JP2011181722A - スパッタリングターゲット - Google Patents

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Kiminori Yano
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Abstract

【課題】Cuを微量添加したターゲットを用いてスパッタ成膜する際に発生するノジュールを抑制し、酸化物半導体膜を安定かつ再現性よく得ることができるスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】In元素及びCu元素を含み、さらにZn元素を含んでいてもよい金属酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットであって、
前記金属酸化物焼結体中の全金属元素に対するCu元素の原子比Cu/全金属元素が0.001〜0.09の範囲内であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物半導体薄膜を製造するために用いるCuを微量含んだスパッタリングターゲットに関する。
薄膜トランジスタ(TFT)等の電界効果型トランジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電子素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素子等として広く用いられており、現在、最も多く実用されている電子デバイスである。なかでも、近年における表示装置のめざましい発展に伴い、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンス表示装置(EL)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等の各種の表示装置において、表示素子に駆動電圧を印加して表示装置を駆動させるスイッチング素子として、TFTが多用されている。
電界効果型トランジスタの主要部材である半導体層(チャンネル層)の材料としては、シリコン半導体化合物が最も広く用いられている。一般に、高速動作が必要な高周波増幅素子や集積回路用素子等には、シリコン単結晶が用いられている。一方、液晶駆動用素子等には、大面積化の要求から非晶質性シリコン半導体(アモルファスシリコン)が用いられている。
アモルファスシリコンの薄膜は、比較的低温で形成できるものの、結晶性のものに比べてスイッチング速度が遅いため、表示装置を駆動するスイッチング素子として使用したときに、高速な動画の表示に追従できない場合がある。具体的に、解像度がVGAである液晶テレビでは、移動度が0.5〜1cm/Vsのアモルファスシリコンが使用可能であったが、解像度がSXGA、UXGA、QXGAあるいはそれ以上になると2cm/Vs以上の移動度が要求される。また、画質を向上させるため駆動周波数を上げるとさらに高い移動度が必要となる。
一方、結晶性のシリコン系薄膜は、移動度は高いものの、製造に際して多大なエネルギーと工程数を要する等の問題や、大面積化が困難という問題があった。例えば、シリコン系薄膜を結晶化する際に800℃以上の高温や、高価な設備を使用するレーザーアニールが必要である。また、結晶性のシリコン系薄膜は、通常TFTの素子構成がトップゲート構成に限定されるためマスク枚数の削減等コストダウンが困難であった。
このような問題を解決するために、酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化ガリウムからなる酸化物半導体膜を使用した薄膜トランジスタ(TFT)が検討されている。一般に、酸化物半導体薄膜の作製は酸化物焼結体からなるターゲット(スパッタリングターゲット)を用いたスパッタリングで行われる。
例えば、一般式InGaZnO、InGaZnOで表されるホモロガス結晶構造を示す化合物からなるターゲットが公開されている(特許文献1、2、3)。In、Ga及びZnからなるターゲットを用いて成膜された酸化物半導体薄膜は、キャリア濃度が1017cm−3オーダーにおいてホール移動度は10cm/Vsオーダーである。
特許文献4では、ドーパントとして、Ni又はCuをドープした酸化物をチャネル層に用いた薄膜トランジスタが開示されている。特許文献4の実施例には、Zn、In、及びNiからなる酸化物を用いたTFTが公開されており、良好なTFT特性が得られている。ここで、Zn、In、及びNiの含有量は、Zn:In:Ni=1:1.0121:0.0079(atomic ratio)である。ドーパントとしてNiやCuを用いることにより、容易にキャリア濃度を制御することができる。
一般的に酸化物半導体を形成する手段として、スパッタリング法やCVD法が用いられている。このうち、スパッタリング法では薄膜の組成に対応する組成からなる焼結体より形成されるスパッタリングターゲットを用いる。NiやCuを添加したスパッタリングターゲットでは、ターゲット抵抗が上昇し、スパッタ時にノジュールが発生する等のおそれがあった。このように、酸化物半導体膜をスパッタリング法で作製する際に使用するターゲットについての検討は十分ではなかった。
ここでノジュールとは、ターゲットがスパッタリングされていくと、ターゲット表面のエロージョン部分に発生する黒色の析出物(突起物)のことをいう。ノジュールは、異常放電の原因となっており、ノジュールの低減によって異常放電は抑制される。従ってノジュールの発生しない酸化物ターゲットが好適である。
