JP2010221096A - 塗装ステンレス鋼板 - Google Patents

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和美 松原
Kenichi Okubo
謙一 大久保
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丈人 原
Koji Mori
浩治 森
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Abstract

【課題】耐熱性や耐食性のある塗装ステンレス鋼板において、さらに熱反射率の高い塗装ステンレス鋼板を提供すること。
【解決手段】ステンレス鋼板と;前記ステンレス鋼板の表面に形成された塗膜であって、耐熱性樹脂とフッ素樹脂粒子とモリブデン酸亜鉛粒子からなる防錆顔料とを含む塗膜とを有する、塗装ステンレス鋼板を提供する。ここで、前記塗膜の厚さが0.5μm以上5μm以下であり、かつ前記モリブデン酸亜鉛粒子の平均粒径が前記塗膜の厚さ以下であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗装ステンレス鋼板に関し、より具体的には耐熱性と耐食性に優れた透明塗装ステンレス鋼板に関する。
従来から、ステンレス鋼板に塗装を施した塗装ステンレス鋼板の耐熱性と耐食性を上げようとする試みがなされている。塗装ステンレス鋼板の耐食性を向上させるための塗膜の例として、フッ素樹脂を含む塗膜がある。例えば、パーフルオロアルキルビニルエーテル・テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)のフィルムをステンレス鋼板にラミネートすることもあるし、さらには、耐熱性樹脂とPFA粒子との混合樹脂を含む塗膜をステンレス鋼板に形成することも報告されている(特許文献1を参照)。
一方、ステンレス鋼板の表面には不動態皮膜が存在している。不動態皮膜が存在する表面に塗装を施して塗膜を形成すると、形成された塗膜のステンレス鋼板の表面への密着性が低いことがある。そのため、ステンレス鋼板の表面を、塗装前処理として化成処理することが多い。化成処理の例には、クロメート処理のほか、クロムフリー化成処理などが含まれる。クロムフリー化成処理の例には、チタンフッ化物のアンモニウム塩などを含有する処理液を用いる手法が報告されている(特許文献2を参照)。
特開2000−218731号公報 特開2005−7771号公報
前記の通り、塗装ステンレス鋼板の耐熱性と耐食性を向上させようとする試みがなされている。ところが、塗装ステンレス鋼板の加工品は種々の用途に用いられ、特殊な環境下にて用いられることがある。例えば、食品調理器具や加熱調理器具として用いられる場合には、高温環境下での耐熱性や耐食性はもちろん、食品油などの汚れに対する非粘着性なども求められる。
さらに、食品調理器具や加熱調理器具の鋼板として用いられる場合には、熱効率の向上が求められることがある。つまり塗装ステンレス鋼板が、外部の熱源から放射された熱を、効率よく反射させることが求められる。この反射率を高めるためには、塗膜の厚さを低下させることが好ましい。ところが、塗膜の厚さを低下させると、塗装ステンレス鋼板の耐熱性と耐食性が低下することがある。
本発明は、耐熱性や耐食性のある塗装ステンレス鋼板において、さらに熱反射率の高い塗装ステンレス鋼板を提供することを課題とする。
本発明者は、塗装ステンレス鋼板における塗膜の主成分を、耐熱性樹脂とフッ素系樹脂との混合樹脂として、さらに配合する防錆顔料の成分、量および粒径などを適切に制御すると、塗装ステンレス鋼板の耐熱性と耐食性を維持しつつ、塗膜の厚さを薄くすることができることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示す塗装ステンレス鋼板に関する。
[1]ステンレス鋼板と;前記ステンレス鋼板の表面に形成された塗膜であって、耐熱性樹脂とフッ素樹脂粒子とモリブデン酸亜鉛粒子からなる防錆顔料とを含む塗膜と、を有する塗装ステンレス鋼板であって、
前記塗膜の厚さが0.5μm以上5μm以下であり、かつ前記モリブデン酸亜鉛粒子の平均粒径が、前記塗膜の厚さ以下である、塗装ステンレス鋼板。
