JP2010225313A - 塩基性高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塩基性高分子を骨格とする電解質膜において、その強度の補強のための保護シートを熱圧着することにより発生する歪みを抑制する。
【解決手段】その両面に触媒電極層を積層して膜電極接合体を作製するために用いられ、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法である。塩基性高分子膜の両面の外周端部に、それぞれ、保護シートを熱圧着して塩基性高分子膜・保護シート接合部材を作製する工程と、塩基性高分子膜を電解質化するために、塩基性高分子膜・保護シート接合部材を特定のイオン交換基を含む酸性溶液に浸漬する工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】その両面に触媒電極層を積層して膜電極接合体を作製するために用いられ、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法である。塩基性高分子膜の両面の外周端部に、それぞれ、保護シートを熱圧着して塩基性高分子膜・保護シート接合部材を作製する工程と、塩基性高分子膜を電解質化するために、塩基性高分子膜・保護シート接合部材を特定のイオン交換基を含む酸性溶液に浸漬する工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体高分子電解質型燃料電池に用いられる膜電極接合体に含まれる個体高分子電解質膜の作製方法に関する。
固体高分子電解質型燃料電池では、システムの簡素化の観点から、高温無加湿状態でも動作可能を目指す傾向にある。その一方策として、無水状態においてもプロトン伝導性を示す固体高分子電解質膜(以下、単に「電解質膜」とも呼ぶ)が用いられている。このような電解質膜としては、塩基性高分子にイオン交換基を含む強酸性溶液を含浸させることにより、塩基性高分子内にイオン交換基を含むように作製された複合膜、例えば、PBI(ポイベンスイミダゾール)/リン酸複合膜がその代表である。
また、高温無加湿で高性能なイオン交換基によるプロトン伝導性を示すには、電解質膜の薄膜化も有効である。しかしながら、電解質膜の薄膜化は力学的強度の低下を招き、これを用いた膜電極説導体において、クロスリーク等の性能低下を生じることとなる。この問題を解決するために、近年では、電解質膜の外周端部に、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムのような保護フィルム(保護シート)を貼ることにより強度を補強することも行なわれている。
また、電解質膜に保護シートを貼る方法として、ホットプレス機を用いて、電解質膜に保護シートを熱圧着することが考えられる。しかしながら、熱圧着の場合、電解質膜中に含まれる水分の脱水等により、電解質膜が熱収縮してしまい、熱圧着後の電解質膜に歪みが発生する場合がある。また、圧力により電解質膜に圧縮クリープが生じる場合もある。以上のような不具合の生じた電解質膜による膜電極接合体を用いた場合、クロスリーク等の種々の性能劣化が生じる、という問題がある。
本発明は、塩基性高分子を骨格とする電解質膜において、その強度の補強のための保護シートを熱圧着することにより発生する歪みを抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
その両面に触媒電極層を積層して膜電極接合体を作製するために用いられ、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法であって、
前記塩基性高分子膜の両面の外周端部に、それぞれ、保護シートを熱圧着して塩基性高分子膜・保護シート接合部材を作製する工程と、
前記塩基性高分子膜を電解質化するために、前記塩基性高分子膜・保護シート接合部材を特定のイオン交換基を含む酸性溶液に浸漬する工程と、
を備えることを特徴とする塩基性高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法。
適用例1の方法によれば、塩基性高分子膜に保護シートを熱圧着して作製した塩基性高分子膜・保護シート接合部材を、イオン交換基を含む酸性溶液に浸漬することにより、塩基性高分子膜を電解質化することができるので、従来のように熱圧着によって電解質膜が熱収縮し、また、クリープが発生して、性能が劣化することを抑制することが可能である。そして、この電解質膜を用いた膜電極接合体において、クロスリーク等の種々の性能劣化が生じてしまう、という問題を抑制することができる。なお、浸漬させる酸性溶液としては強酸性溶液のほうが好ましい。
その両面に触媒電極層を積層して膜電極接合体を作製するために用いられ、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法であって、
前記塩基性高分子膜の両面の外周端部に、それぞれ、保護シートを熱圧着して塩基性高分子膜・保護シート接合部材を作製する工程と、
前記塩基性高分子膜を電解質化するために、前記塩基性高分子膜・保護シート接合部材を特定のイオン交換基を含む酸性溶液に浸漬する工程と、
を備えることを特徴とする塩基性高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法。
適用例1の方法によれば、塩基性高分子膜に保護シートを熱圧着して作製した塩基性高分子膜・保護シート接合部材を、イオン交換基を含む酸性溶液に浸漬することにより、塩基性高分子膜を電解質化することができるので、従来のように熱圧着によって電解質膜が熱収縮し、また、クリープが発生して、性能が劣化することを抑制することが可能である。そして、この電解質膜を用いた膜電極接合体において、クロスリーク等の種々の性能劣化が生じてしまう、という問題を抑制することができる。なお、浸漬させる酸性溶液としては強酸性溶液のほうが好ましい。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法だけでなく、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜、これを用いた膜電極接合体、この膜電極接合体を用いた燃料電池、この燃料電池を用いた燃料電池システム等の種々の形態で実現することが可能である。
