JP2010228516A - 減衰力制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 サスペンション装置により発生される力の変化あるいは力の特性勾配の変化により乗員に違和感を与える頻度を減少し得る減衰力制御装置を提供すること。
【解決手段】 バネ上−バネ下相対変位量xsが、サスペンション装置10の弾性力特性の折れ点B1,B2,C,Dにおける特定変位量xB1,xB2,xC,xDであるとき、または、バネ上−バネ下相対速度vs、ショックアブソーバ11の減衰力特性の折れ点における特定速度vNであるときにステッピングモータ14の作動が許可されて、ショックアブソーバ11の段数が変更される。したがって、弾性力の特性勾配の変化および減衰力の特性勾配の変化が乗員に違和感を与えるタイミングと、ショックアブソーバ11の段数が変更されることによる減衰力の不連続的な変化が乗員に違和感を与えるタイミングが一致する。よって、乗員に違和感を与える頻度が減少する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、車両のサスペンション装置に用いられるショックアブソーバの減衰力特性を制御する減衰力制御装置に関する。
車両のサスペンション装置は、車体側の部材であるバネ上部材と車輪側の部材であるバネ下部材との間に介装されたバネおよびショックアブソーバを備える。ショックアブソーバは、概して、流体が封入されたシリンダおよびシリンダ内に配設されたピストンを備える。そして、バネ上部材とバネ下部材との間にて発生する上下振動に伴い伸縮する。伸縮に伴いピストンがシリンダ内を移動するときに、シリンダ内の流体がピストンやピストン内に設けられたバルブなどに形成された流路を流れる。流体が流路を流れるときに発生する抵抗力により上記振動が減衰する。
特許文献1は、サスペンション装置のショックアブソーバの減衰力特性を制御する減衰力制御装置を開示している。特許文献1に記載の減衰力制御装置は、ショックアブソーバの伸縮量が大きいとき、すなわちバネ上部材の上下方向の変位量とバネ下部材の上下方向の変位量との差であるバネ上−バネ下相対変位量が大きいときに減衰力が高くなるように、ショックアブソーバの減衰力特性を制御する。このように制御することにより、ショックアブソーバの伸縮量が大きくなるほど減衰力が大きくなる。よって、ショックアブソーバの伸縮作動がストッパによって規制されることが防止される。なお、減衰力特性は、減衰力のバネ上−バネ下相対速度に対する変化特性である。バネ上−バネ下相対速度は、バネ上部材の上下方向の変位速度とバネ下部材の上下方向の変位速度との差であり、サスペンション装置の振動速度やショックアブソーバの伸縮速度を表す。
特開平8−230437号公報(第二実施例、図21)
減衰力特性を変更することができるショックアブソーバは、主に減衰力特性を多段階に設定することができるように構成されている。このようなショックアブソーバの減衰力特性は、減衰力制御装置によって段階的に変更制御される。
減衰力特性が段階的に変更される場合、変更前後においてショックアブソーバにより発生される減衰力が不連続的に変化する。特に、ショックアブソーバの伸縮速度を表すバネ上−バネ下相対速度が大きいときには、減衰力特性の変更前に発生されていた減衰力と変更後に発生される減衰力との差が大きい。このような減衰力の不連続的な変化によって、乗員は違和感を覚える。
また、ショックアブソーバの減衰力特性は、その勾配が変化する折れ点を有する場合がある。つまり、バネ上−バネ下相対速度に対する減衰力の変化率は一定ではない。例えば、ショックアブソーバの伸縮時にシリンダ内の流体が流れる流路の本数や断面積が、あるバネ上−バネ下相対速度を境に変化する場合には、そのバネ上−バネ下相対速度を境に減衰力特性の勾配が変化する。折れ点は、このような減衰力特性の勾配が変化する点により形成される。バネ上−バネ下相対速度が減衰力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度である場合、減衰力特性の勾配の変化によって乗員は違和感を覚える。
また、サスペンション装置は、バネ上部材とバネ下部材との間の振動に対して弾性力を発生する。この弾性力のバネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性である弾性力特性も、その勾配が変化する折れ点を有する場合がある。つまり、バネ上−バネ下相対変位量に対する弾性力の変化率は一定ではない。例えば、ショックアブソーバの伸縮作動量の限界を規定するストッパは、一般的にウレタンやバネなどの弾性体により構成されている。したがって、ショックアブソーバがこのストッパに干渉した場合、干渉前後において弾性力特性の勾配が変化する。また、エアサスペンション装置においては、ショックアブソーバの伸縮作動量がエアバネ特性に影響する。このため、ショックアブソーバの伸縮作動の過程で、エアバネによる弾性力特性の勾配が変化する。折れ点は、このような弾性力特性の勾配が変化する点により形成される。バネ上−バネ下相対変位量が弾性力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対変位量である場合、弾性力特性の勾配の変化によって乗員は違和感を覚える。
このように、サスペンション装置の振動を減衰する過程において、サスペンション装置により発生される力(例えば減衰力や弾性力)、あるいはサスペンション装置により発生される力の変化特性(例えば減衰力特性や弾性力特性)の勾配の変化により、乗員は違和感を覚える。このような違和感を覚える頻度が多いほど、運転時の不快感が増す。
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、車両のサスペンション装置に用いられるショックアブソーバの減衰力特性を段階的に制御する減衰力制御装置において、サスペンション装置により発生される力の変化あるいは力の変化特性の勾配の変化により、乗員に違和感を与える頻度を減少し得る減衰力制御装置を提供することを目的とする。
本発明の特徴は、バネ上部材とバネ下部材との間に介装され、弾性力および減衰力を発生するサスペンション装置に用いられるショックアブソーバの減衰力特性を段階的に制御する減衰力制御装置において、前記減衰力特性を段階的に変更する減衰力特性変更手段と、バネ下部材とバネ上部材との間の振動状態を表す振動状態量を取得する振動状態量取得手段と、前記振動状態量取得手段により取得された振動状態量が、前記サスペンション装置により発生される力の振動状態量に対する変化特性の折れ点における振動状態量である特定振動状態量であるか否かを判定する振動状態量判定手段と、前記振動状態量判定手段により前記取得された振動状態量が前記特定振動状態量であると判定された場合に前記減衰力特性変更手段の作動を許可し、前記振動状態量判定手段により前記取得された振動状態量が前記特定振動状態量ではないと判定された場合に前記減衰力特性変更手段の作動を禁止する作動制御手段と、を備える減衰力制御装置としたことにある。