[2]前記塗膜に含まれる耐熱性樹脂は、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルスルフィド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂を含み;前記塗膜に含まれるフッ素樹脂粒子は、平均粒径0.05μm以上1μm以下であって、パーフルオロアルキルビニルエーテル・テトラフルオロエチレン共重合体を含む、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
[3]前記塗膜の厚さは3μm以下である、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
[4]前記塗膜におけるモリブデン酸亜鉛粒子の含有量は、0.2wt%以上8wt%以下である、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
[5]前記モリブデン酸亜鉛粒子の平均粒径は、0.5μm以下である、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
[6]前記ステンレス鋼板は光輝焼鈍ステンレス鋼板である、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
[7]前記ステンレス鋼板は、フッ化水素チタン酸を含む化成処理液によりクロムフリー化成処理された光輝焼鈍ステンレス鋼板である、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
[8]食品調理器または加熱調理器用のプレコート鋼板である、[1]に記載の塗装ステンレス鋼板。
本発明により提供される塗装ステンレス鋼板は、耐熱性と耐食性を有し、かつ熱反射率が高い。よって特に、加熱調理器具などに適用されることが好ましい。
本発明の塗装ステンレス鋼板は、ステンレス鋼板と、その表面に形成された塗膜を有する。
[ステンレス鋼板]
ステンレス鋼板は、特に限定されず、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系の他、複相組織を有するステンレス鋼板などでもよい。ステンレス鋼は、JISGO203:2000の番号4201に記載されるように、Cr含有量が10.5質量%以上の鋼であることが好ましい。Cr含有量の上限は、約30質量%とすることが好ましい。既存の規格鋼種として、JISG4305:2005に規定されるオーステナイト系、フェライト系等の鋼種が挙げられる。
オーステナイト系のステンレス鋼板の成分組成(質量%)は、C:0.12%以下、Si:4%以下(好ましくは1%以下)、Mn:5%以下(好ましくは2%以下)、P:0.045%以下、S:0.03%以下、Ni:6〜28%(好ましくは8〜14%)、Cr:15〜26%(好ましくは16〜26%)、N:0.3%以下、Mo:0〜7%(好ましくは0〜3%)、Cu:0〜4%(とくに0〜2%)、Ti+Nb+Zrの合計:0〜0.8%、B:0〜0.1%、残部が実質的にFeでありうる。
フェライト系のステンレス鋼板の成分組成(質量%)は、C:0.12%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、P:0.04%以下、S:0.03%以下、Cr:10.5〜30%(好ましくは11〜20%)、Mo:0〜3%、Cu:0〜1%、Ti+Nb+Zrの合計:0〜0.8%、B:0〜0.1%、残部が実質的にFeでありうる。
上記成分組成において、含有量の下限が0%とは、任意選択元素であることを意味し、無添加とすることができ、不可避的な不純物レべルの含有量とすることができる。「残部が実質的にFe」とは、本発明の効果を阻害しない限り、上記以外の元素の混入が許容できることを意味する。例えば、V:1質量%以下、Ca:0.1質量%以下、Mg:0.1質量%以下、Y:0.1質量%以下、REM(希土類元素):0.1質量%以下の混入が許容される。フェライト系の場合はNi:0.6質量%まで許容される。「残部が実質的にFe」には「残部が、Feと不可避的な不純物とからなる」場合が含まれる。
