JP2010236274A - 鋼矢板壁及びその構築方法、並びに鋼矢板壁を用いた合成床板構造及びその構築方法 - Google Patents

鋼矢板壁及びその構築方法、並びに鋼矢板壁を用いた合成床板構造及びその構築方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構築コストの上昇及び鋼矢板の打設抵抗の増大をそれぞれ効果的に抑制しつつ、厚さ方向に沿った負荷荷重により鋼矢板に生じる撓み変形を効果的に抑制する。
【解決手段】鋼矢板壁34では、テンションロッド36が鋼矢板10におけるポケット溝32内を通って継手部22を貫通すると共に、ポケット溝32内で張力Tsが生じた状態とされ、かつアンカナット40がテンションロッド36に生じた張力Tsを鋼矢板10の継手部22に伝達する。これにより、テンションロッド36から伝達される張力Tsにより鋼矢板10には、その長手方向に沿って内部応力が生じ、この内部応力は鋼矢板10を一方向へ撓ませる曲げモーメントとして作用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数枚の鋼矢板を用いて構築された鋼矢板壁及び、その構築方法に関する。
また、本発明は、鋼矢板壁が複数の支持桁体の間に掛け渡される鋼製梁部材として用いられた鋼及びコンクリートの合成床板構造及び、その構築方法に関する。
複数枚の鋼矢板を用いて構築される鋼矢板壁としては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。この特許文献1記載の鋼矢板壁は、複数枚の鋼矢板が並列されると共に、互いに隣接する一対の鋼矢板が継手部を介して連結されて構成されている。この鋼矢板にはウェブの外側に複数個のアンカー金具が溶接等により固定されており、これらのアンカー金具を介してタイワイヤーが緊張材として取り付けられている。
ここで、鋼矢板のウェブは、一方向に沿って細長いプレート状に形成されると共に、その長手直角方向に沿った断面形状が略コ字状に形成されている。また複数個のアンカー金具は、ウェブの長手方向に沿って配列されており、タイワイヤーは、複数個のアンカー金具を介してウェブに連結されている。タイワイヤーは、その下端部が最下端に配置されたアンカー金具に固定されると共に、上端部に形成されたねじ部にナット状の端末金具が捩じ込まれており、この端末金具の締込み量(締結トルク)を変化させることにより、タイワイヤーの緊張度(張力)が調整可能になっている。
特許文献1記載の鋼矢板壁では、鋼矢板頭部において増締めしてタイワイヤーに緊張力(張力)を発生させることにより、外部荷重を受けた鋼矢板の撓み変形を抑制できる。
また特許文献2には、間隔をおいた支持桁に渡って複数のハット形の鋼製梁が並列して配置されると共に、各鋼製梁におけるアーム部が載置され、かつ並列して配置されたハット形鋼製梁が支持桁の長手方向に連続するように配置され、隣り合う鋼製梁のウェブ間の凹部内にコンクリートを打設して固化して、並列して配置された鋼製梁が連続して一体化された鋼・コンクリート合成床版(合成床板構造)が記載されている。この合成床板構造では、鋼製梁として一方の継手部の爪先端部が部分的に切除されたハット型の鋼矢板が用いられており、互いに隣接する鋼矢板が継手部を介して連結されている。
特開平11−50446号公報 特開2007−231704号公報
しかしながら、特許文献1記載の鋼矢板壁では、鋼矢板の外側に複数個のアンカー金具を溶接等により固定すると共に、これらアンカー金具を介してタイワイヤーを連結する必要があることから、アンカー金具及びタイワイヤーを鋼矢板に取り付ける作業が煩瑣になると共に、アンカー金具及びタイワイヤーの追加に伴って鋼矢板壁の構築コストも上昇する。
また、鋼矢板をアンカー金具及びタイワイヤーと共に地盤中に打設する場合には、鋼矢板に取り付けられたアンカー金具の影響により打設抵抗が大幅に増大するため、例えば、打設可能な地盤が限定されたり、バイブロハンマ等の打設装置として高出力(高衝撃力)のものを用いる必要が生じる。
また、鋼矢板に取り付けられたアンカー金具及びタイワイヤーが地盤中に埋設され、又は海等に水没する場合には、アンカー金具及びタイワイヤーに腐蝕対策を施す必要性が発生するが、このような腐蝕対策は、鋼矢板壁の構築コストを上昇させる要因になる。
一方、特許文献2記載の合成床板構造では、コンクリート層及び鋼製梁の重量(自重)の影響により鋼製梁(ハット形鋼矢板)に発生する撓み変形を抑制する手段が設けられていない。このため、自重の影響によるハット形鋼矢板の撓み変形を十分に小さくするには、鋼矢板の長手方向に沿った支持桁のピッチを短くし、又は鋼矢板として曲げ剛性が十分に高い肉厚のものを用いる必要があるが、このような対応のみにより鋼矢板の撓み変形を低減する場合には、合成床板構造が恒久的に用いられるものでない場合であっても、合成床板構造の構築コストが大幅に上昇してしまう。
