JP2010219214A - 半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ - Google Patents

半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ Download PDF

Info

Publication number
JP2010219214A
JP2010219214A JP2009062918A JP2009062918A JP2010219214A JP 2010219214 A JP2010219214 A JP 2010219214A JP 2009062918 A JP2009062918 A JP 2009062918A JP 2009062918 A JP2009062918 A JP 2009062918A JP 2010219214 A JP2010219214 A JP 2010219214A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
semiconductor thin
semiconductor
indium oxide
film transistor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009062918A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuaki Ebata
一晃 江端
Kiminori Yano
公規 矢野
Kota Terai
恒太 寺井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2009062918A priority Critical patent/JP2010219214A/ja
Publication of JP2010219214A publication Critical patent/JP2010219214A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】低温プロセスで成膜でき、不純物散乱を低減して高い移動度を有する酸化物半導体薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】銅元素(Cu)を含有する酸化インジウム(In2O3)又は酸化スズ(SnO2)を含む酸化物半導体薄膜を、銅元素の原子比が下記式を満たすスパッタリングターゲットを用いて基板温度を500℃以下で成膜し、500℃以下でアニール処理する。0.001≦Cu/(Cu+X)≦0.1(式中、Xは、In又はSn)
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタに関する。
電界効果型トランジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電子素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素子等として広く用いられており、現在、最も多く実用化されている電子デバイスである。そのなかでも、表示装置のめざましい発展に伴い、液晶表示装置(LCD)のみならず、エレクトロルミネッセンス表示装置(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の各種表示装置において、表示素子に駆動電圧を印加して表示装置を駆動させるスイッチング素子として、薄膜トランジスタ(TFT)が多用されている。
薄膜トランジスタの材料としては、シリコン半導体化合物が最も広く用いられており、一般に、高速動作が必要な高周波増幅素子、集積回路用素子等にはシリコン単結晶が用いられ、液晶駆動用素子等には、大面積化の要求からアモルファスシリコンが用いられている。
しかしながら、結晶性のシリコン系薄膜は、結晶化を図る際に、例えば800℃以上の高温が必要となり、ガラス基板上や有機物基板上への構成が困難であった。このため、結晶性のシリコン半導体はシリコンウェハーや石英等の耐熱性の高い高価な基板上にしか形成できないばかりか、製造に際して多大なエネルギーと工程数を要する等の問題があった。
一方、比較的低温で形成できる非晶性のシリコン半導体(アモルファスシリコン)は、結晶性のシリコン半導体に比べてスイッチング速度が遅いため、表示装置を駆動するスイッチング素子として使用したときに、高速な動画の表示に追従できない場合があった。
従来の薄膜トランジスタは、例えばガラス等の基板上にゲ−ト電極、ゲ−ト絶縁層、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)等の半導体層、ソ−ス及びドレイン電極を積層した逆スタガ構造を有する。薄膜トランジスタは、イメ−ジセンサを始め、大面積デバイスの分野において、アクティブマトリスク型の液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ等の駆動素子として用いられている。これらの用途では、従来のアモルファスシリコンを用いた薄膜トランジスタでも高機能化に伴い作動の高速化が求められてきている。また、電子ペーパー等のフレキシブルエレクトロニクスの発展に伴い、廉価なプラスチック基板等を用いて成膜する必要があるため、低温プロセスで薄膜を作製することが求められてきている。
