JP2010235644A - 酸化重合硬化型塗料用ドライヤー、塗料、及びその塗膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化重合硬化型塗料用ドライヤーとして、従来になく硬化性に著しく優れる酸化重合硬化型塗料用ドライヤー、これを用いた塗料、及びその硬化塗膜を提供すること。
【解決手段】ナフテン酸コバルトに代表される脂肪酸コバルト塩化合物(a1)、及び、2−エチルヘキサン酸バリウムに代表される脂肪酸バリウム塩化合物(a2)を必須とするドライヤーを、アルキッド樹脂等の酸化重合硬化型樹脂用塗料のドライヤーとして使用する。
【選択図】なし
【解決手段】ナフテン酸コバルトに代表される脂肪酸コバルト塩化合物(a1)、及び、2−エチルヘキサン酸バリウムに代表される脂肪酸バリウム塩化合物(a2)を必須とするドライヤーを、アルキッド樹脂等の酸化重合硬化型樹脂用塗料のドライヤーとして使用する。
【選択図】なし
Description
本発明は、酸化重合硬化型油性塗料に好適に用いることができるドライヤー及びそれを用いた塗料に関し、更に詳しくは、コバルト・マンガン系ドライヤーと同等又はそれ以上の硬化促進性を有するドライヤー、それを用いた塗料、及びその塗膜に関する。
酸化重合硬化型の塗料の分野では、通常、コバルト、マンガン、鉛、鉄、亜鉛、カルシウム、セリウム等の金属原子とオクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸等の脂肪酸との塩である脂肪酸金属塩がドライヤー(硬化促進剤)として広く用いられている。
かかる酸化重合硬化型油性塗料は通常屋外で塗装されるため、一年を通じて低温から常温に亘る外気温度下で塗料を短時間で硬化させ、屋外塗装の作業効率を高めることが求められている。このため、比較的強い硬化促進性を有するコバルトやマンガン等の有機酸金属塩が主として使用されているが、これらの有機酸金属塩はその硬化促進性において必ずしも満足できレベルのものではなく、生産性向上の観点から、より強い硬化促進性を有するドライヤーとそのようなドライヤーを用いた酸化重合硬化型油性塗料が求められている。
かかる酸化重合硬化型油性塗料は通常屋外で塗装されるため、一年を通じて低温から常温に亘る外気温度下で塗料を短時間で硬化させ、屋外塗装の作業効率を高めることが求められている。このため、比較的強い硬化促進性を有するコバルトやマンガン等の有機酸金属塩が主として使用されているが、これらの有機酸金属塩はその硬化促進性において必ずしも満足できレベルのものではなく、生産性向上の観点から、より強い硬化促進性を有するドライヤーとそのようなドライヤーを用いた酸化重合硬化型油性塗料が求められている。
そこで、従来より、脂肪酸金属塩型のドライヤーの硬化促進性を一層向上させるべく、例えば、ネオデカン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等の脂肪酸コバルト塩をホウ酸で変性させたホウ酸変性金属石鹸(下記、特許文献1参照)が知られている。
然し乍ら、このホウ酸変性金属石鹸を用いたドライヤーは優れた硬化性を有するものの、近年、要求されている水準にはなく、より一層の硬化性の改善が求められていた。
然し乍ら、このホウ酸変性金属石鹸を用いたドライヤーは優れた硬化性を有するものの、近年、要求されている水準にはなく、より一層の硬化性の改善が求められていた。
従って、本発明が解決しようとする課題は、酸化重合硬化型塗料用ドライヤーとして従来になく硬化性に著しく優れる酸化重合硬化型塗料用ドライヤー、これを用いた塗料、及びその硬化塗膜を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸化重合硬化型塗料用ドライヤーとして脂肪酸コバルト塩化合物(a1)と脂肪酸バリウム塩化合物(a2)とを併用することにより、これを配合した塗料が優れた硬化性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)を必須成分とすることを特徴とする酸化重合硬化型塗料用ドライヤーに関する。
本発明は、更に、上記酸化重合硬化型塗料用ドライヤー(A)、及び酸化重合硬化型樹脂(B)を必須成分とする塗料に関する。
本発明は、更に、上記塗料を被塗物に塗布、硬化させてなる塗膜に関する。
本発明によれば、酸化重合硬化型塗料用ドライヤーとして従来になく硬化性に著しく優れる酸化重合硬化型塗料用ドライヤー、これを用いた塗料、及びその硬化塗膜を提供できる。
