JP2010236070A - 耐金型磨耗性ステンレス鋼帯 - Google Patents
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Abstract
【課題】 バネ性及び耐金型磨耗性に優れたステンレス鋼帯
【解決手段】 表面のケイ素(Si)濃度が5mass%以下であり、表面の酸素(O)濃度は好ましくは10mass%以下であり、最大粗さRZが1μm以下であるバネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯。
【選択図】 なし
【解決手段】 表面のケイ素(Si)濃度が5mass%以下であり、表面の酸素(O)濃度は好ましくは10mass%以下であり、最大粗さRZが1μm以下であるバネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯。
【選択図】 なし
Description
本発明は精密プレス加工されるバネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯に関する。詳細には、精密プレス打ち抜き加工されて携帯端末や家電製品等のスイッチ部分に使用される、バネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯に関する。
各種電子機器部品に使用されるコネクタ、及び接点に使用される部品等の基本的な特性として高強度でかつバネ性が要求されている。中でも、携帯端末や家電製品等の各種機器の押しボタンやスイッチ等のバネ性を生かした接点スイッチでは、繰り返し動作に対する耐久性が良好な材料が求められており、耐食性に優れ、曲げ加工性、打抜き性が良好であり、しかも廉価であるのでSUS301、SUS304等のステンレス鋼帯が薄板バネや線状バネ材料として多用されている。しかし、スイッチ部品としての小型化及び薄肉化傾向が進み、負荷応力が増大しているため、材料には更にバネ特性に優れ、高強度が求められている。
これらのコネクタ、スイッチ等の電子部品は、ステンレス鋼帯を金型でプレス加工して製造されるが、高強度の材料ほど金型が磨耗しやすく、ステンレスはその表面の不動態性酸化皮膜の存在のために銅系材料より更に耐金型磨耗性が悪い。一方、プレス打ち抜き加工工程においては脱脂しやすい低粘度のプレス油の使用が効率の面から好ましいが、低粘度のプレス油を使用すると更にプレス金型への負荷が大きくなる。
プレス金型が磨耗してくると、切断面にバリやだれが生じ、製品も変形して不良品発生率が上昇する。そのため、加工品の寸法精度を維持するため金型の研磨が必要となり生産効率が低下する。更に、精密部品用金型は、非常に高価であるため長寿命化が特に求められる。従って、金型工具の磨耗を減少させ、金型を長寿命化するような、プレス加工性に優れたステンレス鋼帯が求められてきた。
ステンレス鋼帯は、通常、焼鈍及び冷間圧延を繰り返して製造されるが、焼鈍工程では還元性雰囲気で行われる光輝焼鈍(BA:Bright Annealing)が採用されている。光輝焼鈍は、酸洗無しに酸化スケールの発生を防止して焼鈍前と同じ金属表面を保持する効果を目的として行われている。しかし光輝焼鈍後の表面には極薄い硬質皮膜が形成されるため、光輝焼鈍後に表面硬質皮膜を除去して金型工具の長寿命化を図る技術(特許文献1)や、化学組成、結晶粒径を調整することで、加工誘起マルテンサイトへの変態硬化を抑制し、更にプレス後の打抜き剪断破面に占める剪断面の生成量を多くして、金型工具の磨耗を抑えて長寿命化する技術(特許文献2)が開示されている。
しかしながら、特許文献1で硬質皮膜の除去方法として例示されている機械研磨の場合、硬質皮膜除去後の表面付近には加工変質による残留応力が発生し、表面に凹凸も形成されるため、バネ性が充分なステンレス鋼帯は得られなかった。又、化学研磨の場合、酸洗後の鋼帯表面の凹凸が激しく、プレス加工の際に凸部が削り取られてステンレス金属粉が発生し、金型寿命を縮めるものであった。また、特許文献2では、加工誘起マルテンサイト相の量を調整する必要があり、そのために化学組成が限定される問題があった。
本発明は、本来ステンレス鋼母材の持つ性質を損なうことなく、また、化学組成を特に限定する事なく、金型工具の長寿命化を図ることのできる耐金型磨耗性に優れたステンレス鋼帯を提供する。