特開平8−245220号公報 特開2007−73312号公報 国際公開第2009/084537号 特開2009−10348号公報
K.Nomura et al.,Nature,Vol.432(2004−11)(英),p.488−492 第19回先端技術大賞応募論文「アモルファス酸化物半導体の設計と高性能フレキシブル薄膜トランジスタの室温形成」神谷利夫他
本発明の目的は、Cuを微量添加したターゲットを用いてスパッタ成膜する際に発生するノジュールを抑制し、酸化物半導体膜を安定かつ再現性よく得ることができるスパッタリングターゲットを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは、Cuを微量添加したIn、又はIn及びZnからなる酸化物スパッタリングターゲットにおいて、スパッタリング法を用いて薄膜を作製してノジュールの発生状況を調べた。その結果、Cuの添加量が全金属元素に対して9原子%以下、即ち、全金属元素に対するCu元素の原子比(Cu/全金属元素)が0.09以下であるときには、ノジュールの発生が抑制されることを見出した。全金属元素に対するCu元素の原子比(Cu/全金属元素)が0.09を超えると単斜晶構造を持つCuIn相の析出が顕著となるため、ノジュールが発生して異常放電が多発することを見出し、本発明を完成するに至った。Cuの添加量が、全金属元素に対するCu元素の原子比(Cu/全金属元素)で0.09以下であるスパッタリングターゲットを用いることで安定したスパッタ成膜が可能であり、酸化物半導体薄膜のキャリア濃度を容易に制御することが可能である。
本発明によれば、以下のスパッタリングターゲットが提供される。
1.In元素及びCu元素を含み、さらにZn元素を含んでいてもよい金属酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットであって、
前記金属酸化物焼結体中の全金属元素に対するCu元素の原子比Cu/全金属元素が0.001〜0.09の範囲内であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
2.前記金属酸化物焼結体を構成する金属元素が、実質的にCu元素及びIn元素からなることを特徴とする上記1に記載のスパッタリングターゲット。
3.前記金属酸化物焼結体を構成する金属元素が、実質的にIn元素、Cu元素及びZn元素からなることを特徴とする上記1に記載のスパッタリングターゲット。
4.前記金属酸化物焼結体が、In及びCuInのいずれか一方又は両方の金属酸化物を含有することを特徴とする上記1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
5.前記金属酸化物焼結体中の全金属元素に対するZn元素の原子比Zn/(Cu+In+Zn)が0.001〜0.9の範囲内であることを特徴とする上記1又は3に記載のスパッタリングターゲット。
6.前記金属酸化物焼結体が、In、CuIn、ZnO及びZnInからなる群から選択される1種又は2種以上の金属酸化物を含有することを特徴とする上記5に記載のスパッタリングターゲット。
7.前記金属酸化物焼結体の下記式(1)で定義される単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)のX線回折ピークの面積比が11%以下であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載のスパッタリングターゲット。
/(I+I+I+I)×100・・・(1)
:単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)ピーク面積
:ビックスバイト型構造を取るIn相の(2 2 2)ピーク面積
:六方晶構造を取るZnIn相の(1 0 11)ピーク面積
:六方晶構造を示すZnO相の(1 0 1)ピーク面積
本発明によれば、全金属元素に対するCu元素の原子比(Cu/全金属元素)を0.09以下にしたスパッタリングターゲットを用いることで、ターゲット表面に発生するノジュールを抑えることができる。Cuを微量添加したターゲットを使用して成膜することで、酸化物半導体薄膜のキャリア濃度を容易に調整することができる。
実施例1で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例2で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例3で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例4で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例5で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例6で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例7で製造したターゲットのX線回折チャートである。 実施例8で製造したターゲットのX線回折チャートである。 比較例1で製造したターゲットのX線回折チャートである。
本発明のスパッタリングターゲットは、In元素及びCu元素を含み、さらにZn元素を含んでいてもよい金属酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットであって、
