至る給水経路において洗浄水の流れを約5Hz以上の周波数で断続させる断続手段を前記駆動体として有し、
    前記変動制御手段は、前記断続手段を制御して、前記周波数を前記使用者の指示に応じて変更する手段を有する、人体洗浄装置。
  12. 請求項11記載の人体洗浄装置であって、
    前記給水経路を流れる洗浄水を所定圧に調整する調圧手段を、前記断続手段により洗浄水の流れに断続が生じた箇所より上流の前記給水経路に有する、人体洗浄装置。
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