JP2010222754A - 感圧複写紙用原紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで得られて環境に優しい感圧複写紙用原紙を提供すること。
【解決手段】基紙中の古紙パルプの含有量がパルプ全量の15〜100質量%で、基紙を構成するパルプ繊維の、JIS P 8220に準拠して離解した後の重量平均繊維長が0.4〜0.9mmであり、基紙中に、走査型電子顕微鏡にて測定した平均粒子径が5〜10μmのタルクを主成分とする填料が含有され、基紙の表面にクリアー塗工層を有し、JIS P 8251に準拠して測定した灰分が6%以下で、JIS P 8133に準拠して測定した熱水抽出pHが6.5〜9.0であることを特徴とする、感圧複写紙用原紙。
【選択図】なし

Description

本発明は、感圧複写紙用原紙に関する。さらに詳しくは、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少ない感圧複写紙用原紙に関する。
感圧複写紙は、一般に、電子供与性発色剤を含有する発色層が原紙の一方面に設けられた上用紙と、電子供与性発色剤との接触によって呈色する電子受容性顕色剤を含有する顕色層が原紙の一方面に設けられ、かつ他方面には発色層が設けられた中用紙と、顕色層が原紙の一方面に設けられた下用紙とによって構成されているか、もしくは、発色層が原紙の一方面に設けられた上用紙と、顕色層が原紙の一方面に設けられた下用紙とによって構成されている。従来より、このような感圧複写紙に用いる原紙の開発が種々進められてきている。
例えば、アルキルケテンダイマーによって中性又はアルカリ性にサイズ処理され、スチレンアクリルエステル共重合体ラテックスが塗被された感圧複写紙用の原紙(特許文献1)、填料が主として炭酸カルシウム及びタルクで、タルクによる灰分が2重量%以上で、かつ表面サイズ澱粉が0.5g/m2以上の量で塗布された感圧複写紙用中性原紙(特許文献2)、エマルジョン型中性ロジンサイズ剤を内添サイズ剤として含有し、かつ表面サイズ澱粉が0.5g/m2以上の量で塗布された感圧複写紙用中性原紙(特許文献3)、全パルプ組成中に古紙原料の再生パルプを10重量%以上含有し、かつ正反射型平滑度計による表面の測定値が8%以上である感圧複写紙用の原紙(特許文献4)等が提案されている。
しかしながら、古紙パルプを含有する中性抄紙の原紙を用いた感圧複写紙においては、古紙由来の微細繊維や填料で形成される微細な毛細管により、塗工層(CB面)の染料成分を保護・内封するカプセル製造時にカプセル化されなかった微量の染料成分が、長期保管時に浸透して発色層(CF面)と接触することで、紙面の発色汚れを発生させてしまう問題がある。
そこで、古紙パルプを含有する酸性抄紙の原紙が提案され、これを用いた環境負荷の少ない感圧複写紙が汎用されている。しかしながら、酸性抄紙の場合、古紙パルプを、例えば15質量%以上といった高配合で用いると、古紙原料のチラシ・雑誌等に使用されている塗工紙に含まれる顔料、特に炭酸カルシウムにより、原紙の熱水抽出pHが上昇して耐水性(サイズ性)が低下し、これによって寸法安定性が低下するといった不都合が生じる。
特開平06−055838号公報 特開平06−270535号公報 特開平07−216785号公報 特開平03−199083号公報
本発明は前記背景技術に鑑みてなされたものであり、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで得られて環境に優しい感圧複写紙用原紙を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
基紙中に古紙パルプを含有する、電子供与性染料と電子受容性化合物との呈色反応を利用した感圧複写紙に使用される感圧複写紙用原紙であって、
基紙中の古紙パルプの含有量がパルプ全量の15〜100質量%で、
基紙を構成するパルプ繊維の、JIS P 8220に準拠して離解した後の重量平均繊維長が0.4〜0.9mmであり、
基紙中に、走査型電子顕微鏡にて測定した平均粒子径が5〜10μmのタルクを主成分とする填料が含有され、
基紙の表面にクリアー塗工層を有し、
JIS P 8251に準拠して測定した灰分が6%以下で、
JIS P 8133に準拠して測定した熱水抽出pHが6.5〜9.0である
ことを特徴とする、感圧複写紙用原紙
に関する。
本発明の感圧複写紙用原紙は、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで得られて環境に優しいものである。
(実施の形態)
本発明の感圧複写紙用原紙は、電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤との呈色反応を利用した感圧複写紙に使用されるものであり、基紙中に古紙パルプを含有している。
基紙に含有される古紙パルプの種類には特に限定がなく、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、更紙古紙、石膏ボード古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される古紙パルプがあげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。なお、古紙パルプとして、市中回収古紙や抄紙工程で発生する仕損品を用いることもできる。