本発明で用いる酸化重合硬化型塗料用ドライヤーは、前記した通り、脂肪酸コバルト塩化合物(a1)と脂肪酸バリウム塩化合物(a2)とを併用するものである。ここで、脂肪酸バリウム塩化合物(a2)は、脂肪酸コバルト塩化合物(a1)の触媒活性を飛躍的に高めることができることができ、その結果、これまでにない優れた硬化性を発現させることができる。また、通常、酸化重合硬化型の塗料は、通常、塗布後の乾燥工程において人体に有害なホルムアルデヒドが発生するため、これを抑えるべくアミン系化合物などのホルムアルデヒド・キャッチャーを使用しなければならず、塗料製造のコスト・アップに繋がっていたが、本発明ではこのようなアミン系化合物を使用することなく、本発明のドライヤー自体がホルムアルデヒド・キャッチャーとして機能し、塗膜乾燥時のホルムアルデヒドの逸散を効果的に防止できるという効果も有している。
本発明で用いる脂肪酸コバルト塩化合物(a1)は、例えばプロピオン酸、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、桐油酸、亜麻仁油酸、大豆油酸、樹脂酸等の脂肪酸のコバルト塩が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用しても良い。
本発明では特に塗料への相溶性、溶解性の点から炭素原子数3〜12の脂肪族モノカルボン酸のコバルト塩であることが好ましく、特にオクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸のコバルト塩であることが相溶性、溶解性の点から好ましい。
本発明では特に塗料への相溶性、溶解性の点から炭素原子数3〜12の脂肪族モノカルボン酸のコバルト塩であることが好ましく、特にオクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸のコバルト塩であることが相溶性、溶解性の点から好ましい。
前記脂肪酸コバルト塩化合物(a1)を製造するには、例えば、前記した脂肪酸にコバルト、或いはこれらの水和物、水酸化物、炭酸塩等のコバルト化合物を加えた後、通常40℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃で反応させる。ここで使用する脂肪酸とコバルト又はコバルト化合物とのモル比(脂肪酸/コバルト又はコバルト化合物のモル比)は、通常1.0〜4.0、好ましくは1.5〜2.5の範囲が挙げられる。
一方、本発明で用いる脂肪酸バリウム塩化合物(a2)は、例えばプロピオン酸、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、桐油酸、亜麻仁油酸、大豆油酸、樹脂酸等の脂肪酸のバリウム塩が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用しても良い。
本発明では特に塗料への相溶性、溶解性の点から炭素原子数3〜12の脂肪族モノカルボン酸のバリウム塩であることが好ましく、特にオクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸のコバルト塩であることが相溶性、溶解性の点から好ましい。
前記脂肪酸バリウム塩化合物(a2)を製造するには、例えば、前記した脂肪酸にバリウム、或いはこれらの水和物、水酸化物、炭酸塩等のバリウム化合物を加えた後、通常40℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃で反応させる。ここで使用する脂肪酸とバリウム又はバリウム化合物とのモル比(脂肪酸/バリウム又はバリウム化合物のモル比)は、通常1.0〜4.0、好ましくは1.5〜3.5の範囲が挙げられる。
以上詳述した脂肪酸コバルト塩化合物(a1)と脂肪酸バリウム塩化合物(a2)とのい使用割合は、脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)の存在比率[(a1)/(a2)]が、が、金属原子の質量比率で1/1〜1/50となる割合であることが塗料の乾燥性の点から好ましい。
本発明のドライヤーは前記脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)に、更に有機溶剤(a3)を併用することがドライヤー粘度を低減でき、かつ、塗料との相溶性も良好なものとなる点から好ましく、この場合、ドライヤー中の有機溶剤(a3)の含有率が10〜90質量%となる範囲であることが好ましい。
