JP2012116756A - 新規フェノール性2量体化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規フェノール性2量体化合物を有効成分として含有するリパーゼ阻害剤、抗肥満剤、皮膚疾患治療剤、体臭防止剤、チロシナーゼ基質、メラニン様物質生成促進剤及び毛髪黒化剤、食品、医薬品、医薬部外品及び化粧品の提供。
【解決手段】式(1)
Figure 2012116756

で表される新規フェノール性2量体化合物。カフェ酸とフェルラ酸を金属塩存在下で加熱処理することにより生成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、リパーゼ阻害活性を有し、さらにチロシナーゼの基質となる新規フェノール性2量体化合物及びその製造方法、前記新規フェノール性2量体化合物を含むリパーゼ阻害剤、抗肥満剤、皮膚疾患治療剤、体臭防止剤、チロシナーゼ基質、メラニン様物質生成促進剤、毛髪黒化剤、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品に関するものである。
カフェ酸とフェルラ酸は共に植物の二次代謝産物の一つであり、例えば樹木の主成分であるリグニンやリグナンの前駆体となり、天然界に比較的多く存在する成分である。カフェ酸は多くの果物の果実や果皮に含まれており、またクロロゲン酸としてコーヒー豆等に、ロズマリン酸としてシソ科の植物に前駆体の形で多く含まれている。一方、フェルラ酸は米糠やジャガイモの皮層部に多く含まれている。これらは全て食経験があり人に対する安全性も高い成分である。
カフェ酸の生理機能に関連した先行技術としては、例えば、カフェ酸を有効成分とする自律神経機能向上剤(特許文献1)、カフェ酸を有効成分とする血管内皮機能改善剤(特許文献2)、カフェ酸を有効成分とする血液流動性改善剤(特許文献3)、カフェ酸を有効成分とする大脳疲労回復剤(特許文献4)、カフェ酸を有効成分とする二次胆汁酸低下剤(特許文献5)が知られている。また、フェルラ酸の生理機能に関連した先行技術としては、例えば、フェルラ酸を有効成分とする細胞分化促進剤(特許文献6)、フェルラ酸を有効成分とする美白用皮膚外用薬(特許文献7)、フェルラ酸を有効成分とする酸化防止剤(特許文献8)、フェルラ酸とニコチン酸アミドからなる魚卵の発色助剤(特許文献9)、フェルラ酸を有効成分とする抗菌剤(特許文献10)、フェルラ酸のアルツハイマー病予防効果(非特許文献1)が知られている。さらに、カフェ酸とフェルラ酸とを併用した先行技術としては、例えば、カフェ酸とフェルラ酸からなる高血圧予防・治療剤(特許文献11)が知られている。
また、カフェ酸誘導体に関連した先行技術としては、例えば、カフェ酸アミド誘導体を有効成分とする化粧料用又は皮膚外用剤用組成物(特許文献12)、カフェ酸の糖転移物を有効成分とする抗微生物剤(特許文献13)、カフェ酸誘導体を有効成分とする神経突起伸長剤(特許文献14)、カフェ酸のセロトニンアミドやその配糖体を有効成分とする血行動態改善剤(特許文献15)、カフェオイルキナ酸を有効成分とするアルツハイマー病予防又は治療剤(特許文献16)、プロポリス中の微量成分であるカフェ酸フェネチルエステルを効率的に製造する方法(特許文献17)、桂皮酸誘導体の酵素合成法(特許文献18)、2−カフェ酸シクロヘキサエステル等のカフェ酸誘導体を有効成分とする抗がん剤(特許文献19)、カフェ酸等を原料の一つとして酵素合成により得た新規ポリフェノール化合物(特許文献20)が知られている。また、フェルラ酸誘導体に関連した先行技術としては、例えば、フェルラ酸エステル誘導体を有効成分とする紫外線吸収剤(特許文献21)、フィトステロール類のフェルラ酸エステルを有効成分とする皮膚外用薬(特許文献22)が知られている。
また、カフェ酸、フェルラ酸、それらの誘導体は、優れた有用性を示すものが多いことから、原料やリード化合物としてのこれらを効率的に製造する技術開示もなされている。カフェ酸の製造方法の例としては、コーヒー粕から製造する方法(特許文献23)、ゴボウ葉からの製造方法(特許文献24)、甘しょ焼酎蒸留粕からの製造方法(特許文献25)等が知られている。フェルラ酸の製造方法の例としては、バニリンとマロン酸の縮合反応による製造(非特許文献2)、米糠からの製造方法(特許文献26)、オイゲノールを原料とした菌体での製造法(特許文献27)、コニフェリルアルデヒドからの酵素での製造法(特許文献28)等が知られている。
以上のように、原料としての、カフェ酸、フェルラ酸及びそれらの誘導体や、これらの化合物の製造方法は多数提案されているが、カフェ酸、フェルラ酸及びそれらの誘導体を用いた更なる新規素材の開発や素材の更なる用途拡大が望まれている。
特許第4077149号公報 特開2003−261444号公報 特開2004−168749号公報 特開2007−297304号公報 特開2009−227609号公報 特開平5−310526号公報 特開平6−256137号公報 特開平9−221667号公報 特開2000−325049号公報 特開2000−247900号公報 特許第3548102号公報 特許第3934937号公報 特開2004−315386号公報 特開2007−230946号公報 国際公開第2007/032551号 国際公開第2007/091613号 特開2010−158223号公報 特開2009−207492号公報 特開2010−180167号公報 国際公開第2010/038842号 特開2003−128632号公報 特開平8−81352号公報 特開2009−201473号公報 特許第4355797号公報 特許第4336746号公報 特公平7−78032号公報 特許平9−154591号公報 特許平10−155496号公報
