JP2010228434A - マルチ記録ヘッドおよび画像形成装置 - Google Patents

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Abstract


【課題】 温度変化による、記録位置ずれを自動補正,異常画像を防止。
【解決手段】 記録エレメント列4を持つ、複数の記録ヘッドであって、主走査方向xに分布ししかも該方向で隣り合う記録ヘッドのエレメント列の端部分が副走査方向yには離れるがx方向には重複するように分布する、複数の記録ヘッド201〜210;これらを記録面x,yと直交する垂直軸zを中心に支持する回動支持手段201p〜210p/2p;記録ヘッド回動駆動手段211〜220,221〜230/232,231&24,30,31;温度検出手段18y,m,c,k;および、検出温度に対応して駆動手段を用いて、x方向で隣り合う記録ヘッドの、検出温度によるエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、記録ヘッドの回動角度を設定する、制御手段34;を備える。各記録ヘッドを個別に回動駆動(図3)又は記録ヘッド群全体を一括して回動駆動(図9)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、記録エレメント列を持つ複数の記録ヘッドによって記録紙幅を分割記録するマルチ記録ヘッドおよびそれを用いる画像形成装置に関する。本発明は例えば、インクジェットプリンタ,感熱記録プリンタ,複写機,複合機能プリンタ(MFP),ファクシミリなどに用いることができる。
例えばインクジェットプリンタにおいて、複数の記録ヘッドを、板状又は枠体(フレーム)状のヘッド基体の短軸方向yに離れた2列に配列し、ヘッド基体の長軸方向xに沿ってジグザクにすなわち千鳥の足跡分布で、配置したマルチ記録ヘッドがある。該千鳥の足跡分布は、簡便に、千鳥状と言われている。このような構成の場合,複数の記録ヘッド間のノズル位置精度がそのままインク滴の着弾位置精度となって現れる。ここで、使用環境温度あるいは記録ヘッドの使用による温度上昇によって、記録ヘッドを取り付けているヘッド基体の長さが変化し、マルチ記録ヘッドにたわみが生じることがある。また、各記録ヘッド間の取付位置精度、つまり記録ヘッド間のノズル位置精度が、そのままインク滴の着弾位置精度となって現れ、その程度がひどい場合には、所謂、濃度ムラ,白スジ,黒スジなどの異常画像として現れる場合がある。
特許文献1は、複数の記録ヘッド群を用いない単一の長尺の記録ヘッドの、たわみによる異常画像を防止するために、ヘッドの一端を回動可能に固定し,他方端を伸縮移動可能に支持し、かつ温度変化(によるノズルの位置ずれ)に応じて、ノズルからのインク吐出タイミングを調整して記録位置ずれを補償する記録装置を提示している。
なお、主走査方向(ノズル列)に対し、記録紙が傾いて搬送された場合(スキューという)、スキュー量(主走査方向の記録ずれ量dXと記録紙の傾斜角度dθ)から、使用ノズルをシフトしたり、吐出タミングをずらすことによって、記録紙に対しては整合した姿勢に形成画像を変形させる画像補正方式は公知である。
代表的な補正方式は、画像メモリに記憶された画像データの読み出す順番を変え、必要に応じてバッファメモリ又は画像メモリに再度記憶してから読み出すことによって、形成画像を回転させる。これにより、記録紙に対する記録画像の傾斜(スキュー)が無くなる。更に、回転変形させた画像の画像エッジ部に対し、画素サイズを変更した画素で補間し、平滑化を行うジャギー補正も公知である。これら公知の画像処理を用いて記録位置ずれ(異常画像)を改善できる。
特許文献2は、マルチ記録ヘッドのヘッド基体の温度変化による湾曲を防止するために、ヘッド基体の一端は固定するが、他端はスライド可に支持する液滴吐出装置を提示している。特許文献3は、ノズル列があるチップの複数を千鳥状に配置したマルチ記録ヘッドの、長軸(ノズル配列方向:主走査方向)に対する、チップ(ノズル列)がなす角度を計測する手段を備えて、該角度に基づいて隣り合うチップ(ノズル列)間の重複部のノズルのインク吐出動作を制御するという提案をしている。上記角度は、ノズル列から記録紙に記録したドットの紙上分布から求めている。特許文献4は、主走査方向の記録ドットピッチを短くするために、複数の、ノズル列を持つ記録ヘッドを主走査方向に対して傾けて配置したマルチ記録ヘッドを開示している。
特許文献5には、記録ラインの一部分を分割記録する記録ヘッドの一端をテーパピン12で支持し他端を偏芯カムで押し、該偏芯カムはローレットを持ち、ローレットに噛み合う板ばねが偏芯カムの回転を拘止する(0070)、インク記録ヘッド位置調整構造の記載がある。特許文献6には、記録ヘッドを大径ギア52eで支持し、大径ギアに噛み合う小径ギア54bをモータ54で回転駆動して記録ヘッドのノズル列の角度を変更するインクジェットプリンタの記載がある。特許文献7には、ライン記録ヘッドの一端部を回転軸11で水平回動可に支え、他端部に設けたラック13aに噛み合うピニオン13bをステッピングモータで回転駆動してライン記録ヘッドの、回転軸11周りの回動角を調整する位置ずれ補正装置の記載がある。
しかし、特許文献1が示す従来技術においては、記録ヘッドの熱膨張に関する対応はできているものの、記録ヘッドを固定する固定ユニットの熱膨張に関しては、考慮されていない。また、記録用紙の幅方向に対し、複数の記録ヘッドを配列した構成のライン型(マルチ)記録ヘッドを考慮に入れた技術ではない為、記録用紙の幅方向に隣接する記録ヘッド間の着弾位置精度に対しては対応が困難である。また、特許文献2が示すマルチヘッドアレー固定方法においては、ヘッド基体である長尺部材の撓み、それによって生じる着弾位置ずれは解消できるが、記録ヘッドそのものの長さがその温度によって長くなったり、短くなったりするので、記録用紙に対する絶対的な着弾位置がずれてしまうことになる。また、記録ヘッド毎にその長さが変化する為、記録ヘッド間の相対位置においても着弾位置ずれが生じてしまう。特許文献3では、ノズル列から記録紙に記録したドットの紙上分布からノズル列の角度を求めるので、角度検出が複雑かつ時間がかかる。特許文献4では、記録ヘッドおよび固定ユニットの熱膨張に関して考慮がないので、温度変化によって記録画像品質が低下するおそれがある。特許文献5は、記録ヘッドの角度を手動調整する機構であるので、温度変化に対応する角度調整は困難で、温度変化によって記録画像品質が低下するおそれがある。特許文献6には、必要解像度となるように記録ヘッドの角度を制御するが、温度変化に対応する角度設定の開示はない。特許文献7は複数のライン記録ヘッドによる記録画像からヘッドの傾斜を検出し、複数のライン記録ヘッドを平行に調整するが、温度変化に対応する角度設定の開示はない。
本発明は、マルチ記録ヘッドの温度変化による異常画像を防止することを目的とする。具体的には、温度変化による記録位置ずれを自動補償するマルチ記録ヘッドおよびそれを用いる画像形成装置を提供することを目的とする。
(1)複数のドット記録エレメントが配列されたエレメント列(4)を持つ、複数の記録ヘッド(201〜210)であって、主走査方向(x)に分布ししかも、主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドの前記エレメント列(4)の端部分が副走査方向(y)には離れるが主走査方向(x)には重複するように分布する、複数の記録ヘッド(201〜210);
前記記録ヘッド(201〜210)を記録面(x,y)と直交する垂直軸(z)を中心に回動可に支持する回動支持手段(201p〜210p/2p);
前記記録ヘッド(201〜210)を、前記垂直軸(z)を中心に回動駆動する駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31/232,231,24,30,31);
温度検出手段(18y,m,c,k);および、
該温度検出手段の検出温度に対応して、前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31/232,231,24,30,31)を用いて、主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドの、検出温度によるエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、前記記録ヘッド(201〜210)の回動角度を設定する、制御手段(34);
を備えるマルチ記録ヘッド。
