JP2006204991A - 膜パターン形成方法、膜パターン、レジスト膜、及び絶縁膜、並びに回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイス、表面弾性波発振装置、電気光学装置、及び電子機器 - Google Patents
膜パターン形成方法、膜パターン、レジスト膜、及び絶縁膜、並びに回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイス、表面弾性波発振装置、電気光学装置、及び電子機器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法、膜パターン、レジスト膜、及び絶縁膜、並びに回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイス、表面弾性波発振装置、電気光学装置、及び電子機器を実現する。
【解決手段】 液状材料の液滴4を吐出して、基板1の面上に着弾させ、レジスト膜9を形成する領域2の周縁部に配置し、固化させた周縁帯膜7aに囲まれた領域内に液状材料を充填する。充填された液状材料を固化して中央膜8を形成し、周縁帯膜7aと中央膜8とで、レジスト膜9を形成する。絶縁膜も同様にして形成され、回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイスは、上記膜を備え、電気光学装置は当該半導体装置を備え、電子機器は上記電気光学装置、回路基板、表面弾性波発振装置を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 液状材料の液滴4を吐出して、基板1の面上に着弾させ、レジスト膜9を形成する領域2の周縁部に配置し、固化させた周縁帯膜7aに囲まれた領域内に液状材料を充填する。充填された液状材料を固化して中央膜8を形成し、周縁帯膜7aと中央膜8とで、レジスト膜9を形成する。絶縁膜も同様にして形成され、回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイスは、上記膜を備え、電気光学装置は当該半導体装置を備え、電子機器は上記電気光学装置、回路基板、表面弾性波発振装置を備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は、膜パターン形成方法、当該膜パターン形成方法を用いて製造された膜パターン、レジスト膜、及び絶縁膜、並びに当該膜パターン、レジスト膜、及び絶縁膜のいずれかを備えた、回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイス、表面弾性波発振装置、電気光学装置、及び電子機器に関する。
従来、基板上に、導体からなる膜パターン(以下、「配線膜」という。)が配置された回路配線と、配線膜を覆う絶縁膜などの膜パターンと、が積層されて形成された半導体装置や、回路基板、表面弾性波デバイスなどが知られている。また、これらの装置を製造する過程において、レジスト膜などの膜パターンが形成され使用されていることが知られている。膜パターンの効率的な形成方法として、特許文献1に記載されたような、液体状の膜材料(流動体)の液滴を液滴吐出ヘッドから吐出し、着弾した液状材料(膜材料)から溶媒を除いて乾燥させたり、液状材料を硬化させたりすることで、膜パターンを形成する、所謂インクジェット方式が知られている。
膜パターンは、目的とする機能により規定される平面形状及び厚さに形成されることが必要である。インクジェット方式では、例えば特許文献2に記載されたように、基板上に所定の平面形状の膜パターン形成領域を囲むようにバンクを配置することによって、形成する膜パターンの形状と同じ平面形状の凹部を形成する。この凹部に向けて液状材料の液滴を吐出すると、着弾した液状材料は、バンクによって膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制されることから、液状材料を膜パターン形成領域に充分充填させることができる。また、液状材料が充填された領域の平面形状は、バンクによって区切られた領域の形状となる。凹部に充填された液状材料を乾燥又は硬化させることによって、所定の形状及び厚さの膜パターンが形成される。
しかしながら、膜パターン形成領域を囲むようにバンクを配置するためには、膜パターン形成領域とバンク形成領域とが必要であり、膜パターンを形成するために必要な面積が増加するという課題があった。また、膜パターン自体を形成する工程及び膜パターン自体の製造装置の他に、バンクを形成するための工程及び製造装置が別途必要であるという課題もあった。
そこで、本発明は、膜パターン形成領域以外の余分な面積を必要とせずに、着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法、膜パターン、レジスト膜、及び絶縁膜、並びに回路基板、半導体装置、表面弾性波デバイス、表面弾性波発振装置、電気光学装置、及び電子機器を実現することを目的とする。
本発明による膜パターン形成方法は、基板上に、膜パターンを所定の形状に形成する膜パターン形成方法であって、膜パターンを形成する第1の領域の周縁領域に、膜パターンを構成する材料を含む液状材料の液滴を配置して、配置された液滴からなる周縁帯を形成する周縁形成工程と、周縁帯に囲まれた第2の領域に液滴を配置して、第2の領域に液状材料を充填する充填工程と、を有することを特徴とする。
本発明の方法によれば、最初に周縁形成工程によって、第1の領域の周縁領域に液滴からなる周縁帯が形成される。周縁帯を形成する液滴は、第1の領域の周縁部に配置され、着弾した位置から第1の領域の外側方向及び内側方向の両方向に濡れ広がる。ところで、第1の領域の全域に連続して液滴を配置するような方法では、第1の領域の周縁領域と当該周縁領域に連続する第2の領域とに連続して液滴が配置されることから、周縁領域に配置された液滴は、続いて第2の領域に配置された液滴が濡れ広がろうとする力を受けて、着弾した位置から第1の領域の外側方向にのみ濡れ広がる。従って、最初に周縁部にのみ液滴を配置することで、第1の領域の全域に連続して液滴を配置する方法に比べて、第1の領域の外周に配置された液滴の着弾位置からの外側方向への濡れ広がりを小さくすることができる。
また、周縁帯は、基板面より盛上っており、第2の領域を囲む壁のように形成され、第2の領域に充填された液状材料は、壁状の周縁帯によって、第1の領域の外に流出することを阻止されることから、第2の領域に液状材料を充分に充填することができる。
なお、周縁帯を形成する液滴は、例えば、周縁部に着弾して配置されてから第2の領域に液滴が配置されるまでの間に、経過時間に応じた乾燥又は硬化が進行している。乾燥又は硬化が進行した液滴は、第2の領域に配置された液滴が濡れ広がろうとする力を受けても、着弾直後に力を受ける場合より影響を受け難くなっていることから、第1の領域の外周に配置された液滴の着弾位置からの外側方向への濡れ広がりを小さくすることができる。さらに、第2の領域に充填された液状材料は、吐出されて着弾した時点に比べて乾燥又は硬化が進行した周縁帯が壁となることによって、第1の領域の外に流出することを抑制される。
この場合膜パターン形成方法は、周縁形成工程と充填工程との間に、周縁帯を乾燥または硬化させて周縁帯膜を形成する膜化工程をさらに有し、充填工程では、周縁帯膜に囲まれた第2の領域に液滴を配置して、第2の領域に液状材料を充填することが好ましい。
乾燥又は硬化されて固化した状態の周縁帯膜は、第2の領域に配置された液滴が濡れ広がろうとする力を受けても、移動や変形することはなく、第2の領域を囲むより強固な壁となる。このことから、第2の領域に充填された液状材料が第1の領域の外に流出することをより確実に抑制することができる。
この場合膜パターン形成方法は、膜化工程における周縁帯を乾燥または硬化させる処理は、周縁帯に熱を加える処理又は周縁帯に光を照射する処理であることが好ましい。
温度を上昇させたり光を照射したりすることで、溶剤の乾燥を促進したり、硬化の反応時間を短縮したりすることができ、温度を上昇させたり光を照射することを実行しない場合に比べて、より効率良く液状の周縁帯から固体状の周縁帯膜を形成することができる。
この場合、基板の膜パターンを形成する面の水に対する接触角が30度以上80度以下であることが好ましい。
水に対する接触角が80度を超える面は、配置された液状材料に殆ど濡れないため、第2の領域に配置された液状材料が隅には充填されないなど、全体に一様に充填されることが阻害され、充填されなかった部分が欠陥となった膜パターンが形成される。水に対する接触角が30度に満たない面は、配置された液状材料に対する濡れ性が良好であり、周縁領域に配置された液状材料が広い範囲に濡れ広がり、膜厚は薄くなって、周縁帯の高さが得られない。従って、水に対する接触角を30度から80度の間となるようにすることで、壁の役目を果たすことができる高さの周縁帯を形成できると共に、液状材料を第2の領域全体に充填して欠陥部の少ない膜パターンを形成することができる。
この場合膜パターン形成方法は、周縁形成工程の前に、基板を撥液化処理する工程と、基板を親液化処理する工程との少なくとも一方の工程をさらに有することが好ましい。
撥液化処理する工程又は親液化処理する工程によって、膜パターンを形成する面の接触角を、好適な接触角である水に対して30度から80度に調整することができる。
この場合膜パターン形成方法は、撥液化処理する工程が、基板の表面にフッ素を含有する有機分子からなる有機薄膜を形成する工程であることが好ましい。
膜パターンを形成する面に撥液性の層が形成され、当該面の接触角を撥液性側に調整することができる。
この場合膜パターン形成方法は、撥液化処理する工程が、フルオロカーボン系化合物を反応ガスとして用いて基板の表面をプラズマ処理する工程であることが好ましい。
膜パターンを形成する面に撥液性の層が形成され、当該面の接触角を撥液性側に調整することができる。
この場合膜パターン形成方法は、撥液化処理する工程が、フッ素を含有する高分子化合物を基板の表面に塗布し撥液膜を形成する工程であることが好ましい。
膜パターンを形成する面に撥液性の膜が形成され、当該面の接触角を撥液性側に調整することができる。
この場合膜パターン形成方法は、親液化処理する工程が、基板の表面に紫外線を照射する工程であることが好ましい。
膜パターンを形成する面に親液性の層が形成され、当該面の接触角を親液性側に調整することができる。
この場合膜パターン形成方法は、親液化処理する工程が、基板の表面をプラズマ処理する工程であることが好ましい。
膜パターンを形成する面に親液性の層が形成され、当該面の接触角を親液性側に調整することができる。
この場合膜パターン形成方法は、親液化処理する工程が、基板の表面を酸又はアルカリ処理する工程であることが好ましい。
膜パターンを形成する面に親液性の層が形成され、当該面の接触角を親液性側に調整することができる。
この場合、膜パターン形成方法によって形成される周縁帯は、液滴が互いに接触して1列に連なっていることが好ましい。
周縁帯の占める面積を小さくできることから、狭い第1の領域であっても周縁帯を形成することができる。また、周縁帯を形成するのに要する時間を短縮することができる。
この場合膜パターン形成方法は、周縁形成工程を複数回実行し、積層された周縁帯を形成することが好ましい。
周縁帯の高さをより高くすることができ、第2の領域により多くの液状材料を充填することができることから、より厚い膜パターンを形成することができる。
この場合膜パターン形成方法は、周縁形成工程と膜化工程とを交互に複数回実行し、積層された周縁帯膜を形成することが好ましい。
周縁帯膜の高さをより高くすることができ、第2の領域により多くの液状材料を充填することができることから、より厚い膜パターンを形成することができる。
この場合膜パターン形成方法は、充填工程において第2の領域に充填される液状材料の量は、第2の領域に充填された液状材料の厚さが周縁帯の厚さより大きくなる量であることが好ましい。
第2の領域により多くの液状材料を充填することができることから、より厚い膜パターンを形成することができる。液状材料は、第2の領域に充填された液状材料の表面の端が周縁帯の上面となす角度が周縁帯面の液状材料に対する接触角を超えない範囲であれば、周縁帯の高さより厚く充填されても、周縁帯を乗り越えて、第1の領域外に流出する可能性は小さい。
この場合膜パターン形成方法は、充填工程において第2の領域に充填される液状材料の量は、第2の領域に充填された液状材料の厚さが周縁帯膜の厚さより大きくなる量であることが好ましい。
第2の領域により多くの液状材料を充填することができることから、より厚い膜パターンを形成することができる。液状材料は、第2の領域に充填された液状材料面の表面の端が周縁帯膜の上面となす角度が周縁帯膜面の液状材料に対する接触角を越えない範囲であれば、周縁帯膜の高さより厚く充填されても、周縁帯膜を乗り越えて、第1の領域外に流出する可能性は小さい。
この場合、周縁帯膜の表面の水に対する接触角が30度以上80度以下であることが好ましい。
水に対する接触角が80度を超える面は、配置された液状材料に殆ど濡れないため、第2の領域に配置された液状材料に周縁帯膜が充分濡れないなど、周縁帯膜に接する部分にも一様に充填されることが阻害され、液状材料が充填されなかった部分が欠陥となった膜パターンが形成される。水に対する接触角が30度に満たない面は、配置された液状材料の濡れ性が良好であり、周縁帯膜が第2の領域に配置された液状材料に濡れ、周縁帯膜の高さを超える厚さに充填された液状材料が周縁帯膜の上を乗り越え易くなる。従って、水に対する接触角を30度から80度にすることで、液状材料が周縁帯膜の上を容易に乗り越えることを抑制することができると共に、液状材料を周縁帯膜に接する部分にも充填して欠陥部の少ない膜パターンを形成することができる。
この場合、基板の膜パターンを形成する面の周縁形成工程で使用される液状材料に対する濡れ性は、膜パターンを形成する面の充填工程で使用される液状材料に対する濡れ性より低いことが好ましい。
基板面の液状材料に対する濡れ性を、液状材料の基板面に対する濡れ広がり性と表記すると、基板面の同一の液体、例えば水に対する濡れ性が同一であっても、液状材料の濡れ広がり性が低いほど、その液状材料に対する濡れ性が低くなる。また、周縁形成工程で使用される液状材料に対する濡れ性が、充填工程で使用される液状材料に対する濡れ性より低くなるような、それぞれの液状材料は、周縁形成工程で使用される液状材料の濡れ広がり性が、充填工程で使用される液状材料の濡れ広がり性より低くなる。
液滴の着弾位置からの広がりを抑制し、より高い周縁帯又は周縁帯膜を形成するために、周縁形成工程で使用される液状材料に対する基板面の濡れ性は、低いことが好ましい。また、液状材料を領域の全域に充填するために、充填工程で使用される液状材料に対する基板面の濡れ性は、高いことが好ましい。周縁形成工程で使用される液状材料の濡れ広がり性が、充填工程で使用される液状材料の濡れ広がり性より低くなるような、それぞれの液状材料を用いることで、基板面の適切な濡れ性特性は、同じ液状材料を用いる方法に比べて、より低い濡れ広がり性の液状材料に対して低い濡れ性となり、より高い濡れ広がり性の液状材料に対して高い濡れ性となるような濡れ性特性でよく、基板面の濡れ性特性の許容範囲をより広くすることができる。即ち、より高い周縁帯又は周縁帯膜を形成することができると共に、液状材料を領域の全域に一様に充填することができる基板面の、例えば水に対する接触角の許容範囲をより広い範囲とすることができる。
この場合、周縁形成工程で使用される液状材料の表面張力は、充填工程で使用される液状材料の表面張力より大きいことが好ましい。