前記金属酸化物焼結体中の全金属元素に対するCu元素の原子比Cu/全金属元素が0.001〜0.09の範囲内であることを特徴とする。
本発明のスパッタリングターゲットは、金属酸化物焼結体を構成する金属元素が、実質的にIn元素及びCu元素からなるか、又は、実質的にIn元素、Cu元素及びZn元素からなることが好ましい。
本発明において「実質的に」とは、スパッタリングターゲットとしての効果が上記金属酸化物焼結体を構成する金属元素の組成に起因すること、又は金属酸化物焼結体を構成する金属酸化物の95重量%以上100重量%以下(好ましくは98重量%以上100重量%以下)が上記金属元素の酸化物であることを意味する。従って、本発明のスパッタリングターゲットを構成する金属酸化物焼結体は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記元素からなる金属酸化物の他に不可避不純物を含んでいてもよい。
原子比Cu/全金属元素が0.09を超えると、単斜晶構造を持つCuIn相の析出が顕著となる。CuIn相等がターゲット中に多く含まれていると異常放電が発生しノジュールが発生しやすくなる。これは、ターゲットが不均一で局所的に比抵抗の異なる部分が存在し、ターゲットを含む放電系のインピーダンスがスパッタリング中に変動することに起因して異常放電が発生したためと推定される。この局所的に比抵抗が異なる部分はCuIn相等の高抵抗相であることが、X線回折による結晶構造の解析で明らかとなった。従って、これらの個々の高抵抗相のサイズや数、密度を小さくすることが異常放電の抑制に効果的である。
上記スパッタリングターゲットを用いて作製した酸化物半導体薄膜中の原子比Cu/全金属元素が0.09を超えると、キャリア濃度が1013cm−3オーダー以下となりTFTとして動作しないおそれがある。また、原子比Cu/全金属元素が0.001より少ないターゲットを用いてTFT素子を作製した場合、キャリア濃度が1018cm−3オーダー以上となるため、漏れ電流の発生と供に、ノーマリーオンになってしまったり、on−off比が小さくなってしまったりすることにより、良好なトランジスタ性能が発揮できないおそれがある。
以上の観点から、原子比Cu/全金属元素が0.001〜0.09の範囲内であることが必要であり、好ましくは原子比Cu/全金属元素が0.003〜0.08の範囲内、より好ましくは原子比Cu/全金属元素が0.005〜0.06の範囲内である。
本発明のスパッタリングターゲットにおいては、金属酸化物焼結体を構成する金属元素が、実質的にCu元素及びIn元素からなる場合には、原子比Cu/(Cu+In)は0.001〜0.09の範囲内であることが好ましい。
本発明の酸化物焼結体に含まれる各元素の原子比は、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP−AES)を用い、含有元素を分析することにより求めることができる。
例えばICP−AESを用いた分析の場合、溶液試料をネブライザーで霧状にし、アルゴンプラズマ(約6000〜8000℃)に導入すると、試料中の元素は熱エネルギーを吸収して励起され、軌道電子が基底状態から高いエネルギー準位の軌道に移る。この軌道電子は10−7〜10−8秒程度で、より低いエネルギー準位の軌道に移る。この際にエネルギー差を光として放射し発光する。この光は元素固有の波長(スペクトル線)を示すため、スペクトル線の有無により元素の存在を確認できる(定性分析)。また、それぞれのスペクトル線の大きさ(発光強度)は試料中の元素数に比例するため、既知濃度の標準液と比較することで試料濃度を求めることができる(定量分析)。
このように、定性分析で含有されている元素を特定し、定量分析で含有量を求めることで、各元素の原子比を求めることができる。
本発明のスパッタリングターゲットにおいては、金属酸化物焼結体が、がCu元素とIn元素からなる場合、金属酸化物焼結体が、In及びCuInのいずれか一方又は両方の金属酸化物を含有することが好ましい。これらの金属酸化物を含有することによって、粒径が異なる結晶粒が形成されターゲットが緻密化する。
ターゲットの結晶構造はXRD測定により解析することができる。
原子が規則的に並んだ結晶にX線が入射すると、特定の方向で強いX線が観察される、回折現象を生じる。それは、それぞれの位置で散乱されるX線の光路差が、X線の波長の整数倍になっていると、波の位相が一致するため、波の振幅が大きくなることで説明される。物質はそれぞれに特有な規則性を持つ結晶をつくることから、X線回折で化合物の種類を調べることができる。また、結晶の大きさ(結晶の秩序性)、材料中に存在する結晶の方位の分布状態(結晶配向)、結晶に掛かる残留応力の評価を行うこともできる。
本発明のスパッタリングターゲットにおいては、金属酸化物焼結体が、Cu元素、In元素及びZn元素からなる場合、全金属元素に対するZn元素の原子比Zn/(Cu+In+Zn)が0.001〜0.9の範囲内であることが好ましい。
Znを含んだターゲットの場合、Zn元素の原子比が0.001よりも少ない、または0.9より多いと、ノジュールが発生しやすくなるおそれがある。Zn元素の原子比は0.05〜0.8の範囲内であることが好ましく、0.1〜0.7の範囲内であることがより好ましい。
本発明のスパッタリングターゲットにおいては、金属酸化物焼結体がCu元素、In元素及びZn元素からなる場合には、金属酸化物焼結体が、In、CuIn、ZnO及びZnInからなる群から選択される1種又は2種以上の金属酸化物を含有することが好ましい。これらの金属酸化物を含有することによって、粒径が異なる結晶粒が形成されターゲットが緻密化する。