British Journal of Pharmacology、 133、 89−96(2001) Journal of the American Chemical Society、 74、 5346―5348(1952)
本発明者らは、前記の状況を鑑みて、新規な生理活性を有するカフェ酸、フェルラ酸の関連化合物の探索と、その製造方法を確立すべく鋭意検討した結果、驚くべきことにカフェ酸とフェルラ酸とを金属塩存在下で加熱処理することのみで、原料であるカフェ酸及びフェルラ酸には認められない優れたリパーゼ阻害活性を有し、さらにチロシナーゼの基質となりメラニン様物質に変換される新規化合物を生成させることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明は、極めて優れたリパーゼ阻害活性を有し、さらにチロシナーゼの基質となりメラニン様物質に変換される新規フェノール性2量体化合物を提供し、さらにこれを効率よく、安全に生成する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記新規フェノール性2量体化合物を有効成分として含有するリパーゼ阻害剤、抗肥満剤、皮膚疾患治療剤、体臭防止剤、チロシナーゼ基質、メラニン様物質生成促進剤、毛髪黒化剤、さらには前記式(1)で示した新規フェノール性2量体化合物を含有する食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、
〔1〕下記式(1):
Figure 2012116756
で表される新規フェノール性2量体化合物又はその薬学的に許容可能な塩、
〔2〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有するリパーゼ阻害剤、
〔3〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する抗肥満剤、
〔4〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する皮膚疾患治療剤、
〔5〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする体臭防止剤、
〔6〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群を含有することを特徴とするチロシナーゼ基質、
〔7〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするメラニン様物質生成促進剤、
〔8〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする毛髪黒化剤、
〔9〕前記〔1〕記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品、
〔10〕カフェ酸とフェルラ酸とを金属塩存在下で加熱処理することにより目的の化合物を生成させることを特徴とする、式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物の製造方法
に関する。
本発明により、前記のように生理活性に優れた新規フェノール性2量体化合物及びその製造方法を提供することができる。また、本発明により原料のカフェ酸及びフェルラ酸が持たないリパーゼ阻害活性を有する化合物を製造することができることから優れた抗肥満剤、皮膚疾患治療剤及び体臭防止剤を提供することができる。さらに、原料のカフェ酸及びフェルラ酸よりも最適なチロシナーゼの基質となることから優れたメラニン様物質生成促進剤や毛髪黒化剤を提供することができる。
本発明の新規フェノール性2量体化合物は、前記のような生理活性に優れることに加えて、安全性にも優れることから、食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品に配合することができる。
図1は、実施例1で行ったHPLCの分析結果を示す。上図が反応前、下図が反応後の結果であり、「A」が新規フェノール性2量体化合物のピークを示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の新規フェノール性2量体化合物は、式(1):
Figure 2012116756
で表される構造式を有する。
