以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の冷凍装置(10)は、例えばコンビニエンスストア等に設置されて店内の空気調和とショーケース等の冷却とを行うためのものである。
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置(10)は、室外ユニット(11)と、空調ユニット(12)と、冷蔵ユニット(13)と、冷凍ユニット(14)と、ブースタユニット(15)とを一台ずつ備えている。なお、これら各ユニットの台数は、何れも単なる一例である。室外ユニット(11)は、屋外に設置されている。空調ユニット(12)は、売り場等の店内に設置されている。冷蔵ユニット(13)は、冷蔵ショーケースに設置され、その庫内を冷却する。冷凍ユニット(14)は、冷凍ショーケースに設置され、その庫内を冷却する。ブースタユニット(15)は、冷凍ショーケースの近傍に設置されている。
室外ユニット(11)には室外回路(30)が、空調ユニット(12)には空調用回路(80)が、冷蔵ユニット(13)には冷蔵用回路(90)が、冷凍ユニット(14)には冷凍用回路(100)が、ブースタユニット(15)にはブースタ回路(110)が、それぞれ収容されている。冷凍装置(10)では、空調用回路(80)と、冷蔵用回路(90)と、冷凍用回路(100)と、ブースタ回路(110)とを配管で接続することによって、冷媒回路(20)が構成されている。
〈室外ユニット、室外回路〉
室外回路(30)には、三つの圧縮機(40a,40b,40c)と、三つの四方切換弁(41,42,43)とが設けられている。また、室外回路(30)には、熱源側熱交換器である室外熱交換器(44)と、室外膨張弁(45)と、レシーバ(46)と、過冷却用熱交換器(65)とが一つずつ設けられ、液側閉鎖弁(55,57)と、ガス側閉鎖弁(56,58)とが二つずつ設けられている。
各圧縮機(40a,40b,40c)は、全密閉型のスクロール圧縮機である。各四方切換弁(41,42,43)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。室外熱交換器(44)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を室外空気と熱交換させる。室外膨張弁(45)は、開度可変の電子膨張弁である。過冷却用熱交換器(65)は、第1流路(66)と第2流路(67)とを複数ずつ備えるプレート式熱交換器であって、第1流路(66)を流れる冷媒と第2流路(67)を流れる冷媒とを熱交換させる。
各圧縮機(40a,40b,40c)の吐出側には、吐出配管(50)が接続されている。具体的に、吐出配管(50)は、その入口端側が三つに分岐しており、第1の分岐管が第1圧縮機(40a)の吐出側に、第2の分岐管が第2圧縮機(40b)と吐出側に、第3の分岐管が第3圧縮機(40c)の吐出側にそれぞれ接続されている。吐出側の出口端は、第1四方切換弁(41)の第1のポートに接続されている。吐出配管(50)の各分岐管には、油分離器(47a,47b,47c)と逆止弁(CV1,CV2,CV3)とが一つずつ設けられている。吐出配管(50)の各分岐管では、油分離器(47a,47b,47c)の下流側に逆止弁(CV1,CV2,CV3)が配置されている。これらの逆止弁(CV1,CV2,CV3)は、圧縮機(40a,40b,40c)から第1四方切換弁(41)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
第1圧縮機(40a)の吸入側には、第1吸入配管(51)が接続されている。具体的に、第1吸入配管(51)は、その出口端側が二つに分岐しており、第1の分岐管が第1圧縮機(40a)の吸入側に接続し、第2の分岐管が第3四方切換弁(43)の第4のポートに接続されている。第1吸入配管(51)の第2の分岐管には、逆止弁(CV4)が設けられている。この逆止弁(CV4)は、第3四方切換弁(43)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。第1吸入配管(51)の入口端は、第2ガス側閉鎖弁(58)に接続されている。
第2圧縮機(40b)の吸入側には、第2吸入配管(52)の出口端が接続されている。第2吸入配管(52)の入口端は、第3四方切換弁(43)の第3のポートに接続されている。
第3圧縮機(40c)の吸入側には、第3吸入配管(53)が接続されている。具体的に、第3吸入配管(53)は、その出口端側が二つに分岐しており、第1の分岐管が第3圧縮機(40c)の吸入側に接続し、第2の分岐管が第3四方切換弁(43)の第3のポートに接続されている。第3吸入配管(53)の第2の分岐管には、逆止弁(CV5)が設けられている。この逆止弁(CV5)は、第3四方切換弁(43)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。第3吸入配管(53)の入口端は、第2四方切換弁(42)の第2のポートに接続されている。
第1四方切換弁(41)は、その第2のポートが第2四方切換弁(42)の第4のポートに、その第3のポートが室外熱交換器(44)のガス側端に、第4のポートが第1ガス側閉鎖弁(56)に、それぞれ接続されている。第2四方切換弁(42)は、その第1のポートが吐出配管(50)における各逆止弁(CV1,CV2,CV3)の下流側に接続され、その第3のポートが封止されている。第3四方切換弁(43)の第1のポートは、高圧導入配管(38)を介して、吐出配管(50)における各逆止弁(CV1,CV2,CV3)の下流側に接続されている。
室外熱交換器(44)の液側端には、第1接続配管(31)の一端が接続されている。第1接続配管(31)の他端は、レシーバ(46)の頂部に接続されている。第1接続配管(31)には、その一端から他端へ向かって順に、電磁弁(SV1)と逆止弁(CV6)とが設けられている。この逆止弁(CV6)は、室外熱交換器(44)からレシーバ(46)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
レシーバ(46)の底部には、第2接続配管(32)の一端が接続されている。第2接続配管(32)の他端は、第2液側閉鎖弁(57)に接続されている。また、第2接続配管(32)の途中には、過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)が配置されている。
第1液側閉鎖弁(55)には、第3接続配管(33)の一端が接続されている。第3接続配管(33)の他端は、第1接続配管(31)における逆止弁(CV6)とレシーバ(46)の間に接続されている。第3接続配管(33)には、逆止弁(CV7)が設けられている。この逆止弁(CV7)は、第1液側閉鎖弁(55)からレシーバ(46)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
第2接続配管(32)におけるレシーバ(46)と過冷却用熱交換器(65)の間には、第4接続配管(34)の一端が接続されている。第4接続配管(34)の他端は、第3接続配管(33)における第1液側閉鎖弁(55)と逆止弁(CV7)の間に接続されている。第4接続配管(34)には、逆止弁(CV8)が設けられている。この逆止弁(CV8)は、第4接続配管(34)の一端から他端へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
第2接続配管(32)における過冷却用熱交換器(65)と第2液側閉鎖弁(57)の間には、第5接続配管(35)の一端が接続されている。第5接続配管(35)の他端は、第1接続配管(31)における室外熱交換器(44)と電磁弁(SV1)の間に接続されている。第5接続配管(35)には、その一端から他端へ向かって順に、逆止弁(CV9)と室外膨張弁(45)とが設けられている。この逆止弁(CV9)は、第5接続配管(35)の一端から他端へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