本発明の目的は、上記事実を考慮して、構築コストの上昇及び鋼矢板の打設抵抗の増大をそれぞれ効果的に抑制しつつ、厚さ方向に沿った負荷荷重により鋼矢板に生じる撓み変形を効果的に抑制できる鋼矢板壁及び、その構築方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、上記事実を考慮して、構築コストの上昇を効果的に抑制しつつ、自重により鋼矢板壁に生じる撓み変形を効果的に抑制できる合成床板構造及び、その構築方法を提供することにある。
本発明の請求項1に係る鋼矢板壁は、一方向に沿って細長いプレート状のウェブ、該ウェブの両端部に設けられた一対のフランジ部、該一対のフランジ部の端部からそれぞれ外側へ延出する一対のアーム部、該一対のアーム部の先端部にそれぞれ形成された一対の継手部及び、該継手部の内側に、前記ウェブの長手方向に沿って延在するように形成されたポケット溝を具備する鋼矢板を、前記ウェブの長手直角方向に沿って複数枚配列すると共に、互いに隣接する一対の鋼矢板における継手部同士を嵌合することにより構築された鋼矢板壁であって、前記鋼矢板における少なくとも一方の前記ポケット溝に配置され、該ポケット溝内を通って前記継手部を前記長手方向に沿って貫通すると共に、前記ポケット溝内で前記長手方向に沿った張力が生じた状態とされる棒状のテンション部材と、前記テンション部材の両端部に装填されると共に、前記テンション部材の両端部を、該テンション部材の張力が伝達されるように前記継手部の長手方向の両端部にそれぞれ連結するアンカ部材と、を備えたことを特徴とする鋼矢板壁。
上記請求項1に係る鋼矢板壁では、テンション部材がポケット溝内を通って継手部を貫通すると共に、ポケット溝内で張力が生じた状態とされ、かつアンカ部材が、テンション部材の両端部を継手部の長手方向の両端部にそれぞれ連結し、テンション部材に生じた張力を鋼矢板の継手部に伝達することにより、テンション部材から伝達される張力により鋼矢板には、その長手方向に沿って内部応力が生じ、この内部応力は鋼矢板を一方向へ撓ませる曲げモーメントとして作用する。
従って、鋼矢板が厚さ方向に沿って片面側から負荷荷重を受ける場合には、この負荷荷重により鋼矢板に生じる撓み変形とは反対方向の撓み変形を生じさせるように、テンション部材が配置されるポケット溝の位置を適宜設定すれば、テンション部材から伝達される張力が、負荷加重により鋼矢板に生じる曲げモーメントを打ち消すように作用し、負荷加重により生じる鋼矢板の撓み変形を低減できる。
このとき、テンション部材の張力を負荷加重の大きさに応じて適宜調整すれば、負荷加重により生じる内部応力と張力により生じる内部応力を略均衡させることが可能になるので、負荷加重により生じる鋼矢板の撓み変形を十分に小さいものにできる。
また請求項1に係る鋼矢板壁では、テンション部材が継手部の内側に形成されたポケット溝内に配置されることから、テンション部材を増設したことにより鋼矢板の地盤等に対する打設抵抗が増加することもなく、またテンション部材を鋼矢板に装填するためにはアンカ部材を追加するだけでよいので、鋼矢板壁の構築コストの増大を効果的に抑制できる。
さらに請求項2に係る鋼矢板壁は、請求項1記載の鋼矢板壁において、前記鋼矢板が負荷荷重を受ける場合に、前記テンション部材は、前記長手方向に沿った張力により、前記負荷荷重を受けた前記鋼矢板に生じる内部応力とは反対方向の内部応力を前記鋼矢板に発生させることを特徴とする。
また本発明の請求項3に係る鋼矢板壁の構築方法は、請求項1又は請求項2記載の鋼矢板壁を構築する際に用いられる鋼矢板壁の構築方法であって、前記テンション部材を、連結前の一方の鋼矢板におけるポケット溝内に通して継手部を貫通させると共に、一方の鋼矢板が連結される他方の鋼矢板における継手部を貫通させる貫通工程と、前記アンカ部材を前記テンション部材の基端部に装填すると共に、該テンション部材の基端部を、一方の継手部における基端部に連結固定する連結工程と、他方の継手部の基端部を一方の継手部の先端部に部分的に嵌合させた後、前記テンション部材の先端部に前記長手方向に沿った引張力を加え、該引張力により他方の鋼矢板を、その継手部が一方の鋼矢板の継手部と所定長に亘って嵌合する位置まで移動させる嵌合工程と、を有することを特徴とする。
上記請求項3に係る鋼矢板壁の構築方法では、請求項1又は請求項2記載の鋼矢板壁を構築する際に、他方の継手部の基端部を一方の継手部の先端部に部分的に嵌合させた後、テンション部材の先端部に長手方向に沿った引張力を加え、この引張力により他方の鋼矢板を、その継手部が一方の鋼矢板の継手部と所定長に亘って嵌合する位置まで移動させることにより、他方の鋼矢板(後続鋼矢板)の継手部を一方の鋼矢板(先行鋼矢板)の継手部に嵌合させつつ、後続鋼矢板をその長手方向に沿って移動させることができるので、後続鋼矢板を鋼矢板壁の一部を構成した先行鋼矢板に連結し、後続鋼矢板を鋼矢板壁の一部とすることができる。
このとき、鋼矢板壁が略鉛直方向以外の方向に設置されており、バイブロハンマ等の重量物の垂直落下により衝撃力を発生させる装置を用いて後続鋼矢板を先行鋼矢板に嵌合できない場合でも、テンション部材を牽引可能な装置を用いれば、後続鋼矢板の継手部を一方の先行鋼矢板の継手部に嵌合させつつ、後続鋼矢板をその長手方向に沿って容易に移動させることができる。
