JP2010238657A - 絶縁電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】再生可能なバイオマス資源を用いて環境負荷の低減を図ることができるとともに、バイオマス資源を用いた場合においても耐寒性および耐摩耗性に優れる絶縁電線を提供すること。
【解決手段】バイオマスプラスチックとオレフィン系樹脂とを含有する樹脂組成物よりなる絶縁体を備えた絶縁電線とする。バイオマスプラスチックとしては、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル誘導体、多糖類、多糖類誘導体などが挙げられ、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートなどが挙げられ、多糖類としては、セルロースなどが挙げられ、多糖類誘導体としては、酢酸セルロースなどが挙げられ、オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレンなどが挙げられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、絶縁電線に関するものであり、さらに詳しくは、自動車、電気・電子機器等に好適な絶縁電線に関するものである。
従来より、例えば自動車や電気・電子機器等に配線される絶縁電線には、塩化ビニル樹脂やポリオレフィンなどの化石資源(石油資源)を原料とする樹脂を絶縁体(絶縁被覆)に用いたものが知られている。周知の通り、化石資源は限りある資源である。また、化石資源から生産された製品を焼却廃棄すると、大気中のCO濃度の上昇に繋がる。
最近、地球環境への配慮から、バイオマス資源が注目されている。バイオマス資源は、植物等の現生生物由来の、比較的短期間で再生可能な資源である。また、バイオマス資源に含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収されたCOに由来するため、バイオマス資源は大気中のCO濃度のバランスを維持する面を有する。さらに、バイオマス資源の多くは生分解性を有するため、バイオマス資源から生産されたバイオマスプラスチック製品は、使用後に埋め立て処理できる場合がある。なにより、バイオマス資源を用いることで化石資源の使用量を低減できる。したがって、バイオマス資源を用いることにより、環境負荷の低減を図ることができる。
自動車等の電線分野において、バイオマス資源から生産されたバイオマスプラスチックを用いる試みは、例えば特許文献1に示されている。特許文献1には、絶縁電線の絶縁体に、ポリ乳酸を含む樹脂組成物からなる絶縁材料を用いることが開示されている。
特開2002−358829号公報
しかしながら、自動車等の絶縁電線の絶縁体には、機械特性などの種々の特性が要求される。従来の、ポリ乳酸を含む樹脂組成物を絶縁体に用いた絶縁電線などでは、耐寒性および耐摩耗性を十分に備えていないのが現状である。
本発明が解決しようとする課題は、再生可能なバイオマス資源を用いて環境負荷の低減を図るとともに、バイオマス資源を用いた場合においても耐寒性および耐摩耗性に優れる絶縁電線を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る絶縁電線は、バイオマスプラスチックとオレフィン系樹脂とを含有する樹脂組成物よりなる絶縁体を備えたことを要旨とするものである。
本発明に係る絶縁電線において、絶縁体を形成するオレフィン系樹脂は官能基を有していても良い。この場合、官能基としては、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、および、シラン基から選択された1種または2種以上を好適に示すことができる。
本発明に係る絶縁電線において、バイオマスプラスチックとしては、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル誘導体、多糖類、および、多糖類誘導体から選択された1種または2種以上を好適に示すことができる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸およびポリブチレンスクシネートから選択された1種または2種以上を好適に示すことができる。また、多糖類としてはセルロースを、多糖類誘導体としては酢酸セルロースを好適に示すことができる。配合比としては、バイオマスプラスチック100質量部に対して、オレフィン系樹脂が10〜50質量部の範囲内にあることが好ましい。
本発明に係る絶縁電線によれば、バイオマスプラスチックとオレフィン系樹脂とを含有する樹脂組成物により絶縁体が構成されているため、環境負荷の低減を図ることができるとともに、バイオマスプラスチックを用いた場合においても耐寒性および耐摩耗性に優れる。
そして、本発明に係る絶縁電線において、絶縁体を形成するオレフィン系樹脂が官能基を有していると、さらに耐摩耗性を向上できる。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明に係る絶縁電線の構成としては、軟銅線等よりなる導体と、導体の外周に被覆された絶縁層とを備えた構成や、導体と、絶縁層と、編組等により構成され、絶縁層の外周に被覆されたシールド導体と、シールド導体の外周に被覆されたシースとを備えた構成などを示すことができる。
本発明においては、バイオマスプラスチックとオレフィン系樹脂とを含有する樹脂組成物(以下、本組成物ということがある。)よりなる絶縁体を備えている。本組成物よりなる絶縁体は、絶縁電線の絶縁層であっても良いし、絶縁電線のシースであっても良いし、絶縁層とシースの両方であっても良い。
本組成物中には、上記成分以外に、物性を損なわない範囲で、必要に応じて、添加剤を適宜配合することができる。添加剤としては、例えば、難燃剤、酸化防止剤、銅害防止剤(金属不活性化剤)、紫外線吸収剤、紫外線隠蔽剤、加工助剤(ワックスなど)、顔料、相溶化剤、可塑剤などを挙げることができる。