本発明のスパッタリングターゲットにおいては、下記式(1)で定義される単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)のX線回折ピークの面積比が11%以下である上記金属酸化物焼結体からなることが好ましい。さらに好ましくは0.5〜9%、特に好ましくは1〜7%である。前述したように、CuIn相は高抵抗相であるため、これが増加すると、即ち、CuIn相のX線回折ピークの面積比が11%を超えるとターゲット表面にノジュールが発生し、異常放電が発生するおそれがある。
/(I+I+I+I)×100・・・(1)
:単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)ピーク面積
:ビックスバイト型構造を取るIn相の(2 2 2)ピーク面積
:六方晶構造を取るZnIn相の(1 0 11)ピーク面積
:六方晶構造を示すZnO相の(1 0 1)ピーク面積
JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standards)カードを用いることで、単斜晶構造を取るCuIn相、ビックスバイト型構造を取るIn相、六方晶構造を取るZnIn相、および六方晶構造を示すZnO相を確認することができる。
単斜晶構造を取るCuIn相は、JCPDSカードNo.30−0479で確認することができ、(0 1 2)の面を表すピークが該相の最大のピークである。ビックスバイト構造を取るIn相は、JCPDSカードNo.06−0416で確認することができ、(2 2 2)の面を表すピークが該相の最大のピークである。六方晶構造を取るZnIn相は、JCPDSカードNo.20−1440で確認することができ、(1 0 11)の面を表すピークが該相の最大のピークである。六方晶構造を取るZnO相は、JCPDSカードNo.75−0576で確認することができ、(1 0 1)の面を表すピークが該相の最大のピークである。
本発明のスパッタリングターゲットを構成する金属酸化物焼結体の密度は好ましくは6.0g/cm以上(より好ましくは6.2g/cm以上)である。密度が6.0g/cmよりも低いと、酸化物焼結体から形成されるスパッタリングターゲットの表面が黒化したり、異常放電を誘発したり、スパッタ速度が低下したりするおそれがある。スパッタリングターゲットでは、酸化物焼結体の密度は高い方が望ましく、特に好ましくは6.2g/cm以上7.1g/cm以下である。
焼結体中の結晶(In、CuIn、ZnIn等のインジウムの酸化物の結晶)の最大粒径は5μm以下であることが望ましい。結晶の粒径が5μmを超えて成長するとノジュールの原因になる。スパッタによってターゲット表面が削られる場合、その削られる速度が結晶面の方向によって異なり、ターゲット表面に凹凸が発生する。この凹凸の大きさは焼結体中に存在する結晶粒径に依存している。大きい結晶粒径を有する焼結体からなるターゲットでは、その凹凸が大きくなり、その凸部分よりノジュールが発生すると考えられる。
ここで、結晶の最大粒径とは、スパッタリングターゲットの形状が円形の場合、円の中心点(1箇所)と、その中心点で直交する2本の中心線上の中心点と周縁部との中間点(4箇所)の合計5箇所において、また、スパッタリングターゲットの形状が四角形の場合には、その中心点(1箇所)と、四角形の対角線上の中心点と角部との中間点(4箇所)の合計5箇所において1μm四方の枠内で観察される最大の粒子についてその最大径を測定し、これらの5箇所の枠内のそれぞれに存在する最大粒子の粒径の平均値である。
本発明のスパッタリングターゲットを構成する金属酸化物焼結体は、CuO粉をIn粉に混合した原料粉末、又はIn粉及びZnO粉に混合した原料粉末に、水系溶媒を配合し、得られたスラリーを12時間以上混合した後、固液分離・乾燥・造粒し、引き続き、この造粒物を型枠に入れて成形し、その後、得られた成形物を酸素雰囲気中、900〜1600℃で5〜50時間焼成することによって製造できる。
原料粉末の平均粒径は、1.2μm以下であることが望ましい。
得られる金属酸化物焼結体中のCu元素の原子比Cu/全金属元素を0.001〜0.09範囲内とするためには、例えば、平均粒径が1.2μm以下のIn粉末及び平均粒径が1.2μm以下のCuO粉末を原料粉末とし、In粉末とCuO粉末を、Cu/(In+Cu)で示される原子比の値が0.001〜0.09となる割合で調合すればよい。
原料粉末の平均粒径はレーザー回折式粒度分布装置等で測定することができる。
原料粉末の混合には、湿式又は乾式によるボールミル、振動ミル、ビーズミル等を用いることができる。均一で微細な結晶粒及び空孔を得るには、短時間で凝集体の解砕効率が高く、添加物の分散状態も良好となるビーズミル混合法が最も好ましい。
ボールミルによる混合時間は、15時間以上が好ましく、より好ましくは19時間以上である。混合時間が短いと最終的に得られる酸化物焼結体中にCuIn相等の析出が顕著となるおそれがある。
ビーズミルによる粉砕、混合時間は、装置の大きさ、処理する原料粉末のスラリー量によって異なるが、スラリー中の粒度分布がすべて1μm以下と均一になるように調整することが好ましい。
また、原料粉末を混合する際にはバインダーを任意量添加し、同時に混合を行うことが好ましい。バインダーとしては、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル等を用いることができる。