また、本発明の請求項4に係る合成床板構造は、請求項1又は請求項2記載の鋼矢板壁により構成され、複数の支持桁体の間に掛け渡される鋼製梁部材と、前記鋼製梁部材上に打設されたコンクリート材料からなるコンクリート層と、前記コンクリート層の内部に埋設される補強鉄筋体と、前記鋼製梁部材の上面側に所定の間隔を空けてそれぞれ固着されると共に、前記補強鉄筋体に連結される複数の連結部材と、を有することを特徴とする。
上記請求項4に係る合成床板構造では、複数の支持桁体の間に掛け渡される鋼製梁部材が、請求項1又は請求項2記載の鋼矢板壁により構成されることにより、鋼製梁部材上へのコンクリートの打設前あるいは打設完了後に、テンション部材に長手方向に沿った張力を生じさせれば、このテンション部材により鋼製梁部材を構成した各鋼矢板に対し、鋼製梁部材、コンクリート層及び補強鉄筋体の重量(自重)に対抗するポストテンションを作用させることができるので、自重により鋼矢板壁(合成床板構造)に生じる撓み変形を効果的に抑制できる。
また請求項4に係る合成床板構造では、ポストテンションを鋼製梁部材に作用させないものと比較し、鋼矢板の長手方向に沿った支持桁のピッチを相対的に長くし、又は鋼矢板として相対的に肉厚の薄いものを用いても、自重の影響による鋼製梁部材(合成床板構造)の撓み変形を十分に小さくできるので、合成床板構造の構築コストの上昇を効果的に抑制できる。
また、本発明の請求項5に係る合成床板構造の構築方法は、請求項4記載の合成床板構造の構築方法であって、前記鋼製梁部材上へのコンクリートの打設前あるいは打設完了後に、前記テンション部材に前記長手方向に沿った張力を生じさせ、該テンション部材により前記鋼製梁部材に対してポストテンションを作用させることを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係る鋼矢板壁及び、その構築方法によれば、構築コストの上昇及び鋼矢板の打設抵抗の増大をそれぞれ効果的に抑制しつつ、厚さ方向に沿った負荷荷重により鋼矢板に生じる撓み変形を効果的に抑制できる。
また、本発明に係る合成床板構造及び、その構築方法によれば、構築コストの上昇を効果的に抑制しつつ、自重により鋼矢板壁に生じる撓み変形を効果的に抑制できる。
本発明の実施形態に係る鋼矢板壁の構成を示す斜視図である。 図1に示される鋼矢板壁の平面図である。 図1に示される鋼矢板壁における互い嵌合した継手部の構成を示す斜視図及び平面図である。 図1に示される鋼矢板壁を構成する鋼矢板の平面図である。 本発明の実施形態に係る鋼矢板壁及び、その構築に用いられるクレーン及びバイブロハンマの模式図である。 本発明の実施形態に係る合成床板構造の構成を示す斜視図である。 図6に示される合成床板構造における鋼製梁の構成を示す斜視図である。 図6に示される合成床板構造における鋼製梁及び鉄筋構造体の構成を示す斜視図である。 図6に示される合成床板構造における鋼製梁及びコンクリート層の構成を示す斜視図である。 図7に示される鋼製梁を構成した複数枚の鋼矢板の継手部付近の構成を示し斜視図である。 本実施形態に係る一対の鋼矢板を連結する途中の状態を示す斜視図である。 (A)は鋼矢板により構成される単純梁を想定した解析モデルを示す側面図、(B)は解析モデルにおける鋼矢板の変移量の分布を示すグラフ、(C)は解析モデルにおける鋼矢板の曲げモーメントの分布を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る鋼矢板壁及び、この鋼矢板壁を用いた合成床板構造について図面を参照して説明する。
(鋼矢板壁の説明)
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る鋼矢板壁が示され、図4には、図1に示される鋼矢板壁に用いられる鋼矢板が示されている。図1に示されるように、鋼矢板10は全体として一方向へ細長いプレート状に形成されている。鋼矢板10には、長手方向(矢印L方向)と直交する板幅方向(矢印S方向)の中心側にウェブ12が形成されると共に、このウェブ12の両端部に一対のフランジ部20が形成され、この一対のフランジ部20の端部からそれぞれ外側へ延出する一対のアーム部14が全長に亘って形成されている。なお、本実施形態に係る鋼矢板10は、その断面形状からハット形鋼矢板と一般的に呼称されている。
図4に示されるように、ウェブ12の両端部から板厚方向(矢印T方向)に対して斜め外側へ向かって、それぞれ延出する一対のフランジ部20が曲げ加工により形成されている。ここで、ウェブ12は鋼矢板10の長手方向及び板幅方向とそれぞれ平行に延在している。また、一対のアーム部14は、一対のフランジ部20の先端部からそれぞれ幅方向に沿って外側へ延出している。ウェブ12とアーム部14は略平行となるように形成されている。
