JP2010240538A - アルミ建材の親水性付与方法及び親水性付与のアルミ建材 - Google Patents

アルミ建材の親水性付与方法及び親水性付与のアルミ建材 Download PDF

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Abstract

【課題】 アルミ建材の熱硬化塗膜にセルフクリーニング機能を付与する。
【解決手段】 アルミ建材の熱硬化塗膜に対して1,500mJ/cm以上3,000mJ/cm以下の積算照射量の紫外線照射処理を施した後,pH2以上pH5以下の無機酸又は有機酸水溶液中へ浸漬して酸性水溶液接触処理を施し,その後に湯洗の洗浄処理を施す。紫外線照射処理により上記熱硬化塗膜を強制改質し且つ酸性水溶液処理によりその表層の熱硬化剤自己縮合層を除去して,熱硬化塗膜の表面にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面を露出することによって熱硬化塗膜を親水化する。接触角を50度台前半とし長期に亘る親水性を確保してセルフクリーニング機能を有するアルミ建材を提供できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えば建築物に設置して屋外使用するカーテンウオール、サッシ等のアルミ建材に関し、特にその熱硬化塗膜にセルフクリーニング機能を付与するアルミ建材の親水性付与方法及び親水性付与のアルミ建材に関する。
建材にセルフクリーニング機能を付与するには、一般に光触媒性半導体や親水化処理剤を表面に塗布し又はこれらを含有する塗膜層を形成して親水性を付与するようにするものとされ、親水化処理剤としてコロイダルシリカ等が、また光触媒性半導体として二酸化チタン等がそれぞれ用いられる。一方、紫外線照射処理によって親水性を付与するものとして、例えばアルコキシシランの加水分解物を塗布して重合させた如くにシロキサン結合を有する無機系樹脂に紫外線照射処理を施し、Siの側鎖にOH基等の官能基を形成させて表面に親水性を付与するものが知られている。
しかし乍ら、光触媒性半導体は有機物を分解するために熱硬化塗膜に対して使用することはできず、一方、親水化処理剤は熱硬化塗膜に使用し得るとしても、該熱硬化塗膜と良好な密着性を確保し難い上、均一な塗布を施し難く、塗りムラを生じて外観不良を招き易い。また親水化処理剤を熱硬化皮膜形成のアクリルメラミン系等の塗料に添加すると、該塗料は水溶性塗料であるため、親水化処理剤が塗料中の水分と反応することによって塗料の安定性を阻害することになり、従ってこれらはいずれもアクリルメラミン系等の熱硬化塗膜を備えたアルミ建材に親水性を付与するには適当ではない。
そこで本発明者らは、アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜を形成した後に、これに紫外線照射処理を施すことによって、該熱硬化塗膜におけるアクリル側鎖に上記と同様にOH基等の官能基を形成して親水性を付与することを意図して研究した結果、熱硬化塗膜に3,000mJ/cm乃至10,000mJ/cmの積算照射量の紫外線照射処理を施した後に、該熱硬化塗膜に70乃至90℃の熱水接触処理を施すようにすると、紫外線照射によって60度以下に低下した水接触角の短期の上昇を防止して、熱硬化塗膜の性能を維持しながら長期に亘って良好な親水性を確保し得るとともにこの種アルミ建材の設置に際して他のアルミ建材や建物躯体との間に使用するシーリング材との良好な密着性をも確保し得ることから、該紫外線照射処理と熱水接触処理とを併用して親水性を付与するようにした、下記文献1のアルミ建材の親水性付与方法及び親水性付与のアルミ建材を提案済みである。
特開2008−194577号公報
この場合、熱硬化塗膜に良好な水接触角とこれによる親水性を付与することができるが、熱硬化塗膜に対する紫外線照射は、塗膜結合の結合鎖の切断や解離エネルギーによるチョーキングや劣化を招く可能性があるから、紫外線照射量は、これを可及的に減少して、熱硬化塗膜に対するかかる損傷の可能性を解消することが好ましい。上記熱水接触によって好ましい親水性を確保するには、紫外線照射処理は、これを上記3,000mJ/cm以上の積算照射量によって行うことが一般に必要であり、3,000mJ/cmを下回る積算照射量の紫外線照射処理を行うと、水接触角の低下は一時的なものとなり、該低下した水接触角の維持期間が相対的に短期化して、アルミ建材としてのセルフクリーニング機能を充分に確保し得ない傾向を招き易い。従って熱硬化塗膜に対する紫外線照射の積算照射量を更に減少可能として、可及的長期に亘って親水性を維持し得るものとすることが望まれる。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、紫外線照射の熱硬化塗膜損傷可能性を解消しながら、該紫外線照射処理によってアルミ建材に親水性を付与するアルミ建材の親水性付与方法を提供するにあり、またこれによってセルフクリーニング機能を備えた親水性付与のアルミ建材を提供するにある。