次に、原料粉末スラリーから造粒粉を得る。造粒に際しては、急速乾燥造粒を行うことが好ましい。急速乾燥造粒するための装置としては、スプレードライヤが広く用いられている。具体的な乾燥条件は、乾燥するスラリーのスラリー濃度、乾燥に用いる熱風温度、風量等の諸条件により決定されるため、実施に際しては、予め最適条件を求めておくことが必要となる。自然乾燥を行うと、原料粉末の比重差によって沈降速度が異なるため、In粉末、CuO粉末、ZnO粉末の分離が起こり、均一な造粒粉が得られなくなるおそれがある。
造粒粉に対して、金型プレス又は冷間静水圧プレス(CIP)により、1.2ton/cm以上の圧力で成形を施し、成形体を得ることができる。
本発明のスパッタリングターゲットを構成する金属酸化物焼結体を得るための焼結方法としては、常圧焼結法のほか、ホットプレス、酸素加圧、熱間静水圧等の加圧焼結法も採用することができる。ただし、製造コストの低減、大量生産の可能性、容易に大型の焼結体を製造できるといった観点から、常圧焼結法を採用することが好ましい。
常圧焼結法では、成形体を大気雰囲気、又は酸化ガス雰囲気にて焼結するが、好ましくは酸化ガス雰囲気にて焼結する。
酸化ガス雰囲気は、好ましくは酸素ガス雰囲気である。酸素ガス雰囲気は、酸素濃度が、例えば10〜100vol%の雰囲気であるとよい。本発明のスパッタリングターゲットを構成する金属酸化物焼結体の作製においては、昇温過程にて酸素ガス雰囲気を導入することで、酸化物焼結体密度をより高くすることができる。
焼成温度が900℃未満又は焼成時間が5時間未満であると、CuIn相等の析出が顕著となり、異常放電の原因となる。一方、焼成温度が1600℃を超えるか、又は、焼成時間が50時間を超えると、著しい結晶粒成長により平均結晶粒径の増大、粗大空孔の発生を来し、焼結体強度の低下や異常放電の原因となるおそれがある。
焼成温度は、好ましくは1000〜1600℃、さらに好ましくは1000〜1450℃、特に好ましくは1000〜1350℃である。焼成時間は、好ましくは6〜50時間、さらに好ましくは7〜40時間、特に好ましくは8〜15時間である。
さらに、焼成に際しての昇温速度は、500〜1500℃の温度範囲における昇温速度を1〜15℃/minとすることが好ましい。500〜1500℃の温度範囲は、焼結が最も進行する範囲であり、この温度範囲での昇温速度が1℃/分より遅くなると、結晶粒成長が著しくなって、高密度化を達成することができない。一方、昇温速度が15℃/minより速くなると、焼結炉内の均熱性が低下し、その結果、焼結中の収縮量に分布が生じて、焼結体が割れてしまうことがある。
必要に応じて、焼結体の還元工程を設けてもよい。還元工程は、上記焼成工程で得られた焼結体のバルク抵抗をターゲット全体で均一化するためのものである。
本工程で適用することができる還元方法としては、例えば、還元性ガスによる方法や真空焼成又は不活性ガスによる還元等が挙げられる。
還元性ガスによる還元処理の場合、水素、メタン、一酸化炭素、又はこれらのガスと酸素との混合ガス等を用いることができる。
不活性ガス中での焼成による還元処理の場合、窒素、アルゴン、又はこれらのガスと酸素との混合ガス等を用いることができる。
還元処理時の温度は、通常100〜800℃、好ましくは200〜800℃である。また、還元処理の時間は、通常0.01〜10時間、好ましくは0.05〜5時間である。
焼結体の製造工程における諸条件を上記の通りに制御することにより、密度が6.0g/cm以上であり、平均結晶粒径が10μm以下である酸化物焼結体を得ることができる。
上記のようにして得られた金属酸化物焼結体をさらに機械的に加工することにより本発明のスパッタリングターゲットとすることができる。具体的には上記の酸化物焼結体をスパッタリング装置への装着に適した形状に切削加工することでスパッタリングターゲット素材とする。
酸化物焼結体をターゲット素材とするには、上記焼結体を、例えば、平面研削盤で研削して表面粗さRaが5μm以下の素材とする。ここで、さらにターゲット素材のスパッタ面に鏡面加工を施して、平均表面粗さRaが1000オングストローム以下としてもよい。この鏡面加工(研磨)は機械的な研磨、化学研磨、メカノケミカル研磨(機械的な研磨と化学研磨の併用)等の公知の研磨技術を用いることができる。例えば、固定砥粒ポリッシャー(ポリッシュ液:水)でNo.2000以上にポリッシングしたり、又は遊離砥粒ラップ(研磨材:SiCペースト等)にてラッピング後、研磨材をダイヤモンドペーストに換えてラッピングすることによって得ることができる。このような研磨方法には特に制限はない。
ターゲット素材の表面は200〜10,000番のダイヤモンド砥石により仕上げを行うことが好ましく、400〜5,000番のダイヤモンド砥石により仕上げを行うことが特に好ましい。200番より小さい、又は10,000番より大きいダイヤモンド砥石を使用するとターゲット素材が割れやすくなるおそれがある。
ターゲット素材は、表面粗さRaが0.5μm以下であり、方向性のない研削面を備えていることが好ましい。Raが0.5μmより大きかったり、研磨面に方向性があると、異常放電が起きたり、パーティクルが発生するおそれがある。
次に、得られたターゲット素材を清浄処理する。清浄処理にはエアーブロー又は流水洗浄等を使用できる。エアーブローで異物を除去する際には、ノズルの向い側から集塵機で吸気を行なうとより有効に除去できる。尚、上記のエアーブローや流水洗浄では限界があるので、さらに超音波洗浄等を行なうこともできる。この超音波洗浄は周波数25〜300KHzの間で多重発振させて行なう方法が有効である。例えば周波数25〜300KHzの間で、25KHz刻みに12種類の周波数を多重発振させて超音波洗浄を行なうのが良い。
