JP2010241901A - アルコール透過性ポリアミドフィルム - Google Patents

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【課題】本発明は食品、医薬品、産業資材包装分野等に用いられる、アルコール透過性の高い機械的強度及び寸法安定性に優れたポリアミドフィルムを提供すること。
【解決手段】二軸延伸ポリアミドフィルムは共重合ポリアミド樹脂の未延伸原反フィルムを二軸延伸により製造することで、エタノール透過率が10000g・μm/m・24hr(50%RH/40℃)以上であり、厚みが30μm以下であるアルコール透過性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを得ることが出来る。
【選択図】なし

Description

本発明は食品、医薬品、産業資材包装分野等に用いられる、アルコール透過性の高い機械的強度に優れたポリアミドフィルムに関する。
二軸延伸ポリアミドフィルムは、強靱性、耐ピンホール性、耐熱性等の諸特性が優れているために、包装用フィルム、特に食品や医薬品あるいは産業資材包装用分野を中心に、単層フィルムあるいはラミネートフィルムの基材として使用されている。
一方、アルコール系鮮度保持包装体においては、特定のアルコール透過性が必要であるが、ポリアミドフィルムは一般的に透湿性及びアルコール透過性が高いため、それらの基材としても利用されている(特許文献1)。
特開2003−211604号公報
二軸延伸ポリアミドフィルムは優れた機械特性を有するものの、その分子配向や結晶性の高さから十分な透湿性およびアルコール透過性が得られていないのが現状である。上記特許文献1には構成するシートに使用されるエタノール透過性の高いフィルムとしてポリアミドフィルムが使用されているが12μmを使用した例においてもエタノール透過度は450cc/m・24hr(40℃,50%RH)と単体のフィルムとしては不十分である。一方、フィルムのガス透過性を上げる方法としてはフィルムの厚みを薄くする方法があるが、薄くなると強度は低下しポリアミドの特徴である強靭さが損なわれるため、実用的には限界がある。
そこで本発明は食品、医薬品、産業資材包装分野等に用いられるフィルムにおいて透湿性およびアルコール透過性が高く、更に機械的強度及び寸法安定性に優れたポリアミドフィルムを提供することにある。
すなわち本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)エタノール透過率が10000g・μm/m・24hr(50%RH/40℃)以上であり、厚みが30μm以下であるアルコール透過性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルム、
(2)引張強度がMD及びTD共1.8×10kgf/cm以上であり、80℃、30分の収縮率がMD及びTD共15%以下である(1)の二軸延伸ポリアミドフィルム、
(3)前記ポリアミドが共重合である(1)又は(2)の二軸延伸ポリアミドフィルム、
(4)前記ポリアミドが50〜90重量%の(A)ε−カプロラクタム又はε−アミノカプロン酸から選ばれる成分と、(B)12−アミノドデカン酸又はω−ラウロラクタムから選ばれる成分及び(C)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩との合計量(B成分とC成分の合計量)10〜50重量%の共重合物である(A成分、B成分及びC成分の3成分を含み、3成分の合計量が100重量%である)(1)〜(3)の二軸延伸ポリアミドフィルム、
(5)厚みが15μ以下である(1)〜(3)二軸延伸ポリアミドフィルム。
本発明により、食品、医薬品、産業資材包装分野等に用いられるフィルムにおいて透湿性およびアルコール透過性が高く、更に機械的強度及び寸法安定性に優れたポリアミドフィルムを提供することが出来る。
(二軸延伸ポリアミドフィルム)
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは共重合ポリアミド樹脂の未延伸原反フィルムを二軸延伸し、特定の条件で熱処理して製膜したものである。共重合ポリアミドはその分子構造から単組成のポリアミドより一般的に水素結合か少ない。このために良好なアルコール透過性を発揮することができる。2元共重合、好ましくは3元以上の共重合、特に好ましくはポリアミドが50〜90重量%の(A)ε−カプロラクタム又はε−アミノカプロン酸から選ばれる成分と、(B)12−アミノドデカン酸又はω−ラウロラクタムから選ばれる成分、及び(C)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩との合計量(B成分とC成分の合計量)10〜50重量%(A成分、B成分及びC成分の3成分を含み、3成分の合計量が100重量%である)の共重合物である。更に二軸延伸及び熱処理を実施することで機械的強度に優れ寸法の安定したポリアミドフィルムが得られる。
本発明のポリアミドフィルムのエタノール透過率は10000g・μm/m・24hr(50%RH/40℃)以上好ましくは15000g・μm/m・24hr(50%RH/40℃)以上である。
ポリアミドフィルムの厚みは30μm以下であり、好ましくは15μm以下であり、更に好ましくは5〜12μmである。5μm未満であると透過性は高いがコシや強度物性が不足し場合によっては実用性に欠ける。また30μmより厚いとアルコール透過性が低くなり好ましくない。
引張強度がMD及びTD共1.8×10kgf/cm以上である。これ未満だと包材として使用した場合、ピンホールや破れの原因となる可能性が大きい。これにより実用性のあるフィルム強度物性を維持しながら高いアルコール透過性が発揮できる。
80℃,30分の熱収縮率はMD及びTD共15%以下であることが好ましく、更に好ましくは13%以下である。15%より熱収縮率が大きいと印刷やラミネート加工時に熱による収縮が顕著になり印刷見当ズレの原因やカール等の寸法変化を招くため好ましくない。
(ポリアミドフィルムの製造方法)