第5接続配管(35)における逆止弁(CV9)と室外膨張弁(45)の間には、第6接続配管(36)の一端が接続されている。第6接続配管(36)の他端は、第1接続配管(31)における逆止弁(CV6)とレシーバ(46)の間に接続されている。第6接続配管(36)には、逆止弁(CV10)が設けられている。この逆止弁(CV10)は、第6接続配管(36)の一端から他端へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向への冷媒の流通を阻止する。
レシーバ(46)の上部には、第7接続配管(37)の一端が接続されている。第7接続配管(37)の他端は、後述するインジェクション配管(60)の幹管(61)における過冷却用熱交換器(65)の下流側に接続されている。また、第7接続配管(37)には、電磁弁(SV2)が設けられている。
室外回路(30)には、インジェクション配管(60)が設けられている。インジェクション配管(60)は、一本の幹管(61)と三本の枝管(62a,62b,62c)とを備え、インジェクション通路を構成している。
幹管(61)の一端は、第2接続配管(32)における過冷却用熱交換器(65)と第2液側閉鎖弁(57)の間に接続されている。幹管(61)の他端には、各枝管(62a,62b,62c)の一端が接続されている。幹管(61)には、その一端から他端へ向かって順に、過冷却用熱交換器(65)の第2流路(67)と、過冷却用膨張弁(63)とが設けられている。過冷却用熱交換器(65)は、開度可変の電子膨張弁である。
第1枝管(62a)の他端は第1圧縮機(40a)に、第2枝管(62b)の他端は第2圧縮機(40b)に、第3枝管(62c)の他端は第3圧縮機(40c)に、それぞれ接続されている。第1圧縮機(40a)では、第1枝管(62a)が圧縮途中の圧縮室に連通可能となっている。第2圧縮機(40b)では、第2枝管(62b)が圧縮途中の圧縮室に連通可能となっている。第3圧縮機(40c)では、第3枝管(62c)が圧縮途中の圧縮室に連通可能となっている。
また、第1枝管(62a)には第1インジェクション用電動弁(64a)が、第2枝管(62b)には第2インジェクション用電動弁(64b)が、第3枝管(62c)には第3インジェクション用電動弁(64c)が、それぞれ設けられている。各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)は、その開度が可変となっており、インジェクション配管(60)から各圧縮機(40a,40b,40c)へ供給される冷媒の流量を調節する流量調節弁を構成している。
インジェクション配管(60)には、油戻し配管(54)が接続されている。この油戻し配管(54)は、その出口端がインジェクション配管(60)の幹管(61)における過冷却用熱交換器(65)の下流側に接続されている。また、油戻し配管(54)は、その入口端側が三つの分岐管に分岐しており、第1の分岐管が第1油分離器(47a)に、第2の分岐管が第2油分離器(47b)に、第3の分岐管が第3油分離器(47c)に、それぞれ接続されている。各分岐管には、逆止弁(CV11,CV12,CV13)と、キャピラリチューブ(48a,48b,48c)とが設けられている。各分岐管において、キャピラリチューブ(48a,48b,48c)は、逆止弁(CV11,CV12,CV13)の下流側に配置されている。各逆止弁(CV11,CV12,CV13)は、油分離器(47a,47b,47c)から流出する向きの冷凍機油の流通を許容し、逆向きの冷凍機油の流通を阻止する。
室外回路(30)には、温度センサと圧力センサが複数ずつ設けられている。
吐出配管(50)の各分岐管では、圧縮機(40a,40b,40c)と油分離器(47a,47b,47c)の間に、吐出管温度センサ(74a,74b,74c)が一つずつ取り付けられている。第1吐出管温度センサ(74a)は、第1圧縮機(40a)から吐出された冷媒の温度を示す物理量として、第1圧縮機(40a)に接続する分岐管の温度を計測する。第2吐出管温度センサ(74b)は、第2圧縮機(40b)から吐出された冷媒の温度を示す物理量として、第2圧縮機(40b)に接続する分岐管の温度を計測する。第3吐出管温度センサ(74c)は、第3圧縮機(40c)から吐出された冷媒の温度を示す物理量として、第3圧縮機(40c)に接続する分岐管の温度を計測する。また、吐出配管(50)には、高圧センサ(70)が接続されている。高圧センサ(70)は、各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出されて吐出配管(50)を流れる冷媒の圧力を計測する。
第1吸入配管(51)の集合部分には、第1吸入配管(51)温度センサ(75)が取り付けられている。第1吸入配管(51)温度センサ(75)は、第1吸入配管(51)内を第1圧縮機(40a)へ向かって流れる冷媒の温度を示す物理量として、第1吸入配管(51)の温度を計測する。また、第1吸入配管(51)の集合部分には、第1低圧センサ(71)が接続されている。第1低圧センサ(71)は、第1吸入配管(51)内を第1圧縮機(40a)へ向かって流れる冷媒の圧力を計測する。
第3吸入配管(53)の集合部分には、第2吸入管温度センサ(76)が取り付けられている。第2吸入管温度センサ(76)は、第3吸入配管(53)内を第3圧縮機(40c)へ向かって流れる冷媒の温度を示す物理量として、第3吸入配管(53)の温度を計測する。また、第3吸入配管(53)の集合部分には、第2低圧センサ(72)が接続されている。第2低圧センサ(72)は、第3吸入配管(53)内を第3圧縮機(40c)へ向かって流れる冷媒の圧力を計測する。
インジェクション配管(60)の幹管(61)における過冷却用熱交換器(65)の下流側には、インジェクション管温度センサ(77)が取り付けられている。インジェクション管温度センサ(77)は、インジェクション配管(60)内を各圧縮機(40a,40b,40c)へ向かって流れる冷媒の温度を示す物理量として、インジェクション配管(60)の温度を計測する。また、インジェクション配管(60)の幹管(61)における過冷却用熱交換器(65)の下流側には、中間圧センサ(73)が接続されている。中間圧センサ(73)は、インジェクション配管(60)の幹管(61)内を各圧縮機(40a,40b,40c)へ向かって流れる冷媒の圧力を計測する。
室外ユニット(11)には、熱源側ファンである室外ファン(79)と、室外温度センサ(78)とが設けられている。室外ファン(79)は、室外空気を室外熱交換器(44)へ供給する。室外温度センサ(78)は、室外ファン(79)によって室外熱交換器(44)へ送られる室外空気の温度を計測する。
〈空調ユニット、空調用回路〉
空調用回路(80)は、その液側端が第1液側連絡配管(21)を介して室外回路(30)の第1液側閉鎖弁(55)に、そのガス側端が第1ガス側連絡配管(22)を介して室外回路(30)の第1ガス側閉鎖弁(56)に、それぞれ接続されている。空調用回路(80)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、空調用膨張弁(82)と、利用側熱交換器である空調用熱交換器(81)とが設けられている。空調用膨張弁(82)は、開度可変の電子膨張弁である。空調用熱交換器(81)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を室内空気と熱交換させる。
空調用回路(80)には、二つの温度センサが取り付けられている。空調用回路(80)における空調用熱交換器(81)とガス側端の間には、ガス冷媒温度センサ(84)が取り付けられている。ガス冷媒温度センサ(84)は、空調用回路(80)における空調用熱交換器(81)とガス側端の間を流れる冷媒の温度を示す物理量として、空調用回路(80)を構成する配管の温度を計測する。空調用熱交換器(81)を構成する伝熱管には、熱交換器温度センサ(85)が取り付けられている。熱交換器温度センサ(85)は、空調用熱交換器(81)の伝熱管内で相変化しつつある冷媒の温度(即ち、蒸発温度や凝縮温度)を示す物理量として、伝熱管の温度を計測する。