なお、理解を容易にするために括弧内には、図面に示し後述する実施例の対応要素又は対応事項の符号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
回動支持手段(201p〜210p)により、記録ヘッド(201〜210)を垂直軸(z)を中心に回動可に支持しているので、主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドの、検出温度によるエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、記録ヘッド(201〜210)の回動角度を設定することができる。温度変化により相対位置にずれを生ずるときには自動的に、駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31/232,231,24,30,31)によって記録ヘッドが回動駆動され、該ずれが相殺される。すなわち、温度変化による記録位置ずれの自動補償が実現する。
本発明の1実施例の画像形成装置10を装備した複合機能プリンタの構成を示すブロック図である。 図1に示す画像形成装置10の機構の概要を示すブロック図である。 図2に示す、第1実施例のマルチ記録ヘッド17yの記録紙対向面の、一部を拡大して示す拡大正面図であり、(a)はヘッドの温度Tが40°Cのときを、(b)は0°Cのときを示す。 図2に示すマルチ記録ヘッド17yの、10個のヘッド駆動機構221〜230のうち、図3の図示から外れた最後の駆動機構230を示す拡大平面図である。 図2に示す印字コントローラ19の、記録ヘッドに画像データ(印字データ)を与える系統の構成のみを示すブロック図である。 図5に示すプロセスコントローラ34が、画像形成装置10に動作電圧が印加された(電源オン)直後に実行する、記録ヘッドの回動角度の初期設定の内容を示すフローチャートである。 画像形成装置10の電源オン後に、画像形成装置10に印刷開始指示であるスタート指示が与えられたときに、プロセスコントローラ34が、印刷動作に先立って実行する記録ヘッドの回動角度の、ヘッド温度対応の設定(調整)の内容を示すフローチャートである。 図3に示すマルチ記録ヘッド17yの記録ヘッド間の、40°Cの温度変化によって生ずる主走査方向xのノズル位置ずれを相殺する回動角度θと、記録ヘッドの熱膨張係数Aおよびヘッド基体2の熱膨張係数Bとの関係式を示す平面図である。 本発明の第2実施例のマルチ記録ヘッド17yの記録紙対向面の、一部を拡大して示す拡大正面図であり、(a)はヘッドの温度Tが0°Cのときを、(b)は40°Cのときを示す。 図9に示すマルチ記録ヘッド17yの記録ヘッド間の、40°Cの温度変化によって生ずる主走査方向xのノズル位置ずれを相殺する回動角度θと、記録ヘッドの熱膨張係数Aおよびヘッド基体2の熱膨張係数Bとの関係式を示す平面図である。
(2)前記ドット記録エレメントは、記録液滴を吐出するノズルであり;前記エレメント列はノズル列(4)である;上記(1)に記載のマルチ記録ヘッド。
本発明は発熱エレメントをドット記録に用いる感熱記録ヘッドにも適用でき、これを排除するものではない。しかし、感熱記録ヘッドの場合は、画像の記録ドット密度が高いとヘッドへの電力投入量が大きく、記録ドットが少ないと電力投入量が小さく、ヘッドの温度変化が大きくまた温度範囲が広いので、温度変化による記録エレメントの位置ずれ補正は複雑になり、しかも信頼性,安定性は低いと見込まれる。本実施態様のインクジェット記録ヘッドによれば、温度変化による記録位置ずれの補正を、より安定して実施することができる。
(3)前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31/232,231,24,30,31)は、前記垂直軸(z)に平行な軸を中心に回転可であって、該回転による側周面の副走査方向(y)の突出/退避により記録ヘッドを副走査方向(y)に駆動するカム(27),記録ヘッドに該カムにより駆動される方向とは逆の方向の力を加える加圧部材(211〜220/232)、および、該カムを回転駆動する回転駆動手段(26,25,24,30,31)、を含む;上記(1)又は(2)に記載のマルチ記録ヘッド。
この駆動手段を用いることにより、特に、カム(27)の半回転(180°の回転)により、所要回動範囲(最大振り角度θmax:2〜3°と微小)記録ヘッドを回動駆動するので、微細な解像度で回動角度を正確に設定することができる。
(3a)前記回転駆動手段(26,25,24,30,31)は、前記カム(27)と一体または連結のホィールギア(26),該ホィールギアに噛み合うウォームギア(221〜230),該ウォームギアと一体又は連結であって前記長軸方向(x)に延びるシャフト(24)、および、該シャフトを回転駆動する電動駆動機(30,31)を含む;上記(3)に記載のマルチ記録ヘッド。
上記ホィールギアとウォームギアの組合せは減速機でもあるので、シャフトの回転に対する記録ヘッドの回動角度の変化は極微小となり、さらに微細な解像度で回動角度を正確に設定することができる。
(3b)前記電動駆動機(30,31)は、前記シャフトに回転軸が連結された電気モータ(31)を含む;上記(3a)に記載のマルチ記録ヘッド。
全記録ヘッドのそれぞれを回動駆動する回転駆動手段の各ウォームギアを全て1本のシャフト(24)に結合して1つの電気モータで該シャフトを回転駆動することにより(図3)、1個の電気モータのみで、全記録ヘッドを同時に回動駆動することができる。前記シャフトと電気モータ(31)の間を減速機(30)で連結すると、さらに微細な解像度で回動角度を正確に設定することができる。
(3c)前記電気モータ(31)は、ステッピングモータである;上記(3b)に記載のマルチ記録ヘッド。ステッピングモータではない電気モータ、例えばサーボモータでも、低速回転駆動して駆動継続時間を計測することにより、計測時間に基づいて、シャフト(ウォーム)の回転角,ホィールギア(カム)の回転角および記録ヘッドの回動角度を算出することができる。これらの回転角度はすべて、カム形状に依存する一意的な対応関係がある。カム形状を、カム回転角度に記録ヘッド回動角度が比例するものとしておくことにより、すべてが比例関係にあり、駆動機構の構造から、比例係数は一意で求まる。また、例えばサーボモータでも、電気モータ,シャフトあるいはホィールギア(カム)にロータリーエンコーダを結合して、それが発生する電気パルスをカウントすることにより、カウント値に基づいて、シャフト(ウォーム)の回転角,ホィール(カム)の回転角および記録ヘッドの回動角度を算出することができる。アブソリュート(絶対値)エンコーダを用いれば、角度データを直接に得ることが出来る。従って、本発明は、これらの実施態様を排除するものではない。しかし、本実施態様のようにステッピングモータを用いる場合には、回転駆動のステップ数をカウントすることにより、カウント値からシャフト(ウォーム)の回転角,ホィール(カム)の回転角および記録ヘッドの回動角度を算出することができる。該カウント値以下これらはすべて、比例関係にあるので、目標値に検出値を合わせるように電気モータを回転駆動するフィードバック制御に最適なパラメータを算出するのが好ましい。そこで後述の実施例では、記録ヘッドの回動角度が対応するカム(27)の回転角度を、ステップ数カウント値に基づいて算出する。
(3d)前記温度センサ(18y,m,c,k)は、前記マルチ記録ヘッド(17y,m,c,k)に装備した;上記(1)乃至(3c)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
画像形成装置上の、マルチ記録ヘッドとは別の場所の温度センサの検出温度に基づいて上記回動角度の設定を行うことができ、本発明はこの態様を排除するものではない。しかし本実施態様によれば、より正確な位置ずれ補正を安定して実現できる。
(4)前記制御手段(34)は、前記温度センサの検出温度に対応して、該検出温度による主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺するための記録ヘッドの目標回動角度を導出する目標角度導出手段(34);および、前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31)を用いて、前記目標回動角度に記録ヘッド(201〜210)の回動角度を設定する姿勢設定手段(34);を含む、上記(1)乃至(3c)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
