JP2010248112A - 芳香族炭化水素化合物、それよりなるホスト材料、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するために必要な芳香族炭化水素化合物、それよりなるホスト材料、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の提供。
【解決手段】下記式

(式中、a−Rは総て水素原子)で代表される芳香族炭化水素化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族炭化水素化合物、それよりなるホスト材料、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子の実用化に向けた研究開発が、国内外の電気メーカーや材料メーカーなどが中心になって進められている。液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの既に世間で知られているディスプレイなどと、互角に渡り歩いていくには消費電力の低減および素子の長寿命化が必須の課題として挙げられている。
そこでこの問題を解決する目的で、近年リン光材料による有機エレクトロルミネッセンス素子の検討がなされている。
リン光材料を使用した場合、再結合で生成する一重項励起子のほか、この時同時に生成する三重項励起子も発光に寄与することで、蛍光材料に比べてより効率の高い素子の作成が可能になる。すなわち再結合で生成した励起子が100%発光に関係するため、取り出し効率を考えても外部量子効率が最大で20%になり、有機エレクトロルミネッセンスのメリットが最大に発揮できる。
リン光材料を有機エレクトロルミネッセンス素子に最初に用いたのはプリンストン大のBaldoらで、白金錯体を用いることで、高効率の赤色発光が可能なことが報告されている(非特許文献1)。その後、室温で緑色発光するイリジウム錯体等が開発され(非特許文献2)、リン光材料の開発は活発になってきた。更に、これらのイリジウム錯体は発光層を最適化することにより、素子構造をより単純化しても極めて高い発光効率を示すことが報告されている(非特許文献3)。前記素子の特徴は、リン光材料をゲスト材料としこれにエネルギーを与えるホスト材料を組み合わせたものである。この時使用されたホスト材料は、アミン系の材料の4,4′−N,N′−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)であった。ホスト材料に重要なことはリン光材料に十分なエネルギーを与えることができる能力を持つことであり、この割合を見積もるためにはホスト材料のもつHOMOとLUMOの間のバンドギャップ値が目安にされる。
この値によると、CBPでは比較的長波長の緑から赤にかけては十分な機能をするが、エネルギーレベルの高い青色系のリン光材料にとってはこれを機能させるには十分なエネルギーは持ち合わせておらず、ホスト材料のワイド(バンド)ギャップ化が重要であった。リン光材料でフルカラー化するには、エネルギーレベルの高い青色系のリン光材料に対応できるホスト材料の開発が重要である。
Nature,Vol.395,p151(1998) Appl.Phys.Lett.,Vol.75,p4(1999) Appl.Phys.Lett.,Vol.77,p904(2000)
本発明の目的は、高効率な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するために必要な芳香族炭化水素化合物、それよりなるホスト材料、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する点にある。
本発明の第1は、下記一般式(1)
(式中、R〜Rは、いずれも水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のフッ素化アルキル基、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基およびフッ素よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるが、R〜Rの各基は、隣接する基が5員環または6員環を形成してもよく、a〜cは、いずれも水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のフッ素化アルキル基およびフッ素よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
で示される芳香族炭化水素化合物に関する。
本発明の第2は、前記一般式(1)で表される芳香族炭化水素化合物のa〜cのいずれもが水素であることを特徴とする請求項1記載の芳香族炭化水素化合物に関する。
本発明の第3は、請求項1あるいは2記載の芳香族炭化水素化合物よりなるホスト材料に関する。
本発明の第4は、請求項1あるいは2記載の芳香族炭化水素化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明の第5は、請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記芳香族炭化水素化合物が発光層に含有されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
本発明により、新規な芳香族炭化水素化合物、それよりなる新規なホスト材料およびそれを用いた新規な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができた。