このような状況下、シリコン系半導体薄膜(アモルファスシリコン)よりも安定性が優れることから、酸化亜鉛、酸化インジウム等の金属酸化物からなる酸化物半導体薄膜が注目されている。
酸化インジウムは、〜100cm/Vsという高移動度を有する材料であり、薄膜トランジスタの活性層への適用が期待される材料である。しかしながら、酸化インジウムは酸素欠損により容易にキャリアが生成するため、キャリア濃度の低減が困難である。加えて、酸化インジウムは、大気中(酸素存在下)で例えば500℃の高温で加熱して結晶化させることにより、低キャリア濃度(1017cm−3以下)が実現可能であるが(非特許文献1)、一方で移動度が極端に低下するという問題点があった。このように熱処理温度が高いため、廉価なプラスチック基板等への酸化インジウムの成膜は困難であった。
以上から、酸化物半導体が有する高移動度特性を保ちつつ、キャリア濃度を容易にコントロールする手法の開発が望まれていた。
In,Ga及びZnの酸化物は、キャリア濃度が1017cm−3付近においてホール移動度は〜10cm/Vsであるうえ、低温プロセスでの成膜が可能である(非特許文献2及び非特許文献3)。しかしながら、In,Ga及びZnの酸化物は、酸化インジウムにGa、Zn等の元素を多く添加しているため、添加金属が不純物散乱として作用するおそれがあった。不純物散乱とは、添加した不純物が散乱中心として働き、半導体中の伝導キャリアが散乱することを指し、半導体の移動度の低下を招くおそれがある。
母材の半導体材料に対して添加金属の量を少なく抑えることができれば、不純物散乱の影響を低減でき、高移動度な半導体薄膜の作製が可能となる。また、インジウムは希少金属であり、その価格も高騰していることからインジウムスズ酸化物(ITO)等でリサイクル技術の開発が進んでいる。リサイクルの観点から酸化インジウム等の半導体に対して添加金属の量を微量に抑えることが望まれる。
H.Nakazawa et al., Journal of Applied Physics, Vol.100 (2006-11), p.093706-1〜093706-8 K.Nomura et al., Nature, Vol.43 (2004-11), p.488-492 第19回先端技術大賞応募論文「アモルファス酸化物半導体の設計と高性能フレキシブル薄膜トランジスタの室温形成」神谷利夫 他
本発明の目的は、低温プロセスで成膜でき、不純物散乱を低減して高い移動度を有する半導体薄膜の製造方法を提供することである。
本発明によれば、以下の半導体薄膜の製造方法等が提供される。
1.銅元素(Cu)を含有し、前記銅元素の全金属元素に対する原子比[Cu/全金属元素]が0.001〜0.1であるスパッタリングターゲットを用いて成膜する半導体薄膜の製造方法。
2.前記スパッタリングターゲットが酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)を含み、
前記銅元素の原子比が下記式を満たす1に記載の半導体薄膜の製造方法。
0.001≦Cu/(Cu+X)≦0.1
(式中、Xは、In又はSn)
3.前記スパッタリングターゲットをスパッタリングして基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
前記基板温度が500℃以下であり、前記薄膜が非晶質部分を含む半導体薄膜である1又は2に記載の半導体薄膜の製造方法。
4.前記スパッタリングターゲットをスパッタリングして基板上に薄膜を成膜する工程、及び
前記薄膜をアニール処理する工程を含み、
前記アニーリング温度が500℃以下であり、前記アニール処理後の薄膜が非晶質部分を含む半導体薄膜である1〜3のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
5.1〜4のいずれかの製造方法で得られる半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ。
6.チャンネルエッチ型である5に記載の薄膜トランジスタ。
7.エッチストッパー型である5に記載の薄膜トランジスタ。
8.5〜7のいずれかに記載の薄膜トランジスタを備える半導体素子。
本発明によれば、低温プロセスで成膜でき、不純物散乱を低減して高い移動度を有する半導体薄膜の製造方法が提供できる。
本発明の薄膜トランジスタの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す概略断面図である。 実施例1で成膜した薄膜のX線回折測定結果を示す図である。 実施例2で成膜した薄膜のX線回折測定結果を示す図である。 実施例3で成膜した薄膜のX線回折測定結果を示す図である。
本発明の半導体薄膜の製造方法では、銅元素(Cu)を含有し、銅元素の全金属元素に対する原子比[Cu/全金属元素]が0.001〜0.1であるスパッタリングターゲットを用いる。