ターゲット素材の厚みは通常2〜20mm、好ましくは3〜12mm、特に好ましくは4〜6mmである。
上記のようにして得られたターゲット素材をバッキングプレートへボンディングすることによって本発明のスパッタリングターゲットを得ることができる。また、複数のターゲット素材を一つのバッキングプレートに取り付け、実質一つのターゲットとしてもよい。
以下、本発明のスパッタリングターゲットについて実施例を示してさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<ターゲットの製造>
実施例1−8
平均粒径0.98μmのIn粉、平均粒径0.96μmのCuO粉及び平均粒径0.98μmのZnO粉を、表1に示すターゲット組成となるように秤量し、均一に微粉砕混合後、成形用バインダーを加えて造粒した。次に、この原料混合粉を金型へ均一に充填しコールドプレス機にてプレス圧140MPaで加圧成形した。このようにして得た成形体を焼結炉により表1に示す焼成温度及び焼成時間で焼成して、焼結体を製造した。
焼成雰囲気は昇温中は酸素雰囲気で、その他は大気中(雰囲気)であり、焼成は、昇温速度1℃/min、降温速度15℃/minで実施した。
尚、用いた原料酸化物粉末の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製)で測定した値であり、平均粒径はメジアン径D50を採用した。
得られた焼結体についてX線回折測定装置(リガク製Ultima−III)により結晶構造を調べた。実施例1−8の焼結体のX線回折チャートをそれぞれ図1−8に示す。
チャートを分析した結果、実施例1−8の焼結体ではInのビックスバイト構造、ZnInの六方晶構造及びCuInの単斜晶構造が観測された。当該結晶構造は、JCPDS(Joint Committee of Powder Diffraction Standards)カードで確認した。Inのビックスバイト構造は、JCPDSカードNo.06−0416、ZnInの六方晶構造はJCPDSカードNo.20−1440、CuInの単斜晶構造はJCPDSカードNo.30−0479である。
下記式(1)で定義される単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)のX線回折のピーク面積比をそれぞれの実施例に対して求めた結果を表1に示す。
/(I+I+I+I)×100・・・(1)
:単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)ピーク面積
:ビックスバイト型構造を取るIn相の(2 2 2)ピーク面積
:六方晶構造を取るZnIn相の(1 0 11)ピーク面積
:六方晶構造を示すZnO相の(1 0 1)ピーク面積
上記X線回折測定(XRD)の測定条件は以下の通りである。
装置:(株)リガク製Ultima−III
X線:Cu−Kα線(波長1.5406Å、グラファイトモノクロメータにて単色化)
2θ−θ反射法、連続スキャン(1.0°/分)
サンプリング間隔:0.02°
スリット DS、SS:2/3°、RS:0.6mm
得られた焼結体の密度を、一定の大きさに切り出した焼結体の重量と外形寸法により算出した。
得られた焼結体について、EPMA測定によりCuの分散を調べた。その結果、1μm以上のCu原子の集合体は観測されず、実施例1−8の焼結体は分散性、均一性が極めて優れていることが分かった。
EPMAの測定条件は以下の通りである。
装置名:JXA−8200(日本電子株式会社製)
加速電圧:15kV
照射電流:50nA
照射時間(1点当り):50mS
実施例1−8で得られた酸化物焼結体の表面を平面研削盤で研削し、側辺をダイヤモンドカッターで切断し、バッキングプレートに貼り合わせ、それぞれ4インチφのスパッタリングターゲットとした。
得られたスパッタリングターゲットを、DCスパッタリング装置に装着し、スパッタガスとしてアルゴンを用いて、スパッタ圧0.4Pa、基板温度:室温、DC出力400Wにて、10kWh連続スパッタを行い、スパッタ中の電圧変動をデータロガーに蓄積し、異常放電の有無を確認した。結果を表1に示す。
尚、上記異常放電の有無は、電圧変動をモニターし異常放電を検出することにより行った。具体的には、5分間の測定時間中に発生する電圧変動がスパッタ運転中の定常電圧の10%以上あった場合を異常放電とした。特にスパッタ運転中の定常電圧が0.1秒間に±10%変動する場合は、スパッタ放電の異常放電であるマイクロアークが発生しており、素子の歩留まりが低下し、量産化に適さないおそれがある。
また、実施例1−8のスパッタリングターゲットを用いて、雰囲気としてアルゴンガスに3%の水素ガスを添加した混合ガスを使用し、30時間連続してスパッタリングを行い、ノジュールの発生の有無を確認した。その結果、実施例1−8のスパッタリングターゲット表面において、ノジュールは観測されなかった。
尚、スパッタ条件は、スパッタ圧0.4Pa、DC出力100W、基板温度:室温であり、雰囲気ガスに添加した水素ガスは、ノジュールの発生を促進するためである。
ノジュールは、スパッタリング後のターゲット表面の変化を実体顕微鏡により50倍に拡大して観察し、視野3mm中に発生した20μm以上のノジュールについて数平均を計測する方法を採用した。発生したノジュール数を表1に示す。
比較例1−3