基板面の同一の液体、例えば水に対する濡れ性が同一であっても、液状材料の表面張力が大きいほど、その液状材料に対する濡れ性が低くなる。液滴の着弾位置からの広がりを抑制し、より高い周縁帯又は周縁帯膜を形成するために、周縁形成工程で使用される液状材料に対する基板面の濡れ性は、低いことが好ましい。また、液状材料を領域の全域に充填するために、充填工程で使用される液状材料に対する基板面の濡れ性は、高いことが好ましい。
周縁形成工程で使用される液状材料の表面張力が、充填工程で使用される液状材料の表面張力より大きくなるような、それぞれの液状材料を用いることで、基板面の適切な濡れ性特性は、同じ液状材料を用いる方法に比べて、より大きい表面張力の液状材料に対して低い濡れ性となり、より小さい表面張力の液状材料に対して高い濡れ性となるような濡れ性特性でよく、基板面の濡れ性特性の許容範囲をより広くすることができる。即ち、より高い周縁帯又は周縁帯膜を形成することができると共に、液状材料を領域の全域に一様に充填することができる基板面の、例えば水に対する接触角の許容範囲をより広い範囲とすることができる。
この場合、周縁形成工程で使用される液状材料の粘性は、充填工程で使用される液状材料の粘性より高いことが好ましい。
液滴の着弾位置からの広がりを抑制し、より高い周縁帯又は周縁帯膜を形成するためには、液状材料の粘性が大きいことが好ましい。一方、液状材料を領域の全域に充填するためには、液状材料の粘性が小さいことが好ましい。従って、液状材料の粘性は双方を満足する値にすることが必要である。周縁形成工程で使用される液状材料の粘性を、充填工程で使用される液状材料の粘性より大きくすることで、周縁形成工程で使用される液状材料は、液状材料を領域の全域に充填するために、液状材料の粘性を小さくすることは不要となり、双方の工程で同一の粘性の液状材料を使用する方法に比べて、粘性がより大きい液状材料を用いることが可能となる。同様に、充填工程で使用される液状材料は、より高い周縁帯又は周縁帯膜を形成するために、液状材料の粘性を大きくすることは不要となり、粘性がより小さい液状材料を用いることが可能となる。このように、液滴の着弾位置からの広がりを抑制し、より高い周縁帯又は周縁帯膜が形成し易い液状材料と、領域の全域により充填し易い液状材料とを用いることが可能となる。
この場合、周縁形成工程で吐出される液滴1滴あたりの体積は、充填工程で吐出される液滴1滴あたりの体積より小さいことが好ましい。
液滴の体積が大きいほど、着弾した液滴の濡れ広がる面積は大きくなる。液滴の着弾位置からの広がりを抑制するためには、液滴の体積が小さいことが好ましい。一方、液状材料を領域に効率良く充填するためには、液滴の体積が大きいことが好ましい。従って、液滴の体積は双方を満足する値にすることが必要である。周縁形成工程で吐出される液滴の体積を、充填工程で吐出される液滴の体積より小さくすることで、周縁形成工程で吐出される液滴は、液状材料を領域に効率良く充填するために液滴の体積を大きくすることは不要となり、双方の工程で同一の体積の液滴を使用する方法に比べて、体積がより小さい液滴にすることが可能となる。同様に、充填工程で吐出される液滴は、液滴の着弾位置からの広がりを抑制するために、液滴の体積を小さくすることが不要となり、体積がより大きい液滴にすることが可能となる。このように、液滴の着弾位置からの広がりを抑制し易い液滴の体積と、効率良く充填し易い液滴の体積とを選択して、余分な広がりが小さい膜パターンを効率良く形成することができる。
本発明の膜パターンは、前記した請求項に記載の膜パターン形成方法を用いて形成したことを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成されたことから、好適なパターン形状及び厚さの膜パターンを実現できる。
本発明のレジスト膜は、前記した請求項に記載の膜パターン形成方法を用いて形成したことを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成されたことから、好適なパターン形状及び厚さのレジスト膜を実現することができる。
本発明の絶縁膜は、前記した請求項に記載の膜パターン形成方法を用いて形成したことを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成されたことから、必要な部分を充分覆うと共に、不要な部分を覆うことが抑制された好適なパターン形状及び厚さの絶縁膜を実現することができる。
本発明の表面弾性波デバイスの製造方法は、表面弾性波デバイスの表面の陽極酸化処理を実施しない部分に、前記した請求項に記載の膜パターン形成方法を用いてレジスト膜を形成する工程と、表面弾性波デバイスの表面に、陽極酸化処理を実行する工程と、を有することを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成されたことから、陽極酸化被処理面に影響を及ぼさないと共に、陽極酸化処理から非処理面を保護する、好適な平面形状及び厚さのレジスト膜を実現することができる。これにより、好適な陽極酸化被処理面及び陽極酸化非処理面を有する好適な表面弾性波デバイスを形成することができる。
本発明の表面弾性波デバイスは、前記した請求項に記載のレジスト膜を形成後、陽極酸化を実行して形成されたことを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成されたことから、陽極酸化被処理面に影響を及ぼさないと共に、陽極酸化処理から非処理面を保護する、好適な平面形状及び厚さのレジスト膜を実現することができる。これにより、好適な陽極酸化被処理面及び陽極酸化非処理面を有する好適な表面弾性波デバイスを実現することができる。
本発明の表面弾性波デバイスは、前記した請求項に記載のレジスト膜を形成後、エッチングを実行して形成されたことを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成されたことから、エッチングで除去する膜を覆うことがないと共に、エッチングで除去しない膜を保護する、好適な平面形状及び厚さのレジスト膜を実現することができる。これにより、エッチングによって形成された好適な膜パターンを有する好適な表面弾性波デバイスを実現することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、前記請求項のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜との間を絶縁するための絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成され、必要な部分を充分覆うと共に、不要な部分を覆うことが抑制された好適なパターン形状及び厚さの絶縁膜を有することから、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜の間の好適な絶縁が実現された好適な半導体装置を形成することができる。
本発明の半導体装置は、基板上に形成された導電性膜の上に前記した請求項に記載の絶縁膜が形成され、当該絶縁膜の上に導電性膜又は半導電性膜が形成されていることを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成され、必要な部分を充分覆うと共に、不要な部分を覆うことが抑制された好適なパターン形状及び厚さの絶縁膜を有することから、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜の間の好適な絶縁が実現された高性能の半導体装置を実現することができる。
本発明の回路基板の製造方法は、前記した請求項のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて、導電性膜相互間を絶縁する絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成され、必要な部分を充分覆うと共に、不要な部分を覆うことが抑制された好適なパターン形状及び厚さの絶縁膜を有することから、導電性膜相互間の好適な絶縁が実現された好適な回路基板を形成することができる。
本発明の回路基板は、基板上に前記した請求項に記載の絶縁膜が形成され、当該絶縁膜の上に導電性膜が形成されていることを特徴とする。
着弾した液状材料が膜パターン形成領域から流出したり、膜パターン形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定のパターン形状及び厚さの膜パターンを形成することができる、膜パターン形成方法を用いて形成され、必要な部分を充分覆うと共に、不要な部分を覆うことが抑制された好適なパターン形状及び厚さの絶縁膜を有することから、導電性膜相互間の好適な絶縁が実現された高性能の回路基板を実現することができる。
本発明の表面弾性波発振装置は、前記した請求項に記載の表面弾性波デバイスを備えることを特徴とする。
好適な陽極酸化被処理面及び陽極酸化非処理面を有する好適な表面弾性波デバイス、又は好適なエッチングレジスト膜を用いたエッチングによって形成された好適な膜パターンを有する好適な表面弾性波デバイスを有する、好適な表面弾性波発振装置を実現することができる。
本発明の電気光学装置は、前記した請求項に記載の膜パターンを備えることを特徴とする。
好適なパターン形状及び厚さの膜パターンを備えることから、膜パターンによって実現すべき機能を実現できる、高性能の電気光学装置を実現することができる。
本発明の電気光学装置は、前記した請求項に記載の半導体装置を備えることを特徴とする。
導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜の間の好適な絶縁が実現された高性能の半導体装置を備えることから、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜の間の好適な絶縁が実現された高性能の電気光学装置を実現することができる。
本発明の電気光学装置は、前記した請求項に記載の回路基板を備えることを特徴とする。
導電性膜相互間の好適な絶縁が実現された高性能の回路基板を備えることから、導電性膜相互間の好適な絶縁が実現された高性能の電気光学装置を実現することができる。
本発明による電子機器は、前記した請求項に記載の表面弾性波発振装置、または電気光学装置のいずれか一つを備えることを特徴とする。
本発明の構成によれば、好適な表面弾性波発振装置、又は高性能の電気光学装置を搭載したことから、実現すべき機能を実現できる、高性能の電子機器を実現することができる。
以下、本発明に係る膜パターン形成方法の一実施形態について、図面を参照して、説明する。なお、以下の図面において、各部材及び各層を認識可能な大きさとするために、各部材及び各層の縮尺を適宜変更している。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る膜パターン形成方法を示す模式平面図である。図2は、本実施形態に係る膜パターン形成方法を示す模式断面図である。図1に示した基板1は、例えば、表面弾性波デバイスの水晶基板である。図1(a)に破線で示した領域2にレジスト膜9を形成する場合を例に挙げて説明する。領域2が、第1の領域に相当し、レジスト膜9が、レジスト膜及び膜パターンに相当する。
図1は、第1の実施形態に係る膜パターン形成方法を示す模式平面図である。図2は、本実施形態に係る膜パターン形成方法を示す模式断面図である。図1に示した基板1は、例えば、表面弾性波デバイスの水晶基板である。図1(a)に破線で示した領域2にレジスト膜9を形成する場合を例に挙げて説明する。領域2が、第1の領域に相当し、レジスト膜9が、レジスト膜及び膜パターンに相当する。
最初に、図2(a)に示したように、液滴吐出ヘッド3からレジスト膜9を形成する液状材料を液滴4として吐出して、基板1の面上に着弾させる。着弾した液滴4は、基板1の面の液状材料に対する濡れ性によって形状が規定される液粒6となって、基板1上に配置される。図1(b)に示したように、液粒6は、領域2の周縁部に互いに部分的に重なるような間隔で1列に配置する。互いに部分的に重なった液粒6は一体になり、領域2の周縁部に帯状の周縁帯6aが形成される。次に、図2(b)に示したように、周縁帯6aが乾燥又は硬化して周縁帯膜7aとなる。自然乾燥又は自然硬化に時間がかかる場合には、周縁帯6aを乾燥させる処理や、周縁帯6aの硬化を促進させる処理を実施する。
周縁帯6aを乾燥させる処理は、例えば熱を加えて溶媒を蒸発させる。周縁帯6aの硬化を促進させる処理は、例えば液状材料が光硬化性の材料であれば、周縁帯6aに光を照射することで、硬化を促進させる。具体例としては、例えば基板1を加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。
次に、図2(c)に示したように、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に液滴4を吐出し、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に液粒6即ち液状材料を充填する。図1(c)及び図2(d)に示したように、充填された液状材料が乾燥又は硬化して中央膜8が形成され、周縁帯膜7aと中央膜8とで、レジスト膜9が形成される。充填された液状材料の自然乾燥又は自然硬化に時間がかかる場合には、周縁帯6aと同様に、乾燥させる処理又は硬化を促進させる処理を実施する。液状材料が乾燥又は硬化して固化すると、液状状態より体積が減少する。中央膜8の厚みが周縁帯膜7aより薄くならないようにするために、図2(c)に示したように、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填された液状材料の厚みが、周縁帯膜7aの高さより厚くなるように、充分な量の液状材料を充填する。
上記したように、基板1の面上に着弾した液滴4である液粒6の形状は、基板1の面の液状材料に対する濡れ性によって規定される。例えば、固形分としてフェノール−ノボラック樹脂を20パーセント含む液状材料は、水に対する接触角が30度未満の面では良好に濡れ広がり、10ナノグラム程度の液粒6は広く濡れ広がって粒状の形状ではなくなり、高さの測定が困難である。液粒6の形状を、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充分な厚みに液状材料を充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成することができるような形状にするためには、基板1の面の接触角は、大きいことが好ましく、水に対する接触角で30度以上であることが好ましい。
同じ液状材料でさらに厚いレジスト膜9を形成するためには、基板1の面の液状材料に対する接触角をより大きくすることで、周縁帯膜7aの高さを高くし、より厚く液状材料を充填できるようにする。しかし、水に対する接触角が90度を越える面は、配置された液状材料に殆ど濡れないため、基板1の面の水に対する接触角が90度を越えると、周縁帯膜7aに囲まれた領域に配置された液状材料は基板1の面から撥かれる。撥かれる液状材料は隅には充填されないなど、全体に一様に充填されることが阻害され、充填されなかった部分が欠陥となったレジスト膜9が形成される可能性がある。従って、基板1の面の接触角は、液状材料に濡れることができるように、水に対する接触角で80度以下であることが好ましい。基板1の面の接触角は、液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成すると共に、液状材料を領域内全体に一様に充填するために、水に対する接触角で30度以上80度以下であることが好ましい。
