JP2010237783A - シート状物計数装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】新券発行機において、収納庫に収納された新券の枚数を確実に計数することのできる構成が望まれていた。
【解決手段】新券発行機は、紙幣収納庫と、紙幣収納庫に収納された紙幣を繰り出して投出するための投出口と、紙幣収納庫に収納された紙幣の枚数を計数するための計数装置とを備える。計数装置は、イメージセンサ80を有しており、イメージセンサ80により集積紙幣Mの端縁部分を集積側方から撮像した画像が得られる。この画像を画像処理回路で画像分析し、各紙幣の端縁(エッジ)データを取り出すことにより、集積紙幣の枚数を正確に検出することができる。
【選択図】図13
【解決手段】新券発行機は、紙幣収納庫と、紙幣収納庫に収納された紙幣を繰り出して投出するための投出口と、紙幣収納庫に収納された紙幣の枚数を計数するための計数装置とを備える。計数装置は、イメージセンサ80を有しており、イメージセンサ80により集積紙幣Mの端縁部分を集積側方から撮像した画像が得られる。この画像を画像処理回路で画像分析し、各紙幣の端縁(エッジ)データを取り出すことにより、集積紙幣の枚数を正確に検出することができる。
【選択図】図13
Description
この発明は、紙幣、有価証券、商品券等の紙葉類、クレジットカード、キャッシュカード、プリペイドカード等のカード状体などのシート状物の枚数を計数するためのシート状物計数装置に関する。
この発明に関連する先行技術として、特許文献1に記載の紙葉類計数装置がある。特許文献1に記載の紙葉類計数装置は、紙幣等を非接触で一括計数するための装置であり、紙葉類を略直角以上折り曲げて各紙葉類の端辺が平行状態でずれを生じるように紙葉類をずらす紙葉類ずらし機構が備えられている。ずらされることにより紙葉類の端部は段差を生ずるので、生じた段差にほぼ平行に光を照射し、段差により形成される影を撮像して、その影の数と幅に基づいて紙葉類の枚数を計数するという構成になっている。
特許文献1に記載の技術では、紙葉類の枚数を計数するために紙葉類を湾曲させなくてはならない。このため、計数する紙葉類がたとえば紙幣新券の場合には、新券に傷がついたり折れ目がついたりする恐れがある。また、紙幣等ではない、キャッシュカード、プリペイドカード等のカード状体の場合は、カード状体を略直角以上に湾曲させることができないので、計数できないという課題がある。
この発明は、このような背景技術を前提としてなされたものであり、計数対象物を広くシート状物(紙幣その他の紙葉類、クレジットカード、キャッシュカード等のカード状体の双方を含む概念)とし、それらシート状物の計数を正確に行うことのできるシート状物計数装置を提供することを主たる目的とする。
この発明は、また、シート状物を計数する際に、シート状物に非接触で、シート状物を静止状態としてその枚数を計数することのできるシート状物計数装置を提供することを他の目的とする。
この発明は、さらに、シート状物の画像を撮像し、その画像処理を行うことによってシート状物の枚数を正確に検知することのできる計数装置を提供することを他の目的とする。
請求項1記載の発明は、積層したシート状物の端縁部分を、集積側方から撮像するための撮像手段と、前記撮像手段により撮像された端縁部分の画像データを分析し、端縁情報を検出するための画像分析手段と、前記画像分析手段によって検出された端縁情報に基づいて、前記積層したシート状物の枚数を出力するための計数手段と、を含むことを特徴とする、シート状物計数装置である。
請求項2記載の発明は、積層するシート状物を収納する収納部を有し、当該収納部は、積層したシート状物の一側縁に当接してシート状物を積層方向と交差する方向に揃えるとともに、積層方向に対して所定の傾斜角でシート状物を順次ずらすための揃え平面を備えることを特徴とする、請求項1記載のシート状物計数装置である。
請求項3記載の発明は、前記画像分析手段は、端縁部分の画像データを分析し、端縁近傍における各シート状物間の隙間情報を検出することができ、前記計数手段は、前記画像分析手段によって検出された端縁情報および隙間情報に基づいて、前記積層したシート状物の枚数を出力することを特徴とする、請求項1または2記載のシート状物計数装置である。
請求項4記載の発明は、前記計数手段は、前記端縁情報に基づいてシート状物の枚数を検出し、その検出枚数を前記隙間情報に基づいて補完することを特徴とする、請求項3記載のシート状物計数装置である。
請求項5記載の発明は、前記画像分析手段は、端縁部分の画像データを分析し、所定の撮像ピッチ毎に現れる端縁の位置および数を集計し、前記端縁情報を検出することを特徴とする、請求項1記載のシート状物計数装置である。
請求項6記載の発明は、積層したシート状物のコーナーを中心にして一方側縁および他方側縁を含むコーナー部分を、シート状物の集積側方から撮像するための撮像手段と、前記撮像手段により撮像されたコーナー部分の画像データを分析し、コーナーを中心とする一方側縁および他方側縁の隙間情報を検出するための画像分析手段と、前記画像分析手段によって検出された2つの隙間情報に基づいて、前記積層したシート状物の枚数を出力するための計数手段と、を含むことを特徴とする、シート状物計数装置である。
請求項7記載の発明は、前記積層するシート状物の一方側縁および他方側縁の少なくとも一方を所定の傾斜角に沿ってずらすためのずらし手段をさらに有することを特徴とする、請求項6記載のシート状物計数装置である。
請求項1記載の発明によれば、積層したシート状物の端縁部分を、集積側方から撮像することにより端縁部分の画像を得る。この端縁部分の画像から、積層したシート状物の端縁を正しく検出することができるので、端縁の数に基づいてシート状物の枚数を正確に計数することが可能である。
請求項2記載の発明によれば、シート状物の端縁部分は、シート状物の積層方向に対して所定の傾斜角でずらされているため、シート状物の端縁は段差状に揃う。このため、集積側方から撮像した端縁部分の画像は、端縁を検出し易い状態の画像データとなる。
請求項3記載の発明によれば、シート状物の端縁情報だけではなく、隙間情報を検出し、その隙間情報を枚数検知に利用するので、より正確なシート状物の枚数検出を行うことができる。特に、請求項4記載のように、端縁情報を基準にし、隙間情報に基づいて端縁情報を補完することにより、より正確なシート状物の枚数検知が行える。
請求項5記載の発明によれば、シート状物の端縁情報を、端縁の位置および数に分解し、たとえばマトリクス状に集計する。そして、集計した端縁情報に基づいて端縁の数を計数することにより、シート状物をより正確に枚数検知することができる。
請求項6記載の発明によれば、シート状物の集積側方からコーナー部分の画像を撮像し、その画像データを分析することによりシート状物の枚数を出力するため、コーナーを中心とする一方端縁側および他方端縁側の2つの隙間情報に基づくより正確な枚数検知を実現することができる。