空調ユニット(12)には、空調用ファン(83)と室内温度センサ(86)とが設けられている。空調用ファン(83)は、売り場等の室内空気を空調用熱交換器(81)へ供給する。室内温度センサ(86)は、空調用ファン(83)によって空調用熱交換器(81)へ送られる室内空気の温度を計測する。
〈冷蔵ユニット、冷蔵用回路〉
冷蔵用回路(90)は、その液側端が第2液側連絡配管(23)を介して室外回路(30)の第2液側閉鎖弁(57)に、そのガス側端が第2ガス側連絡配管(24)を介して室外回路(30)の第2ガス側閉鎖弁(58)に、それぞれ接続されている。冷蔵用回路(90)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、冷蔵用電磁弁(93)と、冷蔵用膨張弁(92)と、冷蔵用熱交換器(91)とが設けられている。冷蔵用膨張弁(92)は、感温筒を備えた温度自動膨張弁である。冷蔵用熱交換器(91)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を冷蔵ショーケースの庫内空気と熱交換させる。
冷蔵ユニット(13)には、冷蔵用ファン(94)と冷蔵用庫内温度センサ(95)とが設けられている。冷蔵用ファン(94)は、冷蔵ショーケースの庫内空気を冷蔵用熱交換器(91)へ供給する。冷蔵用庫内温度センサ(95)は、冷蔵用ファン(94)によって冷蔵用熱交換器(91)へ送られる庫内空気の温度を計測する。
〈冷凍ユニット、冷凍用回路〉
冷凍用回路(100)は、その液側端が第2液側連絡配管(23)を介して室外回路(30)の第2液側閉鎖弁(57)に、そのガス側端が配管を介してブースタ回路(110)に、それぞれ接続されている。冷凍用回路(100)では、その液側端からガス側端へ向かって順に、冷凍用電磁弁(103)と、冷凍用膨張弁(102)と、冷凍用熱交換器(101)とが設けられている。冷凍用膨張弁(102)は、感温筒を備えた温度自動膨張弁である。冷凍用熱交換器(101)は、フィン・アンド・チューブ型の熱交換器であって、冷媒を冷凍ショーケースの庫内空気と熱交換させる。
冷凍ユニット(14)には、冷凍用ファン(104)と冷凍用庫内温度センサ(105)とが設けられている。冷凍用ファン(104)は、冷凍ショーケースの庫内空気を冷凍用熱交換器(101)へ供給する。冷凍用庫内温度センサ(105)は、冷凍用ファン(104)によって冷凍用熱交換器(101)へ送られる庫内空気の温度を計測する。
〈ブースタユニット、ブースタ回路〉
ブースタ回路(110)は、その一端が配管を介して冷凍用回路(100)のガス側端に、その他端が第2ガス側連絡配管(24)を介して室外回路(30)の第2ガス側閉鎖弁(58)に、それぞれ接続されている。ブースタ回路(110)には、その一端から他端へ向かって順に、ブースタ圧縮機(111)と、油分離器(112)と、逆止弁(CV14)とが設けられている。ブースタ圧縮機(111)は、全密閉型のスクロール圧縮機である。逆止弁(CV14)は、ブースタ圧縮機(111)から第2ガス側連絡配管(24)へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向の冷媒の流通を阻止する。
ブースタ回路(110)には、油戻し配管(113)と、バイパス配管(114)とが設けられている。油戻し配管(113)は、その一端が油分離器(112)に接続され、その他端がブースタ回路(110)におけるブースタ圧縮機(111)の上流側に接続されている。この油戻し管2には、キャピラリチューブ(115)が設けられている。バイパス配管(114)は、その一端がブースタ回路(110)におけるブースタ圧縮機(111)の上流側に、その他端がブースタ回路(110)における油分離器(112)と逆止弁(CV14)の間に接続されている。バイパス配管(114)には、逆止弁(CV15)が設けられている。この逆止弁(CV15)は、バイパス配管(114)の一端から他端へ向かう冷媒の流通を許容し、逆方向の冷媒の流通を阻止する。
〈圧縮機の構成〉
上述したように、第1圧縮機(40a)、第2圧縮機(40b)、第3圧縮機(40c)、及びブースタ圧縮機(111)は、何れも全密閉型のスクロール圧縮機である。図2に示すよう、これら圧縮機(40a,40b,40c,111)のそれぞれは、ケーシング(150)と、圧縮機構(151)と、電動機(152)とを備えている。ケーシング(150)は、縦長の円筒形に形成されており、その内部に圧縮機構(151)と電動機(152)とが収容されている。圧縮機構(151)は、スクロール型流体機械であって、駆動軸(153)を介して電動機(152)と連結されている。
第1圧縮機(40a)及びブースタ圧縮機(111)の電動機(152)へは、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータの出力周波数を変更すると、電動機(152)の回転速度が変化し、それに伴って圧縮機構(151)の回転速度が変化する。圧縮機構(151)の回転速度が変化すると、単位時間当たりに圧縮機構(151)が吸い込んで圧縮する冷媒の質量が変化する。つまり、第1圧縮機(40a)及びブースタ圧縮機(111)は、何れも運転容量が変更可能な容量可変圧縮機となっている。
一方、第2圧縮機(40b)及び第3圧縮機(40c)の電動機(152)へは、商用電源からの電力がそのまま供給される。第2圧縮機(40b)及び第3圧縮機(40c)の電動機(152)は、通電されている状態では一定の回転速度で回転する。従って、第2圧縮機(40b)及び第3圧縮機(40c)では、電動機(152)によって駆動される圧縮機構(151)の回転速度も一定となる。従って、第2圧縮機(40b)及び第3圧縮機(40c)は、何れも運転容量が固定の固定容量圧縮機となっている。
〈コントローラの構成〉
本実施形態の冷凍装置(10)には、コントローラ(200)が設けられている。このコントローラ(200)は、各センサにおいて得られた計測値を受信し、それに基づいて冷凍装置(10)の運転を制御する。
図3に示すように、制御手段であるコントローラ(200)には、膨張弁制御部(201)と、高圧制御部(202)と、吐出温度制御部(203)と、過冷却制御部(204)とが設けられている。膨張弁制御部(201)は、空調用熱交換器(81)が蒸発器として動作する運転中には空調用膨張弁(82)の開度を調節し、室外熱交換器(44)が蒸発器として動作する運転中には室外膨張弁(45)の開度を調節する。高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値を圧力基準値以下に抑えるための動作を行う。吐出温度制御部(203)は、各インジェクション用電動弁の開度を調節する。過冷却制御部(204)は、過冷却用膨張弁(63)の開度を調節する。膨張弁制御部(201)、高圧制御部(202)、吐出温度制御部(203)、及び過冷却制御部(204)の詳細な動作については、後述する。
−運転動作−
冷凍装置(10)の運転動作について説明する。本実施形態の冷凍装置(10)は、様々な運転を行う。ここでは、冷凍装置(10)において行われる運転のうち、冷房運転、通常暖房運転、及び熱回収暖房運転について説明する。なお、後述するように、冷房運転、通常暖房運転、及び熱回収暖房運転の何れにおいても、冷蔵ユニット(13)及び冷凍ユニット(14)では庫内空気の冷却が行われる。
〈冷房運転〉
冷凍装置(10)の冷房運転について、図4を参照しながら説明する。
冷房運転中の冷媒回路(20)では、冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(20)では。室外熱交換器(44)が凝縮器(即ち、放熱器)として動作し、空調用熱交換器(81)、冷蔵用熱交換器(91)、及び冷凍用熱交換器(101)が蒸発器として動作する。また、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度は例えば5℃に、冷蔵用熱交換器(91)における冷媒の蒸発温度は例えば−5℃に、冷凍用熱交換器(101)における冷媒の蒸発温度は例えば−20℃に、それぞれ設定される。