さらに、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填された液状材料の厚さが、周縁帯膜7aの高さを越えると、液状材料が周縁帯膜7aの上面に濡れ広がる可能性がある。液状材料は、周縁帯膜7aの上面に濡れ広がることで、周縁帯膜7aを乗り越えて流出する。上記したように、水に対する接触角が30度未満の面では良好に濡れ広がり、周縁帯膜7aの上面の水に対する接触角が30度未満の場合は、充填された液状材料の厚さが僅かに周縁帯膜7aの高さを越えても、液状材料は、周縁帯膜7aの上面に濡れ広がり、周縁帯膜7aを乗り越えて流出する。周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填された液状材料が周縁帯膜7aを乗り越え難くするためには、周縁帯膜7aの水に対する接触角が30度以上であることが好ましい。
但し、水に対する接触角が90度を超える面は、配置された液状材料に殆ど濡れないため、周縁帯膜7aの面の水に対する接触角が90度を超えると、周縁帯膜7aに囲まれた領域に配置された液状材料は周縁帯膜7aの面から撥かれる。撥かれる液状材料は周縁帯膜7aと一体にならない可能性が高く、周縁帯膜7aと中央膜8との間に隙間のあるレジスト膜9が形成される可能性がある。従って、周縁帯膜7aの面の接触角は、液状材料に濡れることができるように、水に対する接触角で80度以下であることが好ましい。周縁帯膜7aの面の接触角は、液状材料が周縁帯膜7aを乗り越え難くすると共に、液状材料が周縁帯膜7aに馴染むようにするために、水に対する接触角で30度以上80度以下であることが好ましい。
例えば、固形分としてフェノール−ノボラック樹脂を20パーセント含むレジスト膜の液状材料は、水に対する接触角が30度の面に、10ナノグラムの液滴4を吐出すると、周縁帯6aの高さは、約2.5μmとなる。厚さ約2.5μmの周縁帯6aは、乾燥して高さ約0.5μmの周縁帯膜7aとなり、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に、約2.5μmの厚さに液状材料を充填させることができる。周縁帯膜7a及び周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填された、厚さ約2.5μmの液状材料から、厚さ約0.5μmのレジスト膜9を形成することができる。厚さ約0.5μmのレジスト膜9は、レジスト膜としての機能を果たすことが実験で確認されている。
次に、レジスト膜9を形成する基板1の面の前記した適切な接触角を得るための表面処理方法について説明する。基板1の面の接触角は、前記した周縁帯膜7aを形成する液状材料を液滴4として、基板1の面上に着弾させる工程の前に、基板1の面に撥液化処理又は親液化処理を施すことで、適切な接触角に調節される。また、基板1の表面に撥液化処理を施し、更に、その後に撥液状態を緩和させるような親液化処理を施す二段階の表面処理を実施することもできる。
まず、基板1の表面に撥液化処理を施す方法について説明する。撥液化処理の方法の一つとしては、基板の表面に、有機分子膜などからなる自己組織化膜を形成する方法が挙げられる。基板表面を処理するための有機分子膜は、一端側に基板に結合可能な官能基を有し、他端側に基板の表面を撥液性等に改質する(表面エネルギーを制御する)官能基を有すると共に、これらの官能基を結ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖を備えており、基板に結合して自己組織化して分子膜、例えば単分子膜を形成するものである。
自己組織化膜とは、基板など下地層等の構成原子と反応可能な結合性官能基とそれ以外の直鎖分子とからなり、該直鎖分子の相互作用により極めて高い配向性を有する化合物を、配向させて形成された膜である。この自己組織化膜は、単分子を配向させて形成されているので、極めて膜厚を薄くすることができ、しかも、分子レベルで均一な膜となる。即ち、膜の表面に同じ分子が位置するため、膜の表面に均一でしかも優れた撥液性等を付与することができる。
上記の高い配向性を有する化合物として、例えばフルオロアルキルシランを用いた場合には、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向されて自己組織化膜が形成されるので、膜の表面に均一な撥液性が付与される。
自己組織化膜を形成する化合物としては、例えば、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下、「FAS」と表記する)を挙げることができる。使用に際しては、一つの化合物を単独で用いるのも好ましいが、2種以上の化合物を組み合せて使用してもよい。
FASは、一般的に構造式RnSiX(4-n)で表される。ここで、nは1以上3以下の整数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子等の加水分解基である。また、Rはフルオロアルキル基であり、(CF3)(CF2)x(CH2)yの(ここで、xは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでも良いし、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基は加水分解によりシラノールを形成して、基板1(ガラス、シリコン)等の下地のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合で基板と結合する。一方、Rは表面に(CF3)等のフルオロ基を有するため、基板等の下地表面を濡れない(表面エネルギーが低い)表面に改質する。
有機分子膜などからなる自己組織化膜は、上記の原料化合物と基板1とを同一の密閉容器中に入れておき、室温の場合は2〜3日程度の間放置すると基板上に形成される。また、密閉容器全体を100℃に保持することにより、3時間程度で基板上に形成される。原料化合物と基板1とを同一の密閉容器中に入れて放置し自己組織化膜を形成する工程が、基板の表面にフッ素を含有する有機分子からなる有機薄膜を形成する工程に相当する。
以上に述べたのは、気相からの自己組織化膜の形成法であるが、液相からも自己組織化膜は形成可能である。例えば、原料化合物を含む溶液中に基板1を浸積し、洗浄、乾燥することで基板上に自己組織化膜が得られる。原料化合物を含む溶液中に基板1を浸積し、洗浄することで自己組織化膜を形成する工程が、フッ素を含有する高分子化合物を基板の表面に塗布し撥液膜を形成する工程に相当する。
撥液化処理の他の方法として、常圧でプラズマ照射する方法が挙げられる。プラズマ処理に用いるガス種は、基板の表面材質等を考慮して種々選択できる。例えば、4フッ化メタン(テトラフルオロメタン)、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカン等のフルオロカーボン系ガスを処理ガスとして使用できる。この場合、基板の表面に、撥液性のフッ化重合膜を形成することができる。四フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)の処理条件は、例えばプラズマパワーが50〜1000W、4フッ化炭素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5〜1020mm/sec、基板温度が70〜90℃とされる。CF4プラズマ処理に用いるプラズマ処理装置についての詳細は、後述する。
次に、基板1の表面に親液化処理を施す方法について説明する。前記した適切な接触角よりも高い撥液性を有する基板1の表面には、親液化処理を施すことにより撥液性を緩和する。親液化処理としては、170〜400nmの紫外光を照射する方法が挙げられる。これにより、撥液性の膜を、部分的に、しかも全体としては均一に破壊して、撥液性を緩和することができる。この場合、撥液性の緩和の程度は紫外光の照射時間で調整できるが、紫外光の強度、波長、熱処理(加熱)との組み合わせ等によって調整することもできる。
親液化処理の他の方法としては、酸素を反応ガスとするO2プラズマ処理が挙げられる。O2プラズマ処理は、基板Pに対してプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射する。O2プラズマ処理の条件の一例として、例えばプラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの相対移動速度が0.5〜10mm/sec、基板温度が70〜90℃である。これにより、撥液性の膜を、部分的に、しかも全体としては均一に変質させて撥液性を緩和することができる。O2プラズマ処理に用いるプラズマ処理装置についての詳細は、後述する。
親液化処理のさらに他の方法としては、基板1をオゾン雰囲気に曝す処理が挙げられる。これにより、撥液性の膜を、部分的に、しかも全体としては均一に変質させて、撥液性を緩和することができる。この場合、撥液性の緩和の程度は、照射出力、距離、時間等によって調整することができる。
親液化処理のさらに他の方法としては、基板1を酸又はアルカリ処理する方法が挙げられる。基板1の表面を、酸又はアルカリ処理することで、基板1の表面に形成されている撥液性の膜を部分的に分解させて、撥液性を緩和することができる。部分的な分解は、処理される基板1の表面全体としては均一に起こり、表面全体の撥液性を緩和することができる。
次に、本発明に係るデバイスを製造する際に用いられるデバイス製造装置について説明する。このデバイス製造装置としては、液滴吐出ヘッドから基板に対して液滴を吐出(滴下)することによりデバイスを製造する液滴吐出装置(インクジェット装置)が用いられる。図3は、液滴吐出装置の概略構成を示す斜視図である。
図3において、液滴吐出装置IJは、ベース12と、ベース12上に設けられ、基板1を支持する基板ステージ22と、ベース12と基板ステージ22との間に介在し、基板ステージ22を移動可能に支持する第1移動装置(移動装置)14と、基板ステージ22に支持されている基板1に対して液状材料の液滴を吐出可能な液滴吐出ヘッド3と、液滴吐出ヘッド3を移動可能に支持する第2移動装置16と、液滴吐出ヘッド3の液滴の吐出動作を制御する制御装置23とを備えている。更に、液滴吐出装置IJは、ベース12上に設けられている重量測定装置としての電子天秤(不図示)と、キャッピングユニット25と、クリーニングユニット24とを有している。また、第1移動装置14及び第2移動装置16を含む液滴吐出装置IJの動作は、制御装置23によって制御される。
第1移動装置14はベース12の上に設置されており、Y方向に沿って位置決めされている。第2移動装置16は、2本の支柱16aを用いてベース12に対して立てて取り付けられており、ベース12の後部12aにおいて取り付けられている。第2移動装置16のX方向(第2の方向)は、第1移動装置14のY方向(第1の方向)と直交する方向である。ここで、Y方向はベース12の前部12bと後部12a方向に沿った方向である。これに対してX方向はベース12の左右方向に沿った方向であり、各々水平である。また、Z方向はX方向及びY方向に垂直な方向である。
第1移動装置14は、例えばリニアモータによって構成され、2本のガイドレール14aと、このガイドレール14aに沿って移動可能に設けられているスライダー14bとを備えている。このリニアモータ形式の第1移動装置14のスライダー14bは、ガイドレール14aに沿ってY方向に移動して位置決め可能である。
また、スライダー14bはZ軸回り(θZ)用のモータ14cを備えている。このモータ14cは、例えばダイレクトドライブモータであり、モータ14cのロータは基板ステージ22に固定されている。これにより、モータ14cに通電することでロータと基板ステージ22とは、θZ方向に沿って回転して基板ステージ22をインデックス(回転割り出し)することができる。すなわち、第1移動装置14は、基板ステージ22をY方向(第1の方向)及びθZ方向に移動可能である。
基板ステージ22は基板1を保持し、所定の位置に位置決めするものである。また、基板ステージ22は不図示の吸着保持装置を有しており、吸着保持装置が作動することにより、基板ステージ22の穴22aを通して基板1を基板ステージ22の上に吸着して保持する。
第2移動装置16はリニアモータによって構成され、支柱16aに固定されたコラム16bと、このコラム16bに支持されているガイドレール16cと、ガイドレール16cに沿ってX方向に移動可能に支持されているスライダー16dとを備えている。スライダー16dはガイドレール16cに沿ってX方向に移動して位置決め可能であり、液滴吐出ヘッド3はスライダー16dに取り付けられている。
液滴吐出ヘッド3は、揺動位置決め装置としてのモータ18a,18b,18c,18dを有している。モータ18aを作動すれば、液滴吐出ヘッド3は、Z軸に平行に上下動して位置決め可能である。このZ軸はX軸とY軸に対して各々直交する方向(上下方向)である。モータ18bを作動すると、液滴吐出ヘッド3は、Y軸回りのβ方向に沿って揺動して位置決め可能である。モータ18cを作動すると、液滴吐出ヘッド3は、X軸回りのγ方向に揺動して位置決め可能である。モータ18dを作動すると、液滴吐出ヘッド3は、Z軸回りのα方向に揺動して位置決め可能である。すなわち、第2移動装置16は、液滴吐出ヘッド3をX方向(第1の方向)及びZ方向に移動可能に支持するとともに、この液滴吐出ヘッド3をθX方向、θY方向、θZ方向に移動可能に支持する。
このように、図3の液滴吐出ヘッド3は、スライダー16dにおいて、Z軸方向に直線移動して位置決め可能で、α、β、γに沿って揺動して位置決め可能であり、液滴吐出ヘッド3の液滴吐出面3Pは、基板ステージ22側の基板1に対して正確に位置あるいは姿勢をコントロールすることができる。なお、液滴吐出ヘッド3の液滴吐出面3Pには液滴を吐出する複数のノズルが設けられている。
電子天秤(不図示)は、液滴吐出ヘッド3のノズルから吐出された液滴の一滴の重量を測定して管理するために、例えば、液滴吐出ヘッド3のノズルから、5000滴分の液滴を受ける。電子天秤は、この5000滴の液滴の重量を5000の数字で割ることにより、一滴の液滴の重量を正確に測定することができる。この液滴の測定量に基づいて、液滴吐出ヘッド3から吐出する液滴の量を最適にコントロールすることができる。
クリーニングユニット24は、液滴吐出ヘッド3のノズル等のクリーニングを製造工程中や待機時に定期的にあるいは随時に行うことができる。キャッピングユニット25は、液滴吐出ヘッド3の液滴吐出面3Pが乾燥しないようにするために、デバイスを製造しない待機時にこの液滴吐出面3Pにキャップをかぶせるものである。
液滴吐出ヘッド3が第2移動装置16によりX方向に移動することで、液滴吐出ヘッド3を電子天秤、クリーニングユニット24あるいはキャッピングユニット25の上部に選択的に位置決めさせることができる。つまり、製造作業の途中であっても、液滴吐出ヘッド3をたとえば電子天秤の位置に移動することで、液滴の重量を測定できる。また液滴吐出ヘッド3をクリーニングユニット24上に移動することで、液滴吐出ヘッド3のクリーニングを行うことができる。液滴吐出ヘッド3をキャッピングユニット25の上に移動して、液滴吐出ヘッド3の液滴吐出面3Pにキャップを取り付けることで乾燥を防止する。
つまり、これら電子天秤、クリーニングユニット24、およびキャッピングユニット25は、ベース12上の後端側で、液滴吐出ヘッド3の移動経路直下に、基板ステージ22と離間して配置されている。基板ステージ22に対する基板1の給材作業及び排材作業はベース12の前端側から行われるため、これら電子天秤、クリーニングユニット24あるいはキャッピングユニット25により作業に支障を来すことはない。