銅を微量添加することにより、キャリアを容易にコントロールでき、不純物散乱の効果を抑えて、高移動度な半導体薄膜を得ることができる。
銅の他にスパッタリングターゲットが含む金属元素としては、In、Sn、Zn、Ga、Ge、Zr、Mo、Nb、Ta、W、Pb、Al等が挙げられ、好ましくはIn又はSnである。
上記Cu/全金属元素が0.1を越える場合、不純物散乱の影響により移動度の低下を招くおそれ及びキャリア濃度が著しく低減(1013cm−3以下)するおそれがある。一方、Cu/全金属元素が0.001未満の場合、得られる半導体薄膜は加熱処理により結晶化するおそれがある。
上記スパッタリングターゲットは、好ましくは酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)を含み、スパッタリングターゲット中の銅元素及び元素Xの原子比が下記式を満たす。
0.001≦Cu/(Cu+X)≦0.1
(式中、Xは、In又はSn)
スパッタリング中の銅元素及び元素Xは、より好ましくは下記式を満たす。
0.04<Cu/(Cu+X)<0.09
スパッタリング中の銅元素及び元素Xは、さらに好ましくは下記式を満たす。
0.05<Cu/(Cu+X)<0.085
酸化インジウム又は酸化スズに銅を微量添加することにより高移動度を保ったまま効率的にキャリア濃度を低減させることが可能である。
低キャリア濃度(1013〜1017cm−3)であっても高移動度な薄膜が得られる理由としては、添加金属の量が微量であるため、不純物散乱の影響が低減した等が考えられる。即ち、銅は微量添加でキャリア低減効果が非常に大きい元素であり、銅が酸素をトラップして酸素欠損を抑制していること等が考えられる。
また、添加する銅が微量に抑えることができるので、インジウム等の希少金属のリサイクルを効率的に行うことができる。
上記式において、Cu/(Cu+X)が0.1を越える場合、不純物散乱の影響により移動度の低下を招くおそれ及びキャリア濃度が著しく低減(1013cm−3以下)するおそれがある。一方、Cu/(Cu+X)が0.001未満の場合、得られる半導体薄膜は加熱処理により結晶化するおそれがある。
本発明の半導体薄膜の製造方法は、低温プロセスが適用可能であり、例えば廉価なポリエチレンテレフタレート(PET)といったプラスチック等のフレキシブル基板上に半導体薄膜を成膜することができる。
本発明の半導体薄膜の製造方法は、好ましくはスパッタリングターゲットをスパッタリングして基板上に薄膜を成膜する工程を含み、基板温度が500℃以下である。
上記基板温度は、より好ましくは5℃以上300℃以下であり、さらに好ましくは10℃以上200℃以下、特に好ましくは20℃以上150℃以下である。
本発明の半導体薄膜の製造方法は、好ましくはスパッタリングターゲットをスパッタリングして基板上に薄膜を成膜する工程、及び薄膜をアニール処理する工程を含み、アニーリング温度が500℃以下である。成膜後のアニール処理により、キャリア密度を制御することが可能であり、必要に応じて成膜後のアニール処理を行う。
上記アニール処理温度は、より好ましくは20℃以上500℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上300℃以下であり、特に好ましくは50℃以上150℃以下である。
尚、上記アニール処理は、酸素存在下又は酸素の非存在下、ランプアニール装置(LA;Lamp Annealer)、急速熱アニール装置(RTA;Rapid Thermal Annealer)、又はレーザーアニール装置を用いて行うことができる。
また、アニール処理時間は、好ましくは600分以下であり、より好ましくは1分以上500分以下であり、さらに好ましくは3分以上300分以下であり、特に好ましくは5分以上180分以下である。
基板温度を500℃以下及び/又はアニール処理温度を500℃以下とすることにより、得られる半導体薄膜の少なくとも一部を非晶質とすることができる。
半導体薄膜が非晶質であることは、X線回折測定において明瞭なピークが観測されないことにより確認することができる。
基板温度を500℃以下及び/又はアニール処理温度を500℃以下とすることにより、得られる半導体薄膜の少なくとも一部を非晶質とすることができる。
半導体薄膜が非晶質であることは、X線回折測定において明瞭なピークが観測されないことにより確認することができる。
本発明の製造方法により得られる半導体薄膜(以下、本発明の半導体薄膜と言う場合がある)は、好ましくはキャリア濃度が1017cm−3以下である。キャリア濃度が1017cm−3超の場合、半導体薄膜を薄膜トランジスタ等の素子に用いた場合、漏れ電流の発生と供に、ノーマリーオンになってしまったり、on−off比が小さくなってしまったりすることにより、良好なトランジスタ性能が発揮できないおそれがある。
上記キャリア濃度は、ホール測定装置を用いることで測定することができ、例えば測定条件は以下のとおりである。
室温(25℃)、0.5T、10−4−10−12A、AC磁場ホール測定
後述するホール移動度も同様の条件で測定することができる。
例えば、低温プロセス(基板温度が500℃以下及び/又はアニール処理温度が500℃以下)で本発明の半導体薄膜を製造する場合、半導体薄膜のキャリア濃度を1017cm−3以下にするため、好ましくは成膜時の酸素分圧を3〜10%とする。