バイオマスプラスチックは、バイオマス資源から生産されるものである。バイオマス資源は、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものである。バイオマスプラスチックは、その構造の一部に、バイオマス資源から生産されたものを含むものであっても良いし、その構造の全部が、バイオマス資源から生産されたものであっても良い。
バイオマスプラスチックとしては、具体的には、脂肪酸ポリエステル、脂肪酸ポリエステル誘導体、多糖類、多糖類誘導体などを挙げることができる。脂肪酸ポリエステルとしては、ポリヒドロキシカルボン酸、多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル重合体、ポリヒドロキシカルボン酸と多価カルボン酸と多価アルコールとのエステル重合体などを挙げることができる。多糖類としては、セルロースなどを挙げることができる。誘導体とは、脂肪酸ポリエステルあるいは多糖類の末端官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基)を、カルボン酸、アルコール、アミン等により変性したものである。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば乳酸、3−ヒドロキシ酪酸などを挙げることができる。多価カルボン酸としては、コハク酸などを挙げることができる。多価アルコールとしては、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、多糖類などを挙げることができる。
末端官能基の変性に用いるカルボン酸としては、酢酸などを挙げることができる。また、末端官能基の変性に用いるアルコールとしては、イソプロピルアルコールなどを挙げることができる。また、末端官能基の変性に用いるアミンとしては、ジエチルアミンなどを挙げることができる。変性量は、特に限定されるものではない。
脂肪酸ポリエステルとしては、好ましくは、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネートである。セルロース誘導体としては、好ましくは、酢酸セルロースである。これらのバイオマスプラスチックは、生分解性に優れる。特に、セルロースおよびセルロース誘導体は、木材等から得られるものであり、非可食性であるため、食料とのトレードオフの問題も生じにくい。
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、エチレン−ビニル酢酸共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)等のエチレン共重合体、プロピレン−ビニル酢酸共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体等のプロピレン共重合体などを挙げることができる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセンポリエチレンなどを挙げることができる。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンなどを挙げることができる。
オレフィン系樹脂としては、より好ましくは、耐摩耗性に優れる組成物が得られるなどの観点から、ポリプロピレンである。特に好ましくは、耐寒性と耐摩耗性とのバランスに優れる組成物が得られるなどの観点から、ポリプロピレンのうちでも、ポリエチレンとのブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)である。
オレフィン系樹脂は、官能基により変性されていても良いし、変性されていなくても良い。より好ましくは官能基変性オレフィン系樹脂(官能基を有するオレフィン系樹脂)である。オレフィン系樹脂として官能基変性オレフィン系樹脂を用いると、さらに耐摩耗性に優れる組成物が得られる。また、官能基変性オレフィン系樹脂と官能基で変性されていないオレフィン系樹脂とを併用することもできる。
官能基変性オレフィン系樹脂の官能基としては、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、シラン基などを挙げることができる。官能基変性オレフィン系樹脂は、これらの官能基のうちの1種のみを有していても良いし、2種以上を有していても良い。また、官能基の種類が異なる2種以上の官能基変性オレフィン系樹脂を用いても良い。
オレフィン系樹脂に官能基を導入する方法としては、具体的には、官能基を有する化合物をオレフィン系樹脂にグラフト重合させる方法や、官能基を有する化合物とオレフィンモノマとを共重合させる方法などを挙げることができる。
オレフィン系樹脂にカルボン酸基や酸無水物基を導入するのに好適な官能基を有する化合物としては、具体的には、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸、又はこれらの無水物、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂にエポキシ基を導入するのに好適な官能基を有する化合物としては、具体的には、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸等のグリシジルエステル類、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジルオキシエチルビニルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類、p−グリシジルスチレン等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂にヒドロキシル基を導入するのに好適な官能基を有する化合物としては、具体的には、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂にアミノ基を導入するのに好適な官能基を有する化合物としては、具体的には、アミノエチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂にアルケニル環状イミノエーテル基を導入するのに好適な官能基を有する化合物としては、具体的には、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−イソプロペニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン等を挙げることができる。