図3に示すように、基板ステージ22のうち、基板1を支持する以外の部分には、液滴吐出ヘッド3が液滴を捨打ち或いは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリア(予備吐出領域)27が、クリーニングユニット24と分離して設けられている。この予備吐出エリア27は、図3に示すように、基板ステージ22の後端部側においてX方向に沿って設けられている。この予備吐出エリア27は、基板ステージ22に固着され、上方に開口する断面凹字状の受け部材と、受け部材の凹部に交換自在に設置されて、吐出された液滴を吸収する吸収材とから構成されている。
次に、液滴吐出装置の液滴の吐出技術について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないなどの利点を有する。本実施形態では、液状材料選択の自由度の高さ、及び液滴の制御性の良さの点から上記ピエゾ方式を用いる。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される液状材料の一滴の量は例えば1〜300ナノグラムである。
図4は、ピエゾ方式による液滴の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの模式図である。図4において、液状材料を収容する液体室31(圧力室)に隣接してピエゾ素子32が設置されている。液体室31には液体供給系34が接続されており、この液体供給系34を介して液体室31内に液状材料が供給される。ピエゾ素子32は、駆動回路33に接続されており、駆動回路33を介して印加される電圧に応じて伸長する。ピエゾ素子32が伸長すると、液体室31が変形してその中の液状材料が加圧され、液状材料がノズル36から液滴として吐出される。
液滴吐出ヘッド3には、上述したノズル36が列状に複数配置されており、制御装置23は、ピエゾ素子への印加電圧の制御、すなわち駆動信号を制御することにより、複数のノズル36のそれぞれに対して、液状材料の吐出制御を行う。具体的には、制御装置23は、ノズル36から吐出される液滴の体積や、単位時間あたりに吐出する液滴の数、液滴同士の距離などを変化させることができる。例えば、列状に並ぶ複数のノズルの中のうち、液滴を吐出するノズルを選択的に使用することにより、複数の液滴同士の距離を変化させることができる。
図5は、ピエゾ素子に与える駆動信号の例と、駆動信号に対応するノズル内の液状材料の状態を示す模式図である。以下、この図5に基づいて、体積の異なる3種類の液滴である、微小ドット、中ドット、大ドットを吐出する原理について説明する。図5において、駆動波形[A]は駆動信号発生回路が生成する基本波形である。波形[B]は基本波形のPart1で形成されていて、メニスカス(液体の凹凸面)を揺動させノズル開口近傍の増粘した液体を拡散し、微小な液滴の吐出不良を未然に防止するために用いられる。B1はメニスカスが静定している状態であり、B2はピエゾ素子に緩やかに充電することで液体室(圧力室)の体積を拡張しメニスカスを僅かノズル内に引き込む動作を示している。
波形[C]は基本波形のPart2で形成されていて、微小ドットの液滴を吐出する波形である。まず静定している状態(C1)から急激にピエゾ素子を充電してメニスカスを素早くノズル内に引き込む(C2)。次に一旦引き込まれたメニスカスが再びノズルを満たす方向に振動を開始するタイミングに併せて液体室を僅か縮小(C3)させることにより微小ドットの液滴が飛翔する。放電を途中休止した後の2度目の放電(C4)は吐出動作後のメニスカスやピエゾ素子の残留信号を制振させるとともに液滴の飛翔形態を制御する役目を果たしている。
波形[D]は基本波形のPart3で形成されていて、中ドットを吐出する波形である。静定状態(D1)から緩やかに大きくメニスカスを引き込み(D2)、メニスカスが再びノズルを満たす方向に向かうタイミングに合わせて急激に液体室を収縮(D3)させることで中ドットの液滴が吐出される。D4ではピエゾ素子に充電/放電することでメニスカスやピエゾ素子の残留振動を制振させている。波形[E]は基本波形のPart2とPart3とを組み合わせて形成されていて、大ドットの液滴を吐出するための波形である。まず、E1、E2、E3に示す過程で微小ドットの液滴を吐出し、微小ドット吐出後に僅かに残留するメニスカスの振動がノズル内を液体で満たすタイミングに合わせて中ドットを吐出する波形をピエゾ素子に印加する。E4、E5の過程で吐出される液滴は中ドットよりも大きい体積であり、先の微小ドットの液滴と合わせてさらに大きい大ドットの液滴が形成される。このように駆動信号を制御することにより、微小ドット、中ドット、大ドットの体積の異なる3種類の液滴を吐出することができる。
次に、撥液化処理の方法であるCF4プラズマ処理に用いるプラズマ処理装置と、親液化処理の方法であるO2プラズマ処理に用いるプラズマ処理装置とについて説明する。CF4プラズマ処理とO2プラズマ処理とは、基本的に同様のプラズマ処理装置を用いて実行することができる。
図6は、CF4プラズマ処理又はO2プラズマ処理する際に用いるプラズマ処理装置の一例を示す概略構成図である。図6に示すプラズマ処理装置は、交流電源41に接続された電極42と、接地電極である試料テーブル40とを有している。試料テーブル40は試料である基板Pを支持しつつY軸方向に移動可能となっている。電極42の下面には、移動方向と直交するX軸方向に延在する2本の平行な放電発生部44,44が突設されているとともに、放電発生部44を囲むように誘電体部材45が設けられている。誘電体部材45は放電発生部44の異常放電を防止するものである。そして、誘電体部材45を含む電極42の下面は略平面状となっており、放電発生部44及び誘電体部材45と基板Pとの間には僅かな空間(放電ギャップ)が形成されるようになっている。また、電極42の中央にはX軸方向に細長く形成された処理ガス供給部の一部を構成するガス噴出口46が設けられている。ガス噴出口46は、電極内部のガス通路47及び中間チャンバ48を介してガス導入口49に接続している。
ガス通路47を通ってガス噴出口46から噴射された処理ガスを含む所定ガスは、前記空間の中を移動方向(Y軸方向)の前方及び後方に分かれて流れ、誘電体部材45の前端及び後端から外部に排気される。これと同時に、交流電源41から電極42に所定の電圧が印加され、放電発生部44,44と試料テーブル40との間で気体放電が発生する。そして、この気体放電により生成されるプラズマで前記所定ガスの励起活性種が生成され、放電領域を通過する基板Pの表面全体が連続的に処理される。
O2プラズマ処理を実行する場合は、前記所定ガスは、処理ガスである酸素(O2)と、大気圧近傍の圧力下で放電を容易に開始させ且つ安定に維持するためのヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスや窒素(N2)等の不活性ガスとを混合したものである。
第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)領域2にレジスト膜9を形成する際に、最初に領域2の周縁部に帯状の周縁帯膜7aを形成し、次に、周縁帯膜7a内に液状材料を充填してレジスト膜9を形成する。周縁帯膜7a内に液状材料を充填するときに、充填された液状材料は、壁状の周縁帯膜7aによって、領域2の外に流出することを阻止されることから、液状材料を充分に充填することができる。
(1)領域2にレジスト膜9を形成する際に、最初に領域2の周縁部に帯状の周縁帯膜7aを形成し、次に、周縁帯膜7a内に液状材料を充填してレジスト膜9を形成する。周縁帯膜7a内に液状材料を充填するときに、充填された液状材料は、壁状の周縁帯膜7aによって、領域2の外に流出することを阻止されることから、液状材料を充分に充填することができる。
(2)領域2にレジスト膜9を形成する際に、最初に領域2の周縁部に帯状の周縁帯膜7aを形成し、次に、周縁帯膜7aの内側に液状材料を充填してレジスト膜9を形成する。周縁帯膜7aは、内側に充填された液状材料からの力を受けても動くことはないため、領域2の全体に連続して液状材料を配置する方法にくらべて、領域2の外側方向への濡れ広がりを小さくすることができる。
(3)周縁帯6aの自然乾燥又は自然硬化に時間がかかる場合には、周縁帯6aを乾燥させる処理や、周縁帯6aの硬化を促進させる処理を実施する。周縁帯6aを乾燥又は硬化した状態の周縁帯膜7aは、領域2を囲むより強固な壁となり、領域2に充填された液状材料が領域2の外に流出することをより確実に抑制することができる。
(4)基板1の面の接触角は、水に対する接触角で30度以上80度以下であり、液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成することができると共に、液状材料を領域内全体に一様に充填することができる。
(5)基板1の面の接触角は、基板1の面に撥液化処理又は親液化処理を施すことで、適切な接触角に調節される。撥液化処理又は親液化処理を実施することで、基板1の面の接触角を、確実に、水に対する接触角で30度以上80度以下に調整することができる。
(6)周縁帯膜7aを形成するための液粒6は、領域2の周縁部に互いに部分的に重なるような間隔で1列に配置する。液粒6を互いに部分的に重なるような間隔で配置することで、隙間のない壁状の周縁帯膜7aを形成することができる。また、液粒6を1列に配置することで、周縁帯膜7aの占める面積を小さくできることから、領域2が狭い領域であっても周縁帯膜7aを形成することができる。また、周縁帯膜7aを形成するのに要する時間を短縮することができる。
(7)液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド3は、複数のノズルのそれぞれについて前記した吐出制御を独立して行うことが可能である。そのため、容易に、液滴4を基板1上の任意の位置に着弾させることができる。従って、領域2の正確な周縁部に液滴4を着弾させて、正確な形状の領域2を形成できるように、周縁帯膜7aを形成することができる。
(8)液滴吐出ヘッド3は、吐出する液滴の体積を容易に変化させることができることから、周縁帯膜7aの形成などに最も適した体積の液滴4を吐出して、効率良く膜パターンを形成することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る膜パターン形成方法の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、表面弾性波発振装置の一例であるSAW(Surface Acoustic Ware)共振子を構成するSAW共振片にレジスト膜を形成する方法について説明する。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。
次に、本発明に係る膜パターン形成方法の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、表面弾性波発振装置の一例であるSAW(Surface Acoustic Ware)共振子を構成するSAW共振片にレジスト膜を形成する方法について説明する。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。
最初に、SAW共振子60(図8参照)について説明する。SAW共振子60は、ハウジングにSAW共振片51を封入して形成される(図8参照)。図7は、SAW共振片の一例を示す斜視図である。図7に示したSAW共振片51は、水晶、リチウムタンクレート、リチウムニオブベートなどの圧電体を矩形にカットしたものを基体(チップ)として構成されている。本実施形態の圧電体のチップ52は、平らな長方形にカットされており、その表面(主面)53の中央に1組の電極54aおよび54bによって交叉指電極(IDT:Inter Digital Transducer)55が構成されている。また、このIDT55の長手方向の両側に格子状の反射器56aおよび56bが形成されている。IDT55を形成する1組の電極54aおよび54bは、一方の反射器56aの外側、すなわち、チップ52の縁側を通って、チップ52の端部52aに導かれ、若干面積の広くなった接続ランド57aおよび57bが形成されている。
電極54a,54b,反射器56a,56bおよび接続ランド57a,57bは、導電性の素材、例えば、金、アルミニウム、アルミニウム銅合金などが通常用いられ、加工およびコストの点からアルミニウム系の素材が最も多く用いられている。図7に破線で示した領域59a,59bは、後述する陽極酸化レジスト膜を形成する領域であり、第1の実施形態で説明した領域2に相当し、第1の領域に相当する。SAW共振片51が、表面弾性波デバイスに相当する。
SAW共振子60は、SAW共振片51の主面53の弾性表面波によって共振周波数を得ているため、SAW共振片51をSAW共振子60のハウジングに固定することが、共振周波数に影響を及ぼすことが確認されている。共振周波数に及ぼす影響は、固定方法によって異なり、共振周波数の変化が少ないSAW共振片51の取付方法としては、SAW共振片51の一端を固定する、いわゆる片持ちマウントが、採用されている。
図8及び図9は、リードを用いてSAW共振片を片持ちマウントしたSAW共振子の概略構造を示す断面図である。図9は、図8にV1−V1で示した断面の断面図である。このSAW共振子60では、筒形で一方が開口となった金属製のケース61の中にSAW共振片51が収納されており、金属製のケース61の開口には、いわゆるハーメチック端子62が嵌め込まれて、これによってケース61に密封されている。このハーメチック端子62は、ガラス部63の外周に金属環64が設けられたものであり、ガラス部63を2本のリード65が貫通している。そして、これらのリード65のケース61内のリード端65c,65cがSAW共振片51の接続ランド57a,57bにそれぞれ接続されており、これらのリード65を介してハーメチック端子62(以降リード65も含めてプラグ体と呼ぶ)によりSAW共振片51はケース61内に片持ちマウントされている。
リード端65c,65cは、接続ランド57a,57bに固着剤66によって固着されており、この固着剤66は電気的な導通を得るために半田や導電性接着剤が用いられる。リード端65c,65cと接続ランド57a,57bとを低抵抗の状態で接続することが重要である。また、ケース61およびプラグ体の金属環64には、ケース内の気密性を保持できるようにプラグメッキ67およびケースメッキ68が施されており、これらのメッキがシール材として機能を果たす。
図9に示したように、SAW共振片51は、一点鎖線で表記したケース61の中心軸69に対し主面53が傾くようにリード65と接続されて、中心軸69とSAW共振片51とが交差するようになっている。SAW共振片51をこのようにマウントすると、リード65をプラグ体の中心に設けてもSAW共振片51はケース61の略中央にマウントできるので、SAW共振片51とケース61の内面61aとの間に十分な隙間を確保できる。このような隙間を設けることによって、ケース61内にSAW共振片51を組み入れる際にケース61とSAW共振片51とが接触することはなく、ケース61とSAW共振片51とが接触することでSAW共振片51の発振を不安定にする可能性を排除できる。また、ケース61にSAW共振片51が触れてゴミが発生するといったトラブルも抑制できる。
SAW共振片51を傾ける角度は、SAW共振片51が中心軸69と平行な位置から、チップ52の接続ランドを設けてない側の端面58dが中心軸69と交差する程度の範囲までとすることが望ましい。リード端65cは固着剤66によって接続ランド57a,57bと導通しており、接続ランド57a,57bとは直接接触しなくとも良いので、マウント角度を設けることは容易である。中心軸69に対してSAW共振片51を傾けるためには、SAW共振片51とリード端65cとは平行に接着し、リード65を中心軸69に対して傾けても良く、リード端65cを所定の角度で切断または潰し、この切断面または潰し面を用いて接続ランド57a,57bと連結しても良い。
