JP2010219290A - 熱伝導性複合シート及びその製造方法 - Google Patents

熱伝導性複合シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導性とリワーク性及び強度をともに向上させ、かつ簡便に製造できる熱伝導性複合シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層、
(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層、並びに
(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シート
の順に積層した3層構造を持つ熱伝導性複合シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、発熱性電子部品等の放熱シートとして用いられる熱伝導性複合シート及びその製造方法に関する。
テレビ、コンピュータ、通信装置等の電子機器の小型化により、これらに搭載される回路の集積度が増大している。そして、この集積回路に実装される電子部品、特にCPU等のICパッケージは発熱によって性能が低下するため、放熱対策として、金属板等からなり、ICパッケージ等の熱を伝導して外部に放出するヒートシンクが用いられている。
更に、ICパッケージとヒートシンクの間の熱伝導効率を高めるべく、両者の間に熱伝導性の良いグリース、シリコーンゴムシート等を介装することが従来から行われている。ところが、熱伝導性グリースは部品の汚染やオイルのブリード(分離)の他、粘度が上昇して被着面と強固に密着し、リワーク(電子部品の修理、交換等のためヒートシンク等の熱伝導性部材を取り外すこと)時に電子部品がヒートシンクと一緒に外れる等の欠点があった。また、熱伝導性シリコーンゴムシートの場合でも、硬度が低いとリワーク性が低下したり、電子機器へのマウントが難しくなったりする欠点があった。
このようなことから、熱軟化性の樹脂シートにより、電子部品との追随性を向上させて放熱性能を高める技術が報告されている(例えば、特開2002−329989号公報:特許文献1参照)。
また、シートの厚み方向だけでなく、面方向への熱伝導性を向上させて放熱性能を更に高める方策として、面方向への熱伝導性が良いグラファイトシートを用いた技術が報告されている(例えば、特公平3−51302号公報、特開2003−158392号公報、特開2004−311577号公報:特許文献2〜4参照)。
しかしながら、上記特許文献1記載の技術の場合、樹脂シート表面が熱軟化性のため、リワーク性が不十分である。また、上記特許文献2記載の技術の場合、面方向の熱伝導性は改善されるものの、グラファイト層にゴム成分もしくは熱軟化性樹脂を塗工し、この層によって電子部品への密着を付与しているため、塗工工程に非常に手間がかかり、更にリワーク性も十分とはいえない。一方、上記した各種の問題、つまり、シートの面方向の熱伝導性や電子部品とのリワーク性を同時に改善しようとして複数のシートを徒に積層すると、シートの厚み方向の熱伝導性が大幅に低下して放熱性能も劣化する。リワーク性と熱伝導性を確保するため、グラファイトシートを単体で用いることも可能ではあるが、この場合、グラファイトシートは柔らかく、傷がつきやすいため、取り付け作業時や使用時に破れる場合があった。
グラファイトシートの強度補強のため、グラファイトシートと粘着テープとを張り合わせると、粘着テープ層の熱伝導率が低いため、厚み方向への熱伝導が顕著に悪化する。また、グラファイトシートの片面に熱伝導性のグリースや接着剤を塗布し、更に高強度の金属シートを張り合わせる場合もあるが、グリースを使用した場合、グリースからのオイルの滲み出しやグリース自身が温度サイクルにより系外に流出するポンピングアウト現象が避けられず、周辺環境の汚染や、熱伝導性能が低下する。接着剤を使用する場合でも、接着剤を硬化するプロセスが必要となり、コスト的に不利である。従って、単純に従来の放熱材料単体や複合品では、放熱性能、高強度、低コストをともに満足するものは得られない。
特開2002−329989号公報 特公平3−51302号公報 特開2003−158392号公報 特開2004−311577号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、熱伝導性とリワーク性及び強度をともに向上させ、かつ簡便に製造できる熱伝導性複合シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層と、(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層と、(c)高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートからなる3層構造を持つ熱伝導性複合シートにより、熱伝導性とリワーク性、強度、低コスト性をともに向上させることに成功した。
即ち、上記熱伝導性複合シートは、外層側にリワーク性に優れた熱伝導層が存在し、その熱は熱軟化性熱伝導性シート層を介して反対側の熱伝導層から効率よく放熱されるので、熱伝導性、放熱性及びリワーク性をともに満足できることを知見した。
