JP2010227373A - ミシン及びミシンの縫製方法 - Google Patents

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英揮 土井
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到 柴田
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Abstract

【課題】縫目の美観の損失及び品質の低下を防止することができるミシン及びミシンの縫製方法を提供する。
【解決手段】ハサミ83が切断してフリーとなり加工布Wの下面に縫い込んでいく下糸Sの切断端部Seを、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とで一旦保持するのみならず、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが保持を解除した後もさらに保持板140で二次的に保持する。これにより、縫製開始後に上糸Tと下糸Sとが絡み合って縫目を形成するときに、縫目に引き込む下糸Sの切断端部Seを、円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
【選択図】図13

Description

本発明は、縫針が上下動することにより、縫針の目孔を通した上糸と下糸とが協働し、加工布に縫目を形成するミシン及びミシンの縫製方法に関する。
一般に、ミシンは下糸保持手段と下糸切断手段とを備えている。ミシンは、縫針が上下動することにより、縫針の目孔を通した上糸と下糸とが協働し、加工布に縫目を形成する。縫目の形成が終了すると、針板手段の下方に設けた下糸保持手段が下糸を保持する。保持した下糸の所定の切断箇所を、下糸保持手段の上方で且つ針板手段の下方において下糸切断手段が切断する。
従来、下糸切断手段が下糸の切断を開始する前に、下糸保持手段が下糸を完全に保持することで、下糸の切断を安定して実行することができるミシンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−312793号公報
ミシンは、下糸の切断後、加工布の新たな縫製を開始する。下糸保持手段が切断端部を保持した状態で、縫針の担持した上糸が加工布の下方へ現れた後、ループを形成し下糸のボビン側部分と絡み合って加工布の上方へ去る。これを繰り返して上糸と下糸との協働で順次縫目を形成するとき、適宜のタイミングで下糸保持手段が下糸の切断端部の保持を解除する。フリーとなった下糸の切断端部を、上述のように順次形成する縫目に引き込み、下糸保持手段の上方にある針板手段の針穴から加工布側へ通すことにより、加工布の下面に縫い込んでいく。
上記従来技術のミシンは、上糸と下糸とが絡み合って縫目を形成するときに、縫目に引き込む下糸の切断端部が暴れるおそれがある。暴れた下糸の切断端部の一部が縫目からはみ出して美観を損ねたり、下糸の切断端部が上糸のループに引っ掛かり加工布の表側に出るおそれがあった。
本発明の目的は、縫目の美観の損失及び品質の低下を防止することができるミシン及びミシンの縫製方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1発明のミシンは、ベッド部に針板手段を設けたミシンにおいて、上糸と協働して加工布に縫目を形成する下糸を、前記縫目の形成後に、前記針板手段より下方で保持する一次保持手段と、前記一次保持手段により保持した下糸を、前記針板手段の下方において切断する下糸切断手段と、前記針板手段は、前記上糸及び前記下糸が通過可能な針穴を有し、該針穴と前記一次保持手段との間で、前記下糸を保持する二次保持手段とを備えることを特徴とする。
本願第1発明のミシンは、一次保持手段と、下糸切断手段とを有する。上糸と下糸とが協働して加工布への縫目の形成が終了すると、針板手段の下方に設けた一次保持手段が下糸を保持する。保持した下糸を、針板手段の下方において下糸切断手段が切断する。切断後、加工布に新たに縫製を開始すると、一次保持手段が切断端部を保持した状態で、縫針の下降により上糸が加工布の下方へ現れた後、下糸のボビン側部分と絡み合ってループを形成し、加工布の上方へ去る。これを繰り返して上糸と下糸との協働で順次縫目を形成するとき、適宜のタイミングで一次保持手段が下糸の切断端部の保持を解除する。本願第1発明では、この一次保持手段による保持解除前あるいは保持解除後に、上方へ移動した下糸の切断端部を二次保持手段が二次的に保持する。その後、一次保持手段による保持解除後の適宜のタイミングで二次保持手段が下糸の切断端部の保持を解除することで、フリーとなった下糸の切断端部を針板手段から加工布側へと導き、加工布の下面に縫い込んでいく。
本願第1発明は、下糸切断手段が切断してフリーとなり加工布の下面に縫い込んでいく下糸の切断端部を、一次保持手段で一旦保持するのみならず、一次保持手段が保持を解除した後もさらに二次保持手段で二次的に保持する。これにより、縫製開始後に上糸と下糸とが絡み合って縫目を形成するときに、縫目に引き込む下糸の切断端部を、円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。この結果、縫目の完成後に、暴れた下糸の切断端部の一部が縫目からはみ出して美観を損ねたり、縫目品質を低下させたりするのを確実に防止することができる。
第2発明のミシンは、上記第1発明において、前記二次保持手段は、前記針板手段の内部において下糸の前記切断端部を保持することを特徴とする。
針板手段の下方の一次保持手段で一次的な保持を行った後、その上方の針板手段内部において二次保持手段で二次的な保持を行うことで、下糸の切断端部を、円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