本発明の芳香族炭化水素化合物は、エネルギーギャップが広いため青色リン光用ホストとして有用であり、従来から使用されている1、3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン(mCP)などのホスト材と比較して、高い効率を示す。ゆえに本発明の芳香族炭化水素化合物を用いることで、高発光効率な有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。よって本発明の芳香族炭化水素化合物は、工業的に極めて重要なものである。
本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 本発明における有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を示す断面図である。 合成例1(m−TPTP)のH−NMRスペクトルを示す。 合成例1(m−TPTP)のMSスペクトルを示す。 合成例2(p−TPTP)のH−NMRスペクトルを示す。 合成例2(p−TPTP)のMSスペクトルを示す。 合成例3(o−TPTP)のH−NMRスペクトルを示す。 合成例3(o−TPTP)のMSスペクトルを示す。 実施例1〜3、比較例1のELスペクトルを示す。 実施例1〜3、比較例1の電流効率−電流密度特性を示す。 実施例1〜3、比較例1の電流密度−電圧特性を示す。 実施例1〜3、比較例1の輝度−電圧特性を示す。
本発明におけるR〜Rとしての炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチルなどを挙げることができる。
また、R〜Rとしての炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基におけるアルキル部分の例としては、上記のアルキル基相当の部分を例示することができる。
また、R〜Rとしての炭素数1〜6の直鎖または分岐のフッ素化アルキル基としては、上述のアルキル基における任意数の水素原子がフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基であり、その具体例としては、CHF、CHF、CF、CHCF、CHCHF、CHCHCHF、CHCHCHCHCHF、CFCFCFCFCFCFなどを例示することができる。
また、R〜Rとして炭素数6〜20の脂環式炭化水素基としては、ビシクロ、トリシクロ環などが挙げられ、具体例としては、(1)アダマンタン及びその誘導体、(2)ノルボルナン及びその誘導体、(3)パーヒドロアントラセン及びその誘導体、(4)パーヒドロナフタレン及びその誘導体、(5)シクロヘキサン及びその誘導体などを例示することができる。
本発明におけるa〜cとしての炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチルなどを挙げることができる。
また、a〜cとしての炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基におけるアルキル部分の例としては、上記のアルキル基相当の部分を例示することができる。
また、a〜cとしての炭素数1〜6の直鎖または分岐のフッ素化アルキル基としては、上述のアルキル基にフッ素原子が置換したフルオロアルキル基(CHF、CHF、CF、CHCF、CHCHF、CHCHCHF、CHCHCHCHCHF、CFCFCFCFCFCF)などを例示することができる。
本発明の芳香族炭化水素化合物は、下記の反応により製造することができる。
以下の反応式中、R〜R、a〜cは前記のとおりである。Xは塩素、臭素、よう素等のハロゲン元素を示す。
構造式中にXを持つハロゲン化物と構造式中にB(OH)を持つ有機金属化合物とをパラジウムカップリング法により反応させ、目的とする化合物を得ることができる。反応に使用するパラジウム触媒としてはPd(dba)(Pd=パラジウム、dba=ジベンジリデンアセトン)、Pd(dba)、Pd(PPh等の0価のパラジウム触媒、PdCl、PdCl(PPh、PdCl(dppf)などの2価のパラジウム化合物を使用することができる。なお、前記dppfは1,1′−ビス(ジフェニルフォスフィノ)フェロセンを指す。
これを添加するためのリガンドとして、BINAP〔=2,2′−ビス(ジフェニルフォスフィノ−1,1′−ビナフチル)〕、トリ(tert−ブチルホスフィン)、トリ(シクロヘキシルホスフィン)、1,2−ビス(ジフェニルフォスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)プロパン、1,3−ビス(ジフェニルフォスフィノ)ブタン、dppf等を使用することができる。
反応に使用する塩基として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン等の塩基性物質を使用することができる。
反応に使用する溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、キシレン、トルエン等が使用出来、0〜200℃で1〜60時間かけて撹拌することにより、対応するカップリング化合物が合成できる。
本発明の化合物の具体例を以下に例示する。なお、下記例示化合物においてメチル基は、他のアルキル基例えばエチル基やプロピル基などと置き換えることができる。
本発明の芳香族炭化水素化合物は、ホスト材料として使用することができる。
本発明の芳香族炭化水素化合物を有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する場合、適当な発光材料(ドーパント)と組み合わせて使用することもできる。