目標角度導出手段(34)と姿勢設定手段(34)が、検出温度に対応する目標回動角度導出および該目標回動角度への記録ヘッドの回動駆動を自動的に行うので、温度変化による記録位置ずれの自動補償が実現する。
(4a)マルチ記録ヘッド(17y,m,c,k)は更に、前記駆動手段(221〜230,24,30,31)の回動駆動による記録ヘッド(201〜210)の回動角度の基点を検出する基点センサ(28,29)を備え;
前記姿勢設定手段(34)は、該基点の検出からの前記駆動手段の回動駆動量を計測し、該回動駆動量が前記目標回動角度相当の回動駆動量となると前記駆動手段による回動駆動を停止する;上記(4)に記載のマルチ記録ヘッド。
基点センサが基点を検出したときの記録ヘッドの回動角度が回動角度基点(例えば0°)となり、カム形状をカム回転角度に記録ヘッド回動角度が比例するものとしておくことにより、該基点の検出からの前記駆動手段の回動駆動量を、記録ヘッドの回動角度(角度データ)とみなすことができる。なぜならば、該回動駆動量に回動角度が比例するからである。
(5)前記制御手段(34)は、動作電圧が画像形成装置に印加された直後に、前記温度センサの検出温度に対応して、前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31)を用いて、該検出温度による主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、記録ヘッド(201〜210)の回動角度を設定する;上記(1)乃至(4a)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
これによれば、動作電圧が画像形成装置に印加された直後に自動的に、記録ヘッドの回動角度が、ヘッド温度による記録位置ずれの無いものに設定される。
(6)前記制御手段(34)は、画像記録スタート指示に応答して、前記温度センサの検出温度に対応して、前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31)を用いて、該検出温度による主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、記録ヘッド(201〜210)の回動角度を設定する;上記(1)乃至(5)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
これによれば、スタート指示が発生するたびに自動的に、記録ヘッドの回動角度が、ヘッド温度による記録位置ずれの無いものに設定される。
(7)前記制御手段(34)は、前記温度センサによる温度検出範囲を複数に区分した領域のいずれに検出温度が属するかを表す領域符号(組No.)に検出温度を変換し、該領域符号に対応付けられている目標回動角度とは、前記記録ヘッドの回動角度が異なるときに、目標回動角度に回動駆動し、合致するときには該回動駆動はしない;上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
後述の実施例では、温度センサによる温度検出範囲を、次の表1に示すように区分している:
Figure 2010228434


これによれば、領域を跨ぐ(領域を異にする)温度変化があった場合には記録ヘッドの回動角度調整はするが、温度変化が小さく同一温度領域に留まる間は、回動角度調整はしない。自動回動角度制御が簡素かつ安定したものとなる。
(8)各記録ヘッドに割り当てられた、主走査方向(x)の分割区間および副走査方向(y)の記録紙領域の、各エレメント付勢に用いられる各画像データ群の画像データ分布を、前記検出温度に対応して設定する前記記録ヘッド(201〜210)の回動角度に対応して、該回動角度による記録画像の回転を相殺する方向に回転処理する画像データ処理手段(37);を更に備える、上記(1)乃至(7)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
すなわち、記録ヘッドの回動角度に対応した角度に記録画像が回転するので、記録ヘッド毎に、該回転を相殺する方向の回転を画像データ群に加える。後述の実施例では画像エッジ部の平滑化処理(ジャギー補正)も加える。これらの処理により、記録画像の回転などの画像歪みが抑制される。
(9)前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31)は、回転による側周面の前記短軸方向(y)の突出/退避により記録ヘッドを前記短軸方向(y)に駆動するカム(27),記録ヘッドに該カムにより駆動される方向とは逆の方向の力を加える加圧部材(211〜220),前記カムと一体または連結のホィールギア(26),該ホィールギアに噛み合うウォームギア(221〜230),該ウォームギアと一体又は連結であって前記長軸方向(x)に延びるシャフト(24)、および、該シャフトを回転駆動する電動駆動機(30,31)を含み;
前記マルチ記録ヘッド(17y,m,c,k)は更に、前記電動駆動機(30,31)の回転駆動による前記カム(27)の回転角度の基点を検出する基点センサ(28,29)を備え;
前記制御手段(34)は、前記温度センサの検出温度に対応して、該検出温度による主走査方向(x)で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺するための前記カム(27)の目標回転角度を導出する目標角度導出手段(34)、および、前記電動駆動機(30,31)を用いて、前記目標回転角度に前記カム(27)の回転角度を設定する姿勢設定手段(34)、を含み;
前記姿勢設定手段(34)は、前記基点の検出からの前記カム(27)の回転駆動量を計測し、該回転駆動量が前記目標回転角度相当の回転駆動量となると前記電動駆動機(30,31)による回転駆動を停止する;上記(1)又は(2)に記載のマルチ記録ヘッド。
これによれば、上記(3)〜(4a)に記載の効果を期待できる。
(10)前記姿勢設定手段(34)は、前記カム(27)は一方向(正方向:反時計方向)のみに回転駆動する;上記(9)に記載のマルチ記録ヘッド。
上記(9)のホィールギアとウォームギアの噛み合わせにはバックラッシュがあり、仮に、カム(シャフト)を正,逆回転駆動する態様であると、カムを正回転駆動して停止した状態で、逆回転駆動すると、シャフトの回転開始からバックラッシュ分、カムの回転開始が遅れる。この遅れ(バックラッシュ)が、カム(記録ヘッド)の回転角度設定(回動角度設定)の誤差の一因となる可能性がある。本実施態様では、カムを一方向例えば正方向のみに回転駆動する。例えば、目標回転角よりも実回転角がわずかに大きい場合、仮に逆回転駆動すると微小角度の回転で実回転角が目標回転角に到達するがバックラッシュによる角度設定誤差を生じる。しかし本実施態様では、1回転近く回転駆動して実角度を目標角度に設定する。この回転の間に基点センサが基点を検出すると、そのとき保持する回転駆動量を基点値(例えば回転駆動量0=角度0)に初期化し、基点値からの回転駆動量(角度)の計測を行う。この一方向回転により、ホィールギア/ウォームギア間のバックラッシュは、カム角度(記録ヘッド回動角度)の設定に、誤差をもたらさない。
(11)前記姿勢設定手段(34)は、前記温度センサによる温度検出範囲を複数に区分した領域のいずれに検出温度が属するかを表す領域符号(組No.)に、検出温度を変換し、前記カムの回転角度が、該領域符号に対応付けられている目標カム回転角度とは異なるときに、目標カム回転角度に回転駆動し、合致するときには該回転駆動はしない;上記(9)又は(10)に記載のマルチ記録ヘッド。これによれば上記(7)に記述の効果が同様に得られる。
(12)前記姿勢設定手段(34)は、前記温度センサによる温度検出範囲を複数に区分した領域のいずれに検出温度が属するかを表す領域符号(組No.)に検出温度を変換し、該領域符号がメモリ(領域No.レジスタ)に保持する領域符号と異なるときに、前記電動駆動機(30,31)を用いて前記カム(27)を回転駆動し、該カムの回転角度が、メモリ(目標角度テーブル)にある、今回変換した領域符号(組No.)に宛てられた目標回転角度に合致するとき前記カム(27)の回転駆動を停止して、前記メモリ(領域No.レジスタ)の領域符号を、今回変換した領域符号(組No.)に更新し、今回変換した領域符号(組No.)がメモリ(領域No.レジスタ)に保持する領域符号と合致するときには前記カム(27)の回転駆動はしない(s31〜s38);上記(11)に記載のマルチ記録ヘッド。これによっても上記(7)に記述の効果が同様に得られる。