本発明の半導体薄膜は、ホール移動度が好ましくは2cm/Vs以上である。ホール移動度が2cm/Vs未満の場合、薄膜トランジスタの電界効果移動度が小さくなってしまい、スイッチング素子として用いた場合に、アモルファスシリコンと同様に、スイッチング速度が遅く、高速な動画の表示に追従できないおそれがある。
本発明の半導体薄膜は、その膜厚が好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは20〜300nmであり、さらに好ましくは30〜200nmである。
本発明の酸化物半導体薄膜の製造方法に用いるスパッタリングターゲット(以下、本発明のスパッタリングターゲットと言う場合がある)は、公知の方法で製造することができる。
本発明のスパッタリングターゲットの原料は、母材となる半導体材料に微量の銅を本発明の要件(0.001≦Cu/全金属元素≦0.1:原子比)を満たすように添加することにより調製できる。
上記スパッタリングターゲットの原料の組成は、そのまま得られるターゲットの組成とみなすことができる。
上記半導体材料としては、例えば酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられ、好ましくは酸化インジウム又は酸化スズである。
また、添加する銅としては、例えば酸化銅(II)(CuO)が挙げられる。
本発明のスパッタリングターゲットは、さらに本発明の効果を損なわない範囲で、例えば正四価の金属元素を含有してもよい。本発明のスパッタリングターゲットを用いて得られる酸化物半導体膜は非晶質を含みうる膜であり、正四価の金属元素を含む場合であっても、キャリヤー発生の効果(ドーピング効果)を抑えることができ、安定した半導体特性を示すことができる。
上記正四価の金属元素としては、Sn,Zr,Ge,Ti,Ce,Nb,Ta,Mo及びWが挙げられる。
本発明の半導体薄膜は、薄膜トランジスタに好適に用いることができる。
本発明の半導体薄膜は高移動度半導体薄膜であるので、例えば薄膜トランジスタがディスプレイ表示用である場合、画素の高速スイッチングが可能となる。同様に、本発明の半導体薄膜は、高移動度半導体薄膜であるので、薄膜トランジスタの小型化が可能であり、薄膜トランジスタ及び当該薄膜トランジスタを備える半導体素子の高輝度化及び低消費電力化に貢献することができる。
本発明の半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ(以下、本発明の薄膜トランジスタと言う場合がある)は、好ましくはチャンネルエッチ型又はエッチストッパー型である。
図1は、本発明の薄膜トランジスタの実施形態を示す概略断面図である。
薄膜トランジスタ1は、基板10及びゲート絶縁膜30の間にゲート電極20を挟持しており、ゲート絶縁膜30上には半導体薄膜(チャンネル層)40が活性層として積層されている。さらに、半導体薄膜40の端部付近を覆うようにしてソース電極50及びドレイン電極52がそれぞれ設けられている。半導体薄膜40、ソース電極50及びドレイン電極52で囲まれた部分にチャンネル部60を形成している。
尚、図1の薄膜トランジスタ1はいわゆるチャンネルエッチ型薄膜トランジスタである。本発明の薄膜トランジスタは、チャンネルエッチ型薄膜トランジスタに限定されず、本技術分野で公知の素子構成を採用できる。例えば、エッチストッパー型の薄膜トランジスタでもよい。
図2は、本発明の薄膜トランジスタの他の実施形態を示す概略断面図である。尚、上述した薄膜トランジスタ1と同じ構成部材には同じ番号を付し、その説明を省略する。
薄膜トランジスタ2は、いわゆるエッチストッパー型の薄膜トランジスタである。薄膜トランジスタ2は、チャンネル部60を覆うようにエッチストッパー70が形成されている点を除き、上述した薄膜トランジスタ1と同じ構成である。半導体薄膜40の端部付近及びエッチストッパー70の端部付近を覆うようにしてソース電極50及びドレイン電極52がそれぞれ設けられている。
本発明では、半導体薄膜40に本発明の半導体薄膜を使用する。
尚、例えば半導体薄膜を非晶質膜とすることにより、エッチング加工性に優れ、薄膜トランジスタの生産性を高くできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
酸化インジウムに対して酸化銅(II)を3wt%添加した、インジウム元素と銅元素との原子比Cu/(Cu+In)が0.051であるスパッタリングターゲットを用いて、酸素とアルゴンの混合ガス雰囲気下、RFマグネトロンスパッタ法により、ガラス基板上に銅添加酸化インジウム薄膜を100nm成膜した。
スパッタ条件は以下の通りである。
基板温度;25℃
スパッタ圧力;0.12Pa
雰囲気ガス;Ar90%,O10%
投入電力;100W
得られた銅添加酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜のキャリア濃度は1.21×1015cm−3であり、ホール移動度は12.4cm/Vsであった。