具体的に、冷房運転では、第1四方切換弁(41)及び第2四方切換弁(42)が第1状態に設定される。第3四方切換弁(43)は、第2ガス側連絡配管(24)から室外回路(30)へ流入した冷媒を第2圧縮機(40b)に吸入させる場合は第1状態に設定され、第1ガス側連絡配管(22)から室外回路(30)へ流入した冷媒を第2圧縮機(40b)に吸入させる場合は第2状態に設定される。ここでは、第3四方切換弁(43)が第1状態に設定されている場合を例に説明する。
また、冷房運転では、室外膨張弁(45)が全閉状態に設定され、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、第1インジェクション用電動弁(64a)、第2インジェクション用電動弁(64b)、及び第3インジェクション用電動弁(64c)の開度が適宜調節される。コントローラ(200)では、膨張弁制御部(201)が空調用膨張弁(82)の開度調節を行い、吐出温度制御部(203)が各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度調節を行い、過冷却制御部(204)が過冷却用膨張弁(63)の開度調節を行う。更に、冷房運転では、電磁弁(SV1)が開放され、電磁弁(SV2)が閉鎖される。
第1圧縮機(40a)、第2圧縮機(40b)、及び第3圧縮機(40c)から吐出配管(50)へ吐出された高圧冷媒は、第1四方切換弁(41)を通って室外熱交換器(44)へ流入し、室外ファン(79)によって供給された室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)から流出した高圧冷媒は、レシーバ(46)を通過して第2接続配管(32)へ流入する。その後、第2接続配管(32)を流れる冷媒は、その一部が第4接続配管(34)を通って第1液側連絡配管(21)へ流入し、残りが過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)へ流入する。過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)へ流入した冷媒は、その第2流路(67)を流れる中間圧冷媒によって冷却されてその過冷却度が大きくなる。過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)から流出して第2接続配管(32)を流れる冷媒は、その一部がインジェクション配管(60)へ流入し、残りが第2液側連絡配管(23)へ流入する。
第1液側連絡配管(21)へ流入した高圧冷媒は、空調用膨張弁(82)を通過する際に減圧されてから空調用熱交換器(81)へ流入し、空調用ファン(83)によって供給された室内空気から吸熱して蒸発する。空調ユニット(12)は、空調用熱交換器(81)において冷却された空気を室内へ供給する。空調用熱交換器(81)から流出した冷媒は、第1ガス側連絡配管(22)を通って室外回路(30)へ流入し、その後に第1四方切換弁(41)と第2四方切換弁(42)を順に通過してから第3吸入配管(53)へ流入する。第3吸入配管(53)へ流入した冷媒は、第3圧縮機(40c)へ吸入される。第3圧縮機(40c)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出配管(50)へ吐出する。
第2液側連絡配管(23)へ流入した高圧冷媒は、その一部が冷蔵用回路(90)へ流入し、残りが冷凍用回路(100)へ流入する。
冷蔵用回路(90)へ流入した冷媒は、冷蔵用膨張弁(92)を通過する際に減圧されてから冷蔵用熱交換器(91)へ流入し、冷蔵用ファン(94)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発する。冷蔵ユニット(13)は、冷蔵用熱交換器(91)において冷却された空気を冷蔵ショーケースの庫内へ供給する。冷蔵用熱交換器(91)から流出した冷媒は、第2ガス側連絡配管(24)へ流入する。
冷凍用回路(100)へ流入した冷媒は、冷凍用膨張弁(102)を通過する際に減圧されてから冷凍用熱交換器(101)へ流入し、冷凍用ファン(104)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発する。冷凍ユニット(14)は、冷凍用熱交換器(101)において冷却された空気を冷凍ショーケースの庫内へ供給する。冷凍用熱交換器(101)から流出した冷媒は、ブースタ回路(110)へ流入してブースタ圧縮機(111)に吸入される。ブースタ圧縮機(111)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。ブースタ圧縮機(111)から吐出された冷媒は、第2ガス側連絡配管(24)へ流入し、冷蔵用回路(90)から流出した冷媒と合流する。
第2ガス側連絡配管(24)を流れる冷媒は、室外回路(30)の第1吸入配管(51)へ流入する。第1吸入配管(51)を流れる冷媒は、その一部が第1圧縮機(40a)へ吸入され、残りが第3四方切換弁(43)と第2吸入配管(52)を順に通過して第2圧縮機(40b)へ吸入される。第1圧縮機(40a)と第2圧縮機(40b)は、何れも吸入した冷媒を圧縮してから吐出配管(50)へ吐出する。
インジェクション配管(60)へ流入した冷媒は、過冷却用膨張弁(63)を通過する際に減圧されてから過冷却用熱交換器(65)の第2流路(67)へ流入し、その第1流路(66)を流れる冷媒から吸熱して蒸発する。過冷却用熱交換器(65)から流出した中間圧冷媒は、各油分離器(47a,47b,47c)から油戻し配管(54)を通じて供給された冷凍機油と混合され、その後に各圧縮機(40a,40b,40c)における圧縮途中の圧縮室へ流入する。
〈通常暖房運転〉
冷凍装置(10)の通常暖房運転について、図5を参照しながら説明する。
通常暖房運転中の冷媒回路(20)では、冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、通常暖房回路では。空調用熱交換器(81)が凝縮器(即ち、放熱器)として動作し、室外熱交換器(44)、冷蔵用熱交換器(91)、及び冷凍用熱交換器(101)が蒸発器として動作する。また、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度は例えば0℃に、冷蔵用熱交換器(91)における冷媒の蒸発温度は例えば−5℃に、冷凍用熱交換器(101)における冷媒の蒸発温度は例えば−20℃に、それぞれ設定される。
具体的に、通常暖房運転では、第1四方切換弁(41)が第2状態に設定され、第2四方切換弁(42)が第1状態に設定される。第3四方切換弁(43)は、冷房運転時と同様に、第1状態に設定される場合と第2状態に設定される場合がある。ここでは、第3四方切換弁(43)が第1状態に設定されている場合を例に説明する。
また、通常暖房運転では、室外膨張弁(45)、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、第1インジェクション用電動弁(64a)、第2インジェクション用電動弁(64b)、及び第3インジェクション用電動弁(64c)の開度が適宜調節される。コントローラ(200)では、膨張弁制御部(201)が室外膨張弁(45)の開度調節を行い、吐出温度制御部(203)が各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度調節を行い、過冷却制御部(204)が過冷却用膨張弁(63)の開度調節を行う。更に、通常暖房運転では、両方の電磁弁(SV1)2が閉鎖される。