この場合、減衰力制御装置は、バネ下部材とバネ上部材との間の振動状態に基づいて、前記減衰力特性の制御目標である要求減衰力特性を決定する要求減衰力特性決定手段を更に備え、前記作動制御手段は、前記振動状態量判定手段により前記取得された振動状態量が前記特定振動状態量であると判定された場合に、前記ショックアブソーバの減衰力特性が前記要求減衰力特性となるように、前記減衰力特性変更手段に作動指令信号を出力するものであるとよい。また、前記振動状態量取得手段は、バネ下部材とバネ上部材との間の上下方向の振動状態を表す振動状態量を取得するものであるのがよい。また、特定振動状態量は、予め定められているものであるのがよい。
上記発明によれば、サスペンション装置の振動状態、すなわちバネ下部材とバネ上部材との間の振動状態を表す振動状態量が特定振動状態量であるときに、減衰力特性変更手段の作動が許可され、振動状態量が特定振動状態量ではないときに、減衰力特性変更手段の作動が禁止される。したがって、振動状態量が特定振動状態量であるときに限り、ショックアブソーバの減衰力特性が段階的に変更され得る。
特定振動状態量は、サスペンション装置により発生される力の振動状態量に対する変化特性の折れ点における振動状態量を表す。よって、振動状態量が特定振動状態量であるときは、サスペンション装置により発生される力の特性の勾配が変化することにより、乗員は違和感を覚える。また、サスペンション装置の減衰力特性を段階的に変更した場合、減衰力の大きさが不連続的に変化する。この変化により乗員は違和感を覚える。本発明によれば、振動状態量が特定振動状態量であるときにショックアブソーバの減衰力特性が段階的に変更されるため、サスペンション装置により発生される力の特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の段階的な変更による減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚えるタイミングが一致する。このようにして乗員が違和感を覚えるタイミングが合わせられるために、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
本発明において、振動状態量は、例えば、バネ上−バネ下相対速度、バネ上−バネ下相対変位量、バネ上部材の上下方向の加速度(バネ上加速度)、バネ下部材の上下方向の加速度(バネ下加速度)など、サスペンション装置の振動状態を表す量である。また、振動状態量取得手段は、一つの振動状態量、例えばバネ上−バネ下相対変位量のみを取得しても良いし、二つ以上の振動状態量、例えばバネ上−バネ下相対変位量およびバネ上−バネ下相対速度を取得してもよい。また、振動状態量判定手段は、振動状態量取得手段が二つ以上の振動状態量を取得した場合には、それぞれの振動状態量を個々に判定し、判定結果の組み合わせにより、総合的な振動状態量が特定振動状態量であるか否かを判定してもよい。例えば、振動状態量取得手段がバネ上−バネ下相対変位量およびバネ上−バネ下相対速度を取得する場合には、振動状態量判定手段は、バネ上−バネ下相対変位量がある特定の変位量である場合、または、バネ上−バネ下相対速度がある特定の速度である場合に、振動状態量が特定振動状態量であると判定し、バネ上−バネ下相対変位量が上記特定の変位量ではなく、且つバネ上−バネ下相対速度が上記特定の速度ではない場合に、振動状態量が特定振動状態量ではないと判定してもよい。
また、前記振動状態量取得手段は、バネ下部材の上下方向の変位量とバネ上部材の上下方向の変位量との差であるバネ上−バネ下相対変位量を取得する相対変位量取得手段を含み、前記振動状態量判定手段は、前記相対変位量取得手段により取得されたバネ上−バネ下相対変位量が、前記サスペンション装置により発生される弾性力のバネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性である弾性力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対変位量である特定変位量であるか否かを判定する相対変位量判定手段を含むものであるとよい。そして、前記作動制御手段は、前記相対変位量判定手段により前記取得されたバネ上−バネ下相対変位量が前記特定変位量であると判定された場合に、前記減衰力特性変更手段の作動を許可するものであるのがよい。この場合、前記作動制御手段は、前記相対変位量判定手段により前記取得されたバネ上−バネ下相対変位量が前記特定変位量ではないと判定された場合に、前記減衰力特性変更手段の作動を禁止してもよいし、また前記振動状態判定手段による他の判定に基づいて前記減衰力特性変更手段の作動の可否を決定してもよい。
これによれば、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量であるときに、減衰力特性変更手段の作動が許可される。特定変位量は、サスペンション装置により発生される弾性力のバネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性である弾性力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対変位量を表す。よって、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量であるときは、弾性力特性の勾配が変化することにより、乗員は違和感を覚える。本発明によれば、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量であるときにショックアブソーバの減衰力特性が段階的に変更されるため、弾性力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の段階的な変更による減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚えるタイミングが一致する。このように乗員が違和感を覚えるタイミングが合わせられるために、違和感を覚える頻度が減少する。
この場合、前記特定変位量は、ショックアブソーバの収縮量を弾性的に規制する収縮側弾性ストッパによってショックアブソーバの収縮作動の規制が開始される収縮側規制開始点におけるバネ上−バネ下相対変位量を含むものであるのがよい。ショックアブソーバがバウンドストッパなどの収縮側弾性ストッパに干渉した場合、干渉前後において、弾性力特性の勾配が変化する。すなわち上記収縮側規制開始点は、弾性力特性の折れ点である。本発明によれば、収縮側規制開始点にて弾性力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の段階的な変更による減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚えるタイミングが一致する。このため、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