図1は、膜電極接合体に用いられる固体高分子電解質膜の作製工程の実施形態を示す説明図である。
<工程1>
まず、高分子がイミド基等の塩基性部位を有する高分子の膜である塩基性高分子膜10、例えば、PBI(ポリベンスイミダゾール)膜、ポリ(4−フェノキシベンゾイルー1,4−フェニレン)膜等を用意する。なお、この塩基性高分子膜としては、塩基がイミダゾールやベンズイミダゾール系の化合物である膜であってもよい。そして、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状の保護フィルム(保護シート)20,30、例えば、PENフィルムを、塩基性高分子膜10の両面に配置し、ロールプレス機等を用いて熱圧着し、塩基性高分子・保護シート接合部材40を作製する。
まず、高分子がイミド基等の塩基性部位を有する高分子の膜である塩基性高分子膜10、例えば、PBI(ポリベンスイミダゾール)膜、ポリ(4−フェノキシベンゾイルー1,4−フェニレン)膜等を用意する。なお、この塩基性高分子膜としては、塩基がイミダゾールやベンズイミダゾール系の化合物である膜であってもよい。そして、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状の保護フィルム(保護シート)20,30、例えば、PENフィルムを、塩基性高分子膜10の両面に配置し、ロールプレス機等を用いて熱圧着し、塩基性高分子・保護シート接合部材40を作製する。
<工程2>
次に、塩基性高分子・保護シート接合部材40を、例えば、リン酸/メタノール溶液、濃硫酸等、リン酸、スルホン酸、カルボン酸、イミド酸等のイオン交換基を含む酸性溶液50に一定時間浸漬させておくことにより、塩基性高分子中にそれぞれ浸漬されていた溶液に対応するイオン交換基を含む複合膜として、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜60を作製する。
次に、塩基性高分子・保護シート接合部材40を、例えば、リン酸/メタノール溶液、濃硫酸等、リン酸、スルホン酸、カルボン酸、イミド酸等のイオン交換基を含む酸性溶液50に一定時間浸漬させておくことにより、塩基性高分子中にそれぞれ浸漬されていた溶液に対応するイオン交換基を含む複合膜として、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜60を作製する。
なお、作製した固体高分子電解質膜60の両面に触媒インクを塗工して触媒電極層を作製することにより、膜電極接合体を作製することができる。また、作製した膜電極接合体に、ガス拡散層およびガス流路付きセパレータを両側から圧着することにより燃料電池モジュールを作製することができる。
以下では、まず、従来の作製工程による比較例1および対応する本実施形態による実施例1、比較例2および対応する本実施例形態による実施例2について説明する。
[比較例1]
塩基性高分子のポリ[ベンズイミダゾール](PBI)膜(内製:膜厚10μm)をリン酸/メタノール溶液(30%溶液)に24時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてリン酸基を有する固体高分子電解質膜を作製した。そして、この電解質膜の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて80℃,0.375MPにて熱圧着して、保護シート付き電解質膜を作製した。
作製された電解質膜は、膜の幅が初期長に対して約97%に収縮して歪みが生じていた。
塩基性高分子のポリ[ベンズイミダゾール](PBI)膜(内製:膜厚10μm)をリン酸/メタノール溶液(30%溶液)に24時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてリン酸基を有する固体高分子電解質膜を作製した。そして、この電解質膜の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて80℃,0.375MPにて熱圧着して、保護シート付き電解質膜を作製した。
作製された電解質膜は、膜の幅が初期長に対して約97%に収縮して歪みが生じていた。
[実施例1]
塩基性高分子のポリ[ベンズイミダゾール](PBI)膜(内製:膜厚10μm)の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて80℃,0.375MPにて熱圧着して、塩基性高分子・保護シート接合部材を作製した。
この段階では、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
次に、作製した塩基性高分子・保護シート接合部材をリン酸/メタノール溶液(30%溶液)に24時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてリン酸基を有する固体高分子電解質膜(保護シート付き電解質膜)を作製した。
この段階においても、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
塩基性高分子のポリ[ベンズイミダゾール](PBI)膜(内製:膜厚10μm)の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて80℃,0.375MPにて熱圧着して、塩基性高分子・保護シート接合部材を作製した。
この段階では、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
次に、作製した塩基性高分子・保護シート接合部材をリン酸/メタノール溶液(30%溶液)に24時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてリン酸基を有する固体高分子電解質膜(保護シート付き電解質膜)を作製した。
この段階においても、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