オレフィン系樹脂にシラン基を導入するのに好適な官能基を有する化合物としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシラン等の不飽和シラン化合物を挙げることができる。
官能基変性オレフィン系樹脂の変性量(官能基変性オレフィン系樹脂中における官能基の質量割合)としては、通常、0.1〜20質量%程度であり、好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。変性量が少ないと、官能基を導入したことによる耐摩耗性の向上効果が小さい。一方、変性量が多いと、コスト高になる。
オレフィン系樹脂の配合量としては、バイオマスプラスチック100質量部に対して5〜80質量部の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは10〜50質量部の範囲内、さらに好ましくは20〜40質量部の範囲内である。オレフィン系樹脂の配合量が5質量部未満では、耐寒性および耐摩耗性のバランスに優れる組成物が得られにくい。一方、オレフィン系樹脂の配合量が80質量部を超える場合は、環境負荷低減の観点から好ましくない。
本組成物の添加剤として配合可能な難燃剤としては、特に限定されるものではないが、環境負荷低減の観点から、金属水和物、窒素系難燃剤などのハロゲンを含まない難燃剤が好ましい。
金属水和物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどを挙げることができる。このうち、水酸化マグネシウムが特に好ましい。金属水和物の平均粒径は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.2〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。平均粒径が0.1μm未満では、二次凝集が起こりやすく、本組成物の機械特性が低下しやすい。平均粒径が20μmを超えると、絶縁電線の外観が悪化しやすい。
金属水和物の配合量は、樹脂成分100質量部に対して、通常、30〜250質量部の範囲であれば、自動車等の絶縁電線に要求される難燃性が十分に確保できる。金属水和物の配合量は、より好ましくは、ベース樹脂100質量部に対して、50〜200質量部であり、さらに好ましくは60〜180質量部である。
金属水和物は、表面が表面処理剤により表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンの単独重合体、もししくは相互共重合体、あるいはそれらの混合物等の高分子化合物を挙げることができる。また、表面処理剤としては、従来より知られるステアリン酸などの脂肪酸、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、などの、非高分子の表面処理剤を挙げることもできる。
上記の表面処理剤は、カルボン酸基などにより変性されていてもよい。表面処理剤の変性は、例えば、不飽和カルボン酸やその誘導体等を変性剤として用い、上記のαオレフィン重合体等の重合体にカルボン酸基を導入して酸変性する方法が挙げられる。上記変性剤としては具体的には、不飽和カルボン酸としてはマレイン酸、フマル酸等が挙げられ、その誘導体としては無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル等が挙げられる。変性剤としては、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。またこれらの変性剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。表面処理剤に酸を導入する酸変性方法としては、グラフト重合や直接法等が挙げられる。また、酸変性量としては、変性剤の使用量として、通常、重合体に対して0.1〜20質量%程度であり、好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.2〜5質量%である。
金属水和物を表面処理剤で処理する際の表面処理方法は特に限定されず、各種処理方法を用いることができる。金属水和物の表面処理方法としては、例えば、金属水和物の粉砕等と同時に行う方法や、予め粉砕等した金属水和物と表面処理剤を混合して後から処理する方法が挙げられる。また、処理方法としては、溶媒を用いた湿式処理方法、溶媒を用いない乾式処理方法のいずれでもよい。
金属水和物の湿式処理に用いられる溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素等が用いられる。また、金属水和物の表面処理は、本組成物の調製時に、金属水和物とベース樹脂等に表面処理剤を加えて組成物を混練する際に同時に処理を行う方法でもよい。
本発明に係る絶縁電線は、例えば、導体の外周に本組成物を押出成形するなどして、製造することができる。本組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、本組成物の必須成分および任意添加成分をバンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロール等の通常の混練機で溶融混練して均一に分散することで、本組成物を調製することができる。
以上の構成の本発明に係る絶縁電線においては、絶縁体を構成する材料にバイオマス資源を用いているため、従来の絶縁電線と比較して、化石資源の使用量を低減できる。また、バイオマス資源は、化石資源と比較して、比較的短期に再生可能な資源であり、カーボンニュートラルな性質を有する。したがって、本発明に係る絶縁電線によれば、従来よりも環境負荷の低減を図ることができる。また、このようなバイオマス資源を用いた場合であっても、本発明に係る絶縁電線によれば、耐寒性、耐摩耗性に優れる。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1〜18)