成膜した銅添加酸化インジウム薄膜を大気中(酸素存在下)で、100℃及び150℃でそれぞれ1時間加熱した。
100℃及び150℃で1時間加熱処理をした薄膜のキャリア濃度及びホール移動度を、成膜直後の薄膜と同様にしてそれぞれ評価した。その結果、100℃で1時間加熱処理した薄膜のキャリア濃度は5.96×1016cm−3であり、ホール移動度は15.1cm/Vsであった。また、150℃で1時間加熱処理した薄膜のキャリア濃度は9.42×1016cm−3であり、ホール移動度は19.7cm/Vsであった。
成膜直後の薄膜、100℃で1時間加熱処理した薄膜、及び150℃で1時間加熱処理をした薄膜についてX線回折測定を行った。その結果、すべての薄膜において明瞭なピークは観測されず、製造した銅添加酸化インジウム薄膜は非晶質であることが確認された。結果を図3に示す。
実施例2
酸化インジウムに対して酸化銅(II)を5wt%添加した、インジウム元素と銅元素との原子比Cu/(Cu+In)が0.084であるスパッタリングターゲットを用いた他は実施例1と同様にして銅添加酸化インジウム薄膜を成膜した。
得られた銅添加酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜のキャリア濃度は8.06×1013cm−3であり、ホール移動度は11.9cm/Vsであった。
成膜した銅添加酸化インジウム薄膜を大気中(酸素存在下)で、150℃及び200℃でそれぞれ1時間加熱した。
150℃及び200℃で1時間加熱処理をした薄膜のキャリア濃度及びホール移動度を、成膜直後の薄膜と同様にしてそれぞれ評価した。その結果、150℃で1時間加熱処理した薄膜のキャリア濃度は1.53×1014cm−3であり、ホール移動度は15.8cm/Vsであった。また、200℃で1時間加熱処理した薄膜のキャリア濃度は2.87×1016cm−3であり、ホール移動度は21.7cm/Vsであった。
成膜直後の薄膜、150℃で1時間加熱処理した薄膜、及び200℃で1時間加熱処理をした薄膜についてX線回折測定を行った。その結果、すべての薄膜において明瞭なピークは観測されず、製造した銅添加酸化インジウム薄膜は非晶質であることが確認された。結果を図4に示す。
実施例3
雰囲気ガスにAr95%及びO5%の混合ガスを用いた他は実施例2と同様にして銅添加酸化インジウム薄膜を成膜した。
得られた銅添加酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜のキャリア濃度は1.20×1017cm−3であり、ホール移動度は21.7cm/Vsであった。
成膜直後の薄膜について、X線回折測定を行った。その結果、得られた薄膜において明瞭なピークは観測されず、製造した銅添加酸化インジウム薄膜は非晶質であることが確認された(図5)。
実施例4
基板としてPET基板を用いた他は実施例3と同様にして銅添加酸化インジウム薄膜を成膜した。
得られた銅添加酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜のキャリア濃度は1.83×1017cm−3であり、ホール移動度は19.6cm/Vsであった。
実施例5
基板10であるPET基板上に、実施例4と同様にして膜厚が50nmの銅添加酸化インジウム薄膜(半導体薄膜40)を成膜し、図1の構成を有するチャネル長さL=6μm、チャネル幅W=100μmのボトムゲート型の薄膜トランジスタを作製した。
上記薄膜トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜30として厚み100nmのSiN、ゲート電極20として厚み110nmのITO(In−SnO)を用いた。また、ソース電極50、ドレイン電極52の各電極としてTi(30nm)/Au(80nm)を用いた。
その結果、作製した薄膜トランジスタは、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであり、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
比較例1
酸化インジウムに対して酸化銅(II)を7wt%添加した、インジウム元素と銅元素との原子比Cu/(Cu+In)が0.116であるスパッタリングターゲットを用いた他は実施例1と同様にして銅添加酸化インジウム薄膜を成膜した。
得られた銅添加酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜は、キャリア濃度が低く(1013cm−3以下)、その抵抗が高抵抗なため、キャリア濃度及びホール移動度は測定できなかった。
比較例2
酸化インジウムのみからなるスパッタリングターゲットを用い、スパッタ圧力を0.3Paとし、膜厚を50nmとした他は実施例1と同様にして酸化インジウム薄膜を成膜した。
得られた酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜のキャリア濃度は9.23×1017cm−3であり、ホール移動度は28.7cm/Vsであった。
尚、通常、室温で成膜した酸化インジウム薄膜はキャリア濃度が高いため、薄膜トランジスタを構成したときに漏れ電流が発生してしまうとともに、ノーマリーオンになってしまったり、on−off比が小さくなってしまったりすることにより、良好なトランジスタ性能が発揮できないおそれがある。
