JP2010222630A - 伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法 - Google Patents

伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二次スケールとして鋼線材の表面に被覆されている黒皮スケールに対して、MDによる剥離性を向上させることによりMD後のスケール取れ残りを防止し、伸線工程におけるスケール(酸化物)のダイスへの噛込み防止し、且つMD後の地鉄表面粗度を小さくすることにより、ダイス寿命の低下や傷ついたダイスによる表面性状の低下等を抑制できるような、伸線性に優れる鋼線材を製造するための方法な方法を提供する。
【解決手段】本発明方法は、化学成分組成を適切に調整した鋼ビレットを、熱間圧延により線材形状にした後、巻き取り工程を含んで線材を製造する方法において、鋼ビレットにおける熱間圧延時の加熱温度を950〜1050℃に設定すると共に、巻取り温度を890〜990℃に設定して操業する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤの補強用鋼線、PC鋼線、ロープ用鋼線等に使用される高炭素鋼線材を製造する方法に関するものであり、特に二次スケールとして鋼線材表面に被覆されている黒皮スケールがメカニカルデスケーリング(以下、「MD」と略称することがある)による剥離性に優れ、伸線性に優れる鋼線材を製造するための有用な方法に関するものである。
タイヤの補強用鋼線、PC鋼線、ロープ用鋼線等に使用される高炭素鋼線材は、MDにより表面スケールを除去した後、所定の線径まで伸線される。そして該鋼線材は、MDで容易に剥離する黒皮スケール(二次スケール)を被覆した後、コイル状に巻取った状態で製品としている。
製品として出荷された鋼線材はユーザーによってMDが行われ、その後所定の線径まで伸線されることになる。このときの伸線は、湿式伸線方式または乾式伸線方式、或は両方式を併用して行われ、線径の異なる複数のダイスに線材を通過させながら、複数段階の伸線工程を経て伸線される。
鋼線材の表面に付着されている黒皮スケールは、MD工程での剥離性を確保するために、所定の厚み、性状に制御されている。具体的には、スケール厚:10μm程度、スケール中のウスタイト(FeO)比率:70%程度、等に制御されているのが通常である。
従って、黒皮スケールが薄い場合やMDで除去しにくいスケール性状を有する場合にはMD工程後においてもその一部が取れ残り、(1)ダイス寿命の低下、(2)傷ついたダイスによる断線、等の不都合を招くことになる。また、黒皮スケールがMD工程で完全に除去できた場合であっても、地鉄/黒皮スケール界面の粗度が大きいときには、MD後の地鉄表面粗度が大きくなり、同様に上記した(1)、(2)の不都合を招くことになる。
上記のような不都合を防止するためには、MDによって黒皮スケールが容易に剥離する特性(本発明では、こうした特性を「MD性」と呼んでいる)を向上させることが重要である。しかしながら、上記のような不都合が発生する要因としては、黒皮スケールの他にも、(a)三次スケール(ブルースケール)の生成や、(b)自然錆の生成等も考えられており、これまではむしろこれらの要因の解明に重点をおいて検討されてきた。
上記ブルースケールは、線材の製造過程において黒皮スケールが剥離した後に形成されるスケールであり、1μm以下の厚みを有している。このブルースケールは、薄スケールであり、且つウスタイトを含まないことから、地鉄との密着性が強く、MDによっては除去できないため取れ残り、上記(1)、(2)のような不都合を招くことになる。
またブルースケールは、主に線材をタブ(集束機)に入れて結束する際の機械的衝撃により黒皮スケールが剥離し、三次スケールが生成することにより生じる。この三次スケールは200℃以下の加熱では生成しないことから、ブルースケール抑制対策として、「線材のタブ(集束機)入り温度を200℃以下にすること」等が提案されている。