請求項7記載の発明によれば、さらに積層するシート状物がコーナーを中心に一定の傾斜角に沿ってずらされているため、より正確なシート状物の枚数検知を行うことができる。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
以下の実施形態では、計数対象物として、新券(未使用紙幣)を例にとって説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る計数装置が搭載された新券発行機1の外観斜視図である。新券発行機1は、銀行営業店等に設置され、たとえば窓口において操作者(行員)が操作することにより、所定金種の新券を所定枚数発行することができる装置である。
以下の実施形態では、計数対象物として、新券(未使用紙幣)を例にとって説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る計数装置が搭載された新券発行機1の外観斜視図である。新券発行機1は、銀行営業店等に設置され、たとえば窓口において操作者(行員)が操作することにより、所定金種の新券を所定枚数発行することができる装置である。
図1を参照して、新券発行機1は、ベース2およびベース2に取り付けられた本体ユニット3を有する。ベース2は図示しない固定部を備えており、固定部によって銀行営業店のカウンタや金銭出納機の上部等に固定される。
本体ユニット3は、平面視が略長方形状で、正面視は横長の略長方形状をした厚み(高さ)の小さな直方体状をしており、ベース2に取り付けられている。本体ユニット3の正面4の左端寄りには、上下方向に延びるスリット状の紙幣投出口5が形成されている。本体ユニット3の正面4の右側上部から上面には、操作部6が備えられている。操作部6には、図示しないが、発行する新券の金種を特定するボタンや発行枚数を入力するボタン等が備えられている。操作者(行員)が操作部6を操作することにより、本体ユニット3内に収納された新券を投出口5から投出(発行)することができる。
本体ユニット3には、開閉可能な扉7が備えられている。扉7は、たとえば右辺が回動可能に取り付けられており、右辺を中心に左辺側が回動して開閉される。扉7の左辺には扉7を閉じた状態に維持するためのロック装置8が備えられている。
新券発行機1は、図1に示す本体ユニット3が横臥状態(正面4が正面を向いて垂直になった状態)で操作され、新券発行処理が行われる。そして、新券発行機1は、本体ユニット3内に新券を収納する際には、本体ユニット3をベース2に対して前方へ略90°起き上がらせた起立状態にすることができる。
図2は、本体ユニット3が起立状態であって、かつ、本体ユニット3に備えられた扉7が開かれた状態の斜視図である。新券発行機1を図2の状態にすることにより、本体ユニット3内に形成された紙幣収納庫10への紙幣の収納が容易に行える。
図3は、本体ユニット3の横臥状態と起立状態との姿勢切り換えを説明するための新券発行機1を右側から見た図解的な縦断面図である。新券発行機1にはガスダンパー11が備えられている。ガスダンパー11の一端はベース2内に固定されており、その他端は本体ユニット3内の前方上方寄りの位置に固定されている。そして本体ユニット3は、下面前方寄りの位置がベース2の上面前方寄りの位置と連結された回動支点12を備えている。この回動支点12を中心に、ガスダンパー11の伸縮力に補助されて、ベース2に対する本体ユニット3の姿勢を横臥状態と起立状態とに、手動で切り換えることができる。
この実施形態では、図3に示すように、本体ユニット3を水平位置(横臥状態)から回動支点を中心にほぼ垂直になるよう回転させ、起立状態にすることができる。本体ユニット3が起立状態のとき、紙幣収納庫10の底面を区画する揃え平面13は、奥から前方に向かって、垂直方向に対してほぼ水平状態となる。また、紙幣収納庫10の奥面を区画する奥当て板14は、水平方向に対してほぼ垂直な面となる。よって、紙幣収納庫10内へ、その前方開放部から紙幣(新券)を容易に収納することができる。紙幣収納は、多数枚の紙幣を横方向に積層させた状態で、紙幣の一方短辺(下側短辺)を揃え平面13に当接させ、その状態で紙幣を奥へ押し込み、紙幣の奥側長辺を奥当て板14に当接させるように行われる。収納時、紙幣は自重(重力)により下側短辺が揃え平面13に自然に当接する。
なお、ここでは水平位置と垂直位置の2ヶ所で紙幣を固定する構成を示したが、紙幣の載置高さや、操作性の面から、紙幣を3ヶ所で固定したり、固定位置がリニアに変化する構成とすることも可能である。
また、紙幣収納庫10に紙幣が収納された後、扉7を閉じることにより、仮に何枚かの紙幣が奥当て板14に当接しておらず前方寄りに偏位していても、閉じられる扉7により前方に偏位している紙幣の前辺が押し込まれ、紙幣は奥当て板14に当接される。
図4は、新券発行機1の平面図(本体ユニット3が横臥状態の平面図)であり、扉7を省略した平面図である。
この実施形態の特徴は、本体ユニット3内に形成された紙幣収納庫10の一面を区画する揃え平面が、収納する紙幣の積層方向に対して所定の傾斜角を有するように設けられていることである。より具体的に述べると、平面視において、本体ユニット3内には、2つの紙幣収納庫10A、10Bが左右に配列されている。そして各紙幣収納庫10A、10Bは右上がりに傾斜した収納庫となっている。
左側の紙幣収納庫10Aを例にとって説明すると、紙幣収納庫10Aは、揃え平面13と、左垂直側面15と、右垂直側面16と天面17とによって区画された平面視が平行四辺形状をしている。揃え平面13は紙幣の積層方向A1(図において水平な左右方向)に対して右上がりに傾斜が付けられた傾斜平面とされている。天面17は、揃え平面13と紙幣の長辺長さ+α(αはわずかな隙間)の寸法を隔てて設けられており、天面17も揃え平面13と同じ傾斜を有する傾斜平面とされている。左垂直側面15および右垂直側面16は、図において上下方向に延びている。このため、多数枚の紙幣を横方向に積層した状態で、長辺が上下に延びる方向に紙幣収納庫10Aに収納されると、紙幣の下側短辺は揃え平面13に当接して揃えられる。その結果、横方向に積層された紙幣は、揃え平面13の傾斜に沿って、各紙幣間にわずかな段差が生じるように揃えられる。積層された紙幣は、左から右に向かって順にこの段差を有するため、後述するように、紙幣収納庫10に収納された積層紙幣の下側縁近傍を奥側から計数装置で計数する際に、紙幣が有する段差によって紙幣の枚数をより正確に計数することが可能となる。
紙幣収納庫10Aは、奥側が前述した奥当て板14で区画されている。奥当て板14は揃え平面13の傾斜に合わせて左から右方向へ傾斜して配置されている。紙幣収納庫10Aに収納された紙幣は、奥側長辺が奥当て板14により位置規制され、下側短辺が揃え平面13により位置規制される。そして奥当て板14のさらに奥側下方には計数装置(後述する)が配置されている。奥当て板14および揃え平面13により奥側長辺および下側短辺が揃えられた紙幣の一側縁は、計数装置により検出され、その枚数が正確に計数され得る。