また、本発明では、前記式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物は、薬学的に許容可能な塩でもよい。薬学的に許容可能な塩としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アルミニウムヒドロキシド塩等の金属ヒドロキシド塩;アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキレンジアミン塩、シクロアルキルアミン塩、アリールアミン塩、アラルキルアミン塩、複素環式アミン塩等のアミン塩;α−アミノ酸塩、ω−アミノ酸塩等のアミノ酸塩;ペプチド塩又はそれらから誘導される第1級、第2級、第3級若しくは第4級アミン塩等が挙げられる。これらの薬理的に許容し得る塩は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明の新規フェノール性2量体化合物は、カフェ酸とフェルラ酸とを金属塩存在下で加熱処理することで生成させることができる。
前記金属塩としては、酸性塩、塩基性塩、正塩のいずれでもよく、また、単塩、複塩、錯塩のいずれでもよい。さらに、金属塩は1種類であっても、複数種類の混合物であってもよい。金属塩の例としては、食品添加物として認可されているものが安全性の面で好ましい。例えば、食品に添加することが認められているマグネシウム塩、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩等が挙げられる。
また、前記金属塩の混合物としては、例えば、ミネラルプレミックス(田辺製薬株式会社、グルコン酸亜鉛、クエン酸鉄アンモニウム、乳酸カルシウム、グルコン酸銅、リン酸マグネシウムを主成分としたミネラル混合物)のように金属塩を数種類含む物質が挙げられる。また、複数の金属塩を含む混合物として、ミネラルウォーターも挙げることができる。
本発明の新規フェノール性2量体化合物は、カフェ酸とフェルラ酸以外の原料を用いて化学合成することも可能ではあるが、その場合には反応工程が複雑であり有害な試薬や工程を必要とする。また、不純物を除去するという安全性の観点から精製を徹底する必要もあり、工業的には不向きな方法である。これに対して、前記の本発明の新規フェノール性2量体化合物の製造方法は、安価で入手できるカフェ酸とフェルラ酸の混合液を金属塩存在下で加熱処理する工程を有するものであり、有害な試薬や、危険な工程を必要としない効率的で安全な製造方法である。
本発明の新規フェノール性2量体化合物の前駆体としてカフェ酸及びフェルラ酸が必要である。これらは、天然由来のものであっても、化学合成された純度の高い化成品であっても良い。天然由来のものを用いる場合は、完全に精製されたものである必要はなく、その後の所望の反応が進み最終的に新規フェノール性2量体化合物が得られるなら、カフェ酸、フェルラ酸に加えて他の成分を含む混合物であってもよい。ただし、回収量の観点からは、カフェ酸及びフェルラ酸がそれぞれ5重量%以上含有された混合物が原料として望ましい。このような原料としては、カフェ酸では、様々な果実やジュース、濃縮果汁又は破棄されることの多い果皮の抽出物、フェルラ酸では、米糠又は食品添加物としてのフェルラ酸、あるいは先行技術に示されるような微生物発酵によるカフェ酸又はフェルラ酸含有培養液や酵素反応後のカフェ酸又はフェルラ酸含有溶液等が挙げられる。
カフェ酸及びフェルラ酸の純品、あるいはカフェ酸とフェルラ酸とを含有する混合物を、適切な溶媒に溶解させる。この際、溶媒が水のみであればカフェ酸及びフェルラ酸の溶解度が著しく低いために、水と有機溶媒の混合液や、有機溶媒のみに溶解させればよい。水と有機溶媒の配合比や、有機溶媒の種類に特に制限はなく、カフェ酸及びフェルラ酸が十分に溶解すれば良い。望ましくは、メタノールやエタノールのみか、水とメタノール、水とエタノールの混合液を使用することが、安全性やコスト面から望ましい。前記溶媒としては、最終的な精製を十分に適用せずに食品に使用する場合には、安全性や法規面からエタノールや含水エタノールが望ましい。
本発明において、金属塩を含有したカフェ酸とフェルラ酸とを混合した溶液(以下、混合溶液という)を加熱する。所望の生成反応を効率的に進ませるために、加熱温度は90℃以上が必要である。溶媒の沸点から考え、加圧加温が望ましい。開放容器に前記混合溶液を入れ高温で容器を加温する、密閉容器に前記混合溶液を入れ加温する、レトルト装置やオートクレーブを用いて加圧加温する等、少なくとも部分的に溶液温度が90℃以上に達することが必要である。回収効率面から、溶液温度が均一に90〜150℃になることが、さらに好ましい。加熱時間も加熱温度と同様に限られたものではなく、効率的に目的の反応が進行する時間条件とすればよい。特に、加熱時間は加熱温度との兼ね合いによるものであり、加熱温度に応じた加熱時間にすることが望ましい。例えば、130℃付近で加熱する場合は、5分〜300分の加熱時間が望ましい。また、加熱反応は、一度でも良いし、複数回に分けて繰り返し加熱しても良い。効率面から判断すればよい。
また、本発明では、前記混合溶液のpHは、9未満の範囲に調整することが好ましい。中でも、本発明では、前記混合溶液のpHが3.0〜6.5付近の範囲に調整することで安定して新規フェノール性2量体化合物又は薬学的に許容可能な塩を製造することができる。
