JP2010222285A - ヒドロキシスチレンダイマー誘導体、その製造方法、連鎖移動剤およびラジカル重合性モノマーの重合方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ラジカル重合反応における分子量調節技術としては、重合系への連鎖移動剤の添加が効果的な方法の一つとして知られている。連鎖移動剤としては多数の既知化合物が提案されており、近年ではα−メチルスチレンダイマー誘導体が広く使用されている。このα−メチルスチレンダイマー誘導体は、アルキルメルカプタン連鎖移動剤よりも効率は悪いが、無臭で取り扱いやすく、変色などポリマーの安定性にも影響を及ぼすことが少ないという特徴を有している。
本発明に係るヒドロキシスチレンダイマー誘導体は、下記の式(1) に示したように、内部二重結合(内部オレフィン)を有するスチレンダイマー構造に加え、芳香環上にアセトキシ基あるいはアルコキシ基を複数個有することを特徴とする。このため、製造されるポリマーまたはコポリマーの末端にはこの構造が導入される。
まず、本発明のヒドロキシスチレンダイマー誘導体は、具体的に次の反応式(a)に示した方法により製造することができる。
一方、アルキル化反応はハロゲン化アルキルあるいはジメチル硫酸を用いる汎用的な方法、あるいはメタノールなどのアルコールを光延反応により反応させる方法などが利用可能である。光延反応により目的物を得るためには、トリフェニルホスフィン、ジエチルフェニルホスフィン、ジフェニル−2−ピリジルホスフィン、トリブチルホスフィン、ポリスチレン樹脂固定化ジフェニルホスフィン誘導体などのリン化合物と、アゾジカルボン酸ジメチルエステル、アゾジカルボン酸ジエチルエステル、アゾジカルボン酸ジイソプロピルエステル、N,N,N,N,−テトラメチルアゾジカルボン酸アミド、アゾジカルボン酸ジ−2−メトキシエチルエステルなどのアゾ化合物とを組み合わせて用いることが有効である。
(a)芳香族エチレン性不飽和単量体:スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン類、ビニルナフタレン類、ジクロルスチレンなどのスチレン類のハロゲン置換体など、
(b)脂肪族エチレン性不飽和単量体:エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレンなど、
(c)脂環式エチレン性不飽和単量体:シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなど、
(d)炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート:メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなど、
(e)ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート:ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど、
(f)アミド含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど、
(g)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどの不飽和有機シラン化合物など
が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。ラジカル重合性やモノマー入手の容易さからは、メタクリル酸類、アクリル酸類、α,β−不飽和カルボン酸類、スチレン類が好ましい。また、これらのラジカル重合性モノマーは1種類のみを用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いても構わない。
ラジカル重合開始剤の添加量は、ラジカル重合性モノマーの合計量100質量部に対し0.0001質量部以上10質量部以下の範囲内とするのが好ましい。ラジカル重合開始剤の前記添加量が10質量部を超えると、ラジカル重合開始剤自体の残分がポリマー中に残ってポリマーの品質低下を招くおそれが高くなる。一方、前記添加量が0.0001質量部を下回ると、ポリマーの重合度が必要以上に高くなって高分子化しすぎたり、重合終了までの反応時間が長くなって現実の製造にそぐわなくなる。