右側の紙幣収納庫10Bも、紙幣収納庫10Aと同等の構成である。よって、同一または対応する部材には同一番号を付し、重複した説明については省略する。
この実施例では、紙幣収納庫10Aには、2金種の紙幣(たとえば1万円紙幣および5千円紙幣)が収容可能とされている。紙幣収納庫10Aに収納される多数枚の1万円紙幣(新券)は、揃え平面13および奥当て板14に沿って揃えられ、一方面が左垂直側面15に当接するように積層される。そして一方の札押さえ18により他方面が弾力的に押さえられる。多数枚の5千円紙幣(新券)は、揃え平面13および奥当て板14によって揃えられ、一方面が右垂直側面16に当接するように積層される。そして5千円紙幣の積層体の他方面は他方の札押さえ19により弾力的に押さえられる。札押さえ18、19は、左垂直側面15と右垂直側面16との間の空間内を左垂直側面15および右垂直側面16と平行に、すなわち揃え平面13と同じ傾斜を保った状態で平行移動することができる。このため、紙幣収納庫10A内に収納可能な紙幣枚数(合計収納枚数)は、たとえば800枚と一定であるが、紙幣収納庫10A内へ収納する1万円紙幣と5千円紙幣との収納割合は、総枚数の範囲内において自由に調整することができる。たとえば、1万円札を600枚収納し、5千円紙幣は200枚とすることができるし、1万円紙幣および5千円紙幣共に400枚を収納することもできる。
このように、紙幣収納庫10Aが、2金種の紙幣を収納することができ、その収納割合は任意に調整可能としたことにより、実際の使用に適した装置とすることができる。
この実施形態では、他方の紙幣収納庫10Bは、基本的な構成は紙幣収納庫10Aと同じであるが、紙幣収納枚数が2金種合計で400枚となっている。紙幣収納庫10Bには、たとえば千円紙幣と2千円紙幣とが収納される。
この実施形態のように、2つの紙幣収納庫10Aおよび10Bを設け、1つの収納庫に2金種の紙幣を収納可能な構成とすることにより、たとえば4金種の紙幣を収納する場合に、各金種毎に4つの収納庫を設ける場合に比べて、機器の幅(左右方向寸法)を短くすることができ、しかも全体の収納容量を実用上支障のない範囲で同等に保つことができる。
たとえば、4金種(たとえば、1万円、5千円、2千円、千円)それぞれを300枚収納可能な紙幣収納庫を4つ配置した従来の装置は、収納容量が全体で1200枚であった。しかし、この場合、たとえば2千円紙幣を収納する収納庫には、2千円紙幣の流通量が少ないこともあって、300枚の2千円紙幣が収納されることは少なく、2千円紙幣用の収納庫には空きスペースが存在していることが多かった。
そこで、この実施形態では、紙幣収納庫10Aには2金種合計で800枚の紙幣を収納可能とし、紙幣収納庫10Bには2金種合計で400枚の紙幣を収納可能な構成とした。この構成により、合計で1200枚の紙幣を収納することができる。そして、1万円紙幣および5千円紙幣は、合計で800枚収納することができ、従来の各300枚収納する場合に比べて、合計値で200枚の容量アップを図ることができる。また、紙幣収納庫10Bは、合計で400枚の紙幣を収納できるため、千円紙幣と2千円紙幣との合計収納数は、従来の600枚(300枚+300枚)に比べて200枚減るが、前述したように2千円紙幣の収納量は少なくてもよい(たとえば50枚程度で実用上問題ない)ので、ほとんどを千円紙幣の収納に使え、千円紙幣をたとえば350枚収納することができる。
従って、実際の運営上は全く問題なく、1万円紙幣、5千円紙幣、千円紙幣という流通量の多い紙幣の収納量を確保することができる。そして機器の幅を小型化することが可能となる。
図5は、紙幣収納庫10Aに2金種の紙幣が収納された状態を図解的に示す部分平面図である。紙幣収納庫10A内において、たとえば左垂直側面15には1万円紙幣の一方面が当接され、1万円紙幣は右側に向かって所定の段差を有する積層状態で収納されている。また、右垂直側面16には5千円紙幣の一方面が当接され、5千円紙幣は左側に向かって所定の段差を有する積層状態で収納されている。1万円紙幣の積層体10000は、札押さえ18により左に向かって弾力的に押圧されている。また、5千円紙幣の積層体5000は、札押さえ19によって右に向かって弾力的に押さえられている。
左垂直側面15の上部寄りの位置には繰り出しベルト21が配置されている。また天面17の上方には繰り出しベルト21と対向して設けられた重送防止用ローラー22が備えられている。図示しない駆動源により繰り出しベルト21が駆動されることにより、1万円紙幣は、左側(左垂直側面15に当接する側)の紙幣から順番に1枚ずつ上方へ繰り出される。
同様に、右垂直側面16の上方部には繰り出しベルト23が組み込まれている。また天面17の上部には、繰り出しベルト23と対向して重送防止ローラー24が備えられている。収納された5千円紙幣は、右垂直側面16に当接する側の紙幣から順番に、繰り出しベルト23が駆動されることにより1枚ずつ上方へ繰り出される。
図6は、札押さえ18、19の機構および動作を説明するための図解的な斜視図である。また、図7Aおよび図7Bは、札押さえ18、19の具体的な構成を表わす平面図および正面図である。
図6、7Aおよび7Bを参照して、札押さえ18、19は、紙幣収納庫10A内で右上りの斜め左右方向に移動することができ、収納された2金種の紙幣をそれぞれ弾力的に押圧する部材である。
一方の札押さえ18は、たとえばばね25によって斜め左方向へ常時弾力付勢されている。他方の札押さえ19も、たとえばばね26によって斜め右方へ向かって常時弾力付勢されている。札押さえ18の手前側辺から手前に向かって係合杆27が突設されている。そして係合杆27と係合するストッパ部材28が揃え平面13(図4参照)と平行に、かつ揃え平面13とは干渉しないように設けられている。ストッパ部材28は、その上縁に長手方向に沿って鋸歯状のギザギザ(複数の爪)28aが形成されている。ギザギザ28aは、図において左から右に向かって斜めに立ち上がり、右端が垂直に下方へ立ち下がる鋸歯状である。ストッパ部材28は、たとえばばね29により常時上方へ向かって弾力付勢されている。
札押さえ19も、同様の構成になっており、32が係合杆、33がストッパ部材、33aがギザギザ、34がストッパ部材33を上方へ弾力付勢しているばね、35が係合杆32とストッパ部材33との係合を解除するための解除片である。
操作者(行員)が、紙幣収納庫10A内へ1万円紙幣(新券)を収納する際には、まず、解除片35を押し下げ、ストッパ部材33を降下させる。これにより、札押さえ18の斜め右方向へのスライド移動が可能となる。そして、操作者(行員)は、札押さえ18を斜め右方向へスライド移動させ、札押さえ18と左垂直側面15(図4,図5参照)との間に収容する1万円紙幣の積層体の厚みと同等程度の収容空間を形成する。その際、札押さえ18が斜め右方向へ移動されると、係止杆27はストッパ部材28の上縁に沿って左から右へ移動し、ギザギザ28aと接触しながら右へ移動する。そして、操作者(行員)が札押さえ18から手を放すと、係止杆27はストッパ部材28のギザギザ28aの1つと係合して、その位置で係止され、斜め左方向への移動が阻止される。このため、操作者(行員)は札押さえ18を右に移動させた状態で札押さえ18を保持しておく必要はなく、札押さえ18から手を離し、両手で紙幣の積層体を紙幣収納庫10へ収納することができる。収納が完了すると、操作者(行員)は解除片30を押す。解除片30はストッパ部材28とリンクしており、ストッパ部材28はばね29の力に抗して押し下げられるので、係止杆27がギザギザ28aから外れ、札押さえ18はばね25の力によって収納された紙幣を押さえる位置へ移動する。