前記混合溶液を加熱することにより、詳細な反応機構は明確ではないが、カフェ酸とフェルラ酸とが反応し、前記式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物を含有した混合物が得られる。安全な原料のみを用いた場合には、新規フェノール性2量体化合物を含有した混合物の状態でも使用することが可能である。例えば、天然由来のカフェ酸とフェルラ酸を含水エタノール溶媒に溶解し、ミネラルミックスやミネラルウォーターを加え、加熱反応させた場合には、新規フェノール性2量体化合物を含有した反応後の混合物を食品原料の一つとして使用することが可能である。
なお、前記加熱処理による前記式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物の生成反応の終了は、例えば、HPLCによる成分分析により前記式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物の生成量を確認して判断すればよい。
風味面での改良やさらなる高機能化を望む場合は、前記混合物から本発明の新規フェノール性2量体化合物を濃縮して濃度を高める、あるいは精製し純品を得ることができる。濃縮、精製は、公知の方法で実施可能である。例えば、クロロホルム、酢酸エチル、エタノール、メタノール等の溶媒抽出法や炭酸ガスによる超臨界抽出法等で抽出して濃縮できる。カラムクロマトグラフィーを利用して濃縮や精製を施すことも可能である。再結晶法や限外ろ過膜等の膜処理法も適用可能である。最後に減圧乾燥や凍結乾燥により溶媒除去すると、粉末状の本発明の新規フェノール性2量体化合物の純品を得ることができる。
本発明の新規フェノール性2量体化合物は、後述のように、優れたリパーゼ阻害活性を有すると共に最適なチロシナーゼ基質となる。
従来から、体の脂肪組織及び種々の臓器に異常な脂肪沈着を来し、その結果起こる肥満、あるいは血清脂質が異常に高い症状を示す高脂血症は、高血圧、動脈硬化、糖尿病等の各種生活習慣病の発症に密接に関与していることがわかっている。例えば、ヒトが食べた食事中の脂肪は、膵臓のリパーゼで分解されて小腸から体内に吸収されるため、リパーゼ阻害剤を用いて、肥満を防止したり、高脂血症状を改善することが可能とされており、その相関性も確認されている(例えば、特許第3689099号公報)。
ニキビは、皮膚常在菌が産生するリパーゼによって皮脂から生成される遊離脂肪酸が原因となる皮膚疾患であり、ニキビの原因菌としてPropionibacterium acnes(P.acnes)が知られている。現在市販されている洗顔料は、抗菌剤を含有することで皮膚常在菌の繁殖を抑え、ニキビを予防改善させるものが一般的である。しかし抗菌剤では、感染症等に対するバリア機能を有する皮膚常在菌も減少させてしまうことが問題となっている。リパーゼ阻害剤はこれらの問題を改善しつつ皮膚疾患を治療することが可能とされており、その相関性も確認されている(例えば、特許第3826698号公報)。
体臭は、皮脂や汗の成分を皮膚常在菌が産生するリパーゼが分解し、生じた低級脂肪酸が原因であることがわかっている。現在市販されている体臭防止剤は、抗菌剤を含有することで皮膚常在菌の繁殖を抑えるものが一般的である。しかし抗菌剤では、感染症に対するバリア機能を有する皮膚常在菌も減少させてしまうことが問題となっている。一方、リパーゼ阻害剤は低級脂肪酸の生成を抑えることで体臭を改善することが可能とされており、その相関性も確認されている(例えば、特開平9−187297号公報)。
白髪は老化、ストレス、遺伝によって起こる生理現象の一つであり、その原因としては、近年、色素幹細胞のDNA損傷が白髪の原因の一つになることが報告されている(Cell,137(6),1088−1099(2009))が、その他にもチロシナーゼの減少、メラニン色素の毛髪への輸送障害等様々な説が考えられている。チロシナーゼ活性促進剤やメラニン産生促進剤等のメラニン合成形成促進剤は白髪を防止することが可能とされており、その相関性も確認されている(例えば、特開平9−151130号公報、特開2005−68159号公報)。
したがって、本発明の新規フェノール性2量体化合物又は薬学的に許容可能な塩を有効成分として含有する抗肥満剤、皮膚疾患治療剤、体臭防止剤、チロシナーゼ基質、メラニン様物質生成促進剤及び毛髪黒化剤として使用することができる。また、前記抗肥満剤、皮膚疾患治療剤、体臭防止剤、チロシナーゼ基質、メラニン様物質生成促進剤及び毛髪黒化剤では、他の有効成分を含有しても良い。
また、本発明の新規フェノール性2量体化合物は、前記抗肥満剤、皮膚疾患治療剤、体臭防止剤、チロシナーゼ基質、メラニン様物質生成促進剤及び毛髪黒化剤を目的として、液状、ペースト状、ゲル状、及び固形状の食品、医薬品、医薬部外品又は、化粧品等として使用することができる。
例えば、食品の場合には、水、アルコール、澱粉質、蛋白質、繊維質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、着香料、着色料、甘味料、調味料、安定剤、防腐剤のような食品に通常配合される原料又は素材と組み合わせて、また医薬品の場合には、担体、賦形剤、希釈剤、安定剤と組み合わせて、本発明の新規フェノール性2量体化合物を使用することができる。特に、本発明の新規フェノール性2量体化合物の有する生理活性分野を考慮すると、抗肥満効果によるメタボリックシンドローム等の生活習慣病の予防、さらにはチロシナーゼ基質となる性質によるメラニン様物質の生成促進や白髪予防及び改善において用いることが好ましい。また、加齢臭や腋臭症の予防や、ニキビ治療や予防、髪の黒化を目的とした美容分野における化粧品等で用いることが望ましい。