一方、鋼線材表面の黒皮スケールが200℃以下で剥離すると、鋼線材の新生面が大気に露出され、湿潤雰囲気により酸化され、自然錆を生成することになる。この自然錆も1μm以下の薄スケールであり、MDで剥離しにくいことからMD後も残留することになり、その後の伸線過程でダイスを傷つけ、ダイス寿命の低下の他、傷ついたダイスによる鋼線材の表面性状の低下(表面疵の増加)を招くことになる。こうした問題を回避するために、輸送時の保護性によって自然錆抑制を目的とした技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
これらの技術に対し、上記のような不都合の要因であるとされる黒皮スケールをMDで容易に除去する技術については、これまで検討されていないのが実情である。
特開平02−213448号公報
本発明はこうした従来技術における課題を解決する為になされたものであって、その目的は、二次スケールとして鋼線材の表面に被覆されている黒皮スケールに対して、MDによる剥離性を向上させることによりMD後のスケール取れ残りを防止し、伸線工程におけるスケール(酸化物)のダイスへの噛込みを防止し、且つMD後の地鉄表面粗度を小さくすることにより、ダイス寿命の低下や傷ついたダイスによる表面性状の低下等を抑制できるような、伸線性に優れる鋼線材を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明方法とは、C:0.7〜1.2%(「質量%」の意味、化学成分について以下同じ)、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.3〜0.6%およびCr:0.01〜0.3%を夫々含有する鋼ビレットを、熱間圧延により線材形状にした後、巻き取り工程を含んで鋼線材を製造する方法において、鋼ビレットにおける熱間圧延時の加熱温度を950〜1050℃に設定すると共に、巻取り温度を890〜990℃に設定して操業する点に要旨を有するものである。
本発明では、化学成分組成を適切に調整すると共に、鋼ビレットにおける熱間圧延時の加熱温度やその後の巻取り温度を適切に調整することによって、MDによる剥離性に優れる黒皮スケールを有すると共に、地鉄/黒皮スケール界面が平滑な鋼線材が作製できるため、ダイス寿命の低下や、傷ついたダイスによる表面性状の低下(表面疵の増加)等を抑制できる高炭素鋼線材を実現できた。
実施例1における各鋼線材のスケール付着量とスケール残留量の関係を示すグラフである。 実施例1における各鋼線材のスケール厚みとスケール残留量の関係を示すグラフである。 実施例2における各鋼線材の巻取り温度とサブスケール中のCr濃度の関係を示すグラフである。 実施例2における各鋼線材のサブスケール中のCr濃度とスケール残留量の関係を示すグラフである。
本発明者らは、表面に黒皮スケールが被覆されている鋼線材における伸線過程でのダイスの傷つきの原因を解明するべく、様々な角度から検討した。その結果、次のような知見が得られた。
タイヤの補強用鋼線、PC鋼線、ロープ用鋼線などに使用される高炭素鋼線材(スチールコード)には、その表面に黒皮スケールが被覆された状態で製品として出荷されている。そして、黒皮スケールは所定の厚み、性状に制御されている(例えば、スケール厚:10μm程度、スケール中のウスタイト(FeO)比率:70%程度)が、黒皮スケールが薄い場合やMDで除去しにくいスケール性状を有する場合は、MD工程で黒皮スケールの一部が取れ残り、取れ残った黒皮スケールはダイスに噛込み、ダイスの傷つきの原因となる。また、黒皮スケールがMD工程で完全に除去できた場合であっても、地鉄(鋼線線)/黒皮スケール界面の粗度が大きい場合には、MD後の地鉄表面粗度が大きくなり、同様にダイスの傷つきの原因となる。
そこで、黒皮スケールのMD性向上を図るためには、高炭素鋼線材の製造工程において、巻取り温度を890℃以上、990℃以下とすることが有効であることが判明したのである。尚、従来では巻取り温度は、機械的特性の確保(鋼線材の引張強度低減)という観点から850〜880℃程度に設定されている。
黒皮スケールのMD性は黒皮スケール厚と相関関係があり(後記図2参照)、黒皮スケールの厚みが厚いほどMD後のスケール取れ残り量は減少し、MD性は向上する。そして、巻取り温度を890℃以上とすることにより、MD性に優れる黒皮スケール厚さを確保することができる。この巻取り温度は好ましくは、950℃以上とするのが良い。