次に本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極間に一層もしくは多層の有機化合物を積層した素子であり、該有機化合物層の少なくとも一層が本発明の芳香族炭化水素化合物を含有する。有機エレクトロルミネッセンス素子が一層の場合、陽極と陰極間に発光層を設けている。発光層は、発光材料を含有しそれに加えて陽極から注入した正孔もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送するのが目的で、正孔(ホール)注入材料もしくは電子注入材料を含有していても良い。多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成例としては、例えばインジウム−スズ酸化物(ITO)/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/陰極、ITO/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、ITO/ホール注入層/ホール輸送層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極等の多層構成で積層されたものがあげられる。また、必要に応じて陰極上に封止層を有していても良い。
正孔輸送層、電子輸送層、および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても、多層構造であっても良い。また正孔輸送層、電子輸送層はそれぞれの層で注入機能を受け持つ層(正孔注入層及び電子注入層)と輸送機能を受け持つ層(正孔輸送層および電子輸送層)を別々に設けることもできる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記構成例に限らず、種々の構成とすることができる。必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、あるいは電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。
以下本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の構成要素に関して、陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極からなる素子構成を例として取り上げて詳細に説明する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板に支持されていることが好ましい。
基板の素材については特に制限はなく、従来の有機エレクトロルミネッセンス素子に慣用されているものであれば良く、例えばガラス、石英ガラス、透明プラスチックなどからなるものを用いることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極としては、仕事関数の大きな金属単体(4eV以上)、仕事関数の大きな金属同士の合金(4eV以上)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、金、銀、銅等の金属、ITO、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性透明材料、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料が挙げられる。陽極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリング、塗布などの方法により基板上に形成することができる。陽極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。
陰極としては、仕事関数の小さな金属単体(4eV以下)、仕事関数の小さな金属同士の合金(4eV以下)または導電性物質およびこれらの混合物を電極材料とすることが好ましい。このような電極材料の具体例としては、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金などが挙げられる。陰極はこれらの電極材料を、例えば蒸着、スパッタリングなどの方法により、薄膜を形成させることにより作製することができる。陰極のシート電気抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は材料にもよるが、一般に5〜1,000nm程度、好ましくは10〜500nmである。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光を効率良く取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極は、透明もしくは半透明であることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層は、正孔伝達化合物からなるもので、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極間に正孔伝達化合物が配置されて陽極から正孔が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の正孔移動度を有する正孔伝達物質が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用する正孔伝達物質は、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
前記の正孔伝達物質としては、例えば銅フタロシアニンなどのフタロシアニン誘導体、N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N,N′−ジ(m−トリル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(TPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニル−4,4′−ジアミノビフェニル(α−NPD)、等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンジアミン誘導体、ポリチオフェン誘導体、および水溶性のPEDOT−PSS(ポリエチレンジオキサチオフェン−ポリスチレンスルホン酸)が挙げられる。正孔輸送層は、これらの他の正孔伝達化合物一種または二種以上からなる一層で構成されたもので良く、前記の正孔伝達物質とは別の化合物からなる正孔輸送層を積層したものでもよい。