基紙には前記古紙パルプの他にも、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ;ケナフ、麻、葦等の非木材繊維から化学的にまたは機械的に製造されたパルプ等の公知のパルプを、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
なお、一般的に針葉樹と比較して広葉樹は、繊維が短くて細いため、湿度による繊維の収縮が小さく、寸法安定性が良好であるので、LBKP、LUKP、LSBKP等を古紙パルプと併用することが好ましい。
本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、広葉樹からなる原料パルプは、従来印刷筆記用紙に用いられるように、平坦性が生じやすく、滑らかで緻密な紙層を形成することができるので、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに寄与することができる。
基紙中の古紙パルプの含有量は、パルプ全量の15〜100質量%、好ましくは25〜100質量%である。古紙パルプの含有量がパルプ全量の15質量%未満では、紙面のPHを中性領域にすることが出来ないといった不都合が生じる。
本発明においては、基紙を構成するパルプ繊維の、JIS P 8220「パルプ−離解方法」に記載の方法に準拠して離解した後の重量平均繊維長(カヤニ平均繊維長試験機:Fiber Laboにて測定)が、0.4mm以上、好ましくは0.6mm以上であり、また0.9mm以下、好ましくは0.8mm以下である。このような重量平均繊維長の調整は、従来公知の叩解処理や用いる古紙の選別により行うことができ、特にOA古紙を用いることが感圧複写紙と類似の原料構成であるので好ましい。
本発明において、JIS P 8220に記載の方法に準拠して離解した後の重量平均繊維長を規定するのは、抄紙前の原料パルプにおいては、古紙由来の微細な繊維が原料パルプ中に存在し、抄紙する際に、抄紙ワイヤー下やプレス工程での脱水により繊維構成が変化するため、忠実に感圧複写紙用原紙の紙質を確認するには、感圧複写紙用原紙そのものの重量平均繊維長を測定する必要があるからである。
重量平均繊維長が0.4mmよりも短い場合は、繊維間の隙間が狭く、パルプ繊維の絡み合いが強い状態であるため、吸放湿をした際、パルプ繊維の伸縮が起こり、基紙の寸法変化が大きくなる。逆に重量平均繊維長が0.9mmを超える場合は、寸法安定性の点ではよいが、繊維間の隙間が大きくなり、繊維同士の絡み合いが少なくなって、基紙の縦方向の引張強度が低下する。
このように、本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、JIS P 8220に記載の方法に準拠して離解した後の重量平均繊維長を0.4〜0.9mmとすることで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに、大いに寄与することができる。
また、基紙に用いるパルプの叩解度は、JIS P 8121「パルプのろ水度試験方法」に記載の方法に準拠して測定したカナディアンスタンダードフリーネス(以下、CSFという)が、150〜400mL、さらには200〜350mLとなるように、調整されることが好ましい。CSFが150mL未満では、叩解が進んで繊維長の短いパルプの比率が高まり、繊維同士の絡み合いが強くなって吸放湿による伸縮が大きくなる恐れがある。逆にCSFが400mLを超えると、繊維長の長いパルプの比率が高まり、寸法安定性の点ではよいが、繊維同士の絡み合いが少なくなって引張強度が低下し、加工時に断紙トラブルが発生する恐れがある。なお、叩解はダブルディスクリファイナー(以下、DDRという)を使用して行うことができる。
このように、本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、基紙に用いるパルプの叩解度を、JIS P 8121に記載の方法に準拠して測定したCSFが150〜400mLとなるようにすることで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに寄与することができる。
本発明に用いられる基紙を得るには、例えば填料、紙力増強剤、サイズ剤、歩留向上剤等の通常の抄紙用剤を、必要に応じてその種類及び配合量を適宜調整してパルプに内添し、例えば長網型抄紙機、長網多層式抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機等の通常の抄紙機にて、抄紙する方法を採用することができる。
本発明においては、例えば前記抄紙用剤の中でも、特にタルクを主成分とする填料をパルプに内添して基紙を抄紙する。
パルプにタルクを主成分とする填料を内添することにより、基紙の平滑性や不透明度をより向上させることができる。填料の種類には、本発明で好適に利用可能なタルクの他は特に限定がなく、例えばクレー、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、合成非晶質シリカ(ホワイトカーボン)、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ、軽質又は重質炭酸カルシウム等の無機填料があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