(13)各記録ヘッドに割り当てられた、前記長軸方向(x)の分割区間および前記短軸方向(y)の記録紙領域の、各エレメント付勢に用いられる各画像データ群の画像データ分布を、前記変換した領域符号(組No.)宛ての角度に回転処理する画像データ処理手段(37);を更に備える、上記(12)に記載のマルチ記録ヘッド。これによれば、上記(7)に記載の効果が同様に得られる。
(14)マルチ記録ヘッドはヘッド基体(2)を備え;前記複数の記録ヘッド(201〜210)は、前記ヘッド基体(2)の長軸方向(x)に延び短軸方向(y)に並んだ複数列の各列上に分布し;前記回動支持手段(201p〜210p)は、前記ヘッド基体(2)に対して、その長軸(x)および短軸(y)に直交する垂直軸(z)を中心に回動可に、前記複数の記録ヘッド(201〜210)のそれぞれを支持し;前記駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31)は、前記複数の記録ヘッド(201〜210)のそれぞれを、前記垂直軸(z)を中心に回動駆動する;上記(1)乃至(13)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド(図3)。
回動支持手段(201p〜210p)により、ヘッド基体(2)に対して、複数の記録ヘッド(201〜210)のそれぞれを、ヘッド基体の長軸(x:主走査方向)および短軸(y:副走査方向)に直交する垂直軸(z)を中心に回動可に支持しているので、前記長軸(主走査方向)の方向(x)で隣り合う記録ヘッドのエレメント列(4)間の相対位置を、記録ヘッドの回動によって調整できる。温度変化により相対位置にずれを生ずるときには、駆動手段(211〜220,221〜230,24,30,31)によって記録ヘッドを回動駆動することにより、該ずれを相殺することができ、温度変化による異常画像を防止することができる。
(15)前記ヘッド基体(2)に装備した全記録ヘッドは、前記短軸方向(y)に離れた2列に配列されて前記長軸方向(x)に沿ってジグザクに分布する;上記(14)に記載のマルチ記録ヘッド(図3)。これは千鳥状の分布である。3列以上のマルチ記録ヘッドでも本発明は適用できる。例えば3列の場合は、1列の記録ヘッドの隣り合うノズル列の間隙を他の2列の各1つの記録ヘッドのノズル列(合わせて2個)で補間する。しかし、記録ヘッド列が3列になると、マルチ記録ヘッドの幅(短軸方向y)が広くなり、大型化する。したがって、千鳥状の配列(2列)が好ましい。
(16)マルチ記録ヘッドはヘッド基体(2)を備え;前記複数の記録ヘッド(201〜210)は、前記ヘッド基体(2)の長軸方向(x)に対して傾斜して長軸方向(x)で隣り合う記録ヘッドの前記エレメント列(4)の端部分が短軸方向(y)には離れるが長軸方向(x)には重複するように分布し、前記回動支持手段(2p)は、前記ヘッド基体(2)を、前記垂直軸(z)を中心に回動可に支持し;前記駆動手段(232,231,24,30,31)は、ヘッド基体(2)を、前記垂直軸(z)を中心に回動駆動する;上記(1)乃至(13)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド(図9)。
(17)前記複数の記録ヘッドのそれぞれは、前記垂直軸(z:201p〜210p)を中心に回動可能にして前記ヘッド基体(2)で支持され;マルチ記録ヘッドは更に、各記録ヘッドの該回動の角度を調整する角度調整手段(241〜250)を備える;上記(16)に記載のマルチ記録ヘッド(図9)。
(18)上記(1)乃至(17)のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド(17y,m,c,k);
該マルチ記録ヘッドの記録エレメント配列面に対向して記録紙を副走査方向(y)に移送する記録紙送給手段(13〜15);および、
該記録紙送給手段を用いて記録紙を副走査方向(y)に移送しつつ、前記記録ヘッドのそれぞれの記録エレメントに割り当てる記録画像データに基づいて前記マルチ記録ヘッドにより前記記録紙に画像記録を行う、印字制御手段(19);
を備える画像形成装置(10:図2)。
(19)マルチ記録ヘッド(17y,m,c,k)は、イエロー(y),マゼンタ,シアンおよびブラックインクジェット記録ヘッドを含み、これらのインクジェット記録ヘッドが、前記記録紙の移送方向に配列された;上記(18)に記載の画像形成装置。
(20)さらに、原稿上の画像を読取り画像データを生成する画像読取り手段(11);および、該画像データを前記記録画像データに変換して前記印字制御手段(19)に与える印刷コントローラ(100);を備える上記(18)又は(19)に記載の画像形成装置(図1)。
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
−第1実施例−
図1に、本発明の第1実施例の画像形成装置10を装備したフルカラーデジタル複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。この複写機は、複合機能プリンタである。プリンタ制御基板であるプリンタコントローラ(別表現ではシステムコントローラ)100は、メインCPU(Central Processing Unit)101,ROM(Read Only Memory)103およびRAM(Random Access Memory)104等を備え、ROM103内には、複写機のシステムプログラムおよび画像情報管理プログラム等の各種プログラムが格納されているとともに、これらのプログラムを実行するに必要な各種データおよびシステムデータ等が格納されている。メインCPU101は、ROM103内のプログラムに基づいて、RAM104をワークメモリとして利用して、複写機の各部を制御して、スキャナ11による画像読み取り,画像蓄積,PC(パソコン)との書画の送受信,ファクシミリ送受信,スキャナ11で原稿画像を読取り画像形成装置10で印刷する複写,印刷(画像形成装置10によるプリントアウト),蓄積情報の管理,使用管理等を行う。印刷の代表的な態様の1つは、PCからの印刷コマンドに応答する印刷であり、PCが与える書画を記録紙上に印刷する。印刷を印字ということもある。
操作表示ボード12は、テンキー,スタートキー,ストップキーおよびファンクションキー等の各種操作キーを備えると共に、ディスプレイ(液晶ディスプレイ)を備えており、各操作キーによりユーザ指示を入力しディスプレイに表示することができる。ディスプレイにはまた、複写機の状態、および、PCやファクシミリからの通知が表示される。
ファクシミリ制御ユニットFCUには、電話回線PNが接続され、相手ファクシミリ装置との間でファクシミリ制御信号を交換して、ファクシミリ通信手順を実行するとともに、網制御部やモデム等を備え、その網制御部により、自動発・着呼処理を行い、また、そのモデムにより、送・受信信号の変・復調処理を行う。ファクシミリ制御ユニットFCUは、上述のように、ファクシミリ通信時、相手ファクシミリ装置との間で、ファクシミリ制御信号を交換して、ファクシミリ通信手順を実行するが、特に、受信時に自機の機能を相手先(送信側ファクシミリ装置)に通知するファクシミリ制御信号に、画像形成装置10,符号化・復号化等の、各種機能を備えている旨を付加して、相手先に送信する。ネットワークインターフェイス(ネットワーク I/F)109には、LAN(Local Area Network)を介してPC(Personal Computer)等の情報処理装置が接続され、ネットワーク I/F 109は、PC等との間で書画情報の授受を行って、特に、HDD105に蓄積されている書画情報をPCに転送して、PCでの画情報の利用を可能としている。ASIC102は、HDDに対するデータの読み書きを行うものであり、データ圧縮伸張器およびDMAを内蔵する。
図2に、画像形成装置10の概要を示す。この画像形成装置10は、エアー吸引ベルト搬送方式で、記録紙を搬送するものである。記録紙は、用紙トレイ11上の記録紙群12の最上部のものから順次に給紙コロ13で繰り出されてレジストローラ14の位置で一時停止し、そして所定のタイミングでレジストローラ14によって、搬送ベルト15に送り込まれる。搬送ベルト15は、エアー吸引により記録紙を吸着して、副走査方向である左方向yに搬送する。搬送ベルト15で搬送される記録紙に対向する位置に、それぞれが、イエローインク,マゼンタインク,シアンインクおよびブラックインクを記録紙に吐出するマルチ記録ヘッド17y,17m,17cおよび17kがある。これらのマルチ記録ヘッドによるインク吐出を、プリンタコントローラ100が与える画像データに基づいて、印字コントローラ19が制御する。印字コントローラ19は、図示しない数種の記録紙センサの紙検出信号を監視して、コロ13が繰り出した記録紙がレジストローラ14に達して紙先端が少し湾曲したタイミングでコロ13による送り出しを停止し、搬送ベルト15に記録紙を送出可のタイミングでレジストローラ14を回転駆動して記録紙を搬送ベルト15に送り込む。レジストローラ14の駆動開始から、又は搬送ベルト15に記録紙が到達した時点から、ロータリーエンコーダ16が搬送ベルト15の移動に同期して発生する、ベルトの移動速度に比例する周波数の電気パルスをカウントして、記録紙の先端が各ヘッド17y〜17kに到達するカウント値になると、各ヘッドによるインク吐出すなわち画像記録(印字)を開始する。