正孔注入材料としては、下記化学式に示すPEDOT/PSS(ポリマー混合物)やN,N′−ビス〔4−(ジ−m−トリルアミノ)フェニル〕−N,N′−ジフェニルビフェニル−4,4′−ジアミン(DNTPD)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(NPD)などを挙げることができる。

正孔輸送材料としては、下記化学式に示すTPD、ビス〔4−(ジ−p−トリルアミノ)フェニル〕ジフェニルシラン(DTASi)、1,3,5−トリス〔3−(ジ−p−トリルアミノ)フェニル〕ベンゼン(m−DTATPB)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(NPD)、1,1−ビス[4−ビス(4−トリル)アミノフェニル]シクロヘキサン(TAPC)などを挙げることができる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層は、電子輸送材料からなるもので、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有している。電界が与えた2つの電極の間に電子輸送材料が配置されて陰極から電子が注入された場合、少なくとも10−6cm/V・秒以上の電子移動度を有する電子輸送材料が好ましい。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に使用する電子輸送層に使用する電子輸送材料は、前記の好ましい性能を有するものであれば特に制限はない。従来から光導電材料において電子の電荷注入材料として慣用されているものや有機エレクトロルミネッセンス素子の電子輸送層に使用されている公知の材料の中から任意のものを選択して用いることができる。
前記の電子輸送材料としては、たとえばトリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)のようなキノリン錯体、1−N−フェニル−2−(p−ビフェニルイル)−5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(TAZ)のようなトリアジン誘導体、1,4−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン(DPB)のようなフェナントロリン誘導体などが挙げられる。電子輸送層は、これらの他の電子輸送材料の一種または二種以上からなる一層で構成されたものでよく、前記の電子輸送材料とは別の化合物からなる電子輸送層を積層したものでも良い。
電子注入材料としては、下記化学式に示されるフッ化リチウム(LiF)や8−ヒドロキシキノリノラトリチウム錯体(Liq)などを挙げることができるが、特開2008−106015号公報に掲げるフェナントロリン誘導体のリチウム錯体(LiPB、LiPBPy)や特開2008−195623号公報に掲げるフェノキシピリジンのリチウム錯体(LiPP)のほか、1,4−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼン(DPB)を用いることもできる。

本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の発光物質については特に制限されることはなく、従来の公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。
発光材料としては、ペリレン誘導体、ナフタセン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体(例えばクマリン1、クマリン540、クマリン545など)、ピラン誘導体(例えばDCM−1、DCM−2、DCJTBなど)、有機金属錯体[トリス(8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム(Almq)等の蛍光材料やビス〔2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C′〕イリジウム(III)ピコリネート(FIrpic)、トリス{1−〔4−(トリフルオロメチル)フェニル〕−1H−ピラゾラート,N,C′}イリジウム(III)(Irtfmppz3)、ビス〔2−(4′,6′−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C′〕イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレート(FIr6)、fac−イリジウム(III)トリス〔2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジン〕[Ir(FPPy)]、トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)〔Ir(ppy)〕などのリン光材料]などを挙げることができる。
発光層は、ホスト材料と発光材料(ドーパント)から形成される[Appl.Phys.Lett.,65 3610(1989)]。特にリン光材料を発光層に使用する場合、ホスト材料の使用が必要であり、この時使用されるホスト材料としては本発明の芳香族炭化水素化合物を用いることが好ましい。その他既存のホスト材料4,4′−ジ(N−カルバゾリル)−1,1′−ビフェニル(CBP)、1,4−ジ(N−カルバゾリル)ベンゼン−2,2′−ジ〔4″−(N−カルバゾリル)フェニル〕−1,1′−ビフェニル(4CzPBP)等と併用することもできる。