また、前記特定変位量は、ショックアブソーバの伸張量を弾性的に規制する伸張側弾性ストッパによってショックアブソーバの伸張作動の規制が開始される伸張側規制開始点におけるバネ上−バネ下相対変位量を含むものであるのがよい。ショックアブソーバがリバウンドスプリングなどの伸張側弾性ストッパに干渉した場合、干渉前後において、弾性力特性の勾配が変化する。すなわち伸張側規制開始点も弾性力特性の折れ点である。本発明によれば、伸張側規制開始点にて弾性力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の段階的な変更による減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚えるタイミングが一致する。このため、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
また、サスペンション装置はエアバネ装置を備え、前記特定変位量は、前記エアバネ装置により発生される弾性力のバネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性であるエアバネ特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対変位量を含むものであるのがよい。エアバネ装置を用いるエアサスペンション装置において、エアバネ装置により発生される弾性力は、バネ上−バネ下相対変位量に対して非線形的に変化する。このためエアバネ特性にも折れ点が存在する場合がある。本発明によれば、エアバネ特性の折れ点にてエアバネ特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の段階的な変更による減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚えるタイミングが一致する。このため、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
また、前記振動状態量取得手段は、バネ下部材の上下方向の変位速度とバネ上部材の上下方向の変位速度との差であるバネ上−バネ下相対速度を取得する相対速度取得手段を含み、前記振動状態量判定手段は、前記相対速度取得手段により取得されたバネ上−バネ下相対速度が、前記サスペンション装置により発生される減衰力のバネ上−バネ下相対速度に対する変化特性である減衰力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度である特定速度であるか否かを判定する相対速度判定手段を含むものであるとよい。そして、前記作動制御手段は、前記相対速度判定手段により前記取得されたバネ上−バネ下相対速度が前記特定速度であると判定された場合に、前記減衰力特性変更手段の作動を許可するものであるのがよい。この場合、前記作動制御手段は、前記相対速度判定手段により前記取得されたバネ上−バネ下相対速度が前記特定速度ではないと判定された場合に、前記減衰力特性変更手段の作動を禁止してもよいし、また前記振動状態判定手段による他の判定に基づいて前記減衰力特性変更手段の作動の可否を決定してもよい。
これによれば、バネ上−バネ下相対速度が特定速度であるときに、減衰力特性変更手段の作動が許可される。特定速度は、サスペンション装置により発生される減衰力のバネ上−バネ下相対速度に対する変化特性である減衰力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度を表す。よって、バネ上−バネ下相対速度が特定速度であるときは、減衰力特性の勾配が変化することにより、乗員は違和感を覚える。本発明によれば、バネ上−バネ下相対速度が特定速度であるときにショックアブソーバの減衰力特性が段階的に変更されるため、減衰力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の段階的な変更による減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚えるタイミングが一致する。このため、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
本発明において、「折れ点」は、上述のようにサスペンション装置により発生される力(弾性力や減衰力)の変化特性(弾性力特性や減衰力特性)の勾配が変化する点である。「折れ点」は、力の変化特性の勾配が不連続的に変化する点であってもよいし、連続的ではあるが、急激に変化する点であってもよい。
本実施形態に係る車両のサスペンション制御装置の全体概略図である。 本実施形態に係るサスペンション装置の断面図である。 本実施形態に係るショックアブソーバのピストンおよびロータリーバルブ付近の拡大図である。 本実施形態に係るショックアブソーバのピストンおよびロータリーバルブ付近の拡大図である。 ショックアブソーバの減衰力特性を表す図である。 サスペンション装置の弾性力特性を表す図である。 本実施形態に係るサスペンションECUが実行する減衰力特性制御プログラムのフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両のサスペンション制御装置1の全体を表す概略図である。このサスペンション制御装置1は、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRと車体Bとの間にそれぞれ設けられる4組のサスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRと、各サスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRの作動を制御するサスペンションECU20を備える。以下、本明細書において、4組のサスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRおよび車輪WFL,WFR,WRL,WRRは、特に前後左右を区別する場合を除き、単にサスペンション装置10および車輪Wと総称される。
図2は、サスペンション装置10の断面図である。このサスペンション装置10は、バネ下部材LAとバネ上部材HAとの間に設けられる。バネ下部材LAは車輪Wに連結されたロアアームなどにより構成され、サスペンション装置10を支持する部材を表す。バネ上部材HAは車体Bを含み、サスペンション装置10により支えられる部材を表す。
図2に示されるように、本実施形態におけるサスペンション装置10は、ショックアブソーバ11とエアバネ装置12とを有するエアサスペンション装置である。まず、ショックアブソーバ11について説明する。ショックアブソーバ11は、シリンダ111と、ピストン112と、ピストンロッド113と、フリーピストン114とを備える。シリンダ111は上下方向に伸びた中空円筒状の部材であり、その下端にてバネ下部材LA(ロアアーム)に連結する。ピストン112およびフリーピストン114は、シリンダ111の内部に配設される。フリーピストン114により、シリンダ111内が流体室111aとガス室111bとに区画される。フリーピストン114よりも上方に位置する流体室111aにはオイルなどの粘性流体が封入される。フリーピストン114よりも下方に位置するガス室111bには高圧ガスが封入される。フリーピストン114によって、流体室111aとガス室111bとの間の気密性および液密性が保たれる。