第3発明のミシンは、上記第2発明において、前記針板手段は、前記ベッド部に取り付けた針板ベースと、前記針穴を備え前記針板ベースの上部に取り付けた針板部材とを有し、前記二次保持手段は、前記針板部材内において下糸の前記切断端部を保持することを特徴とする。
本願第3発明のミシンは、針板手段を、ベッド部に取り付ける針板ベースとその上部の針板部材とで構成する。針板ベースより下方の一次保持手段が一次的な保持を解除する下糸の切断端部を、針板部材内において二次保持手段が二次的に保持することにより、下糸の切断端部を円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
第4発明のミシンは、上記第3発明において、前記針板部材は、下糸の前記切断端部を導入する凹部を備え、前記二次保持手段は、下糸の前記切断端部を、前記凹部の側壁に押しつけて保持することを特徴とする。
本願第4発明のミシンは、針板部材に凹部を設ける。下糸の切断端部を凹部に導入するとともに、二次保持手段が凹部の側壁に押しつけることで二次的な保持を行う。壁に押しつけて保持することにより、容易で確実な保持構造を実現することができ、保持の解除も容易となる。下糸の切断端部を針穴へと導くガイドとして凹部を活用し、凹部形状に下糸の切断端部を倣わせることで、暴れることなく円滑に針穴へと導くことができる。これにより、さらに円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
第5発明のミシンは、上記第4発明において、前記二次保持手段は、前記凹部内において、下糸の前記切断端部を該凹部の側壁に押しつけて保持する押しつけ位置と、下糸Sの前記切断端部の前記押しつけを解除する解除位置とを、切り替え可能な押しつけ部を備えることを特徴とする。
本願第5発明のミシンは、二次保持手段が押しつけ部を備え、該押しつけ部を押しつけ位置と解除位置とに切り替え可能である。押しつけ部を押しつけ位置に切り替えることで、凹部に導入した下糸の切断端部を凹部の側壁に押しつけて二次的な保持を行い、押しつけ部を解除位置に切り替えることで壁への押しつけを解除することができる。これにより、容易で確実な下糸の切断端部の二次的保持及び解除機能を実現することができる。
第6発明のミシンは、上記第5発明において、前記二次保持手段は、前記押しつけ部が前記押しつけ位置と前記解除位置とを切り替えるための動力を伝達する伝達部をさらに備え、前記伝達部を、前記針板部材と前記針板ベースとの間に設けたことを特徴とする。
本願第6発明のミシンは、二次保持手段が伝達部を備え、針板部材と針板ベースとの間で駆動部に動力を伝達する。針板ベースより下方の一次保持手段が一次的な保持を解除する下糸の切断端部を、針板部材と針板ベースとの間に設けた伝達部からの動力で押しつけ位置に切り替わった駆動部が、針板部材の凹部内で二次的に保持する。これにより、下糸の切断端部を円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
上記目的を達成するために、第7発明のミシンの縫製方法は、上糸及び下糸を用いて加工布に縫目を形成するミシンの縫製方法において、前記縫目を形成した後、針板の下方で下糸を一次的に保持し、前記一次的に保持した下糸を、前記針板の下方において切断し、切断後の縫製開始後の適宜のタイミングで、前記一次的に保持した下糸の切断端部を二次的に保持することを特徴とする。
本願第7発明のミシンの縫製方法では、上糸と下糸で加工布に縫目を形成する。加工布への縫目の形成が終了すると、針板の下方で下糸を一次的に保持する。一次的に保持した下糸を、針板の下方において切断する。切断後、加工布に新たに縫製を開始すると、下糸の切断端部を保持した状態で、縫針の下降により上糸が加工布の下方へ現れた後、下糸のボビン側部分と絡み合ってループを形成し、加工布の上方へ去る。これを繰り返して上糸と下糸との協働で順次縫目を形成するとき、適宜のタイミングで下糸の切断端部の一次的な保持を解除する。本願第7発明では、この一次的な保持の解除前あるいは保持解除後に、上方へ移動した下糸の切断端部を二次的に保持する。その後、一次保持手段による保持解除後の適宜のタイミングで二次的に保持した下糸の切断端部の保持を解除することで、フリーとなった下糸の切断端部を針板から加工布側へと導き、加工布の下面に縫い込んでいく。
本願第7発明では、針板の下方で切断してフリーとなり加工布の下面に縫い込んでいく下糸の切断端部を、一旦一次的に保持するのみならず、一次的な保持を解除した後もさらに縫目の形成中に二次的に保持する。これにより、縫製開始後に上糸と下糸とが絡み合って縫目を形成するときに、縫目に引き込む下糸の切断端部を、円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。この結果、縫目の完成後に、暴れた下糸の切断端部の一部が縫目からはみ出して美観を損ねたり、縫目品質を低下させたりするのを確実に防止することができる。
本発明によれば、縫目の美観の損失及び品質の低下を防止することができる。
本発明が適用された穴かがり縫いミシンの外観を表す斜視図である。 穴かがり縫いミシンの縫製機構の要部構成を表す右側面図である。 穴かがり縫いミシンの送り台駆動機構の構成を表す斜視図である。 穴かがり縫いミシンの布押え駆動機構の構成を表す右側面図である。 穴かがり縫いミシンの針棒駆動機構の構成を表す斜視図である。 穴かがり縫いミシンの下糸切断機構と布押え駆動機構との連結部の構成を表す左側面図である。 下糸切断機構の構成を表す下面図である。 針板の全体構造を表す斜視図である。 保持板の全体構造を表す平面図及び先端部分の構造を表す斜視図である。 保持板による下糸の保持動作の説明図である。 保持板が解除位置にある状態でのベースの下面の部分拡大図である。 図11中XII−XII断面による針板及びベースの横断面図である。 保持板が押しつけ位置にある状態でのベースの下面の部分拡大図である。 図13中XIV−XIV断面による針板及びベースの横断面図である。 ミシンの上糸切断機構の構成を表す斜視図及び上面図である。 下糸切断機構の下糸保持に関わる動作を表す説明図である。 