ところで、紙幣収納後、解除片30を押し忘れたとしても、扉7を閉じることによって、解除片30および35が扉7によって押下される構造であるので、扉7を閉塞することによって、収納された紙幣は確実に札押さえ18、19で弾力的に押さえられる。
なお、図7Bに示すように、1万円紙幣用の札押さえ18のためのストッパ部材28と、5千円紙幣用の札押さえ19のためのストッパ部材33とを比べると、後者の方がギザギザ33aの数が少なく、ストッパ部材33の長さ方向に右側から中央付近までしかギザギザ33aが形成されていない。これは、実際の使用、運用に則した構成としたためである。
なお、本実施の形態においては、札押さえ18、19を2つのストッパ部材28、33でそれぞれ保持するようにしたが、1つのストッパ部材によって札押さえ18、19を保持するようにしても構わない。この場合、ギザギザは矩形状に形成するのが望ましい。
図8および図9は、紙幣収納庫10が紙幣を収納し易い構成であることを説明するための図である。特に、図8は、本体ユニット3が起立状態における紙幣収納庫10を前方斜め右上から見た斜視図であり、図9は、図8のA−Aに沿う図解的な部分縦断面図である。
図8、9において、13は揃え平面である。そして、図8において右手前側、図9において右側は、紙幣収納庫10の入口(開放側)である。紙幣収納庫10は、起立状態で、その底面が揃え平面13で区画され、対向する天面17が備えられている。この実施形態の特徴は、天面17に対して揃え平面13が前方(開放部)側へX(図8参照)だけ延び出ていることである。このような構成にすると、操作者(行員)は、紙幣10000の下側短辺をまず揃え平面13の上に乗せ、紙幣10000の下側短辺を揃え平面13上で揃えた状態で、紙幣10000を紙幣収納庫10の奥へ押し込むことができる。このように、まず、揃え平面13に紙幣10000の下側短辺を乗せられる構成にすると、紙幣収納庫10への紙幣の収納がきわめて容易に行える。そして揃え平面13で紙幣10000の下側短辺を揃えた状態で、積層された紙幣10000を奥へスライドさせるように押し込み、紙幣10000の奥側長辺を奥当て板14に当接させればよい。
換言すれば、この実施形態の紙幣収納庫10は、天面17が揃え平面13と同様に、揃え平面13の位置まで前方に突出していないので、前方斜め上方から操作者(行員)は紙幣収納庫10を覗くことができ、揃え平面13に対して紙幣10000の下側短辺を乗せて容易に紙幣10000を紙幣収納庫10へ収納することができる。
なお、揃え平面13と天面17との垂直な縦方向の間隔は、前述したように、紙幣10000の長辺長さ+α(αはわずかな隙間)とされていることも、紙幣10000を収納し易くしている。
そして仮に、紙幣が紙幣収納庫10の奥まできちんと収納されておらず、紙幣の奥側長辺が奥当て板14に当接していない場合には、扉7が閉じられることにより、紙幣の前側長辺が扉7により押されるので、扉7が閉じられた状態では、紙幣はその奥側長辺が奥当て板14に確実に当接する。
この結果、紙幣収納庫10の奥側下方に設けられた計数装置40の撮像面は、紙幣の端部と微小な間隔で対向し、確実に紙幣の端部画像を撮像して、枚数を計数することが可能である。
図10は、本体ユニット3を奥側(本体ユニット3が起立状態において裏面側)から見た本体ユニット3の下方部分の図解図である。
本体ユニット3の奥側下方部には、計数装置40が備えられている。計数装置40には取付部材41が固定されており、取付部材41を介してガイドバー42に連結されている。ガイドバー42は、図において、左側が上方に延びるように斜めに配置されており、計数装置40を左右に斜め方向へ案内するためのものである。ガイドバー42の傾斜は、紙幣収納庫10(10A、10B)に備えられた揃え平面13の傾斜に対応されている。
また、取付部材41には駆動ベルト43が取り付けられている。駆動ベルト43は、プーリ44、45間に張架されてガイドバー42と平行に延びるとともに、駆動ギヤ45に掛け回されて、駆動モータ46によりギヤ機構47を介して駆動される。すなわち、駆動モータ46が回転されると、駆動ベルト43が移動され、ガイドバー41に案内されて計数装置40は左右に斜め方向に移動することができる。そしてその移動に伴い、計数装置40は、紙幣収納庫10(10A、10B)に収納された4金種の紙幣の各下方側端縁部を撮像(検知)して、各金種の紙幣の枚数を計数することができるものである。
図11は、紙幣収納庫10(10A、10B)に備えられた4金種の紙幣を繰り出すための繰り出し機構71、72、73、74の駆動系統の構成を示す図である。紙幣収納庫10には、前述したように、1万円紙幣および5千円紙幣を収納するための収納庫10Aならびに千円紙幣および2千円紙幣を収納するたの収納庫10Bが備えられている。そして、収納庫10Aには紙幣繰り出し機構71および72が備えられており、収納庫10Bには紙幣繰り出し機構73および74が備えられている。紙幣繰り出し機構71は、前述したように、札押さえ18A、繰り出しベルト21Aおよび重送防止ローラー22Aを具備している。同様に、紙幣繰り出し機構72は札押さえ19A、繰り出しベルト23Aおよび重送防止ローラー24Aを具備している。紙幣繰り出し機構73は、札押さえ18B、繰り出しベルト21Bおよび重送防止ローラー22Bを具備している。紙幣繰り出し機構74は、札押さえ19B、繰り出しベルト23Bおよび重送防止ローラー24Bを具備している。
各紙幣繰り出し機構71、72、73、74の繰り出し動作は、それぞれ、繰り出し用プーリ61、62、63、64が回転され、クラッチ(図示せず)が接続されて、繰り出しベルト21A、23A、21B、23Bが駆動されることにより行われる。
この実施形態の特徴は、繰り出し機構72による5千円紙幣の繰り出しおよび繰り出し機構74による2千円紙幣の繰り出しは、駆動モータ75を正転させ、ベルト76により繰り出し用プーリ62および64を正転(図において時計回りに回転)させることにより行われる構成であり、一方、繰り出し機構71による1万円紙幣の繰り出しおよび繰り出し機構73による千円紙幣の繰り出し時には、駆動モータ75を逆転させ、ベルト76により繰り出し用プーリ61および63を逆転(反時計回りに回転)させることにより行われる構成になっていることである。