ピストン112は流体室111a内に配設され、シリンダ111の軸方向に往復移動可能である。ピストンロッド113は、その下端にてピストン112に連結し、その連結部分からシリンダ111内を軸方向上方に延設してシリンダ111の上端部を突き抜けている。そして、その上端にてバネ上部材HAに連結する。
ピストン112により流体室111aがさらに上室R1と下室R2とに分けられる。また、ピストン112には、径の異なる板バネが積層された異径積層バルブ112aが形成される。この異径積層バルブ112aは、シリンダ111内をピストン112が移動することにより発生する上室R1内の圧力と下室R2内の圧力との差が所定の大きさ以上となったときに開弁する。異径積層バルブ112aには、上室R1と下室R2とを連通する微小スリットが形成されており、異径積層バルブ112aが開弁していなくても、流体が微小スリットを経て上室R1と下室R2とを流通することができるようになっている。
また、フリーピストン114は、ピストン112の移動に伴う流体室111aの体積変化に応じてシリンダ111内を移動する。
図2からわかるように、ステッピングモータ14がサスペンション装置10の上部に配設される。このステッピングモータ14はバネ上部材HAに固定される。ステッピングモータ14の出力回転軸は、コントロールロッド15の一端に接続される。コントロールロッド15は、ピストンロッド113の内部に回転可能に配設され、他端にてロータリーバルブ16に連結する。ロータリーバルブ16もピストンロッド113の内部に回転可能に配設される。したがって、ステッピングモータ14の回転駆動によってコントロールロッド15が回転した場合、ロータリーバルブ16もピストンロッド113内にて回転する。
ロータリーバルブ16には、複数のポートおよび複数のスリットが形成される。また、ピストンロッド113には、ロータリーバルブ16に対面可能な部分にポートが形成される。ロータリーバルブ16の回転角の調整によって、ロータリーバルブ16に形成されたポートまたはスリットと、ピストンロッド113に形成されたポートが対面したときに、上記ポートまたはスリットを介して上室R1と下室R2とを連通する流路が形成される。
図3および図4は、ショックアブソーバ11のピストン112およびロータリーバルブ16付近の拡大図である。図3は、シリンダ111の中心軸から右半分の構成を示しており、図4は中心軸から左半分の構成を示している。また、図3に示される矢印は、下室R2から上室R1に向かう主流路を示し、図4に示される矢印は、上室R1から下室R2に向かう主流路を示している。
図3(a)および図4(a)には、ロータリーバルブ16に形成されたポートとピストンロッド113に形成されたポートが対面している状態(全開状態)であるときに形成される主流路が矢印により示される。図からわかるように全開状態であるときには、対面するポートを介して3つの流路が形成される。図3(b)および図4(b)には、ロータリーバルブ16に形成されたポートまたはスリットと、ピストンロッド113に形成されたポートが部分的に対面している状態(中間状態)であるときに形成される主流路が矢印により示される。図からわかるように中間状態であるときには、部分的に対面するポートまたはスリットを介して1つの流路が形成される。また、異径積層バルブ112aを介して流路が形成される。図3(c)および図4(c)には、ロータリーバルブ16に形成されたポートおよびスリットと、ピストンロッド113に形成されたポートが対面していない状態(全閉状態)であるときに形成される流路が矢印により示される。図からわかるように全閉状態であるときは、ポート、スリットを経た流路は形成されず、異径積層バルブ112aを介した流路のみが形成される。
上記のように形成される流路には、ピストン112がシリンダ111内にて相対移動したとき、すなわちピストン112側に連結したバネ上部材HAとシリンダ111側に連結したバネ下部材LAとの間にて上下方向に振動が発生し、この振動によりショックアブソーバ11が軸方向に伸縮したときに、シリンダ111内の粘性流体が流れる。ピストン112がシリンダ111内にて下方に移動したとき、つまりショックアブソーバ11が収縮したときは、図3に示されるように流体が流路を介して下室R2から上室R1へと流れる。ピストン112がシリンダ111内にて上方に移動したとき、つまりショックアブソーバ11が伸張したときは、図4に示されるように流体が流路を介して上室R1から下室R2へと流れる。流体が流路を流れるときの抵抗が、上記振動に対する減衰力になる。流路の形成本数が多いほど、あるいは流路断面積が大きいほど流体は流れやすいので減衰力が低い。つまり、全開状態であれば減衰力は低く、全閉状態であれば減衰力は高い。したがって、ロータリーバルブ16の回転角を変更することにより、発生する減衰力の大きさを変更することができる。
図5は、ショックアブソーバ11の減衰力特性を表す図である。図5の減衰力特性グラフにおいて、横軸がバネ上−バネ下相対速度、縦軸が減衰力である。バネ上−バネ下相対速度は、バネ上部材HAの上下方向の速度とバネ下部材LAの上下方向の速度との差である。このバネ上−バネ下相対速度は、ショックアブソーバ11の伸縮速度(ストローク速度)に等しい。本実施形態において、バネ上部材HAとバネ下部材LAとの間隔が広がる方向に向かう速度、すなわちショックアブソーバ11が伸張する方向に向かう速度が正のバネ上−バネ下相対速度であり、バネ上部材HAとバネ下部材LAとの間隔が狭まる方向に向かう速度、すなわちショックアブソーバ11が収縮する方向に向かう速度が負のバネ上−バネ下相対速度である。減衰力特性は、このバネ上−バネ下相対速度に対する減衰力の変化特性である。
図に示されるように、本実施形態において、ショックアブソーバ11の減衰力特性は、ロータリーバルブ16の回転角の変更により9段階に変更可能である。つまり、減衰力特性は段階的に変更される。減衰力特性は段数により表示される。同一のバネ上−バネ下相対速度にて比較したときに、段数が1段であるときに発生する減衰力が最も低く、9段であるときに発生する減衰力が最も高い。ロータリーバルブ16、コントロールロッド15およびステッピングモータ14は、ショックアブソーバ11の減衰力特性を段階的に変更する減衰力特性変更手段に相当する。
ロータリーバルブ16の回転角の変更により減衰力特性(段数)が変更された場合には、減衰力が不連続的に変化する。この減衰力の不連続的な変化によって乗員は違和感を覚える。特に、バネ上−バネ下相対速度が大きいときに減衰力特性(段数)が変更された場合には、変更前の減衰力と変更後の減衰力との差が大きい。よって乗員は、大きな違和感を覚える。
