JP2010219012A - 電池用セパレータ、これを用いた電池、及びこれを用いた車両及び電池搭載機器 - Google Patents

電池用セパレータ、これを用いた電池、及びこれを用いた車両及び電池搭載機器 Download PDF

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Abstract

【課題】負極板からセパレータにまで延びたデンドライトの成長を抑制し、また、金属Liの増加を抑制することができる電池用セパレータ及び、この電池用セパレータを用いた、安全性の高い電池を提供すると共に、電池を搭載した車両、電池搭載機器を提供する。
【解決手段】電池用セパレータ10は、表面と裏面とを有する板状で、電池に使用した場合に、正極板側の電解液と負極板30側の電解液とを隔離しつつ、上記表面と裏面との間で、リチウムイオンの流通を可能としてなり、絶縁性樹脂からなる絶縁樹脂材11,13と、絶縁樹脂材11,13の内部に配置され、導電性を有し、リチウム原子を吸蔵可能なLi吸蔵材12BGと、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池(以下、単に電池ともいう。)の発電要素に用いる電池用セパレータに関し、さらには、これを用いた電池、これを用いた車両及び電池搭載機器に関する。
従来より、リチウムイオン二次電池では、正極板と負極板との間に電池用セパレータを介在させた発電要素に、電解液を含浸させている。
ところで、低温下で大きな電流で充電するなどの条件下では、負極板にLiが析出して、この負極板から金属Liがデンドライト(樹枝状結晶)として成長することがある。このようなデンドライトが成長し続けると、セパレータを突き破って正極板にまで届く、あるいは、正極板に接近することで、自身が経路となって短絡する不具合を生じることがある。
また、このほか、析出したデンドライト(金属Li)が折れると、負極板との導通しない状態で、反応性の高い金属Liが存在することもある。このように、デンドライトあるいはこれに起因する金属Liが多く存在すると、他の部位が短絡したり過充電により発熱した場合に、周囲にある反応性の高い金属Liまでもが反応して、さらに発熱が生じる不具合に繋がりやすい。
これに対して、特許文献1には、熱可塑性樹脂を含む第1の層と、熱硬化性樹脂を含む第2の層とを備える多層構造を有するセパレータが開示されている。このものでは、短絡を生じても、熱硬化性樹脂を含む第2の層が、一定の厚さを一定の時間維持するために、熱可塑性樹脂のみで形成されているセパレータとは異なり、内部短絡面積の拡大を抑制でき、その結果、熱暴走を抑制できると記載されている(特許文献1:(0020)参照)。
特開2005−38793号公報
しかしながら、この特許文献1に記載のセパレータでは、デンドライトの成長を抑制することも、反応性の高い金属Liが増加することを抑制することもできなかった。
かかる問題点に鑑みて、負極板からセパレータにまで延びたデンドライトの成長を抑制し、また、金属Liの増加を抑制することができる電池用セパレータを提供することを課題とする。また、この電池用セパレータを用いた、安全性の高い電池を提供することを課題とする。また、このような電池を搭載した車両、及び、このような電池を用いた電池搭載機器を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、表面と裏面とを有する板状で、電池に使用した場合に、正極板側の電解液と負極板側の電解液とを隔離しつつ、上記表面と裏面との間で、リチウムイオンの流通を可能としてなる電池用セパレータであって、絶縁性樹脂からなる絶縁樹脂材と、上記絶縁樹脂材の内部に配置され、導電性を有し、リチウム原子を吸蔵可能なLi吸蔵材と、を備える電池用セパレータである。
前述したように、リチウムイオン二次電池では、負極板に金属Liが析出して、デンドライトが形成されるため、このデンドライトあるいはこれに起因する金属Liの存在により、短絡の発生や、短絡時の発熱量増加が生じることがある。