発光材料は、ホスト材料に対して好ましくは0.01〜40重量%であり、より好ましくは0.1〜20重量%である。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電子注入性をさらに向上させる目的で、陰極と有機層の間に絶縁体で構成される電子注入層をさらに設けても良い。ここで使用される導電体としては、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用することが好ましい。アルカリ金属ハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、塩化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属ハロゲン化物としては、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム等が挙げられる。
本発明の芳香族炭化水素化合物を含む素子の正孔注入層、正孔輸送層の形成方法については特に限定されるものではない。例えば乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法など)、湿式成膜法〔例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法などの溶液塗布法〕を使用することができる。発光層、電子輸送層、電子注入層などの形成方法については、乾式成膜法(例えば真空蒸着法、イオン化蒸着法)が好ましい。なぜならば、湿式成膜法を使用すると下層が溶出する恐れがあるからである。なお、素子の作製については上記の成膜方法を併用しても構わない。
真空蒸着法により正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層を形成する場合、真空蒸着条件は、特に限定されるものではない。通常10−4Pa程度以下の真空下で50〜500℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.01〜50nm/sec.程度蒸着することが好ましい。正孔輸送層、発光層、電子輸送層の各層を複数の化合物を使用して形成する場合、化合物を入れた各ボートをそれぞれ温度制御しながら共蒸着することが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層を溶媒塗布法で形成する場合、各層を構成する成分を溶媒に溶解または分散させて塗布液とする。溶媒としては、炭化水素系溶媒(例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等)、ケトン系溶媒(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、ハロゲン系溶媒(例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等)、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル等)、アルコール系溶媒(例えばメタノール、エタノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エーテル系溶媒(例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等)、非プロトン性溶媒(例えばN,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)、水等が挙げられる。溶媒は単独で使用しても良く、複数の溶媒を併用しても良い。
正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、特に限定されるものではないが、通常5〜5,000nmになるようにする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸素や水分等との接触を遮断する目的で保護層(封止層)を設けたり、不活性物質中に素子を封入して保護することができる。
不活性物質としては、パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン等が挙げられる。
保護層に使用する材料としては、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、光硬化性樹脂等が挙げられる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、通常直流駆動の素子として使用できる。直流電圧を印加する場合、陽極をプラス、陰極をマイナスの極性として電圧を通常1.5〜20V程度印加すると発光が観測される。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は交流駆動の素子としても使用できる。交流電圧を印加する場合には、陽極がプラス、陰極がマイナスの状態になった時に発光する。本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示素子、各種標識、各種センサー、各種アクセサリーなどに使用することができる。
図1〜9に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好ましい例を示す。
図1は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における1つの例を示す断面図である。図1は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、発光層は電子輸送性の機能を有している場合に有用である。