更に、上記(a)〜(c)層を、この順に積層した状態で、室温圧着もしくは熱圧着することで、簡便に該熱伝導性複合シートを製造できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示す熱伝導性複合シート及びその製造方法を提供する。
〔請求項1〕
(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層、
(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層、並びに
(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シート
の順に積層した3層構造を持つ熱伝導性複合シート。
〔請求項2〕
前記(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層が、グラファイトシートである請求項1記載の熱伝導性複合シート。
〔請求項3〕
前記(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層において、熱軟化性を有する樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導性複合シート。
〔請求項4〕
前記(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートが、アルミニウムシート又は銅シートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性複合シート。
〔請求項5〕
(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層、(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層、並びに(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートをこの順に積層した状態で、室温圧着もしくは熱圧着することを特徴とする熱伝導性複合シートの製造方法。
〔請求項6〕
前記(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層が、グラファイトシートである請求項5記載の熱伝導性複合シートの製造方法。
〔請求項7〕
前記(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層において、熱軟化性を有する樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項5又は6に記載の熱伝導性複合シートの製造方法。
〔請求項8〕
前記(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートが、アルミニウムシート又は銅シートである請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性複合シートの製造方法。
本発明の熱伝導性複合シートは、熱伝導性とリワーク性に共に優れており、発熱性電子部品等の放熱、冷却のために用いられる放熱構造体用として好適なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層
この層は、本発明に係る熱伝導性複合シートの片側の外層にあって、発熱対象物もしくは放熱対象物(電子部品等)に接触し、自身に伝達された熱を面方向に拡散する。熱伝導層の面方向の熱伝導率を20〜2,000W/(m・K)、好ましくは100〜2,000W/(m・K)とすることで、面方向への熱拡散が速やかに行われる。面方向の熱伝導率が20W/(m・K)未満であると、面方向の熱伝導性が十分でなく、熱伝導性複合シートの熱伝導性が十分でなくなる。なお、本発明において、熱伝導率は、京都電子工業株式会社製のホットディスク熱物性測定装置により測定できる(以下、同じ)。
熱伝導層としては、特にグラファイトシートが適している。熱伝導層に用いることができる、市販されているグラファイトシートとしては、MACFOIL(ジャパンマテックス株式会社製;商品名)、PGSグラファイトシート(松下電器産業株式会社製;商品名)が挙げられる。
また、熱伝導層の厚みは、3〜200μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5〜75μmの範囲とされる。3μm未満では、強度が不足する場合があり、200μmを超えると熱伝導性複合シートの柔軟性が損なわれるので電子部品との密着性が損なわれるおそれがある。また、熱伝導性複合シートの総厚みが厚くなることにより、厚さ方向の熱伝導性が損なわれるおそれがある。
(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層