また、黒皮スケールのMD性は黒皮スケール下部(地鉄との界面)に形成されるサブスケール中のCr濃度と相関関係があり、該Cr濃度が低いほど(具体的にはサブスケール中のCr濃度が1%程度以下)、MD後のスケール取れ残り量は減少し、MD性は向上することが判明している。こうした観点から、巻取り温度を890℃以上とすることにより、MD性に優れるサブスケール中の低Cr化を確保することができる。
しかしながら、巻取り温度を990℃よりも高くすると、MD後に黒皮スケールが剥離した表面に極薄FeO層の形成が認められる。MD後に取れ残ったFeO層は、ダイスに噛込み「ダイス傷つき」を招くことから、巻取り温度は990℃以下とする必要がある。
一方、地鉄/黒皮スケール界面(MD後の地鉄表面)を平滑にするためには、鋼ビレットの加熱温度(熱間圧延前の加熱温度)を950℃〜1050℃の範囲にすることが有効である。鋼ビレットの加熱温度を前記温度範囲に設定することにより、サブスケールであるファイヤライト(Fe2SiO4)の生成を抑制し、またファイヤライトが生成された場合でもノジュール化による不均一形成を防止することができる。これにより、地鉄/黒皮スケール界面にファイヤライト(Fe2SiO4)は生成しないか、極薄均一層として生成されるため、地鉄/黒皮スケール界面(MD後の地鉄表面)は平滑になる。
鋼ビレットの加熱温度が950℃未満では、熱間加工性が低下するため、鋼ビレットを熱間圧延により所定の線径(例えば、φ5.5mm)の線材形状にするのが困難となる。従って、このときの加熱温度は950℃以上とする必要がある。
また鋼ビレットの加熱温度が1050℃よりも高くなると、地鉄/黒皮スケール界面にファイヤライト(Fe2SiO4)が不均一生成し、地鉄/黒皮スケール界面粗度(MD後の地鉄表面粗度)を増大させることになる。またファイヤライト(Fe2SiO4)はMDでは取れにくく、MD後に取れ残ったファイヤライト(Fe2SiO4)は、ダイスに噛込み、「ダイス傷つき」を招くことから、加熱温度は1050℃以下にする必要がある。この加熱温度は好ましくは1000℃以下とするのが良い。
尚、鋼ビレットの加熱時の雰囲気は、一般的にはO2:0.5〜3.0容量%、CO2:5〜15容量%、H2O:15〜25容量%を夫々含むN2雰囲気である。
本発明の鋼線材は、その化学成分組成については、最終製品としての特性を発揮させるために、その化学成分組成を適切に調整する必要がある。その化学成分組成における各成分(元素)による範囲限定理由は次の通りである。
[C:0.7〜1.2%]
Cは鋼線材の強度を高めるために必要な元素であり、そのためには0.7%以上含有させる必要があるが、C含有量が過剰になると、伸線性が劣化(引張強度の増加)するので、1.2%以下とする必要がある。
[Si:0.1〜0.3%]
Siは、鋼の脱酸のために必要な元素であり、鋼線材に最低限必要な量として、その下限をSi:0.1%と規定した。しかしながら、Si含有量が過剰になると、表面脱酸層を生成するため、その上限を0.3%と規定した。
[Mn:0.3〜0.6%]
Mnは、鋼の焼入れ性を確保し、機械的強度を高めるために有効な元素であり、その下限を0.3%と規定した。しかしながら、Mn含有量が過剰になると、熱間圧延後の冷却過程で偏析を起こし、マルテンサイト等の過冷組織が発生しやすくなり、伸線加工性を必要とする条鋼材の場合が加工性の低下を招くので、その上限を0.6%と規定した。
[Cr:0.01〜0.3%]
Crは、焼入れ性を高めて強度向上に寄与する元素であり、その効果を発揮させるためには0.01%以上含有させる必要がある。しかしながら、Crの含有量が過剰になるとマルテンサイトを発生しやすくなるので、その含有量は0.3%以下とする必要がある。
本発明に係る高炭素鋼線材における基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避的不純物(例えば、P,S等)、である。また、鋼材には、場合によって、NiやCu等の元素が混入することがあるが、これらの元素はいずれも0.05%以下であれば、スケール剥離性や表面粗度に悪影響を及ぼすことがない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