図4に示されるように、鋼矢板10では、その断面に対して板幅方向に沿った幾何学的な中心線Cを設定することが可能であり、一方のフランジ部20及びアーム部14と、他方のフランジ部20及びアーム部14とは、中心線Cを介して互いに対称的な形状を有している。また鋼矢板10は、中心線C上に断面における幾何学的な中心点である重心Gを有している。
一対のアーム部14の先端部には、それぞれ継手部22、23が形成されている。継手部22、23は、板幅方向に沿った断面形状がそれぞれ略C字状とされている。ここで、一方の継手部22と他方の継手部23とは、重心Gに対して互いに点対称となる形状をそれぞれ有している。
図3(B)に示されるように、一方の継手部22には、アーム部14の先端部から板厚方向に沿ってウェブ12とは反対側へ屈曲された屈曲部24及び、この屈曲部24の先端部から板幅方向外側へ延出する底板部26が一体的に形成されている。また継手部22には、底板部26の先端部から板厚方向に沿ってウェブ12とは反対側へ突出する爪部28が一体的に形成されている。爪部28は、板幅方向に沿って内側(アーム部14側)へ傾斜しており、その先端側の断面形状が略楔状になっている。爪部28の内側には略平面状の噛合面30が形成されている。
他方の継手部23にも、屈曲部25、底板部27及び爪部29がそれぞれ一体的に形成されており、これらの屈曲部25、底板部27及び爪部29は、重心Gを中心として継手部22における屈曲部24、底板部26及び爪部28と点対称な形状とされている。また爪部29には、その内側に噛合面31が形成されており、図3(B)に示されるように、継手部22と継手部23とが互いに嵌合すると、噛合面30と噛合面31とは噛合(当接)可能とされている。
なお、鋼矢板壁34に負荷荷重が作用していない状態では、噛合面30と噛合面31とは、図3に示されるように、隙間が空くことがあり、必ずしも面接触状態とはならないが、鋼矢板壁34に一定以上の負荷荷重が作用すると、噛合面30と噛合面31とは面接触状態となると共に、負荷荷重に対応する圧接力で互いに圧接する。
継手部22、23には、それぞれ底板部26、27の内側面に凹状のポケット溝32、33が全長に亘って形成されている。ポケット溝32、33は、その深さ方向が板厚方向と実質的に一致しており、その断面形状が略U字状乃至略矩形状とされている。
図5に示されるように、本実施形態に係る鋼矢板壁34は、処分埋立場の分離壁、垂直遮水壁等として用いられるものであり、鋼矢板10は、鋼矢板壁34の主要な構造部品として用いられる。すなわち、鋼矢板壁34は、基本的には、複数枚の鋼矢板10を順次、地盤52中に打込み、これらの鋼矢板10を幅方向Wに沿って並列的に配置することにより構築されている。このとき、互いに隣接する一対の鋼矢板10は、図3(B)に示されるように、一方の継手部22と他方の継手部23とが互いに噛合った状態で、地盤52(図5参照)中に打込まれており、これらの継手部22、23を介して互いに連結されている。
図3(B)に示されるように、鋼矢板10は、一方のポケット溝32の内部に配置される丸棒状のテンションロッド36を備えている。このテンションロッド36は鋼線により構成されており、具体的には、PC(プレストレストコンクリート)構造物用のPC鋼線(例えば、記号SWPR1BNのPC鋼線)を用いることができる。またテンションロッド36としては、断面円形のPC鋼線以外にも、外周面に半円状の溝が複数本形成された「異形PC鋼線」や、複数本の鋼線が撚られて構成された「PC鋼より線」等も用いることができる。
図3(A)に示されるように、テンションロッド36には、その長手方向両端部にそれぞれ雄ねじ部38(図3(A)では、上端側の雄ねじ部38のみを示す。)が形成されており、テンションロッド36の全長は、一対の雄ねじ部38の先端側が継手部22の両端からそれぞれ突出可能となるように設定されている。すなわち、テンションロッド36は、ポケット溝32内を通って継手部22を長手方向に沿って貫通し、その両端部を継手部22の両端面からそれぞれ突出させる。
テンションロッド36には、一対の雄ねじ部38にそれぞれアンカナット40が捩じ込まれている。これらのアンカナット40の外径は、ポケット溝32の最大内径よりも大きくされ、かつ継手部22の板幅方向の寸法よりも小さくされている。なお、図3(A)には、アンカナット40としてテンションロッド36の長手方向(軸線方向)へねじ穴が貫通する六角ナットが示されているが、テンションロッド36の下端側に配置されるアンカナット40としては、下端側が閉塞された袋ナットを用いても良い。
アンカナット40は、テンションロッド36に発生する張力等に応じて軸線方向に沿った厚さが適宜設定され、ねじ溝の剪断破壊による脱落、緩みが確実に防止される。また雄ねじ部38に複数個のアンカナット40を捩じ込むことより、雄ねじ部38の先端側に位置するアンカナット40をロック用のナットとして機能させ、アンカナット40の緩みを確実に防止するようにしても良い。またテンションロッド36における下端側の雄ねじ部38に捩じ込まれるアンカナット40については、地盤52中に埋設された後は、雄ねじ部38に対する捩込み量を調整する必要がないので、鋼矢板10の打設前に溶接等により雄ねじ部38に固着しておいても良い。