これに対し、上述の電池用セパレータは、絶縁樹脂材の内部にLi吸蔵材を含んでいる。このため、このセパレータをリチウムイオン二次電池の発電要素に用いれば、金属Liが析出して負極板からデンドライトが成長しても、これがセパレータ内のLi吸蔵材に届くと、この吸蔵材がデンドライトを介して負極板と導通すると共に、さらに析出しようとする金属Liを吸蔵する。これにより、デンドライトがこれ以上延びて、セパレータを突き抜けて、正極板と短絡する危険性を減少させることができる。
また、Li吸蔵材に吸蔵されたLiは、金属Liで存在する場合よりも安定であるので、金属Liのように反応しない。このため、他の部位で短絡等が生じて、デンドライトをなす金属Liが反応して、発熱した場合でも、その反応に与る金属Liの量を従来よりも抑えることができる。かくして、万一電池に短絡が生じても、これに伴う金属Liの反応による発熱を抑え、安全に電池機能を終了することができる、安全性の高いリチウムイオン二次電池とすることができる。
その一方で、このLi吸蔵材の外側には、絶縁樹脂材が存在している。このため、内部に導電性を有するLi吸蔵材を含んでいても、この電池用セパレータが正極板と短絡し、あるいはデンドライトがない状態で負極板と短絡することも無い。従って、この電池用セパレータは、通常のセパレータと同じように、電池に使用することができる。
なお、電池用セパレータは、電池に使用した場合に、全体として、正極板側の電解液と負極板側の電解液とを隔離しつつ、表面と裏面との間で、リチウムイオンの流通を可能としてなるものである。
従って、例えば、絶縁樹脂材を、セパレータ本来の機能を果たす、リチウムイオンが透過できる微孔を有する材質からなるものとし、その内部に、Li吸蔵材を配置したものが挙げられる。この場合、Li吸蔵材も、リチウムイオンの流通を可能なものとすると良い。あるいは、Cu箔などの金属箔や樹脂フィルムにLi吸蔵材を担持させ、これを絶縁樹脂材内に配置しても良い。但し、後者の場合には、担持する金属箔や樹脂フィルムについても、リチウムイオンの流通を確保するため、孔を多数開けておく(パンチングメタル状に)、あるいはセパレータ本来の機能を果たす微孔を有する樹脂フィルムを用いることが考えられる。
また、絶縁性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、PE/PP/PEの複層構造の樹脂が挙げられる。
また、Li吸蔵材としては、導電性を有し、リチウム原子を自身の構造内に吸蔵しうる特性を有するものである。
例えば、リチウムイオン二次電池における負極活物質として用いられる材料が挙げられ、具体的には、グラファイト等の炭素系材料が挙げられる。また、Li吸蔵特性を有するSiやSnの合金も挙げられる。また、Li吸蔵特性を有する導電性の有機高分子、例えばポリチオフェンやポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリイソチアラフテンが挙げられる。
さらに、Li吸蔵材は、絶縁樹脂材の内部に配置する手法としては、Li吸蔵材単体を絶縁樹脂材内に配置しても良いし、銅箔や樹脂フィルムなどの担持体にLi吸蔵材を担持させ、これを絶縁樹脂材の内部に配置しても良い。
さらに、上述の電池用セパレータであって、層構造をなし、絶縁性樹脂からなり、外部に面する外部層と、上記外部層に挟まれて、上記電池用セパレータの積層方向の内部に位置し、前記Li吸蔵材を含む内部層と、を備える電池用セパレータとすると良い。
このセパレータは、層構造としているので、層に沿う方向(平面方向)について、均一な特性とすることができ、平面的な拡がりを持つ正極板と負極板との間で、場所によらず、前述のようにして、デンドライトの成長を抑制し、また、Liの反応に伴う温度上昇を抑えることができる。
なお、内部層としては、Li吸蔵材のみからなるものとすることもできるし、Li吸蔵材を銅箔の金属箔や樹脂フィルム等に担持させたものとすることもできる。また、外部層をなす絶縁樹脂材を同様の絶縁樹脂材に、Li吸蔵材を被着したものとすることもできる。
本発明の他の態様は、正極板、負極板、及び、上記正極板と上記負極板との間に介在する、上述の電池用セパレータ、からなる発電要素を備えるリチウムイオン二次電池である。