また、各減衰力特性を表す減衰力特性線は、図において黒丸にて示されているように、いくつかの折れ点を持つ場合がある。この折れ点を境に減衰力特性の勾配が変化する。すなわち、折れ点は、減衰力特性の勾配が変化する点である。この折れ点は、例えばピストン112に形成された異径積層バルブ112aの開閉により、あるバネ上−バネ下相対速度を境にしてシリンダ111内の流体が上室R1と下室R2との間を流通する流路の本数や流路断面積が変化したときに形成される。バネ上−バネ下相対速度がこの折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度であるとき、特にバネ上−バネ下相対速度が折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度を通過するときは、減衰力特性の勾配の変化により乗員が違和感を覚える。折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度は、本明細書において特定速度と呼称される。特定速度は、各減衰力特性によって異なる場合もある。
次に、エアバネ装置12について説明する。図2に示されるように、エアバネ装置12は、シリンダ111の上方側に設けられている。エアバネ装置12は、外筒121と、内筒122と、ダイヤフラム123とを備えている。外筒121は、ピストンロッド113の上半部の周りに配設され、その上端部にて、アッパーサポート部材13を介してバネ上部材HAに連結している。内筒122は、シリンダ111の上半部分の周りに配設され、その下端部にてシリンダ111の外周部に連結している。内筒122の上端開口径は外筒121の下端開口径よりも小さい。したがって、内筒122の上端縁は外筒121の下端縁の内側に位置する。
ダイヤフラム123は、展開形状が円筒である素材の中間部分を折り返すことによって、内周縁および外周縁を有する袋形状を呈している。そして、内周縁側が内筒122に気密的に連結され、外周縁側が外筒121に気密的に連結される。外筒121、内筒122およびダイヤフラム123によって、シリンダ111の上部に気密的なエアチャンバーACが形成される。エアチャンバーAC内の気体の圧力によって、弾性力が発生する。
バネ上部材HAとバネ下部材LAが上下方向に相対変位した場合、その相対変位に伴い、シリンダ111がピストン112およびピストンロッド113に対して上方または下方に移動する。この移動により、エアバネ装置12を構成する外筒121と内筒122との相対的位置関係が変化し、エアチャンバーACの容積が変動する。エアチャンバーACの容積変動により内部の圧力が変動する。この圧力変動によってエアバネ装置12により発生される弾性力が変化する。すなわち、バネ上−バネ下相対変位量に応じてエアバネ装置12により発生される弾性力が変化する。エアバネ装置12により発生される弾性力の、バネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性は、本明細書においてエアバネ特性と呼ばれる。
また、外筒121と内筒122との相対的位置関係が変化した場合、両筒に連結しているダイヤフラム123が変形する。ダイヤフラム123は内筒122の外周を滑りながら変形する。したがって、内筒122の外周形状の形状特性を調整することにより、ダイヤフラム123の変形量が調整される。ダイヤフラム123の変形量の調整によって、エアバネ特性を調整することができる。
また、図2からわかるように、サスペンション装置10にはバウンドストッパ17が取付けられる。バウンドストッパ17は、ピストンロッド113の上部側の外周を覆うように円筒状に形成され、エアチャンバーAC内にてシリンダ111の上方に位置する。そして、その上端部分にてアッパーサポート部材13の下端部にブラケットを介して固定される。
シリンダ111が図2において上方に移動した場合、その上端部分がバウンドストッパ17に干渉する。本実施形態において、バウンドストッパ17はウレタンにより形成されているため、シリンダ111の干渉により弾性変形する。弾性変形によって弾性力が生じる。弾性力は、シリンダ111がバウンドストッパ17に当接した位置にて生じ、シリンダ111がその位置からさらに上方に移動するほど大きくなる。これによりシリンダ111の上方移動によるショックアブソーバ11の収縮が弾性的に規制される。バウンドストッパ17が、本発明の収縮側弾性ストッパに相当する。
また、サスペンション装置10には、リバウンドスプリング18も取付けられている。リバウンドスプリング18は、シリンダ111の上室R1内に配設されている。リバウンドスプリング18は、その下端にて、ピストンロッド113の外周に取付けられたスプリングリテーナ181に連結され、連結端部から上方に向けてピストンロッド113の周りに伸びている。リバウンドスプリング18の上端側は自由端である。
シリンダ111が図2において下方に移動した場合、その上端部分がリバウンドスプリング18の上端側に当接する。その後さらにシリンダ111が下方移動した場合、リバウンドスプリング18が圧縮変形する。この圧縮変形によって弾性力が生じる。弾性力は、シリンダ111がリバウンドスプリング18の上端に当接した位置からさらに下方に移動するほど大きくなる。これによりシリンダ111の下方移動によるショックアブソーバ11の伸張が弾性的に規制される。リバウンドスプリング18が、本発明の伸張側弾性ストッパに相当する。
このように、サスペンション装置10により発生される弾性力は、エアバネ装置12により発生される弾性力、バウンドストッパ17により発生される弾性力およびリバウンドスプリング18により発生される弾性力により構成される。図6は、サスペンション装置10の弾性力特性を示す図である。この弾性力特性グラフの横軸はバネ上−バネ下相対変位量、縦軸は弾性力である。本実施形態において、バネ上部材HAとバネ下部材LAとの間隔が基準間隔から広がる方向の変位量が正のバネ上−バネ下相対変位量であり、基準間隔から狭まる方向の変位量が負のバネ上−バネ下相対変位量である。図からわかるように、弾性力はバネ上−バネ下相対変位量が大きくなるほど大きくなる。弾性力特性は、このバネ上−バネ下相対変位量に対する弾性力の変化特性である。
図6において、バネ上−バネ下相対変位量が領域Aにより示される範囲であるときは、シリンダ111がバウンドストッパ17またはリバウンドスプリング18に干渉していない。この領域A内における弾性力特性はエアバネ特性を表す。図からわかるように、この領域A内において、弾性力特性(エアバネ特性)に折れ点B1,B2が形成されている。この折れ点B1,B2を境に、弾性力特性(エアバネ特性)の勾配が変化する。すなわち折れ点B1,B2は、弾性力特性(エアバネ特性)の勾配が変化する点である。バネ上−バネ下相対変位量が弾性力特性(エアバネ特性)の折れ点B1,B2におけるバネ上−バネ下相対変位量xB1,xB2であるとき、特にバネ上−バネ下相対変位量がxB1,xB2を通過するとき、弾性力特性(エアバネ特性)の勾配の変化により乗員が違和感を覚える。