下記表1に示す化学成分組成の鋼塊を転炉で溶製した後、この鋼塊を分塊圧延して断面が155mm×155mmの鋼ビレットを作製し、1100℃で加熱した後(加熱雰囲気:N2−0.5〜3.0容量%O2−5〜15容量%CO2−15〜25容量%H2O)、線径:5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。この鋼線材を、800〜1000℃の温度範囲で巻き取り、スチルモアコンベア上を搬送させ、300℃まで冷却した。続いて、300℃の鋼線材を集束機に入れ、コイル状に結束し、放冷した。この段階で、鋼線材表面には、「黒皮スケール」が被覆された状態となっている。
Figure 2010222630
各条件によって得られた各鋼線材のMD性を調べる目的で、黒皮スケール(以下、単に「スケール」と呼ぶ)の残留量(スケール残留量)を測定した。各鋼線材を長さ250mmに切断し、これにチャック間距離:200mmとして、クロスヘッドの変位が12mm(4%)まで引張荷重を与えた。そして、チャックから取り外した各サンプル表面のスケールを衝風力により機械的に除去(MD)した後、200mmの長さに切断し、次いで各サンプルを重量測定(W1)してから、塩酸中に浸漬して残留スケールを完全に剥離し、再度サンプルを重量測定(W2)した。
スケール残留量は下記(1)式により計算にて求めた。
スケール残留量(質量%)=(W1−W2)/W1×100 …(1)
また各鋼線材のスケール付着量を測定した。各線材を長さ:250mmに切断し、各サンプルを重量測定(W3)してから、塩酸中に浸漬して残留スケールを完全に剥離し、再度サンプルを重量測定(W4)した。
スケール付着量は下記(2)式により計算にて求めた。
スケール付着量(質量%)=(W3−W4)/W4×100 …(2)
各鋼線材におけるスケール付着量とスケール残留量の関係を図1に示す。この結果から明らかなように、スケール付着量の増大に伴って、スケール残留量は減少していき、剥離性(MD性)が向上していることが分かる。スケール残留量が0.04%以下の場合にMD性が良好と判断でき、良好な剥離性(MD性)を確保するためにはスケール付着量を0.37%以上にすることが望ましいことが分かる。
各鋼線材のMD性を調べる目的で、スケールの付着厚みを測定した。各線材を長さ20mmに切断し、樹脂埋込後、断面研磨を行い、試料断面を露出させた。この断面露出試料を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、そのスケール断面観察からスケールの付着厚み(スケール厚み)を計測した。
各鋼線材におけるスケール厚みとスケール残留量の関係を図2に示す。この結果から明らかなように、スケール厚みの増加に伴い、スケール残留量は減少していき、剥離性(MD性)が向上していることが分かる。残留スケール量が0.04%以下の場合は、MD性は良好と判断でき、良好な剥離性(MD性)を確保するためにはスケール付着厚みを8.0μm以上にすることが望ましいことが分かる。
(実施例2)
前記表1に示した化学成分の鋼塊から、実施例1に示した方法と同様にして、鋼線材を作製した。
各鋼線材のMD性を調べる目的で、サブスケール中のCr濃度を測定した。各鋼線材を長さ20mmに切断し、樹脂埋込後、断面研磨を行い、試料断面を露出させた。この断面露出試料をSEMにて観察し、そのスケール断面観察からサブスケール層を特定すると共に、該サブスケール層をEPMA(Electron probe microanalyzer)により定量分析し、該サブスケール中の平均Cr濃度を求めた。
各鋼線材の巻取り温度とサブスケール中のCr濃度の関係を図3に示す。この結果から明らかなように、巻取り温度の増大に伴い、サブスケール中のCr濃度は減少していることが分かる。またサブスケール中のCr濃度を1.0%以下にするためには、巻取り温度を890℃以上にする必要があることが分かる。
また各鋼線材のMD性を調べる目的で、実施例1に記載した方法と同様の方法によりスケール残留量を測定し、サブスケール中のCr濃度の関係を調査した。
各鋼線材のサブスケール中のCr濃度とスケール残留量の関係を図4に示す。この結果から明らかなように、サブスケール中のCr濃度とスケール残留量には正の相関が認められ、サブスケール中のCr濃度が高いとスケール残留量は増加する傾向が認められる。またスケール残留量が0.04%以下の場合にMD性は良好と判断でき、良好な剥離性(MD性)を確保するためには、サブスケール中のCr濃度を1.0%以下にすることが望ましいことが分かる。