下糸切断機構の下糸保持に関わる動作を表す説明図である。 穴かがり縫いミシンの制御系の構成を表すブロック図である。 穴かがり縫いミシンが使用する針落ち点のデータを表す説明図である。 加工布の縫製開始から終了までにおける下糸切断機構及び保持板の動作を説明するための、穴かがり縫いミシンの針穴近傍の構造を概念的に表す側断面図である。 加工布の縫製開始から終了までにおける下糸切断機構及び保持板の動作を説明するための、穴かがり縫いミシンの針穴近傍の構造を概念的に表す側断面図である。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明が適用された穴かがり縫いミシンMの外観を表す斜視図である。穴かがり縫いミシンM(ミシン)は、加工布W(図12等参照)に穴かがり縫い目100(図19参照)を形成し、その穴かがり縫い目100(縫目)の内側にボタン穴110(図19参照)を形成するいわゆるボタン穴用の穴かがり縫いミシンである。なお、以下の説明において穴かがり縫いミシンMの前後及び左右の方向は、図1及び図3等の矢印に示す方向とする。
図1に示すように、穴かがり縫いミシンMは、ミシンテーブル1と、ミシンテーブル1に設けたミシンモータ2と、ミシンモータ2を含む各駆動部(後述)を起動又は停止させるためのペダル3と、穴かがり縫い目100及びボタン穴110を形成するための種々のデータを入力するための操作パネル4と、各駆動部を駆動制御する制御装置5と、ミシン本体200等を有している。
ミシン本体200は、ベッド部6、脚柱部7、及びアーム部8を有する。図2に示すように、ミシン本体200は、加工布Wに穴かがり縫い目100を形成する縫製機構10と、加工布Wを布送りする送り台11と、送り台11を布送り方向へ駆動する送り台駆動機構12(図3参照)と、加工布Wの穴かがり縫い目100の千鳥縫い目101,102間を切断してボタン穴110を形成するカッタ13と、カッタ13を上下に駆動するカッタ駆動機構(図示略)とを備えている。
図2に示すように、縫製機構10は、縫針16と、針棒駆動機構17(図5参照)と、釜(図示略)とを備えている。縫針16は、アーム部8の前方に設けた針棒15の下端部に着脱自在に装着する。針棒駆動機構17は、針棒15を上下に往復駆動し左右に揺動駆動する。釜は、ベッド部6に設け、縫針16と共働して穴かがり縫い目を形成する。縫製機構10は、送り台11で加工布Wを布送りしつつ駆動することにより、図19に示す穴かがり縫い目100を形成する。図19に示すように、穴かがり縫い目100は、左千鳥縫い目101と右千鳥縫い目102とを有し、その前端部には前閂止め縫い目103を、後端部には奥閂止め縫い目104をそれぞれ有している。穴かがり縫いミシンMは、前閂止め縫い目103の一部、左千鳥縫い目101、奥閂止め縫い目104、右千鳥縫い目102、前閂止め縫い目103の残りの部分の順で縫い目を形成する。
次に、送り台11と送り台駆動機構12について説明する。図2、図3に示すように、送り台11は前後に長い板状形状を有している。送り台11は、その前端部に、穴かがり縫い目100及びボタン穴110を形成するための長穴11aを有する。ベッド部6は、上面に左右一対の案内板20をはめ込んでいる。ベッド部6は、それらの案内板20の間に、送り台11を前後に移動可能に支持する。
送り台駆動機構12は、可動部材21,22と、ステッピングモータ24とを備えている。可動部材21は、送り台11の後端部下面側に固定する。可動部材22は、前後に長い連結ロッド23により可動部材21に固定的に連結する。ステッピングモータ24は、可動部材22を前後に駆動する。連結ロッド23は、可動部材21,22の左端部を挿通して延びている。一対の軸受25は、可動部材21の前側、可動部材22の後側において、連結ロッド23を前後移動自在に支持している。前後に長いロッド26は、連結ロッド23の右側においてミシン機枠に固定している。可動部材22の右端部は、軸受22aを介してロッド26を前後移動自在に支持している。
駆動プーリ27は、ステッピングモータ24の出力軸に固着している。従動プーリ(図示略)は、駆動プーリ27の後方においてミシン機枠に支持しており、これら両プーリが環状のベルト28を掛け渡している。このベルト28の一部に可動部材22が連結しており、ステッピングモータ24が駆動すると、ベルト28を介して可動部材21,22と送り台11と布押え31が前後に一体的に駆動する。
可動部材22は、前端部に布押え31を取り付けた押え腕30の後端部に、回動可能に連結している。布押え31は、押え腕30の前上面に形成した溝30aと転動ローラ32との係合により、押え棒35に接続する。後述の布押え駆動機構33(図4参照)は、押え棒35を上下に駆動する。布押え31は、上下方向には押え棒35と一体に上下動し、前後方向には溝30aの範囲内で移動可能である。前述のカッタ駆動機構は、カッタ駆動用ソレノイド39(図18参照)を中心として構成する。カッタ13は、カッタ取付軸40下端のカッタホルダ41に、ネジ41aを介して固着する。カッタ駆動機構は、カッタ13を上下動する。
次に、布押え駆動機構33について説明する。図4に示すように、布押え駆動機構33は、L型リンク片43,44と、リンク部材45,46,47とを備えている。L型リンク片43,44は、アーム部8の前側と後側に、左右方向の軸を中心に揺動可能に各々設ける。リンク部材45は、押え棒35と前側のL型リンク片43の一端との間にピン結合により連結する。リンク部材46は、上下方向に長い部材であり、後ろ側のL型リンク片44の一端と後述のリンク部材65(図6参照)との間にピン結合により連結する。リンク部材47は、前後に長い部材であり、L型リンク片43,44の他端同士の間にピン結合により連結する。リンク部材46は、ピン46aを突設する。このピン46aは、左右方向の軸を中心に揺動するカム48の一端48aに係合する。また、カム48の他端48bは、ステッピングモータ49によって鉛直面内を円運動するピン49aに係合する。