成膜した酸化インジウム薄膜を大気中(酸素存在下)で、150℃で1時間加熱した。
150℃で1時間加熱処理をした薄膜のキャリア濃度及びホール移動度を、成膜直後の薄膜と同様にして評価した。その結果、150℃で1時間加熱処理した薄膜のキャリア濃度は6.51×1018cm−3であり、ホール移動度は38.8cm/Vsであった。
尚、通常、低温(例えば150℃)で加熱処理した酸化インジウム薄膜は、室温で成膜した酸化インジウム薄膜同様にキャリア濃度が高いため、薄膜トランジスタを構成したときに良好なトランジスタ特性が得られないおそれがある。
成膜直後の薄膜、及び150℃で1時間加熱処理した薄膜についてX線回折測定を行った。その結果、すべての薄膜において明瞭なピークは観測されず、製造した酸化インジウム薄膜は非晶質であることが確認された。
比較例3
雰囲気ガスにAr94%及びO6%の混合ガスを用いた他は比較例2と同様にして酸化インジウム薄膜を成膜した。
得られた酸化インジウム薄膜のキャリア濃度及びホール移動度をホール測定装置により評価した。その結果、成膜直後の薄膜のキャリア濃度は9.14×1018cm−3であり、ホール移動度は41.2cm/Vsであった。
尚、通常、室温で成膜した酸化インジウム薄膜はキャリア濃度が高いため、薄膜トランジスタを構成したときに漏れ電流が発生してしまうとともに、ノーマリーオンになってしまったり、on−off比が小さくなってしまったりすることにより、良好なトランジスタ性能が発揮できないおそれがある。
成膜した酸化インジウム薄膜を大気中(酸素存在下)で、150℃で1時間加熱した。
150℃で1時間加熱処理をした薄膜のキャリア濃度及びホール移動度を、成膜直後の薄膜と同様にして評価した。その結果、150℃で1時間加熱処理した薄膜のキャリア濃度は1.69×1019cm−3であり、ホール移動度は43.6cm/Vsであった。
尚、通常、低温(例えば150℃)で加熱処理した酸化インジウム薄膜においても、室温で成膜した酸化インジウム薄膜同様にキャリア濃度が高いため、薄膜トランジスタを構成したときに良好なトランジスタ特性が得られないおそれがある。
成膜直後の薄膜、150℃で1時間加熱処理した薄膜についてX線回折測定を行った。その結果、すべての薄膜において明瞭なピークは観測されず、製造した酸化インジウム薄膜は非晶質であることが確認された。
本発明の製造方法により得られる半導体薄膜は、トランジスタのチャネル層として使用できる。特に、本発明の製造方法は、低温プロセスが適用可能であるため、プラスチック基板上に半導体薄膜が成膜可能であり、電子ペーパー等のフレキシブルディスプレイに適用できる。
1,2 薄膜トランジスタ
10 基板
20 ゲート電極
30 ゲート絶縁膜
40 半導体薄膜
50 ソース電極
52 ドレイン電極
60 チャンネル部
70 エッチストッパー

Claims (8)

  1. 銅元素(Cu)を含有し、前記銅元素の全金属元素に対する原子比[Cu/全金属元素]が0.001〜0.1であるスパッタリングターゲットを用いて成膜する半導体薄膜の製造方法。
  2. 前記スパッタリングターゲットが酸化インジウム(In)又は酸化スズ(SnO)を含み、
    前記銅元素の原子比が下記式を満たす請求項1に記載の半導体薄膜の製造方法。
    0.001≦Cu/(Cu+X)≦0.1
    (式中、Xは、In又はSn)
  3. 前記スパッタリングターゲットをスパッタリングして基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
    前記基板温度が500℃以下であり、前記薄膜が非晶質部分を含む半導体薄膜である請求項1又は2に記載の半導体薄膜の製造方法。
  4. 前記スパッタリングターゲットをスパッタリングして基板上に薄膜を成膜する工程、及び
    前記薄膜をアニール処理する工程を含み、
    前記アニーリング温度が500℃以下であり、前記アニール処理後の薄膜が非晶質部分を含む半導体薄膜である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体薄膜の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかの製造方法で得られる半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ。
  6. チャンネルエッチ型である請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
  7. エッチストッパー型である請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
  8. 請求項5〜7のいずれかに記載の薄膜トランジスタを備える半導体素子。