また、領域Aの境界にて、弾性力特性に折れ点C,Dが形成されている。折れ点Cにおけるバネ上−バネ下相対変位量xCは、シリンダ111がリバウンドスプリング18に接触した位置におけるバネ上−バネ下相対変位量である。バネ上−バネ下相対変位量がxCからさらに正方向に増加した場合、エアバネ装置12による弾性力にリバウンドスプリング18による弾性力が加えられる。このため折れ点Cを境に弾性力特性の勾配が変化する。すなわち折れ点Cは弾性力特性の勾配が変化する点である。折れ点Cが、本発明の伸張側規制開始点に相当する。また、折れ点Dにおけるバネ上−バネ下相対変位量xDは、シリンダ111がバウンドストッパ17に接触した位置におけるバネ上−バネ下相対変位量である。バネ上−バネ下相対変位量がxDからさらに負方向に増加した場合、エアバネ装置12による弾性力にバウンドストッパ17による弾性力が加えられる。このため折れ点Dを境に弾性力特性の勾配が変化する。すなわち折れ点Dは弾性力特性の勾配が変化する点である。折れ点Dが、本発明の収縮側規制開始点に相当する。バネ上−バネ下相対変位量が折れ点C,Dにおけるバネ上−バネ下相対変位量xC,xDであるとき、特にバネ上−バネ下相対変位量がxC,xDを通過するとき、弾性力特性の勾配の変化により乗員が違和感を覚える。弾性力特性上に形成される折れ点B1,B2,C,Dにおけるバネ上−バネ下相対変位量xB1,xB2,xC,xDは、本明細書において特定変位量と呼称される。
また、図1に示されるように、各サスペンション装置10の近傍には、バネ上加速度センサ31、バネ下加速度センサ32、ストロークセンサ33、モータ回転角センサ34がそれぞれ設けられる。バネ上加速度センサ31は車体Bの各車輪位置に取付けられており、その位置おける車体B(バネ上部材HA)の上下方向の加速度であるバネ上加速度αbを検出する。バネ下加速度センサ32は各車輪Wに連結したバネ下部材LAに取付けられており、バネ下部材LAの上下方向の加速度であるバネ下加速度αwを検出する。ストロークセンサ33は各車輪Wに連結するサスペンション装置10に取付けられており、ピストン112とシリンダ111との相対変位量、すなわちストローク量を計測することにより、バネ上−バネ下相対変位量xsを検出する。モータ回転角センサ34は、各サスペンション装置10のステッピングモータ14内に取付けられており、出力回転軸の回転角θを検出する。
上記した各種センサにより得られる信号は、サスペンションECU20に入力される。サスペンションECU20は、ROM,RAM,メモリを含むマイクロコンピュータを主要構成とする。サスペンションECU20は、入力されたセンサ値に基づいて、各サスペンション装置10内に設けられているロータリーバルブ16の回転角を調整することにより、ショックアブソーバ11の減衰力特性を制御する。
上記構成のサスペンション制御装置1において、以下に、サスペンション装置10の減衰力制御について説明する。図7は、サスペンションECU20が実行する減衰力特性制御プログラムの流れを示すフローチャートである。サスペンションECU20は、バネ上部材HAの各輪位置におけるバネ上加速度αbの少なくとも一つが所定の閾値を越えた場合に、図7の減衰力特性制御プログラムを短時間毎に繰り返し実行する。
サスペンションECU20は、図7に示される減衰力特性制御プログラムを図のステップ(以下、ステップ番号をSと略記する)100にて開始する。次いで、S102にて、各種センサから、バネ上加速度αb、バネ下加速度αw、バネ上−バネ下相対変位量xs、回転角θを入力する。続いて、S104にて、バネ上加速度αbを時間微分することにより、バネ上部材HAの上下方向の速度であるバネ上速度vbを計算する。また、バネ下加速度αwを時間微分することにより、バネ下部材LAの上下方向の速度であるバネ下速度vwを計算する。また、バネ上−バネ下相対変位量xsを時間積分することにより、バネ上−バネ下相対速度vsを計算する。さらに、回転角θから、現在のショックアブソーバ11の減衰力特性を表す段数Dを計算する。バネ上−バネ下相対変位量xsおよびバネ上−バネ下相対速度vsが、本発明の振動状態量に相当する。したがって、S102およびS104にて実行される処理が、本発明の振動状態量取得手段に相当する。また、S102にてバネ上−バネ下相対変位量xsを入力する処理が、本発明の相対変位量取得手段に、S104にてバネ上−バネ下相対速度vsを計算する処理が、本発明の相対速度取得手段に相当する。
次に、サスペンションECU20は、S106にて、要求減衰力Freqを計算する。要求減衰力Freqは、ショックアブソーバ11が発生すべき制御目標の減衰力である。要求減衰力Freqは、バネ上加速度αb,バネ下加速度αw,バネ上速度vb,バネ下速度vw、バネ上−バネ下相対速度vs,バネ上−バネ下相対変位量xsなどにより表されるバネ下部材LAとバネ上部材HAとの間の振動状態に基づいて計算される。計算するための制御理論として、例えば非線形H制御理論や、スカイフック制御理論を用いることができる。これらの制御理論は公知であるので具体的な説明は省略する。
次いで、サスペンションECU20は、S108にて、要求段数Dreqを計算する。要求段数Dreqは、ショックアブソーバ11の減衰力特性の制御目標となる段数である。サスペンションECU20は、減衰力特性テーブルを参照して要求段数Dreqを決定する。減衰力特性テーブルは、複数のバネ上−バネ下相対速度と、各バネ上−バネ下相対速度においてショックアブソーバ11が発生し得る減衰力を、減衰力特性を表す段数ごとに対応付けたテーブルである。サスペンションECU20は、この減衰力特性テーブルを、各サスペンション装置10のショックアブソーバ11ごとに記憶している。そして、この減衰力特性テーブルから、バネ上−バネ下相対速度vsに対応する減衰力を段数ごとに抽出する。抽出した減衰力の中から、要求減衰力Freqに最も近い減衰力についての段数を、要求段数Dreqに決定する。S108にて要求段数Dreqを決定する処理が、本発明の要求減衰力特性決定手段に相当する。また、要求段数Dreqが、本発明の要求減衰力特性に相当する。
続いて、サスペンションECU20は、S110にて、要求段数Dreqが現在の段数Dに等しいか否かを判定する。S110の判定結果がYesである場合、すなわち要求段数Dreqが現在の段数Dに等しい場合は、ショックアブソーバ11の減衰力特性を変化させる必要がないためS118に進んでこのプログラムを終了する。一方、S110の判定結果がNoである場合、すなわち要求段数Dreqが現在の段数Dと異なる場合は、S112に進む。
S112にて、サスペンションECU20は、S102にて入力したバネ上−バネ下相対変位量xsが、サスペンションECU20のメモリに予め記憶された特定変位量xB1,xB2,xC,xDのいずれかであるか否かを判定する。この場合、S102にて入力されたバネ上−バネ下相対変位量xsが、各特定変位量xB1,xB2,xC,xDを中心とした所定範囲内の変位量(例えばxB1±1mm,xB2±1mm,xC±1mm,xD±1mm)であるか否かを判定してもよい。このS114にて実行される処理が、本発明の振動状態量判定手段および相対変位量判定手段に相当する。