図2は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図2は、基板1上に陽極2、正孔輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。これはキャリア輸送と発光の機能を分離したものであり、材料選択の自由度が増すために、発光の高効率化や発光色の自由度が増すことになる。
図3は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図3は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、ホール注入層7を設けることにより、陽極2とホール輸送層5の密着性を高め、陽極からのホールの注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
図4は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図4は、基板1上に陽極2、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陰極4から電子の注入を良くし、発光素子の低電圧化に効果がある。
図5は、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子における他の例を示す断面図である。図5は、基板1上に陽極2、ホール注入層7、ホール輸送層5、発光層3、電子輸送層6、電子注入層8および陰極4を順次設けた構成のものである。この場合、陽極2からホールの注入を良くし、陰極4から電子注入を良くし、最も低電圧駆動に効果がある構成である。
図6〜9は素子の中にホールブロック層9を挿入したものの断面図である。ホールブロック層9は、陽極から注入されたホール、あるいは発光層3で再結合により生成した励起子が、陰極4に抜けることを防止する効果があり、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光効率の向上に効果がある。ホールブロック層9については、発光層3と陰極4の間もしくは発光層3と電子輸送層6の間あるいは発光層3と電子注入層8の間に挿入することができる。より好ましいものは発光層3と電子輸送層6の間である。
図1〜9で、ホール輸送層5、ホール注入層7、電子輸送層6、電子注入層8、発光層3、ホールブロック層9のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であっても良い。
図1〜9は、あくまでも基本的な素子構成であり、本発明の化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の構成はこれに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
合成例1
(1)3,5,3″,5″−テトラフェニル−(1,1′;3′,1″)ターフェニル(m−TPTP)の合成
500mLの4口フラスコにトルエン150mL、エタノール50mLを加え、50rpmで攪拌しているところへ1,3−ジブロモベンゼン10.0g(42.4mmol)、3,5−ジクロロフェニルボロン酸16.3g(85.6mmol)、2MのKCO水溶液170mLを順次加え、トルエン50mLで壁面に付着した原料を洗い落とした。その後、300rpmまで回転数を上げ、Nバブリングを1時間行った。1時間後、Pd(PPh〔テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム〕を2.93g加え、洗浄用にとっておいたエタノール50mLで壁面を洗浄した。回転数を400rpmに上げ、昇温を開始した。還流温度下(73℃)で16時間攪拌を行った。反応溶液を水150mLで3回洗浄し、有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過、エバポレーターで濃縮し、固体を得た。ここへトルエン300mLを投入し、加熱攪拌することにより固体を溶解させた。溶解したのを確認後、シリカゲル50g投入し、ろ過を行い(温度は60℃前後)、トルエン(60℃ 100mL)で洗浄することにより、高極性不純物を取り除いた。再びエバポレーターにて濃縮し、析出した固体をろ別、n−ヘキサンで洗浄し、60℃で12h減圧乾燥することにより目的物3,5,3″,5″−テトラクロロ(1,1′;3′,1″)ターフェニル(1,3−BDCPB)を白色固体で得た。
次に500mLの4口フラスコに1,4−ジオキサン50mLを加え、攪拌しているところへ、1,3−BDCPB2.90g(7.9mmol)、フェニルボロン酸5.0g(41.0mmol)、1.35MのKPO水溶液39mL(11.3g,53.2mmol)を順次加えていき、200rpmにてNバブリングを1時間行った。1時間後、Pd(dba)〔トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム〕0.29g、PCy(トリシクロヘキシルホスフィン)0.22gを加え、洗浄用にとっておいた1,4−ジオキサン50mLで壁面を洗浄した。その後、攪拌回転数を400rpmに上げ、昇温を開始した。還流温度下(83〜86℃)で25時間攪拌を行った。
反応終了後、35℃まで冷却ののち、トルエン150mLを加え、分液ロートに反応液を移し、水50mLで4回洗浄した(pH12→pH7)。有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過、エバポレーターで濃縮(60℃、20Torrまで)することにより白色固体を得た。
得られた粗生成物をトルエンから晶析することにより目的物を得た。
構造確認はH−NMR、MSスペクトルにより行った。図10にH−NMRスペクトル、図11にMSスペクトルを記す。
合成例2