平均粒径0.98μmのIn粉、平均粒径0.96μmのCuO粉及び平均粒径0.98μmのZnO粉を表1に示すターゲット組成となるように秤量し、表1に示す焼成温度及び焼成時間で焼成した他は実施例1−8と同様にしてターゲットを製造し、評価した。結果を表1に示す。
表1から分かるように、比較例1−3のターゲットおいて異常放電が発生し、ターゲット表面にはノジュールが観測された。
比較例1のターゲットのX線回折により得られたチャートを図9に示す。
比較例1のターゲットでは、X線回折チャートにおいてInのビックスバイト構造、ZnInの六方晶構造、ZnOの六方晶構造、CuInの単斜晶構造が観測された。
当該結晶構造は、JCPDSカードで確認した。Inのビックスバイト構造は、JCPDSカードNo.06−0416、ZnInの六方晶構造はJCPDSカードNo.20−1440、ZnOの六方晶構造は、JCPDSカードNo.75−0576、CuInの単斜晶構造はJCPDSカードNo.30−0479である。
実施例1−8と同様に、比較例1−3についてXRDのピーク面積比を求めた結果を表1に示す。
<成膜評価>
実施例9
ガラス基板上及び厚み100nmの熱酸化膜(SiO)付きシリコン基板上にそれぞれ実施例4で得られたターゲット(Cu/全金属元素=0.051)を用いてDCマグネトロンスパッタリング法により膜厚50nmの薄膜をそれぞれ成膜した。
上記スパッタリングは、背圧が5×10−4Paとなるまで真空排気した後、アルゴンを9sccm、酸素を1sccmで流しながら、圧力を0.4Paに調整し、スパッタ出力100Wにて室温で行った。
この薄膜を形成したガラス基板を空気中、150℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行った。アニール処理後の薄膜のキャリア濃度及び移動度をHall効果測定で評価したところ、キャリア濃度は9.55×1016cm−3であり、ホール移動度は20.1cm/Vsであった。
尚、ホール測定装置、及びその測定条件は下記の通りであった、
・ホール測定装置
東陽テクニカ製:Resi Test8310
・測定条件
測定温度:室温(25℃)
測定磁場:0.45T
測定電流:10−12〜10−4
測定モード:AC磁場ホール測定
シリコン基板上に成膜した薄膜について、当該導電性シリコン基板上に金属マスクを設置し、L:200μm、W:1000μmのチャネル部を形成し、ソース・ドレイン電極として金を蒸着して形成した。当該素子を150℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行うことで薄膜トランジスタを製造した。測定は半導体パラメーターアナライザー(ケースレー4200)を用い、室温、大気中、かつ遮光環境下で測定した。その結果、作製した薄膜トランジスタは、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであり、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
実施例10
ガラス基板上及び厚み100nmの熱酸化膜(SiO)付きシリコン基板上にそれぞれ実施例5で得られたターゲット(Cu/全金属元素=0.084)を用いた以外は実施例9と同様な条件で薄膜を作製した。
この薄膜を形成したガラス基板を空気中、200℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行った。アニール処理後の薄膜のキャリア濃度及び移動度をHall効果測定で評価したところ、キャリア濃度は2.56×1016cm−3であり、ホール移動度は22.1cm/Vsであった。
シリコン基板上に成膜した薄膜について、当該導電性シリコン基板上に金属マスクを設置し、L:200μm、W:1000μmのチャネル部を形成し、ソース・ドレイン電極として金を蒸着して形成した。当該素子を200℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行うことで薄膜トランジスタを製造した。その結果、作製した薄膜トランジスタは、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであり、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
実施例11
ガラス基板上及び厚み100nmの熱酸化膜(SiO)付きシリコン基板上にそれぞれ実施例8で得られたターゲット(Cu/全金属元素=0.079)を用いた以外は実施例9と同様な条件で薄膜を作製した。
この薄膜を形成したガラス基板を空気中、300℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行った。アニール処理後の薄膜のキャリア濃度及び移動度をHall効果測定で評価したところ、キャリア濃度は7.99×1017cm−3であり、ホール移動度は29.2cm/Vsであった。
シリコン基板上に成膜した薄膜について、当該導電性シリコン基板上に金属マスクを設置し、L:200μm、W:1000μmのチャネル部を形成し、ソース・ドレイン電極として金を蒸着して形成した。当該素子を300℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行うことで薄膜トランジスタを製造した。その結果、作製した薄膜トランジスタは、ノーマリーオフの特性を示す薄膜トランジスタであり、出力特性は明瞭なピンチオフを示した。
比較例4
ガラス基板上及び厚み100nmの熱酸化膜(SiO)付きシリコン基板上にそれぞれ比較例1で得られたターゲット(Cu/全金属元素=0.13)を用いた以外は実施例9と同様な条件で薄膜を作製した。