ここで、製造例において合成したヒドロキシスチレンダイマー誘導体の構造は1H−NMR、13C−NMR(ブルカー製、AVANCE400)およびESI−TOF/MS(アプライドバイオ製、Mariner)により確認した。また、合成したポリマーの数平均分子量(=Mn)、重量平均分子量(=Mw)、分子量分布(=d(=Mw/Mn))は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ:Waters製、Alliance 2690 )を用い、ポリスチレンをスタンダードとして測定した。
4−アセトキシスチレンダイマー(既述の反応式(a)で製造:アセチル化);
[1,3-Bis(4'-acetoxyphenyl)butene]
4−ヒドロキシケイ皮酸(p−クマル酸)6.56g(40mmol)をトルエン100mlに分散し、NaOH1.6g (40mmol) を水60mlに溶解した溶液を加え一晩還流した。放冷のあと水相を中和した後に分液ロートに移し水相を分離した。得られた有機相を水洗し、MgSO4で乾燥した後に減圧下で溶媒を留去し、粗4−ヒドロキシスチレンダイマー(式(6)の中間体ダイマー)4.26gを得た。
得られた粗4−ヒドロキシスチレンダイマーをピリジン20mlに溶解し、無水酢酸4.0ml(42.3mmol)を加え室温で一晩撹拌した。砕氷を加え反応を停止した後、酢酸エチル80mlを加え分液ロートに移し、飽和KHSO4、水、飽和NaHCO3、飽和食塩水の順に洗浄した。MgSO4で乾燥した後溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油状の精製物を得た。得られた精製物を下記の通り機器分析に供したところ、4−アセトキシスチレンダイマー(式(2)のダイマー:収量4.35g、収率67%)であった。機器分析結果を下記に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ1.44 (d, 3H, J=8.0 Hz , CH3) , 2.27 (s, 3H, acetyl) ,2.28 (s, 3H, acetyl), 3.63 (m, 1H, CH) , 6.30 (dd, 1H, J=4.0 and 16.0 Hz, CH=) , 6.39 (d, 1H, J=16.0 Hz, CH=), 6.27 - 7.36 (m, 8H, Ar-H) ppm ; 13C NMR (CDCl3) ( 21.04, 21.06, 21.09, 41.84, 121.40, 121.52, 126.98, 127.66, 128.17, 135.10, 135.18, 142.91, 148.92, 149.62, 169.40, 169.55 ppm ; MS (ESI-TOF) calcd for [C20H20O4]+ 325.14, found 325.10 [M + H]+.
4−メトキシスチレンダイマー(既述の反応式(d)の応用例で製造:アルキル化);
[1,3-Bis(4'-methoxyphenyl)butene]
製造例1と同様の反応で得られた粗4−ヒドロキシスチレンダイマー1.03g(4.28mmol)をジクロロメタン50mlに溶解し、トリフェニルホスフィン3.0 g (11.4 mmol), メタノール1.0ml (24.7mmol), ジイソプロピルアゾジカルボン酸(40%トルエン溶液)6.0mlを加え室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後に、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油状の精製物を得た。得られた精製物を下記の通り機器分析に供したところ、4−メトキシスチレンダイマー(収量0.79g、収率69%)であった。機器分析結果を下記に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ1.42 (d, 3H, J=8.0 Hz , CH3), 3.57 (m, 1H, CH) , 3.79 (s, 6H, OCH3), 6.22 (dd, 1H, J=4.0 and 16.0 Hz, CH=) , 6.33 (d, 1H, J=16.0 Hz, CH=), 6.81 - 7.30 (m, 8H, Ar-H) ppm ; 13C NMR (CDCl3) ( 21.06, 21.43, 41.65, 55.28, 113.62, 113.82, 113.89, 127.20, 127.58, 127.79, 128.19, 130.43, 133.51, 137.98, 157.95, 158.76 ppm ; MS (ESI-TOF) calcd for [C18H20O2]+ 269.15, found 270.17 [M + H]+.