このように、SAW共振片51を片持ちマウントして、ケース61などのハウジングから浮かして支持して、SAW共振片51の周囲に空間を設け、SAW共振片51か周囲の環境から影響を受け難くしてある。ところが、SAW共振片51の周囲に形成された空間がSAW共振片51を封入する際に混入する可能性のあるSUS片あるいは半田くずなどの異物の移動可能なスペースとなってしまう。そして、このような異物がSAW共振片51の電極、例えば、IDT55やIDT55と接続ランド57a,57bとを結ぶ電極に食い込む可能性がある。特に、IDT55はミクロンオーダーの精度で配置されているため、電極間に上記のような導電性の異物が存在するとショートの原因となり、SAW共振子60の安定した動作が損なわれる。しかし、このような異物の多くはミクロンオーダーの小さなものであり、混入を完全に防ぐのは困難である。さらに、SAW共振子60は様々な用途に用いられ、実装中や運搬中の衝撃、あるいは実装された角度などによってこのような異物が移動してしまうので、SAW共振子60を組み立てたり、実装する段階で上記のようなトラブルを完全に防止することは難しい。
異物によるトラブルを防止するために、例えば、IDT55などを酸化けい素などによってコーディングすることも可能である。しかし、チップ上にコーティング層を形成することは共振周波数の変動やQ値の低下に繋がり、片持ちマウントした効果が損なわれてしまう。ところで、アルミニウム系の電極の表面に自然に形成される酸化膜は導電性が小さく、絶縁膜として機能させることができ、これらによってショートを防止することができる。しかし、自然に形成される酸化膜は厚みが10〜30オングストロームと薄いため強度が不足し、落下等の衝撃によって移動する異物から電極を完全に保護することは困難である。そこで、SAW共振片51のアルミニウム系電極を陽極酸化することによって、膜厚が280オングストローム前後、あるいはこれより厚い酸化膜を電極の表面に形成し、異物によるトラブルを防止するようにしている。
図10は、複数のSAWパターンが形成されたウェハの平面図である。図10に示すような圧電体のウェハ70に複数のSAWパターン71が形成された状態のものを用いて陽極酸化を行う。本例では、IDT55を構成する一対の電極54aおよび54bのうち、一方の電極のみに陽極酸化を施すようにしている。このため、ウェハ70には、SAWパターン71に加え、SAWパターン71の一方の電極54bを繋ぐ接続線72と、陽極酸化用の電源と接続するターミナル73とを設けてある。
図11は、陽極酸化を行う装置の概要を示す模式図である。槽75の中には、陽極酸化液79が入っており、クリップ76でウェハ70のターミナル73を保持してウェハ70を陽極酸化液79に浸す。そして、電源77からウェハ70側を陽極として電流を流す。電源77には陽極酸化液79に浸された陰極78も接続されている。陽極酸化によって、例えば、無孔性の酸化膜を形成する。そのためには、陽極酸化液79としては燐酸塩の水溶液又はほう酸塩の水溶液の混合液を用いる。この他に、クエン酸塩やアジピン酸塩などの中性近傍の塩の水溶液を用いることができる。また、液温は、多孔性の被膜となるのを避けるため室温程度が望ましく、例えば、ほう酸塩の水溶液を用いた場合は20〜30℃程度が望ましい。
このような条件下で陽極酸化を行うことで、印加電圧に略比例した膜厚の酸化膜を電極の表面に形成することができる。酸化膜の膜厚を制御し、さらに電流投入時に流れる電流を一定以下と制御するために、プロセス用の電源として定電圧・定電流電源を用いることが望ましい。また、電極のうち、接続ランド57bに相当する部分では、前記したようにリード端65c,65cと接続ランド57a,57bとを低抵抗の状態で接続することが重要であり、接続ランド57a,57bには酸化膜が形成されないことが望ましい。そこで、接続ランド57bに相当する部分にはレジスト膜を形成して、酸化膜の厚みの増加を防止する。
次に、本実施形態のSAW共振片51の製造工程について説明する。図12は、SAW共振片の製造工程の一例を示すフローチャートである。ステップS1では、水晶のブロックからウェハ70(図10参照)の基板となる板状のウェハ基板を切り出す。次に、ステップS2では、切り出したウェハ基板を洗浄する。次に、ステップS3では、ウェハ基板の主面に、例えば蒸着などによってアルミニウム系の素材からなる薄膜である電極膜を形成する。
次に、ステップS4では、液状のエッチングレジスト材料を電極膜上に吐出する。吐出方法は、第1の実施形態で、図1及び図2に基づいて説明した方法を用いる。液滴吐出ヘッド3(図3参照)からエッチングレジスト材料の液滴を吐出し、最初に、IDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57b(図7参照)などの形状の周縁部に着弾させ、エッチングレジスト材料から成る周縁帯を形成する。第1の実施形態で説明したように、エッチングレジスト材料の乾燥時間特性によって、乾燥処理を実施する。次に、周縁帯に囲まれた領域にエッチングレジスト材料の液滴を吐出し、エッチングレジスト材料を充填する。
次に、ステップS5では、エッチングレジスト材料を乾燥させて、IDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57bなどの形状のエッチングレジスト膜を形成する。エッチングレジスト材料の乾燥時間が速く、次の工程までに充分に乾燥が進行して、レジスト効果のある膜が形成できる場合には、この工程を省略してもよい。
次に、ステップS6では、電極膜をエッチングして、IDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57bなどを形成する。次に、ステップS7では、IDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57bなどの上のエッチングレジスト膜を剥離する。
次に、ステップS8では、液状の陽極酸化レジスト材料を、接続ランド57a,57b(図7参照)を覆うように、領域59a,59b(図7参照)に吐出する。吐出方法は、第1の実施形態で、図1及び図2に基づいて説明した方法を用いる。液滴吐出ヘッド3(図3参照)から陽極酸化レジスト材料の液滴を吐出し、最初に、領域59a,59bの周縁部に着弾させ、陽極酸化レジスト材料から成る周縁帯を形成する。第1の実施形態で説明したように、陽極酸化レジスト材料の乾燥時間特性によっては、乾燥処理を実施する。次に、周縁帯に囲まれた領域に陽極酸化レジスト材料の液滴を吐出し、陽極酸化レジスト材料を充填する。
陽極酸化レジスト材料としては、フェノール樹脂等が一般的であり、特にノボラック系が好ましい。モノマーの状態で塗布した後、露光により重合させて硬化してもよいし、あらかじめ重合したポリマー状態で溶媒に溶解させた溶液を塗布してもよい。また、耐陽極酸化性を有するポリマーであれば、構造は何ら限定されるものではなく、あらゆる樹脂を適用可能である。具体的には、ポリエポキシ、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアミドおよびポリカーボネート等のポリマーが挙げられる。また、これらのモノマーが、開始剤あるいはモノマー自身が熱または光等の刺激により重合反応を引き起こしてポリマーを形成するものであれば、同様に液状材料として使用することができる。
溶媒についても同様に、ポリマーあるいはモノマーを可溶な溶媒であれば何ら限定されるものではない。具体的にはプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)、シクロヘキサノン、乳酸エチル、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン(PEGMEA)、2−メトキシエトキシエタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどの極性化合物、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールなどのエーテル系化合物、さらにメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、α−テルピネオールなどのアルコール類を例示できる。工業用のシンナー等は多くのポリマーに適用可能である。
次に、ステップS9では、陽極酸化レジスト材料を乾燥させて、接続ランド57a,57bを覆う陽極酸化レジスト膜を形成する。陽極酸化レジスト材料の乾燥時間が速く、次の工程までに充分に乾燥が進行して、レジスト効果のある膜が形成できる場合には、この工程を省略してもよい。
次に、ステップS10では、陽極酸化を実施して、IDT55の表面に電極保護膜としての酸化膜を形成する。陽極酸化の方法は、図10及び図11に基づいて説明した方法を用いる。
次に、ステップS11では、接続ランド57a,57bを覆っている陽極酸化レジスト膜を剥離する。次に、ステップS12では、ウェハ70をチップの形に切断して、SAW共振片51を形成する。ステップS12を実行して、SAW共振片51の製造工程を終了する。
なお、第1の実施形態で説明したように、液状のレジスト材料を吐出する面は、水に対する接触角が30度から80度であることが好ましい。電極膜や接続ランド57a,57bの接触角がこの範囲から外れている場合には、ステップS4又はステップS8を実行する前に、撥液化処理又は親液化処理を施すことで、適切な接触角に調節する。また、一旦撥液化処理を施し、更に、その後に撥液状態を緩和させるような親液化処理を施す二段階の表面処理を実施してもよい。
第2の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)着弾した液状エッチングレジスト材料の液滴が電極形成領域から流出したり、電極形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定の電極形状及び厚さのエッチングレジスト膜を形成することができる。したがって、正確な形状のIDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57bなどの電極を形成することができる。
(1)着弾した液状エッチングレジスト材料の液滴が電極形成領域から流出したり、電極形成領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、所定の電極形状及び厚さのエッチングレジスト膜を形成することができる。したがって、正確な形状のIDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57bなどの電極を形成することができる。
(2)着弾した液状陽極酸化レジスト膜材料が接続ランド57a,57b形成領域から流出したり、領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、正確に接続ランド57a,57bを覆うと共に、充分な厚さの陽極酸化レジスト膜を形成することができる。従って、接続ランド57a,57bに近接位置に設けられ、陽極酸化処理されることが必要なIDT55を覆うことなく、接続ランド57a,57bを覆う陽極酸化レジスト膜を形成することができる。
(3)着弾した液状陽極酸化レジスト膜材料が接続ランド57a,57b形成領域から流出したり、領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、正確に接続ランド57a,57bを覆うと共に、充分な厚さの陽極酸化レジスト膜を形成することができる。従って、陽極酸化レジスト膜の形状を規定するためのバンクなどは不要であり、接続ランド57a,57bに近接位置に設けられ、陽極酸化処理されることが必要なIDT55をバンクなどで覆うことなく、陽極酸化レジスト膜を形成することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る膜パターン形成方法の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、回路基板における絶縁膜を形成する方法について説明する。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。
次に、本発明に係る膜パターン形成方法の第3の実施形態について説明する。本実施形態では、回路基板における絶縁膜を形成する方法について説明する。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。
本実施形態の回路基板80(図14(d)参照)は、両面基板82(図14(a)参照)の回路配線の上に絶縁膜を設けることで、3層の配線パターンを形成する。図13は、回路基板を形成する過程の一例を示すフローチャートである。図14は、本実施形態に係る回路基板を形成する過程の一例を示す回路基板の部分模式図である。
最初に、図14(a)に示したような、基板81に回路配線83,84や、ランドを含むスルーホール86などを形成した両面基板82を形成する。回路配線84の一端にはランド84aが形成されている。スルーホール86は、基板81の回路配線83などを形成した面と反対側の面に形成された第1配線パターン(図示省略)に含まれる回路配線に接続している。回路配線83,84を含む配線パターンを、第2配線パターンと表記する。
図13のステップS21では、回路配線83,84や、スルーホール86のランド部に液状の導電材料を吐出して、配線パターンの形状を描画する。吐出方法は、第1の実施形態で、図1及び図2に基づいて説明した方法を用いる。液状の導電材料は、例えばAg,Al,Au,Cu,パラジウム、Ni,W−si,導電性ポリマーなどを含む材料が好適に採用可能である。
次に、ステップS22では、必要に応じて乾燥処理を実施した後、焼成工程を実施する。乾燥処理は、分散媒の除去及び膜厚確保のために実施するもので、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる処理の他、ランプアニールによって実施することもできる。乾燥処理後の乾燥膜は、有機銀化合物の場合、導電性を得るために熱処理を行い、有機銀化合物の有機分を除去し銀粒子を残留させる必要がある。そのため、吐出工程後の基板には熱処理又は光処理による焼成工程が実施される。なお、図示省略した第1配線パターンについても、ステップS21及びステップS22と同様の過程を実行することで、形成することができる。
次に、ステップS23では、図14(b)に示したように、絶縁膜92(図14(c)参照)の周縁部に絶縁膜の液状材料を吐出して、絶縁膜92の周縁部を描画する。周縁部は、ランド84aを覆わないように開ける穴を形成するランド周縁部87と、スルーホール86を覆わないように開ける穴を形成する穴周縁部88と、絶縁膜92の外周縁部89とである。
次に、ステップS24では、絶縁膜92のベタ部91を描画する。図14(c)に示したように、ランド周縁部87と、穴周縁部88と、外周縁部89とに囲まれた領域に絶縁膜の液状材料を吐出して充填させることで、ベタ部91を描画する。ランド周縁部87と、穴周縁部88と、外周縁部89と、ベタ部91とで、絶縁膜92が形成される。なお、第1の実施形態で説明したように、液状絶縁膜材料の乾燥時間特性によっては、ステップS24を実行する前に、乾燥処理を実施する。