第1圧縮機(40a)、第2圧縮機(40b)、及び第3圧縮機(40c)から吐出配管(50)へ吐出された高圧冷媒は、第1四方切換弁(41)を通過後に第1ガス側閉鎖弁(56)を通って空調用熱交換器(81)へ流入し、空調用ファン(83)によって供給された室内空気へ放熱して凝縮する。空調ユニット(12)は、空調用熱交換器(81)において加熱された空気を室内へ供給する。空調用熱交換器(81)から流出した冷媒は、空調用膨張弁(82)を通過後に第1液側連絡配管(21)を通って室外回路(30)へ流入し、その後に第3接続配管(33)を通ってレシーバ(46)へ流入する。レシーバ(46)から第2接続配管(32)へ流出した冷媒は、過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)へ流入し、その第2流路(67)を流れる中間圧冷媒によって冷却されてその過冷却度が大きくなる。過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)から流出した冷媒は、その一部が第5接続配管(35)へ流入し、残りが第2接続配管(32)を流れ続ける。また、第2接続配管(32)を第2液側閉鎖弁(57)へ向かって流れる冷媒は、その一部がインジェクション配管(60)へ流入し、残りが第2液側連絡配管(23)へ流入する。
第5接続配管(35)へ流入した冷媒は、室外膨張弁(45)を通過する際に減圧された後に室外熱交換器(44)へ流入し、室外ファン(79)によって供給された室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、第1四方切換弁(41)と第2四方切換弁(42)を順に通過してから第3吸入配管(53)へ流入し、第3圧縮機(40c)へ吸入される。第3圧縮機(40c)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出配管(50)へ吐出する。
第2液側連絡配管(23)へ流入した高圧冷媒は、その一部が冷蔵用回路(90)へ流入し、残りが冷凍用回路(100)へ流入する。冷蔵用回路(90)へ流入した冷媒は、冷房運転中と同様に、冷蔵用膨張弁(92)を通過する際に減圧されてから冷蔵用熱交換器(91)へ流入し、冷蔵用ファン(94)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発し、その後に第2ガス側連絡配管(24)へ流入する。一方、冷凍用回路(100)へ流入した冷媒は、冷房運転中と同様に、冷凍用膨張弁(102)を通過する際に減圧されてから冷凍用熱交換器(101)へ流入し、冷凍用ファン(104)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発し、その後にブースタ圧縮機(111)によって圧縮されてから第2ガス側連絡配管(24)へ流入する。そして、第2ガス側連絡配管(24)を流れる冷媒は、冷房運転中と同様に、その一部が第1圧縮機(40a)へ吸入され、残りが第2圧縮機(40b)へ吸入される。第1圧縮機(40a)と第2圧縮機(40b)は、何れも吸入した冷媒を圧縮してから吐出配管(50)へ吐出する。
インジェクション配管(60)へ流入した冷媒は、過冷却用膨張弁(63)を通過する際に減圧されてから過冷却用熱交換器(65)の第2流路(67)へ流入し、その第1流路(66)を流れる冷媒から吸熱して蒸発する。過冷却用熱交換器(65)から流出した中間圧冷媒は、各油分離器(47a,47b,47c)から油戻し配管(54)を通じて供給された冷凍機油と混合され、その後に各圧縮機(40a,40b,40c)における圧縮途中の圧縮室へ流入する。
〈熱回収暖房運転〉
冷凍装置(10)の熱回収暖房運転について、図6を参照しながら説明する。
熱回収暖房運転中の冷媒回路(20)では、冷媒が循環することによって冷凍サイクルが行われる。その際、熱回収暖房運転では、空調用熱交換器(81)が凝縮器(即ち、放熱器)として動作し、冷蔵用熱交換器(91)、及び冷凍用熱交換器(101)が蒸発器として動作し、室外熱交換器(44)が休止する。熱回収運転では、室外熱交換器(44)が休止するため、室外ファン(79)が停止する。また、熱回収暖房運転中には、第3圧縮機(40c)が停止する。
具体的に、熱回収暖房運転では、第1四方切換弁(41)が第2状態に設定され、第2四方切換弁(42)が第1状態に設定され、第3四方切換弁(43)が第1状態に設定される。
また、通常暖房運転では、室外膨張弁(45)が全閉状態に設定され、空調用膨張弁(82)、過冷却用膨張弁(63)、第1インジェクション用電動弁(64a)、第2インジェクション用電動弁(64b)、及び第3インジェクション用電動弁(64c)の開度が適宜調節される。更に、熱回収暖房運転では、両方の電磁弁(SV1,SV2)が閉鎖される。
第1圧縮機(40a)及び第2圧縮機(40b)から吐出配管(50)へ吐出された高圧冷媒は、第1四方切換弁(41)を通過後に第1ガス側閉鎖弁(56)を通って空調用熱交換器(81)へ流入し、空調用ファン(83)によって供給された室内空気へ放熱して凝縮する。空調ユニット(12)は、空調用熱交換器(81)において加熱された空気を室内へ供給する。空調用熱交換器(81)から流出した冷媒は、空調用膨張弁(82)を通過後に第1液側連絡配管(21)を通って室外回路(30)へ流入し、その後に第3接続配管(33)を通ってレシーバ(46)へ流入する。
レシーバ(46)から第2接続配管(32)へ流出した冷媒は、過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)へ流入し、その第2流路(67)を流れる中間圧冷媒によって冷却されてその過冷却度が大きくなる。過冷却用熱交換器(65)の第1流路(66)から流出した冷媒は、その一部がインジェクション配管(60)へ流入し、残りが第2液側連絡配管(23)へ流入する。
第2液側連絡配管(23)へ流入した高圧冷媒は、その一部が冷蔵用回路(90)へ流入し、残りが冷凍用回路(100)へ流入する。冷蔵用回路(90)へ流入した冷媒は、冷房運転中と同様に、冷蔵用膨張弁(92)を通過する際に減圧されてから冷蔵用熱交換器(91)へ流入し、冷蔵用ファン(94)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発し、その後に第2ガス側連絡配管(24)へ流入する。一方、冷凍用回路(100)へ流入した冷媒は、冷房運転中と同様に、冷凍用膨張弁(102)を通過する際に減圧されてから冷凍用熱交換器(101)へ流入し、冷凍用ファン(104)によって供給された庫内空気から吸熱して蒸発し、その後にブースタ圧縮機(111)によって圧縮されてから第2ガス側連絡配管(24)へ流入する。そして、第2ガス側連絡配管(24)を流れる冷媒は、冷房運転中と同様に、その一部が第1圧縮機(40a)へ吸入され、残りが第2圧縮機(40b)へ吸入される。第1圧縮機(40a)と第2圧縮機(40b)は、何れも吸入した冷媒を圧縮してから吐出配管(50)へ吐出する。
インジェクション配管(60)へ流入した冷媒は、過冷却用膨張弁(63)を通過する際に減圧されてから過冷却用熱交換器(65)の第2流路(67)へ流入し、その第1流路(66)を流れる冷媒から吸熱して蒸発する。過冷却用熱交換器(65)から流出した中間圧冷媒は、第1及び第2油分離器(47a,47b)から油戻し配管(54)を通じて供給された冷凍機油と混合され、その後に第1及び第2圧縮機(40a,40b)における圧縮途中の圧縮室へ流入する。
−コントローラの制御動作−
上述したように、コントローラ(200)は、冷凍装置(10)の運転を制御する。ここでは、コントローラ(200)の膨張弁制御部(201)、高圧制御部(202)、吐出温度制御部(203)、及び過冷却制御部(204)が行う動作について説明する。
〈膨張弁制御部の動作〉
膨張弁制御部(201)が行う制御動作について説明する。膨張弁制御部(201)は、冷房運転中と通常暖房運転中に所定の制御動作を行う。また、膨張弁制御部(201)は、冷房運転中と通常暖房運転中とで異なる制御動作を行う。
先ず、冷凍装置(10)の冷房運転中に膨張弁制御部(201)が行う制御動作について説明する。冷凍装置(10)の冷房運転中において、膨張弁制御部(201)は、空調用熱交換器(81)から流出する冷媒の過熱度が目標過熱度となるように空調用膨張弁(82)の開度を調節する動作を、開度調節動作として実行する。