4−アセトキシ−3-メトキシスチレンダイマー(既述の反応式(b)で製造:アセチル化);
[1,3-Bis(4'-acetoxy-3'-methoxyphenyl)butene]
4−ヒドロキシ−3−メトキシケイ皮酸(フェルラ酸)19.42g(0.1mol)をトルエン150mlに分散し、トリエチルアミン11.7g (0.115mol) および水50mlを加え一晩還流した。放冷のあと水相を中和した後に分液ロートに移し水相を分離した。得られた有機相を水洗し、MgSO4で乾燥した後に減圧下で溶媒を留去し、粗4−ヒドロキシ−3−メトキシスチレンダイマー(式(7)の中間体ダイマー)10.16gを得た。
得られた粗4−ヒドロキシ-3-メトキシスチレンダイマーをピリジン40mlに溶解し、無水酢酸8.0ml(84.6mmol)を加え室温で一晩撹拌した。砕氷を加え反応を停止した後、酢酸エチル150mlを加え分液ロートに移し、飽和KHSO4、水、飽和NaHCO3、飽和食塩水の順に洗浄した。MgSO4で乾燥した後溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体の精製物を得た。得られた精製物を下記の通り機器分析に供したところ、4−アセトキシ−3−メトキシスチレンダイマー(式(3)のダイマー:収量10.32g、収率72%)であった。機器分析結果を下記に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ1.46 (d, 3H, J=8.0 Hz , CH3) , 2.31 (s, 3H, acetyl) ,2.31 (s, 3H, acetyl), 3.62 (m, 1H, CH) , 3.83 (s, 3H, OCH3), 3.84 (s, 3H, OCH3), 6.30 (dd, 1H, J=4.0 and 16.0 Hz, CH=) , 6.39 (d, 1H, J=16.0 Hz, CH=), 6.83 - 6.99 (m, 6H, Ar-H) ppm ; 13C NMR (CDCl3) ( 21.64, 20.68, 21.01, 42.30, 55.83, 55.84, 109.78, 111.59, 118.80, 119.34, 122.56, 122.71, 128.09, 135.12, 136.50, 138.03, 138.86, 144.33, 150.88, 151.02, 169.12, 169.25 ppm ; MS (ESI-TOF) calcd for [C22H24O6]+ 385.16, found 385.20 [M + H]+.
3,4−ジメトキシスチレンダイマーの合成(既述の反応式(d)で製造:アルキル化);
[1,3-Bis(3',4'-dimethoxyphenyl)butene]
製造例3と同様の反応で得られた粗4−ヒドロキシ-3-メトキシスチレンダイマー1.96g(6.5mmol)をジクロロメタン50mlに溶解し、トリフェニルホスフィン4.88g (18.6mmol), メタノール1.0ml (24.7mmmol), ジイソプロピルアゾジカルボン酸(40%トルエン溶液)10.0mlを加え室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後に、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油状の精製物を得た。得られた精製物を下記の通り機器分析に供したところ、3,4−ジメトキシスチレンダイマー(式(10)のダイマー収量1.49g、収率70%)であった。機器分析結果を下記に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ1.45 (d, 3H, J=8.0 Hz , CH3), 3.58 (m, 1H, CH), 3.87 (s, 3H, OCH3), 3.88 (s, 6H, OCH3), 6.23 (dd, 1H, J=4.0 and 16.0 Hz, CH=) , 6.33 (d, 1H, J=16.0 Hz, CH=), 6.79 - 6.92 (m, 6H, Ar-H) ppm ; 13C NMR (CDCl3) ( 21.30, 42.06, 55.80, 55.88, 55.92, 108.58, 110.79, 111.11, 111.20, 119.02, 119.12, 127.98, 130.68, 133.55, 138.40, 147.43, 148.38, 148.89, 148.98 ppm ; MS (ESI-TOF) calcd for [C20H24O4]+ 329.17, found 329.18 [M + H]+.