本発明は、本来ステンレス鋼母材の持つ性質を損なうことなく、また、化学組成を特に限定する事なく、金型工具の長寿命化を図ることのできる耐金型磨耗性に優れたステンレス鋼帯を提供する。
本発明者は、ステンレス鋼帯の表面のSi濃度、O濃度および表面粗さに着目する事で、バネ性及び耐金型磨耗性に優れたステンレス鋼帯を得ることができることを発見し、下記本発明を完成させた。
(1)表面のケイ素(Si)濃度が5mass%以下であり、最大粗さRZが1μm以下であるバネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯。
(2)表面の酸素(O)濃度が10mass%以下である(1)記載のステンレス鋼帯。
(1)表面のケイ素(Si)濃度が5mass%以下であり、最大粗さRZが1μm以下であるバネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯。
(2)表面の酸素(O)濃度が10mass%以下である(1)記載のステンレス鋼帯。
本発明のステンレス鋼帯は、優れたバネ性及び強度を維持しつつ、耐金型磨耗性に優れるため、プレス加工に使用される金型工具の長寿命化を図ることができる。
本発明のステンレス鋼は、特に成分を限定せず、その種類としては、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイトステンレス鋼、二相ステンレス鋼等が挙げられる。また、合金成分として、例えばNi、Crを含有し、脱酸元素としてSiが添加されている。
本発明のステンレス鋼帯の表面のケイ素(Si)濃度は5mass%以下であり、この範囲内であれば優れた耐金型磨耗性を示す。従って、表面Si濃度は低くてもよいが、組成濃度程度でもよい。
表面ケイ素濃度は、グロー放電発光分析(Glow Discharge Spectrometer)により、試料表面をアルゴンイオンによりスパッタリングしてスパッタリングされた原子から発光されるスペクトルの分析を行って求められる。例えば、JOBIN YVON社製型番JY5000RF−PSSを使用して、スパッタリング電力40W、アルゴンイオンを使用してスパッタリング時間0.15秒で分析できる。
表面ケイ素濃度は、グロー放電発光分析(Glow Discharge Spectrometer)により、試料表面をアルゴンイオンによりスパッタリングしてスパッタリングされた原子から発光されるスペクトルの分析を行って求められる。例えば、JOBIN YVON社製型番JY5000RF−PSSを使用して、スパッタリング電力40W、アルゴンイオンを使用してスパッタリング時間0.15秒で分析できる。
表面へのSi濃化(偏析)は焼鈍の際に生じる。従って、表面Si濃度を5mass%以下にするためには、ステンレス鋼帯の製造中、酸洗による表面酸化層除去後に行われる焼鈍は、再結晶焼鈍及び最終焼鈍又は歪取焼鈍を含め、全て還元雰囲気を調整した光輝焼鈍で行う。光輝焼鈍には、一般的にアンモニア分解ガス(AXガス:水素75%、窒素25%)や、水素と窒素の混合ガスが用いられる。本発明ではいずれの場合も還元雰囲気を示す露点(露点温度)は−35℃未満、更に好ましくは−40℃以下、更に好ましくは−45℃以下とする。上記露点範囲は、光輝焼鈍に使用されるガス組成にはほとんど影響されない。露点を上記範囲にするには、ガス流量を調節し、装置を充分にシールする必要がある。露点温度が−35℃以上であることは、光輝焼鈍の雰囲気中に水蒸気(酸素)が許容範囲以上に存在することを意味する。その場合、ステンレス表面付近のSiが酸素とSiO2を形成して消費されてしまい、表面付近のSi欠乏状態を補うためにSiの材料内部から表面への拡散が促進され、結果的にSiO2が表面に濃化する。そのため表面Si濃度が5mass%を超えてしまう。しかし、従来はSiO2の表面濃化により生じる問題に着目されることはなく、光輝焼鈍条件を制御して露点温度を低くすることは設備も費用もかかるため行われていなかった。理論によって本発明を限定するものではないが、ステンレス表面にSiO2が濃化していると表面硬度が高くなり、又、プレス加工の際にプレス油に含まれる油性剤や極圧剤が金属表面へ吸着しなくなるため、プレスされる金属表面はプレス油で濡れにくくなり、プレス油で濡れていない状態でプレスするために金型が磨耗しやすくなると考えられる。