具体的に、膨張弁制御部(201)は、熱交換器温度センサ(85)の計測値を空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度と見なし、ガス冷媒温度センサ(84)の計測値から熱交換器温度センサ(85)の計測値を差し引いた値を過熱度の実測値とする。そして、膨張弁制御部(201)は、過熱度の実測値が目標過熱度よりも高ければ空調用膨張弁(82)の開度を増やし、過熱度の実測値が目標過熱度よりも低ければ空調用膨張弁(82)の開度を減らし、過熱度の実測値が目標過熱度と等しければ空調用膨張弁(82)の開度を保持する。なお、膨張弁制御部(201)は、第2低圧センサ(72)の計測値(即ち、第3圧縮機(40c)へ吸入される冷媒の圧力の実測値)に対応する冷媒の飽和温度を、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度と見なすように構成されていてもよい。
次に冷凍装置(10)の通常暖房運転中に膨張弁制御部(201)が行う制御動作について説明する。冷凍装置(10)の通常暖房運転中において、膨張弁制御部(201)は、室外熱交換器(44)から流出する冷媒の過熱度が目標過熱度となるように室外膨張弁(45)の開度を調節する動作を、開度調節動作として実行する。
具体的に、膨張弁制御部(201)は、第2低圧センサ(72)の計測値(即ち、第3圧縮機(40c)へ吸入される冷媒の圧力の実測値)に対応する冷媒の飽和温度を室外熱交換器(44)における冷媒の蒸発温度と見なし、ガス冷媒温度センサ(84)の計測値から第2低圧センサ(72)の計測値に対応する冷媒の飽和温度を差し引いた値を過熱度の実測値とする。そして、膨張弁制御部(201)は、過熱度の実測値が目標過熱度よりも高ければ室外膨張弁(45)の開度を増やし、過熱度の実測値が目標過熱度よりも低ければ室外膨張弁(45)の開度を減らし、過熱度の実測値が目標過熱度と等しければ室外膨張弁(45)の開度を保持する。
〈高圧制御部の動作〉
高圧制御部(202)が行う制御動作について説明する。高圧制御部(202)は、冷房運転中と通常暖房運転中に所定の制御動作を行う。また、高圧制御部(202)は、冷房運転中と通常暖房運転中とで異なる制御動作を行う。
=== 冷房運転中の制御動作 ===
先ず、冷凍装置(10)の冷房運転中に高圧制御部(202)が行う制御動作について、図7を参照しながら説明する。冷凍装置(10)の冷房運転中において、高圧制御部(202)は、以下で説明する制御動作を、所定の時間毎(例えば、1分毎)に繰り返し実行する。
冷凍装置(10)の冷房運転中において、高圧制御部(202)では、第1の圧力基準値が「3MPa」に、第2の圧力基準値が「2.5MPa」に、第1の電流基準値が「100A」に、第2の電流基準値が「80A」に、下限過熱度が「5℃」に、低圧基準値が「0.6MPa」に、それぞれ設定されている。つまり、高圧制御部(202)では、第2の圧力基準値が第1の圧力基準値よりも低い値に設定され、第2の電流基準値が第1の電流基準値よりも低い値に設定される。なお、本実施形態の冷媒回路(20)に順点されている冷媒では、0.6MPaにおける飽和温度が「0℃」となっている。
図6のステップST11において、高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値と第1の圧力基準値を比較する。また、高圧制御部(202)は、第1圧縮機(40a)、第2圧縮機(40b)、及び第3圧縮機(40c)のそれぞれの電動機(152)に供給される電流の合計値を図外の電流センサ等から取得し、取得した電流の合計値を第1の電流基準値と比較する。そして、高圧制御部(202)は、“高圧センサ(70)の計測値が第1の圧力基準値を上回っている”という条件と、“各圧縮機(40a,40b,40c)へ供給される電流の合計値が第1の電流基準値を上回っている”という条件の成否を判断し、これら二つの条件の少なくとも一方が成立していればステップST12へ移行し、どちらの条件も成立していなければステップST15へ移行する。
ステップST12において、高圧制御部(202)は、第2低圧センサ(72)の計測値と低圧基準値を対比する。そして、高圧制御部(202)は、第2低圧センサ(72)の計測値が低圧基準値を上回っている場合はステップST13へ移行し、第2低圧センサ(72)の計測値が低圧基準値以下の場合はステップST14へ移行する。つまり、高圧制御部(202)は、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度が0℃を上回っている場合はステップST13へ移行し、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度が0℃以下の場合はステップST14へ移行する。
ステップST13において、高圧制御部(202)は、空調用膨張弁(82)の開度を強制的に縮小させる開度削減動作として、目標過熱度を所定の値(例えば、1℃)だけ大きくする動作を行う。上述したように、冷房運転中には、膨張弁制御部(201)が空調用膨張弁(82)の開度調節を行う。このため、膨張弁制御部(201)の動作において用いられる目標過熱度が高圧制御部(202)によって引き上げられると、空調用熱交換器(81)から流出する冷媒の過熱度を引き上げるために空調用膨張弁(82)の開度が膨張弁制御部(201)によって絞られる。
ステップST14では、高圧制御部(202)が第3圧縮機(40c)を停止させる。その理由を説明する。空調用膨張弁(82)の開度を絞ると、空調用膨張弁(82)から空調用熱交換器(81)へ送られる冷媒の圧力が低下し、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度が低下する。このため、第2低圧センサ(72)の計測値が低圧基準値以下の場合に空調用膨張弁(82)の開度を絞ると、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度が0℃を下回り、空調用熱交換器(81)の表面において室内空気中の水分が凍結するおそれがある。そこで、高圧制御部(202)は、第2低圧センサ(72)の計測値が低圧基準値以下である場合は、空調用膨張弁(82)の開度を更に絞ることはできないと判断し、高圧センサ(70)の計測値が高くなり過ぎるのを防ぐために第3圧縮機(40c)を停止させる。
ステップST15において、高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値と第2の圧力基準値を比較する。また、高圧制御部(202)は、第1圧縮機(40a)、第2圧縮機(40b)、及び第3圧縮機(40c)のそれぞれに供給される電流の合計値を図外の電流センサ等から取得し、取得した電流の合計値を第2の電流基準値と比較する。そして、高圧制御部(202)は、“高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値を下回っている”という条件と、“各圧縮機(40a,40b,40c)へ供給される電流の合計値が第2の電流基準値を下回っている”という条件の成否を判断し、これら二つの条件の両方が成立していればステップST16へ移行し、これら二つの条件の一方または両方が成立していなければ制御動作を一旦終了する。
ステップST16において、高圧制御部(202)は、その時点における目標過熱度と下限過熱度を比較する。そして、高圧制御部(202)は、目標過熱度が下限過熱度を上回っている場合はステップST17へ移行し、目標過熱度が下限過熱度以下になっている場合は制御動作を一旦終了する。
ステップST17において、高圧制御部(202)は、目標過熱度を所定の値(例えば、1℃)だけ小さくする動作を行う。上述したように、冷房運転中には、膨張弁制御部(201)が空調用膨張弁(82)の開度調節を行う。このため、膨張弁制御部(201)の動作において用いられる目標過熱度が高圧制御部(202)によって引き下げられると、空調用熱交換器(81)から流出する冷媒の過熱度を引き下げるために空調用膨張弁(82)の開度が膨張弁制御部(201)によって拡大される。ステップST17が終了すると、高圧制御部(202)は、その制御動作を一旦終了する。