カム48は、ステッピングモータ49の回転をリンク部材46の上下動に変換する。このリンク部材46の上下動は、L型リンク片44、リンク部材47、L型リンク片43、リンク部材45を順次経由して押え棒35に伝達する。布押え駆動機構33は、布押え31を、該布押え31によって加工布Wを押さえる布押え位置と、その布押え31を最大に上昇させた最大上昇位置との間の任意の高さに、ステッピングモータ49の回転角に応じて移動させる。
次に、針棒駆動機構17について説明する。図5に示すように、アーム部8に揺動自在に設けた針棒台51が、前述の針棒15を上下方向に摺動可能に支持している。針棒15は、針棒抱き52を所定の位置に固定する。針棒連竿53は、その一端53aが鉛直面内の円Cに沿って円運動する。この針棒連竿53の他端53bは、角コマ54を介して針棒抱き52に接続する。針棒抱き52は、その角コマ54側に、左右方向に断面矩形形状の案内溝52aを形成する。角コマ54は、この案内溝52aに左右方向に移動自在に係合する。針棒連竿53は、他端53bの角コマ54の設置側と反対側に、角コマ55を設けている。この角コマ55は、針棒連竿案内56の垂直溝56aに係合する。それ故、垂直溝56aは、針棒連竿53の他端53bを垂直方向にのみ移動可能に案内する。針棒台51は、その側面に平板状の針棒案内57を固定する。この針棒案内57は、針棒15に沿って伸びる長穴57aを形成する。針棒抱き52の側面から突出した突起52bは、この長穴57aに係合する。ステッピングモータ61の回転は、無端状のベルト61aを介して伝達し、揺動レバー62を揺動する。この揺動レバー62の先端は、角コマ63を介して針棒台51の下端に接続する。
針棒駆動機構17は、ミシンモータ2により回転駆動する上軸64から針棒連竿53に加わる力を、角コマ54を介して針棒15に伝達し、それによって針棒15を上下動させる。針棒駆動機構17は、ステッピングモータ61から揺動レバー62に加わる力を、角コマ63を介して針棒台51に伝達し、それによって針棒15を左右に揺動させる。針棒駆動機構17は、針棒15の上下動に応じてその針棒15を左右に揺動させ、かつ、送り台11を介して布送りをすることにより、前述の穴かがり縫い目100等の形成を行う。
図6は、リンク部材46の下端46b近傍の構成を、図4の裏側方向から表す左側面図である。図6に示すように、リンク部材46の下端46bは、ベッド部6内にまで延伸し、リンク部材65の一端65bにピン結合する。リンク部材65は、左右方向の軸65aを中心に揺動可能である。リンク部材65は、その他端にピン65cを立設する。ピン65cは、左右方向の軸67aを中心に揺動可能なカム板67のカム穴67bに係合する。
カム穴67bは、下端から角度αの区間は軸65aを中心とする円弧状となっている。カム穴67bは、下端から角度βの区間は軸65aからの距離が徐々に拡大するような形状となっている。カム穴67bは、下端から角度α及び角度βよりも上方の区間は軸65aを中心とする円弧状となっている。それ故、リンク部材46が最も上昇して布押え31が布押え位置に存在する状態(図6に実線で示す)から、リンク部材46が少し下降してリンク部材65が角度αの区間を揺動する間は、カム板67は揺動しない。リンク部材46が更に下降して、リンク部材65が角度βの区間を揺動すると、その間、カム板67は徐々に図6における反時計回り方向に揺動する。リンク部材65が角度βの区間を超えて更に揺動すると、カム板67は揺動しない。
リンク部材69の後端69aは、カム板67の上端にピン結合する。このリンク部材69は、ベッド部6の表面と平行に前方に向かって伸び、その先端69bは、図7に示すようにリンク部材71,73を介して下糸切断機構70に接続する。それ故、リンク部材65が角度βの区間を揺動する間のみリンク部材69が前後に移動し、これにより、ステッピングモータ49の駆動力が下糸切断機構70に伝達する。
図7は、下糸切断機構70の構成を表す下面図である。なお、この図7では後述する保持板140の図示を省略している。図7に示すように、下糸切断機構70は、レバー77と、下糸捌き78と、下糸掴み79とを備えている。レバー77は、ベース75の下面に垂直に設けた軸77aを中心に揺動する。下糸捌き78は、ベース75の下面に垂直に設けた軸78aを中心に揺動する。下糸掴み79は、ベース75の下面に垂直に設けた軸79aを中心に揺動する。下糸捌き78は、支持部80と、下糸捌き本体81とを備えている。支持部80は、先端にピン80aを立設している。下糸捌き本体81は、先端に切欠81aを有している。支持部80と下糸捌き本体81とは、図示しない長穴を介してネジ82が螺合することにより、取付角度を上記揺動方向に微調整可能に接続している。ピン80aは、レバー77の先端に設けたカム穴77bに係合する。レバー77は、前述のリンク部材73にピン結合している。それ故、前述のようにリンク部材69が前後に揺動すると、レバー77及び下糸捌き78が軸77a,78aを中心に揺動する。下糸捌き本体81先端の切欠81aに隣接する外周面は、カム面81bを構成している。このカム面81bは、下糸掴み79に立設したピン79bに当接することによって、下糸掴み79を図7における時計回り方向に揺動させる。
ベース75(針板手段、針板ベース)は、その上面に後述する針板120を固定する。図8に示すように、針板120は、針穴121と、カッタ穴122とを有している。ベース75は、略中央部に、上面に設けた針板120の針穴121及びカッタ穴122の周囲を包含する開口75aを有している。ベース75は、その上面に針板120と底板75bとを固定することで、開口75aの大部分を上面側より閉塞する。開口75aと針板120及び底板75bとで形成する凹部75cは、ハサミ83の移動空間を構成する。ハサミ83(下糸切断手段)は、下糸固定刃85と、下糸可動刃87とを備えている。下糸固定刃85は、レバー77に固定する。下糸可動刃87は、下糸固定刃85に立設したピン85aを中心に揺動する。留め金89と図示しない皿バネとが、下糸固定刃85と下糸可動刃87とを圧接状態に保持している。下糸可動刃87は、その前方側(図7における左側)端縁の左右に、突出部87a,87bを有している。開口75aの前方側内壁面であるカム面75dは、突出部87a,87bに当接して下糸可動刃87を揺動させる。