図3に、第1実施例のマルチ記録ヘッド17yの一部分を拡大して示す。図3の(a)はヘッド17yのヘッド基体2の温度Tが40°Cのときを、図3の(b)は0°Cのときを示す。図2に示すマルチ記録ヘッド17y〜17kは、同一構造且つ同一寸法である。以下ではマルチ記録ヘッド17yに関して説明するが、他のマルチ記録ヘッド17m〜17kについても同様である。
マルチ記録ヘッド17yは、ヘッド基体2を備え、複数の記録ヘッド201〜210が、ヘッド基体2の長軸方向(主走査方向)xに延び、短軸方向(副走査方向)yに並んだ複数列の各列上に分布する。すなわち、マルチ記録ヘッド17yには、第1列(奇数番列)に5個の、奇数番符号を与えた記録ヘッド201,203,・・・205が、第2列(偶数番列)に偶数番符号を与えた5個の記録ヘッド202,204,・・・210が、ヘッド17yの長軸方向(主走査方向)xに一定ピッチで配列されている。紙面の都合上、奇数番の記録ヘッド207,209および偶数番の記録ヘッド206,208,210の図示は省略した。第2列の記録ヘッド202,204,・・・210は、各ヘッドのノズル列4が、第1列の記録ヘッド201,203,・・・205の各ノズル列間の空隙を補間するように、長軸方向xで第1列のものよりずれている。すなわち10個の記録ヘッドは、千鳥状(千鳥足跡状)に分布する。
各記録ヘッド201〜210はその先端部(図示左端)で、回動支持手段である各ピン201p〜210pで、ノズル基体2に、紙面(x,y面)に沿って回動可に支持されている。各ピン201p〜210pは、ノズル基体2の表面(x,y面)に対して垂直である。各記録ヘッド201〜210の後端部(図示右端)は回動可能な自由端でありここに、各記録ヘッドを回動駆動する駆動手段の一部であるカム(27:図4)に後端部を圧接するように後端部を引く引張りコイルスプリング211〜220の、一端が係合している。コイルスプリング211〜220の他端は、ヘッド基体2に立てたピンに係合している。なお、引張りコイルスプリング211〜220に代えて、ヘッド基体2を介して駆動ユニット221〜230のカムに対向して、ヘッド基体2を該カムに向けて押す圧縮コイルスプリング,板ばね又はその他の弾力部材又は加圧手段を用いることもできる。
各駆動ユニット221〜230は、ウォームギア(25:図4),該ウォームギアに噛み合うホィールギア(26:図4)および該ホィールギアと一体又は固定のカム(27:図4)で構成され、全駆動ユニット221〜230のウォームギア(25)が、一本のシャフト24と一体又は固定である。シャフト24の一端部は、減速機30の出力軸に連結されている。減速機30の入力軸は、ステッピングモータ31で、回転駆動される。この回転駆動は、カム(27)を反時計方向(図3,図4上)に回転駆動する正回転のみである。
図4には、第1列の最後の記録ヘッド205(図示略)を回動駆動する駆動ユニット230を拡大して示す。この駆動ユニット230には、このユニットのみに特別に、基点センサを備えている。基点センサは、シャッタ28及び透過型の光センサ29で構成している。シャッタ28はカム27に固着され、このシャッタ28で透過型の光センサ29が遮光される。シャッタ28が反時計廻りで回転して、光センサ29がシャッタ非検出(明検出)からシャッタ検出(暗検出)に切換ったときが、カム27の回転基点(回転角度0度)と定めている。このとき、記録ヘッド201〜220は、図3の(a)に示すように、ノズル列4を長軸方向(主走査方向)xに平行にした姿勢であり、回動角度0度の状態である。この状態では、第1列および第2列のそれぞれにおいて、記録ヘッドを回動支持するピン201p〜210pおよび記録ヘッド201〜210のノズル列4は、全てx方向の一直線上に位置する。
カム27は偏芯カムであり、図3の(a)に示す状態では、記録ヘッドに当接するカム27の側周面(カム面)は、ホィールギア26の回転中心に対して最短半径であるが、カム27が180度回転すると、記録ヘッドに当接するカム27の側周面は、ホィールギア26の回転中心に対して最長半径となる。該最長半径と最短半径の差が、記録ヘッドのカム当接位置の、短軸方向(副走査方向)yの最大振れ幅となる。
図5に、印字コントローラ19の構成の一部を示す。画像形成するための画像データは、プリンタコントローラ100から、画像メモリ&メモリコントローラ35に送られて、そこにある画像メモリに蓄積される。プロセスコントローラ34が印刷を開始すると、プロセスコントローラ34が与える同期信号(タイミング信号)および制御信号にしたがって、画像メモリ&メモリコントローラ35がインターフェース36を介して、各色出力制御41y〜41kの、各記録ヘッド出力制御(2点鎖線ブロック)に、各記録ヘッドの記録割り当て領域の画像データを、切り出し出力する。各記録ヘッド出力制御には、画像形状補正37,画像メモリ38,出力ラッチ39およびインク滴吐出ドライバ40がある。
各記録ヘッド出力制御においては、まず画像形状補正37が、画像メモリ&メモリコントローラ35が与える画像データに、プロセスコントローラ34が与える記録ヘッド回動角度(表1に示す領域No.宛の目標回動角度)相当の回転処理と、この画像回転による画像の、記録ヘッドに割当てられた矩形領域からのはみ出しを押さえ、不足を補填するジャギー補正を加えて、画像メモリ(バッファメモリ)38に書込むともに、各記録ヘッド出力制御は、画像メモリ38から画像データを出力ラッチ39に出力し、ドライバ40に出力する。ノズルから1滴のインクを吐出する時間の周期で、画像メモリ38から、1つの記録ヘッドに割り当てられたx方向幅(分割ライン長)のノズル(ノズル列4内)宛ての画像データを、出力ラッチ39に出力する。
マルチ記録ヘッド17y〜17kのそれぞれには、ヘッド基体2の温度を検出する温度センサ18y〜19kがあり、各温度センサの温度検出信号がインターフェース36を介してプロセスコントローラ34に与えられ、プロセスコントローラ34が温度検出信号をA/D変換して読み込む。すなわち検出温度データを得る。
図示は省略したが、インターフェース36には、マルチ記録ヘッド17y〜17kの各ステッピングモータ(31:図3)を回転駆動する各モータドライバ(モータ駆動電気回路)が接続されており、また、マルチ記録ヘッド17y〜17kの各基点センサ(の光センサ29:図4)が接続されている。プロセスコントローラ34は、本実施例では、画像形成装置10に電源が投入されて画像形成装置各部に動作電圧が加わった、電源オン直後、ならびに、操作ボード12又はPCから、複写,印刷などの、画像形成装置10を駆動する画像形成を指示するスタート指示がプリンタコントローラ100から与えられたときに、記録ヘッドの回動角度を設定又は調整する。
すなわち、各マルチ記録ヘッド17y〜17kの温度センサ18y〜19kの検出温度を読み込み検出温度対応の回動角度にマルチ記録ヘッド上の記録ヘッドの回動角度を設定する。この角度設定のためにステッピングモータ31(カム27)の回転駆動が必要であると、モータドライバにモータの正回転駆動を指示し、モータ駆動のステップ数をカウントアップし、基点センサ(28,29)が基点を検出すると(透過形光センサ29の光検出信号が、光有りから光無しに切換ると)、カウント値を0に初期化してまたステップ数をカウントアップして、カウント値(カム回転角度)が、温度領域対応のカム目標回転角度(表1)になると、モータドライバによるモータ駆動を停止する。
プロセスコントローラ34の内部には、CPU,RAM,ROM及びその他の、コンピュータシステム要素があるMPU(マイクロコンピュータ)があり、該CPUの内部メモリの1領域に、表1に示す領域No.を保持するための、領域No.レジスタを割り当てている。上記ROMには、表1に示す領域No.宛の記録ヘッドの目標回動角度および領域No.宛のカムの目標回転角度を、領域No.対応で書き込んだ目標角度テーブルを格納しており、電源オン直後の初期化において上記CPUは、ROMの目標角度テーブルを、上記RAMの1領域に書込む。