上記課題に沿って鋭意検討したところ、本発明者らは、熱硬化塗膜に紫外線照射処理を施した後に、該熱硬化塗膜に更に酸性水溶液接触処理を施すように、紫外線照射処理と酸性水溶液接触処理とを併用すると、紫外線照射処理の積算照射量を可及的に少なくしても、良好な親水性を維持することが可能となる事実を見出した。
即ち熱硬化塗膜の形成に際して使用する熱硬化性塗料には一般に塗料の架橋に必要以上の過剰な熱硬化剤を含有することによって、アルミ建材に形成した熱硬化塗膜の表層には、該過剰な熱硬化剤の自己縮合層が存在することになるところ、熱硬化塗膜に紫外線照射を施すことにより該表層の強制改質、即ち自己縮合層乃至これと架橋面の縮合を破断し且つその後工程で該破断した表層を除去して、熱硬化塗膜の表面にOH基等の官能基を有する架橋面を露出するようにすれば、該熱硬化塗膜に親水性を付与することが可能になる。しかし紫外線照射の積算照射量によっては上記縮合層の破断が不充分となり、後工程による表層の除去に際して残渣を残す結果、該残渣が親水性乃至その維持を阻害する要因をなすと見られるが、紫外線照射処理後に酸性水溶液接触処理を施すことによって、酸性水溶液が該紫外線照射処理の強制改質の残渣を含めた未破断部位を更に破断して紫外線照射処理による強制改質を補完するように作用するために、上記親水性維持の阻害要因をなすと見られる残渣を含めて強制改質した表層を除去することが可能となり、これによって熱硬化塗膜の表面に該表面を覆うように官能基を有する架橋面が露出する結果、熱硬化塗膜の親水性が恒常的に確保されるに至るからと見られる。
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、即ち請求項1に記載の発明を、アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜形成後に、該熱硬化塗膜に紫外線照射処理と、酸性水溶液接触処理とを施して親水性を付与することを特徴とするアルミ建材の親水性付与方法とし、また請求項2に記載の発明を、上記紫外線照射処理により上記熱硬化塗膜を強制改質し且つ酸性水溶液処理によりその表層の熱硬化剤自己縮合層を除去することによって、側鎖にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面を表面に露出することを特徴とする請求項1に記載のアルミ建材の親水性付与方法としたものである。
請求項3に記載の発明は、上記に加えて、紫外線照射処理と酸性水溶液接触処理とを併用するについて、紫外線照射の積算照射量を1,500mJ/cm以上3,000mJ/cm以下とする一方、酸性水溶液接触処理をpH2以上pH5以下の無機酸又は有機酸水溶液中への浸漬又は該水溶液の吹付けによって行うのが、熱硬化塗膜の良好な親水性を長期に亘って維持し得て、アルミ建材に好ましいセルフクリーニング機能を付与する上で好ましいことから、これを、上記紫外線照射処理を、1,500mJ/cm以上3,000mJ/cm以下の積算照射量の紫外線照射によって行い且つ上記酸性水溶液接触処理を、pH2以上pH5以下の無機酸又は有機酸水溶液中への浸漬又は該水溶液の吹付けによって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミ建材の親水性付与方法としたものである。
請求項4に記載の発明は、上記紫外線照射と酸性水溶液接触とによって、熱硬化塗膜の良好な親水性を長期に亘って維持して、好ましいセルフクリーニング機能を有するアルミ建材を提供するように、これを、アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜を有するアルミ建材であって、紫外線照射で強制改質した熱硬化塗膜表層の熱硬化剤自己縮合層を酸性水溶液接触で除去することによって、熱硬化塗膜の表面に側鎖にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面を露出してなることを特徴とする親水性付与のアルミ建材としたものである。