しかしながら、無機粒子の結晶構造が、紡錘型、針状、柱状、毬栗状といった鋭角な突部を有する化合物や、無機粒子の硬度が高い化合物、例えば軽質炭酸カルシウムのような無機粒子は、本発明の課題である発色汚れを生じやすく、発色濃度も低い傾向を示すため、填料として用いることは好ましくない。
本発明に用いられるタルクは、填料の中でも、粘着性成分との親和性が高く、粘着性の樹脂成分(ピッチ)の周りを取り囲んで紙中に取り込み、基紙表面にピッチが存在することなく、印刷後の外観を向上させ、筆記跡やプリンターでの印字鮮明度を向上させることができるという点から、古紙パルプを高配合した原料パルプや中性抄紙における填料としてタルクを主成分として用いることが好ましい。なお、タルクの使用量は、填料全量の50〜100質量%であることが好ましい。
このように、本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、タルクの使用量を填料全量の50〜100質量%とすることで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに寄与することができる。
また、走査型電子顕微鏡にて測定した填料の平均粒子径が5μm以上、さらには6μm以上となるように調整することが、また10μm以下、さらには9μm以下となるように調整することが、パルプ繊維内の空間に好適な状態で存在させることができ、吸放湿時のパルプ繊維の伸縮を抑制し、寸法安定性に優れた基紙を得ることができるという点で好ましい。
走査型電子顕微鏡にて測定した填料の平均粒子径が5μm未満であると、粒径が小さすぎて、古紙パルプ内の古紙由来の炭酸カルシウムによる発色汚れを抑制する作用が低下し、また抄紙時、基紙内に歩留らずに脱落してしまう恐れがある。逆に走査型電子顕微鏡にて測定した填料の平均粒子径が10μmを超えると、特に主成分として含有するタルクの親油性により、得られる感圧複写紙用原紙から製造した感圧複写紙を、感圧記録に供した際に、電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤との反応を抑制してしまい、充分な発色濃度が得られない恐れがあったり、パルプ繊維同士の絡み合いを抑制してしまい、基紙の引張強度が低下する恐れがある。
このように、本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、走査型電子顕微鏡にて測定した填料の平均粒子径が5〜10μmとなるように調整することで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに寄与することができる。
以上のことから、本発明においては、基紙中に、走査型電子顕微鏡にて測定した平均粒子径が5〜10μmのタルクを主成分とする填料が含有されている。
なお、基紙中の填料の含有量は、得られる感圧複写紙用原紙の灰分に依存し、JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した灰分が6%以下になるように調整される。
本発明の感圧複写紙用原紙における灰分には、古紙由来の灰分が含まれ、古紙パルプの原料古紙の種類に影響を受けるが、JIS P 8251に準拠して測定した灰分が6%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは0.8〜3%となるように、タルクを主成分とする填料を基紙中に含有させることで、最終的に、引張紙力の低下が少なく、寸法安定性の高い感圧複写紙用原紙とすることができる。かかる灰分が6%を超えると、パルプ繊維同士の絡み合いを阻害し、基紙の引張紙力が低下する。
パルプに内添させる紙力増強剤としては、例えば両性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、カチオン澱粉等の公知の化合物が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。紙力増強剤は紙力増強効果だけでなく、紙層中に存在することでパルプ繊維同士を繋ぎ止め、また熱によって硬化することにより、吸放湿時の寸法変化が生じ難い基紙とすることができる。
前記紙力増強剤の中でも、特にアニオン性ポリアクリルアミドは基紙の寸法安定性に対する寄与効果が高いので、本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、アニオン性ポリアクリルアミドをパルプに内添することで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに寄与することができる。
紙力増強剤の含有量は、固形分換算で、基紙の質量の0.01質量%以上、さらには0.05質量%以上であることが好ましく、また1.0質量%以下、さらには0.5質量%以下であることが好ましい。紙力増強剤の含有量が0.01質量%未満では、紙力増強剤を内添したことによるパルプ繊維同士を繋ぎ止める効果が充分に発現されず、基紙の紙力が充分に向上しない恐れがある。逆に紙力増強剤の含有量が1.0質量%を超えると、紙力増強剤がパルプ繊維に充分に定着せず、抄紙系内に堆積して欠点の問題が生じる恐れがある。
パルプに内添させるサイズ剤としては、例えばアルキルケテンダイマーサイズ剤(以下、AKDという)、アルケニル無水コハク酸サイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤等の公知のサイズ剤が例示され、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明における古紙パルプを含有する中性抄紙において、AKDをパルプに内添することで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに寄与することができる。