下糸掴み79(一次保持手段)は、その先端にフック79cを有している。ベース75は、その下面に下糸掴みバネ91を固定する。この下糸掴みバネ91は、前方側に切欠91aを有する板バネであり、下糸掴み79の下面に圧接している。下糸掴みバネ91(一次保持手段)は、後述のように、フック79cと共に下糸S(図10参照)を保持する。
次に、針板120の構造について説明する。図8は、針板120の全体構造を表す斜視図である。
図8に示すように、針板120(針板手段、針板部材)は、ベース75との当接側である下面の長手方向略中央部に、半円形状の凹部123aと、半楕円形状の凹部123bとを有している。凹部123bの深さは、凹部123aよりも深くなっている。針板120は、凹部123a,123bに跨るように形成した針穴121を有している。針板120は、凹部123aの内部から外部に亘って上述のカッタ穴122を有している。針穴121は、左右方向(針棒台51の揺動方向)に細長い形状を有しており、穴かがり縫い目100の形成時に左右に揺動する縫針16を挿通させる。カッタ穴122は、前後方向(布送り方向)に細長い形状を有しており、ボタン穴形成時にカッタ13の先端を挿通させる。針板120は、凹部123b内に四角形状のガイド溝124を有している。ガイド溝124(凹部)の深さは、凹部123bよりもさらに深くなっている。ガイド溝124は針穴121に隣接しており、下糸Sの切断端部Seを針穴121に導入する機能を有する。
ガイド溝124とカッタ穴122との間には、平坦部125が介在する。平坦部125は、凹部123bの底面の一部を構成している。詳細は後述するが、この平坦部125、ガイド溝124のカッタ穴122側の側壁124a、及びガイド溝124の底面124bは、保持板140の先端部と嵌合する(後述の図9(B)参照)。
次に、図7で図示を省略した保持板140について、図9乃至図14を用いて説明する。図9は、保持板140の全体構造を表す平面図、及び先端部分の構造を表す斜視図である。図10は、保持板140による下糸Sの保持動作の説明図である。図11は、保持板140が解除位置にある状態でのベース75の下面の部分拡大図、図12は、図11中XII−XII断面による針板120及びベース75の横断面図である。図13は、保持板140が押しつけ位置にある状態でのベース75の下面の部分拡大図、図14は、図13中XIV−XIV断面による針板120及びベース75の横断面図である。
保持板140(二次保持手段)は、下糸切断機構70による下糸Sの切断後の縫製開始に伴い、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが保持を解除する下糸Sの切断端部Seを、縫目の形成中に保持するための部材である。図9(A)に示すように、保持板140は、前後方向に延設する本体部141と、後端側において左側に屈曲した屈曲部142とを有している。本体部141(伝達部)は、後述する突出部145の位置を押しつけ位置と解除位置とに切り替えるための動力を伝達する役目を果たす。本体部141は、2つの貫通穴143,144を有している。貫通穴143は、リンク部材143(図11及び図13参照)と連結するためのピン151(図11及び図13参照)を挿通させる。貫通穴144は、ベース75の上面に設けた軸152(図11及び図13参照)を挿通させる。
図9(B)に示すように、屈曲部142は、その先端側に突出部145及び尖部146を有している。突出部145(押しつけ部)は、屈曲部142から針板120のガイド溝124当接側である上方側に突出する。図10(A)及び(B)に示すように、保持板140は、突出部145を、解除位置と押しつけ位置とに切り替え可能である。突出部145は、針板120のガイド溝124の内部において、その側壁145aをガイド溝124の側壁124aに押しつけることにより、下糸Sの切断端部Seを保持する。この際、尖部146は針板120の平坦部125に当接し、ガイド溝124の側壁124a、上面124b、及び突出部145の側壁145aにより形成する下糸切断端部Seの保持空間に蓋をする役目を果たす。
図11及び図13に示すように、ベース75は、その上面に、針板120と重ならない位置に保持板140を設ける。保持板140は、ベース75の上面に設けた上記軸152を中心に揺動する。保持板140を駆動するための保持板駆動用ソレノイド153(後述の図18参照。ステッピングモータでもよい)は、図示しないリンク部材を介し、リンク部材143を左右方向に揺動する。
図11及び図12に示すように、保持板駆動用ソレノイド153の作動によりリンク部材143が左方に移動すると、保持板140が軸152を中心に図11における時計回り方向に揺動する。突出部145の側壁145aがガイド溝124の側壁124aから離間し、下糸Sの切断端部Seの側壁124aへの押しつけを解除する。この状態が、突出部145の解除位置に相当する。なお、図11及び図12に示す例では尖部146がガイド溝124内に進入しているが、全く進入しない位置まで移動してもよい。
図13及び図14に示すように、保持板駆動用ソレノイド153の作動によりリンク部材143が右方に移動すると、保持板140が軸152を中心に図13における反時計回り方向に揺動する。突出部145の側壁145aがガイド溝124の側壁124aに下糸Sの切断端部Seを押しつけ、切断端部Seを保持する。この状態が、突出部145の押しつけ位置に相当する。この際、前述したように、尖部146は針板120の平坦部125に当接する。