本発明は、これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1及び2に記載の発明は、それぞれ紫外線照射処理と酸性水溶液接触処理とを併用することによって、熱硬化塗膜の紫外線照射処理が、熱硬化塗膜の形成に際して使用する熱硬化性塗料に含まれる過剰な熱硬化剤により熱硬化塗膜の表層に生じる自己縮合層乃至これと架橋面の縮合を破断して該熱硬化塗膜の強制改質を行う一方、酸性水溶液接触処理が、該紫外線照射処理の強制改質の残渣を含めた未破断部位を更に破断して紫外線照射処理による強制改質を補完するように作用する結果、親水性維持の阻害要因をなすと見られる残渣を含めて強制改質した表層の除去を可能とし、熱硬化塗膜の表面に該表面を覆うように官能基を有する架橋面を露出することによって、紫外線照射の熱硬化塗膜損傷可能性を解消しながら、該紫外線照射処理によってアルミ建材に親水性を付与するアルミ建材の親水性付与方法を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、上記に加えて、紫外線照射処理と酸性水溶液接触処理とを併用するについて、熱硬化塗膜の良好な親水性を長期に亘って維持して、アルミ建材に好ましいセルフクリーニング機能を付与するものとすることができる。
請求項4に記載の発明は、上記紫外線照射と酸性水溶液接触とによって、熱硬化塗膜の良好な親水性を長期に亘って維持し得て、好ましいセルフクリーニング機能を有するアルミ建材を提供することができる。
実施例と比較例の初期接触角を示す棒グラフである。 実施例と比較例の接触角の経時変化を示す折れ線グラフである。
以下本発明を更に具体的に説明すれば、アルミ建材は、アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜を有し、紫外線照射で強制改質した熱硬化塗膜表層の熱硬化剤自己縮合層を酸性水溶液接触で除去することによって、熱硬化塗膜の表面に側鎖にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面を露出した親水性付与のものとしてあり、これによって屋外使用に際して雨水によるセルフクリーニング機能を有するものとしてある。
即ち該アルミ建材は、例えばアルミパネル、アルミ押出形材等のアルミ素地に所定膜厚の陽極酸化皮膜と該陽極酸化皮膜上の同じく所定膜厚の熱硬化塗膜を備えたものとしてあり、本例にあって該陽極酸化皮膜は、例えば二次電解着色を施した着色皮膜とし、また上記熱硬化塗膜は、熱硬化剤としてメラミンを使用したアクリルメラミン系のクリヤー塗膜としてある。該熱硬化塗膜の表面には、その全面に亘るように上記官能基を有するアクリル架橋面を露出してあり、これによって該熱硬化塗膜の水接触角を60度以下、例えば50度台前半として、良好な親水性を呈するものとする一方、該親水性は、これを屋外設置状態で数年乃至それ以上の長期に亘ってその水接触角を恒常的に維持するものとしてある。このとき熱硬化塗膜は、その膜厚はもとより、耐候性、耐食性、硬さ等の塗膜性能を保持するとともに、例えば熱硬化塗膜に親水性を付与することによって生じることあるシーリング剤との密着性を確保したものとしてあり、従って屋外使用のアルミ建材として他のアルミ建材や建物躯体の壁面等との間においてシーリングを良好に行ってこれらの間の防水性能を同時に高度に確保したものとしてある。
該アルミ建材の親水性の付与は、これを、アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜形成後に、該熱硬化塗膜に紫外線照射処理と、酸性水溶液接触処理とを施す親水性付与方法によっておこなうものとしてあり、このとき上記紫外線照射処理により上記熱硬化塗膜を強制改質し且つ酸性水溶液処理によりその表層の熱硬化剤自己縮合層を除去することによって、側鎖にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面の表面に露出するものとしてある。
即ち該親水性の付与は、熱硬化塗膜を形成した後に、一連の工程によって又はバッチ工程によって、上記紫外線照射処理と酸性水溶液接触処理とを併用してこれを行い、また該酸性水溶液接触処理後には水洗乃至湯洗による熱硬化塗膜の洗浄処理を施すものとしてある。
紫外線照射処理は、これを、1,500mJ/cm以上3,000mJ/cm以下の積算照射量の紫外線照射によって行い且つ上記酸性水溶液接触処理は、これを、pH2以上pH5以下の無機酸又は有機酸水溶液中への浸漬又は該水溶液の吹付け、本例にあっては浸漬によって行うものとしてある。また本例にあって湯洗は、これを50℃以上、例えば90℃程度の温水乃至熱水中への浸漬によって行うものとしてある。