(2)3,5,3″,5″−テトラフェニル−(1,1′;4′,1″)ターフェニル(p−TPTP)の合成
300mLの4口フラスコにエタノール60mLを加え、攪拌しているところへ1,4−ジブロモベンゼン6.1g(25.9mmol)、3,5−ジクロロフェニルボロン酸10.0g(52.4mmol)、2MのKCO水溶液100mL(28.6g,207.2mmol)を順次加え、トルエン70mLで壁面に付着した原料を洗い落とした。その後、200rpmまで回転数を上げ、Nバブリングを1時間行った。1時間後、Pd(PPhを1.73g加え、洗浄用にとっておいたトルエン50mLで壁面を洗浄した。回転数を400rpmに上げ、昇温を開始した。還流温度下(73〜75℃)で25時間攪拌を行った。反応終了後トルエン300mLを加え、加熱攪拌(60℃)して析出した固体を溶解させた。溶解したのを確認後、1L分液ロートに反応液を移し、水50mLで4回洗浄した(pH12→pH7)。有機層を1Lナス型フラスコに移し、シリカゲル150mlを加え、一晩攪拌した。その後、シリカゲルをろ過し、トルエン150mLで洗浄した。ろ液をエバポレーターで濃縮することにより白色固体を得た。ここへn−ヘキサン80mLを加え、ろ過することで目的物3,5,3″,5″−テトラクロロ−(1,1′;4′,1″)ターフェニル(1,4−BDCPB)を白色固体で得た。
次に300mLの4口フラスコに1,4−ジオキサン70mLを加え、攪拌しているところへ、1,4−BDCPB3.42g(9.3mmol)、フェニルボロン酸5.9g(48.3mmol)、1.35MのKPO水溶液46mLと1,4−ジオキサン40mLを順次加えていき、200rpmにてNバブリングを1時間行った。1時間後、Pd(dba)0.33g(0.37mmol)、PCy0.26g(0.92mmol)を加え、洗浄用にとっておいた1,4−ジオキサン10mLで壁面を洗浄した。その後、攪拌回転数を400rpmに上げ、昇温を開始し、還流温度下(86〜87℃)で6時間攪拌を行った。反応終了後、35℃まで冷却ののち、トルエン150mLを加え、1L分液ロートに反応液を移し、水50mlで3回洗浄した。分液後、有機層へシリカゲルを30mL投入した。投入後、60℃で30分攪拌した後、熱ろ過を行った。ろ液を濃縮し、トルエンで晶析を行った。減圧乾燥(60℃、12h)することにより白色固体を得た。
構造確認はH−NMR、MSスペクトルにより行った。図12にH−NMRスペクトル、図13にMSスペクトルを記す。

合成例3
(3)3,5,3″,5″−テトラフェニル−(1,1′;2′,1″)ターフェニル(o−TPTP)の合成
500mLの4口フラスコに1,4−ジオキサン200mLを加え、攪拌しているところへ、1,2−ジブロモベンゼン10.0g(42.4mmol)、3,5−ジクロロフェニルボロン酸16.3g(85.6mmol)、酢酸カリウム25.0g(254.4mmol)と1,4−ジオキサン110mLを順次加えていき、200rpmにてNバブリングを1時間行った。1時間後、PdCl(dppf)・CHCl1.70gを加え、洗浄用にとっておいた1,4−ジオキサン40mLで壁面を洗浄した。その後、攪拌回転数を400rpmに上げ、昇温を開始した。還流温度下(96〜97℃)で攪拌を行った。反応の追跡は薄層クロマトグラフィー(TLC)により行った。19時間後TLCに変化がなかったため反応を終了した。50℃まで冷却ののちトルエン300mLを加え、1L分液ロートに反応液を移し、水200mLで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させた。有機層をろ過し、エバポレーターで濃縮することにより黒色固体19.0gを得た。得られた黒色固体をトルエン200mLに溶解させ、そこへシリカゲル150mLを投入した。50〜60℃で30分攪拌した後、シリカゲル50mLを敷き詰めたヌッチェでろ過(90mmヌッチェ、ろ紙No.2)し、トルエン200mLで入念に洗浄した。ろ液を濃縮することにより微黄色固体10.3gを得た。得られた微黄色固体をアセトン30mLから晶析することにより目的物3,5,3″,5″−テトラクロロ−(1,1′;2′,1″)ターフェニル(1,2−BDCPB)を白色固体で得た。
次に500mLの4口フラスコに1,4−ジオキサン30mLを加え、攪拌しているところへ、1,2−BDCPB3.50g(9.5mmol)、フェニルボロン酸6.02g(49.4mmol)、1.35MのKPO水溶液47.5mLと1,4−ジオキサン60mLを順次加えていき、200rpmにてNバブリングを1時間行った。1時間後、Pd(dba)0.35g(0.38mmol)、PCy0.27g(0.95mmol)を加え、洗浄用にとっておいた1,4−ジオキサン30mLで壁面を洗浄した。その後、攪拌回転数を400rpmに上げ、昇温を開始し、還流温度下(86〜87℃)で20時間攪拌を行った。反応の追跡は薄層クロマトグラフィー(TLC)により行った。
反応終了後、反応溶液を500mLナスフラスコに移し、トルエン50mLで4口フラスコの壁面を洗い流した。その後、エバポレーターで溶液の濃縮を行った。溶媒を170mL回収した時点で濃縮を止め、トルエン200mLと水50mLで4回洗浄した。有機層をMgSOで乾燥後に溶液をろ過、濃縮することで微黄色固体6.05gを得た。得られた固体をトルエン80mLに溶解させ、そこへシリカゲル50mLを投入した。50〜60℃で30分攪拌した後、桐山ロートでろ過し、トルエン150mLで入念に洗浄した。ろ液を濃縮することにより微黄色固体5.97gを得た。得られた微黄色固体をトルエン30mLから晶析することにより目的物を白色固体で得た。
構造確認はH−NMR、MSスペクトルにより行った。図14にH−NMRスペクトル、図15にMSスペクトルを記す。
原料の化合物を適宜選択することにより、上記の合成例に準じた方法で、本発明の他の芳香族炭化水素化合物を合成することができる。