このリチウムイオン二次電池の発電要素は、正極板と上記負極板との間に、前述の電池用セパレータを有する。このため、析出する金属Liの量を抑制し、短絡等に不具合時にも、金属Liの反応による発熱を抑制できる。
本発明の他の態様は、上述のリチウムイオン二次電池を搭載し、上記リチウムイオン二次電池の電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する車両である。
この車両では、使用するリチウムイオン二次電池の安全性が高く、車両全体としても安全性の高い車両となし得る。
なお、車両としては、その動力源の全部あるいは一部に電池による電気エネルギを使用している車両であれば良く、例えば、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、プラグイン電気自動車、ハイブリッド鉄道車両、フォークリフト、電気車いす、電動アシスト自転車、電動スクータが挙げられる。
さらに、本発明の他の態様は、前述のリチウムイオン二次電池を搭載し、上記リチウムイオン二次電池の電気エネルギーを使用して作動する電池搭載機器である。
この電池搭載機器では、使用するリチウムイオン二次電池の安全性が高い。このため、電池搭載機器全体としても安全性の高い電池搭載機器となし得る。
なお、このような電池機器としては、電池を搭載しこれをエネルギー源の少なくとも1つとして利用する機器であれば良く、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電池駆動の電動工具、無停電電源装置など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器が挙げられる。
実施形態に係るセパレータの説明図である。 実施形態にかかる電池の説明図である。 実施形態にかかる電池における、正極板及び負極板と、セパレータとの関係を示す拡大断面図である。 変形形態にかかるセパレータの説明図である。 実施形態2に係る車両の説明図である。 実施形態3にかかるハンマドリルの説明図である。
(実施形態)
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態にかかるセパレータ10、及び、これを用いた電池40について説明する。図1に本実施形態のセパレータ10の構造を、図2に本実施形態の電池40の構造を、図3に発電要素41の断面構造を示す。
まず、セパレータ10について説明する(図1参照)。このセパレータ10は、帯状で、積層方向STに、第1層11、第2層12、及び第3層13がこの順に積層された、3層構造を有している。
このうち、第1層11及び第3層13は、PE/PP/PEの3重構造からなり、通常のセパレータとして用いうる構造、即ち、電池に使用した場合に、正極板側の電解液と負極板側の電解液とを隔離しつつ、表面と裏面との間で、リチウムイオンの透過できる微孔を多数有する、絶縁性の材質からなっている。
一方、第1層11及び第3層13に挟まれて、これらの内側に位置する第2層12は、後述する負極板30に近似の構造を有している。即ち、第2層12は、銅箔12Aの両面に、グラファイト12BGと結着剤のPVDFとの混合体からなるLi吸蔵材層12Bを塗着してなる。このLi吸蔵材層12Bのうち、負極活物質にとしても使用されるグラファイト12BGが、析出したLi(金属Li)をその構造中に吸蔵して、Liを安定化させるLi吸蔵材である。
なお、第2層12には、各所に多数の透孔12Hが形成されている。このため、セパレータ10を電池40(発電要素41)に使用した場合に、この透孔12Hを通じて、電解液45中のリチウムイオンが流通可能となっている。
次いで、このセパレータ10を用いた電池40について説明する(図2参照)。この電池40は、電池ケース本体47Aを蓋体47Bで封着した矩形箱形の電池ケース47内に、破線で示すように、捲回型の発電要素41及びこれに含浸された電解液45を収容している。