紫外線照射処理は、例えば高圧水銀灯等のUVランプを設置したラインにアルミ建材を通過させて照射するか、UVランプを設置した空間で吊り支持したアルミ建材に照射する等すればよいが、積算照射量が上記1,500mJ/cmを下回ると、該紫外線照射処理による上記熱硬化塗膜の強制改質が不充分となり、その後に酸性水溶液接触処理を施しても親水性の水接触角維持の期間が短縮して、長期に亘る親水性を確保できなくなり、従って紫外線照射処理の積算照射量の下限は、これを1,500mJ/cmとするのがよい。このとき紫外線照射量は、これを1,800mJ/cm以上、特に2,000mJ/cm程度とするのが強制改質を有効に行って水接触角の確保とその維持の面から好ましい。一方、積算照射量が多いと熱硬化塗膜の粉化や劣化要因をなすに至り、熱硬化塗膜の塗膜性能を低下するが、紫外線、即ち波長280〜400nmの紫外線にあって、例えば10,000乃至12,000mJ/cm程度までの積算照射量にあっては、熱硬化塗膜に大きなダメージを与えることなく使用することが可能であるが、上記3,000mJ/cmまでの積算照射量で熱硬化塗膜の強制改質が充分になし得る一方、熱硬化塗膜に対する影響を可及的に抑制する立場から、該積算照射量の上限は、一般にはこれを上記3,000mJ/cmとするのがよい。
一方、上記酸性水溶液接触処理は、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、リン酸、蟻酸、クエン酸、シュウ酸等の各種無機酸乃至有機酸を使用することができ、酸の種類による熱硬化塗膜の親水化の差異は比較的少ないが、該水溶液がpH2を下回ると水素イオン濃度が高すぎる結果、紫外線照射処理による強制改質した表層に止まらず、これに接触した熱硬化塗膜を侵食して該熱硬化塗膜にダメージを与えることになる。従って該酸性水溶液接触処理の水素イオン濃度の下限は、これをpH2とするのがよい。またpH5を上回ると水素イオン濃度が低すぎる結果、上記強制改質した表層の除去が不充分となり、紫外線照射処理による強制改質の補完ができなくなる。従って酸性水溶液接触処理の水素イオン濃度の上限は、これをpH5とするのがよい。酸性水溶液接触処理は、例えば上記無機酸乃至有機酸の水溶液中に、アルミ建材を1〜2分程度浸漬し又は水溶液を吹付けるようにして、これを行えばよい。
即ち、アクリルメラミン系塗料は、例えばその電着塗装後の焼付工程においてメラミンを熱硬化剤(架橋剤)としてアクリルを架橋することによって熱硬化塗膜を形成するところ、該塗料にはアクリルの架橋に必要以上のメラミンが過剰に添加されているために、焼付工程で過剰分のメラミンが自己縮合して表面側に浮上することによって熱硬化塗膜の表面にメラミンの自己縮合層が形成されているのが一般である。紫外線照射処理は、該メラミンの自己縮合層乃至これとアクリル架橋面との縮合を破断する強制改質を行う一方、該紫外線照射処理と併用する酸性水溶液接触処理によって、該紫外線照射処理における未破断部位を更に破断して紫外線照射処理による強制改質を補完し、該接触処理により上記強制改質した表層の除去を行うか又はその後の水洗乃至湯洗、本例にあっては湯洗によって更に表層の除去を行って、熱硬化塗膜の表面にOH基等の官能基を有する架橋面を露出する結果、該熱硬化塗膜の水接触角を低下して、その親水性を確保するが、紫外線照射量が上記下限を下回ると、紫外線照射処理による強制改質が、また酸性水溶液の水素イオン濃度が上記上限を上回るとその強制改質の補完が不充分となって、いずれも好ましい水接触角、即ち60度以下の水接触角とその長期に亙る維持をなし難くなる。従って熱硬化塗膜にダメージを与えることなく、熱硬化塗膜の親水化を行うには、紫外線照射量における積算照射量の下限と酸性水溶液における水素イオン濃度の上限に留意する必要がある。
該酸性水溶液接触処理後の熱硬化塗膜の洗浄処理は、浸漬洗浄又は流水洗浄等によって水洗乃至湯洗を行って、酸性水溶液接触処理で除去されずに熱硬化塗膜に付着しているメラミンの自己縮合層やその残渣の除去を行うとともに熱硬化塗膜に付着した酸性水溶液の除去を行うようにすればよい。湯洗を行うとき、例えば50乃至90℃程度で1〜2分程度行うようにすれば、上記自己縮合層や酸性水溶液の除去を確実に行うことができる。
常法に従って、二次電解着色を施した着色皮膜に、熱硬化剤としてメラミンを使用したアクリルメラミン系の熱硬化塗膜を形成したJIS6063アルミプレートを用いて、出力120W、ランプ間距離10cmで2,000mJ/cmの積算照射量の紫外線照射処理を施した後、pH2の硫酸水溶液中1分間浸漬の酸性水溶液接触処理を施し、その後に常温1分間の水洗及び78℃1分間の湯洗による洗浄処理を施した試験体を作成し、接触角計CA−X150型(協和界面科学社製)で初期接触角を測定した。その結果を図1及び表2に示す。またその後試験体を屋外暴露した上、1週間後、2週間後及び30日後の各接触角を同様に測定し接触角の経時変化を観察した。その結果を図2に示す。更に試験体の耐酸性試験(5%HSOで48時間、72時間、5%HClで48時間)、耐アルカリ性試験(0.5%NaOHに48時間、72時間)、CASS試験(72時間、144時間)、沸騰水試験(5hr後の外観、鉛筆硬度及び碁盤目密着試験)の各試験を行った。その結果を表1に示す。