サイズ剤の含有量は、基紙の質量の0.1質量%以上、さらには0.2質量%以上であることが好ましく、また1.0質量%以下、さらには0.8質量%以下であることが好ましい。サイズ剤の含有量が0.1質量%未満では、基紙のサイズ性が充分に向上せず、吸放湿し易く、湿度の影響を受け易い基紙となる恐れがある。逆にサイズ剤の含有量が1.0質量%を超えると、サイズ剤がパルプ繊維に充分に定着せず、抄紙系内に堆積して欠点の問題が生じたり、サイズ性が頭打ちとなってコストアップに繋がる恐れがある。
より寸法安定性の高い感圧複写紙用原紙を得るには、パルプに歩留向上剤を内添することが好ましく、該歩留向上剤は、電荷調整剤、ベントナイト及びカチオン性高分子化合物の3液併用型とすることが、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を容易に得ることができる点から好ましい。またこのような3液併用型の歩留向上剤を用いることにより、地合がよく、填料等を均等にパルプ繊維に結合させることができ、より寸法安定性の高い感圧複写紙用原紙を得ることができる。
電荷調整剤、ベントナイト及びカチオン性高分子化合物の3液併用型の歩留向上剤を用いる場合、まず電荷調整剤でパルプ繊維を含む原料スラリーの電荷を0〜−100meq/gに調整した後、板状構造を有するベントナイトを添加し、微細なパルプ繊維や填料と結合させて凝集体とし、次いでカチオン性高分子化合物を凝集体と結合させ、カチオン性を有する凝集体を形成させてアニオン性を示すパルプ繊維に定着させる。
電荷調整剤としては、例えばジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミン、ポリアクリル酸エステル系樹脂等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
電荷調整剤の含有量は、基紙の質量の0.005〜0.05質量%であることが古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで得られて環境に優しい感圧複写紙用原紙を得ることができることから好ましい。電荷調整剤の含有量が0.005〜0.05質量%の範囲から外れると、原料スラリーの電荷を0〜−100meq/gの範囲に調整することが困難となる。該電荷が0〜−100meq/gの範囲から外れると、填料、サイズ剤、紙力増強剤等が効果的にパルプ繊維に定着せず、基紙の引張紙力が低下し、寸法変化が生じ易くなる恐れがある。
ベントナイトの含有量は、基紙の質量の0.02〜0.2質量%であることが好ましい。ベントナイトの含有量が0.02質量%未満では、填料が充分に基紙に定着されず、パルプ繊維同士の絡み合いが増加し、寸歩安定性が低下する恐れがある。逆にベントナイトの含有量が0.2質量%を超えると、ベントナイトと、填料や微細繊維との凝集体が大きくなり過ぎ、パルプ繊維に定着させた際に隙間を大きくしてしまい、均一な地合形成が困難となり、寸法安定性が低下する恐れがある。
なお、ベントナイトと同様の構造を有する材料として板状クレーがあげられる。しかしながら、板状クレーの粒子径は通常1μm程度であり、ベントナイトの粒子径と比較すると非常に大きい。したがって、ベントナイトの代わりに板状クレーを使用した場合には、填料と板状クレーやカチオン性高分子化合物との凝集体が非常に大きな径を有し、パルプ繊維に定着させた際にパルプ繊維の結合を阻害するため、好ましくない。
カチオン性高分子化合物としては、例えばアクリル系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
カチオン性高分子化合物の含有量が、固形分換算で、基紙の質量の0.001〜0.01質量%であることが、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を容易に得ることができる点から好ましい。カチオン性高分子化合物の含有量が0.001質量%未満では、填料を充分に基紙に定着させることができず、パルプ繊維同士の絡み合いが増加し、寸歩安定性が低下する恐れがある。逆にカチオン性高分子化合物の含有量が0.01質量%を超えると、抄紙系内にある欠点が紙に定着する恐れがある。
本発明においては、基紙の表面、好ましくは両面に、クリアー塗工層が形成される。
クリアー塗工層を形成するための塗工剤には、例えばサイズ剤が配合される。該サイズ剤は中性サイズ剤であり、かつ次の条件を満足することが好ましい。即ち、(ア)電子供与性発色剤及び電子受容性顕色剤に対して充分なサイズ効果を持つこと、(イ)電子供与性発色剤及び電子受容性顕色剤と反応して発色汚れの原因とならないこと、(ウ)電子供与性発色剤を構成するカプセルオイルの過度の定着や基紙中への浸透等、感圧記録性に悪影響を及ぼさないことである。さらには、基紙の強度を低下させないサイズ剤がより好ましく、これらの点から、AKDが特に好適に使用される。
このように、好ましくはAKDを含有するクリアー塗工層を基紙の表面に設けることで、本発明の課題である、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を得るに、大いに寄与することができる。