また、有機溶剤(a3)を併用する場合、前記脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)の混合物を、有機溶剤(a3)で希釈して塗料との混合に供してもよいが、予め、前記脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)をそれぞれ有機溶剤(a3)で希釈し、使用の直前にこれらを混合し、該混合物を塗料に配合するか、或いは、それぞれ有機溶剤(a3)で希釈したものを個々に塗料に配合することが取扱の容易さと塗料への混合性の点から好ましい。ここで使用し得る希釈溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;プロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤、ラウリン酸メチル、オレイン酸エチルのような脂肪酸エステル類及び大豆油、菜種油のような油脂類が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、又は2種以上を併用しても良い。
また、脂肪酸コバルト塩化合物(a1)の有機溶剤溶液、及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)の有機溶剤溶液をそれぞれ調整する場合、有機溶剤の使用量は、各有機溶剤溶液の粘度が適度に低く、作業性及び塗料との相溶性に優れる点から脂肪酸コバルト塩化合物(a1)の有機溶剤溶液中の有機溶剤量の含有率が10〜90質量%となる範囲であること、また、脂肪酸バリウム塩化合物(a2)の有機溶剤溶液中の有機溶剤量の含有率が10〜90質量%となる範囲であることが好ましい。
また、本発発明では、ドライヤーの粘度調整を目的としてグリコールを配合することが好ましい。ここで使用し得るグリコールとしては、ブチルカルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。これらの中でも粘度、相溶性の点からブチルカルビトールが好ましい。グリコールの配合量はドライヤー粘度低減の観点から0.001〜30質量%の範囲であることが好ましい。
上記した本発明のドライヤーは、該ドライヤー中のコバルト金属原子の量が1〜50質量%となる割合であることが、硬化性能の改善効果が一層良好なものとなる点から好ましい。
本発明のドライヤーを配合すべき塗料のバインダー樹脂としては、例えば、酸化重合硬化型アルキッド樹脂、酸化重合硬化型ウレタン樹脂、酸化重合硬化型変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記酸化重合硬化型アルキッド樹脂としては、多塩基酸成分、多価アルコール成分及び油脂肪酸を主たる原料成分とするエステル系樹脂が挙げられる、
上記多塩基酸成分としては、例えば、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸等の二塩基酸;及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物が主として用いられる。更に必要に応じて、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、無水ピロメリット酸等の3価以上の多塩基酸;スルホフタル酸、スルホイソフタル酸及びこれらのアンモニウム塩、ナトリウム塩や低級アルキルエステル化物等を使用することができる。また、酸成分として、安息香酸、クロトン酸、p−t−ブチル安息香酸等の一塩基酸を分子量調整等の目的で併用することができる。
前記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の二価アルコールが挙げられる。更に必要に応じて、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上の多価アルコール;ポリオキシエチレン基を有する多価アルコール等を併用することができる。これらの多価アルコールは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、前記酸成分、アルコール成分の一部をジメチロールプロピオン酸、オキシピバリン酸、パラオキシ安息香酸等;これらの酸の低級アルキルエステル;ε−カプロラクトン等のラクトン類等のオキシ酸成分に置き換えることもできる。
前記油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、キリ油脂肪酸等を挙げることができる。アルキッド樹脂の油長は5〜80質量%、特に20〜70質量%の範囲内であることが、得られる塗膜の硬化性、強靭性、肉持ち感等の面から好適である。
また、アルコール成分の一部としてエポキシ化合物を使用してエポキシ化合物を部分エステル化したエポキシ変性アルキッド樹脂;アルキッド樹脂に無水マレイン酸を導入してなるマレイン化アルキッド樹脂;マレイン化アルキッド樹脂と水酸基含有アルキッド樹脂とを付加してなるグラフト化アルキッド樹脂;アルキッド樹脂にスチレン、(メタ)アクリル酸エステル等のビニルモノマーをグラフト重合させたビニル変性アルキッド樹脂等も使用することができる。