本発明の新規フェノール性2量体化合物が持つさらなる効果効能は、得られた生理活性データより類推できる範囲で使用できる。
本発明の新規フェノール性2量体化合物を医薬用途で使用する場合、例えば、本発明の新規フェノール性2量体化合物の摂取量は、所望の改善効果、治療効果又は予防効果が得られるような量であれば特に制限されず、通常その態様、患者の年齢、性別、体質その他の条件、疾患の種類並びにその程度等に応じて適宜選択される。1日当たり約0.1mg〜1,000mg程度とするのがよく、これを1日に1〜4回に分けて摂取することができる。
本発明の新規フェノール性2量体化合物は、機能性食品、健康食品、健康志向食品等の食品に使用することができる。食品の形態としては、例えば、飲料、アルコール飲料、ゼリー、菓子等、どのような形態でもよく、例えば、菓子類の中でも、その容量等から保存や携帯に優れた、ハードキャンディ、ソフトキャンディ、グミキャンディ、タブレット等が挙げられるが、特に限定はない。
また、本発明の新規フェノール性2量体化合物を医薬品、医薬部外品又は食品として経口から投与又は摂取する場合には、常法に基づいて、錠剤、丸剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤等としてもよい。錠剤、丸剤、顆粒剤、顆粒を含有するカプセル剤の顆粒は、必要により、ショ糖等の糖類、マルチトール等の糖アルコールで糖衣を施したり、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等でコーティングを施したりすることもできる。又は胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。また、製剤の溶解性を向上させるために、公知の可溶化処理を施すこともできる。常法に基づいて、注射剤、点滴剤に配合して使用してもよい。
前記医薬部外品及び化粧品としては、ローション、乳液、クリーム、パック剤、仕上げ化粧品、頭髪用化粧品、洗顔剤、浴剤、制汗剤等が挙げられる。これらの化粧品では、リパーゼ阻害効果からニキビ治癒又は体臭防止に効果が期待され、ニキビ予防・治癒等の目的や加齢臭や腋臭症等の予防・治療目的で利用することができる。さらに、チロシナーゼ基質となる性質からメラニン様の物質の生成を促進する目的や白髪防止・改善等の目的で使用できる。
前記の医薬品、医薬部外品、化粧品又は食品は、安全性に優れたものであるので、ヒトに対してだけでなく、例えば、非ヒト動物、例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジー等の哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類等の治療剤、予防剤又は飼料に配合してもよい。
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1:新規フェノール性2量体化合物の生成)
カフェ酸(和光純薬工業(株)製)、フェルラ酸(和光純薬工業(株)製)各1gをエタノール20mLに溶解し、ミネラルウォーター(商品名「ゲロルシュタイナー」サッポロ飲料(株)製)20mLを加えた混合液(pH=4.3)をオートクレーブ(商品名「SANYO LABO AUTOCLAVE」、三洋電機(株)製)にて130℃、90分間加熱した。得られた反応後組成物1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、このうちの10μLをHPLCにより分析した。
HPLC分析は以下条件にて行った。
カラム:逆相用カラム「Develosil(登録商標)C−30−UG−5」(4.6mmi.d.×250mm)
移動相:A・・・H2O(0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)), B・・・アセトニトリル(0.1%TFA)
流速:1mL/min
注入:10μL
検出:254nm
勾配(容量%):80%A/20%Bから20%A/80%Bまで30分間、20%A/80%Bから100%Bまで5分間、100%Bで10分間(全て直線)
得られたクロマトグラムを図1に示す。上図が生成反応前の溶液、下図が生成反応後の溶液のクロマトグラムを示している。生成反応によりカフェ酸、フェルラ酸が共に減少し、増大したピークがいくつか確認されたことから、複数の化合物が生成されていることが確認された。中でも、Aのピークで示された化合物は、カフェ酸、フェルラ酸から、生成されていることが考えられる。
(実施例2:新規フェノール性2量体化合物の単離・構造決定)
実施例1で得られた反応物における図1のAで示したピークに含まれる化合物を、分取HPLCにより単離した。常法に従って、乾燥したところ、黄色粉末状の新規化合物(以下、UHA9020)が133mg得られた。
次いで、前記UHA9020の分子量を高分解能電子イオン化質量分析法(Electron Ionization−Mass Spectrometry)にて測定したところ、測定値は286.3220であり、理論値との比較から、以下の分子式を得た。
UHA9020