本発明のステンレス鋼帯の表面の酸素(O)濃度は、好ましくは10mass%以下である。表面O濃度は低くてもよいが、通常5mass%以下にすることは困難である。表面の酸素濃度が10mass%を超えると、表面に硬質酸化物の量が多く形成されているため耐金型磨耗性に劣る。
本発明の表面酸素濃度は、ケイ素と同様にGDSにより測定できる。
表面酸素濃度を10mass%以下にするためには、製造工程における酸洗処理で表面に形成された酸化層を充分に除去する必要がある。その後の光輝焼鈍は、本発明の表面Si濃度を達成する条件で行う。
本発明の表面酸素濃度は、ケイ素と同様にGDSにより測定できる。
表面酸素濃度を10mass%以下にするためには、製造工程における酸洗処理で表面に形成された酸化層を充分に除去する必要がある。その後の光輝焼鈍は、本発明の表面Si濃度を達成する条件で行う。
本発明のプレスで使用する通常のプレス油には、油性剤や極圧剤が含まれている。これらはSiO2が濃化しているステンレス表面への親和性が低いと考えられる。そのためもあって、SiO2が濃化しているステンレス鋼帯表面は、プレス油で濡れにくく、金型の磨耗が激しくなると考えられる。
本発明のステンレス鋼帯で「バネ性に優れる」とは、JIS H 3130に準拠して測定されたバネ限界値400MPa以上、好ましくは450MPa以上、更に好ましくは500MPa以上であることをいう。400MPa未満であると、スイッチとしてバネ性に劣る。バネ性に優れるステンレス鋼帯を得るためには、光輝焼鈍後に機械研磨を行わないことが好ましい。機械研磨により表面付近に応力歪みが残存し、更に表面に凹凸が形成されるため、バネ性及び強度に劣るからである。
本発明のステンレス鋼帯の最大粗さRZは、JIS B0601:2001に従い測定された最大粗さであり、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.8μm以下である。RZが1μmを超えると金型表面と接触したステンレス鋼帯から表面金属粉が発生し、金属粉が付着した金型を使用し続けると金型の寿命が短くなる。なお、本発明の表面のケイ素(Si)濃度を達成するために酸洗等の化学研磨を行うと表面に凹凸が発生し、最大粗さが大きくなる。表面が粗い鋼帯に対してプレス加工を行うと金型表面と接触したステンレス鋼帯から表面金属粉が発生し、金属粉が付着した金型を使用し続けると金型の寿命が短くなる。
本発明のステンレス鋼帯は、溶解・鋳造後、例えば下記工程により製造され、必要に応じて単位工程が適宜繰り返される。中間焼鈍及び歪取焼鈍は光輝焼鈍で行われる。
熱間圧延→冷間圧延→焼鈍(酸洗あり)→冷間圧延→光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→歪取光輝焼鈍(最終焼鈍)
表面酸素濃度を減少させるために、酸洗で酸化層を充分に除去してSiO2等の酸化物量を減少させた後、光輝焼鈍及び冷間圧延を行う。なお、最終光輝焼鈍条件のみを調整しても所望の表面酸素濃度は得られない。
全ての光輝焼鈍において露点を−35℃以下に管理して雰囲気中の水蒸気(酸素)量を低くすると、表面窒素濃度及び表面酸素濃度が低下し、耐金型磨耗性に優れたステンレス鋼帯が製造できる。
熱間圧延→冷間圧延→焼鈍(酸洗あり)→冷間圧延→光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→歪取光輝焼鈍(最終焼鈍)
表面酸素濃度を減少させるために、酸洗で酸化層を充分に除去してSiO2等の酸化物量を減少させた後、光輝焼鈍及び冷間圧延を行う。なお、最終光輝焼鈍条件のみを調整しても所望の表面酸素濃度は得られない。
全ての光輝焼鈍において露点を−35℃以下に管理して雰囲気中の水蒸気(酸素)量を低くすると、表面窒素濃度及び表面酸素濃度が低下し、耐金型磨耗性に優れたステンレス鋼帯が製造できる。
製造方法
溶解・鋳造したスラブを、下記工程で、必要に応じて個別工程を繰り返してJIS G 4305の組成を有する板厚0.06mmステンレス鋼帯を製造した。母材組成は、下記の通りである。
Si:0.5質量%、Mn:1質量%、S:0.01質量%、Cr:18質量%、Ni:8質量%、Cu:0.3質量%、O:0.001質量%、残部はFe及び不可避的不純物。