なお、前記AKDの他にも、例えばスチレン−アクリル酸系共重合体、スチレン−メタクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸系共重合体等の化合物をクリアー塗工層用のサイズ剤として用いることもできる。
クリアー塗工層中のサイズ剤の含有量は、固形分で0.5質量%以上、さらには1質量%以上であることが好ましく、また固形分で5質量%以下、さらには3質量%以下であることが好ましい。サイズ剤の含有量が0.5質量%未満では、吸放湿を防止する効果が充分に発現されず、湿度変化の際に寸法変化が生じ易い感圧複写紙用原紙となる恐れがある。逆にサイズ剤の含有量が5質量%を超えると、例えば後述するように、澱粉や紙力増強剤を併用する場合、その含有量が相対的に少なくなり、表面を硬化させる能力が低下して吸放湿の際に寸法変化が生じ易い感圧複写紙用原紙となる恐れがある。さらに、サイズ剤としてAKDを用いる場合には、その含有量が多過ぎると、一部が表面で結晶化するため、得られる感圧複写紙用原紙から製造した感圧複写紙に印字する際に、感圧記録装置の裏面と紙送りロールとの間で滑りが生じ、紙送りが円滑に行われず、印字障害が生じる恐れがある。
以上のことから、本発明では、クリアー塗工層中のAKDの含有量が固形分で0.5〜5質量%であることが、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで得られて環境に優しい感圧複写紙用原紙を得ることができる点から、特に好ましい。
特に本発明では、基紙中にタルクを主成分とする填料が含有されているので、クリアー塗工層中にAKDが含有されている場合には、タルクの高い親油性により電子供与性発色剤を包含するカプセルの定着と、遊離オイルの基紙表面への安定した定着とが実現され、電子受容性顕色剤を有する基紙表面においては、AKDによる中性領域での高い被膜性により基紙中への電子受容性顕色剤の浸透が抑制され、効果的な感圧発色が実現されるという利点がある。さらにタルクを用いることにより、従来古紙由来の無機物として問題となる炭酸カルシウムの存在に起因する、電子供与性発色剤を包含するカプセルの破損汚れを防止することができ、結果として発色汚れの問題を回避することができる。
クリアー塗工層中には、前記サイズ剤の他にも、例えば澱粉、紙力増強剤等が適宜含有されていることが好ましい。サイズ剤と澱粉及び紙力増強剤とを併用することにより、サイズ剤によってサイズ性が向上し、吸放湿し難い感圧複写紙用原紙とすることができ、かつ、澱粉によって被膜性に優れ、表面強度が高い感圧複写紙用原紙とすることができ、かつ、紙力増強剤によって熱による表面硬化で吸放湿の際に寸法変化が生じ難い感圧複写紙用原紙とすることができる。
クリアー塗工層を形成するための塗工剤に含有される澱粉としては、例えば酸化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉等のエステル化澱粉、自家変性澱粉等の変性澱粉等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。該澱粉の種類には特に限定がないが、例えば変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が低く、被膜性が低い。したがって、本発明では、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉を用いることが好ましい。カチオン性の澱粉の場合には、パルプ繊維に対する定着性が高く、被膜性に優れ、また表面強度も向上する。
このように、クリアー塗工層を形成するための塗工剤にカチオン性の澱粉を含有させることで、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を容易に得ることができる。
前記エステル化澱粉を得る際の原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉の他、各種澱粉含有物があげられる。このような原料澱粉の代表例としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉;小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物に、酸化、酸処理化等を行った処理澱粉等があげられる。これらの中でも、タピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類よりも優れる点で好ましい。
前記エステル化澱粉において、そのエステル化度には特に限定がないが、導入されるエステル結合の平均数で、グルコース単位あたり1〜3、さらには1〜2であることが好ましい。エステル化澱粉の中でも、ヒドロキシエステル化澱粉が好ましい。該ヒドロキシエステル化澱粉は、原料澱粉に酸化処理を施し、カルボキシメチル基をヒドロキシエチル基へ還元反応させることにより、容易にかつ安価に得ることができる。中でも、エステル変性された澱粉の末端基に疎水性基を導入した、疎水性基含有エステル変性タピオカ澱粉を使用することが好ましい。