更に、資源のリサイクルのために回収されたポリエチレンテレフタレート(例えば、PETボトル)、産業廃棄物ポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸を主原料とするポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル製品(フィルム、繊維、自動車部品、電子部品等)の製造に際して発生する屑等から再生されたテレフタル酸を主原料とするポリエステル樹脂(以下、「再生PES」と略す。)を利用して、上述のアルコール成分と多塩基酸成分との混合物中に、この再生PESを溶解させ、解重合するとともに、エステル化反応させることにより得られるアルキッド樹脂や、該アルキッド樹脂を無水マレイン酸と反応させて得られるマレイン化アルキッド樹脂、該アルキッド樹脂とエチレン性不飽和基を有さない酸無水物とを反応させて得られる変性アルキッド樹脂等も使用することができる。
以上詳述した酸化重合硬化型アルキッド樹脂は、硬化性及び塗膜物性が良好となる点からガードナー粘度(25℃)が15〜60ストークスのものが好ましい。
前記ウレタン樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオール、油脂と多価アルコールをウムエステル化したポリオール、及びポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン樹脂を使用することができる。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,8−ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族イソシアネート類;3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソシアネート等の脂環族ジシソシアネート類;トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフテンジイソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソサネート、4,4−ジベンジルジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;塩素化ジイソシアネート類、臭素化ジイソシアネート類等が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
前記ポリオールとしては、通常ウレタン樹脂の製造に使用される種々のポリオール、例えば、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリブタジエンポリオール、フランジメタノール等が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
前記油脂と多価アルコールをエステル化したポリオールとしては、例えば、ヨウ素価が7〜200の油脂とトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとをエステル化したものが挙げられ、例えば三井化学株式会社製「XP1076E」、「XP1077E」、「XP1580E」、「FB20−50XB」等の市販品も使用できる。
前記酸化重合硬化型変性エポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を不飽和脂肪酸成分と酸基含有アクリル成分を原料として、これらを反応させることにより得られる樹脂が挙げられる。樹脂原料配合が、原料の合計重量100重量%に対し、エポキシ樹脂30〜50重量%、不飽和脂肪酸成分25〜40重量%及び酸基含有アクリル成分10〜45重量%であると、硬化塗膜の物性に優れる点から好ましい。
また、酸化重合硬化型変性エポキシ樹脂のヨウ素価は、良好な硬化性が得られる点から、30〜100が好ましく、特に35〜90が好ましい。
原料として使用できるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、変性が容易で且つ得られる硬化塗膜の性能に優れる点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これらは、単独で用いてもよく又は2種以上を併用してもよい。
不飽和脂肪酸成分としては、天然または合成系の不飽和脂肪酸がいずれも使用でき、例えば、桐油、アマニ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油、トール油、大豆油、ヤシ油から得られる不飽和脂肪酸等が使用できる。