高圧制御部(202)の開度削減動作によって目標過熱度が引き上げられた後において、“高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値を下回っている”という条件と、“各圧縮機(40a,40b,40c)へ供給される電流の合計値が第2の電流基準値を下回っている”という条件の両方が成立している場合は、空調用膨張弁(82)の開度を拡大しても、高圧センサ(70)の計測値や各圧縮機(40a,40b,40c)へ供給される電流の合計値が上昇し過ぎる可能性は低いと判断できる。そこで、このような場合、高圧制御部(202)は、一旦引き上げられた目標過熱度を元に戻すための動作を行う。ただし、その場合において、高圧制御部(202)は、目標過熱度を下限過熱度以上の値に保つ。つまり、目標過熱度が下限過熱度を下回ることはない。
=== 通常暖房運転中の制御動作 ===
次に、冷凍装置(10)の通常暖房運転中に高圧制御部(202)が行う制御動作について、図8を参照しながら説明する。冷凍装置(10)の通常暖房運転中において、高圧制御部(202)は、以下で説明する制御動作を、所定の時間毎(例えば、1分毎)に繰り返し実行する。
冷凍装置(10)の通常暖房運転中において、高圧制御部(202)では、第1の圧力基準値が「2.8MPa」に、第2の圧力基準値が「2.6MPa」に、下限過熱度が「5℃」に、それぞれ設定されている。つまり、高圧制御部(202)では、第2の圧力基準値が第1の圧力基準値よりも低い値に設定される。
図7のステップST21において、高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値と第1の圧力基準値を比較する。そして、高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値が第1の圧力基準値を上回っている場合はステップST22へ移行し、高圧センサ(70)の計測値が第1の圧力基準値以下の場合はステップST25へ移行する。
ステップST22において、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の風量が最小であるか否かを判断する。具体的に、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の回転速度が制御範囲の下限値になっているか否かを判断する。そして、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の回転速度が制御範囲の下限値になっている場合(即ち、室外ファン(79)の風量が最小になっている場合)はステップST23へ移行し、室外ファン(79)の回転速度が制御範囲の下限値を上回っている場合はステップST24へ移行する。
ステップST23において、高圧制御部(202)は、室外膨張弁(45)の開度を強制的に縮小させる開度削減動作として、目標過熱度を所定の値(例えば、1℃)だけ大きくする動作を行う。上述したように、通常暖房運転中には、膨張弁制御部(201)が室外膨張弁(45)の開度調節を行う。このため、膨張弁制御部(201)の動作において用いられる目標過熱度が高圧制御部(202)によって引き上げられると、室外熱交換器(44)から流出する冷媒の過熱度を引き上げるために室外膨張弁(45)の開度が膨張弁制御部(201)によって絞られる。
ステップST24において、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の回転速度を低下させ、そうすることによって室外ファン(79)の風量を削減する。その理由を説明する。室外ファン(79)の風量が減少すると、室外熱交換器(44)において冷媒が室外空気から吸収する熱量が減少する。室外熱交換器(44)において冷媒が室外空気から吸収する熱量が減少すると、空調用熱交換器(81)において冷媒が室内空気へ放出する熱量が減少し、空調用熱交換器(81)における冷媒圧力の上昇が抑えられる。そこで、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の風量を削減する余地が残っている場合は、目標過熱度は変更せずに室外ファン(79)の風量を削減し、そうすることによって高圧センサ(70)の計測値を引き下げる。
ステップST25において、高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値と第2の圧力基準値を比較する。そして、高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値を下回っている場合はステップST26へ移行し、高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値以下の場合は制御動作を一旦終了する。
ステップST26において、高圧制御部(202)は、その時点における目標過熱度と下限過熱度を比較する。そして、高圧制御部(202)は、目標過熱度が下限過熱度を上回っている場合はステップST27へ移行し、目標過熱度が下限過熱度以下になっている場合はステップST28へ移行する。
ステップST27において、高圧制御部(202)は、目標過熱度を所定の値(例えば、1℃)だけ小さくする動作を行う。上述したように、通常暖房運転中には、膨張弁制御部(201)が室外膨張弁(45)の開度調節を行う。このため、膨張弁制御部(201)の動作において用いられる目標過熱度が高圧制御部(202)によって引き下げられると、室外熱交換器(44)から流出する冷媒の過熱度を引き下げるために室外膨張弁(45)の開度が膨張弁制御部(201)によって拡大される。ステップST27が終了すると、高圧制御部(202)は、その制御動作を一旦終了する。
高圧制御部(202)の開度削減動作によって目標過熱度が引き上げられた後において、“高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値を下回っている”という条件が成立している場合は、室外膨張弁(45)の開度を拡大しても、高圧センサ(70)の計測値が上昇し過ぎる可能性は低いと判断できる。そこで、このような場合、高圧制御部(202)は、一旦引き上げられた目標過熱度を元に戻すための動作を行う。ただし、その場合において、高圧制御部(202)は、目標過熱度を下限過熱度以上の値に保つ。つまり、目標過熱度が下限過熱度を下回ることはない。
一方、ステップST28において、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の風量を増大させる。つまり、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の回転速度を上昇させることによって、室外ファン(79)の風量を増大させる。上述したように、ステップST26において目標過熱度が下限過熱度に達している場合、高圧制御部(202)は、目標過熱度をそれ以上は引き下げずに下限過熱度に保持する。一方、目標過熱度が下限過熱度に達しているにも拘わらず高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値を下回っている場合は、空調用熱交換器(81)において冷媒が室内空気へ放出する熱量が不足していると判断できる。そこで、この場合、高圧制御部(202)は、室外ファン(79)の風量を増大させ、室外熱交換器(44)において冷媒が室外空気から吸収する熱量を増大させ、そうすることによって空調用熱交換器(81)における冷媒の放熱量を増大させる。
〈吐出温度制御部の動作〉
吐出温度制御部(203)が行う制御動作について説明する。吐出温度制御部(203)は、冷房運転中と通常暖房運転中と熱回収暖房運転中の何れにおいても同じ動作を行う。