次に、上糸切断機構99について説明する。図15(A)及び図15(B)に示すように、上糸切断機構99は布押え31近傍に設置している。上糸切断機構99は、上糸可動刃95によって上糸Tを切断する。前述のリンク部材47は、上糸可動刃95に対し、図示しないリンク機構を介して動力を伝達する。図15(B)に示すように、上糸可動刃95は、布押え31に形成した穴部31aを挿通して加工布Wと縫針16とを結ぶ上糸Tを切断する。上糸可動刃95は、リンク部材65が前述の角度α(図6参照)の区間を移動する間に動作を終了し、この間に上糸Tを切断する。
穴かがり縫いミシンMが穴かがり縫い目100を形成し、停止するときには、ステッピングモータ49はリンク部材46を押し下げる方向に回転する。リンク部材65は、角度αの区間を図6における反時計回り方向に揺動し、この間に上糸可動刃95が上糸Tを切断する。その後、リンク部材65は、角度βの区間を図6における反時計回り方向に揺動し、この間に下糸切断機構70が下糸Sを切断する(この詳細については後述する)。その後、リンク部材46が更に下降し、リンク部材65が図6における反時計回り方向に更に揺動する。この間には糸切り動作等を実行せず、布押え31がリンク部材46の下降に応じて上昇する。
次に、リンク部材65が角度βの区間を反時計回り方向に揺動するときの下糸切断機構70の動作を説明する。穴かがり縫い目100の縫製中には、リンク部材69は最も前進した位置に位置し、下糸切断機構70の各部材は図7に示す位置に位置する。
リンク部材65が角度βの区間を揺動し、リンク部材69が後退するに伴って、レバー77は図7における時計回り方向に揺動する。レバー77のカム穴77bは、この揺動の初期にはピン80aを前方に押し出す。それ故、下糸捌き78も図7における時計回り方向に揺動する。下糸捌き本体81の切欠81aは、針穴121の下方を通って加工布Wと釜(図示略)とを結ぶ下糸Sを捕捉して、上記揺動方向に引っ張る。下糸捌き78は、上糸切断機構99が切断した上糸Tの端部を、その上糸Tに絡められた下糸Sと共に加工布Wの下方へ引き抜く。また、この下糸捌き78の動作によって、下糸掴み79のフック79cは、下糸Sを引っかける。
図16(A)に示すように、レバー77が更に揺動し、これに伴って下糸捌き78が更に揺動すると、下糸捌き本体81のカム面81bが下糸掴み79のピン79bに当接する。図16(B)に示すように、下糸捌き78が更に揺動すると、カム面81bがピン79bを後方に押すことにより、下糸掴み79は図16における時計回り方向に揺動する。下糸捌き78が図16(B)に示す位置まで揺動すると、ピン80aはカム穴77bの内、軸77aを中心とする円弧状に形成した部分に係合する。それ故、レバー77がこれ以上揺動しても、下糸捌き78は揺動しない。下糸捌き本体81のカム面81bに続く面81cは、軸78aを中心とする円弧状に形成している。それ故、下糸掴み79が図16(B)に示す位置まで揺動した後は、仮に下糸捌き78がそれ以上揺動したとしても、下糸掴み79の位置は変化しない。従って、ネジ82により支持部80と下糸捌き本体81との取付角度を調整し、下糸捌き78による下糸Sの捌き量を変更しても、下糸掴み79の駆動量及び動作タイミングは変化しない。
下糸掴み79が図16(B)に示す位置まで揺動すると、図17(A)に下糸捌き78を省略して示すように、フック79cは、下糸掴みバネ91の切欠91aの上面に沿って所定量重なった位置に位置する。フック79cと切欠91aとは、その間に下糸Sを確実に保持する。
下糸可動刃87の突出部87bが、カム面75dに当接すると、ハサミ83が閉じ始める。図17(B)に示すように、ピン80aがカム穴77bの端部に達してレバー77の揺動が止まる頃(リンク部材65が角度βの区間を揺動しきってリンク部材69の後退が停止する時期と一致)には、下糸可動刃87と下糸固定刃85との先端が完全に重なり合う。ハサミ83は、加工布Wと上記保持位置との間に張設した下糸Sを切り終える。
布押え31を下げて再び穴かがり縫い目100の縫製を開始するときは、リンク部材69が前進し、レバー77は図7に示した位置に戻る。下糸可動刃87の突出部87aがカム面75dに当接することにより、ハサミ83も、図7に示す開いた状態に戻る。縫製が開始されて送り台11が移動を開始すると、図示しないリンク機構が送り台11の動作をピン79dに伝達する。下糸掴み79は、これによって図7に示した位置に戻る。
次に、穴かがり縫いミシンMの制御系の構成について説明する。図18に示すように、制御装置5は、CPU5a、ROM5b、RAM5cを主要部とするマイクロコンピュータである。制御装置5は、入力インタフェース5dと、出力インタフェース5eとを備えている。入力インタフェース5dは、ペダル3の操作状態に応じた信号及び操作パネル4からの信号を入力する。出力インタフェース5eは、ミシンモータ2、ステッピングモータ24,49,61,カッタ駆動用ソレノイド39、及び保持板駆動用ソレノイド153に、図示しない駆動回路を介して駆動信号を出力すると共に、操作パネル4へも表示状態等の制御信号を出力する。CPU5a、ROM5b、RAM5c、入力インタフェース5d、及び出力インタフェース5eは、バス5fを介して接続している。
ユーザが、穴かがり縫い目100に関わる幅、ピッチ等の各種データを操作パネル4にて設定し、ペダル3を踏み込むと、制御装置5はROM5bに記憶されたプログラムを実行し、穴かがり縫いミシンMは加工布Wに穴かがり縫い目100を形成する。制御装置5は、操作パネル4から入力したデータに基づいて穴かがり縫い目100を構成する針落ち点のデータを作成し、その針落ち点に縫い目を形成すべくミシンモータ2、ステッピングモータ24,61を駆動する。
図19は、穴かがり縫いミシンMが使用する針落ち点のデータを表す説明図である。このデータは、針落ち点P1からPnに至る針落ち点からなるデータである。制御装置5は、このデータに基づいてミシンモータ2、ステッピングモータ24,61を駆動する。穴かがり縫いミシンMは、針落ち点P1,P2・・・の順に縫い目を形成し、前閂止め縫い目103の一部、左千鳥縫い目101、奥閂止め縫い目104、右千鳥縫い目102、前閂止め縫い目103の残りの部分の順で縫製を行う。制御装置5は、右千鳥縫い目102の縫製中の所定時期または右千鳥縫い目102の縫製終了時に、カッタ駆動用ソレノイド39を駆動して、カッタ13によりボタン穴110を形成する。制御装置5は、穴かがり縫い目100の形成終了後には、前述のようにステッピングモータ49を駆動してリンク部材46を下降させ、上糸切断機構99の駆動、下糸切断機構70の駆動、及び布押え31の上昇を順次実行する。