理論値C17H18O4(M+): 286.3224
分子式C17184
次に、前記UHA9020を核磁気共鳴(NMR)測定に供し、1H−NMR、13C−NMR及び各種2次元NMRデータの解析から、UHA9020が前記式(1)で表される構造を有することを確認した。このことから、式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物は本発明の方法で効率的に生成できることが示された。
なお、NMR測定値について、式(1)で表されるUHA9020の各部位を
Figure 2012116756
とし、1H核磁気共鳴スペクトル、13C核磁気共鳴スペクトルを表1で示す。
値はδ、ppmで、メタノール−d3で測定した値である。
Figure 2012116756
また、UHA9020の物理化学的性状は、以下のようになった。
(性状)
黄色粉末
(溶解性)
水: 不溶
メタノール: 可溶
エタノール: 可溶
DMSO: 可溶
クロロホルム: 可溶
酢酸エチル: 可溶
(実施例3:UHA9020のリパーゼ阻害作用)
UHA9020によるリパーゼ阻害作用を見るため、ラット腸由来リパーゼを用いての阻害作用試験を行った。
リパーゼは、ラット腸アセトンパウダー(シグマアルドリッチジャパン(株)製)100mgを100mMクエン酸バッファー(pH6.0)1mLに懸濁して4℃で1時間撹拌し、これを遠心分離(15000rpm、45分間、4℃)した上清を1200倍希釈したものをリパーゼ溶液として使用した。
試料は、カフェ酸、フェルラ酸、本発明品であるUHA9020、リパーゼ阻害作用が高いとされる緑茶成分のエピガロカテキンガレート(和光純薬工業(株)製)の4種類を用いた。試料調製については、各々の化合物をジメチルスルホキシド(DMSO、和光純薬工業(株)製)にて溶解し、0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、4mMに調製したものを使用した。
活性測定には「リパーゼキットS」(商品名、大日本製薬(株)製)を使用した。まず、リパーゼキットSのカタログに記載の調製法に従い発色液を調製した。発色液を70μL、エステラーゼ阻害剤を2μL、リパーゼ溶液を10μL、試料を10μL(終濃度10μM、50μM、100μM、200μM、400μM)混合した反応液を調製し、30℃で5分間プレインキュベートした後に基質溶液を8μL添加して反応を開始した。10分間の反応後、リパーゼキットSのカタログに記載の調製法に従い調製した反応停止液を150μL添加して反応を停止した。これを測定波長415nmの吸光度測定を行った。試料の溶媒であるDMSOのみを添加した反応液をポジティブコントロールとし、リパーゼ溶液の代わりに100mMクエン酸バッファー(pH6.0)10μLを添加したものをネガティブコントロールとした。これらから得られたデータを基に算出したリパーゼ阻害率と各化合物濃度の関係から、リパーゼ活性を50%阻害する濃度IC50(50%阻害濃度:half maximal inhibitory concentration)を算出した(表2)。これらの結果からUHA9020には高いリパーゼ阻害活性が認められた。この効果はカフェ酸及びフェルラ酸では認められず、エピガロカテキンガレートと比べても2倍程度高い活性を有していることからカフェ酸とフェルラ酸より本発明品である新規フェノール性2量体化合物に変換する有意性が強く示唆された。
このように、UHA9020は優れたリパーゼ阻害作用を奏することから、抗肥満剤として、さらにはメタボリックシンドローム予防剤として有用であると考えられる。また、皮膚におけるリパーゼ阻害はニキビ予防・治癒、体臭予防に有効であるから、ニキビ予防・治癒等の皮膚疾患治療剤としてや加齢臭予防や腋臭症予防等の体臭防止剤としても有用であると考えられる。
Figure 2012116756
(実施例4:UHA9020のチロシナーゼ基質としての検証)
次にUHA9020のチロシナーゼの基質としての検証を、マッシュルーム由来チロシナーゼ(シグマアルドリッチジャパン(株)製)を用いて行った。なお、実施例4及び実施例5に記載するメラニン様物質とは、これらの実施例の結果から、「メラニンを含む475nmに吸収を示す黒色色素」と定義した。
試料は、カフェ酸、フェルラ酸、本発明品であるUHA9020、一般的なチロシナーゼの基質であるL−DOPA(和光純薬工業(株)製)の4種類を用いた。試料調製については、各々の化合物をDMSOにて溶解し、8mMに調製したものを使用した。
測定は既存の活性検出法によって行なった.つまり、上記の濃度で調製した試料200μLと100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)300μLを混合した。反応液には100mMリン酸ナトリウムバッファー1300μL,試料200μL(終濃度400μM)を混合した。これを37℃で5分間加温し、同様に加温したチロシナーゼ(100mMリン酸ナトリウムバッファーで調製)を500μL(10U/mL)添加し反応を開始した。反応時間は10分間とし、反応後にメラニンの吸収波長(475nm)の吸光度を測定した。コントロールとしてチロシナーゼ溶液の代わりに100mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)100μLを添加したものをネガティブコントロールとした。これらから得られた吸光度からメラニン様物質の量を相対的に比較してチロシナーゼの基質としての評価をした(表3)。なお、基準としてはL−DOPAを基質として生成されたメラニン様物質量を1とした。また、得られたメラニン様物質は、上記のように、メラニンを測定するのに用いる吸光度で測定できることから、メラニンに類似した構造を有する物質であり、チロシナーゼの処理物であることから、メラニンと同様の作用、即ち、色素としての効果を奏する物質であると考えられる。