また、酸基含有アクリル成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸と、スチレンや(メタ)アクリル酸エステル類等の酸基を含有しないアクリルモノマーとの混合物等を用いることができる。後者の酸基を含有しないアクリルモノマーとしては、優れた塗膜硬度が得られる点から、スチレンが好ましい。
酸化重合硬化型変性エポキシ樹脂は、以下のようにして得ることができる。まずエポキシ樹脂と不飽和脂肪酸成分とからエポキシエステル樹脂を製造する。例えば、エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸成分とを、トルエン、キシレン等の適当な溶媒中で、縮合触媒を用い、必要に応じて、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下において、150〜250℃で、所望の酸価となるまで反応させることによりエポキシエステル樹脂を得る。縮合触媒としては、例えば、ジブチル錫オキサイド、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド等が使用できる。
次に、得られたエポキシエステル樹脂を、前記酸基含有アクリル成分と反応させて、酸化重合硬化型変性エポキシ樹脂を得る。エポキシエステル樹脂と酸基含有アクリル成分との反応は、重合開始剤の存在下、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下において、80〜150℃の温度範囲で行うことができる。重合開始剤としては、過酸化物、アゾ化合物等の種々のものが使用でき、例えば、化薬アクゾ製「カヤブチルB(アルキルパーエステル系)」等を、使用するモノマー合計量に対して0.1〜20質量部%の割合で使用できる。
以上詳述した酸化重合硬化型樹脂(B)のなかでも特に本発明では安価で、入手が容易であり、また、塗料の乾燥性(実用性)に優れる点から酸化重合硬化型アルキッド樹脂が好ましい。
本発明の塗料は、上記した酸化重合硬化型塗料用ドライヤー(A)、及び酸化重合硬化型樹脂(B)に加え、更に、有機溶剤(C)を含有することが好ましい。ここで使用し得る有機溶剤(C)としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;プロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール等のエーテル系溶剤が挙げられる。
本発明の塗料は、上記した各成分に加え、更に必要に応じて、顔料等の色材;顔料分散剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、硬化触媒、沈降防止剤等の各種塗料用添加剤を含有させることができる。
前記塗料に対する本発明ドライヤーの配合量は、特に限定されないが、酸化重合硬化型樹脂(B)100質量部に対する、金属成分の合計質量(コバルトとバリウムの合計質量)が0.005〜1.5質量部の範囲となることが好ましい。
以上詳述した本発明の塗料は、常法により被塗物に塗布、乾燥・硬化させることにより本発明の塗膜を得ることができる。ここで、本発明の塗料を塗工することが可能な基材(被塗物)としては、例えば、鉄鋼等が挙げられる。また、塗布後の乾燥条件(硬化条件)としては常乾が挙げあれる。更に、本発明の塗料は塗膜を厚くしても優れた硬化性を発現させることができることから、厚塗り用塗料としてとりわけ有用であり、具体的には、硬化塗膜の膜厚を1〜500μmの範囲とすることができる。従って、本発明の塗料は建築用塗料として有用である。
合成例1(2−エチルヘキサン酸バリウムの合成)
2Lフラスコに2−エチルヘキサン酸540.0gを入れ撹拌しながら水酸化バリウム8水和物400.0gを仕込んだ。常温で1〜3時間撹拌後、110〜120℃まで昇温し、110℃〜120℃で常圧脱水した。ミネラルスピリット320.0gを仕込み、90〜100℃まで冷却後、90〜100℃で5時間減圧脱水した。減圧脱水終了後、ブチルカルビトール34.0gを加え、さらにターペンを加えてバリウム含有量を15.0質量%に調整した。
2Lフラスコに2−エチルヘキサン酸540.0gを入れ撹拌しながら水酸化バリウム8水和物400.0gを仕込んだ。常温で1〜3時間撹拌後、110〜120℃まで昇温し、110℃〜120℃で常圧脱水した。ミネラルスピリット320.0gを仕込み、90〜100℃まで冷却後、90〜100℃で5時間減圧脱水した。減圧脱水終了後、ブチルカルビトール34.0gを加え、さらにターペンを加えてバリウム含有量を15.0質量%に調整した。
比較合成例1(ネオデカン酸コバルトホウ素金属塩の合成)