また、テンションロッド36の両端部又は片側の端部に雄ねじ部38を形成せず、スリットが形成された内側スリーブ及び、この内側スリーブを外周側からかしめ固定する外側スリーブからなる2ピースのアンカ部材をテンションロッド36の両端部又は片側の端部に配置するようにしても良い。
次に、上記のように構成された鋼矢板10により鋼矢板壁34を構築する方法について説明する。
図5に示されるように、鋼矢板10を地盤52に打設する際には、クローラクレーン54のクレーン56に吊り下げられたバイブロハンマ58のクランプにより鋼矢板10の上端部を把持し、バイブロハンマ58により鋼矢板10に衝撃力を作用させる。これにより、衝撃力と共に作用するバイブロハンマ58の重量及び鋼矢板10の自重により鋼矢板10が地盤52に所定の打込み速度で打込まれる。
このとき、既に地盤52中に打設された鋼矢板10(先行鋼矢板10P)に続いて打設される鋼矢板10(後続鋼矢板10F)は、その他方(図1では左側)の継手部23が先行鋼矢板10Pの一方(図1では右側)の継手部22に嵌合した状態とされつつ、地盤52中に打込まれて行く。これにより、先行鋼矢板10Pに後続鋼矢板10Fがそれぞれの継手部22、23を介して連結されて、地盤52へ打設完了した後続鋼矢板10Fにより鋼矢板壁34が幅方向Wへ延長される。
本実施形態に係る鋼矢板壁34の構築方法では、鋼矢板10を地盤52へ打設する時点で、アンカナット40は、緩みが発生せず、かつテンションロッド36がポケット溝32から脱落しない程度の締結トルクで一対の雄ねじ部38にそれぞれ捩じ込まれる。従って、テンションロッド36には大きな張力が発生しておらず、この張力が鋼矢板10に撓み変形を実質的に発生させることもない。
本実施形態に係る鋼矢板壁34の構築方法では、鋼矢板壁34を構成する全ての鋼矢板10を地盤52中へ打設完了した後に、テンションロッド36における上端側の雄ねじ部38に捩じ込まれているアンカナット40が所定の締結トルクが発生するまで増締めされる。このとき、雄ねじ部38に捩じ込まれるアンカナット40は、テンションロッド36の長手方向に沿った分力(引張力)を発生させ、この引張力によりテンションロッド36における一対の雄ねじ部38間に引張方向の弾性変形(伸び)を発生させる。これにより、テンションロッド36には、その伸び量に応じた大きさの張力Ts(図1参照)が発生し、この張力Tsは一対のアンカナット40を介して継手部22の両端面にそれぞれ伝達される。
このとき、アンカナット40は、図3(B)の2点鎖線で示されるように、一方の継手部22の端面におけるポケット溝32の周縁部に圧接すると共に、他方の継手部23における爪部29の先端付近にも圧接する。従って、テンションロッド36の張力Tsは、アンカナット40を介して継手部22、23の両端面にそれぞれ伝達されることになる。このため、複数枚の鋼矢板10が鋼矢板壁34を構成した状態では、鋼矢板10における両側の継手部22、23の両端面にそれぞれ張力Tsが伝達される。
テンションロッド36の張力Tsは、継手部22、23に対して圧縮荷重として作用するが、図3(B)に示されるように、曲げモーメントに対するアーム部14の断面内における中立軸Naに対して外側(ウェブ12側)に作用する。従って、図1に示されるように、張力Tsは、その一部が継手部22、23に対して板厚方向の分力Ftに変換される。この分力Ftは継手部22、23に対して曲げモーメントとして作用し、継手部22、23を介して鋼矢板10の全体に作用する。これにより、張力Tsを受けた鋼矢板10には、図1の2点鎖線BLにより示されるように、長手方向に沿った中央側が両端部に対して膨出するような撓み変形が生じる。
一方、鋼矢板壁34の構築完了後に、鋼矢板壁34により区画された敷地内に処分ごみ、土砂等が投入され、鋼矢板壁34の内外における地表レベルに差が生じると、投入物の比重及び地表レベルに差に応じた荷重(負荷荷重)Fが鋼矢板壁34を構成する各鋼矢板10に加わる。このとき、鋼矢板10は、下端側が固定された片持ち梁であると見做せるので、鋼矢板10の上端側(自由端側)に作用する負荷荷重Fは、鋼矢板10に対して曲げモーメントとして作用する。なお、本実施形態では、鋼矢板10におけるウェブ12の外側が投入物により地表レベルが内側に対して上昇するものとする。
本実施形態に係る鋼矢板壁34の構築方法では、鋼矢板壁34の内外における地表レベルが最大となった時に、鋼矢板10に作用する負荷荷重F(最大荷重Fm)の大きさに応じて、上端側のアンカナット40に発生させる締結トルクの大きさが設定される。これにより、テンションロッド36には、最大荷重Fmに対応する張力が発生することになる。この張力Tsは、前述したように、鋼矢板10に対して曲げモーメントとして作用し、張力Tsによる曲げモーメントは、負荷荷重Fにより鋼矢板10に生じる曲げモーメントとは反対方向の撓み変形を発生させる。