S112の判定結果がYesである場合、すなわちS102にて入力したバネ上−バネ下相対変位量xsが特定変位量xB1,xB2,xC,xD(あるいは特定変位量xB1,xB2,xC,xDの近傍の変位量)のいずれかである場合は、S116に進む。そして、S116にて要求段数Dreqに対応する作動指令信号をステッピングモータ14に出力する。これにより、ショックアブソーバ11の減衰力特性を表す段数が、現在の段数Dから要求段数Dreqになるように、ステッピングモータ14が作動する。このようにしてショックアブソーバ11の減衰力特性を表す段数が変更制御される。
一方、S112の判定結果がNoである場合、すなわちS102にて入力したバネ上−バネ下相対変位量xsが特定変位量xB1,xB2,xC,xD(あるいは特定変位量xB1,xB2,xC,xDの近傍の変位量)のいずれでもない場合は、S114に進む。
S114にて、サスペンションECU20は、S104にて計算したバネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vNであるか否かを判定する。特定速度vNは、ショックアブソーバ11の減衰力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度である。この特定速度vNは、減衰力特性を表す段数毎に、特定速度テーブルとしてサスペンションECU20のメモリに予め記憶されている。特定速度vNの個数は、段数によっては0個である場合もあるし、1個あるいは複数個である場合もある。S114では、この特定速度テーブルから現在の段数Dに対応する特定速度vNを抽出し、S104にて計算されたバネ上−バネ下相対速度vsが抽出した特定速度vNに一致するか否かを判定する。この場合、S104にて計算したバネ上−バネ下相対速度vsが、抽出した特定速度vNを中心とした所定範囲内の速度(例えばvN±0.01m/s)であるか否かを判定してもよい。このS112にて実行される処理が、本発明の振動状態量判定手段および相対速度判定手段に相当する。
S114の判定結果がYesである場合、すなわちS104にて計算されたバネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vN(あるいは特定速度vNの近傍の速度)である場合は、S116に進む。そして、S116にて要求段数Dreqに対応する作動指令信号を出力する。これにより、ショックアブソーバ11の減衰力特性を表す段数が、現在の段数Dから要求段数Dreqになるように、ステッピングモータ14が作動する。このようにしてショックアブソーバ11の減衰力特性を表す段数が変更制御される。サスペンションECU20および減衰力特性変更手段(ステッピングモータ14、コントロールロッド15、ロータリーバルブ16)が、本発明の減衰力制御装置に相当する。
一方、S114の判定結果がNoである場合、すなわちS104にて計算されたバネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vN(あるいは特定速度vNの近傍の速度)ではない場合は、S118に進んでこのプログラムを終了する。S112およびS114の判定結果がNoである場合は、バネ上−バネ下相対変位量xsが特定変位量xB1,xB2,xC,xDのいずれでもなく、且つバネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vNではない。このような場合には決定した要求段数Dreqに対応する作動指令信号は出力されない。このためステッピングモータ14は作動せず、ショックアブソーバ11の減衰力特性は変更されない。
上記した制御からわかるように、バネ上−バネ下相対変位量xsが特定変位量xB1,xB2,xC,xDである場合、または、バネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vNである場合は、要求段数Dreqに対応する作動指令信号が出力される。すなわちステッピングモータ14の作動が許可される。一方、バネ上−バネ下相対変位量xsが特定変位量xB1,xB2,xC,xDではなく、且つバネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vNではない場合は、要求段数Dreqに対応する作動指令信号は出力されないので、ステッピングモータ14は作動しない。すなわちステッピングモータ14の作動が禁止される。S112またはS114の判定結果がYesであるときにS116にて作動指令信号を出力することによりステッピングモータ14の作動を許可する処理、および、S112およびS114の判定結果がNoであるときにS116の処理を実行しないことによりステッピングモータ14の作動を禁止する処理が、本発明の作動制御手段に相当する。
ステッピングモータ14の作動によってショックアブソーバ11の段数が要求段数Dreqになるように変更された場合、変更前の減衰力と変更後の減衰力の大きさが異なるので、減衰力が不連続的に変化する。この減衰力の不連続的な変化により乗員が違和感を覚える。また、バネ上−バネ下相対変位量xsが弾性力特性の折れ点における特定変位量xB1,xB2,xC,xDである場合、弾性力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚える。本実施形態においては、ステッピングモータ14の作動を許可するタイミングを、バネ上−バネ下相対変位量xsが特定変位量xB1,xB2,xC,xDになるタイミングに合わせることにより、減衰力特性の段数変更により乗員が違和感を覚えるタイミングと、弾性力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングとを合わせている。このため、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
また、バネ上−バネ下相対速度vsが、減衰力特性の折れ点における特定速度vNである場合、減衰力の特性勾配が変化することにより乗員が違和感を覚える。本実施形態においては、ステッピングモータ14の作動を許可するタイミングを、バネ上−バネ下相対速度vsが特定速度vNになるタイミングに合わせることにより、減衰力特性の段数変更により乗員が違和感を覚えるタイミングと、減衰力特性の勾配が変化することにより乗員が違和感を覚えるタイミングとを合わせている。このため、乗員に違和感を与える頻度が減少する。