(実施例3)
前記表1に示した化学成分の鋼塊を転炉で溶製した後、この鋼塊を分塊圧延して断面が155mm×155mmの鋼ビレットを作製し、950〜1100℃で加熱した後(加熱雰囲気:N2−0.5〜3.0容量%O2−5〜15容量%CO2−15〜25容量%H2O)、線径:5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。この鋼線材を、800〜1000℃の温度範囲で巻き取り、ステルモアコンベア上を搬送させ、300℃まで冷却した。続いて、300℃の鋼線材を集束機に入れ、コイル状に結束し、放冷した。
このようして作製した鋼線材に対して、スケール性状として、「FeO比率」を下記の方法により測定・評価すると共に、「スケール厚み」、「サブスケール中のCr濃度」を実施例2に示した方法により測定した。またMD性として、「FeO層の残留の有無」および「地鉄/黒皮スケール界面の粗度」を下記の各方法により測定・評価すると共に、「スケール残留量」を実施例1に示した方法により測定した。
(FeO比率の測定)
各鋼線材を長さ20mmに切断し、樹脂埋込後、断面研磨を行い、試料断面を露出させた。この断面露出試料をSEMにて観察し、そのスケール断面観察から「Fe23層」、「Fe34層」、「FeO層」および「サブスケール層」の各スケール層の厚みを計測した。このときFeO比率は、FeO層の厚み(L1)と全スケール層の厚み(L2)から下記(3)式により計算にて求めた。
FeO比率(体積%)=(L1/L2)×100 …(3)
(FeO層の残留の有無の測定・評価)
各鋼線材を長さ250mmに切断し、これにチャック間距離:200mmとして、クロスヘッドの変位が12mm(4%)まで引張荷重を与えた。そして、チャックから取り外した各サンプル表面のスケールを、衝風力により機械的に除去(MD)した後、20mmの長さに切断した。つぎに各サンプルの表面の色調を目視にて観察し、スケールフリーの金属光沢面との色調に比較から、FeO層の残留の有無を判断した。また各サンプルの表面に対して微小部XRD(X線回折)測定を行い、X線回折チャートにおけるFeOの回折ピークの有無からFeO層の残留の有無を判断した。
(地鉄/黒皮スケール界面粗度の測定)
各鋼線材を長さ250mmに切断し、これにチャック間距離:200mmとして、クロスヘッドの変位が12mm(4%)まで引張荷重を与えた。そして、チャックから取り外した各サンプル表面のスケールを、衝風力により機械的に除去(MD)した後、20mmの長さに切断した。次に、各サンプルの表面に対して円周方向の表面粗度を表面粗さ計で測定した。表面粗さ計にはTaylor−Hobson社製の「タリサーフ」(商品名)を用い、各サンプルあたりn=3で算術平均粗さ(Ra)を求め、その平均値で界面粗度を評価した。
ビレット加熱温度と巻取り温度を変化させて作製した各鋼線材におけるスケール性状(スケール厚み、FeO比率、Cr濃度)、MD性(スケール残留量、FeO層の残留の有無)、MD後の地鉄/黒皮スケール界面粗度を下記表2に示す。この結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足する鋼線材(実験No.3〜6,8〜10)で良好なMD性、平滑な地鉄/黒皮スケール界面粗度が得られていることが分かる。
Figure 2010222630

Claims (1)

  1. C:0.7〜1.2%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、Si:0.1〜0.3%、Mn:0.3〜0.6%およびCr:0.01〜0.3%を夫々含有する鋼ビレットを、熱間圧延により線材形状にした後、巻き取り工程を含んで線材を製造する方法において、鋼ビレットにおける熱間圧延時の加熱温度を950〜1050℃に設定すると共に、巻取り温度を890〜990℃に設定して操業することを特徴とする伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
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