このように、駆動モータ75を正転および逆転制御することにより、繰り出し金種を選択することができる構成としたので、繰り出し機構の機械的構造を簡略化することができる。つまり、タイミングベルトは片面タイミングベルトを用いることができ、テンションプーリの配置等を省略または簡略化することができ、駆動レイアウトを省スペースで行うことができる。
図12は、この実施形態に係る新券発行機1に採用されている紙幣繰り出しのための改良された搬送路の構成を説明するための平面図である。紙幣収納庫10から上方へ繰り出される紙幣を紙幣収納庫10の左側に備えられた投出用集積部(図4参照)へ搬送するための搬送機構50が、紙幣収納庫10の上部に配置されている。この搬送機構50は、従来は、搬送路の両側に対向するプーリおよび平ベルトを設け、平ベルト間に紙幣を挟み込んで搬送するという構成であった。
ところが、かかる構成では、搬送機構の構成が大型化するという課題があったので、この実施形態では、平ベルト間ではなく、平ベルトとローラーとによって紙幣を挟み込み、搬送する構造に改良した。
すなわち、紙幣収納庫10の上部に複数個(具体的には6個)のローラー51、52、53、54、55、56を所定の間隔で配列し、その6つのローラー51〜56に対してジグザグに平ベルト57がかかるように搬送用の平ベルト57を張架する。このように平ベルト57が複数個のローラー51〜56に対してジグザグにかけられている場合、平ベルト57によって紙幣を搬送するに当たり、平ベルト57と対向する平ベルトを設ける必要はなく、平ベルト57とローラー53、55、57とに挟まれた紙幣は、屈曲されながら確実に搬送される。また、ローラー54、56に張架されたベルトの外側に紙幣ガイドを設ければ、紙幣は平ベルト21に沿って屈曲されながら搬送される。つまりこの実施例では、平ベルト57を張架する複数のローラー51〜56の配置を工夫して、平ベルト57がジグザグにかかるようにした。これにより、搬送される紙幣は、平ベルト57とローラー51〜56とにより確実に搬送される。その結果、対向するプーリやベルトを省略することができ、搬送装置の小型化を実現することができる。
図13〜図15は、この実施形態に係る新券発行機1における計数装置40による計数処理の仕方の一例を説明するための図である。
図10で説明したように、計数装置40は紙幣収納庫10(10A、10B)に収納された4金種の紙幣の各下方端縁部を撮像(検知)して、各金種の紙幣の枚数を計数する。
まず、図13を参照して説明する。図13(a)は積層した紙幣Mを集積側方の長辺側から見た図、図13(b)は積層した紙幣Mを積層側方の短辺側から見た図、図13(c)は積層した紙幣Mを面方向から見た図である。紙幣収納庫10に収納された各金種の紙幣Mは、いずれも、短辺MSが一方向きにずれ、短辺MSを形成する短縁が階段状にずれた状態で積層されている。計数装置40にはイメージセンサ80が含まれている。イメージセンサ80は、所定の分解能を有するラインセンサを使用することができる。あるいは、イメージセンサ80は、所定の解像度を有するCMOSセンサやCCDセンサを使用することもできる。この実施例では、前者のラインセンサが用いられている。
イメージセンサ80は、計数装置40が前述したように傾斜方向に移動されるため、積層された紙幣の端縁部分を集積側方から撮像する。集積側方とは、側方から紙幣Mの面方向に平行に、という意味である。イメージセンサ80の撮像エリアは、計数装置40が移動されるに伴いイメージセンサ80は矢印81方向にスキャンされるので、破線で表わされるスキャンエリア82内である。
この実施例では、撮像範囲82の画像のうちAで示す○印で囲った領域の画像データが分析されることにより積層紙幣Mの端縁情報が検出される。また、Bで示す○印で囲った領域の画像データが分析されることにより、積層紙幣Mの各紙幣間の隙間情報が検出される。
図14(A)〜(D)は、撮像データから端縁情報を検出する処理方法を表わす図である。
図14(A)はイメージセンサ80により撮像された端縁部分の画像の一例を示す図である。この画像を画像処理回路において処理し、図14(B)に示す水平方向のエッジ、即ち紙幣の端縁から積層される次の紙幣の端縁までの水平方向のラインのみが取り出される。この水平方向のエッジは、たとえば紙幣端縁を境に画素濃度が極端に変化するため、その画素濃度変化点を検出することにより取り出すことができる。
そして取り出された水平方向のエッジデータからノイズを除去するためにフィルタ処理を施し、さらに2値化処理を行う。この処理後のデータが図14(C)に示すものである。
さらに、このデータを微分することで図14(D)に示すように、垂直方向にヒストグラムを取り、一定閾値以上の値を紙幣の端縁(エッジ)とみなし、紙幣1枚と判断する処理を行う。図14(C)のA−Bに対応する部分が図14(D)のA−Bである。
図15(A)〜(C)は、各紙幣間の隙間情報を検出するための処理の仕方を説明するための図である。図15(A)はイメージセンサ80により得られたB領域の画像の一例である。図15(A)の画像は、図14(A)の画像とは、その向きが90°回転された向きで表わされている。図15(A)に示す画像において、白く映っているのが紙幣であり、黒く映っているのが紙幣間の隙間である。この画像をデータ分析し、垂直方向にヒストグラムを取り、表わしたものが図15(B)である。このヒストグラムにおいて、一定の閾値以上の黒画素で形成された谷の部分を紙幣間の隙間と判別する。そうすると、図15(C)に示すように隙間がほぼ一定の「1」の間隔で現れたり、広い間隔「3」で現れたり、図には示されてはいないがその中間程度の間隔「2」で現れたりする。
そこで、この間隔「1」「3」あるいは「2」を紙幣の厚み(日本の紙幣の場合、100μm)と対比し、「1」の幅を紙幣1枚と計数し、「3」の幅は紙幣3枚とみなして紙幣の枚数を計数することが可能となる。
前記図15の説明においては、集積した紙幣の隙間を連続して検出したが、それに限らず、以下の方法で検出することで、より精度の高いカウントが行える。
まず、集積した紙幣をイメージセンサによりスキャンし、所定間隔以上ある隙間ごとに集積した紙幣を複数のユニットとして区切ると共に、これらの隙間の向き(ベクトル)の和を算出し、算出した向きを設定する。
次に、取得したイメージから設定された向きと略同等の向きで、且つ所定間隔以下の隙間についてヒストグラムを作成していく。このようにして各ユニットの枚数をカウントし、それらの和を算出することで集積した紙幣全体の枚数が算出できる。
図16は、計数装置40に内蔵されている端縁情報および隙間情報の検出処理を行うための画像処理回路100の回路構成ブロック図である。画像処理回路100には、イメージセンサ80で撮像された画像データ(このデータはアナログデータである。)をデジタルデータに変換するためのA/D変換回路83が含まれている。A/D変換回路83に代えて、A/D変換と同時にゲインをコントロールするAGC回路を採用することも可能である。A/D変換回路83の出力は領域分離回路84に与えられて画像データの領域分離がされる。すなわち、図13で説明したAを示す○印で囲った領域のデータと、Bで示す○印で囲った領域のデータとに、データ分離がされる。そしてA領域のデータは、エッジ検出回路85においてエッジ検出(端縁検出)が行われ、フィルタ回路86でノイズ除去がされ、2値化処理回路87へ与えられて、2値データとされる。2値化処理回路87で2値化されたデータはヒストグラム生成回路88へ与えられ、ヒストグラムが生成されて出力される。