この薄膜を形成したガラス基板を空気中、300℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行った。アニール処理後の薄膜のキャリア濃度及び移動度をHall効果測定で評価したところ、キャリア濃度が1013cm−3オーダー以下であり測定限界以下であった。
シリコン基板上に成膜した薄膜について、当該導電性シリコン基板上に金属マスクを設置し、L:200μm、W:1000μmのチャネル部を形成し、ソース・ドレイン電極として金を蒸着して形成した。当該素子を300℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行うことで薄膜トランジスタを製造した。その結果、作製した薄膜トランジスタは、キャリア濃度が1013オーダーcm−3以下と低いためにTFT特性を示さなかった。
比較例5
ガラス基板上にInのスパッタリングターゲットを用いた以外は実施例9と同様な条件で薄膜を作製した。
この薄膜を形成したガラス基板を空気中、300℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行った。アニール処理後の薄膜のキャリア濃度及び移動度をHall効果測定で評価したところ、キャリア濃度は5.1×1018cm−3であり、ホール移動度は18.2cm/Vsであった。
作製した薄膜は、キャリア濃度が1018cm−3を超えるため、薄膜トランジスタを構成したときに漏れ電流が発生してしまうとともに、ノーマリーオンになってしまったり、on−off比が小さくなってしまったりすることにより、良好なトランジスタ性能が発揮できないおそれがある。
比較例6
ガラス基板上にターゲット組成比(重量比)In:ZnO=90:10のスパッタリングターゲットを用いた以外は実施例9と同様な条件で薄膜を作製した。
この薄膜を形成したガラス基板を空気中、300℃に加熱した加熱炉内に投入し、1時間処理を行った。アニール処理後の薄膜のキャリア濃度及び移動度をHall効果測定で評価したところ、キャリア濃度は8.9×1019cm−3であり、ホール移動度は37.8cm/Vsであった。
作製した薄膜は、キャリア濃度が1018cm−3オーダーを超えるため、薄膜トランジスタを構成したときに漏れ電流が発生してしまうとともに、ノーマリーオンになってしまったり、on−off比が小さくなってしまったりすることにより、良好なトランジスタ性能が発揮できないおそれがある。
本発明のスパッタリングターゲットによれば、スパッタ成膜する際に発生するノジュールを抑制し、酸化物半導体膜を安定かつ再現性よく得ることができるため、薄膜トランジスタ(TFT)を効率的に製造することができる。
本発明のスパッタリングターゲットを用いて成膜された薄膜トランジスタは、半導体メモリ集積回路の単位電子素子、高周波信号増幅素子、液晶駆動用素子等として有用である。

Claims (7)

  1. In元素及びCu元素を含み、さらにZn元素を含んでいてもよい金属酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲットであって、
    前記金属酸化物焼結体中の全金属元素に対するCu元素の原子比Cu/全金属元素が0.001〜0.09の範囲内であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記金属酸化物焼結体を構成する金属元素が、実質的にCu元素及びIn元素からなることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記金属酸化物焼結体を構成する金属元素が、実質的にIn元素、Cu元素及びZn元素からなることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記金属酸化物焼結体が、In及びCuInのいずれか一方又は両方の金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記金属酸化物焼結体中の全金属元素に対するZn元素の原子比Zn/(Cu+In+Zn)が0.001〜0.9の範囲内であることを特徴とする請求項1又は3に記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記金属酸化物焼結体が、In、CuIn、ZnO及びZnInからなる群から選択される1種又は2種以上の金属酸化物を含有することを特徴とする請求項5に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 前記金属酸化物焼結体の下記式(1)で定義される単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)のX線回折ピークの面積比が11%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスパッタリングターゲット。
    /(I+I+I+I)×100・・・(1)
    :単斜晶構造を取るCuIn相の(0 1 2)ピーク面積
    :ビックスバイト型構造を取るIn相の(2 2 2)ピーク面積
    :六方晶構造を取るZnIn相の(1 0 11)ピーク面積
    :六方晶構造を示すZnO相の(1 0 1)ピーク面積
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