本発明の塗装ステンレス鋼板におけるステンレス鋼板は、BA仕上げ(光輝焼鈍)されていることが好ましい。BA仕上げステンレス鋼板の表面肌は意匠性に優れるからである。ただし、必ずしも鏡面光沢を有するものである必要はない。光輝焼鈍(BA仕上げ)の条件は、例えば、雰囲気:70〜100体積%H+30〜0体積%N、露点:−45〜−70℃、焼鈍温度:850〜1100℃である。また、ステンレス鋼板は、BA仕上げに加えて、酸洗仕上げ(2D)、酸洗スキンパス仕上げ(2B)、研磨仕上げ(No.4、HL)などが施されていてもよい。
BA仕上げステンレス鋼板は、塗膜を焼付けるときの(本発明の耐熱非粘着塗膜焼付け温度は約400℃である)テンパーカラーの発生が抑制される。テンパーカラーとは、ステンレスの表面が酸化して着色する現象である。光輝焼鈍(BA)材の不動態皮膜は、Fe、CrのほかにSi、Alリッチであるので、ロット間での色ブレが小さく;かつSi、Alリッチ不動態皮膜は400℃に加熱されても成長しにくいので、テンパーカラーが発生しにくい。
一方、酸洗仕上げや研磨仕上げされた、光輝焼鈍(BA)材でないステンレスの表面の不動態皮膜は、Fe、Crリッチであって黄味があり;かつFe、Crリッチ不動態皮膜は400℃に加熱されると成長しやすいため、ロット間での色ブレが発生しやすく(不動態皮膜の厚みでSUS表面の色調が変動しやすいため)、テンパーカラーも発生しやすい。テンパーカラーの発生を抑制することで、所望の仕上がりとすることができる。
このように本発明の塗装ステンレス鋼板の鋼板は、BA仕上げステンレス鋼板であることが好ましく、さらにその表面を化成処理された鋼板であることが好ましい。密着性のよい塗膜を形成するためである。化成処理は、環境汚染の低減などを考慮すると、クロムフリー化成処理であることが好ましい。クロムフリー化成処理の例には、前述の引用文献1に記載された通り、チタンフッ化物のアンモニウム塩を含むクロムフリー化成処理液による処理が含まれる。
ところが、BA仕上げステンレス鋼板に、クロムフリー化成処理を施しても、密着性のよい塗膜を形成することが困難な場合があった。例えば、BA仕上げステンレス鋼板に、前述の特許文献1に記載のクロムフリー化成処理を施して、塗膜を形成しても、塗膜密着性が不十分であった。
この塗膜密着性の不足の原因は、BA仕上げステンレス鋼板の不動態皮膜にSi、Alが濃化して含まれ、クロムフリー処理液ではBA仕上げ不動態皮膜を十分にエッチングできないためであると考えられた。そこで本発明者は、クロムフリー化成処理液のエッチング性を高めることを検討し、チタンフッ化物のアンモニウム塩ではなく、フッ化水素チタン酸をTi源とするクロムフリー化成処理液として、エッチング性を高めることを検討した。
その結果、本発明者はエッチング性の強い化成処理液を用いると、1)処理されたBA仕上げ不動態皮膜における、化成処理液に由来する成分(例えばTi)の濃度を高めることができること、2)最表層から内層に向かうにしたがって、化成処理液に由来する成分(例えばTi)の濃度が傾斜的に減少していくこと、いわゆる「傾斜機能」が付与されていることを見出した。この傾斜機能が、塗膜との密着性を向上させていると推察されるが、そのメカニズムは特に限定されない。
さらに検討を進めた結果、クロムフリー化成処理液のpHを1.7以下にすることが好ましく、1.5程度に低下させるとより好ましいことを見出した。好ましい化成処理液の例として、フッ化水素チタン酸を5〜15g/L、有機酸を5〜14g/L含有し、pHを1.7以下(好ましくは1.5±0.2)に調整した水溶液が挙げられる。
バルブメタルとしてはTiが含まれていればよく、Zrその他のバルブメタルはあってもなくてもよい。有機酸としては例えばタンニン酸が挙げられる。フッ化水素チタン酸と有機酸以外の成分として、SiO成分をゾルとして含んでいても構わない。ただし、BA仕上げ不動態皮膜中には本来シリコン酸化物が濃化しているので、化成処理液中にSiO成分はなくてもよい。すなわち本発明では、フッ化水素チタン酸を5〜15g/L、有機酸として例えばタンニン酸を5〜14g/L含有し、pHが1.7以下(好ましくは1.5±0.2)に調整され、残部は水で構成される、シンプルな組成のクロムフリー化成処理液を使用することができる。