図6に、電源オン直後にプロセスコントローラ34が実行する記録ヘッドの回動角度の設定すなわち「ヘッド角度の初期設定」IAD、の内容を示す。ここではまず「ヘッド17yの角度初期設定」s10yを実行する。
この「ヘッド17yの角度初期設定」s10yではプロセスコントローラ34はまず、温度センサ18yの温度信号をA/D変換で温度データに変換して読み込み(s1)、温度データを、それが表す温度Tが属する領域No.(表1)に変換し、該領域No.に対応付けられている記録ヘッド目標回動角度およびカム目標回転角度(表1)を、上記目標角度テーブルから読み出す(s2)。次に、ステッピングモータ31の正転駆動を開始し(s3)、ステッピングモータ31のステップ数のカウントアップを行い、基点センサ(光センサ29)の検出信号が基点を表す変化(光有りから光無し)を示すと、カウント値を0に初期化しそしてさらにステップ数のカウントアップを行う(s4)。そして、カウント値が、カム目標回転角度に達したかを判定して(s5)、カム目標回転角度に達すると、モータ31の回転駆動を停止する(s6)。領域No.レジスタには、今回s2で判定した領域No.を更新記憶し(s7)、y色出力制御41yの画像形状補正37に、更新記憶した領域No.対応の記録ヘッド目標回動角度(s2で目標角度テーブルから読み出したもの)対応の角度を、画像回転角度に設定する(s8)。ここで「ヘッド17yの角度調整」s10yは完了である。
ついで、プロセスコントローラ34は、「ヘッド17mの角度初期設定」s10m,「ヘッド17cの角度初期設定」s10cおよび「ヘッド17kの角度初期設定」s10kを、この順で順次に実行する。これらの内容は、上述の「ヘッド17yの角度初期設定」s10yと同様である。
図7に、操作ボード12又はPCから、複写,印刷などの、画像形成装置10を駆動する画像形成を指示するスタート指示がプリンタコントローラ100から与えられたときに、プロセスコントローラ34が実行する、記録ヘッドの回動角度の調整すなわち「ヘッド角度の調整」RAD、の内容を示す。ここでプロセスコントローラ34は、スタート指示を待ち(s20)、スタート指示があると、まず「ヘッド17yの角度調整」s30yを実行する。
この「ヘッド17yの角度調整」s30yではプロセスコントローラ34はまず、温度センサ18yの温度信号をA/D変換で温度データに変換して読み込み(s31)、温度データを、それが表す温度Tが属する領域No.(表1)に変換し(s32)、得た領域No.が、領域No.レジスタの領域No.と同一(前回から温度が5°C以上変化していない)かを判定して(s33)、同一であると、そこで「ヘッド17yの角度調整」s30yを終了(s33からs30mへ移行)する。同一でないと、今回得た領域No.に対応付けられている記録ヘッド目標回動角度およびカム目標回転角度(表1)を、目標角度テーブルから読み出して、ステッピングモータ31の正転駆動を開始し(s34)、ステッピングモータ31のステップ数のカウントアップを行い、基点センサ(光センサ29)の検出信号が基点を表す変化(光有りから光無し)を示すと、カウント値を0に初期化しそしてさらにステップ数のカウントアップを行う(s35)。そして、カウント値が、カム目標回転角度に達したかを判定して(s36)、カム目標回転角度に達すると、モータ31の回転駆動を停止する(s37)。領域No.レジスタには、今回s32で判定した領域No.を更新記憶し(s38)、y色出力制御41yの画像形状補正37に、更新記憶した領域No.対応の記録ヘッド目標回動角度に対応する角度を画像回転角度に設定する(s39)。ここで「ヘッド17yの角度調整」s30yは終了である。
ついで、プロセスコントローラ34は、「ヘッド17mの角度調整」s30m,「ヘッド17cの角度調整」s30cおよび「ヘッド17kの角度調整」s30kを、この順で順次に実行する。これらの内容は、上述の「ヘッド17yの角度調整」s30yと同様である。
これらの角度調整を終了するとプロセスコントローラ34は、印刷(s31)を開始する。印刷すなわち画像記録においては、画像メモリ&メモリコントローラ35が、各ヘッド宛の画像データを、各出力制御41y〜41kに与え、各出力制御41y〜41k内の画像形状補正37が、プロセスコントローラ34が設定した画像回転角度に画像データを回転処理しこれにともなってジャギー補正を加える。これにより、記録ヘッド(のノズル列4)が長軸方向(主走査方向)xに延びる直線に対して傾斜していても、傾斜のない画像が記録紙に記録される。
図8に、図3の(b)に示すマルチ記録ヘッド17yの左端部の、第1列及び第2列の先頭の記録ヘッド201,202を抜粋して示す。第1実施例の記録ヘッド(全記録ヘッド)の最大回動角度θmaxすなわち回動角度調整範囲は、カム27が基点である回転角度0から、反時計廻りに180°回転した回転角度180°のときの記録ヘッドの角度である。この回動角度調整範囲θmaxは、記録ヘッドの熱膨張係数Aと、ノズル基体2の熱膨張係数Bと、記録ヘッドの回動中心であるピン201p,202pから最初の使用可能なノズル列端までの距離X_m-1と、ピン201p,202pから最後の使用可能なノズル列端までの距離X_m-nと、ノズル基体2上のピン201p,202p(記録ヘッド)の、長軸方向(主走査方向)xの分布ピッチX_headと、ヘッド温度(本実施例ではノズル基体温度)Tの範囲(0°〜40°)によって決定した。
この回動角度調整範囲θmaxは、図8上の、「T=0°C(A<B)の時」として示す線図上のθに該当する。但し、この例は、記録ヘッドの熱膨張係数Aとヘッド基体2の熱膨張係数Bの関係が、A<Bの時を示しており、一例を挙げると、AはSi(シリコン)の熱膨張係数2.4×10−6[1/℃]であり、BはAl(アルミニューム)の熱膨張係数23.8×10−6[1/℃]である。また、温度範囲ΔTは、0〜40℃、すなわち40℃である。
次に具体的に示す:
X_m-1:8mm
X_m-n:40mm
A:2.4×10−6[1/℃] (Si)
B:23.8×10−6[1/℃] (Al)
ΔT:Tmin〜Tmax=0〜40℃
これより、ノズル基体2の熱膨張と記録ヘッドの熱膨張による差が最大となるのは、T==40℃の時であるから、ノズル基体上の隣接する記録ヘッドの回動中心間距離X_headは、T=40℃の時、θ=0°となる様に設定すれば良いので、その時の値は、
X_head=(X_m-n−X_m-1)・(1+A・ΔT)・cosθ/(1+B・ΔT)
≒31.973mm,∵cosθ=1,ΔT=40°C
となる;
ここで、T=0℃となった時を考えると、上式は、
X_head=(X_m-n−X_m-1)・cosθ
となるから、これより記録ヘッドの最大回動角度θmaxが算出される;
本条件下においては、
cosθ≒31.973/32
θ=θmax
≒2.354°
となる。
これより、記録ヘッドの回動角度を制御する偏芯カム27の記録ヘッドへの接触位置(記録ヘッド201の回動中心201pからの距離)が40mmとすると、偏芯カム27の偏芯量Δxは、
Δx=40・sinθ
≒1.643mm,∵θ=2.354°
となる。
この様に、本条件下では、記録ヘッド201の回動中心201pから40mmの位置に、1回転(360°)で、短軸方向(副走査方向)yに1.643mm変化する偏芯カム27を設け、この偏芯カム27をステッピングモータ31で、回動駆動する事により、記録ヘッド201の回動角度を制御し、隣接する記録ヘッド202との、ヘッド温度変化による長軸方向(主走査方向)xのノズル位置ずれを相殺する事が可能である。
なお、最大,最小偏芯時(カム回転角度180度,0度:ヘッド回動角度2.354°,0°)の間のノズル位置調整量(x方向)としては、上式より、約27μm、また記録ヘッドの主走査方向解像度が300dpiとするならば、主走査方向のノズル分布ピッチは、84.7μmである。
また、主走査方向xで隣接する記録ヘッド201,202間のノズル位置ずれとして、10%以下(8.47μm)となる様に設計している。これより、上記実施例においては、27μm(ΔT:40℃)の調整量を9段階に等分割し、偏芯カム38の回転角度を設定している(表1)。マルチ記録ヘッドの検出温度Tは、同様に9段階に分割し(表1)、5℃の変化にて、上記偏芯カム27を、ノズルの3μm移動分相当の20°回転駆動する。ここで、偏芯カム27は、真円の回転中心位置をずらし、カムの回転角に記録ヘッドの回動角が実質的に比例するカム形状にしたものである。偏芯カム27の回転角度の変化に対して、記録ヘッドの、主走査方向xの最後の位置(記録に用いるノズル群の最右端位置)のノズルの、主走査方向xの位置が線形に推移する形状のカム27を採用すると、ステッピングモータ31の回転量(回転角度)に、カム27の回転量(回転角度)が比例し、これに、ノズル列4上の主走査方向xの最後の位置のノズルの、主走査方向xの移動量が比例する。なお、記録ヘッドの、θmax=2.354°以下の回動角度では、これを表1に示すように、温度Tの5°の変化につき、カム27を20°だけ回転駆動すると、記録ヘッドは、実質的に、θmaxを9等分した角度だけ回動する。これは、記録ヘッドの回動角度がカムの回転角度に比例し、θmax以下の回動角度では、記録ヘッドの、主走査方向xの最後の位置のノズルの、主走査方向xの移動量が記録ヘッドの回動角度θと実質的に比例するからである。
