JP2010209449A - 形状凍結性および加工性に優れたステンレス鋼板、その製造方法および物品 - Google Patents

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孝明 平野
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信昭 大橋
Kazumasa Yamazaki
一正 山崎
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Abstract

【課題】形状凍結性および加工性に優れたステンレス鋼板、その製造方法、およびこれを使用した物品を提供する。
【解決手段】C:0.002〜0.08%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部Feからなり、平均結晶粒径3μm以下、圧延方向と圧延直角方向の破断伸び40%以上、圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差2.0°以下であるステンレス鋼板。熱間圧延鋼板を、50〜90%の圧延率で冷間圧延して加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃で熱処理して微細オーステナイトとし、さらに50〜90%の圧延率で冷間圧延して再度加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃の温度で熱処理して加工誘起マルテンサイトを逆変態させて微細オーステナイトとする工程を含む上記ステンレス鋼板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス鋼板、その製造方法および該鋼板を使用した物品に関する。さらに詳細には、ある程度の強度と加工性および加工後の形状凍結性ならびに表面の美麗性が要求される各種用途、たとえば、モバイルパーソナルコンピュータ・携帯電話・携帯オーディオ製品の外装品、コネクタ部品、プリンタのブレード部品、反射用途部品などに適用するステンレス鋼板、その製造方法および該鋼板を使用した物品に関するものである。
一般に、ステンレス鋼板の結晶粒径が大きいと、プレス加工後の表面の凹凸が大きくなることが知られており、これを避けるために結晶粒径を小さくすることが求められている。この結晶粒径を小さくするための方法として、冷間圧延により生成させた加工誘起マルテンサイトをオーステナイトに逆変態させる方法が知られており、たとえば以下に示す特許文献1〜4及び非特許文献5にその詳細が記載されている。
しかしながら、これらの方法は、冷間圧延により加工歪みを加え、その後、比較的低い温度で熱処理することを特徴としており、冷間圧延により生じた伸びなどの機械的性質の異方性が十分に解消されていないという欠点を有していた。すなわち、圧延方向と圧延直角方向とでは、伸び、スプリングバック量などの機械的性質が異なり、プレス加工や曲げ加工などの塑性加工を施した際に形状凍結性が劣るという欠点を有していた。
特開2003-193202号公報 特開平2−225647号公報 特開平4−146946号公報 特開平11−80906号公報
鉄と鋼 第74年(1988) 第6号 1058〜1064頁
本発明の目的は、形状凍結性および加工性に優れたステンレス鋼板を提供することである。
本発明の他の目的は、形状凍結性および加工性に優れたステンレス鋼板の製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記ステンレス鋼板を使用した物品を提供することである。
本発明者らは、加工誘起マルテンサイトを利用して微細粒鋼を得るための方法について鋭意検討した結果、特定の化学成分を有するステンレス鋼を用い、冷間圧延による加工誘起マルテンサイト変態とその後の熱処理によるオーステナイトへの逆変態を最適な条件の下で2回以上繰り返すことにより、結晶粒が微細であり、かつ、圧延方向と圧延直角方向の機械的性質の差が極めて少ないステンレス鋼板を得ることが可能であることを見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
本発明は以下に示す、ステンレス鋼板、その製造方法およびそれを使用した物品を提供するものである。
1.質量%で、C:0.002〜0.08%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、平均結晶粒径が3μm以下であり、圧延方向と圧延直角方向の破断伸びが40%以上であり、かつ圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下であることを特徴とするステンレス鋼板。
2.ビッカース硬度が、220〜280HVである上記1記載のステンレス鋼板。
3.平均結晶粒径が3μm以下であり、圧延方向と圧延直角方向の破断伸びが40%以上であり、かつ圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下であるステンレス鋼板の製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする方法。
(1)質量%で、C:0.002〜0.08%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製・鋳造し、熱間圧延する工程、
(2)該熱間圧延鋼を、さらに50〜90%の圧延率にて冷間圧延して加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃の温度にて熱処理することにより冷間圧延で生成した加工誘起マルテンサイトを逆変態させ微細オーステナイトとする工程、
(3)工程(2)で得られた鋼板を、さらに50〜90%の圧延率にて冷間圧延して再度加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃の温度にて熱処理することにより冷間圧延で生成した加工誘起マルテンサイトを逆変態させて平均結晶粒径3μm以下の微細オーステナイトとする工程。
4.上記1又は2記載のステンレス鋼板を使用した物品。
本発明のステンレス鋼板は、平均結晶粒径が3μm以下、圧延方向と圧延直角方向の破断伸びが40%以上であり、かつ圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下である。結晶粒径が3.0μm以下であるため、加工後の肌荒れが少なく、加工後も美麗な表面外観を呈している。また、圧延方向と圧延直角方向の破断伸びが40%以上であるため、優れた加工性を示す。さらに、圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下であるため、加工性における異方性が極めて少ない。このように、形状凍結性および加工性に優れているため、本発明のステンレス鋼板は、モバイルパーソナルコンピュータ・携帯電話・携帯オーディオ製品等の外装品、コネクタ部品、プリンタのブレード部品、反射用途部品などの工業製品の製造に極めて有益である。
以下本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のステンレス鋼の製造に使用する原料鋼は、質量%で、C:0.002〜0.08%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる。化学成分が上記範囲内の原料鋼を、加工誘起マルテンサイト生成のための冷間圧延およびその後の逆変態のための熱処理に付することにより本発明の所期の特性を有するステンレス鋼が得られる。
〔合金成分〕
Cは、オーステナイト形成元素であり、逆変態温度を低下させる作用があるが、多量に含まれると、本発明の特徴である加工性を損ねることになるので、上限を0.08%とし、0.002%より低くすることは工業生産上製造コストの大幅な上昇をもたらすので、0.002%を下限とする。
Siは、本発明において必須の元素ではない。脱酸のために添加を必要とする場合があるため最小限含有してもかまわないが、1.0%を超えると鋼の延性を低下させることになるので、1.0%以下であることが好ましい。
Mnは、オーステナイト形成元素であり、逆変態温度を低下させる作用があるが、多量に含まれると、冷間圧延時に加工誘起マルテンサイトを生成させ難くするので、上限を2.0%とする。下限は特に規定はしないが、鉄鋼製造の常法に基づき鋼塊を製造する際にSに起因する微細な割れが発生しないよう、SをMnSとして析出固定するのに十分な程度の量である、0.5%以上、例えば、1.0%程度とすることが望ましい。
Pは、多量に含まれると低温での脆化が著しくなり、また加工性の低下が見られるようになるので、上限を0.045%とすることが望ましい。下限は特に規定はしないが、製造コストの著しい上昇をきたさない程度の量(例えば、0.03%)とすることが望ましい。
Sは、大量に含まれると鋼塊製造時、あるいは熱間圧延時に割れを生じる可能性が出てくるので、0.030%を上限とすることが望ましい。下限は特に規定はしないが、製造コストの著しい上昇をきたさない程度の量(例えば、0.003%)とすることが望ましい。
Niは、オーステナイト形成元素であり、その量によって冷間圧延時に生成する加工誘起マルテンサイトの量に影響を及ぼす。また、逆変態温度を低下させ、逆変態により生成する微細粒の大きさに影響を及ぼす。このため、適正な量として、8.0〜10.5%とする。
Crは、耐食性を確保する上で必須の元素であり、本発明の鋼が適用される用途としての耐食性を確保するためには、18.0%が必要である。このため下限を18.0%とする。また、20.0%を超えて含有すると、鋼の靱性が低下し、また加工性も低下するので、上限を20.0%とする。
その他の元素に関しては、鋼の溶製時に不可避的に含まれる元素はその含有を許容する。また、脱酸に必要なAlは、0.20%程度まで含まれていても良い。さらに、耐食性を高めるためのMo、Cuは本発明の効果を損なわない程度に含有することが許される。すなわち、Moは0.5%まで、Cuも0.5%までの含有は許される。
本発明のステンレス鋼板は、例えば、以下の工程(1)〜(3)を含む方法により製造することができる。
(1)質量%で、C:0.002〜0.08%、Si:1.0%以下、Mn:0.5〜2.0%、P:0.045%以下、S:0.030%以下、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製・鋳造し、熱間圧延する工程。
(2)該熱間圧延鋼を、さらに50〜90%、好ましくは60〜80%の圧延率にて冷間圧延して加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃、好ましくは800〜900℃の温度にて、好ましくは1〜600秒間、さらに好ましくは1〜300秒間熱処理することにより冷間圧延で生成した加工誘起マルテンサイトを逆変態させ、好ましくは平均結晶粒径5μm以下の微細オーステナイトとする工程。