JP2009062918A 2009-03-16 2009-03-16 半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ Pending JP2010219214A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009062918A JP2010219214A (ja) 2009-03-16 2009-03-16 半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009062918A JP2010219214A (ja) 2009-03-16 2009-03-16 半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010219214A true JP2010219214A (ja) 2010-09-30

Family

ID=42977744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009062918A Pending JP2010219214A (ja) 2009-03-16 2009-03-16 半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010219214A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181722A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Idemitsu Kosan Co Ltd スパッタリングターゲット
WO2012102181A1 (en) * 2011-01-27 2012-08-02 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device
JP2013055080A (ja) * 2011-08-31 2013-03-21 Japan Display East Co Ltd 表示装置および表示装置の製造方法
JP2016139142A (ja) * 2016-02-15 2016-08-04 株式会社ジャパンディスプレイ 表示装置および表示装置の製造方法
KR20160120394A (ko) * 2015-04-07 2016-10-18 삼성디스플레이 주식회사 박막 트랜지스터 표시판 및 그 제조 방법

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11274504A (ja) * 1998-03-20 1999-10-08 Advanced Display Inc Tftおよびその製法
JP2003104794A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Murata Mfg Co Ltd ZnO膜及びその製造方法並びに発光素子
WO2008114588A1 (ja) * 2007-03-20 2008-09-25 Idemitsu Kosan Co., Ltd. スパッタリングターゲット、酸化物半導体膜及び半導体デバイス
WO2008126492A1 (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Idemitsu Kosan Co., Ltd. 電界効果型トランジスタ及び電界効果型トランジスタの製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11274504A (ja) * 1998-03-20 1999-10-08 Advanced Display Inc Tftおよびその製法
JP2003104794A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Murata Mfg Co Ltd ZnO膜及びその製造方法並びに発光素子
WO2008114588A1 (ja) * 2007-03-20 2008-09-25 Idemitsu Kosan Co., Ltd. スパッタリングターゲット、酸化物半導体膜及び半導体デバイス
WO2008126492A1 (ja) * 2007-04-05 2008-10-23 Idemitsu Kosan Co., Ltd. 電界効果型トランジスタ及び電界効果型トランジスタの製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011181722A (ja) * 2010-03-02 2011-09-15 Idemitsu Kosan Co Ltd スパッタリングターゲット
WO2012102181A1 (en) * 2011-01-27 2012-08-02 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device
JP2012169612A (ja) * 2011-01-27 2012-09-06 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置
US8890150B2 (en) 2011-01-27 2014-11-18 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device