この層は、熱軟化性を有する樹脂マトリックス中に熱伝導性充填剤が分散されて構成されるものである。また、この層は、本発明に係る熱伝導性複合シートの中間層をなし、その粘着性により外層同士をつなぎ合わせる機能を有するとともに、熱伝導性充填剤により良好な熱伝導性を確保してシート全体の熱伝導性も向上させるものである。
ここで、熱軟化性とは、熱により低粘度化、熱軟化又は融解することをいい、低粘度化、熱軟化、又は融解して表面が流動化するものを「熱軟化性」を有するものとすることができる。
電子部品の動作等の発熱により、熱軟化性熱伝導性シート層が固体状から液体又は流動性体や半流動性体へと相変化又は熱軟化することで、外層と良好に密着し、またその粘着性によって外層同士を良好につなぎ合わせる。これにより、熱伝導性複合シート全体の熱伝導性能が向上する。
熱軟化性を有する樹脂マトリックスとしては、相転移部材又は熱軟化材が挙げられ、例えばパラフィンワックス、α−オレフィン、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂が使用される。これら熱軟化性を有する樹脂マトリックスは、DSCにより測定される相変化又は熱軟化に伴う熱吸収ピークが35〜120℃、特に40〜100℃と、電子部品の動作温度範囲となることが好ましい。また、信頼性及び耐ポンピングアウト性の観点から、特にシリコーン樹脂が推奨される。
シリコーン樹脂としては、粘着性を有し、熱軟化性のものであれば特にその種類は制限されない。
成分の具体例としては、下記の通り、2官能性構造単位(D単位)及び3官能性構造単位(T単位)を特定組成で有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
mφ pVi n
(ここで、Dはジメチルシロキサン単位(即ち、(CH32SiO)を、Tφはフェニルシロキサン単位(即ち、(C65)SiO3/2)、DViはメチルビニルシロキサン単位(即ち、(CH3)(CH2=CH)SiO)を表し、(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0である。)
また、例えば、1官能性構造単位(M単位)、2官能性構造単位(D単位)及び3官能性構造単位(T単位)を特定組成で有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
Lmφ pVi n
(ここで、Mはトリメチルシロキサン単位(即ち、(CH33SiO1/2)を表し、D、Tφ及びDViは上記の通りであり、(m+n)/p(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、L/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1である。)
更に、例えば、1官能性構造単位(M単位)、2官能性構造単位(D単位)及び4官能性構造単位(Q単位)を特定組成で有するシリコーン樹脂を挙げることができる。
LmqVi n
(ここで、QはSiO4/2を表し、M、D及びDViは上記の通りであり、(m+n)/q(モル比)=0.25〜4.0、(m+n)/m(モル比)=1.0〜4.0、L/(m+n)(モル比)=0.001〜0.1である。)
上記式で表される組成物であれば粘着性が発現される。
熱伝導性充填剤としては、金属粉末、金属酸化物粉末、セラミック粉末等が用いられ、具体的には、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、ニッケル粉末、金粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化鉄粉末、酸化チタン粉末、酸化ジルコニウム粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、窒化珪素粉末、ダイヤモンド粉末、カーボン粉末、フラーレン粉末、カーボングラファイト粉末などが挙げられるが、一般に熱伝導性充填剤とされる物質であれば如何なる充填剤でもよく、これらは1種類単独であるいは2種類以上混ぜ合わせてもよい。
これら熱伝導性充填剤は、平均粒径が0.1〜100μm、望ましくは0.5〜50μmのものを用いることができる。0.1μm未満であると熱軟化性熱伝導性シートの圧着時の粘性が高くなり、外層との間隙が大きくなり、これにより熱抵抗が高くなり、十分な熱伝導性能を発現することが難しくなることがある。100μmを超える場合においては、熱軟化性熱伝導性シートの圧着時の粘性は低下するものの、外層同士の間隙が100μm以下に低減することができず、やはり熱抵抗が高くなり、十分な熱伝導性能を発現することが難しくなることがある。従って、平均粒径は、上記0.1〜100μmの範囲が良好とされ、更には0.5〜50μmのものが流動性と熱伝導性の両立には望ましいものとなる。
これら熱伝導性充填剤は1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。また、平均粒径の異なる粒子を2種以上用いることも可能である。なお、本発明において、平均粒径は体積平均粒径であり、マイクロトラック粒度分布測定装置MT3300EX(日機装株式会社製)による測定値である。