(3)該微細オーステナイトを冷間圧延温度、通常は室温まで冷却後、さらに50〜90%、好ましくは60〜80%の圧延率にて冷間圧延して再度加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃、好ましくは800〜900℃の温度にて、好ましくは1〜600秒間、さらに好ましくは1〜300秒間熱処理することにより冷間圧延で生成した加工誘起マルテンサイトを逆変態させ、平均結晶粒径3μm以下、好ましくは1.5〜2.5μmの微細オーステナイトとする工程。
工程(1)
本発明のステンレス鋼板を製造するに際し、熱間圧延の段階まではステンレス鋼製造の常法に従う。すなわち、鋼を転炉あるいは電気炉などで溶製し、ついで連続鋳造などにより鋼塊となし、その後熱間圧延を施す。得られた熱間圧延鋼板の厚みは通常3.0〜4.0mm程度である。
この熱間圧延鋼板を、50〜90%、好ましくは60〜80%の圧延率にて冷間圧延を施して加工誘起マルテンサイトを生成させる。本発明の特徴とするところは、工程(2)および工程(3)を含むことにある。すなわち、適正な条件の下で、冷間圧延と加工誘起マルテンサイトの逆変態を起こさせるための微細化処理を2回繰り返すことにある。
工程(2)〔微細化処理I〕
まず工程(2)の微細化処理では、工程(1)で得られた熱間圧延鋼板を、50%以上90%以下、好ましくは60〜80%の圧延率にて冷間圧延する。この冷間圧延の狙いは、加工誘起マルテンサイトを体積率にして30〜50%生成させることにある。圧延率が50%未満では、生成する加工誘起マルテンサイトの体積率が少なく、また、90%を超えると加工誘起マルテンサイトの体積率が50%を超え、最終的に所望する異方性を低減する効果がなくなる傾向がある。
ついで、750〜920℃、好ましくは800〜900℃の温度範囲で、還元雰囲気(例えば、水素ガス)中において加熱処理するか、または大気中で加熱処理後、酸化スケールを、例えば、硝弗酸水溶液中で酸洗処理して除去する。加熱処理時間は、好ましくは1〜600秒間、さらに好ましくは1〜300秒間である。生成した加工誘起マルテンサイトをオーステナイトに逆変態させる。750℃未満の温度では、逆変態して生成するオーステナイト量が少なく、最終的に所望する微細粒組織と異方性の低減の効果がなくなる傾向がある。また、920℃を超えると結晶粒の粗大化が始まり、最終的に微細な結晶粒が得られなくなる傾向がある。この1回目の微細化処理、すなわち冷間圧延と逆変態熱処理により、好ましくは平均結晶粒径が5μm以下、さらに好ましくは2.5〜5μmの微細オーステナイト組織を有するステンレス鋼板を得ることができる。
工程(3)〔微細化処理II〕
次に工程(3)の微細化処理では、工程(2)で得られた微細オーステナイトを室温程度まで冷却後、50%以上90%以下、好ましくは60〜80%の圧延率にて冷間圧延する。この冷間圧延の狙いは、工程(2)で得られた微細オーステナイトを圧延加工により加工誘起マルテンサイトに変態させ、この加工誘起マルテンサイトを体積率にして50〜80%生成させることにある。圧延率が、50%未満では、最終的に必要な加工誘起マルテンサイトの体積率50%が得られなくなる傾向がある。また、圧延率が90%を超えると、微細化と異方性の低減に適正な加工誘起マルテンサイトの体積率80%を超える傾向がある。
冷間圧延後、750〜920℃、好ましくは800〜900℃の温度範囲で、還元雰囲気(例えば、水素ガス)中において加熱処理するか、または大気中で加熱処理後、酸化スケールを、例えば、硝弗酸水溶液中で酸洗処理して除去する。加熱処理時間は、好ましくは1〜600秒間、さらに好ましくは1〜300秒間である。生成した加工誘起マルテンサイトをオーステナイトに逆変態させる。熱処理の温度が、750℃未満では、生成する逆変態オーステナイト量が少なく、微細粒が得られないことがある。
また、本発明鋼板適用の対象となる部品の加工性を確保するには、硬さがビッカース硬度で、好ましくは220〜280HV、さらに好ましくは230〜270HVであることが望ましい。熱処理温度が750℃を下回るとこの硬さが得られなくなることがある。熱処理温度が920℃を超えると、結晶粒の粗大化が始まり、微細粒組織が得られなくなることがある。この2回目の微細化処理により平均結晶粒径が3.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmの微細オーステナイト組織を有するステンレス鋼板を得ることができる。
本発明の特徴は、微細化処理を2回繰り返すことにある。1回目の微細化処理の際に、冷間圧延率を極めて高くとって、結晶粒を本発明の目的とする3μm以下の微細な粒にすることができるが、この方法では圧延方向と圧延直角方向との異方性が大きくなり、成形性の観点からは均質な特性が得られなくなる。これに対し、本発明では、1回目の微細化処理の際に行う熱処理により、微細結晶粒を維持しつつ圧延による異方性の解消を図る。さらに、2回目の微細化処理により狙いとする微細結晶粒を得るとともに、その際の熱処理により圧延にて生成した異方性を解消する。この2回の繰り返しを行うことによって、微細結晶粒と成形性における異方性の少ない、すなわちより均質な鋼板を得ることができる。
本発明による鋼板の金属組織および機械的性質は以下の方法により測定したものである。