上述のクロムフリー化成処理液を用いて仕上げステンレス鋼板の表面を、例えば、以下のようにして化成処理することができる。BA仕上げステンレス鋼板の被処理面を、通常の方法で脱脂した後、その表面に上述のクロムフリー化成処理液を一般的な手法にて塗布する。ただし、BA仕上げ不動態皮膜の全部をエッチングして改質する必要はなく、少なくとも最表層を改質すればよい。したがって、過剰な塗布量とならないように調整することが望ましい。例えば、pH1.5に調整した化成処理液の場合、フッ化水素チタン酸中のTi換算塗布量を、0.5〜40mg/mとすればよい。塗布後に鋼板を大気中で乾燥させることにより、BA仕上げ不動態皮膜を好ましく改質することができる。乾燥温度は50〜200℃とすればよい。
[塗膜]
本発明の塗装ステンレス鋼板における塗膜はクリア塗膜であることが好ましく、耐熱性樹脂と、フッ素樹脂粒子と、防錆顔料とを含むことを特徴とする。
耐熱性樹脂は、塗膜のマトリックスとなる樹脂である。耐熱性樹脂の例には、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルスルフィド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが含まれるが、好ましくはポリエーテルスルホン樹脂である。
フッ素樹脂粒子とは、好ましくはパーフルオロアルキルビニルエーテル・テトラフルオロエチレン共重合体の粒子である。パーフルオロアルキルビニルエーテル・テトラフルオロエチレン共重合体の粒子は、懸濁重合法や、乳化重合法などで製造されうるが、好ましくは乳化重合法で製造される。乳化重合法によれば、平均粒径を小さく(例えば、0.05〜1μm)することができる。
フッ素樹脂粒子は、塗膜において外層側に偏在していることが好ましい。フッ素樹脂粒子が外層側に偏在していると、フッ素原子の効果によって、塗装ステンレス鋼板の非粘着性が高まるからである。さらに、外層側に偏在するフッ素樹脂粒子が小さいと、粒子が最密充填に近い状態で配置されるので、より塗装ステンレス鋼板の非粘着性が高まり、かつその耐久性も高まりうる。
耐熱性樹脂とフッ素樹脂粒子との含有量比は、塗膜に求められる非粘着耐久性、塗膜硬度、塗装のしやすさなどとのバランスによって設定されることが好ましい。つまり、フッ素樹脂粒子の比率を高めれば非粘着耐久性が向上するものの、塗料中の溶解成分である耐熱性樹脂の比率が減少するため、塗料のロールコート適性が低下し、硬度低下に起因した塗膜疵も発生し易くなる。そこで、例えば耐熱性樹脂とフッ素樹脂量比との配合比を、好ましくは40:60〜80:20(更に好ましくは50:50〜70:30)に設定する。
防錆顔料は、モリブデン酸金属塩であることが好ましく、モリブデン酸亜鉛(ZnMoO4)であることがより好ましい。また、モリブデン酸金属塩は塩基性であることが好ましい。例えば、塩基性モリブデン酸亜鉛とは、モリブデン酸亜鉛の単位を「ZnO」と「MoO」とに分けたときに、「MoO/ZnO(モル比)」が1未満であるモリブデン酸塩をいう。つまり、「ZnO」の割合が多いモリブデン酸亜鉛を、塩基性モリブデン酸塩と称する。
モリブデン酸金属塩からなる防錆顔料は、粒子(粒状)であることが好ましく、その平均粒径は、塗装ステンレス鋼板の塗膜の厚さよりも小さいことが好ましい。塗膜の厚さよりも大きい平均粒径の顔料は、塗膜の外観(美観)を損ねるからである。したがって防錆顔料の平均粒径は、0.5μm以下であればよい。
塗膜における防錆顔料(モリブデン酸亜鉛)の含有量は、0.2wt%以上であることが好ましく、0.5wt%以上であることがより好ましい。耐食性を得るためである。防錆顔料(モリブデン酸亜鉛)の含有量が多ければ、耐食性は向上するが、過剰量であると、外観(美観)が損なわれることがあるので、通常は8wt%以下であり、好ましくは5wt%以下である。
塗装ステンレス鋼板における塗膜の厚さは、耐熱性と耐食性、および熱反射率に影響する。つまり、耐熱性や耐食性を高めるには、通常塗膜の厚さを高めればよい。一方、塗膜の厚さが高まると、熱反射率が低下する。よって例えば、加熱調理器のグリル皿のための塗装鋼板とする場合には、塗膜厚さを薄くすることが求められる。