次に、加工布Wの縫製開始から終了までにおける下糸切断機構70及び保持板140の動作を説明する。図20及び図21は、穴かがり縫いミシンMの針穴121近傍の構造を概念的に表す側断面図である。
図20(A)に示すように、縫製を開始する際には加工布Wを針板120上に載置する。針板120の下方では、下糸掴み79のフック79cと下糸掴みバネ91とが下糸Sの切断端部Seを保持している。また保持板140は、解除位置に位置している。図20(B)に示すように、ミシンモータ2が駆動して縫針16が針穴121に落下すると、上糸Tが縫針16とともに加工布Wを貫通する。図20(C)に示すように、縫針16が上昇すると、上糸Tは加工布Wの下方においてループを形成し、釜(図示略)の動作により下糸Sと絡み合う。図20(D)に示すように、天秤(図示略)が上昇して上糸T及び下糸Sを引っ張り上げ、ガイド溝124が下糸Sの切断端部Seを溝内に引き込む。このとき、ボビン(図示略)が下糸Sを供給する。図20(E)に示すように、保持板140が閉塞位置に移動し、突出部145がガイド溝124の側壁124aに下糸Sの切断端部Seを押しつけることで、切断端部Seを保持する。図20(F)に示すように、送り台駆動機構12が送り台11を布送り方向へ駆動し、加工布Wを布送りする。この状態では、フック79cと下糸掴みバネ91とはまだ下糸Sの切断端部Seを保持している。
穴かがり縫いミシンMは、順次縫目を形成する。図21(G)に示すように、加工布Wが所定距離移動すると、下糸掴み79が図7に示した位置に戻り、フック79cと下糸掴みバネ91とが下糸Sの切断端部Seの保持を解除する。この状態では、保持板140の突出部145はまだ下糸Sの切断端部Seを保持している。図21(H)に示すように、加工布Wがさらに所定距離移動すると、保持板140が解除位置に移動する。突出部145がガイド溝124の側壁124aより離間し、下糸Sの切断端部Seの保持を解除する。図21(I)に示すように、穴かがり縫いミシンMは、フリーとなった下糸Sの切断端部Seを、順次形成する縫目に引き込みつつ、加工布Wの下面に縫い込む。針板120の下面に設けたガイド溝124は、フリーとなった下糸Sの切断端部Seを針穴121へと誘導する。図21(J)に示すように、加工布Wの縫製が完了すると、ミシンモータ2が停止して加工布Wの布送りが停止する。上糸切断機構99の上糸可動刃95は、上糸Tを切断する。図21(K)に示すように、下糸捌き78が、針穴121を挿通して加工布Wと釜(図示略)とを結ぶ下糸Sを捕捉して引っ張り、下糸掴み79のフック79cと下糸掴みバネ91とで、下糸Sを保持する。図21(L)に示すように、ハサミ83の下糸可動刃87と下糸固定刃85との先端が重なり合い、加工布Wとフック79cとの間に張設した下糸Sを切断する。フック79cと下糸掴みバネ91とは、下糸Sの切断により形成した切断端部Seを保持した状態となる。図21(M)に示すように、縫製が完了した加工布Wを針板120上から取り去る。
以上説明した本実施形態の穴かがり縫いミシンMは、下糸Sの切断端部Seを保持する下糸掴み79と下糸掴みバネ91と、下糸Sを切断するハサミ83とを有する。上糸Tと下糸Sとが協働して加工布Wへの縫目の形成を終了すると、針板120及びベース75の下方に設けた下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが下糸Sを保持する。保持した下糸Sを、針板120及びベース75の下方においてハサミ83が切断する。切断後、加工布Wに新たに縫製を開始すると、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが切断端部Seを保持した状態で、縫針16の下降により上糸Tが加工布Wの下方へ現れた後、下糸Sのボビン側部分と絡み合ってループを形成し、加工布Wの上方へ去る。これを繰り返して上糸Tと下糸Wとの協働で順次縫目を形成するとき、適宜のタイミングで下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが下糸Sの切断端部Seの保持を解除する。本実施形態では、この下糸掴み79と下糸掴みバネ91とによる下糸Sの切断端部Seの保持の解除前に、下糸Sの切断端部Seを保持板140が二次的に保持する。その後、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とによる切断端部Seの保持解除後の適宜のタイミングで、保持板140が下糸Sの切断端部Seの保持を解除する。フリーとなった下糸S切断端部Seをベース75及び針板120から加工布W側へと導き、加工布Wの下面に縫い込んでいく。
本実施形態では、ハサミ83が切断してフリーとなり加工布Wの下面に縫い込んでいく下糸Sの切断端部Seを、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とで一旦保持するのみならず、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが保持を解除した後もさらに保持板140で二次的に保持する。これにより、縫製開始後に上糸Tと下糸Sとが絡み合って縫目を形成するときに、縫目に引き込む下糸Sの切断端部Seを、円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。この結果、縫目の完成後に、暴れた下糸Sの切断端部Seの一部が縫目からはみ出して美観を損ねたり、縫目品質を低下させたりするのを確実に防止することができる。