上記の現象を換言すると、鋼矢板10が負荷荷重Fを受ける場合に、張力Tsは、負荷荷重Fを受けた鋼矢板10に生じる内部応力とは反対方向の内部応力を鋼矢板10の断面内に発生させる。これにより、負荷荷重Fにより生じる内部応力と張力Tsにより生じる内部応力とは互いに打ち消し合うことになる。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る鋼矢板壁34の作用について説明する。
本実施形態に係る鋼矢板壁34では、テンションロッド36が鋼矢板10におけるポケット溝32内を通って継手部22を貫通すると共に、ポケット溝32内で張力Tsが生じた状態とされ、かつアンカナット40がテンションロッド36に生じた張力Tsを鋼矢板10の継手部22に伝達することにより、テンションロッド36から伝達される張力Tsにより鋼矢板10には、その長手方向に沿って内部応力が生じ、この内部応力は鋼矢板10を一方向へ撓ませる曲げモーメントとして作用する。
従って、鋼矢板10が厚さ方向に沿ってウェブ12の外側から負荷荷重Fを受け、この負荷荷重Fが鋼矢板10を他方向へ撓み変形させる曲げモーメントとして作用しても、テンションロッド36から伝達される張力Tsが負荷荷重Fにより鋼矢板10に生じる曲げモーメントを打ち消すように作用し、負荷荷重Fにより生じる鋼矢板10の撓み変形を低減できる。
このとき、テンションロッド36の張力Tsを負荷荷重Fの大きさに応じて適宜調整すれば、負荷荷重Fにより生じる曲げモーメント力と張力Tsにより生じる曲げモーメントを略均衡させることが可能になるので、負荷荷重Fにより生じる鋼矢板10の撓み変形を十分に小さいものにできる。
なお、張力Tsは、鋼矢板10を地盤52中に打設した後にも、アンカナット40により調整可能であることから、張力Tsが経時的に大きく変化するような場合は、必ずしも鋼矢板10の打設完了直後に、張力Tsを最大荷重Fmに対応させて設定する必要はなく、負荷荷重Fの変化に応じて張力Tsの大きさを調整するようにしても良い。
また鋼矢板壁34では、テンションロッド36が鋼矢板10における継手部22内側に形成されたポケット溝32内に配置されることから、テンションロッド36を増設したことにより鋼矢板10の地盤52に対する打設抵抗が増加することもなく、またテンションロッド36を鋼矢板10に装填するためにはアンカナット40を追加するだけでよいので、鋼矢板壁34の構築コストの増大を効果的に抑制できる。
(鋼矢板壁を用いた合成床板構造の説明)
図6には、本発明の実施形態に係る合成床板構造が示されている。この合成床板構造60は、図1及び図2に示される鋼矢板壁34を支持桁62の間に掛け渡される鋼製梁64として用いている。なお、本実施形態に係る合成床板構造60では、鋼矢板壁34と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
図7に示されるように、合成床板構造60は、鉄筋コンクリートブロック等からなる一対の支持桁62の間に掛け渡される鋼製梁64を備えており、この鋼製梁64は、複数枚の鋼矢板10が板幅方向に沿って連結された鋼矢板壁34により構成されている。この鋼製梁64が図1及び図2に示される鋼矢板壁34と異なる点は、鋼矢板壁34では、複数枚の鋼矢板10がそれぞれ地盤52中に打設され、地盤52に対して略垂直に立設されるのに対し、鋼製梁64では、複数枚の鋼矢板10がそれぞれ一対の支持桁62間に掛け渡され、一対の支持桁62間により略水平に支持される点のみである。
なお、本実施形態では、鋼製梁64を一対(2個)の支持桁62間に掛け渡したが、長尺の鋼製梁64を用いる場合には、3個以上の支持桁62間に掛け渡すようにしても良い。
鋼製梁64の構築方法を図11に基づいて説明する。先ず、略水平な作業面WF上に先行鋼矢板10Pを載置した後、作業面WF上における先行鋼矢板10Pに対して後方側に離間した位置に後続鋼矢板10Fを載置すると共に、この後続鋼矢板10Fにおける一方の継手部22を、先行鋼矢板10Pにおける他方の継手部23と略一致するように、板幅方向に沿って位置決めする。
次いで、鋼矢板10の全長に対して2倍を超える長さを有するテンションロッド36を用意し、このテンションロッド36を、後続鋼矢板10Fにおける継手部22の後端側からポケット溝32内に挿入し、継手部22を貫通させる。このテンションロッド36の後端部にアンカナット40を捩じ込み、このアンカナット40を継手部22の後端面に当接させると共に、テンションロッド36の先端側を先行鋼矢板10Pにおける継手部23のポケット溝32内に挿入し、継手部23を貫通させる。
次いで、先行鋼矢板10Pにおける継手部23の先端面から突出したテンションロッド36にセンタホールジャッキ68を装填し、このセンタホールジャッキ68によりテンションロッド36に引張力を伝達する。この引張力により後続鋼矢板10Fを先行鋼矢板10P側へ移動させると共に、後続鋼矢板10Fにおける継手部22の先端部を先行鋼矢板10Pにおける継手部23の後端部に嵌合させる。この後、継手部22、23を互いに嵌合させたまま、センタホールジャッキ68の引張力により後続鋼矢板10Fをセンタホールジャッキ68側へ移動(前進)させ、後続鋼矢板10Fの先端が先行鋼矢板10Pの先端と一致する位置まで移動したならば、センタホールジャッキ68を作動停止させる。これにより、後続鋼矢板10Fが先行鋼矢板10Pに継手部22、23を介して連結される。