このうち、発電要素41は、帯状の正極板20と同じく帯状の負極板30とを、上述の帯状のセパレータ10を介して捲回したものであり、図3に示すように、正極板20と負極板30との間に、セパレータ10が交互に介在する構造とされている。なお、図示しないが、正極板20と負極板30との間、つまり、セパレータ10及びその周囲には、電解液45が含浸されている。
この発電要素41のうち正極板20は、アルミニウムからなる帯状の正極箔21と、この正極箔21の一方の長辺付近を残して、この両面に塗着された正極活物質層22とを有している。この正極活物質層22は、正極活物質としてLiNiO2を含むと共に、導電化材としてアセチレンブラック(AB)、結着剤としてPVDFを含んでいる。
一方、負極板30は、銅からなる帯状の負極箔31と、この負極箔31の一方の長辺付近を残して、この両面に塗着された負極活物質層32とを有している。この負極活物質層32は、負極活物質としてグラファイトを含むと共に、結着剤としてPVDFを含んでいる。
また、発電要素41の捲回軸に沿う方向(図2中、左右方向)の端部は、一方が、正極箔21が露出して捲回された正極リード部20Lとされ、他方が、負極箔31が露出して捲回された負極リード部30Lとされている。
そして、この正極リード部20Lには正極集電部材42が、負極リード部30Lには負極集電部材43が、接続されている。この正極集電部材42の一部は、電池ケース47の蓋体47Bから突出して、正極端子部42Aをなしている。また、同様に、負極集電部材43の一部は、電池ケース47の蓋体47Bから突出して、負極端子部43Aをなしている。
電解液45は、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との混合有機溶媒に溶質(LiPF6)を添加した有機電解液である。
この電池40では、セパレータ10を介して、電解液45中のリチウムイオンが移動して、電池反応を生じ、充電及び放電が可能となる。このうち、充電に当たっては、通常、リチウムイオンが負極板30でリチウム原子となると共に、その負極活物質層32(負極活物質であるグラファイト)に吸蔵される。
しかしながら、例えば、0℃以下などの低温下で、大きな充電電流(例えば、10Cなど)で充電した場合、負極活物質層32に吸蔵されることなく、この負極板30(負極活物質層32)で金属Liとして析出することがある。この場合、析出した金属Liは、デンドライト(樹枝状結晶)DLとして、正極板20の方向に向けて成長する(図1参照)。
このデンドライトDLは、従来の電池であれば、セパレータ内を突き破って成長する。そしてついに、正極板に達すると、電池が短絡ということになる。
また、デンドライトDLが成長する段階で、金属LiからなるデンドライトDLが折れて、負極板30と導通しない状態で、セパレータ10内、あるいは、負極板30とセパレータ10との間などに、貯まった状態となる。
しかしながら、本実施形態の電池40では、前述のセパレータ10を用いているので、デンドライトDLが、そのうちの第3層13内で成長して、第2層12にまで届くと、第2層12の電位は、負極板30の電位となる。第2層12が、デンドライトDLを通じて、負極板30と導通するからである。そしてこの状態では、デンドライトDLを成長させるはずの金属Liは、第2層12に含まれるLi吸蔵材、具体的にはグラファイト12BGに吸蔵される。
このため、これ以上、正極板20に向けて、デンドライトDLが成長することが防止される。また、第2層12に含まれるグラファイト(Li吸蔵材)12BGに吸蔵されたLiは、金属Liよりも安定である。このため、デンドライトDL、あるいはこれが折れたものが、セパレータ10内などに存在していたとしても、その量(金属Liの量)も抑えられる。
かくして、電池40において、デンドライトDLによって、正極板20と負極板30とが短絡することを、効果的に防止することができる。
さらに、万一、短絡等によって電池40が発熱した場合、従来であれば、発熱部位の付近の金属Liである、デンドライト及びこれが折れたものが反応して、さらに発熱することになる。