製造工程は、熱間圧延→冷間圧延→焼鈍(酸洗あり)→冷間圧延→第一光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→第二光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→歪取光輝焼鈍(最終焼鈍)で実施した。
第一及び第二光輝焼鈍(中間焼鈍)の条件は、アンモニア分解ガス(AXガス:水素75%、窒素25%)を使用し、露点を−25℃〜−55℃に管理した。露点及びガス流量を表2に記載した。中間焼鈍の目標材料到達温度900〜950℃(炉内温度1000〜1050℃)、炉内滞留時間15秒であった。
歪取光輝焼鈍(最終焼鈍)の条件も上記と同様に表2に記載した。最終焼鈍の目標材料到達温度400〜450℃(炉内温度550〜700℃)、炉内滞留時間15秒であった。
溶解・鋳造したスラブを、下記工程で、必要に応じて個別工程を繰り返してJIS G 4305の組成を有する板厚0.06mmステンレス鋼帯を製造した。母材組成は、下記の通りである。
Si:0.5質量%、Mn:1質量%、S:0.01質量%、Cr:18質量%、Ni:8質量%、Cu:0.3質量%、O:0.001質量%、残部はFe及び不可避的不純物。
製造工程は、熱間圧延→冷間圧延→焼鈍(酸洗あり)→冷間圧延→第一光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→第二光輝焼鈍(中間焼鈍)→冷間圧延→歪取光輝焼鈍(最終焼鈍)で実施した。
第一及び第二光輝焼鈍(中間焼鈍)の条件は、アンモニア分解ガス(AXガス:水素75%、窒素25%)を使用し、露点を−25℃〜−55℃に管理した。露点及びガス流量を表2に記載した。中間焼鈍の目標材料到達温度900〜950℃(炉内温度1000〜1050℃)、炉内滞留時間15秒であった。
歪取光輝焼鈍(最終焼鈍)の条件も上記と同様に表2に記載した。最終焼鈍の目標材料到達温度400〜450℃(炉内温度550〜700℃)、炉内滞留時間15秒であった。
表面研磨方法
比較例では、下記条件で表面研磨を行った。
機械研磨:SiC砥粒粒度(JIS)#1000。
化学研磨:ボーメ度38°の塩化第2鉄水溶液 50℃で15sec浸漬。
比較例では、下記条件で表面研磨を行った。
機械研磨:SiC砥粒粒度(JIS)#1000。
化学研磨:ボーメ度38°の塩化第2鉄水溶液 50℃で15sec浸漬。
表面Si濃度及びO濃度
下記表1の条件でGDS(グロー放電発光分析)を用いて表面のSi濃度及びO濃度を求めた。
下記表1の条件でGDS(グロー放電発光分析)を用いて表面のSi濃度及びO濃度を求めた。
耐金型磨耗性評価方法(バリ高さ)
中原製作所社製型番N−30H型プレス機により打ち抜き型金型磨耗試験を行った。使用したプレス油は、日本工作油(株)社製型番G−616M(動粘度:28.31mm2/s)である。試験の評価は、クリアランス:3μm(板厚の5%)で直径3mmの円形チップを100万個打ち抜き、直後の材料断面観察により図1で示される「バリ高さ」を求めた。バリ高さは、金型が磨耗するに従い高くなる。バリ高さが6μm以上は金型磨耗が激しいと評価した。
中原製作所社製型番N−30H型プレス機により打ち抜き型金型磨耗試験を行った。使用したプレス油は、日本工作油(株)社製型番G−616M(動粘度:28.31mm2/s)である。試験の評価は、クリアランス:3μm(板厚の5%)で直径3mmの円形チップを100万個打ち抜き、直後の材料断面観察により図1で示される「バリ高さ」を求めた。バリ高さは、金型が磨耗するに従い高くなる。バリ高さが6μm以上は金型磨耗が激しいと評価した。
0.2%耐力
0.2%耐力(MPa)はJIS Z2241に準拠して測定した。
バネ限界値(Kb)
バネ限界値は、JIS H3130に準拠して、繰り返し式たわみ試験を実施し、永久歪が残留する曲げモーメントから表面最大応力(MPa)を測定した。
0.2%耐力(MPa)はJIS Z2241に準拠して測定した。
バネ限界値(Kb)
バネ限界値は、JIS H3130に準拠して、繰り返し式たわみ試験を実施し、永久歪が残留する曲げモーメントから表面最大応力(MPa)を測定した。
プレス加工時の金属粉発生