以上のように、電気モータ31の回転角度,カムの回転角度,記録ヘッドの回動角度、および、記録ヘッドの、主走査方向xの最後の位置(記録に用いるノズル群の最右端位置)のノズルの、主走査方向xの移動量、の全てが比例関係にあるので、記録ヘッドの前記最後の位置のノズルの、主走査方向xの位置を目標位置に設定する演算および制御が容易であり、しかも、制御精度および安定性が高い。
−第2実施例−
図9に、第2実施例のマルチ記録ヘッドの1つ17yを示す。なお、図9に示すマルチ記録ヘッド17yも、図2に示すマルチ記録ヘッド17yとして用いられるものであり、図9に示すマルチ記録ヘッド17yと同一構成の図示しないマルチ記録ヘッド17m,17c,17kが、図2に示すマルチ記録ヘッド17m,17c,17kとして用いられる。図9の(a)はヘッドの温度Tが0°Cのときを、図9の(b)は40°Cのときを示す。第2実施例では、記録ヘッド201〜210の熱膨張係数Aと、これらの記録ヘッドを傾斜状態で配列固定する長尺部材であるヘッド基体2の熱膨張係数Bの関係は、A<Bである。
第2実施例のマルチ記録ヘッド17yもヘッド基体2を備え、複数の記録ヘッド201〜210が、ヘッド基体2の長軸方向(主走査方向)xに対して傾斜して長軸方向xで隣り合う記録ヘッドのエレメント列4の端部分が短軸方向(副走査方向)yには離れるが長軸方向xには重複するように分布し、基体2に対して回動可にピン201〜210pで先端が支持されている。各記録ヘッドの後端は、角度調整器241〜250で、基体2に固定されている。各角度調整器は、各記録ヘッドの後端を各ピン201p〜210pを中心に回動させるカムと、該カムを基体2に対して固定するロックねじを備え、ロックねじを緩め回転することによりロックが外れてカムの回転(角度調整)が可能となり、カムを手動で回転させることにより、基体2の長軸線に対する記録ヘッドの角度(図10上のθh)を調整し、ロックねじを締め回転することにより、記録ヘッドが基体2に固定される。この角度調整は、マルチ記録ヘッドの組み立て時、ならびに保修(メンテナンス)時に行われる。
ヘッド基体2は、一端(図9上で左側)が、画像形成装置10のフレーム(静止材)に、基準ピン2pを中心に回転可能に支持され、他端(図9上右側)は、引っ張りコイルスプリング232で引っ張られている。なお、引張りコイルスプリング232に代えて、ヘッド基体2を介して、駆動ユニット231のカムに対向して、ヘッド基体2を該カムに向けて押す圧縮コイルスプリング,板ばね又はその他の弾力部材又は加圧手段を用いることもできる。
駆動ユニット231は、画像形成装置10のフレーム条にあって、第1実施例の駆動ユニット221(図4)と同様な構成である。第2実施例の印字コントローラ19も、第1実施例のもの(図5)と同様であり、第2実施例のマルチ記録ヘッドを用いる画像形成装置10の構成は第1実施例(図2)と同様であり、第2実施例の該画像形成装置10を用いる第2実施例の印刷システムの構成も、第1実施例のもの(図1)と同様である。
図10に、第2実施例のマルチ記録ヘッド17yの、画像形成装置のフレーム上に定めた主走査方向x(絶対基準ライン)に対する、ヘッド基体2の、基準ピン2pの中心を通る長軸線(相対基準ライン)のなす角(傾斜角)すなわち取り付け角度θaを示す。この取り付け角度θa、の最大値θamaxは、記録ヘッド201〜210の熱膨張係数Aと、ヘッド基体2の熱膨張係数Bと、記録ヘッド201〜210の、配列方向(相対基準ライン)に対する傾斜角度θhと、画像形成装置10の使用温度範囲ΔTによって決定される。図10に記載の計算式(3)式を満足するθaが、最大取付角度θamaxとなる。
ここで一例を挙げると、AをSiの熱膨張係数2.4×10−6[1/℃]、BをAl(アルミニューム)の熱膨張係数23.8×10−6[1/℃]とし、記録ヘッド201〜210の傾斜角度θh=20[deg]、また、画像形成装置10の使用温度範囲Tは、0〜40℃(ΔT=40)とした場合、最大取付角度θamaxは、
θamax = atn((tan(θamax))
= atn((40×(23.8−2.4)×10−6
×cos(20))/((1+40×2.4×10−6)×sin(20)))
≒ 0.1347[deg]
となり、ヘッド基体2の回転中心(2p)から、駆動ユニット231のカムが接触するまでの距離X a・cos(θamax)から、カムの所要偏芯量Δyを求めると、
Δy= X a×cos(0.1347)×tan(0.1347)
= X a×sin(0.1347)
≒ 0.7758[mm] ∵X a=330[mm]
となる。
また、記録ヘッド有効ノズル幅X nを32[mm]、記録ヘッド固定位置から有効ノズル列までの距離X n1を10[mm]とした場合、T=40[℃]時の隣接記録ヘッドのノズル間のずれ量Δxを求めると、
Δx=(X h×(1+B×ΔT))−(X n×(1+A×ΔT)×cos(θh))
=(X n×cos(θh)×(1+B×ΔT))
−(X n×(1+A×ΔT)×cos(θh)) ∵X h=X n×cos(θh)
=X n×cos(θh)×(B−A)×ΔT
=32×cos(20)×(23.8−2.4)×10−6×40
≒0.02574[mm]
=25.74[μm]
となり、隣接記録ヘッド間のノズル位置ずれとして、約26μmを補正する構成が必要になる。
第2実施例でも、印字コントローラ19が、第1実施例と同様に、温度変化対応の記録ヘッド角度(ヘッド基体2の角度)の設定(図6,図8)を行う。第2実施例の最大,最小偏芯時のノズル位置調整量としては、上記説明より、約25.7μm、また記録ヘッド201〜210の主走査方向解像度が300dpiの場合は、そのピッチは、84.7μmとなる。更に、第2実施例においては、隣接する記録ヘッド間のノズル位置ずれとして、10%以下(8.47μm)となる様に設定する。これより、第2実施例においては、25.7μm(Δ40℃)の調整量を、第1実施例と同様に10段階に分割し、偏芯カム38の回転角度を設定している。マルチ記録ヘッドの検出温度も、同様に10段階に分割し、Δ5℃の変化にて、第1実施例のカム駆動制御と同様にして、駆動ユニット231の偏芯カムの回転角度を制御する。なお、駆動ユニット231の偏芯カムは、真円の回転中心位置をずらしたものであっても良いし、偏芯カムの回転角度と記録ヘッド主走査ノズル位置が線形に推移する形状のカムであっても良い。第2実施例のその他の構成および機能は、第1実施例と同様である。
2:ヘッド基体
4:ノズル列
11:記録紙トレイ
12:記録紙
13:給紙コロ
14:レジストローラ
15:搬送ベルト
16:ロータリーエンコーダ
17y〜17k:マルチ記録ヘッド
18y〜18k:温度センサ
24:シャフト
24s:軸受け
25:ウォームギア
26:ホィールギア
27:偏芯カム
28:シャッタ
29:光センサ
30:減速機
31:ステッピングモータ
201〜210:記録ヘッド
201p〜210p,2p:ピン
211〜220,232:引張りコイルスプリング
221〜230,231:駆動ユニット
241〜250:角度調整器
特開2000−000964号公報 特開2006−256265号公報 特開2008−221832号公報 特開2002−273878号公報 特開2006−188013号公報 特開2002−113849号公報 特開2008− 12712号公報

Claims (20)

  1. 複数のドット記録エレメントが配列されたエレメント列を持つ、複数の記録ヘッドであって、主走査方向に分布ししかも、主走査方向で隣り合う記録ヘッドの前記エレメント列の端部分が副走査方向には離れるが主走査方向には重複するように分布する、複数の記録ヘッド;
    前記記録ヘッドを記録面と直交する垂直軸を中心に回動可に支持する回動支持手段;
    前記記録ヘッドを、前記垂直軸を中心に回動駆動する駆動手段;
    温度検出手段;および、