これに対し、本実施形態の電池40では、グラファイト(Li吸蔵材)12BGに吸蔵されたLiは安定であるので、発熱により反応する金属Liの量が抑制されることから、電池40の不具合時の発熱量をも抑制することができる。
なお、第1層11、及び、第3層13により、第2層12と正極板20及び負極板30との絶縁を図ることができる。また、第1層11、及び、第3層13により、セパレータ10は、セパレータ本来の役割をも、果たすことができる。
さらに、第2層12には、透孔12Hが多数形成されていることから、第1層11、この透孔12H、及び第3層13を通じて、通常のセパレータと同じく、リチウムイオンの流通を行わせることができる。
このように、本実施形態のセパレータ10は、絶縁性樹脂からなる第1層11及び第3層13と、この内部に配置されたグラファイト12BGと、を備える。
このため、万一、電池40に短絡が生じても、これに伴う金属Liの反応による発熱を抑え、安全に電池機能を終了することができる、安全性の高い電池40とすることができる。
さらに、本実施形態のセパレータ10は、層構造をなし、絶縁性樹脂からなり、外部に面する第1層11及び第3層13と、これらに挟まれて、積層方向STの内部に位置し、グラファイト12BGを含む第2層12と、を備える。
このようにセパレータ10は、層構造としているので、層に沿う方向(平面方向)について、均一な特性とすることができ、平面的な拡がりを持つ正極板20と負極板30との間で、場所によらず、前述のようにして、デンドライトDLの成長を抑制し、金属Liの増加を抑制し、短絡やLiの反応に伴う温度上昇を抑えることができる。
(実験例)
これを確かめるため、上述の正極板20,セパレータ10,負極板30,及び電解液45を用いて、図2とは異なる形態である、18650型の試験用電池(図示しない)を作製した。また、比較例として、上述のセパレータ10に代えて、PE/PP/PEの3重構造の樹脂フィルム1層のみをセパレータとして用いた電池を作製した。次いで、これら試験用電池及び比較例の電池について、Li析出操作を行った後、過充電試験を行い、温度上昇の大きさを測定した。以下に説明する。
まず、Li析出操作として、環境温度を0℃とした恒温槽中で、上述の試験用電池に、充放電パターンを、充電30C×20秒、休止15分、放電30C×20秒、休止15分のサイクルとしたパターンで、500サイクルに亘って、充放電を行った。この充放電パターンは、Liが析出し、デンドライトが成長しやすいパターンである。
なお、この充放電の前後における電池容量を測定したところ、試験用電池の容量維持率は52%、比較例電池の容量維持率は54%であった。
次いで、過充電試験として、SOCを100%とした試験用電池及び比較例電池について、環境温度25℃において、電流値5Cの過充電を行ったところ、両者とも異常昇温した。但し、上記実施形態に準ずる試験用電池については、最高温度が200℃にとどまったのに対し、比較例電池では、最高温度が442℃にまで上昇した。
この様に差異が生じたのは、試験用電池では、セパレータに、前述の構成を有するセパレータ10を用いたため、前述したように、セパレータ10のうちの第2層12に含まれるLi吸蔵材(グラファイト)にLi金属が吸蔵されたために、デンドライトDLの成長が妨げられたためであると考えられる。従って、セパレータ10による効果が確認できたと言える。
本実施形態のセパレータ10は、以下のようにして作成する。帯状の銅箔12Aの表裏面12A1,12A2に、それぞれ、グラファイト12BGおよびPVDFを溶媒と共に分散、混練したペーストを塗布し乾燥させ、第2層12を形成する。これを、絶縁樹脂材からなる帯状の第1層11と第3層13との間に挟むように、三者を積層する。これによりセパレータ10を得ることができる。
また、電池40は、以下のようにして形成する。即ち、帯状の正極板20及び帯状の負極板を、帯状のセパレータ10を介して捲回して、発電要素41を形成する。別途、蓋体47Bに、正極集電部材42及び負極集電部材43を取り付けたものを形成しておく。この発電要素41の正極リード部20Lに正極集電部材42を取り付ける。同様に、この発電要素41の負極リード部30Lに負極集電部材43を取り付ける。その後、発電要素41を、ケース本体47Aに収容し、ケース本体47Aと蓋体47Bとをレーザ溶接により封止し、電池40を完成する。