4−アセトキシ−3、5−ジメトキシスチレンダイマー(既述の反応式(c)で製造;アセチル化);
[1,3-Bis(4'-acetoxy-3',5'-dimethoxyphenyl)butene]
4−ヒドロキシー3,5−ジメトキシケイ皮酸 4.80g(21.4mmol)をエチレングリコール50mlに分散しトリエチルアミン 3.0ml (21.6mmol)を加え一晩還流した。放冷のあと中和し、水100mlを加え分液ロートに移しクロロホルム60mlで3回抽出した。得られたクロロホルム相を合わせた後に水洗しMgSO4で乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、赤色油状の粗4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシスチレンダイマー5.30gを得た。
得られた粗4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシスチレンダイマーをピリジン20mlに溶解し、無水酢酸4.0ml(42.3mmmol)を加え室温で一晩撹拌した。砕氷を加え反応を停止した後、酢酸エチル80mlを加え分液ロートに移し、飽和KHSO4、水、飽和NaHCO3、飽和食塩水の順に洗浄した。MgSO4で乾燥した後溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、無色油状の精製物を得た。得られた精製物を下記の通り機器分析に供したところ、4−アセトキシ−3,5−ジメトキシスチレンダイマー(収量2.48g、収率52%)であった。機器分析結果を下記に示す。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) δ1.47 (d, 3H, J=8.0 Hz , CH3), 2.33 (s, 3H, acetyl), 2.34 (s, 3H, acetyl), 3.62 (m, 1H, CH), 3.82 (s, 6H, OCH3), 3.83 (s, 6H, OCH3), 6.30 (dd, 1H, J=4.0 and 16.0 Hz, CH=) , 6.37 (d, 1H, J=16.0 Hz, CH=), 6.50 (s, 2H, Ar-H), 6.62 (s, 2H, Ar-H) ppm ; 13C NMR (CDCl3) ( 20.46, 20.51, 20.86, 42.77, 56.13, 56.14, 102.82, 103.96, 127.01, 127.90, 128.52, 135.07, 135.85, 143.83, 152.00, 152.12, 168.84, 169.00 ppm ; MS (ESI-TOF) calcd for [C24H28O8]+ 445.18, found 445.16 [M + H]+.
4−ヒドロキシ−3−メトキシケイ皮酸(フェルラ酸)10mmolを原料として用い、目的物の中間体となる4−ヒドロキシ−3−メトキシスチレンダイマー(中間体ダイマー、構造式:反応式(b),(d)中の式(7))が得られる溶媒の条件を検討した。フェルラ酸に対し当量(eq:10mmol)のトリエチルアミン(10mmol)を塩基触媒として用い、表1に示す条件で反応を行った。反応の終点を薄相クロマトグラフィー(TLC)で確認し、原料消失までの時間経過、および得られた4−ヒドロキシ−3−メトキシスチレンダイマーの収率をNMRで調べた。スチレン誘導体の生成率と中間体ダイマーの収率は、反応開始5時間経過時のものである。
この製造例では、塩基溶媒として、プロティックソルベントである、エチレングリコールのみ、または水のみを用いたものを、実施例1,2とし、プロティックソルベント以外のトルエンのみ、N,N−ジメチルホルムアミドのみ、ジグライムのみを用いたものを比較例1〜3とした。各例において、用いた溶媒の量はいずれも20mlであり、反応温度はいずれも100℃とした。また、反応開始から5時間後に原料のフェルラ酸がスチレン誘導体や中間体ダイマーに転換した割合を原料転換率として示した。
ここで、溶媒として、エチレングリコール(プロティックソルベント)のみ(実施例1)、またはトルエンのみ(比較例1)を用いた場合の、フェルラ酸、得られたスチレン誘導体、および中間体ダイマーの生成率の経時変化を図1に例示する。エチレングリコールを用いたものは(同図(a))、時間経過とともにフェルラ酸がスチレン誘導体および中間体ダイマーに転換されていくが、スチレン誘導体は途中から減少し、中間体ダイマーは増加を続けている。これに対し、トルエンを用いたものは(同図(b))、フェルラ酸が転換されてスチレン誘導体が増えていったが、中間体ダイマーは生成しなかった。すなわち、脱炭酸反応後の二量化反応について、プロティックソルベントが大きく関与していることが示唆される。