紫外線照射処理の積算照射量を3,000mJ/cmとして試験体とした以外、実施例1と同様とした。同じくその結果を表1、図1及び図2に示す。
比較例1
紫外線照射処理後の酸性水溶液接触処理を省略し、常温1分間の水洗による洗浄処理を施して試験体とし、各試験を省略した以外、実施例1と同様とした。同じくその結果を図1及び図2に示す。
比較例2
紫外線照射処理後の酸性水溶液接触処理を省略し、常温1分間の水洗による洗浄処理を施して試験体とした以外、実施例2と同様とした。同じくその結果を図1及び図2に示す。
比較例3
紫外線照射処理後の酸性水溶液接触処理に代えて、78℃1分間の湯洗による洗浄処理(熱水接触処理)を施して試験体とした以外、実施例2と同様とした。同じく初期接触角及び接触角の経時変化の結果を図1及び図2に示す。
Figure 2010240538
酸性水溶液処理における硫酸水溶液を、pH2に加えて、pH4及びpH5として、初期接触角を測定した以外、実施例1と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、塩酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、硝酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、酢酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、リン酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、蟻酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、クエン酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
酸性水溶液処理における硫酸水溶液に代えて、シュウ酸水溶液を用いた以外、実施例3と同様とした。その結果を表2に示す。
Figure 2010240538
表1によれば、各耐酸性試験、沸騰水試験、耐アルカリ性試験、沸騰水試験において実施例と比較例間に差異は認められず、CASS試験にも差異は認められなかった。
図1によれば、実施例及び比較例ともに初期接触角は60度を下回るが、実施例1は46度、比較例1は59度、実施例2は40度、比較例2は57度、比較例3は46度であり、従って紫外線照射処理後の酸性水溶液接触処理が熱硬化塗膜の水接触角を大きく低下すること、また実施例1は比較例3と同程度の結果であり、従って酸性水溶液接触処理が紫外線照射量の減少に有効であることが分る。
図2によれば、初期接触角は2週間程度に亘って増加するが、その後は安定した親水性を呈するようになるところ、特に実施例2が50度台前半の接触角を維持して、好ましい親水性を呈することが分る。
表2によれば、紫外線照射処理を施した熱硬化塗膜に酸性水溶液接触処理を施すことによって、一般にセルフクリーニング機能を有するとされる60度以下に接触角を下げ、また酸の種類を問わずに熱硬化塗膜を親水化することが分る。

Claims (4)

  1. アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜形成後に、該熱硬化塗膜に紫外線照射処理と、酸性水溶液接触処理とを施して親水性を付与することを特徴とするアルミ建材の親水性付与方法。
  2. 上記紫外線照射処理により上記熱硬化塗膜を強制改質し且つ酸性水溶液処理によりその表層の熱硬化剤自己縮合層を除去することによって、側鎖にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面を表面に露出することを特徴とする請求項1に記載のアルミ建材の親水性付与方法。
  3. 上記紫外線照射処理を、1,500mJ/cm以上3,000mJ/cm以下の積算照射量の紫外線照射によって行い且つ上記酸性水溶液接触処理を、pH2以上pH5以下の無機酸又は有機酸水溶液中への浸漬又は該水溶液の吹付けによって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミ建材の親水性付与方法。
  4. アクリルメラミン系等の熱硬化塗膜を有するアルミ建材であって、紫外線照射で強制改質した熱硬化塗膜表層の熱硬化剤自己縮合層を酸性水溶液接触で除去することによって、熱硬化塗膜の表面に側鎖にOH基等の官能基を有するアクリル架橋面を露出してなることを特徴とする親水性付与のアルミ建材。
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