(変形形態)
次いで、変形形態にかかるセパレータ310について、図4を参照して説明する。
前述した実施形態のセパレータ10は、銅箔12Aの両面にグラファイト12Bを含むLi吸蔵層12Bを設けたものを第2層12とし、これを第1層11及び第3層13で挟んだ形態とした。
これに対し、本変形形態のセパレータ310は、第1層11及び第3層13は同様であるが、第2層312層の構成が異なっている。即ち、この第2層312は、具体的には、ポリエチレンからなり、通常のセパレータとして用いうる、リチウムイオンの透過可能な微孔を多数有する、絶縁性の樹脂材からなる絶縁樹脂層312Aと、この表裏面312A1,312A2にそれぞれ形成された、ポリチオフェンからなる有機導電膜312Bとからなる。
このポリチオフェンからなる有機導電膜312Bも、前述したグラファイトと同様、自身に接触した金属Liを、その構造内にLiを吸蔵しうる特性を有するものである。
従って、実施形態と同様、負極板30から延びたデンドライトDLが、第1層11あるいは第3層13を突き抜けて、有機導電膜312Bに届くと、デンドライトDLを成長させるはずの金属Liは、第2層312の有機導電膜312Bに吸蔵される。
このため、これ以上、正極板20に向けて、デンドライトDLが成長することが防止される。また、有機導電膜312はLi吸蔵材であるため、これに吸蔵されたLiは、金属Liよりも安定である。このため、デンドライトDL、あるいはこれが折れたものが、セパレータ310内などに存在していたとしても、その量(金属Liの量)も抑えられる。
かくして、これを用いた電池340(図2参照)において、実施形態と同様、デンドライトDLによって、正極板20と負極板30とが短絡することを、効果的に防止することができる。
さらに、短絡等で電池340が発熱した場合でも、発熱により反応する金属Liの量を抑制して、電池340の不具合時の発熱量をも抑制することができる。
なお、第1層11、及び、第3層13により、第2層312(有機導電膜312B)と正極板20及び負極板30との絶縁を図ることができる。第1層11、絶縁樹脂層312A、及び、第3層13により、セパレータ310は、セパレータ本来の役割をも、果たすことができる。
このように、本変形形態のセパレータ310も、絶縁性樹脂からなる第1層11及び第3層13と、この内部に配置された有機導電膜312Bと、を備える。
このため、万一、電池340に短絡が生じても、これに伴う金属Liの反応による発熱を抑え、安全に電池機能を終了することができる、安全性の高い電池340とすることができる。
さらに、本変形形態のセパレータ310も、層構造をなし、絶縁性樹脂からなり、外部に面する第1層11及び第3層13と、これらに挟まれて、積層方向STの内部に位置し、有機導電膜312Bを含む第2層312と、を備える。
このようにセパレータ310は、層構造としているので、層に沿う方向(平面方向)について、均一な特性とすることができ、平面的な拡がりを持つ正極板20と負極板30との間で、場所によらず、前述のようにして、デンドライトDLの成長を抑制し、金属Liの増加を抑制し、短絡やLiの反応に伴う温度上昇を抑えることができる。
本変形形態のセパレータ310は、以下のようにして作成する。
まず、3wt%のポリチオフェンを溶解させたTHF溶液(導電性高分子溶液)を用意し、これに、帯状の絶縁樹脂層312Aを浸漬し、溶液から引き上げて乾燥する。これにより、絶縁樹脂層312Aの表裏面312A1,312A2に、それぞれ、ポロチオフェンからなる有機導電膜312Bを形成する。これを、絶縁樹脂材からなる帯状の第1層11と第3層13との間に挟むように、三者を積層する。これによりセパレータ310を得ることができる。
電池については、実施形態と同様である。
(実施形態2)