    該温度検出手段の検出温度に対応して、前記駆動手段を用いて、主走査方向で隣り合う記録ヘッドの検出温度によるエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、前記記録ヘッドの回動角度を設定する、制御手段;
    を備えるマルチ記録ヘッド。
  2. 前記ドット記録エレメントは、記録液滴を吐出するノズルであり;前記エレメント列はノズル列である;請求項1に記載のマルチ記録ヘッド。
  3. 前記駆動手段は、前記垂直軸に平行な軸を中心に回転可であって、該回転による側周面の副走査方向の突出/退避により記録ヘッドを副走査方向に駆動するカム,記録ヘッドに該カムにより駆動される方向とは逆の方向の力を加える加圧部材、および、該カムを回転駆動する回転駆動手段、を含む;請求項1又は2に記載のマルチ記録ヘッド。
  4. 前記制御手段は、前記温度センサの検出温度に対応して、該検出温度による主走査方向で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺するための記録ヘッドの目標回動角度を導出する目標角度導出手段;および、前記駆動手段を用いて、前記目標回動角度に記録ヘッドの回動角度を設定する姿勢設定手段;を含む、請求項1乃至3のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  5. 前記制御手段は、動作電圧が画像形成装置に印加された直後に、前記温度センサの検出温度に対応して、前記駆動手段を用いて、該検出温度による主走査方向で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、記録ヘッドの回動角度を設定する;請求項1乃至4のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  6. 前記制御手段は、画像記録スタート指示に応答して、前記温度センサの検出温度に対応して、前記駆動手段を用いて、該検出温度による主走査方向で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺する回動角度に、記録ヘッドの回動角度を設定する;請求項1乃至5のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  7. 前記制御手段は、前記温度センサによる温度検出範囲を複数に区分した領域のいずれに検出温度が属するかを表す領域符号に検出温度を変換し、該領域符号に対応付けられている目標回動角度とは、前記記録ヘッドの回動角度が異なるときに、目標回動角度に回動駆動し、合致するときには該回動駆動はしない;請求項1乃至6のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  8. 各記録ヘッドに割り当てられた、主走査方向の分割区間および副走査方向の記録紙領域の、各エレメント付勢に用いられる各画像データ群の画像データ分布を、前記検出温度に対応して設定する前記記録ヘッドの回動角度に対応して、該回動角度による記録画像の回転を相殺する方向に回転処理する画像データ処理手段;を更に備える、請求項1乃至7のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  9. 前記駆動手段は、回転による側周面の前記短軸方向の突出/退避により記録ヘッドを前記短軸方向に駆動するカム,記録ヘッドに該カムにより駆動される方向とは逆の方向の力を加える加圧部材,前記カムと一体または連結のホィールギア,該ホィールギアに噛み合うウォームギア,該ウォームギアと一体又は連結であって前記長軸方向に延びるシャフト、および、該シャフトを回転駆動する電動駆動機を含み;
    前記マルチ記録ヘッドは更に、前記電動駆動機の回転駆動による前記カムの回転角度の基点を検出する基点センサを備え;
    前記制御手段は、前記温度センサの検出温度に対応して、該検出温度による主走査方向で隣り合う記録ヘッドのエレメント列間の位置ずれを相殺するための前記カムの目標回転角度を導出する目標角度導出手段、および、前記電動駆動機を用いて、前記目標回転角度に前記カムの回転角度を設定する姿勢設定手段、を含み;
    前記姿勢設定手段は、前記基点の検出からの前記カムの回転駆動量を計測し、該回転駆動量が前記目標回転角度相当の回転駆動量となると前記電動駆動機による回転駆動を停止する;請求項1又は2に記載のマルチ記録ヘッド。
  10. 前記姿勢設定手段は、前記カムは一方向のみに回転駆動する;請求項9に記載のマルチ記録ヘッド。
  11. 前記姿勢設定手段は、前記温度センサによる温度検出範囲を複数に区分した領域のいずれに検出温度が属するかを表す領域符号に、検出温度を変換し、前記カムの回転角度が、該領域符号に対応付けられている目標カム回転角度とは異なるときに、目標カム回転角度に回転駆動し、合致するときには該回転駆動はしない;請求項9又は10に記載のマルチ記録ヘッド。
  12. 前記姿勢設定手段は、前記温度センサによる温度検出範囲を複数に区分した領域のいずれに検出温度が属するかを表す領域符号に検出温度を変換し、該領域符号がメモリに保持する領域符号と異なるときに、前記電動駆動機を用いて前記カムを回転駆動し、該カムの回転角度が、メモリにある、今回変換した領域符号に宛てられた目標回転角度に合致するとき前記カムの回転駆動を停止して、前記メモリの領域符号を、今回変換した領域符号に更新し、今回変換した領域符号がメモリに保持する領域符号と合致するときには前記カムの回転駆動はしない;請求項11に記載のマルチ記録ヘッド。
  13. 各記録ヘッドに割り当てられた、前記長軸方向の分割区間および前記短軸方向の記録紙領域の、各エレメント付勢に用いられる各画像データ群の画像データ分布を、前記変換した領域符号宛ての角度に回転処理する画像データ処理手段;を更に備える、請求項12に記載のマルチ記録ヘッド。
  14. マルチ記録ヘッドはヘッド基体を備え;前記複数の記録ヘッドは、前記ヘッド基体の長軸方向に延び短軸方向に並んだ複数列の各列上に分布し;前記回動支持手段は、前記ヘッド基体に対して、その長軸および短軸に直交する垂直軸を中心に回動可に、前記複数の記録ヘッドのそれぞれを支持し;前記駆動手段は、前記複数の記録ヘッドのそれぞれを、前記垂直軸を中心に回動駆動する;請求項1乃至13のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  15. 前記ヘッド基体に装備した全記録ヘッドは、前記短軸方向に離れた2列に配列されて前記長軸方向に沿ってジグザクに分布する;請求項14に記載のマルチ記録ヘッド。
  16. マルチ記録ヘッドはヘッド基体を備え;前記複数の記録ヘッドは、前記ヘッド基体の長軸方向に対して傾斜して長軸方向で隣り合う記録ヘッドの前記エレメント列の端部分が短軸方向には離れるが長軸方向には重複するように分布し、前記回動支持手段は、前記ヘッド基体を、前記垂直軸を中心に回動可に支持し;前記駆動手段は、ヘッド基体を、前記垂直軸を中心に回動駆動する;請求項1乃至13のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド。
  17. 前記複数の記録ヘッドのそれぞれは、前記垂直軸を中心に回動可能にして前記ヘッド基体で支持され;マルチ記録ヘッドは更に、各記録ヘッドの該回動の角度を調整する角度調整手段を備える;請求項16に記載のマルチ記録ヘッド。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1つに記載のマルチ記録ヘッド;
    該マルチ記録ヘッドの記録エレメント配列面に対向して記録紙を副走査方向に移送する記録紙送給手段;および、
    該記録紙送給手段を用いて記録紙を副走査方向に移送しつつ、前記記録ヘッドのそれぞれの記録エレメントに割り当てる記録画像データに基づいて前記マルチ記録ヘッドにより前記記録紙に画像記録を行う、印字制御手段;
    を備える画像形成装置。
  19. マルチ記録ヘッドは、イエロー,マゼンタ,シアンおよびブラックインクジェット記録ヘッドを含み、これらのインクジェット記録ヘッドが、前記記録紙の移送方向に配列された;請求項18に記載の画像形成装置。
  20. さらに、原稿上の画像を読取り画像データを生成する画像読取り手段;および、該画像データを前記記録画像データに変換して前記印字制御手段に与える印刷コントローラ;を備える請求項18又は19に記載の画像形成装置(図1)。
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