また、本実施形態では特に、保持板140は、針板120の内部において下糸Sの切断端部Seを保持する。このように、針板120及びベース75の下方の下糸掴み79と下糸掴みバネ91とで一次的な保持を行った後、その上方の針板120内部において保持板140で二次的な保持を行うことで、下糸Sの切断端部Seを、円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
また、本実施形態では特に、穴かがり縫いミシンMは、ベッド部6に取り付けるベース75と、その上部の針板120とを有する。ベース75より下方の下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが一次的な保持を解除する下糸Sの切断端部Seを、針板120において保持板140が二次的に保持することにより、下糸Sの切断端部Seを円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
また、本実施形態では特に、穴かがり縫いミシンMは、針板120に設けたガイド溝124を有する。ガイド溝124が下糸Sの切断端部Seを溝内に導入するとともに、保持板140が下糸Sの切断端部Seをガイド溝124の側壁124aに押しつけることで二次的な保持を行う。側壁124aに押しつけて保持することにより、容易で確実な保持構造を実現することができ、保持の解除も容易となる。下糸Sの切断端部Seを針穴121へと導くガイドとしてガイド溝124を活用し、溝形状に下糸Sの切断端部Seを倣わせることで、暴れることなく円滑に針穴121へと導くことができる。これにより、さらに円滑かつ安定的に縫目に縫い込んでいくことができる。
また、本実施形態では特に、保持板140が突出部145を備え、該突出部145を押しつけ位置と解除位置とに切り替え可能である。突出部145を押しつけ位置に切り替えることで、ガイド溝124内に導入した下糸Sの切断端部Seをガイド溝124の側壁124aに押しつけて二次的な保持を行い、突出部145を解除位置に切り替えることで側壁124aへの押しつけを解除することができる。これにより、容易で確実な下糸Sの切断端部Seの二次的保持及び解除機能を実現することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが一次的な保持を解除する前に、保持板140による二次的な保持を開始するようにしたが、保持板140による二次的な保持を開始するタイミングはこれに限らない。すなわち、下糸掴み79と下糸掴みバネ91とが一次的な保持を解除した後に、保持板140による二次的な保持を開始してもよい。この場合、一次的保持の解除後二次的保持開始までの時間間隔はなるべく短くするのが好ましい。
また例えば、上記実施形態では、図11乃至図14に示すように、ベース75の上面に、針板120と重ならない位置に保持板140を設けるようにしたが、これに限らない。保持板140を、針板120とベース75との間に設けるようにしてもよい。
6 ベッド部
75 ベース(針板手段、針板ベース)
79 下糸掴み(一次保持手段)
83 ハサミ(下糸切断手段)
91 下糸掴みバネ(一次保持手段)
100 穴かがり縫い目(縫目)
120 針板(針板手段、針板部材)
121 針穴
124 ガイド溝(凹部)
124a 側壁
140 保持板(二次保持手段)
141 本体部(伝達部)
145 突出部(押しつけ部)
M 穴かがり縫いミシン(ミシン)
S 下糸
Se 切断端部
T 上糸
W 加工布

Claims (7)

  1. ベッド部に針板手段を設けたミシンにおいて、
    上糸と協働して加工布に縫目を形成する下糸を、前記縫目の形成後に、前記針板手段より下方で保持する一次保持手段と、
    前記一次保持手段により保持した下糸を、前記針板手段の下方において切断する下糸切断手段と、
    前記針板手段は、前記上糸及び前記下糸が通過可能な針穴を有し、該針穴と前記一次保持手段との間で、前記下糸を保持する二次保持手段と
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 請求項1記載のミシンにおいて、
    前記二次保持手段は、
    前記針板手段の内部において下糸の前記切断端部を保持する
    ことを特徴とするミシン。
  3. 請求項2記載のミシンにおいて、
    前記針板手段は、
    前記ベッド部に取り付けた針板ベースと、
    前記針穴を備え前記針板ベースの上部に取り付けた針板部材と
    を有し、
    前記二次保持手段は、前記針板部材内において下糸の前記切断端部を保持する
    ことを特徴とするミシン。
  4. 請求項3記載のミシンにおいて、
    前記針板部材は、
    下糸の前記切断端部を導入する凹部を備え、
    前記二次保持手段は、
    下糸の前記切断端部を、前記凹部の側壁に押しつけて保持する
    ことを特徴とするミシン。
  5. 請求項4記載のミシンにおいて、
    前記二次保持手段は、
    前記凹部内において、下糸の前記切断端部を該凹部の側壁に押しつけて保持する押しつけ位置と、下糸Sの前記切断端部の前記押しつけを解除する解除位置とを、切り替え可能な押しつけ部を備える
    ことを特徴とするミシン。
  6. 請求項5記載のミシンにおいて、
    前記二次保持手段は、
    前記押しつけ部が前記押しつけ位置と前記解除位置とを切り替えるための動力を伝達する伝達部をさらに備え、
    前記伝達部を、前記針板部材と前記針板ベースとの間に設けた
    ことを特徴とするミシン。
  7. 上糸及び下糸を用いて加工布に縫目を形成するミシンの縫製方法において、
    前記縫目を形成した後、針板の下方で下糸を一次的に保持し、
    前記一次的に保持した下糸を、前記針板の下方において切断し、
    切断後の縫製開始後の適宜のタイミングで、前記一次的に保持した下糸の切断端部を二次的に保持する
    ことを特徴とするミシンの縫製方法。
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