一方、領域分離回路84で領域分離されたB領域の画像データは、2値化処理のためにABC処理回路89へ与えられる。ABC処理回路は、Auto Back Controlを行い、画像データを2値化するための回路である。なお、ABC処理回路89に代えて、通常の2値化回路を用いてもよい。ABC処理回路89の出力はノイズ除去フィルタ回路90へ与えられてノイズが除去され、ヒストグラム生成回路91においてヒストグラムが生成されて出力される。
ヒストグラム生成回路88およびヒストグラム生成回路91から出力されるデータは、共に、計数回路92へ与えられる。計数回路92では、与えられる各データに基づいて、それぞれ、積層紙幣の枚数を計数し、その計数値(紙幣枚数)を出力する。
図17は、計数回路92において行われる計数処理の内容を表わすフローチャートである。計数回路92では、ヒストグラム出力A(ヒストグラム生成回路88からの出力)が入力されたか否かの判別をし(ステップS1)、ヒストグラムAが入力されると、その閾値を設定し(ステップS2)、枚数カウントを行う(ステップS3)。このカウント値をAとする。同様に、ヒストグラム生成回路91から出力されるヒストグラムBが入力されたか否かの判別をし(ステップS4)、ヒストグラムBが入力されるとその閾値を設定し(ステップS5)、ヒストグラムBに基づく枚数カウントを行う(ステップS6)。このカウント値をBとする。
そしてカウント値Aのみを使用するか否かの判別をする(ステップS7)。カウント値Aのみを使用するか否かは、たとえば操作者(行員)が予め新券発行機1の操作部6を操作することにより設定することができる。また、上述したステップS2における閾値設定およびステップS5における閾値設定の閾値の設定や変更も、操作者(行員)が操作部6を操作することにより設定値を入力したり、変更したりすることが可能であり、この入力された閾値に基づいて閾値設定が行われる。
カウント値Aのみを使う場合には(ステップS7でYES)、計数回路92は紙幣枚数としてAの値を出力し(ステップS8)、処理を終える。
一方、ステップS7でカウント値Aのみを使用しないと判別された場合には、カウント値Aをカウント値Bにより補完する処理が行われる(ステップS9)。この補完処理では、カウント値Aとカウント値Bとが比較される。その結果、カウント値A=カウント値Bか否かが判別され(ステップS10)、A=Bであれば、紙幣枚数としてカウント値Aを出力する(ステップS8)。
ステップS10でA=Bでなければ、エラー出力を出し、再計数処理指令を出力する(ステップS11)。
このように、カウント値Aをカウント値Bにより補完する処理を行えば、2種類の方法で枚数が計数され、両者が一致した場合にのみ紙幣枚数が出力されるので、その枚数は正確な狂いのない枚数となる。
なお、この処理には記載していないが、カウント値Bのみを使用し、それを紙幣枚数として出力することも可能である。
図17の説明においては、S11でA=Bでなければエラーを出力するようにしたが、枚数カウントAまたは枚数カウントBのデータのいずれかを優先して算出し、不明な部分を他方の枚数カウントのデータで補完して算出しても構わない。
例えば、枚数カウントBを優先して算出する場合、図15(B)に示す如く、ヒストグラムが一定閾値以下(図15(C)中の3の計数をした部分)があった場合、その部分について枚数カウントAのデータを参照し、閾値以下のデータであっても隙間であるか否か、即ち一枚に相当するかどうかを判断するようにしても構わない。また、枚数カウントAを優先し、枚数カウントBによってデータを補完するようにしても構わない。
更にその他のカウントの方法として、端縁部分を枚数カウントAとBとによってカウントし、端縁が内側に入り込んだ状態を図19に示す方法でカウントすることで、より精度の高いカウントが行える。
ところで、この実施形態に係る新券発行機1では、図18の(A)に示すように、紙幣収納庫10に傾斜した揃え平面13を設け、その揃え平面13によって収納する積層紙幣の端縁を一方向にずらし、紙幣端縁を階段状に揃える構成であった。
かかる揃え平面13を用いる構成に代え、図18(B)〜(D)に示すようにして、紙幣を一方向にずらし、紙幣端縁を階段状にする構成を採用することも可能である。
すなわち、図18(B)に示すように、紙幣収納庫10は、当初は、正面視縦長長方形状の収納庫とし、紙幣収納後にその底面13B一端が下がり、斜めの底面となるような構成としてもよい。
または、図18(C)に示すように、当初正面視が縦長長方形状の収納庫10の底面13Bが一端を中心に他端が斜め上方へ持ち上がり、それにより積層紙幣が一方向にずらされる構成とすることもできる。この構成の場合、紙幣繰り出し部と紙幣との間隔が狭まり、紙幣の投出に要する時間を短縮することが可能である。
さらに、図18(D)に示すように、図18(A)〜(C)のいずれかの構成に加えて、紙幣収納庫10と紙幣との間、および、紙幣と紙幣との間に生じる摩擦抵抗を低減するために、紙幣収納庫10に振動93を与える構成を加えてもよい。振動を与えることにより、紙幣収納庫10の底面により確実に紙幣を当接させる効果が生じる。
なお、振動93を与えるのに代えて、あるいは振動93を与えるのに加えて、紙幣収納庫10と紙幣との間、および、紙幣と紙幣との間に生じる摩擦抵抗を低減するために、集積紙幣に対して側方または上方から空気を吹き当てる構成を加えてもよい。
以上説明した実施例では、計数装置10により枚数を計数する集積した紙幣は、一方向にずらして紙幣の端部を階段状にする構成を説明した。
しかし、この発明は、紙幣の端縁を必ずしも階段状にずらす必要はなく、以下に説明する方法を用いることにより、積層された紙幣であって、その端縁が階段状にずらされていない集積紙幣であっても、その枚数を正確に計数することが可能である。
図19(A)は、積層した紙幣(端縁が階段状にずらされていない積層紙幣)の端縁部を、集積側方から見た様子を図解的に表わした図である。図19(A)に示すように、積層した紙幣の端縁部分は、各紙幣の端縁がきちんと揃っておらず、端縁が左右に細かくずれていることがある。特に、新券ではなく、使用紙幣にあっては、集積して積層し、端縁を揃えようとしても、各紙幣の傷みや歪み等により端縁がきちんと揃わないことが多い。また、図19(A)に示すように、何枚かの紙幣はその端縁が湾曲していることもある。
この実施例では、図19(A)に示すように、端縁が階段状になっておらず、しかも端縁が揃っていない紙幣の集積側方から撮像した画像データに次のようなデータ処理を施すことにより、画像データを分析し、紙幣枚数を検出する。