熱伝導性充填剤の含有割合は、例えば、熱軟化性熱伝導性シート層全体に対し、60〜97質量%とすることができ、好ましくは75〜95質量%とすることができる。熱伝導性充填剤の含有量が少ないと、熱軟化性熱伝導性シート層の熱伝導性が低下する場合があり、含有量が多いと、均一な熱軟化性熱伝導性シート層が得られないことがある。
上記熱軟化性熱伝導性シート層として用いることができる、市販されている熱軟化性熱伝導性シートとしては、PCS−TC−10、PCS−TC−11、PCS−TC−20(いずれも信越化学工業株式会社製;商品名)が挙げられる。
熱軟化性熱伝導性シート層の厚みは、30〜300μmの範囲が好ましく、より好ましくは60〜200μmの範囲である。熱軟化性熱伝導性シート層が薄すぎると(a)と(c)との(b)を介した接着が弱くなり、剥離が発生する場合があり、厚すぎると熱伝導性複合シートの熱伝導特性が悪化する場合がある。
(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シート
この層は、本発明に係る熱伝導性複合シートの片側の外層にあって、発熱対象物もしくは放熱対象物(電子部品等)に接触し、その熱を伝導するものであり、リワーク性を付与するとともに、該熱伝導性複合シートの形状安定性を高め、シート製造時の生産性、シート設置時の作業性及びシート使用時の信頼性を確保する。
この金属シートは、熱伝導率が20〜500W/(m・K)のものであり、好ましくは50〜500W/(m・K)のものである。熱伝導率が低すぎると熱伝導性複合シートの熱伝導性能が悪化する。
上記金属シートは、(a)熱伝導層よりも高強度のものであり、具体的には、アルミニウムシート、銅シート、ステンレススチールシート、タングステンシート、金シートなどが好適であるが、コスト的に安いアルミニウムシート、銅シートがより好ましい。
また、金属シートの厚みは、3〜200μmの範囲のものが好ましく、より好ましくは5〜75μmの範囲とされる。3μm未満では、強度が不足する場合があり、200μmを超えると熱伝導性複合シートの柔軟性が損なわれるので電子部品との密着性が損なわれるおそれがある。また、熱伝導性複合シートの総厚みが厚くなることにより、厚さ方向の熱伝導性が損なわれるおそれがある。
次に、本発明に係る熱伝導性複合シートの製造方法について説明する。本発明の熱伝導性複合シートの製造方法は、
(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層と
(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層、並びに
(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シート
を、この順に積層した状態で室温圧着又は熱圧着するものである。
室温圧着の場合は、例えば金属シート上に、離型処理したポリマーフィルムが表面に貼着された熱軟化性熱伝導性シートを転写し、ポリマーフィルムを剥がした後、面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層を熱軟化性熱伝導性シート上に供給した上で、プレス圧着すればよい。熱圧着の場合は、プレス治具を熱軟化温度以上(例えば80〜120℃)に加熱して同様に圧着する。圧着はプレス圧着の他、ロール圧着等を用いてもよい。金属シートもしくは面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層にあらかじめ、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層をコーティングしておき、その上から他方の熱伝導層を圧着することもできる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1〜4、比較例1〜5]
≪材料の準備≫
(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層
a−1:グラファイトシート、MACFOIL
(ジャパンマテックス株式会社製、厚さ130μm、面方向の熱伝導率150W/(m・K))
a−2:PGSグラファイトシート
(松下電器産業株式会社製、厚さ100μm、面方向の熱伝導率800W/(m・K))
(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層
b−1:PCS−TC−10
(信越化学工業株式会社製 熱伝導性フェイズチェンジシート、熱軟化性を有する樹脂:シリコーン樹脂、熱伝導性充填剤:アルミニウム+酸化亜鉛(シリコーン樹脂100質量部に対し、熱伝導性充填剤約760質量部配合)、厚さ60μm)
b−2:F−9460PC
(住友スリーエム株式会社製 アクリル両面粘着テープ、厚さ50μm)
b−3:G747
(信越化学工業株式会社製 熱伝導性グリース)
(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シート
c−1:アルミニウム箔
(東洋アルミニウム株式会社製 アルミニウム箔、厚さ50μm)