以上のような二軸延伸ポリアミドフィルムはポリアミド樹脂をダイスから溶融押し出し原反フィルムを得た後、MDおよびTDそれぞれに2倍以上の延伸となるよう二軸延伸した後、熱処理を実施することで得ることができる。
共重合ポリアミド樹脂はラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩の内2成分以上を原料として、溶融重合、溶液重合や固相重合等の公知の方法で共重合することにより得られる。ラクタムとしては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
また、ナイロン塩を構成するジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、テトラデカメチレンジアミン、ペンタデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、ヘプタデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、ノナデカメチレンジアミン、エイコサメチレンジアミン、2/3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3/1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(イソホロンジアミン)、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン、パラキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
一方、ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、エイコサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4/2,6/2,7−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
使用される共重合ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド6/66共重合体(ポリアミド6とポリアミド66の共重合体、以下、共重合体は同様に記載)、ポリアミド6/69共重合体、ポリアミド6/610共重合体、ポリアミド6/611共重合体、ポリアミド6/612共重合体、ポリアミド6/12共重合体、ポリアミド6/66/12共重合体、ポリアミド6/6T共重合体、ポリアミド6/6I共重合体、ポリアミド6/IPD6共重合体、ポリアミド6/IPDT共重合体、ポリアミド66/6T共重合体、ポリアミド66/6I共重合体、ポリアミド6T/6I共重合体、ポリアミド66/6T/6I共重合体、ポリアミドMXD6である。特に、ポリアミド6/66/12共重合体が好ましく、更に好ましくはポリアミドが50〜90重量%の(A)ε−カプロラクタム及びε−アミノカプロン酸から選ばれる成分と、(B)12−アミノドデカン酸及びω−ラウロラクタムから選ばれる成分及び(C)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩との合計量(B成分とC成分の合計量)10〜50重量%(A成分、B成分及びC成分の3成分を含み、3成分の合計量が100重量%である)の共重から得られる6/66/12共重合体である。通常3元以上の共重合により分子構造の秩序性が乱され、飛躍的にアルコール透過性が高くなる。
相対粘度(ηrel)として、98%硫酸に濃度1%で溶解させたものの25℃での測定値(JIS
K−6810)が、2〜5の範囲のものが適している。相対粘度が高すぎると押出成形が困難となり、相対粘度が低すぎると押出成形が困難となるとともにフィルムの機械的強度が低下するので好ましくない。
ポリアミド樹脂中にはビスアミド化合物等の滑剤を添加してもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候性改良剤、離形剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、染料、顔料などの添加剤を配合しても良い。さらにポリアミド樹脂中には、強度改良のための無機フィラーや他のポリマーなどをブレンドしてもよく、耐ピンホール性を向上させるためのエラストマー、ガス透過度を向上させるための他のポリマーなども、本発明の効果を損なわない範囲でブレンドしてもよい。
二軸延伸方法としては、例えばチューブラー方式やテンター方式による同時二軸延伸あるいは逐次二軸延伸を採用できるが、縦横の強度バランスの点で、チューブラー法による同時二軸延伸により行うことが望ましい。延伸倍率は2.0倍以上、好ましくは2.7〜5.0倍である。2.0倍より小さいと良好なアルコール透過性が得られても十分な強度や耐衝撃性や耐ピンホール性が低下して実用性に欠ける。こうして得られた延伸フィルムを後述の熱処理を実施することで本発明の透湿性およびアルコール透過性の高い機械的強度及び寸法安定性に優れたポリアミドフィルムを得ることができる。
熱処理方法としては加熱したロールに接触させる熱ロール処理やテンター熱処理等、特に限定されず本発明の条件が設定できるものであれば良い。但し、フィルムを加熱した後は通常特別な対応しないと徐々に冷却されるため、本発明の短時間での熱処理を条件とする場合、熱処理後の冷却設備を設けることが好ましい。冷却は水冷、ロール冷却、冷風等特に限定されないが、フィルム特性に影響与えることなく急冷できる方法として冷却ロール処理が最も好ましい。
熱処理温度は融点より50℃低い温度以上、融点以下である。融点より50℃以上低い熱処理では十分な熱処理効果が得られず寸法安定性に欠ける。熱処理時間は概ね0.5以上120秒以内である。更に熱処理によるフィルム強度の低下も最小限に留まるため、強度及び寸法安定性に優れ透湿性及びアルコール透過性良好なポリアミドフィルムを得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
なお、フィルムの評価は次の測定法に基づいて行った。
(測定方法)
1.平均厚さ