平均結晶粒径は、JIS G 0551(2005) 鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法に準じ、供試材の板厚中央部の断面組織から求めた。
破断伸びは、JIS Z 2241(1998)金属材料引張試験方法に準じ、圧延方向と圧延直角方向を長手方向とするJIS 13号B試験片を作製し、引張試験により伸びを測定することにより求めた。
曲げ性は、鋼板から圧延方向と圧延直角方向を長手方向とする幅40mm×長さ20mmの試験片を作製し、JIS Z 2248(2006)に準ずるVブロック法を用い、曲げ角度90°、曲げ半径5.0mm の曲げ試験を行い、試験後の角度を測定し、90°からの変化量でスプリングバック量を評価した。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
まず、表1に示す化学成分(数値は質量%)を有する鋼を溶製し、板厚3.0mmの熱間圧延鋼板を製造した。
この熱間圧延鋼板を、表2に示す条件で微細化処理を行った。微細化処理後の平均結晶粒径を表2に、硬さ、伸び、及びスプリングバック量の測定結果を表3に示す。表2及び表3において、No.1〜14が本発明の実施例であり、No.15〜31は比較例である。
熱間圧延鋼板に圧延率20〜87%で冷間圧延を施した。この際、圧延率50〜90%が本発明の範囲内である。さらに400〜1100℃の温度範囲にて20秒間の逆変態熱処理を施した。この際、750〜920℃が本発明の範囲内である。得られた鋼板に、再び圧延率20〜85%の冷間圧延を施した。この圧延においては、圧延率50〜90%が本発明の範囲内である。得られた鋼板にさらに500〜1100℃の温度範囲にて20秒間の熱処理を施した。この熱処理のうち750〜920℃が本発明の範囲内である。得られた鋼板の平均結晶粒径、硬さ、破断伸び、曲げ加工後のスプリングバック量を測定した。
本発明の実施例(例No.1〜No.14)は、いずれも硬さ220〜280HV、破断伸び40%以上を有し、圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下となった。
これに対し、微細化処理Iのみを行い、微細化処理IIを行っていない、比較例No.15〜16およびNo.27は、平均結晶粒径が3μmを超えている。
圧延率が低い、熱処理温度が低い、あるいは、微細化処理IIを行っていない比較例No.17〜No.21では、平均結晶粒径が3μmを超え(又は測定不可)、破断伸びが40%未満であり、スプリングバック量が2°を超えている。
圧延率が低い、あるいは熱処理温度が本発明の範囲外である比較例No.22〜26では、加工性(破断伸び、スプリングバック量)に問題は無いが、平均結晶粒径が3μmを超え、加工後の表面の美麗さが劣るものとなった。また、望ましい硬さ(220〜280HV)も得られなかった。
また、C、NiおよびCrの量が本発明で規定する範囲外の鋼を使用した比較例No.28〜31では、本発明の処理を行っても(比較例No.28および30)、平均結晶粒径が3μmを超え(又は測定不可)、破断伸びが40%未満であり、スプリングバック量の差が2.0°を超えている。
Figure 2010209449
Figure 2010209449
※1 未処理
※2 加工誘起マルテンサイト及び加工硬化オーステナイト粒の生成により、平均結晶粒の測定が不可能
Figure 2010209449

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.002〜0.08%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、平均結晶粒径が3μm以下であり、圧延方向と圧延直角方向の破断伸びが40%以上であり、かつ圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下であることを特徴とするステンレス鋼板。
  2. ビッカース硬度が、220〜280HVである請求項1記載のステンレス鋼板。
  3. 平均結晶粒径が3μm以下であり、圧延方向と圧延直角方向の破断伸びが40%以上であり、かつ圧延方向と圧延直角方向のスプリングバック量の差が2.0°以下であるステンレス鋼板の製造方法であって、下記の工程を含むことを特徴とする方法。
    (1)質量%で、C:0.002〜0.08%、Mn:0.5〜2.0%、Ni:8.0〜10.5%、Cr:18.0〜20.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を溶製・鋳造し、熱間圧延する工程、
    (2)該熱間圧延鋼を、さらに50〜90%の圧延率にて冷間圧延して加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃の温度にて熱処理することにより冷間圧延で生成した加工誘起マルテンサイトを逆変態させ微細オーステナイトとする工程、
    (3)工程(2)で得られた鋼板を、さらに50〜90%の圧延率にて冷間圧延して再度加工誘起マルテンサイトを生成させ、ついで750〜920℃の温度にて熱処理することにより冷間圧延で生成した加工誘起マルテンサイトを逆変態させて平均結晶粒径3μm以下の微細オーステナイトとする工程。
  4. 請求項1又は2記載のステンレス鋼板を使用した物品。
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