図19(A)の部分拡大図である図19(B)を参照して、イメージセンサ80により積層紙幣の端縁部分が集積側方から撮像される際、イメージセンサ80の撮像ピッチ(スキャン方向への撮像ラインの間隔)がたとえば30μmピッチであるとすれば、1枚の紙幣は100μmの厚みを有するから、1枚の紙幣は通常3回ライン方向に読み取られる。
イメージセンサ80の1ラインの読み取りデータには、ライン方向に画素濃度が極端に変化する端縁(エッジ)が現れるが、たとえば1枚目の紙幣の読み取り時には、第1ラインR1、第2ラインR2により、位置Cに第1枚目の紙幣の端縁が出力される。また、第3ラインR3では、第1枚目の紙幣の端縁が位置Cに検出され、第2枚目の紙幣の端縁が位置Eに検出される。さらに第4ラインR4の読み取りでは、第2枚目の紙幣の端縁が位置Eに現れ、第5ラインR5の読み取りでは位置Cに第3枚目の紙幣の端縁が現れ、位置Eに第2枚目の紙幣の端縁が現れる。第6ラインR6では、位置Cに3枚目の紙幣の端縁が現れる。
このように、各読み取りライン毎に検出される紙幣の端縁情報をマトリクス状に展開すると図20(A)に示すデータテーブルが得られる。このデータテーブルに基づいて、端縁の位置を整理すると図20(B)に示す枚数分析用のデータテーブルを得ることができる。そしてこの図20(B)に示す枚数分析用データテーブルに基づき、たとえばスキャン方向にエッジの位置が同じ位置に3つ連続して現れた場合に、それは紙幣の端縁であると判別する。この結果、積層した紙幣の端縁がずれたり、曲がったりしていても、正しく各紙幣の端縁を検出することができ、紙幣枚数を端縁情報に基づいて正確に計数することができる。
上述した説明では、説明の便宜上1枚の紙幣につき3回のライン読み取りが行われるものとしたが、実際には、イメージセンサ(ラインセンサ)80のスキャン方向へのラインピッチは3μm〜10μm程度のごく細かなピッチであるから、1枚の紙幣のスキャン回数は上記3回よりもさらに多く、連続して現れる端縁情報の数も10〜15程度を基準に端縁か否かの判別ができるので、極めて正確に紙幣枚数を計数することが可能である。
図21〜24は、計数装置40による別の計数処理の仕方を説明するための図である。
図21は、新券発行機1における収納された集積紙幣と計数装置40との配置関係を表わす図解的な部分縦断面図であり、図9における計数装置40の配置と対比して描いた図である。
図21は、新券発行機1における収納された集積紙幣と計数装置40との配置関係を表わす図解的な部分縦断面図であり、図9における計数装置40の配置と対比して描いた図である。
図21に示すように、計数装置40による集積紙幣Mの読み取り位置を、積層紙幣Mの後方下部のコーナーCを中心とする位置にすることにより、コーナーCを中心に紙幣の長辺側の端縁および短辺側の端縁の両方を一度に撮像することができる。
その結果、図22(A)に示す読み取り画像は、図22(B)に示すものとなる。
その結果、図22(A)に示す読み取り画像は、図22(B)に示すものとなる。
つまり、1つのイメージセンサ80により積層紙幣MのコーナーCを中心に一方側縁および他方側縁を同時に撮像することにより、一方側縁側の紙幣が内部にずれていたり、他方側縁側の紙幣が内部にずれている場合は、図22(C)に示すように、一方側または他方側からはずれた紙幣の端縁を撮像できない。しかし、反対側側縁の画像が正しく撮像されていれば、左右に延びる1本の直線が撮像されるものとみなして、一方側縁の画像を他方側縁の画像により補完しながら、あるいは逆に、他方側縁の画像を一方側縁の画像によって補完しながら、正しく紙幣枚数を検出することが可能である。
その際に、積層した紙幣Mは、ずらすことなく積層した状態としてもよいが、好ましくは、図23(A)(B)に示すように、紙幣Mを短辺MS方向に、または長辺ML方向に、あるいは短辺MS方向および長辺ML方向の両方の方向にずらすように積層し、そのずらされた積層画像に基づいて紙幣の一方端縁部および他方端縁部の段差を検出する構成としてもよい。
すなわち、図24(A)〜(C)に示すように、集積した紙幣Mのコーナー部を撮像するにあたり、集積した紙幣MのコーナーCの部分がずれていることにより、積層した紙幣の一部が中に入り込んで隠れている場合にも、その紙幣のコーナーCを確実に検知して、段差情報等を見逃すことなく、紙幣枚数を正確に検出することが可能である。
図25〜図28は、この発明の他の実施形態を説明するための図である。イメージセンサ80Dを用いることにより、紙幣収納庫に紙幣が確実に収納されたか否かを機械的に検出することができる。
銀行などの金融機関の営業店では、現金管理が重要な要素であるが、現金を紙幣発行機等に収納するのは、操作者(行員)が手動操作で行っている。収納された紙幣枚数、金額等のデータは、紙幣収納という動作とは別に操作者のデータ入力により行われている。このため、実際に、紙幣が収納されたか否か、追加収納されたか否かは、自動的にかつ機械的に管理がされているわけではない。
そこで、この発明の実施形態を用いることにより、操作者(行員)が紙幣収納庫に紙幣を収納したか否かを自動的に、かつ、短時間で確認することが可能となる。
図25は、たとえば先に説明した新券発行機1における紙幣収納庫10(10A、10B)を見た図解図である。図25において、4種類の紙幣を収納する収納庫を、それぞれ収納庫1、2、3、4とする。ここに、収納庫1には2千円紙幣、収納庫2には千円紙幣、収納庫3には5千円紙幣、収納庫4には1万円紙幣が収納されているとする。そしてイメージセンサ80Dによって矢印A3方向に収納された紙幣が撮像される構造とする。
図26に示すように、イメージセンサ80Dで得られる画像を分析すると、各収納庫1〜4の集積紙幣の集積方向厚みが検出され、追加収納前の状態(A)と、追加収納後の状態(B)とが比較できる。つまり、千円紙幣および5千円紙幣の補充前後の状態を比較できる。
紙幣の補充により、収納庫における補充した金種の紙幣の積層厚みが変化するから、図27に示すように、各紙幣におけるあるべき状態の積層紙幣の厚みを表わすパルス幅と、検出された実際の状態における積層紙幣の厚みを表わすパルス幅とが一致しなかった場合には、装填ミスと判別して、警報ランプを点灯したり、警報音を鳴動させたりして、操作者(行員)による紙幣の誤った収納を阻止することができる。
この検知は、操作者(行員)により紙幣収納庫に紙幣が収納された直後に行うことにより、誤収納を迅速に検知して、現金管理の厳密化を達成することができる。
また、この検知では、イメージセンサ80Dは、紙幣の厚みの変化を検知すればよく、厳密に枚数を計数する必要がないので、比較的短時間で、かつ、必要な紙幣の収納量の変化を正しく検知することができる。
図28は、カセットタイプの例である。紙幣発行機や金銭出納機に収納する紙幣を、カセットに収納してから収納する場合、カセットに紙幣の積層状態を検知する小型のイメージセンサ80Dを装着しておけばよい。
かかる構成により、従来は、間違えないように収納する、ということだけで、実際にはその事実が把握できていなかった操作者(行員)による紙幣の収納を、確実に、自動で、かつ短時間で確認することが可能となる。