表1および表2に記載の成分組成(質量部)となるように、バイオマスプラスチック成分、オレフィン系樹脂成分、添加剤を加え、二軸混練機を用いて200℃で混合した後、ペレタイザーにてペレット状に成形して樹脂組成物のペレットを得た。このペレットを押出成形機により、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅撚線の導体(断面積:0.5mm)の外周に0.2mm厚で押出して、樹脂組成物からなる絶縁材により導体が被覆された絶縁電線を得た。
(比較例1〜7)
オレフィン系樹脂成分を配合しなかった点以外、実施例1〜7と同様にして、比較例に係る絶縁電線を得た。
実施例及び比較例で得られた絶縁電線を用いて、耐寒性試験及び耐摩耗性試験を行った。試験の結果を表1〜3に示す。耐寒性試験方法及び耐摩耗性試験方法は以下の通りである。
〔耐寒性試験方法〕
JIS C3005に準拠して行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とし、試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
〔耐摩耗性試験方法〕
社団法人自動車技術規格「JASO D611−94」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は7Nとした。往復回数が200回に達した場合を合格とした。なお、耐摩耗性試験は、通常、ブレードの往復回数を200回までに設定して試験をうち切るところ、今回は、オレフィン系樹脂が官能基を有することによる効果を確認する目的で、一部の実施例については、ブレードの往復回数が200回を超える範囲でも試験を継続し、導体に接するまでの往復回数を測定した。
Figure 2010238657
Figure 2010238657
Figure 2010238657
(バイオマスプラスチック成分)
・ポリ乳酸(V351X51):東レ社製
・ポリ乳酸(V554R10):東レ社製
・ポリ乳酸(TCA8070MN):ユニチカ社製
・酢酸セルロース(15300−26):ダイセル社製
・酢酸セルロース(15300−31):ダイセル社製
・ポリブチレンスクシネート(NF01U):ケミテック社製
・ポリブチレンスクシネート(ビオノーレ1020):昭和高分子社製
(オレフィン系樹脂成分)
・ポリプロピレン(EC7):日本ポリプロ社製
・マレイン酸変性ポリエチレン(NF556):三井化学社製
(添加剤成分)
・水酸化マグネシウム(キスマ5A):難燃剤、協和化学工業社製
・酸化防止剤(イルガノックス1010):チバスペシャリティケミカルズ社製
比較例1〜3は、樹脂成分がポリ乳酸のみからなるものであり、耐摩耗性に劣っている。これに対し、実施例1〜3、10〜12は、樹脂成分としてポリ乳酸とオレフィン系樹脂とを含有するものであり、比較例1〜3と比較して、耐寒性を維持しつつ、耐摩耗性が向上していることが分かる。
比較例4〜5は、樹脂成分が酢酸セルロースのみからなるものであり、耐寒性に劣っている。これに対し、実施例4〜5、13〜14は、樹脂成分として酢酸セルロースとオレフィン系樹脂とを含有するものであり、比較例4〜5と比較して、耐摩耗性を維持しつつ、耐寒性が向上していることが分かる。
比較例6〜7は、樹脂成分がポリブチレンスクシネートのみからなるものであり、耐摩耗性に劣っている。これに対し、実施例6〜7、15〜16は、樹脂成分としてポリブチレンスクシネートとオレフィン系樹脂とを含有するものであり、比較例6〜7と比較して、耐寒性を維持しつつ、耐摩耗性が向上していることが分かる。
したがって、本発明に係る絶縁電線によれば、再生可能なバイオマス資源を用いて環境負荷の低減を図ることができるとともに、この場合においても耐寒性および耐摩耗性に優れる絶縁電線が得られることが確認できた。
また、実施例1〜5と実施例10〜14とを比較すると、摩耗試験における導体に接するまでのブレード往復回数は、実施例10〜14のほうが3倍以上多いことが分かった。これによれば、オレフィン系樹脂として官能基を有するオレフィン系樹脂を用いると、さらに耐摩耗性を向上できることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

Claims (7)

  1. バイオマスプラスチックとオレフィン系樹脂とを含有する樹脂組成物よりなる絶縁体を備えたことを特徴とする絶縁電線。
  2. 前記オレフィン系樹脂は、官能基を有するオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記官能基は、カルボン酸基、酸無水物基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルケニル環状イミノエーテル基、および、シラン基から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項2に記載の絶縁電線。
  4. 前記バイオマスプラスチックは、脂肪族ポリエステル、脂肪族ポリエステル誘導体、多糖類、および、多糖類誘導体から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の絶縁電線。
  5. 前記脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸およびポリブチレンスクシネートから選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の絶縁電線。
  6. 前記多糖類はセルロースであり、前記多糖類誘導体は酢酸セルロースであることを特徴とする請求項4に記載の絶縁電線。
  7. 前記バイオマスプラスチック100質量部に対して、前記オレフィン系樹脂は10〜50質量部の範囲内にあることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の絶縁電線。
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