次に、ステップS25では、絶縁膜92にUV光を照射し、ステップS26では、加熱処理を実施する。ステップS24及びステップS25によって、乾燥され硬化した、絶縁膜92が形成される。
次に、ステップS27では、ステップS21と同様に、液状の導電材料を吐出して、配線パターンの形状を描画する。次に、ステップS28では、ステップS22と同様に、必要に応じて乾燥処理を実施した後、焼成工程を実施する。ステップS27及びステップS28によって、図14(d)に示したような、回路配線94,96を含む第3配線パターンが形成される。回路配線94は、絶縁膜92によって回路配線83と絶縁されると共に、穴周縁部88に囲まれた開口部で、スルーホール86と導通している。回路配線96は、絶縁膜92によって回路配線83と絶縁されると共に、ランド周縁部87に囲まれた開口部で、ランド84aと導通している。ステップS28を実行して、3層の配線パターンを形成して回路基板80を形成する過程を終了する。
なお、第1の実施形態で説明したように、液状の導電材料や絶縁膜材料を吐出する面は、水に対する接触角が30度から80度であることが好ましい。基板81や回路配線83,84や絶縁膜92の接触角がこの範囲から外れている場合には、ステップS21、ステップS24又はステップS27を実行する前に、撥液化処理又は親液化処理を施すことで、適切な接触角に調節する。また、一旦撥液化処理を施し、更に、その後に撥液状態を緩和させるような親液化処理を施す二段階の表面処理を実施してもよい。
第3の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)穴周縁部88を形成することで、ベタ部91を形成する液状絶縁膜材料がスルーホール86に流入することを防止することができる。従って、スルーホール86の直近まで絶縁膜を形成することが可能で、互いに近接したスルーホール86と回路配線83とのうちスルーホール86を覆わず、回路配線83を覆う絶縁膜92を形成することができる。
(1)穴周縁部88を形成することで、ベタ部91を形成する液状絶縁膜材料がスルーホール86に流入することを防止することができる。従って、スルーホール86の直近まで絶縁膜を形成することが可能で、互いに近接したスルーホール86と回路配線83とのうちスルーホール86を覆わず、回路配線83を覆う絶縁膜92を形成することができる。
(2)ランド周縁部87を形成することで、ベタ部91を形成する液状絶縁膜材料がランド84aを覆うことを防止することができる。従って、ランド84aの直近まで絶縁膜を形成することが可能で、互いに近接したランド84aと回路配線83とのうちランド84aを覆わず、回路配線83を覆う絶縁膜92を形成することができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、第1の実施形態で説明した薄膜パターン形成方法を用いて形成された絶縁膜を有する薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))を備えた液晶表示装置である。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。
次に、本発明に係る電気光学装置の一例である液晶表示装置について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、第1の実施形態で説明した薄膜パターン形成方法を用いて形成された絶縁膜を有する薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))を備えた液晶表示装置である。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。
図15は本実施形態に係る液晶表示装置について、各構成要素とともに示す対向基板側から見た平面図であり、図16は図15のH−H'線に沿う断面図である。図17は液晶表示装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図であり、図18は、液晶表示装置の画素部分の拡大平面図である。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
図15及び図16において、本実施形態の液晶表示装置(電気光学装置)100は、対をなすTFTアレイ基板110と対向基板120とが光硬化性の封止材であるシール材152によって貼り合わされ、このシール材152によって区画された領域内に液晶150が封入、保持されている。シール材152は、基板面内の領域において閉ざされた枠状に形成されている。TFTアレイ基板110の封入された液晶150に対向する面には複数の画素100a(図17参照)が構成されており、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用の薄膜トランジスタ(TFT)102が形成されている。TFT102が、半導体装置に相当する。対向基板120の封入された液晶150に対向する面には、画素100aに対向するように複数の対向電極121が形成されている。
シール材152の形成領域の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り153が形成されている。シール材152の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板110の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板110の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板120のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板110と対向基板120との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
なお、データ線駆動回路201及び走査線駆動回路204をTFTアレイ基板110の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板110の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。なお、液晶表示装置100においては、使用する液晶150の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置される(図示省略)。また、液晶表示装置100をカラー表示用として構成する場合には、対向基板120において、TFTアレイ基板110の後述する各画素電極に対向する領域に、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタをその保護膜とともに形成する。
このような構造を有する液晶表示装置100の画像表示領域には、前記したように複数の画素100aが配置されている。図17に示すように、画像表示領域には、複数の画素100aがマトリクス状に構成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT(スイッチング素子)102が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線106aがTFT102のソースに電気的に接続されている。データ線106aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線106a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT102のゲートには走査線103aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線103aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。
画素電極119はTFT102のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT102を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線106aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極119を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図16に示す対向基板120の対向電極121との間で一定期間保持される。なお、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極119と対向電極121との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量160が付加されている。例えば、画素電極119の電圧は、ソース電圧が印加された時間よりも3桁も長い時間だけ蓄積容量160により保持される。これにより、電荷の保持特性は改善され、コントラスト比の高い液晶表示装置100を実現することができる。
次に、半導体装置の一例であるTFT102について説明する。図18は、TFTアレイ基板のTFTを1個含む一部分の概略構成を示した平面図である。図19は、図18に示したTFTアレイ基板のTFT近傍の断面図であり、図19(a)は、TFTの断面図であり、図19(b)は、ゲート配線とソース配線とが平面的に交差する部分の断面図である。
図18に示すように、TFT102を有するTFTアレイ基板110上には、ゲート配線112と、ソース配線116と、ドレイン電極114と、ドレイン電極114に電気的に接続する画素電極119とを備えている。ゲート配線112はX軸方向に延びるように形成され、その一部がY軸方向に延びるように形成されている。そして、Y軸方向に延びるゲート配線112の一部がゲート電極111として用いられている。なお、ゲート電極111の幅はゲート配線112の幅よりも狭くなっている。また、Y軸方向に延びるように形成されたソース配線116の一部がX軸方向に延びるように形成されており、ソース電極117として用いられている。ゲート配線112及びゲート電極111と、ソース配線116、ソース電極117及びドレイン電極114との間には、絶縁膜128が形成されている。絶縁膜128が、絶縁膜及び膜パターンに相当する。
図19に示すように、ゲート配線112及びゲート電極111は、基板Pの上に設けられたバンクBの間に形成されている。ゲート配線112及びゲート電極111並びにバンクBの上には、絶縁膜128が形成されており、絶縁膜128の上に、半導体層である活性層163と、ソース配線116と、ソース電極117と、ドレイン電極114とが形成されている。活性層163は、概ねゲート電極111に対向する位置に設けられており、活性層163のゲート電極111に対向する部分がチャネル領域とされている。活性層163上には、バンク167と、バンク167よって、互いに絶縁されている2ヵ所の接合層164とが積層されており、ソース電極117及びドレイン電極114は、それぞれ接合層164を介して、活性層163と接合されている。ソース電極117及び接合層164と、ドレイン電極114及び接合層164とは、活性層163上に設けられたバンク167によって、互いに絶縁されている。ゲート配線112は、絶縁膜128によって、ソース配線116と絶縁されており、ゲート電極111は、絶縁膜128によって、ソース電極117及びドレイン電極114と絶縁されている。ソース配線116と、ソース電極117と、ドレイン電極114とは、絶縁膜129で覆われている。絶縁膜129のドレイン電極114を覆う部分には、コンタクトホールが形成されており、コンタクトホールを介してドレイン電極114と接続する画素電極119が、絶縁膜129の上面に形成されている。
絶縁膜128は、バンクBの溝にゲート配線112及びゲート電極111が形成された後、図16に示した平面形状に形成される。絶縁膜128を形成する方法は、第1の実施形態で、図1及び図2に基づいて説明した方法を用いる。液滴吐出ヘッド3(図3参照)から絶縁膜の液状材料の液滴を吐出し、最初に、絶縁膜128の周縁部に着弾させ、絶縁膜材料から成る周縁帯を形成する。第1の実施形態で説明したように、液状絶縁膜材料の乾燥時間特性によっては、乾燥処理を実施する。次に、周縁帯に囲まれた領域に液状絶縁膜材料の液滴を吐出し、液状絶縁膜材料を充填する。液状絶縁膜材料を乾燥させて、絶縁膜128を形成する。液状絶縁膜材料の乾燥時間が速く、次の工程までに充分に乾燥が進行して絶縁効果のある膜が形成できる場合には、乾燥工程を省略してもよい。
なお、第1の実施形態で説明したように、液状の絶縁膜材料を吐出する面は、水に対する接触角が30度から80度であることが好ましい。バンクBやゲート配線112やゲート電極111の表面の接触角がこの範囲から外れている場合には、液状絶縁膜材料の液滴の吐出を実行する前に、撥液化処理又は親液化処理を施すことで、適切な接触角に調節する。また、一旦撥液化処理を施し、更に、その後に撥液状態を緩和させるような親液化処理を施す二段階の表面処理を実施してもよい。
上記本実施形態では、TFT102を液晶表示装置100の駆動のためのスイッチング素子として用いる構成としたが、液晶表示装置以外にも例えば有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示デバイスに応用が可能である。有機EL表示デバイスは、蛍光性の無機または有機化合物を含む薄膜を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、前記薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光させる素子である。そして、上記のTFT102を有する基板上に、有機EL表示素子に用いられる蛍光性材料のうち、赤、緑および青色の各発光色を呈する材料すなわち発光層形成材料及び正孔注入/電子輸送層を形成する材料を液状材料とし、本発明の膜パターン形成方法を用いて各々をパターニングすることで、自発光フルカラーELデバイスを製造することもできる。本発明におけるデバイス(電気光学装置)の範囲にはこのような有機ELデバイスをも含むものである。
なお、本発明に係るデバイス(電気光学装置)としては、上記の他に、PDP(プラズマディスプレイパネル)や、基板上に形成された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用する表面伝導型電子放出素子等にも適用可能である。
第4の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)着弾した液状絶縁膜材料が所定の絶縁膜形成領域から流出したり、領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、ゲート配線112とゲート電極111との、ソース配線116、ソース電極117及びドレイン電極114と重なる部分を、正確に覆うと共に、充分な絶縁効果が得られる厚みを有する絶縁膜128を形成することができる。
(1)着弾した液状絶縁膜材料が所定の絶縁膜形成領域から流出したり、領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、ゲート配線112とゲート電極111との、ソース配線116、ソース電極117及びドレイン電極114と重なる部分を、正確に覆うと共に、充分な絶縁効果が得られる厚みを有する絶縁膜128を形成することができる。
(2)着弾した液状絶縁膜材料が所定の絶縁膜形成領域から流出したり、領域外に濡れ広がったりすることを抑制して、絶縁膜形成領域に隣接しており、光が通過することから絶縁膜が形成されることが好ましくない領域に絶縁膜128が形成されることを抑制することができる。