耐金型磨耗試験後(直径3mmの円形チップを100万個打ち抜き後)の金型を目視し、金属粉が付着しているものを「有」、全く付着していないものを「無」と判断した。
最大粗さR z
JIS B0601:2001に準拠し、接触式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、サーフコーダーSE3400)を用いて、圧延直角方向に測定し、最大粗さRzを求めた。
耐金型磨耗試験後(直径3mmの円形チップを100万個打ち抜き後)の金型を目視し、金属粉が付着しているものを「有」、全く付着していないものを「無」と判断した。
最大粗さR z
JIS B0601:2001に準拠し、接触式表面粗さ計(株式会社小坂研究所製、サーフコーダーSE3400)を用いて、圧延直角方向に測定し、最大粗さRzを求めた。
発明例1〜4は、中間焼鈍および最終焼鈍の露点を−40℃以下にして製造して表面Si濃度が5mass%以下、表面O濃度が10mass%以下になっており、バリ高さが低いことから耐金型磨耗性に優れ、バネ限界値は高いままであり、プレス加工時に金属粉が発生しないため金型寿命に影響はなかった。
比較例1〜12は中間焼鈍および最終焼鈍いずれかの露点を−35℃以上にして製造したところ、表面Si濃度が5mass%を超え、表面O濃度が10mass%を超えており、バリ高さが高くて耐金型磨耗性に劣るものであった。表面Si濃度及びバリ高さ、表面O濃度及びバリ高さは、それぞれ互いに正の相関関係にあることが認められる。
比較例13は、発明例3と同じ条件で製造した後に機械研磨を行っており、表面Si濃度及び表面O濃度が本発明の範囲内であるためバリ高さは低いが、0.2%耐力は特に劣るものではないがバネ限界値が低く、バネ性に劣るものであった。比較例14は、比較例11と同じ条件で焼鈍を実施し、本発明の規格外となった表面のSi及びO濃化層を、機械研磨で削除しているため、比較例13と同様にバネ性に劣るものであった。
比較例15は、発明例3と同じ条件で製造した後に化学研磨を行っており、表面Si濃度及び表面O濃度が本発明の範囲内であるためバリ高さは低いが、表面最大粗さが大きいためプレス加工後に金属粉が発生し、金型の寿命が低下する。比較例16は、比較例11と同じ条件で焼鈍を実施し、本発明の規格外となった表面のSi及びO濃化層を、化学研磨で削除しているため、比較例15と同様にプレス加工後に金属粉が発生した。
比較例1〜12は中間焼鈍および最終焼鈍いずれかの露点を−35℃以上にして製造したところ、表面Si濃度が5mass%を超え、表面O濃度が10mass%を超えており、バリ高さが高くて耐金型磨耗性に劣るものであった。表面Si濃度及びバリ高さ、表面O濃度及びバリ高さは、それぞれ互いに正の相関関係にあることが認められる。
比較例13は、発明例3と同じ条件で製造した後に機械研磨を行っており、表面Si濃度及び表面O濃度が本発明の範囲内であるためバリ高さは低いが、0.2%耐力は特に劣るものではないがバネ限界値が低く、バネ性に劣るものであった。比較例14は、比較例11と同じ条件で焼鈍を実施し、本発明の規格外となった表面のSi及びO濃化層を、機械研磨で削除しているため、比較例13と同様にバネ性に劣るものであった。
比較例15は、発明例3と同じ条件で製造した後に化学研磨を行っており、表面Si濃度及び表面O濃度が本発明の範囲内であるためバリ高さは低いが、表面最大粗さが大きいためプレス加工後に金属粉が発生し、金型の寿命が低下する。比較例16は、比較例11と同じ条件で焼鈍を実施し、本発明の規格外となった表面のSi及びO濃化層を、化学研磨で削除しているため、比較例15と同様にプレス加工後に金属粉が発生した。
Claims (2)
- 表面のケイ素(Si)濃度が5mass%以下であり、最大粗さRZが1μm以下であるバネ性に優れた耐金型磨耗性ステンレス鋼帯。
- 表面の酸素(O)濃度が10mass%以下である請求項1記載のステンレス鋼帯。
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2009
- 2009-03-31 JP JP2009088275A patent/JP2010236070A/ja active Pending
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