US9082864B2 (en) 2011-01-27 2015-07-14 Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. Semiconductor device
JP2013055080A (ja) * 2011-08-31 2013-03-21 Japan Display East Co Ltd 表示装置および表示装置の製造方法
KR20160120394A (ko) * 2015-04-07 2016-10-18 삼성디스플레이 주식회사 박막 트랜지스터 표시판 및 그 제조 방법
KR102314488B1 (ko) * 2015-04-07 2021-10-19 삼성디스플레이 주식회사 박막 트랜지스터 표시판 및 그 제조 방법
JP2016139142A (ja) * 2016-02-15 2016-08-04 株式会社ジャパンディスプレイ 表示装置および表示装置の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5386084B2 (ja) 半導体薄膜、及びその製造方法、並びに薄膜トランジスタ
TWI478347B (zh) A thin film transistor, a thin film transistor substrate, and an image display device, and an image display device, and a semiconductor device
JP5510767B2 (ja) 薄膜トランジスタおよびその製造方法
JP5294651B2 (ja) インバータの作製方法及びインバータ
JP6231880B2 (ja) 薄膜トランジスタ
US8268666B2 (en) Field-effect transistor and method for fabricating field-effect transistor
TWI400806B (zh) A semiconductor thin film, and a method for manufacturing the same, and a thin film transistor
TWI525205B (zh) Film forming method
JP2010040552A (ja) 薄膜トランジスタ及びその製造方法
TW200845399A (en) Non-crystalline oxide semiconductor thin film, process for producing the same, process for producing thin-film transistor, field-effect transistor, light emitting device, display device, and sputtering target
JP2010165922A (ja) 電界効果型トランジスタ、電界効果型トランジスタの製造方法及び半導体素子の製造方法
JP5098152B2 (ja) 薄膜トランジスタの製造方法
JP5491258B2 (ja) 酸化物半導体の成膜方法
JP2007123702A (ja) 薄膜トランジスタとその製造方法
JP2007123698A (ja) 薄膜トランジスタおよびその製造方法
KR101132989B1 (ko) 박막 트랜지스터의 제조 방법 및 전기 광학 장치의 제조 방법
JP2010219214A (ja) 半導体薄膜の製造方法、及び該半導体薄膜を備える薄膜トランジスタ
CN108336135B (zh) 一种钕铟锌氧化物薄膜晶体管及其制备方法
JP2017139445A (ja) 半導体装置および半導体装置の製造方法
JP2011258804A (ja) 電界効果型トランジスタ及びその製造方法
JP5846563B2 (ja) 薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタの製造方法および半導体装置
JP2014222690A (ja) 半導体装置
KR20090124656A (ko) 산화물 반도체 및 이를 포함하는 박막 트랜지스터

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20110916

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130212

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20130219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Effective date: 20130418

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Effective date: 20140204

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02