さらに本発明で好適に使用することができるエステル化澱粉としては、末端基にカルボン酸「−COOH」構造を有し、中性領域において「−COO−」のようにイオン化することで、水素結合による繋がりを確保することができずに反発性を示すことに基づく、チキソトロピカルな挙動を示すエステル変性澱粉が、基紙表面への塗工時は流動性を示しながら、塗工後は基紙中に浸透し難く、感圧複写紙用原紙の表面に高い被膜性を呈する点から好ましい。このようなエステル化澱粉としては、タピオカ澱粉を主原料にエステル変性させた1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉が好ましい。1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉は、粘性、被膜弾力性、被覆性の点で優れる。
なお、クリアー塗工層に用いられる澱粉としては、平均分子量が60万〜300万、さらには80万〜280万のものが、感圧複写紙用原紙の表面の被覆性や吸収乾燥性がより向上するという点から好ましい。またかかる澱粉としては、粘度(10%)が30×10-3Pa・s以下、さらには15×10-3〜25×10-3Pa・sのものが、感圧複写紙用原紙の表面において、粘度が高いことから基紙中には浸透せず、クリアー塗工層内に留まることができるという点から好ましい。
なお、クリアー塗工層中の澱粉の含有量は、前記サイズ剤の含有量及び後述する紙力増強剤の含有量を考慮して、固形分で65質量%以上、さらには72質量%以上であることが好ましく、また固形分で89.5質量%以下、さらには84質量%以下であることが好ましい。
クリアー塗工層を形成するための塗工剤に含有される紙力増強剤としては、例えばポリアクリルアミド系樹脂(以下、PAMという)、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。これら紙力増強剤は、前記澱粉よりも造膜性が高く、塗工面を硬化させる能力が高いという利点を有する。
前記PAMとしては、アニオン性ポリアクリルアミドが好適に例示されるが、この他にも、例えばポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、ジアリルアミン−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアミン、ポリアミジン等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
クリアー塗工層中の紙力増強剤の含有量は、固形分で10質量%以上、さらには15質量%以上であることが好ましく、また固形分で30質量%以下、さらには25質量%以下であることが好ましい。紙力増強剤の含有量が10質量%未満では、クリアー塗工層の表面を硬化させる効果が充分に発現されず、吸放湿時の寸法変化を防止する能力が充分に発揮されない恐れがある。逆に紙力増強剤の含有量が30質量%を超えると、クリアー塗工層の表面を硬化させる能力が高く、吸放湿時に、より寸法変化が生じ難い感圧複写紙用原紙とすることができるものの、塗工剤の粘性が高くなり、塗工時に塗工剤がミスト化し、塗工機や後の乾燥設備を汚染して欠点の問題が生じ、操業性が低下する恐れがある。
以上のことから、本発明では、クリアー塗工層中のPAMの含有量が固形分で10〜30質量%であることが、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を容易に得ることができる点から、特に好ましい。
クリアー塗工層を形成するための塗工剤は、前記サイズ剤、澱粉、紙力増強剤等の種類及び配合量を適宜調整して常温で撹拌混合し、固形分濃度を適宜調整して得ることができる。
基紙の少なくとも片面に塗工剤を塗工するには、例えばゲートロールコーター、ブレードコーター、サイズプレス等の公知の塗工機を使用することができる。
前記塗工剤は、クリアー塗工層が基紙の片面に0.5g/m2以上、さらには0.65g/m2以上の量で形成されるように、またクリアー塗工層が基紙の片面に1.5g/m2以下、さらには1.15g/m2以下の量で形成されるように塗工することが、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られる原紙でありながら、発色濃度が高いのは勿論のこと、寸法安定性に優れ、引張強度が高く、かつ発色汚れが極めて少なく、低コストで環境に優しい感圧複写紙用原紙を容易に得ることができる点で好ましい。基紙の片面に形成されるクリアー塗工層の量が0.5g/m2未満では、表面強度が不足し、感圧複写紙用原紙から製造される感圧複写紙に印刷した際に、インキタックにて取られが発生し、白抜けが発生する恐れがある。逆に基紙の片面に形成されるクリアー塗工層の量が1.5g/m2を超えると、品質的な不具合はないものの、塗工後の乾燥工程での負荷が大きくなり、生産速度が低下して生産効率も低下する恐れがある。
かくして基紙の表面、好ましくは両面に塗工剤を塗工し、適宜乾燥処理を行うことにより、クリアー塗工層が形成された感圧複写紙用原紙を得ることができる。
本発明の感圧複写紙用原紙は、前記したように、JIS P 8251に準拠して測定した灰分が、6%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは、古紙パルプの洗浄度合いを向上する手段等により、0.8〜3%である。本発明の感圧複写紙用原紙は、このように灰分が少ないので、感圧複写紙用原紙から製造される感圧複写紙の印刷・帳合加工等のビジネスフォーム加工適性及びインパクトプリント適性に繋がる紙力強度が良好である。