(3)ゲート配線112とソース配線116との絶縁、及びゲート電極111とソース電極117及びドレイン電極114との絶縁を好適に行える絶縁膜128を備え、好適な絶縁が実現された高性能のTFT102を実現することができる。
(4)好適な絶縁が実現された高性能のTFT102を備え、好適な絶縁が実現された高性能の液晶表示装置100を実現することができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態に係る電子機器について説明する。本実施形態の電子機器は、第2の実施形態で説明したSAW共振子、又は第3の実施形態で説明した回路基板、又は第4の実施形態で説明した液晶表示装置を備えた電子機器である。本実施形態の電子機器の具体例について説明する。
次に、第5の実施形態に係る電子機器について説明する。本実施形態の電子機器は、第2の実施形態で説明したSAW共振子、又は第3の実施形態で説明した回路基板、又は第4の実施形態で説明した液晶表示装置を備えた電子機器である。本実施形態の電子機器の具体例について説明する。
図20(a)は、電子機器の一例である携帯電話の一例を示した斜視図である。図20(a)において、携帯電話600は、第4の実施形態で説明した液晶表示装置100を備えた液晶表示部601を備えている。また、携帯電話600には、第3の実施形態で説明した回路基板が内蔵されており、回路基板には、通信回路の構成部品として第2の実施形態で説明したSAW共振子が実装されている。
図20(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図20(b)において、携帯型情報処理装置700は、情報処理装置筐体703を有し、キーボードなどの入力部701と、第4の実施形態で説明した液晶表示装置100を備えた液晶表示部702とを備えている。また、情報処理装置筐体703には、第3の実施形態で説明した回路基板が内蔵されており、回路基板には、タイマ回路の構成部品として第2の実施形態で説明したSAW共振子が実装されている。
図20(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図20(c)において、腕時計型電子機器800は、第4の実施形態で説明した液晶表示装置100を備えた液晶表示部801を備えている。また、腕時計型電子機器800には、第3の実施形態で説明した回路基板が内蔵されており、回路基板には、タイマ回路の構成部品として第2の実施形態で説明したSAW共振子が実装されている。
図20(a)から(c)に示す電子機器は、前記した実施形態の液晶表示装置100を備えたものであり、膜パターンの実現すべき機能を実現するのに充分な膜厚及び適切な平面形状を有する薄膜を形成することができる膜パターン形成方法を用いて形成された膜パターンを有することにより、高性能が得られるTFT102を備えている。本実施形態の電子機器は液晶表示装置100を備えるものとしたが、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ型表示装置等、他の電気光学装置を備えた電子機器とすることもできる。
第5の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)膜パターンの実現すべき機能を実現するのに充分な膜厚及び適切な平面形状を有する薄膜を形成することができる膜パターン形成方法を用いて形成された膜パターンを有することにより、高性能が得られる液晶表示装置100、回路基板80、又はSAW共振子60を備えるため、高性能の携帯電話600や、携帯型情報処理装置700や、腕時計型電子機器800を実現することができる。
(1)膜パターンの実現すべき機能を実現するのに充分な膜厚及び適切な平面形状を有する薄膜を形成することができる膜パターン形成方法を用いて形成された膜パターンを有することにより、高性能が得られる液晶表示装置100、回路基板80、又はSAW共振子60を備えるため、高性能の携帯電話600や、携帯型情報処理装置700や、腕時計型電子機器800を実現することができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明に係る膜パターン形成方法の第6の実施形態について説明する。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。第1の実施形態とは異なる周縁帯の形成方法についてのみ説明する。
次に、本発明に係る膜パターン形成方法の第6の実施形態について説明する。本実施形態で使用する液滴吐出方法や液滴吐出装置や、撥液化処理や親液化処理などは、第1の実施形態における液滴吐出方法や液滴吐出装置や撥液化処理や親液化処理と、基本的に同一である。第1の実施形態とは異なる周縁帯の形成方法についてのみ説明する。
図21は、本実施形態に係る膜パターン形成方法を示す模式平面図である。図22は、本実施形態に係る膜パターン形成方法を示す模式断面図である。図21に示した基板141は、例えば、表面弾性波デバイスの水晶基板である。図21(a)に破線で示した領域142にレジスト膜149を形成する場合を例に挙げて説明する。領域142が、第1の領域に相当し、レジスト膜149が、膜パターンに相当する。
最初に、液滴吐出ヘッド3からレジスト膜149を形成する液状材料を液滴4として吐出して(図2参照)、基板141の面上に着弾させる。着弾した液滴4は、図22(a)に示したように、基板141の面と液状材料との濡れ性によって形状が規定される液粒6となって、基板141上に配置される。図21(b)に示したように、液粒6は、領域142の周縁部に互いに部分的に重なるような間隔で2列に配置する。互いに部分的に重なった液粒6は一体になり、領域142の周縁部に帯状の周縁帯6aが形成される。次に、図22(b)に示したように、周縁帯6aが乾燥又は硬化して周縁帯膜144aとなる。自然乾燥又は自然硬化に時間がかかる場合には、周縁帯6aを乾燥させる処理や、周縁帯6aの硬化を促進させる処理を実施する。
次に、図21(c)及び図22(b)に示したように、周縁帯膜144aの上に液滴4を配置し、周縁帯膜144aの上に液粒6を連ねた周縁帯6aを形成する。周縁帯膜144aの上に積層されるように形成された周縁帯6aは徐々に乾燥又は硬化して、周縁帯膜144aと一体になり、周縁帯膜147aが形成される。
次に、図22(c)及び(d)に示したように、周縁帯膜147aに囲まれた領域内に液滴4を吐出し、周縁帯膜147aに囲まれた領域内に液粒6すなわち液状材料を充填する。充填された液状材料が乾燥又は硬化して中央膜148が形成され、周縁帯膜147aと中央膜148とで、レジスト膜149が形成される。充填された液状材料の自然乾燥又は自然硬化に時間がかかる場合には、周縁帯6aと同様に、乾燥させる処理又は硬化を促進させる処理を実施する。
第6の実施形態によれば、第1の実施形態で述べた効果(1)から(5)、(7)、及び(8)と同様の効果が得られる他、以下の効果が得られる。
(1)周縁帯膜144aの上に周縁帯6aを積層して周縁帯膜147aを形成することから、周縁帯膜147aの高さをより高くすることができる。周縁帯膜147aに囲まれた領域により多くの液状材料を充填することができることから、より厚いレジスト膜149を形成することができる。
(1)周縁帯膜144aの上に周縁帯6aを積層して周縁帯膜147aを形成することから、周縁帯膜147aの高さをより高くすることができる。周縁帯膜147aに囲まれた領域により多くの液状材料を充填することができることから、より厚いレジスト膜149を形成することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。以下のように実施することもできる。
(変形例1)前記実施形態では、周縁帯が乾燥又は硬化したところで内部に液状材料を充填しており、硬化し難い液状材料の場合は、乾燥又は硬化工程を実施していたが、周縁帯の乾燥又は硬化は必須ではない。例えば、液状材料の粘度が高いことから、囲んだ領域に液状材料が充填されても、周縁帯が壁状の形状を維持可能で、流出を阻止できるような材料の場合には、乾燥又は硬化を待つことなく、液状材料を充填してもよい。また、周縁帯の全体が乾燥又は硬化しなくても、例えば表面のみが乾燥又は硬化することで、囲んだ領域に液状材料が充填されても、周縁帯が壁状の形状を維持可能で、流出を阻止できるような材料の場合には、全体が乾燥又は硬化するのを待つことなく、液状材料を充填してもよい。
(変形例2)前記実施形態では、周縁帯膜7aを形成するための液状材料と、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填して中央膜8を形成するための液状材料とは同一の液状材料であったが、同一であることは必須ではない。基板1の面の液状材料に対する濡れ性が、周縁帯膜7aを形成するための液状材料と中央膜8を形成するための液状材料とで、それぞれ異なるような液状材料を用いてもよい。基板1の周縁帯膜7aを形成するための液状材料に対する濡れ性が、中央膜8を形成するための液状材料に対する濡れ性より低くなるような、それぞれの液状材料を用いることもできる。
基板面の液状材料に対する濡れ性を、液状材料の基板面に対する濡れ広がり性と表記すると、基板面の同一の液体、例えば水に対する濡れ性が同一であっても、液状材料の濡れ広がり性が低いほど、その液状材料に対する濡れ性が低くなる。また、基板1の周縁帯膜7aを形成するための液状材料に対する濡れ性が、中央膜8を形成するための液状材料に対する濡れ性より低くなるような、それぞれの液状材料は、周縁帯膜7aを形成するための液状材料の濡れ広がり性が、中央膜8を形成するための液状材料の濡れ広がり性より低くなる。
基板1の面の周縁帯膜7aを形成するための液状材料に対する濡れ性は、液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成できるような低い濡れ性が好ましい。中央膜8を形成するための液状材料に対する濡れ性は、液状材料を領域内全体に一様に充填することができるような高い濡れ性が好ましい。周縁帯膜7aを形成するための液状材料の濡れ広がり性が、中央膜8を形成するための液状材料の濡れ広がり性より低くなるような、それぞれの液状材料を用いることで、基板1の面の適切な濡れ性特性は、同じ液状材料を用いる方法に比べて、より低い濡れ広がり性の液状材料に対して低い濡れ性となり、より高い濡れ広がり性の液状材料に対して高い濡れ性となるような濡れ性特性でよく、基板1の面の濡れ性特性の許容範囲をより広くすることができる。即ち、液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成することができると共に、液状材料を領域内全体に一様に充填することができる基板1の面の、例えば水に対する接触角の許容範囲をより広い範囲とすることができる。
(変形例3)前記実施形態では、周縁帯膜7aを形成するための液状材料と、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填し中央膜8を形成するための液状材料とは同一の液状材料であったが、同一であることは必須ではない。表面張力が、周縁帯膜7aを形成するための液状材料と中央膜8を形成するための液状材料とで、それぞれ異なるような液状材料を用いてもよい。周縁帯膜7aを形成するための液状材料の表面張力が、中央膜8を形成するための液状材料の表面張力より大きくなるような、それぞれの液状材料を用いることもできる。
基板面の、例えば水のような、ある液体に対する濡れ性が同一であっても、液状材料の表面張力が大きいほど、その液状材料に対する濡れ性が低くなる。基板1の面の周縁帯膜7aを形成するための液状材料に対する濡れ性は、液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成できるような低い濡れ性が好ましい。中央膜8を形成するための液状材料に対する濡れ性は、液状材料を領域内全体に一様に充填することができるような高い濡れ性が好ましい。周縁帯膜7aを形成するための液状材料の表面張力が、中央膜8を形成するための液状材料の表面張力より大きくなるような、それぞれの液状材料を用いることで、基板1の面の適切な濡れ性特性は、同じ液状材料を用いる方法に比べて、より大きい表面張力の液状材料に対して低い濡れ性となり、より小さい表面張力の液状材料に対して高い濡れ性となるような濡れ性特性でよく、基板1の面の濡れ性特性の許容範囲をより広くすることができる。即ち、液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成することができると共に、液状材料を領域内全体に一様に充填することができる基板1の面の、例えば水に対する接触角の許容範囲をより広い範囲とすることができる。
(変形例4)前記実施形態では、周縁帯膜7aを形成するための液状材料と、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に充填し中央膜8を形成するための液状材料とは同一の液状材料であったが、同一であることは必須ではない。粘性が、周縁帯膜7aを形成するための液状材料と中央膜8を形成するための液状材料とで、それぞれ異なるような液状材料を用いてもよい。周縁帯膜7aを形成するための液状材料の粘性が、中央膜8を形成するための液状材料の粘性より大きくなるような、それぞれの液状材料を用いることもできる。
液状材料を充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成するためには、液状材料の粘性が高いことが好ましい。液状材料を領域内全体に一様に充填し、均一な中央膜8を形成するためには、液状材料の粘性が低いことが好ましい。周縁帯膜7aを形成するための液状材料の粘性が、中央膜8を形成するための液状材料の粘性より大きくなるような、それぞれの液状材料を用いることにより、周縁帯膜7aを形成するための液状材料は、均一な中央膜8を形成するために液状材料の粘性を低くするということが不要で、周縁帯膜7a及び中央膜8を同じ粘性の液状材料で形成する方法に比べて、より粘性が高い液状材料を用いることが可能となる。同様に、中央膜8を形成するための液状材料は、充分な厚さに充填できるような高さの周縁帯膜7aを形成するために、液状材料の粘性を高くするということが不要で、より粘性が低い液状材料を用いることが可能となる。
(変形例5)前記実施形態では、周縁帯膜7aを形成するための液滴と、周縁帯膜7aに囲まれた領域内に配置し中央膜8を形成するための液滴とは同一の大きさであったが、同一の大きさであることは必須ではない。周縁帯膜7aを形成するための液滴の体積を、中央膜8を形成するための液滴の体積より小さくしてもよい。
液滴の体積が大きいほど、着弾した液滴の濡れ広がる面積は大きくなる。また、濡れ広がる面積が小さいほど外周の凹凸(図1(b)参照)も小さくなり、膜パターンの輪郭を直線に近くすることができる。一方、液状材料を領域に効率良く充填するためには、液滴の体積が大きいことが好ましい。周縁帯膜7aを形成するための液滴の体積を、中央膜8を形成するための液滴の体積より小さくすることで、周縁帯膜7aを形成するための液滴は、効率良く充填するために、液滴の体積を大きくすることは不要で、周縁帯膜7a及び中央膜8を同じ体積の液滴を吐出して形成する方法に比べて、体積がより小さい液滴にすることが可能となる。同様に、中央膜8を形成するための液滴は、液滴の着弾位置からの広がりを抑制するために、液滴の体積を小さくすることが不要で、体積がより大きい液滴にすることが可能となる。このように、周縁帯膜7aを形成するために好適な液滴の体積と、効率良く充填し易く中央膜8を形成するために好適な液滴の体積とを選択して、余分な広がりが小さい周縁帯膜7aを形成することができると共に、中央膜8を効率良く形成することができる。