[比較例2]
塩基性高分子のポリ[4−フェノキシベンゾイルー1,4−フェニレン]膜(内製:膜厚10μm)を濃硫酸/メタノール溶液(98%溶液)に100時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有する固体高分子電解質膜を作製した。そして、この電解質膜の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて130℃,0.375MPにて熱圧着して、保護シート付き電解質膜を作製した。
作製された電解質膜は、膜の幅が初期長に対して約90%に収縮して歪みが生じていた。
塩基性高分子のポリ[4−フェノキシベンゾイルー1,4−フェニレン]膜(内製:膜厚10μm)を濃硫酸/メタノール溶液(98%溶液)に100時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有する固体高分子電解質膜を作製した。そして、この電解質膜の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて130℃,0.375MPにて熱圧着して、保護シート付き電解質膜を作製した。
作製された電解質膜は、膜の幅が初期長に対して約90%に収縮して歪みが生じていた。
[実施例2]
塩基性高分子のポリ[4−フェノキシベンゾイルー1,4−フェニレン]膜(内製:膜厚10μm)の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて130℃,0.375MPにて熱圧着して、塩基性高分子・保護シート接合部材を作製した。
この段階では、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
次に、作製した塩基性高分子・保護シート接合部材を濃硫酸(98%溶液)に100時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有する固体高分子電解質膜(保護シート付き電解質膜)を作製した。
この段階においても、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
塩基性高分子のポリ[4−フェノキシベンゾイルー1,4−フェニレン]膜(内製:膜厚10μm)の両側の外周端部に、表面にアクリル系接着材が塗布された額縁状のPENフィルムを配置し、ロールプレス機にて130℃,0.375MPにて熱圧着して、塩基性高分子・保護シート接合部材を作製した。
この段階では、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
次に、作製した塩基性高分子・保護シート接合部材を濃硫酸(98%溶液)に100時間常温にて浸漬し、浸漬後の膜表面をメタノールで洗浄して、塩基性高分子を骨格とし、イオン交換基としてスルホン酸基を有する固体高分子電解質膜(保護シート付き電解質膜)を作製した。
この段階においても、膜の横幅は初期長に対して100%であり、歪みは生じていなかった。
以上説明したように、本実施形態によれば、塩基性高分子膜を電解質化とする前に、塩基性高分子膜に保護シートを熱圧着し、その後で、塩基性高分子膜を酸性溶液に浸漬して電解質化することにより、作製した電解質膜の熱収縮を防止することが可能である。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
10…塩基性高分子膜
20,30…保護フィルム(保護シート)
40…基性高分子・保護シート接合部材
50…強酸性溶液
60…固体高分子電解質膜
20,30…保護フィルム(保護シート)
40…基性高分子・保護シート接合部材
50…強酸性溶液
60…固体高分子電解質膜
Claims (1)
- その両面に触媒電極層を積層して膜電極接合体を作製するために用いられ、塩基性固体高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法であって、
前記塩基性高分子膜の両面の外周端部に、それぞれ、保護シートを熱圧着して塩基性高分子膜・保護シート接合部材を作製する工程と、
前記塩基性高分子膜を電解質化するために、前記塩基性高分子膜・保護シート接合部材を特定のイオン交換基を含む酸性溶液に浸漬する工程と、
を備えることを特徴とする塩基性高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法。
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---|---|---|---|
JP2009068354A JP2010225313A (ja) | 2009-03-19 | 2009-03-19 | 塩基性高分子膜を骨格とする固体高分子電解質膜の作製方法 |
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JP (1) | JP2010225313A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012046513A1 (ja) | 2010-10-05 | 2012-04-12 | 新神戸電機株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
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2009
- 2009-03-19 JP JP2009068354A patent/JP2010225313A/ja active Pending
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WO2012046513A1 (ja) | 2010-10-05 | 2012-04-12 | 新神戸電機株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
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