4−ヒドロキシ−3−メトキシケイ皮酸(フェルラ酸)10mmolを用い、目的物の中間体となる4−ヒドロキシ−3−メトキシスチレンダイマーが得られる条件を検討した。
トルエン/水混合溶媒(混合比5:3容量部)20mlを用い、各種の塩基触媒について用い、表2に示す条件で反応を行った。反応の終点を薄相クロマトグラフィー(TLC)で確認し、原料消失までに得られた4−ヒドロキシ−3−メトキシスチレンダイマー(中間体)の収率をNMRで調べた。
(実施例7〜9、比較例5)
実施例7〜9は、本発明に係る60℃でのスチレン溶液重合方法を説明するものであり、連鎖移動剤を使用しない対照例(比較例5)を含む。重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルをモノマー1molに対し0.06mol%用い、連鎖移動剤として、製造例1で得られた4−アセトキシスチレンダイマー(構造式:式(2))を用いた。各成分を20mlのシュレンクに充填し、三方コックで密閉した後、窒素気流下で凍結脱気を3回行ったものを重合に用いた。重合は窒素気流下で60℃に加熱し3時間行った。得られたポリマーの分子量および分子量分布は、重合終了後の溶液を室温まで冷却した後、テトラヒドロフラン/メタノールにより再沈殿させ、それらを濾別し、乾燥して得たポリマー粉末を用いて測定した。かかる重合反応式を次式に示す。
尚、表中に記載した転換率は重合開始後においてスチレンモノマーがポリマーに転換した割合を示している。以下の表4〜7についても同様である。
製造例2で得られた4−メトキシスチレンダイマーを連鎖移動剤として用いた以外は、実施例7〜9および比較例5と同様の条件で実施した。それらの結果を、連鎖移動剤を含まない比較例6と合わせて表4に示す。
製造例3で得られた4−アセトキシ−3−メトキシスチレンダイマー(フェルラ酸由来) を連鎖移動剤として用いた以外は、実施例7〜9と同様の条件で実施した。それらの結果を、連鎖移動剤を含まない比較例7と合わせて表5に示す。
製造例4で得られた3,4−ジメトキシスチレンダイマーを連鎖移動剤として用いた以外は、実施例7〜9および比較例5と同様の条件で実施した。それらの結果を、連鎖移動剤を含まない比較例8と合わせて表6に示す。
製造例5で得られた4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシスチレンダイマーを連鎖移動剤として用いた以外は、実施例7〜9および比較例5と同様の条件で実施した。それらの結果を、連鎖移動剤を含まない比較例9と合わせて表7に示す。
尚、実施例7〜21および比較例5〜9で得られた分子量分布を示すdの値は1.60〜1.89の範囲に収まっており異常範囲ではなかった。
CT=( 1 / Xn − 1 / Xn0 ) / ( [ T ] / [ M ] )
・・・(A)
(式(A)中、CT は連鎖移動定数、Xnは連鎖移動剤を添加した系での重合において得られるポリマーの重合度、Xn0は連鎖移動剤を添加しない系での重合において得られるポリマーの重合度、[ T ] は連鎖移動剤濃度、[ M ] はモノマー濃度である。)
具体的には、モノマーとしてスチレン を用いた場合、連鎖移動剤とスチレンの濃度比[ T ] / [ M ] を変化させた温度60℃ におけるスチレンの溶液重合において、それぞれ3時間経過後の溶液から得たポリマーをGPCで解析し、数平均分子量を決定する。数平均分子量から重合度を計算し、縦軸に1 / X n 、横軸に[ T ] / [ M ] を取ったグラフに各値をプロットすることによって得られる直線の傾きを求める。このときの直線の傾きが連鎖移動定数に相当し、この連鎖移動定数の値が大きいものほど連鎖移動効率が高く、優れた連鎖移動剤である。
これに対し、本発明により得られたヒドロキシスチレンダイマー誘導体は2つの芳香環間の直鎖に内部オレフィンを有するので、前記のα−メチルスチレンダイマーと比べるといくぶん連鎖移動効率が落ちるが、実用的にポリマーの分子量を調整できるのみならず、芳香族環の置換基に起因してポリマーに新たな成分や官能基を付加することができる。
Claims (7)
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のヒドロキシスチレンダイマー誘導体からなることを特徴とする連鎖移動剤。
- 請求項6に記載の連鎖移動剤を用いてラジカル重合性モノマーを重合させることを特徴とするラジカル重合性モノマーの重合方法。
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JP2009070127A JP5521165B2 (ja) | 2009-03-23 | 2009-03-23 | ヒドロキシスチレンダイマー誘導体、その製造方法、連鎖移動剤およびラジカル重合性モノマーの重合方法 |
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