(変形例6)前記第6の実施形態では、周縁帯膜の高さをより高くするために、周縁帯膜144aの上に周縁帯6aを積層して2段積層の周縁帯膜147aを形成していたが、積層する層数は2段に限らない。周縁帯6aさらに積層してより高い周縁帯膜を形成してもよい。また、周縁帯膜144aは、液粒6を2列に配置して形成しているが、2列に限らず、1列や3列以上でもよい。周縁帯膜144aの上に積層する周縁帯6aは、液粒6を1列に配置して形成しているが、1列に限らず、周縁帯膜144a上に積層できる範囲で、何列でもよい。
(変形例7)前記実施形態では、周縁帯膜7aを形成するための液粒6は、領域2の周縁部に互いに部分的に重なるような間隔で配置されていたが、液粒6が互いに部分的に重なることは必須ではない。周縁帯膜7aの液状材料に対する濡れ性の程度によって、周縁帯膜7aの隙間から液状材料が流出しない程度の隙間であれば、液粒6を互いに隙間を持たせて配置し、部分的に隙間があるような周縁帯膜7aを形成してもよい。液粒6を互いに隙間を持たせて配置することで、必要な液滴4の吐出回数を減らして、周縁帯膜7aを形成するための液粒6を配置するために要する時間を短縮することができる。
(変形例8)前記実施形態では、液滴吐出装置IJは、複数のノズルを有する1個の液滴吐出ヘッド3を備えていたが、液滴吐出装置IJに備える液滴吐出ヘッド3は1個に限らない。液滴吐出装置IJは、複数の液滴吐出ヘッド3を備える構成でもよい。複数の液滴吐出ヘッド3を備えることで、各液滴吐出ヘッド3から異なる液状材料を吐出することもできる。例えば、1つの液滴吐出ヘッド3からは、周縁帯膜7aを形成するための表面張力の大きい液状材料を吐出し、他の液滴吐出ヘッド3からは、中央膜8を形成するための表面張力の小さい液状材料を吐出することができる。液滴吐出装置IJに基板1をセットした状態で、異なる液状材料を吐出する工程を連続して実施できることから、SAW共振子60などを効率良く製造することができる。
(変形例9)前記実施形態では、本発明の膜パターン形成方法を用いて、電極膜を選択的に覆うエッチングレジスト膜を形成し、電極膜をエッチングして、IDT55、反射器56a,56b、接続ランド57a,57bなどの電極を形成していたが、電極を形成するために、電極膜及びエッチングレジスト膜を形成することは必須ではない。本発明の膜パターン形成方法を用いて、SAW共振片51上に直接電極膜の液状材料を吐出して、電極を形成してもよい。
(変形例10)前記実施形態では、SAW共振子は、SAW共振片51をケース61に封入したSAW共振子60であったが、SAW共振子は、SAW共振片51の他に発振回路を含む構成でもよいし、SAW共振片51と発振回路とを同一ケース内に収容する構成でもよい。
(変形例11)前記実施形態の回路基板80は、板状の基板81の両面に回路配線を形成した両面基板82の回路配線の上に絶縁膜を設けることで、3層の配線パターンを形成するものであったが、基板は板状の基板に限らない。フレキシブル基板のようなフィルム状の基板であってもよい。また、基板81の両面に回路配線を形成することや、両面に回路配線を形成可能であることも必須ではない。基板は、液晶表示装置などの電気光学装置のガラス基板などであってもよく、本発明の回路基板及び回路基板の製造方法は、液晶表示装置などの電気光学装置にも適用できる。
上記した実施形態および変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(技術的思想1) 表面弾性波デバイス基板の表面に形成された導電性膜の所定の電極パターンを形成する部分に、前記した請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いてエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記導電性膜に対して、エッチング処理を実行し前記エッチングレジスト膜に覆われていない部分の前記導電性膜を除去して前記電極パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする表面弾性波デバイスの製造方法。
(技術的思想1) 表面弾性波デバイス基板の表面に形成された導電性膜の所定の電極パターンを形成する部分に、前記した請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いてエッチングレジスト膜を形成する工程と、前記導電性膜に対して、エッチング処理を実行し前記エッチングレジスト膜に覆われていない部分の前記導電性膜を除去して前記電極パターンを形成する工程と、を有することを特徴とする表面弾性波デバイスの製造方法。
(技術的思想2) 表面弾性波デバイス基板の表面に、前記した請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて電極パターンを形成する工程、を有することを特徴とする表面弾性波デバイスの製造方法。
(技術的思想3) 表面弾性波デバイスの表面の陽極酸化処理を実施しない部分に、前記した請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記表面弾性波デバイスの表面に、前記陽極酸化処理を実行する工程と、を有することを特徴とする表面弾性波発振装置の製造方法。
(技術的思想4) 前記した請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜との間を絶縁するための絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
この方法によれば、電気光学装置を形成する半導体装置を、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜の間の好適な絶縁が実現された高性能の半導体装置とすることができることから、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜の間の好適な絶縁が実現された高性能の電気光学装置を実現することができる。第4の実施形態で説明した絶縁膜128が、絶縁膜に相当し、ゲート電極111、ゲート配線112、ドレイン電極114、ソース配線116、ソース電極117などが導電性膜に相当し、活性層163などが半導電性膜に相当する。
(技術的思想5) 前記した請求項に記載の親液化処理する工程が、前記基板の表面をオゾン雰囲気に曝す処理を行う工程であることを特徴とする、前記した請求項に記載の膜パターン形成方法。
1…基板、2…領域、3…液滴吐出ヘッド、4…液滴、6…液粒、6a…周縁帯、7a…周縁帯膜、8…中央膜、9…レジスト膜、32…ピエゾ素子、51…表面弾性波デバイスとしてのSAW共振片、52…チップ、54a,54b…電極、55…IDT、56a,56b…反射器、57a,57b…接続ランド、59a,59b…領域、60…表面弾性波発振装置としてのSAW共振子、79…陽極酸化液、80…回路基板、82…両面基板、83,84…回路配線、84a…ランド、86…スルーホール、87…ランド周縁部、88…穴周縁部、89…外周縁部、91…ベタ部、92…絶縁膜、94,96…回路配線、100…電気光学装置としての液晶表示装置、100a…画素、102…半導体装置としてのTFT、111…ゲート電極、112…ゲート配線、114…ドレイン電極、116…ソース配線、117…ソース電極、119…画素電極、128…絶縁膜、141…基板、142…領域、144a,147a…周縁帯膜、148…中央膜、149…レジスト膜、600…携帯電話、601…液晶表示部、700…携帯型情報処理装置、702…液晶表示部、800…腕時計型電子機器、801…液晶表示部、IJ…液滴吐出装置、P…基板。
Claims (36)
- 基板上に、膜パターンを所定の形状に形成する膜パターン形成方法であって、
前記膜パターンを形成する第1の領域の周縁領域に、前記膜パターンを構成する材料を含む液状材料の液滴を配置して、配置された前記液滴からなる周縁帯を形成する周縁形成工程と、
前記周縁帯に囲まれた第2の領域に前記液滴を配置して、前記第2の領域に前記液状材料を充填する充填工程と、を有することを特徴とする膜パターン形成方法。 - 前記周縁形成工程と前記充填工程との間に、前記周縁帯を乾燥または硬化させて周縁帯膜を形成する膜化工程をさらに有し、
前記充填工程では、前記周縁帯膜に囲まれた第2の領域に前記液滴を配置して、前記第2の領域に前記液状材料を充填することを特徴とする、請求項1に記載の膜パターン形成方法。 - 前記膜化工程における前記周縁帯を乾燥または硬化させる処理は、前記周縁帯に熱を加える処理又は前記周縁帯に光を照射する処理であることを特徴とする、請求項2に記載の膜パターン形成方法。
- 前記基板の前記膜パターンを形成する面の水に対する接触角が30度以上80度以下であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁形成工程の前に、前記基板を撥液化処理する工程と、前記基板を親液化処理する工程との少なくとも一方の工程をさらに有することを特徴とする、請求項4に記載の膜パターン形成方法。
- 前記撥液化処理する工程が、前記基板の表面にフッ素を含有する有機分子からなる有機薄膜を形成する工程であることを特徴とする、請求項5に記載の膜パターン形成方法。
- 前記撥液化処理する工程が、フルオロカーボン系化合物を反応ガスとして用いて前記基板の表面をプラズマ処理する工程であることを特徴とする、請求項5に記載の膜パターン形成方法。
- 前記撥液化処理する工程が、フッ素を含有する高分子化合物を前記基板の表面に塗布し撥液膜を形成する工程であることを特徴とする、請求項5に記載の膜パターン形成方法。
- 前記親液化処理する工程が、前記基板の表面に紫外線を照射する工程であることを特徴とする、請求項5に記載の膜パターン形成方法。
- 前記親液化処理する工程が、前記基板の表面をプラズマ処理する工程であることを特徴とする、請求項5に記載の膜パターン形成方法。
- 前記親液化処理する工程が、前記基板の表面を酸又はアルカリ処理する工程であることを特徴とする、請求項5に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁帯は、前記液滴が互いに接触して1列に連なっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁形成工程を複数回実行し、積層された前記周縁帯を形成することを特徴とする、請求項1に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁形成工程と前記膜化工程とを交互に複数回実行し、積層された前記周縁帯膜を形成することを特徴とする、請求項2に記載の膜パターン形成方法。
- 前記充填工程において前記第2の領域に充填される前記液状材料の量は、前記第2の領域に充填された前記液状材料の厚さが前記周縁帯の厚さより大きくなる量であることを特徴とする、請求項1に記載の膜パターン形成方法。
- 前記充填工程において前記第2の領域に充填される前記液状材料の量は、前記第2の領域に充填された前記液状材料の厚さが前記周縁帯膜の厚さより大きくなる量であることを特徴とする請求項2に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁帯膜の表面の水に対する接触角が30度以上80度以下であることを特徴とする、請求項16に記載の膜パターン形成方法。
- 前記基板の前記膜パターンを形成する面の前記周縁形成工程で使用される前記液状材料に対する濡れ性は、前記面の前記充填工程で使用される前記液状材料に対する濡れ性より低いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁形成工程で使用される前記液状材料の表面張力は、前記充填工程で使用される前記液状材料の表面張力より大きいことを特徴とする、請求項18に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁形成工程で使用される前記液状材料の粘性は、前記充填工程で使用される前記液状材料の粘性より高いことを特徴とする、請求項1に記載の膜パターン形成方法。
- 前記周縁形成工程で吐出される前記液滴1滴あたりの体積は、前記充填工程で吐出される前記液滴1滴あたりの体積より小さいことを特徴とする、請求項1に記載の膜パターン形成方法。
- 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて形成したことを特徴とする膜パターン。
- 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて形成したことを特徴とするレジスト膜。
- 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて形成したことを特徴とする絶縁膜。
- 表面弾性波デバイスの表面の陽極酸化処理を実施しない部分に、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いてレジスト膜を形成する工程と、
前記表面弾性波デバイスの表面に、前記陽極酸化処理を実行する工程と、を有することを特徴とする表面弾性波デバイスの製造方法。 - 請求項23に記載のレジスト膜を形成後、陽極酸化を実行して形成されたことを特徴とする表面弾性波デバイス。
- 請求項23に記載のレジスト膜を形成後、エッチングを実行して形成されたことを特徴とする表面弾性波デバイス。
- 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて、導電性膜相互間又は導電性膜と半導電性膜との間を絶縁するための絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 基板上に形成された導電性膜の上に請求項24に記載の絶縁膜が形成され、当該絶縁膜の上に導電性膜又は半導電性膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
- 請求項1乃至21のいずれか1項に記載の膜パターン形成方法を用いて、導電性膜相互間を絶縁する絶縁膜を形成する工程を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
- 基板上に請求項24に記載の絶縁膜が形成され、当該絶縁膜の上に導電性膜が形成されていることを特徴とする回路基板。
- 請求項26または27に記載の表面弾性波デバイスを備えることを特徴とする表面弾性波発振装置。
- 請求項22に記載の膜パターンを備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項29に記載の半導体装置を備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項31に記載の回路基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
- 請求項32に記載の表面弾性波発振装置、または請求項33乃至35に記載の電気光学装置のいずれか一つを備えることを特徴とする電子機器。
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2005
- 2005-01-26 JP JP2005017927A patent/JP2006204991A/ja not_active Withdrawn
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