c−2:銅箔
(信越化学工業株式会社製 銅箔、厚さ35μm)
≪熱伝導性複合シートの製造≫
上記(a)、(b)、(c)を適宜組合せてプレス圧着した。プレス温度は室温もしくは100℃とした。
≪評価≫
得られた各熱伝導性複合シートを1cm×1cmに切り出し、この試験片について下記特性を評価した。
≪シート厚み≫
マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、型式;M820−25VA)を用いて測定した。
≪熱伝導率≫
熱伝導率測定器(ネッチ社製、キセノンフラッシュアナライザー;LFA447 NanoFlash)により、複合シートの厚さ方向の熱伝導率を測定した。
≪ポンピングアウト性≫
二枚の標準アルミニウムプレートの間に各試験片を挟み、圧縮加重410kPaで荷重した後、オーブンに入れ、0℃/30分⇔125℃/30分の温度サイクルを500サイクル繰り返した。試験後、中間層の流出の有無を目視観察した。
≪リワーク性≫
二枚の標準アルミニウムプレートの間に各試験片を挟み、圧縮加重410kPaで荷重した後、150℃のオーブン中に96時間放置した。放置後、アルミニウムプレートを引き離す方向へ手で力を加え、アルミニウムプレートと試験片との間の剥がれやすさを判定した。
評価A:容易に剥がれる
評価B:剥がれにくい
評価C:非常に剥がれにくく、層間剥離を起こしやすい
≪強度≫
引き裂きの方向へ手で力を加え、強度を判定した。
評価A:非常に引き裂き難い
評価B:引き裂き難い
評価C:容易に引き裂くことが可能
各試験で得られた結果を表1に示す。
Figure 2010219290
表1から明らかなように、各実施例は、いずれも熱伝導率が高くて(5W/m・K以上)放熱性能に優れるとともに、耐ポンピングアウト性やリワーク性にも優れたものとなっている。
一方、グラファイトシート単体である比較例1では、強度が劣り、簡単に引き裂くことが可能であった。2層構造とした比較例2,3の場合、外層が外部と密着してリワーク性が顕著に悪化した。更にアクリル両面粘着テープを用いた比較例3,4の場合、この層の熱伝導性が低下したため、いずれも熱伝導率が5.0W/m・Kを下回った。中間層に放熱グリースを用いた比較例5の場合、圧着時にグリースが流出して周囲を汚染した。また、ヒートサイクル後もグリースの流出が観察された。

Claims (8)

  1. (a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層、
    (b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層、並びに
    (c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シート
    の順に積層した3層構造を持つ熱伝導性複合シート。
  2. 前記(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層が、グラファイトシートである請求項1記載の熱伝導性複合シート。
  3. 前記(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層において、熱軟化性を有する樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導性複合シート。
  4. 前記(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートが、アルミニウムシート又は銅シートである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性複合シート。
  5. (a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層、(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層、並びに(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートをこの順に積層した状態で、室温圧着もしくは熱圧着することを特徴とする熱伝導性複合シートの製造方法。
  6. 前記(a)面方向への熱伝導率が20〜2,000W/(m・K)の熱伝導層が、グラファイトシートである請求項5記載の熱伝導性複合シートの製造方法。
  7. 前記(b)熱軟化性を有する樹脂及び熱伝導性充填剤を含有し、粘着性を有する熱軟化性熱伝導性シート層において、熱軟化性を有する樹脂がシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項5又は6に記載の熱伝導性複合シートの製造方法。
  8. 前記(c)(a)より高強度である熱伝導率が20〜500W/(m・K)の金属シートが、アルミニウムシート又は銅シートである請求項5〜7のいずれか1項に記載の熱伝導性複合シートの製造方法。
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