また、操作者情報とを関連づけることにより、ミス率の低減や、業務の信頼性の向上に活用することが可能である。
図29および図30は、この発明のさらに他の実施形態を説明するための図解図である。金融機関の営業店等では、前述したように、現金管理が重要な要素の1つである。従来、たとえば紙幣収納庫に現金を収納する場合には、収納庫の扉を開けたか否かは、扉開閉センサ等が設けられていて、機械的に開閉が確認されていた。
一方、紙幣収納庫内の紙幣に操作者(行員)が手を触れて、収納紙幣を増減させたか否かについては、従来は管理対象外であり、機械的な検知は行われていなかった。
このため、現金管理にトラブルがあった場合には、誰が紙幣収納庫の扉を開閉したかは確認できても、その操作者(行員)が収納された紙幣に触れたか否かについては確認できなかった。
そこでこの発明に係る計数装置を用いることにより、次のようにして操作者(行員)が紙幣に触れたか否かの確認を行うことができる。
図29に示すように、たとえば収納庫1、2、3、4の4つの収納庫が設けられている場合に、イメージセンサ80Eにより、これら4つの収納庫に積層状態で収納された紙幣を積層側方から検知できる構成とする。そして検知したデータをメモリに格納し、紙幣収納庫の扉が開閉される毎に、収納された紙幣の端縁画像を撮像して記憶する。
その結果、撮影画像を対比することにより、積層された紙幣の枚数が変化したり、位置がずれたりすることに伴う微妙な変化を確認できる。たとえば、図30において、紙幣M2が抜き取られることにより、紙幣M1の端縁PSがPS′に変化した等を検出することが可能である。
従って、この実施形態に係る計数装置を設けることにより、現金管理においてトラブルがあったときに、操作者(行員)が現金に触れたか否かの確認ができ、非常に厳格な現金管理を実現することができる。
この実施形態の説明では、全て、計数対象物を紙幣として説明したが、この発明は、先に説明した通り、計数対象物はカード状体であればよく、紙幣以外のカード状体の計数にも適用することが可能である。
その他、この発明は、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
1 新券発行機
10、10A、10B 紙幣収納庫
40 計数装置
80、80D、80E イメージセンサ
82 画像処理回路
92 計数回路
10、10A、10B 紙幣収納庫
40 計数装置
80、80D、80E イメージセンサ
82 画像処理回路
92 計数回路
Claims (7)
- 積層したシート状物の端縁部分を、集積側方から撮像するための撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された端縁部分の画像データを分析し、端縁情報を検出するための画像分析手段と、
前記画像分析手段によって検出された端縁情報に基づいて、前記積層したシート状物の枚数を出力するための計数手段と、
を含むことを特徴とする、シート状物計数装置。 - 積層するシート状物を収納する収納部を有し、当該収納部は、積層したシート状物の一側縁に当接してシート状物を積層方向と交差する方向に揃えるとともに、積層方向に対して所定の傾斜角でシート状物を順次ずらすための揃え平面を備えることを特徴とする、請求項1記載のシート状物計数装置。
- 前記画像分析手段は、端縁部分の画像データを分析し、端縁近傍における各シート状物間の隙間情報を検出することができ、
前記計数手段は、前記画像分析手段によって検出された端縁情報および隙間情報に基づいて、前記積層したシート状物の枚数を出力することを特徴とする、請求項1または2記載のシート状物計数装置。 - 前記計数手段は、前記端縁情報に基づいてシート状物の枚数を検出し、その検出枚数を前記隙間情報に基づいて補完することを特徴とする、請求項3記載のシート状物計数装置。
- 前記画像分析手段は、端縁部分の画像データを分析し、所定の撮像ピッチ毎に現れる端縁の位置および数を集計し、前記端縁情報を検出することを特徴とする、請求項1記載のシート状物計数装置。
- 積層したシート状物のコーナーを中心にして一方側縁および他方側縁を含むコーナー部分を、シート状物の集積側方から撮像するための撮像手段と、
前記撮像手段により撮像されたコーナー部分の画像データを分析し、コーナーを中心とする一方側縁および他方側縁の隙間情報を検出するための画像分析手段と、
前記画像分析手段によって検出された2つの隙間情報に基づいて、前記積層したシート状物の枚数を出力するための計数手段と、
を含むことを特徴とする、シート状物計数装置。 - 前記積層するシート状物の一方側縁および他方側縁の少なくとも一方を所定の傾斜角に沿ってずらすためのずらし手段をさらに有することを特徴とする、請求項6記載のシート状物計数装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009082478A JP2010237783A (ja) | 2009-03-30 | 2009-03-30 | シート状物計数装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009082478A JP2010237783A (ja) | 2009-03-30 | 2009-03-30 | シート状物計数装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2010237783A true JP2010237783A (ja) | 2010-10-21 |
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ID=43092067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009082478A Pending JP2010237783A (ja) | 2009-03-30 | 2009-03-30 | シート状物計数装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010237783A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017212010A (ja) * | 2017-08-23 | 2017-11-30 | ローレルバンクマシン株式会社 | 装置状態記憶システム |
CN116993701A (zh) * | 2023-08-08 | 2023-11-03 | 无锡秉杰机械有限公司 | 电池片的图像处理与计数方法、系统和数片机 |
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2009
- 2009-03-30 JP JP2009082478A patent/JP2010237783A/ja active Pending
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