吐出温度制御部(203)は、各インジェクション用電動弁(64a,64b,64c)の開度を、それぞれに対応する吐出管温度センサ(74a,74b,74c)の計測値が所定の目標値となるように調節する。つまり、吐出温度制御部(203)は、第1吐出管温度センサ(74a)の計測値が目標値となるように第1インジェクション用電動弁(64a)の開度を調節し、そうすることによって第1圧縮機(40a)から吐出された冷媒の温度を制御する。また、吐出温度制御部(203)は、第2吐出管温度センサ(74b)の計測値が目標値となるように第2インジェクション用電動弁(64b)の開度を調節し、そうすることによって第2圧縮機(40b)から吐出された冷媒の温度を制御する。また、吐出温度制御部(203)は、第3吐出管温度センサ(74c)の計測値が目標値となるように第3インジェクション用電動弁(64c)の開度を調節し、そうすることによって第3圧縮機(40c)から吐出された冷媒の温度を制御する。
〈過冷却制御部の動作〉
過冷却制御部(204)が行う制御動作について説明する。過冷却制御部(204)は、冷房運転中と通常暖房運転中と熱回収暖房運転中の何れにおいても同じ動作を行う。
過冷却制御部(204)は、過冷却用熱交換器(65)の第2流路(67)から流出する冷媒の過熱度が所定の目標値(例えば、5℃)となるように、過冷却用膨張弁(63)の開度を調節する。具体的に、過冷却制御部(204)は、中間圧センサ(73)の計測値に対応する冷媒の飽和温度を過冷却用熱交換器(65)における冷媒の蒸発温度と見なし、インジェクション管温度センサ(77)の計測値から中間圧センサ(73)の計測値に対応する冷媒の飽和温度を差し引いた値を過熱度の実測値とする。そして、過冷却制御部(204)は、過熱度の実測値が目標値よりも高ければ過冷却用膨張弁(63)の開度を増やし、過熱度の実測値が目標値よりも低ければ過冷却用膨張弁(63)の開度を減らし、過熱度の実測値が目標値と等しければ過冷却用膨張弁(63)の開度を保持する。
−実施形態の効果−
本実施形態では、冷凍装置(10)にコントローラ(200)が設けられる。そして、第3圧縮機(40c)から吐出された冷媒の圧力(即ち、吐出圧力)が第1の圧力基準値を上回っている場合には、コントローラ(200)の高圧制御部(202)が開度削減動作を行うことによって空調用膨張弁(82)又は室外膨張弁(45)の開度が縮小する。冷房運転中に空調用膨張弁(82)の開度が縮小し、あるいは通常暖房運転中に室外膨張弁(45)の開度が縮小すると、第3圧縮機(40c)の運転容量が一定のままでも空調用熱交換器(81)あるいは室外熱交換器(44)における冷媒の流量が減少し、冷凍サイクルの高圧を低下させることができる。つまり、本実施形態によれば、固定容量の第3圧縮機(40c)を運転させたままで、冷凍サイクルの高圧を低下させることができる。従って、本実施形態によれば、第3圧縮機(40c)の停止に伴う冷媒回路(20)での冷媒循環量の急激な変化を回避しながら冷凍サイクルの高圧を引き下げることができ、冷凍装置(10)の運転を安定化させることができる。
ところで、冷房運転中に空調用膨張弁(82)の開度が絞られると、空調用膨張弁(82)から空調用熱交換器(81)へ送られる冷媒の流量が減少し、空調用熱交換器(81)から流出する冷媒の過熱度が高くなる。また、通常暖房運転中に室外膨張弁(45)の開度が絞られると、室外膨張弁(45)から室外熱交換器(44)へ送られる冷媒の流量が減少し、室外熱交換器(44)から流出する冷媒の過熱度が高くなる。このため、蒸発器として動作する空調用熱交換器(81)や室外熱交換器(44)から第3圧縮機(40c)へ吸入される冷媒の過熱度も高くなり、第3圧縮機(40c)から吐出される冷媒の温度が高くなり過ぎるおそれがある。
それに対し、本実施形態では、インジェクション配管(60)を通じて第3圧縮機(40c)へ冷媒を供給することによって、第3圧縮機(40c)から吐出される冷媒の温度(即ち、吐出温度)を引き下げることができる。従って、本実施形態によれば、コントローラ(200)の高圧制御部(202)が開度削減動作を行うことによって、固定容量の第3圧縮機(40c)を運転させたままで冷凍サイクルの高圧を低下させることができ、更には、インジェクション配管(60)を通じて第3圧縮機(40c)へ冷媒を供給することによって、開度削減動作に起因する吐出温度の上昇を抑えることができる。
また、本実施形態のコントローラ(200)の高圧制御部(202)は、冷凍装置(10)の冷房運転中において、第3圧縮機(40c)の吐出圧力が第1の圧力基準値を上回っている場合だけでなく、各圧縮機(40a,40b,40c)の電動機(152)へ供給される電流の合計値が第1の電流基準値を上回っている場合にも、開度削減動作を行う。圧縮機(40a,40b,40c)の電動機(152)を流れる電流が大きくなり過ぎると、電動機(152)の焼損等のトラブルを招くおそれがある。それに対し、本実施形態の高圧制御部(202)は、各圧縮機(40a,40b,40c)の電動機(152)へ供給される電流が第1電流基準値を上回っている場合に開度削減動作を行い、空調用膨張弁(82)又は室外膨張弁(45)の開度を絞ることによって冷媒回路(20)での冷媒の循環量を削減する。従って、本実施形態によれば、固定容量の第3圧縮機(40c)を運転させ続けながら、各圧縮機(40a,40b,40c)の電動機(152)へ供給される電流を抑えることによって圧縮機(40a,40b,40c)の損傷を回避することができる。
また、本実施形態のコントローラ(200)の高圧制御部(202)は、冷凍装置(10)の冷却運転中に高圧センサ(70)の計測値が第1の圧力基準値を上回っていても、空調用熱交換器(81)における冷媒の蒸発温度が0℃以下になっている場合には、開度削減動作を行わずに第3圧縮機(40c)を停止させる。従って、本実施形態によれば、空調用熱交換器(81)における水分の凍結を未然に防ぐことができる。
また、冷凍装置(10)の通常暖房運転中において、本実施形態のコントローラ(200)の高圧制御部(202)は、冷凍サイクルの高圧の上昇を抑えるための動作として、室外膨張弁(45)の開度を絞る開度削減動作と、室外ファン(79)の送風量を削減する動作とを行う。従って、本実施形態によれば、固定容量の第3圧縮機(40c)の運転を継続させつつ、冷凍サイクルの高圧の上昇を一層確実に抑えることができる。
また、本実施形態のコントローラ(200)の高圧制御部(202)は、開度削減動作によって高圧センサ(70)の計測値が低下して第2の圧力基準値を下回った場合に、目標過熱度を引き下げる。このため、冷凍サイクルの高圧の上昇を抑えるために空調用膨張弁(82)や室外膨張弁(45)の開度を強制的に絞る必要が無くなった場合には、確実に空調用膨張弁(82)や室外膨張弁(45)の開度を通常の値に復帰させることができる。
また、冷凍装置(10)の通常暖房運転中において、本実施形態のコントローラ(200)の高圧制御部(202)は、高圧センサ(70)の計測値が第2の圧力基準値を下回っていて、更には目標過熱度をそれ以上引き下げられない場合に、室外ファン(79)の送風量を増大させる。このため、室外熱交換器(44)において冷媒が吸収する熱量を充分に確保することができ、空調用熱交換器(81)において得られる加熱量を確保することができる。
−実施形態の変形例−
上記実施形態の冷凍装置(10)では、インジェクション配管(60)を通じて圧縮機(40a,40b,40c)の圧縮途中の圧縮室へ冷媒を供給し、そうすることによって圧縮機(40a,40b,40c)から吐出される冷媒の温度を抑制しているが、インジェクション配管(60)からの冷媒の供給先は、圧縮機(40a,40b,40c)の圧縮途中の圧縮室に限られない。例えば、圧縮機(40a,40b,40c)の吸入側(具体的には、各圧縮機(40a,40b,40c)に接続する吸入配管(51,52,53))に対してインジェクション配管(60)から液冷媒を供給し、各圧縮機(40a,40b,40c)から吐出される冷媒の温度が目標値となるように、インジェクション配管(60)から各圧縮機(40a,40b,40c)へ供給される冷媒の流量を調節するようにしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。