実施例1〜3及び比較例1に係る有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、それぞれ、1A/m、10A/m時の外部量子効率(%)、視感効率(lm/W)、エネルギー変換効率(%)の測定を行った。以下、実施例1〜3及び比較例1について詳細に説明する。
作製した実施例1〜3及び比較例1に係る有機エレクトロルミネッセンス素子における、各層の材料構成を下記表1に示す。
表1において、KLET02はケミプロ化成(株)社製電子輸送材料であり、NPDはN,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン、TAPCは1,1−ビス〔4−ビス(4−トリル)アミノフェニル〕シクロヘキサン、FIrpicはビス〔2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C′〕イリジウム(III)ピコリネート、DPBは1,4−ビス(1,10−フェナントロリン−2−イル)ベンゼンであり、それぞれ下記構造式に対応する。

実施例1
m−TPTPをホストとして用いた青色リン光素子の評価を行った。また、ホール注入剤にはNPD、ホール輸送材料にはTAPC、電子輸送材料にはKLET02、電子注入剤にはDPBを用いた。具体的な素子作成手順は以下のとおりである。
まず、パターニング済みのITO(インジュウム・スズ酸化物)基板(膜厚110nm)を純水と界面活性剤による超音波洗浄、純水による流水洗浄、純水とイソプロピルアルコールの1:1混合溶液による超音波洗浄、イソプロピルアルコールによる煮沸洗浄の順で洗浄した。この基板を沸騰中のイソプロピルアルコールからゆっくり引き上げ、イソプロピルアルコール蒸気中で乾燥させ、最後にUVオゾン洗浄を行った。
洗浄済みの基板を真空チャンバー内に配置し1×10−6Torrまで真空排気し、該真空チャンバー内には蒸着材料をそれぞれ充填した各モリブテン製ボートと、所定のパターンで製膜するための蒸着用マスクを設置しておき、前記ボートを通電過熱して順次所定の蒸着材料を蒸発させることにより各有機層を製膜した。
最後に、真空チャンバーを真空に保ったまま、マスクを交換し陰極蒸着用のマスクを設置してフッ化リチウム層およびアルミニウム層を形成した。そして、真空チャンバーを大気圧に戻し、上記により各層を蒸着した基板を取りだし、窒素置換されたグローブボックスに移し、UV硬化樹脂を用いて、ガラス板により封止することにより有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。
作成した素子の構成を以下に記す。
ITO(110nm、陽極)/NPD(20nm、ホール注入層)/TAPC(20nm、ホール輸送層)/m−TPTP:FIrpic(10nm,84:16、発光層)/KLET02(20nm、電子輸送層)/DPB(40nm、電子注入層)/DPB:LiF(5nm,75:25、電子注入層)/Al(100nm、陰極)
実施例2
実施例1にてホストとして用いたm−TPTPの代わりにp−TPTPをホストとして用いた青色リン光素子の評価を行った。
実施例3
実施例1にてホストとして用いたm−TPTPの代わりにo−TPTPをホストとして用いた青色リン光素子の評価を行った。
比較例1
実施例1にてホストとして用いたm−TPTPの代わりにmCPをホストとして用いた青色リン光素子の評価を行った。
図16は実施例1〜3、比較例1のELスペクトル、図17は実施例1〜3、比較例1の電流効率−電流密度特性、図18は実施例1〜3、比較例1の電流密度−電圧特性、図19は実施例1〜3、比較例1の輝度−電圧特性を示す。下記表2は素子評価結果をまとめたものである。
実施例1の1A/m、10A/mにおいて、比較例1の外部量子効率、視感効率、エネルギー変換効率を上回ることができた。一方、実施例2、3においては比較例1の外部量子効率、視感効率、エネルギー変換効率を若干下回ったが、FIrpic由来の青色発光を得ることができたので、本発明化合物がホストとして機能したことが明らかである。
1 基板
2 陽極(ITO)
3 発光層
4 陰極
5 正孔(ホール)輸送層
6 電子輸送層
7 正孔(ホール)注入層
8 電子注入層
9 正孔(ホール)ブロック層

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    (式中、R〜Rは、いずれも水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のフッ素化アルキル基、炭素数6〜20の脂環式炭化水素基およびフッ素よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基であるが、R〜Rの各基は、隣接する基が5員環または6員環を形成してもよく、a〜cは、いずれも水素、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖または分岐のフッ素化アルキル基およびフッ素よりなる群からそれぞれ独立して選ばれた基である)
    で示される芳香族炭化水素化合物。
  2. 前記一般式(1)で表される芳香族炭化水素化合物のa〜cのいずれもが水素であることを特徴とする請求項1記載の芳香族炭化水素化合物。
  3. 請求項1あるいは2記載の芳香族炭化水素化合物よりなるホスト材料。
  4. 請求項1あるいは2記載の芳香族炭化水素化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記芳香族炭化水素化合物が発光層に含有されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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