また本発明の感圧複写紙用原紙は、JIS P 8133「紙、板紙及びパルプ−水抽出液pHの試験方法」に記載の方法に準拠して測定した熱水抽出pHが、6.5以上、好ましくは7.0以上であり、また9.0以下、好ましくは8.0以下である。このように本発明の感圧複写紙用原紙は、その熱水抽出pHが6.5〜9.0の範囲であるので、強度劣化が少なく、長期保存性に優れている。かかる熱水抽出pHが6.5未満では、長期保存性が低下してしまい、逆に熱水抽出pHが9.0を超えると、薬品効果が極端に低下する。
本発明の感圧複写紙用原紙は、電子供与性発色剤を含有する発色層をその一方面に設けて上用紙としたり、電子供与性発色剤との接触によって呈色する電子受容性顕色剤を含有する顕色層をその一方面に設け、かつ他方面に発色層を設けて中用紙としたり、顕色層をその一方面に設けて下用紙とし、これら上用紙、中用紙及び下用紙を順に積層するか、もしくは、上用紙及び下用紙を積層して感圧複写紙とすることができる。
次に、本発明の感圧複写紙用原紙を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜35及び比較例1〜5(感圧複写紙用原紙の製造)
LBKP及び古紙パルプ(離解・脱墨古紙パルプ、表1〜4中、DIPという)を表1〜4に示す割合で配合し、JIS P 8121に記載の方法に準拠して測定したCSFが表1〜4に示す値となるように、DDRで叩解してパルプスラリーを調製した。
次に、得られたパルプスラリーに、感圧複写紙用原紙の灰分が表9〜12に示す値となるように、表1〜4に示すタルクを添加した。さらに表1〜4に示すその他の填料を添加した。
次いで、電荷調整剤(片山ナルコ(株)製、品番:ナルコ7527)を基紙の質量の0.01質量%添加して電荷を調整し、表1〜4に示す量(固形分換算で基紙の質量に対する量)のAKD(サイズ剤)及びアニオン性ポリアクリルアミド(紙力増強剤)を添加し、さらにベントナイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、品番:ハイドロコールONZ)を固形分換算で基紙の質量の0.1質量%、カチオン性高分子化合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、品番:パーコールE−24X)を固形分換算で基紙の質量の0.003質量%、各々パルプスラリーに添加し、多筒式ツインワイヤー型抄紙機に供給して基紙を抄紙した。
Figure 2010222754
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次に、表5〜8に示すサイズ剤、紙力増強剤及び澱粉を配合し、常温にて撹拌混合して固形分濃度が約12質量%の塗工剤を調製した。この塗工剤を、ゲートロールコーターにて、片面当たりの塗工量が表5〜8に示す値となるように基紙の両面に塗工し、乾燥してクリアー塗工層を形成させ、感圧複写紙用原紙を製造した。なお、得られた感圧複写紙用原紙の坪量をJIS P 8124「坪量測定方法」に記載の方法に準拠して測定したところ、約40g/m2であった。
なお、市販の感圧複写紙用原紙A、Bを比較例7、8とした。これら市販の感圧複写紙用原紙A、Bはいずれも、酸性抄紙の原紙であり、パルプに填料、紙力増強剤及びサイズ剤が配合されておらず、クリアー塗工層に紙力増強剤が含まれていない。
得られた感圧複写紙用原紙を構成するパルプ繊維の、JIS P 8220に準拠して離解した後の重量平均繊維長を、カヤニ平均繊維長試験機(Fiber Labo)にて測定した。その結果を先の表1〜4に併せて示す。
また、表1〜4に示すタルクの体積平均粒子径は、得られた感圧複写紙用原紙をJIS P 8220に準拠して離解して離解パルプを得た後、以下の手段で実測した値である。
(ア)離解パルプを440メッシュの標準ふるいにてろ過した。
(イ)得られたろ液を標準ろ紙にてろ過し、ろ過残渣を得た。
(ウ)ろ過残渣を、メタノール500mLで洗浄した。
(エ)メタノール洗浄残渣を、真空乾燥機にて24時間乾燥した。
(オ)走査型電子顕微鏡用の直径10mmの試料ホルダに、真空乾燥残渣を両面テープで固定した。
(カ)走査型電子顕微鏡に付属するX線マイクロアナライザーにて、シリカとマグネシウムとが重なって検出される無機物をタルクとして、5000倍で画像解析写真を撮像した。
(キ)前記(カ)の撮像操作を、同一場所が重ならないように20回実施した。
(ク)得られた撮像写真20枚を、画像解析装置(ルーゼックス、(株)ニレコ製)にて画像解析を行い、シリカとマグネシウムとが重なって検出される無機物の個数と総面積を測定し、1個当りの平均粒子径を算出した。
Figure 2010222754
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Figure 2010222754
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得られた感圧複写紙用原紙の物性を、各々以下の方法にて測定した。これらの結果を表9〜12に示す。
(a)灰分(古紙由来の無機粒子を含む)
JIS P 8251「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に記載の方法に準拠して測定した。
(b)熱水抽出pH
JIS P 8133「紙、板紙及びパルプ−水抽出液pHの試験方法」に記載の方法に準拠して測定した。
(c)引張強度
JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法−第2部:定速伸張法」に記載の方法に準拠して、縦方向の引張強度を測定した。