前記の通り、本発明の塗装ステンレス鋼板における塗膜には、防錆顔料として作用するモリブデン酸金属塩が含まれており、耐食性に優れている。そのため、塗膜を薄くすることができ、例えば5μm以下にすることができ、3μm以下にすることもできる。塗膜の厚さが5μmを超えると、塗膜が白化することがある。また、耐食性を確保するため、塗膜の厚さは0.5μm以上であることが好ましい。
塗膜は、ステンレス鋼板の表面に塗料をロールコート法などで塗布し、それを焼き付けて形成すればよい。塗料に含まれるフッ素樹脂粒子が溶解していない場合には、ロールコート法のなかでもトップフィードフルリバース方式のロールコート法が好ましい。焼き付け温度は、塗料に含まれる樹脂(耐熱性樹脂およびフッ素樹脂粒子)のいずれの融点よりも高い温度とすることが好ましい。
本発明の塗装ステンレス鋼板は高い耐熱性および非粘着耐久性を有しつつ、かつクリア塗膜の塗膜が薄いことを特徴とする。非粘着性とは、付着性の強い粘着物に対しても離型しやすく、付着しないか、または付着しにくい性質を言う。付着性の強い粘着物には、例えば油や調味料などの食品汚れが含まれ、したがって本発明の塗装ステンレス鋼板は、加熱調理器や食品調理器の鋼板として用いられることができる。
本発明の塗装ステンレス鋼板の塗膜はクリア塗膜であり、かつその塗膜が薄いので、熱の反射率が高い。よって本発明の塗装ステンレス鋼板は、加熱調理器のグリル皿の塗装鋼板として用いることができる。
また本発明の塗装ステンレス鋼板は、プレコート鋼板として用いられることができ、加工性が高い。
[実施例1〜6]
市販のSUS430BA仕上げ鋼板(板厚0.5mm)を準備した。一方、化成処理液として、フッ化水素チタン酸を10g/L、タンニン酸を10g/L含有し、pHが1.5に調整され、残部が水で構成される組成のクロムフリー化成処理液を用意した。
SUS430BA仕上げ鋼板の片面に、通常の脱脂を行った後、上記の化成処理液をフッ化水素チタン酸中のTi換算塗布量10mg/mとなるように、ロールコーター法にて塗布した。その後、その鋼板を大気中150℃の炉に装入して、30秒間保持することにより化成処理液を乾燥させた。
ポリエーテルスルホン樹脂70質量部と、パーフルオロアルキルビニルエーテル・テトラフルオロエチレン共重合体の乳化重合粒子30質量部と、防錆顔料と、溶媒としてn−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、キシレンの混合溶媒(4:4:2)とを含む塗料を準備した。防錆顔料は、塩基性モリブデン酸亜鉛として、表1に示す配合量(樹脂成分の総重量に対するwt%)で添加した。
得られた塗料を、前述した化成処理したSUS430BA仕上げ鋼板に、ロールコートで塗布して、400℃で焼き付けて塗膜を形成し、塗装ステンレス鋼板を得た。焼付け後の塗膜の厚さは、表1に示す通り0.5〜5μmの範囲とした。
[比較例1〜4]
防錆顔料の種類および量、ならびに塗膜の厚さを、表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例と同様にして塗装ステンレス鋼板を得た。
実施例および比較例のそれぞれで得られた塗装ステンレス鋼板について、その外観を目視評価した。
(塗装外観評価基準)
◎ 防錆顔料未配合クリア塗膜と同等の下地金属素地感を有する
○ 塗膜に僅かな濁りはあるものの下地金属素地感をはっきりと確認できる
△ 塗膜の濁りが白化のかたちで確認され、下地金属素地感を確認しにくい
× 塗膜の白化が著しく、下地金属素地感が確認できない
さらに、各塗装ステンレス鋼板について耐食性を評価した。耐食性は、塩水噴霧試験(SST試験、JIS Z2371)に基づく、360時間耐久後の状態で評価した。SST試験前にサンプル平坦部にカッターでクロスカットを入れ、試験後の本部位における塗膜ウキの状態、赤錆発生状況について、評価した。
(耐食性評価基準)
◎ 塗膜ウキ、赤錆発生なし
○ 若干の塗膜ウキが発生、赤錆発生なし
△ 塗膜ウキが発生、塗膜の浮いた下地金属露出部分で赤錆発生
× クロスカット部全面で塗膜ウキ(めくれ)が発生、同部位で赤錆発生
Figure 2010221096