本実施形態2にかかる車両100は、前述した電池40(340)を複数搭載したものである。具体的には、図5に示すように、車両100は、エンジン140、フロントモータ120およびリアモータ130を併用して駆動するハイブリッド自動車である。この車両100は、車体190、エンジン140、これに取り付けられたフロントモータ120、リアモータ130、ケーブル150、インバータ160、及び、複数の電池40(340)を自身の内部に有する組電池110を有している。
本実施形態2にかかる車両100は電池40(340)を搭載しているので、電池40(340)に短絡が発生した場合でも、使用している電池40(340)の安全性が高く、車両全体としても安全性の高い車両となる。
(実施形態3)
本実施形態3のハンマードリル200は、図6に示すように、ドリル本体210の収容部211に、前述した電池40(340)からなるバッテリパック220を搭載した電池搭載機器である。
本実施形態3にかかるハンマードリル200は電池40(340)を搭載しているので、
電池40(340)に短絡が発生した場合でも、使用している電池40(340)の安全性が高く、ハンマドリル全体としても安全性を高くできる。
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、Li吸蔵材として、実施形態ではグラファイトを、変形形態ではポリチオフェンを例示した。しかし、Li吸蔵材はこれらに限定されず、例えば、負極活物質として用いるSi、Sn等の合金、を用いることもできる。
また、実施形態では、銅箔12Aの両面にLi吸蔵材層12Bを形成した例を示したが、銅箔12Aのうち、負極板30側とする片面(裏面12A2)にのみ、Li吸蔵材層12Bを形成しても良い。変形形態における、有機導電膜312Bについても同様である。
10,310,410 セパレータ(電池用セパレータ)
11,411 第1層(絶縁樹脂材、外部層)
12,312 第2層(内部層)
12A 銅箔
12A1 (銅箔の)表面
12A2 (銅箔の)裏面
12B Li吸蔵材層
12BG グラファイト(Li吸蔵材)
12H 透孔
312A 絶縁樹脂層
312A1 (絶縁樹脂層の)表面
312A2 (絶縁樹脂層の)裏面
312B 有機導電膜(Li吸蔵材)
13,413 第3層(絶縁樹脂材、外部層)
ST 積層方向
20 正極板
40,340,440 電池(リチウムイオン二次電池)
41,341,441 発電要素
45 電解液
100 車両
110 組電池
120 第1モータ
130 第2モータ
140 エンジン
150 ケーブル
160 インバータ
190 車体
200 ハンマードリル(電池搭載機器)

Claims (5)

  1. 表面と裏面とを有する板状で、
    電池に使用した場合に、正極板側の電解液と負極板側の電解液とを隔離しつつ、上記表面と裏面との間で、リチウムイオンの流通を可能としてなる
    電池用セパレータであって、
    絶縁性樹脂からなる絶縁樹脂材と、
    上記絶縁樹脂材の内部に配置され、導電性を有し、リチウム原子を吸蔵可能なLi吸蔵材と、を備える
    電池用セパレータ。
  2. 請求項1に記載の電池用セパレータであって、
    層構造をなし、
    絶縁性樹脂からなり、外部に面する外部層と、
    上記外部層に挟まれて、上記電池用セパレータの積層方向の内部に位置し、前記Li吸蔵材を含む内部層と、を備える
    電池用セパレータ。
  3. 正極板、負極板、及び、上記正極板と上記負極板との間に介在する、請求項1または請求項2に記載の電池用セパレータ、からなる発電要素を備える
    リチウムイオン二次電池。
  4. 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池を搭載し、
    上記リチウムイオン二次電池の電気エネルギーを動力源の全部または一部に使用する
    車両。
  5. 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池を搭載し、
    上記リチウムイオン二次電池の電気エネルギーを使用して作動する
    電池搭載機器。
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