これらの結果からUHA9020はカフェ酸及びL−DOPAより最適なチロシナーゼ基質として認められた。このことからカフェ酸及びフェルラ酸を新規フェノール性2量体化合物UHA9020に変換する有意性が強く示唆された。
Figure 2012116756
(実施例5:B16メラノーマ細胞中のメラニン様物質量の比較)
次にUHA9020を細胞に添加することによる細胞内メラニン様物質量の変動を調べるために、B16メラノーマ細胞(「B16−F0」、DSファーマバイオメディカル(株)製)を用いて検証した。
B16メラノーマ細胞の培養には10%FBS(Foetal Bovine Serum、バイオロジカルインダストリーズ社製)を含むD−MEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium、シグマアルドリッチジャパン(株)製)を使用した。試験には細胞培養用6cmディッシュ(日本BD(株)製)を用い、4×105cells/mLとなるように細胞数を調整したB16メラノーマ細胞を5mL播種した。これを37℃、5%CO2下で48時間培養し、80%コンフルエント以上の状態で実験に使用した。
試料にはカフェ酸、フェルラ酸、本発明品であるUHA9020の3種類を使用した。試料調製については、各々の化合物をDMSOにて溶解しB16メラノーマ細胞培養液中の最終濃度がそれぞれ100μMとなるように調整し、試験を開始した。またDMSOのみを同量添加したものをコントロールとした。
細胞中のメラニン様物質の定量は既存のメラニン定量法を用いて行った。つまり、試料を添加して37℃、5%CO2下で24時間培養した細胞を回収し、1mLの平衡リン酸緩衝塩液(PBS)で再懸濁した。このうち100μLを、血球計算盤を用いて生細胞数のカウントに使用した。900μLは遠心分離でPBSを除去し、1M 水酸化ナトリウムを1mL添加し100℃で5分間加熱して細胞を溶解した。遠心分離(15,000rpm、5min、室温)した後の上清を回収し、メラニンの吸収波長である475nmの吸光度を測定した。定量には合成メラニン(シグマアルドリッチジャパン(株)製)を用いて作成した検量線にもとづいて行った。得られた生細胞数とメラニン様物質量から1細胞当りのメラニン様物質量を算出し、その相対値で比較した(表4)。なお、基準としてはコントロールであるDMSOのみ添加した細胞のメラニン様物質量を1とした。
この結果、UHA9020を添加した細胞ではコントロールに比べてメラニン様物質量が約2倍増加していた。このことから、UHA9020は細胞内に効率的に取り込まれ、チロシナーゼの基質として働いていることが推察できる。さらに顕微鏡観察(100倍)の結果、UHA9020を添加した細胞では、コントロールに比べてその黒色化が明確に進行していることから、顕著なメラニン様物質生成促進作用があることがわかる。
また、上記のようにメラニン様物質はメラニンと同様に475nmに吸収をもつ化合物であることから、メラニンと同様の黒色色素として作用できる。これは前記顕微鏡観察の結果からも明らかである。したがって、例えば、UHA9020を用いることで、白髪の原因の一つとして考えられるメラニンの生成量の減少を補うことが可能であることがわかる。
また、このメラニン様物質が増加したB16メラノーマ細胞においては、前記顕微鏡観察で確認したところ、細胞が浮遊していたり、細胞が変形しているといった顕著な細胞傷害は見られなかった。
一方、カフェ酸又はフェルラ酸を添加した細胞ではメラニン量はコントロールと比べて差は見られなかった。
したがってカフェ酸及びフェルラ酸を新規フェノール性2量体化合物UHA9020に変換する有意性が強く示唆された。
Figure 2012116756
(実施例6:加熱温度によるUHA9020の生成量の違い)
カフェ酸50mg、フェルラ酸50mg、エタノール1mL、ミネラルウォーター1mLの混合溶液(pH=4.3)を、オートクレーブにて70℃、90℃、110℃、130℃の各温度条件で20分間加熱した。それぞれの温度条件で得られた反応後組成物1mLをメタノールにて50mLにメスアップし、実施例1と同様にHPLCにより分析した。
その結果、90℃を超える条件下においてUHA9020の生成は確認できた。カフェ酸、フェルラ酸からUHA9020の生成比率は70℃で非生成、90℃で極微量、110℃で1重量%、130℃で6.6重量%であった。すなわち、130℃での加熱が最も効率的であった。
(実施例7:UHA9020含有エキスの調製)