次に、得られた感圧複写紙用原紙の片面に、電子供与性発色剤内包マイクロカプセルを含有した塗布液を、ドライ換算で4g/m2となるように塗布し、発色層を有する上用紙を作製した。また、感圧複写紙用原紙の片面に、電子供与性発色剤との接触によって呈色する電子受容性顕色剤を含有した塗布液を、ドライ換算で4g/m2となるように塗布し、顕色層を有する下用紙を作製した。
なお、下用紙の作製に用いた塗布液は、以下の組成である。
顔料 TP−121−M7(奥多摩工業(株)製) 100質量部
ラテックス S6(日本ゼオン(株)製) 9質量部
澱粉 MS3600(日本食品化工(株)製) 7質量部
顕色剤 LR200(三光(株)製) 15.1質量部
得られた上用紙及び下用紙を用い、以下の方法に従って発色濃度、発色能力の保持性(発色汚れ)及び寸法安定性を調べた。その結果を表9〜12に示す。
(1)発色濃度
上用紙の発色層面と下用紙の顕色層面とが接するように積層して発色させ、発色濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、型番:GREPAG−MACBETH RD19)にて測定した。なお、この発色濃度が0.6以上であることが、実用上好ましい。
(2)発色能力の保持性(発色汚れ)
温度50℃、相対湿度90%の環境で30日間保管した上用紙及び下用紙を用い、上用紙の発色層面と下用紙の顕色層面とが接するように積層し、プリンター(NEC製、型番:PCPR−201/65A)を使用して印字発色させ、発色濃度を前記マクベス濃度計にて測定した。なお、この発色濃度が0.6以上であることが、実用上好ましい。
(3)寸法安定性
温度23℃、相対湿度50%の環境で24時間保管した上用紙及び下用紙を、各々40cm×40cmの寸法に断裁したサンプルを各2枚作製した。2枚のサンプルのうち、1枚を温度10℃、相対湿度20%の環境で24時間、もう1枚を温度30℃、相対湿度80%の環境で24時間保管した後、寸法を測定した。環境変化前のサンプルの寸法(縦又は横:A)に対する環境変化後のサンプルの寸法(縦又は横:B)の変化率を以下の式に基づいて算出し、上用紙と下用紙との平均値を求めた。
寸法変化率(%)=[(B−A)/A]×100
なお、寸法変化率が±0.5%以内であることが、実用上好ましい。
Figure 2010222754
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実施例1〜35の感圧複写紙用原紙はいずれも、引張強度が3.5kN/m以上と引張強度が高く、低温低湿度の環境で保管した場合及び室温高湿度の環境で保管した場合いずれも、寸法変化率が略±0.5%以内と小さく寸法安定性に優れ、発色濃度が0.6以上と高いだけでなく、長期間保存後も自家発色が少なく、発色濃度が略0.6以上と発色能力が保持されており、発色汚れが極めて少ないものである。また実施例1〜35の感圧複写紙用原紙は、古紙パルプが用いられており、低コストで得られ、環境に優しいものである。
このように、実施例1〜35の感圧複写紙用原紙は、古紙パルプを含有する中性抄紙にて得られた原紙でありながら、比較例6〜7の酸性抄紙にて得られた従来の感圧複写紙用原紙と同等以上の物性及び特性を有する。
これに対して比較例1〜5の感圧複写紙用原紙は、引張強度が3.5kN/m未満と引張強度が低く、低温低湿度の環境で保管した場合及び室温高湿度の環境で保管した場合いずれも、寸法変化率が±0.5%を超えて寸法安定性に劣り、発色濃度が0.6未満と低く、長期間保存後は自家発色のため、発色濃度がさらに低く発色能力が保持されていない。
本発明の感圧複写紙用原紙は、その片面又は両面に発色層や顕色層を設けることにより、感圧複写紙の上用紙、中用紙、下用紙等として好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 基紙中に古紙パルプを含有する、電子供与性染料と電子受容性化合物との呈色反応を利用した感圧複写紙に使用される感圧複写紙用原紙であって、
    基紙中の古紙パルプの含有量がパルプ全量の15〜100質量%で、
    基紙を構成するパルプ繊維の、JIS P 8220に準拠して離解した後の重量平均繊維長が0.4〜0.9mmであり、
    基紙中に、走査型電子顕微鏡にて測定した平均粒子径が5〜10μmのタルクを主成分とする填料が含有され、
    基紙の表面にクリアー塗工層を有し、
    JIS P 8251に準拠して測定した灰分が6%以下で、
    JIS P 8133に準拠して測定した熱水抽出pHが6.5〜9.0である
    ことを特徴とする、感圧複写紙用原紙。
  2. クリアー塗工層中にアルキルケテンダイマーサイズ剤が含有されてなる、請求項1に記載の感圧複写紙用原紙。
  3. クリアー塗工層中のアルキルケテンダイマーサイズ剤の含有量が、固形分で0.5〜5質量%である、請求項2に記載の感圧複写紙用原紙。
  4. クリアー塗工層中に澱粉及びポリアクリルアミド系樹脂が含有され、
    クリアー塗工層中のポリアクリルアミド系樹脂の含有量が、固形分で10〜30質量%であり、
    クリアー塗工層が基紙の片面に0.5〜1.5g/m2の量で形成されてなる、
    請求項1〜3のいずれか1つに記載の感圧複写紙用原紙。
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