以上のように、本実施形態によれば、バネ上−バネ下相対変位量xsがサスペンション装置10の弾性力特性の折れ点B1,B2,C,Dにおける特定変位量xB1,xB2,xC,xDであるとき、または、バネ上−バネ下相対速度vsがショックアブソーバ11の減衰力特性の折れ点における特定速度vNであるときに、ステッピングモータ14の作動が許可されて、ショックアブソーバ11の段数が変更される。したがって、弾性力特性の勾配の変化および減衰力特性の勾配の変化が乗員に違和感を与えるタイミングと、ショックアブソーバ11の段数が変更されることによる減衰力の不連続的な変化が乗員に違和感を与えるタイミングが一致する。よって、乗員が違和感を覚える頻度が減少する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態によれば、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量である場合、または、バネ上−バネ下相対速度が特定速度である場合にステッピングモータ14の作動を許可し、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量ではなく、且つバネ上−バネ下相対速度が特定速度ではない場合にステッピングモータ14の作動を禁止している。しかし、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量である場合にステッピングモータ14の作動を許可し、バネ上−バネ下相対変位量が特定変位量ではない場合にステッピングモータ14の作動を禁止してもよい。同様に、バネ上−バネ下相対速度が特定速度である場合にステッピングモータ14の作動を許可し、バネ上−バネ下相対速度が特定速度ではない場合にステッピングモータ14の作動を禁止してもよい。また、上記実施形態においては、ステッピングモータ14に作動指令信号を出力しないことにより、ステッピングモータ14の作動を禁止しているが、作動禁止信号を出力することにより、ステッピングモータ14の作動を禁止することもできる。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて変形可能である。
1…サスペンション制御装置、10…サスペンション装置、11…ショックアブソーバ、111…シリンダ、112…ピストン、113…ピストンロッド、12…エアバネ装置、121…外筒、122…内筒、123…ダイヤフラム、14…ステッピングモータ、15…コントロールロッド、16…ロータリーバルブ、17…バウンドストッパ(収縮側弾性ストッパ)、18…リバウンドスプリング(伸張側弾性ストッパ)、20…サスペンションECU、31…バネ上加速度センサ、32…バネ下加速度センサ、33…ストロークセンサ、34…モータ回転角センサ、HA…バネ上部材、LA…バネ下部材、
B1,B2,C,D…折れ点、Dreq…要求段数(要求減衰力特性)、Freq…要求減衰力、xs…バネ上−バネ下相対変位量、xB1,xB2,xC,xD…特定変位量、vs…バネ上−バネ下相対速度、vN…特定速度

Claims (7)

  1. バネ上部材とバネ下部材との間に介装され、弾性力および減衰力を発生するサスペンション装置に用いられるショックアブソーバの減衰力特性を段階的に制御する減衰力制御装置において、
    前記減衰力特性を段階的に変更する減衰力特性変更手段と、
    バネ下部材とバネ上部材との間の振動状態を表す振動状態量を取得する振動状態量取得手段と、
    前記振動状態量取得手段により取得された振動状態量が、前記サスペンション装置により発生される力の振動状態量に対する変化特性の折れ点における振動状態量である特定振動状態量であるか否かを判定する振動状態量判定手段と、
    前記振動状態量判定手段により前記取得された振動状態量が前記特定振動状態量であると判定された場合に前記減衰力特性変更手段の作動を許可し、前記振動状態量判定手段により前記取得された振動状態量が前記特定振動状態量ではないと判定された場合に前記減衰力特性変更手段の作動を禁止する作動制御手段と、
    を備えることを特徴とする、減衰力制御装置。
  2. 請求項1に記載の減衰力制御装置において、
    バネ下部材とバネ上部材との間の振動状態に基づいて、前記減衰力特性の制御目標である要求減衰力特性を決定する要求減衰力特性決定手段を更に備え、
    前記作動制御手段は、前記振動状態量判定手段により前記取得された振動状態量が前記特定振動状態量であると判定された場合に、前記ショックアブソーバの減衰力特性が前記要求減衰力特性となるように、前記減衰力特性変更手段に作動指令信号を出力することを特徴とする、減衰力制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の減衰力制御装置において、
    前記振動状態量取得手段は、バネ下部材の上下方向の変位量とバネ上部材の上下方向の変位量との差であるバネ上−バネ下相対変位量を取得する相対変位量取得手段を含み、
    前記振動状態量判定手段は、前記相対変位量取得手段により取得されたバネ上−バネ下相対変位量が、前記サスペンション装置により発生される弾性力のバネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性である弾性力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対変位量である特定変位量であるか否かを判定する相対変位量判定手段を含み、
    前記作動制御手段は、前記相対変位量判定手段により前記取得されたバネ上−バネ下相対変位量が前記特定変位量であると判定された場合に、前記減衰力特性変更手段の作動を許可することを特徴とする、減衰力制御装置。
  4. 請求項3に記載の減衰力制御装置において、
    前記特定変位量は、前記ショックアブソーバの収縮量を弾性的に規制する収縮側弾性ストッパによって前記ショックアブソーバの収縮作動の規制が開始される収縮側規制開始点におけるバネ上−バネ下相対変位量を含むことを特徴とする、減衰力制御装置。
  5. 請求項3または4に記載の減衰力制御装置において、
    前記特定変位量は、前記ショックアブソーバの伸張量を弾性的に規制する伸張側弾性ストッパによって前記ショックアブソーバの伸張作動の規制が開始される伸張側規制開始点におけるバネ上−バネ下相対変位量を含むことを特徴とする、減衰力制御装置。
  6. 請求項3乃至5のいずれか1項に記載の減衰力制御装置において、
    前記サスペンション装置はエアバネ装置を備え、
    前記特定変位量は、前記エアバネ装置により発生される弾性力のバネ上−バネ下相対変位量に対する変化特性であるエアバネ特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対変位量を含むことを特徴とする、減衰力制御装置。
  7. 請求項1乃至6に記載の減衰力制御装置において、
    前記振動状態量取得手段は、バネ下部材の上下方向の変位速度とバネ上部材の上下方向の変位速度との差であるバネ上−バネ下相対速度を取得する相対速度取得手段を含み、
    前記振動状態量判定手段は、前記相対速度取得手段により取得されたバネ上−バネ下相対速度が、前記サスペンション装置により発生される減衰力のバネ上−バネ下相対速度に対する変化特性である減衰力特性の折れ点におけるバネ上−バネ下相対速度である特定速度であるか否かを判定する相対速度判定手段を含み、
    前記作動制御手段は、前記相対速度判定手段により前記取得されたバネ上−バネ下相対速度が前記特定速度であると判定された場合に、前記減衰力特性変更手段の作動を許可することを特徴とする、減衰力制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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