キウィフルーツジュース濃縮物(カフェ酸含有原料)10g、フェルラ酸(食品添加物、築野ライスファインケミカル(株)製)0.5g、エタノール10mL、ミネラルウォーターを10mL加えて調製した混合溶液を、オートクレーブにて130℃、60分間加熱した。得られた反応溶液を減圧加熱させて乾固し、UHA9020含有エキスを11g得た。得られたUHA9020含有エキス11g中には、実施例1と同様の手法で確認したところUHA9020が0.06g含有されていた。必要に応じてこの作業を繰り返した。
以下、実施例1、2及び実施例6で得られたUHA9020(以下、UHA9020)及び実施例7で得られたUHA9020含有エキス(以下、UHA9020含有エキス)を配合した処方例を実施例として以下に示した。
(実施例8:UHA9020を含有する食品)
UHA9020含有エキス1gをあらかじめ100mLのエタノールに溶解させ、これに砂糖500g、水飴400gを混合溶解し、生クリーム100g、バター20g、練乳70g、乳化剤1.0gを混合した後、真空釜にて−550mmHg減圧させ、115℃の条件下で濃縮し、水分値3.0重量%のミルクハードキャンディを得た。このミルクハードキャンディは、菓子として食べ易いものであることはもちろん、肥満予防による、メタボリックシンドローム等の生活習慣病の予防を期待した機能性食品としても利用できる。
(実施例9:UHA9020を含有する医薬品)
UHA9020をエタノールに溶解し、これを微結晶セルロースに吸着させた後に、減圧乾燥させた。これを常法に従い、打錠品を得た。処方は、UHA9020 10重量部、コーンスターチ23重量部、乳糖12重量部、カルボキシメチルセルロース8重量部、微結晶セルロース32重量部、ポリビニルピロリドン4重量部、ステアリン酸マグネシウム3重量部、タルク8重量部の通りである。本打錠品は、肥満治療を目的とする医薬品として有効に利用できる。
(実施例10:UHA9020を含有する皮膚化粧品)
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット1重量部、ポリオキシエチレンステアリルエーテル0.5重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ピルビン酸0.5重量部、ステアリルアルコール0.5重量部、アボガド油1重量部、UHA9020 0.1重量部を、常法に従って溶解させ、これに、乳酸ナトリウム1重量部、プロピレングリコール5重量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部、ごく少量の香料及び精製水89.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、乳液を得た。本乳液は、ニキビ等の皮膚疾患治療や予防効果、加齢臭の予防効果や腋臭症の治療や予防効果をもつ薬用化粧品として有効に利用できる。
(実施例11:UHA9020を含有する頭髪化粧品)
95%エタノール75重量部、硬化ヒマシ油EO(40)0.5重量部、1,3−ブチレングリコール0.1重量部、UHA9020 0.1重量部を常法に従って溶解させ、これにごく少量の香料及び精製水24.3重量部を混合して頭髪化粧品を得た。本頭髪用化粧品は、白髪の改善や予防、頭皮の臭い防止効果をもつ薬用頭髪化粧品として有効に利用できる。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
    Figure 2012116756
  2. 請求項1記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有するリパーゼ阻害剤。
  3. 請求項1記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する抗肥満剤。
  4. 請求項1記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する皮膚疾患治療剤。
  5. 請求項1に記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする体臭防止剤。
  6. 請求項1に記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするチロシナーゼ基質。
  7. 請求項1に記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とするメラニン様物質生成促進剤。
  8. 請求項1に記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする毛髪黒化剤。
  9. 請求項1に記載の新規フェノール性2量体化合物及びその薬学的に許容可能な塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有することを特徴とする食品、医薬品、医薬部外品又は化粧品。
  10. カフェ酸とフェルラ酸とを金属塩存在下で加熱処理することにより目的の化合物を生成させることを特徴とする、式(1)で表される新規フェノール性2量体化合物の製造方法。
    Figure 2012116756
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