表1に示されたように、実施例1〜6ではいずれも一定以上の耐食性が得られている。これに対して、比較例1〜4では必要な耐食性が得られていない。このように、モリブデン酸金属塩が顕著に耐食性を抑制していることがわかる。
また、実施例1〜5のサンプルの塗膜外観は、下地金属素地感が確認され、いずれも良好であった。実施例6において塗膜外観が悪化したのは、防錆顔料の配合量が多いため、塗膜の白化が生じたからであると推察される。一方、比較例1〜3では塗膜外観は良好であったものの、実施例とは異なる防錆顔料を使用しているため耐食性が劣っていた。さらに比較例4では、白化が著しく下地金属素地感も確認できず、塗膜外観も悪かった。
[実施例7〜9]
防錆顔料として塩基性モリブデン酸亜鉛を用いて、かつその配合量を1wt%として、実施例1〜6と同様に塗装ステンレス鋼板を得た。焼付け後の塗膜の厚さを3μm(実施例7)、2μm(実施例8)、1μm(実施例9)とした。得られた塗装ステンレス鋼板の熱放射率および反射率を、熱放射計(D and S AERD放射率計、京都電子工業株式会社製)を用いて測定した。
[比較例5]
市販の電子レンジのグリル皿(黒色ホーロー釉薬仕上げ)の放射率を、実施例7〜9と同様にして測定した。
Figure 2010221096
表2に示されたように、実施例7〜9のいずれの場合も、比較例5と比較して反射率が高い。つまり外部から放射された熱を効率よく反射させて、塗装ステンレス鋼板に置かれた部材を効率よく加熱することができる。さらに、膜厚が薄くなるほど、反射率が高まることがわかる。前述の実施例1〜6から示されるように、本発明の塗装ステンレス鋼板は、塗膜の厚さが薄くても十分な耐食性を有するので、熱反射性と耐食性とを両立させることができる。
本発明により提供される塗装ステンレス鋼板は、耐熱性と耐食性を有し、かつ熱反射率が高い。よって特に、加熱調理器具、さらに好ましくはロースター(魚焼き器)内下部に設置される汁受け皿、グリル皿などに適用される。

Claims (8)

  1. ステンレス鋼板と、
    前記ステンレス鋼板の表面に形成された塗膜であって、耐熱性樹脂とフッ素樹脂粒子とモリブデン酸亜鉛粒子からなる防錆顔料とを含む塗膜と、を有する塗装ステンレス鋼板であって、
    前記塗膜の厚さが0.5μm以上5μm以下であり、かつ前記モリブデン酸亜鉛粒子の平均粒径が、前記塗膜の厚さ以下である、塗装ステンレス鋼板。
  2. 前記塗膜に含まれる耐熱性樹脂は、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニルスルフィド樹脂、またはポリアミドイミド樹脂を含み、
    前記塗膜に含まれるフッ素樹脂粒子は、平均粒径0.05μm以上1μm以下であって、パーフルオロアルキルビニルエーテル・テトラフルオロエチレン共重合体を含む、
    請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
  3. 前記塗膜の厚さは3μm以下である、請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
  4. 前記塗膜におけるモリブデン酸亜鉛粒子の含有量は、0.2wt%以上8wt%以下である、請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
  5. 前記モリブデン酸亜鉛粒子の平均粒径は、0.5μm以下である、請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
  6. 前記ステンレス鋼板は光輝焼鈍ステンレス鋼板である、請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
  7. 前記ステンレス鋼板は、フッ化水素チタン酸を含む化成処理液によりクロムフリー化成処理された光輝焼鈍ステンレス鋼板である、請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
  8. 食品調理器または加熱調理器用のプレコート鋼板である、請求項1に記載の塗装ステンレス鋼板。
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