鋼矢板壁34を構成する鋼矢板10の枚数をNとすると、上記作業を(N−1)回繰り返すことにより、N枚の鋼矢板10からなる鋼矢板壁34が構築される。
なお、鋼矢板10の2倍を超える長さのテンションロッド36は、後続鋼矢板10Fを先行鋼矢板10Pに連結した後、所定の長さに切断されると共に、先端部に雄ねじ部38が形成され、この雄ねじ部38には、図10に示されるように、アンカナット40が捩じ込まれる。また、鋼矢板10の2倍を超える長さのテンションロッド36の代わりに、2本のテンションロッド36の雄ねじ部38間を捩じ込み式のジョイント部材により連結し、後続鋼矢板10Fを先行鋼矢板10Pに連結した後、ジョイント部材をテンションロッド36から離脱させるようにしても良い。
上記のようにして構築された鋼矢板壁34は、例えば、クレーンにより吊り上げられ、図7に示されるように、その両端部が一対の支持桁62上にそれぞれ載置される。これにより、一対の支持桁62間に掛け渡された鋼製梁64を鋼矢板壁34により構成できる。この鋼製梁64は、その両端部がそれぞれアンカボルト等を介して支持桁62に連結固定される。
図8に示されるように、鋼製梁64を構成する各鋼矢板10における一対のフランジ部20にはそれぞれ長手方向及び板幅方向に沿って所定の間隔毎にピン状のスタッドジベル70が溶接により固定された後、鋼製梁64上には、複数本の鋼線を三次元マトリックス状に連結して形成された鉄筋構造体74が設置される。この鉄筋構造体74は、スタッドジベル70又はアンカロッド等の鋼製の連結部材を介して鋼製梁64(鋼矢板10)の上面側に連結される。
支持桁62上に鉄筋構造体74を設置完了した後、鋼製梁64の外周縁に沿って矩形状の型枠(図示省略)が設置され、この型枠内に流動性を有するコンクリート材料が流し込まれる。コンクリート材料の硬化完了後に、型枠を鋼製梁64から離脱させることにより、図9に示されるように、鋼製梁64上に鉄筋構造体74が埋設されたコンクリート層66が形成され、鋼及びコンクリートが複合された合成床板構造60が完成する。
なお、合成床板構造60が橋等として用いられる場合、図6に示されるように、支持桁62上の合成床板構造60の上面部へ滑らかに傾斜するスロープブロック72がコンクリート等により設置される。
本実施形態に係る合成床板構造60の構築方法では、鋼製梁64上へのコンクリートの打設前あるいは打設完了後に、テンションロッド36における雄ねじ部38に捩じ込まれアンカナット40を所定の締結トルクが発生するまで増締めする。これにより、テンションロッド36には張力Tsが発生し、この張力Tsが一対のアンカナット40を介して継手部22、23の両端部にそれぞれ伝達される。この継手部22、23に伝達された張力Tsは、前述したように、鋼製梁64を構成した各鋼矢板10に対して曲げモーメントとして作用し、この曲げモーメントは、図7の2点鎖線BLにより示されるように、鋼矢板10に長手方向に沿った中央側が両端部に対して上側へ膨出するような撓み変形を生させる。このとき、テンションロッド36の張力Tsの大きさは、鋼製梁64の自重、コンクリート層66の重量及び鉄筋構造体74の重量の総和に対応するように設定される。なお、コンクリート打設完了後にアンカナット40を増締めする場合はコンクリートの硬化前、硬化後のいずれでもよい。
次に、上記のように構成された本実施形態に係る合成床板構造60の作用について説明する。
本実施形態に係る合成床板構造60では、一対の支持桁62の間に掛け渡される鋼製梁64が鋼矢板壁34により構成されることにより、鋼製梁64上へのコンクリートの打設前あるいは打設後に、テンションロッド36に張力Tsを生じさせれば、テンションロッド36により鋼製梁64を構成した各鋼矢板10に対し、鋼製梁64、コンクリート層66及び鉄筋構造体74の重量(自重)に対抗するポストテンションを作用させることができるので、自重により合成床板構造60に生じる撓み変形を効果的に抑制できる。さらに、コンクリートの打設、硬化後にテンションロッド36に張力Tsを生じさせれば、コンクリートに圧縮応力が発生し、コンクリートのひび割れの発生を抑制することができる。
また合成床板構造60では、ポストテンションを鋼製梁64に作用させないものと比較し、鋼矢板10の長手方向に沿った支持桁62のピッチを相対的に長くし、又は鋼矢板10として相対的に肉厚の薄いものを用いても、自重の影響による鋼製梁64(合成床板構造60)の撓み変形を十分に小さくできるので、合成床板構造60の構築コストの上昇を効果的に抑制できる。
次に、本実施形態に係る鋼矢板10における張力Tsの影響をモデル解析した結果を実施例として説明する。
図12(A)に示されるように、鋼矢板10をそれぞれ支持点76、77間に載置して、鋼矢板10により構成される単純梁を想定した。図12(B)には、鋼矢板10の長手方向に沿った撓み量(変位量)の分布を演算した結果が示され、また図12(C)には、長手方向に沿って鋼矢板10に作用する曲げモーメントの分布を演算した結果が示されている。