ネオデカン酸3モル、プロピオン酸3.1モルの混合物に水酸化コバルト3モルを添加し、その後190℃にて反応させ、6モルの水が生成留去するまで加熱を続けた。生成したコバルトのプロピオン酸塩にホウ酸n−ブチル1モルを添加し、220℃まで昇温して、生成留去するプロピオン酸ブチルが3モルになるまで加熱を続けることによって、目的とするネオデカン酸コバルトホウ素金属塩(A2)を得た。得られたネオデカン酸コバルトホウ素金属塩(A2)の水で抽出されるホウ素の含有率は0.04質量%であり、コバルト含有率は22質量%であった。
ネオデカン酸3モル、プロピオン酸3.1モルの混合物に水酸化コバルト3モルを添加し、その後190℃にて反応させ、6モルの水が生成留去するまで加熱を続けた。生成したコバルトのプロピオン酸塩にホウ酸n−ブチル1モルを添加し、220℃まで昇温して、生成留去するプロピオン酸ブチルが3モルになるまで加熱を続けることによって、目的とするネオデカン酸コバルトホウ素金属塩(A2)を得た。得られたネオデカン酸コバルトホウ素金属塩(A2)の水で抽出されるホウ素の含有率は0.04質量%であり、コバルト含有率は22質量%であった。
実施例1及び比較例1〜2
チタンホワイト顔料(テイカ株式会社製「JR−701」)1960g、塗料用樹脂「ベッコゾールP−470−70」(DIC株式会社製大豆油変性アルキッド樹脂:ガードナー粘度(25℃) 31.6ストークス)3340g、ミネラルスピリット280g、皮張防止剤(メチルエチルケトオキシム)20gを3本ロールで混練して得た塗料40gに、下記表1に示す割合で各ドライヤーを配合し、「JIS K 5600−1−1」に準拠して乾燥試験を行った。結果を表1に示す。また、実施例1及び比較例2については、塗料乾燥時のホルムアルデヒド発生量についても評価を行った。結果を表2に示す。
チタンホワイト顔料(テイカ株式会社製「JR−701」)1960g、塗料用樹脂「ベッコゾールP−470−70」(DIC株式会社製大豆油変性アルキッド樹脂:ガードナー粘度(25℃) 31.6ストークス)3340g、ミネラルスピリット280g、皮張防止剤(メチルエチルケトオキシム)20gを3本ロールで混練して得た塗料40gに、下記表1に示す割合で各ドライヤーを配合し、「JIS K 5600−1−1」に準拠して乾燥試験を行った。結果を表1に示す。また、実施例1及び比較例2については、塗料乾燥時のホルムアルデヒド発生量についても評価を行った。結果を表2に示す。
[塗料乾燥時のホルムアルデヒド発生量の評価方法]
JIS K 5601−4−1:2003 塗料成分試験方法-第4部:塗膜からの放散成分分析-第1節:ホルムアルデヒド3.デシケータ法(養生:7日後)に準拠し、ホルムアルデヒド放散量を求めた。
JIS K 5601−4−1:2003 塗料成分試験方法-第4部:塗膜からの放散成分分析-第1節:ホルムアルデヒド3.デシケータ法(養生:7日後)に準拠し、ホルムアルデヒド放散量を求めた。
(表1中の「ナフテン酸コバルト」は、コバルト含有率6質量%のミネラルスピリット溶液であり、「ナフテン酸鉛」は、鉛含有率15質量%のミネラルスピリット溶液である。また、表1中のドライヤー組成における配合量は、前記塗料用樹脂100質量部に対する各化合物のコバルト原子又はバリウム原子の質量である。)
Claims (8)
- 脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)を必須成分とすることを特徴とする酸化重合硬化型塗料用ドライヤー。
- 脂肪酸コバルト塩化合物(a1)及び脂肪酸バリウム塩化合物(a2)の存在比率[(a1)/(a2)]が、金属原子の質量比率で1/1〜1/50となる割合である請求項1記載の酸化重合硬化型塗料用ドライヤー。
- 前記(a1)成分及び(a2)成分に加え、更に有機溶剤(a3)を含有する請求項1又は2記載の酸化重合硬化型塗料用ドライヤー。
- ドライヤー中の有機溶剤(a3)の含有率が10〜90質量%となる範囲である請求項3記載の酸化重合硬化型塗料用ドライヤー。
- 請求項1〜4の何れか1つに記載の酸化重合硬化型塗料用ドライヤー(A)、及び酸化重合硬化型樹脂(B)を必須成分とする塗料。
- 請求項1〜4の何れか1つに記載の酸化重合硬化型塗料用ドライヤー(A)、及び酸化重合硬化型樹脂(B)に加え、更に有機溶剤(C)を含有する塗料。
- 塗料中の前記酸化重合硬化型塗料用ドライヤー(A)の含有率が、酸化重合硬化型樹脂(B)100質量部に対する、金属成分の合計質量(コバルトとバリウムの合計質量)で0.005〜1.5質量部の範囲となる割合である請求項5又は6記載の塗料。
- 請求項5〜7の何れか1つに記載の塗料を被塗物に塗布、硬化させてなる塗膜。
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