JIS規格Z1714に基づいて測定した。
2.ヘーズ
JIS規格K7105に基づいて測定した。
3.引張強度
JIS規格Z1714に基づいて測定した。
4.引張伸度
JIS規格Z1714に基づいて測定した。
5.熱収縮率
MD、TDそれぞれ5cmにカットしたフィルムを80℃のオーブンに30分間入れ、加熱前のMD、TDそれぞれの長さを100%としたときの収縮率を求めた。
6.エタノール透過度及びエタノール透過率
エタノールを浸み込ませた脱脂綿をカップに入れ、フィルムでカップをカバーし、相対湿度50%RH、40℃の条件で、24時間放置したときの重量減少から、エタノール透過度及びエタノール透過率を測定した。
8.結晶化度パラメーター
偏光方向を反射面に垂直にし、偏光方向をMD、TDそれぞれに平行になるようにフィルムをセットして偏光ATRスペクトル(Ge45゜)を日本分光社製FT−IRスペクトロメーターで測定した。得られたスペクトルより、1199cm−1と1172cm−1との吸光度比を求めた。
約80重量%のε−カプロラクタム、約10重量%のヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の等モル塩、及び約10重量%の12−アミノドデカン酸を共重合して得られた融点185℃、相対粘度ηrel=4.0のポリアミド樹脂(宇部興産(株)製、ターパレックス)を環状ダイより溶融押出し、水冷固化してチューブ状のフィルム135μmの原反を得た。この原反を再加熱し、周速の異なる2組のニップロールとチューブ内の圧空により、50〜100℃でMDおよびTDそれぞれ3倍となるように同時二軸延伸した。次いでこのフィルムを140℃に加熱した金属ロールに接触させた後、更に140℃のテンターで熱処理を実施し、15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
得られたフィルムについて、平均厚み、ヘーズ、引張強度、引張伸度、エタノール透過度及び結晶化パラメーターを測定し、表1に示した。
熱処理条件を180℃に加熱した金属ロールに接触させた後更に180℃のテンター加熱した以外は実施例1のようにして15μm二軸延伸ポリアミドフィルムを得、実施例1と同様にフィルムの物性を測定した。
原反厚みを108μmにした以外は実施例1のようにして12μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得、実施例1と同様にフィルムの物性を測定した。
熱処理条件を80℃に加熱した金属ロールに接触させた後更に80℃のテンター加熱した以外は実施例1のようにして15μm二軸延伸ポリアミドフィルムを得、実施例1と同様にフィルムの物性を測定した。
(比較例1)
ε−カプロラクタムを重合して得られた相対粘度ηrel=3.8のポリアミド樹脂(宇部興産(株)製、1024FD31)を環状ダイより溶融押出し、水冷固化してチューブ状のフィルム135μmの原反を得た。この原反を再加熱し、周速の異なる2組のニップロールとチューブ内の圧空により、50〜100℃でMDおよびTDそれぞれ3倍となるように同時二軸延伸した。次いでこのフィルムを180℃の金属ロールで加熱し、更に200℃のテンタールで同様に加熱し冷却することで熱処理し、15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。
得られたフィルムについて、平均厚み、ヘーズ、引張強度、引張伸度、エタノール透過度及び結晶化パラメーターを測定し、表1に示した。
実施例1〜4のポリアミドフィルムは、何れもMD及びTDの引張強度が1.8kgf/cm2以上であり良好な強度を有しており、エタノール透過率が10000g・μm/m・24hr(50%RH/40℃)であり、良好な透過性を示した。更に実施例1〜3の12μm及び15μmのポリアミドフィルムについては80℃,30分の熱収縮率はMD,TDそれぞれ10%以下と寸法安定性に優れるものであった。
一方、比較例1のε−カプロラクタムの重合樹脂であるポリアミド6を原料としてたポリアミドフィルムは、エタノール透過度も実施例に比べ低かった。
(表1)
Figure 2010241901

本発明により、透湿性およびアルコール透過性の高い機械的強度に優れたポリアミドフィルムを得ることが可能であり食品、医薬品、産業資材包装分野等に用いることが出来る。

Claims (6)

  1. エタノール透過率が10000g・μm/m・24hr(50%RH/40℃)以上であり、厚みが30μm以下であるアルコール透過性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルム。
  2. 引張強度がMD及びTD共1.8×10kgf/cm以上である請求項1の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  3. 80℃、30分の収縮率がMD及びTD共15%以下である請求項1又は請求項2の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  4. 前記ポリアミドが共重合ポリアミド樹脂である請求項1〜3の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  5. 前記ポリアミドが50〜90重量%の(A)ε−カプロラクタム又はε−アミノカプロン酸から選ばれる成分、(B)12−アミノドデカン酸又はω−ラウロラクタムから選ばれる成分、及び(C)ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の当モル塩との合計量(B成分とC成分の合計量)10〜50重量%の共重合物である(A成分、B成分及びC成分の3成分を含み、3成分の合計量が100重量%である)請求項1〜3の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  6. 厚みが15μ以下である請求項1〜3の二軸延伸ポリアミドフィルム。
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