上記解析モデルでは、鋼矢板10としては25H(有効幅:900mm、ウェブ12の厚さ:13.2mm、フランジ部20の厚さ:8.9mm)のものを用い、テンションロッド36としては直径8mmのPC鋼線(SWPR1BN)を用い、張力Tsは43.7kNに設定した。また支持点76、77間のスパンは8mに設定し、25Hの鋼矢板10の1m当りの質量は113kgとしてシミュレーションを行った。
上記シミュレーションによれば、テンションロッド36から鋼矢板10における中立軸までの距離を150mmに設定した場合の曲げモーメントは6.56kN・mとなり、張力Tsにより鋼矢板10に生じる変位量は、支持点76、77の中央で0.14mmとなった。
図12(B)では、破線L1が張力Tsを作用させない場合の鋼矢板10の変位量を示し、実線L2が張力Tsを作用させた場合の鋼矢板10の変位量を示している。また図12(C)では、破線L3が張力Tsを作用させない場合の鋼矢板10の曲げモーメントを示し、実線L2が張力Tsを作用させた場合の鋼矢板10の曲げモーメントを示している。
10 鋼矢板
10F 後続鋼矢板
10P 先行鋼矢板
12 ウェブ
14 アーム部
20 フランジ部
22、23 継手部
24、24 屈曲部
26、27 底板部
28、29 爪部
30、31 噛合面
32、33 ポケット溝
34 鋼矢板壁
36 テンションロッド
38 雄ねじ部
40 アンカナット
52 地盤
54 クローラクレーン
56 クレーン
58 バイブロハンマ
60 合成床板構造
62 支持桁
64 鋼製梁
66 コンクリート層
68 センタホールジャッキ
70 スタッドジベル
72 スロープブロック
74 鉄筋構造体
76、77 支持点
F 負荷荷重
Ts 張力
WF 作業面

Claims (5)

  1. 一方向に沿って細長いプレート状のウェブ、該ウェブの両端部に設けられた一対のフランジ部、該一対のフランジ部の端部からそれぞれ外側へ延出する一対のアーム部、該一対のアーム部の先端部にそれぞれ形成された一対の継手部及び、該継手部の内側に、前記ウェブの長手方向に沿って延在するように形成されたポケット溝を具備する鋼矢板を、前記ウェブの長手直角方向に沿って複数枚配列すると共に、互いに隣接する一対の鋼矢板における継手部同士を嵌合することにより構築された鋼矢板壁であって、
    前記鋼矢板における少なくとも一方の前記ポケット溝に配置され、該ポケット溝内を通って前記継手部を前記長手方向に沿って貫通すると共に、前記ポケット溝内で前記長手方向に沿った張力が生じた状態とされる棒状のテンション部材と、
    前記テンション部材の両端部に装填されると共に、前記テンション部材の両端部を、該テンション部材の張力が伝達されるように前記継手部の長手方向の両端部にそれぞれ連結するアンカ部材と、
    を備えたことを特徴とする鋼矢板壁。
  2. 前記鋼矢板が負荷荷重を受ける場合に、
    前記テンション部材は、前記長手方向に沿った張力により、前記負荷荷重を受けた前記鋼矢板に生じる内部応力とは反対方向の内部応力を前記鋼矢板に発生させることを特徴とする請求項1記載の鋼矢板壁。
  3. 請求項1又は請求項2記載の鋼矢板壁を構築する際に用いられる鋼矢板壁の構築方法であって、
    前記テンション部材を、連結前の一方の鋼矢板におけるポケット溝内に通して継手部を貫通させると共に、一方の鋼矢板が連結される他方の鋼矢板における継手部を貫通させる貫通工程と、
    前記アンカ部材を前記テンション部材の基端部に装填すると共に、該テンション部材の基端部を、一方の継手部における基端部に連結固定する連結工程と、
    他方の継手部の基端部を一方の継手部の先端部に部分的に嵌合させた後、前記テンション部材の先端部に前記長手方向に沿った引張力を加え、該引張力により他方の鋼矢板を、その継手部が一方の鋼矢板の継手部と所定長に亘って嵌合する位置まで移動させる嵌合工程と、
    を有することを特徴とする鋼矢板壁の構築方法。
  4. 請求項1又は請求項2記載の鋼矢板壁により構成され、複数の支持桁体の間に掛け渡される鋼製梁部材と、
    前記鋼製梁部材上に打設されたコンクリート材料からなるコンクリート層と、
    前記コンクリート層の内部に埋設される補強鉄筋体と、
    前記鋼製梁部材の上面側に所定の間隔を空けてそれぞれ固着されると共に、前記補強鉄筋体に連結される複数の連結部材と、
    を有することを特徴とする鋼矢板壁を用いた合成床板構造。
  5. 請求項4記載の合成床板構造の構築方法であって、
    前記鋼製梁部材上へのコンクリートの打設前あるいは打設完了後に、前記テンション部材に前記長手方向に沿った張力を生じさせ、該テンション部材により前記鋼製梁部材に対してポストテンションを作用させることを特徴とする合成床板構造の構築方法。
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