JP2010217160A - アブソリュート型リニアエンコーダとリニアエンコーダとアクチュエータ - Google Patents

アブソリュート型リニアエンコーダとリニアエンコーダとアクチュエータ Download PDF

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Abstract

【課題】 信頼性が高くてコンパクト化が可能であり、且つ、低コスト化が容易なアブソリュート型リニアエンコーダとリニアエンコーダ、それらアブソリュート型リニアエンコーダまたはリニアエンコーダを搭載したアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 位相検出用リニアスケールと位相検出用リニアスケール用検出器を主構成とする位相検出用リニアスケール部と、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とする位相検出用スケールと位相検出用検出器を主構成とするもの。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば、精密位置決めシステムに用いられるアブソリュート型リニアエンコーダとリニアエンコーダ、それらアブソリュート型リニアエンコーダ又はリニアエンコーダを使用したアクチュエータに係り、特に、装置のコンパクト化が容易であって信頼性が高く、且つ、低コスト化でき、さらに遅延の問題を解決することができるように工夫したものに関する。
精密位置決め装置において、位置決めフィードバック用のセンサーとして、例えば、リニアエンコーダが使用される。これはリニアエンコーダが高精度であって低コストであることに起因する。ところが、現在多く用いられているリニアエンコーダは原点復帰動作の必要なインクリメンタル型である。この種のインクリメンタル型のリニアエンコーダの場合には、装置立ち上げ時或いはトラブル発生時には原点復帰動作を行う必要がある。その為、装置の稼働率が低下してしまうという問題があった。
そこで、インクリメンタル型のリニアエンコーダに代わってアブソリュート型のリニアエンコーダの使用が提案されている。この種のアブソリュート型のリニアエンコーダの場合には上記原点復帰動作が不要になるからである。
尚、本件特許出願人も装置起動時に短い距離だけ動くことにより絶対位置を知ることができる簡易型のアブソリュート型リニアエンコーダに関する出願を行っている。(未公開:特願2007−237340)。そこに開示されているアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列の必要ビット数のデータを読み込むセンサーが搭載されている装置可動部を必要ビット数動かす構成になっていて、それによって、一個のセンサーで済むように構成したものであり、簡易な構成で絶対位置を知ることができるというものである。
しかしながら、装置によっては装置起動時に僅かでも動くとワークやジグ類等を破損させてしまう装置もあり、そのような場合には上記簡易型のアブソリュート型リニアエンコーダが適用できないという問題があった。
一方、全く動かなくてもよいアブソリュート型リニアエンコーダの提案も多くなされている。そのようなアブソリュート型リニアエンコーダを開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2等がある。
特開平03−274414号公報
特開2005−121593号公報
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、上記特許文献1、特許文献2に開示されているアブソリュート型リニアエンコーダの場合には、信頼性の確保が不十分であり、コストが高く、検出ヘッドのコンパクト化が困難であるという問題があった。具体的に説明すると、まず、上記特許文献1に記載されているアブソリュート型リニアエンコーダの場合には、1ビットエラー或いは奇数項のエラーについてはこれを検出することはできるが、2ビットエラー或いは偶数項のエラーについてはこれを検出することができないという問題があった。又、全てのビットのエラー検出を行うためには必要ビット数の約2倍のビット長の検査が必要であり、その為多くのセンサー(受光素子)が必要となってしまい、コンパクト化及び低コスト化が困難になってしまうという問題もあった。
因みに、特許文献2に記載された発明の場合には、コンパクトなセンサー部が開示されているが、その場合には所定の検出に必要なビット数分の受光素子しか搭載されておらず、結局、限定的なエラー検出ができるだけである。
又、特許文献1に記載された発明の場合には、そこに開示されているエラー検出方法によってエラーが検出された場合、装置が停止したままとなってしまうという問題もあった。
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、信頼性が高くてコンパクト化が可能であり、且つ、低コスト化が容易なアブソリュート型リニアエンコーダとリニアエンコーダ、それらアブソリュート型リニアエンコーダ又はリニアエンコーダを搭載したアクチュエータを提供することにある。
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1によるアブソリュート型リニアエンコーダは、位相検出用リニアスケールと位相検出用リニアスケール用検出器を主構成とする位相検出用リニアスケール部と、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートリニアスケール部と、を主な構成とすることを特徴とするものである。
又、請求項2によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記アブソリュートリニアスケール用検出器はCMOSリニアアレイであることを特徴とするものである。
又、請求項3によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記位相検出用リニアスケール用検出器はCMOSリニアアレイであることを特徴とするものである。
又、請求項4によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記アブソリュートリニアスケール部からの検出信号を用いて演算された位置情報と上記位相検出用リニアスケール部からの検出信号を用いて演算された位置情報を結合した結合位置情報を間欠的に送信することを特徴とするものである。
又、請求項5によるアブソリュート型リニアエンコーダは、互いに位相差を持つ複数組のアブソリュート検出素子を用いることによって非繰返し信号であるアブソリュート信号を安定的に検出するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項6によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記アブソリュート検出素子はCMOSリニアアレイであることを特徴とするものである。
又、請求項7によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行い、エラーの検出された信号組は「不安定」であると判定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項8によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュート信号1ビット当り少なくとも3個の検出素子分の信号を用い、その組の信号検出が安定か否か判定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項9によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項8記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュート信号1ビット長当り少なくとも3組の検出素子の信号にて、中央部検出素子の信号組に対する1ビット長内の信号対称性のより良い信号組を安定と判定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項10によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュート信号1ビット当りに少なくとも5個の検出素子分の信号を用い、全ての検出素子組による絶対位置を演算しその多数決で正しい絶対位置を求めるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項11によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、検出素子に対応する位相検出手段を設け、位相により安定なアブソリュート信号組を判定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項12によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、検出器上においてある位相差分だけ離間した複数の信号組にて略同時に絶対値の演算を行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項13によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとCMOSリニアアレイを用いたPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートリニアエンコーダにおいて、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項14によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、ストロークに対するPN符号必要ビット数より多いビット数のPN符号系列を用いることにより、ストローク範囲外の演算または検出結果をエラーとして判定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項15によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートエンコーダにおいて、前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算又は検出を実施し、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離を越えているか否かでエラー検出するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項16によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算または検出を行い、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離の範囲内で絶対位置を演算または見つけ出すことにより絶対位置の演算又は検出を高速化できるようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項17によるリニアエンコーダは、検出信号を用いて演算された位置情報に基づいて現在位置の推測演算を行い、遅延なし又は少ない遅延にて位置情報を出力するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項18によるリニアエンコーダは、請求項17記載のリニアエンコーダにおいて、位置推測範囲及び近傍において加速度又は加速度変化が一定であるとして推測演算を行うようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項19によるアクチュエータは、請求項1〜請求項18の何れかに記載のアブソリュート型リニアエンコーダ又はリニアエンコーダを用いたことを特徴とするものである。
以上述べたように本願発明の請求項1によるアブソリュート型リニアエンコーダは、位相検出用リニアスケールと位相検出用リニアスケール用検出器を主構成とする位相検出用リニアスケール部と、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートリニアスケール部と、を主な構成としていて、位相検出用リニアスケール部とアブソリュートリニアスケール部の二つのエンコーダ機能を持っている構成になっているので、長いストロークと高分解能の両立を応答速度を落とすことなく、低コストのアブソリュート型リニアエンンコーダを実現することができる。
又、請求項2によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記アブソリュートリニアスケール用検出器はCMOSリニアアレイであるので、チャージアンプにより出力を増大させることができるため受光面積を小さくしても容易に出力を確保でき信頼性が高く、コンパクト化可能で、又、低コストである。
又、請求項3によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記位相検出用リニアスケール用検出器はCMOSリニアアレイであるので、同様に、チャージアンプにより出力を増大させることできるため受光面積を小さくしても容易に出力を確保でき信頼性が高く、又、小型で低コストである。
又、請求項4によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記アブソリュートリニアスケール部からの検出信号を用いて演算された位置情報と上記位相検出用リニアスケール部からの検出信号を用いて演算された位置情報を結合した位置情報を間欠的に送信するようにしているので、請求項1による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項5によるアブソリュート型リニアエンコーダは、互いに位相差を持つ複数組のアブソリュート検出素子を用いることで非繰返し信号であるアブソリュート信号を安定的に検出するようにしているので、信頼性を高くすることができる。
又、請求項6によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、上記アブソリュート検出素子はCMOSリニアアレイであるので、チャージアンプにより出力を増大させることできるため受光面積を小さくしても容易に出力を確保でき信頼が高く、又、小型で低コストである。
又、請求項7によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行い、エラーの検出された信号組は「不安定」であると判定するようにしているので、請求項5による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項8によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリューと信号1ビット当り少なくとも3個の検出素子分の信号を用い、その組の信号検出が安定か否か判定するようにしているので、請求項5による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項9によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項8記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリューと信号1ビット長当り少なくとも3組の検出素子の信号にて、中央部検出素子の信号組に対する1ビット長内の信号対称性のより良い信号組を安定と判定するようにしているので、請求項5による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項10によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、アブソリュート信号1ビット当りに少なくとも5個の検出素子分の信号を用い、全ての検出素子組による絶対位置を演算しその多数決で正しい絶対位置を求めるようにしているので、請求項5による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項11によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、検出素子に対応する位相検出手段を設け、位相により安定なアブソリュート信号組を判定するようにしているので、請求項5による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項12によるアブソリュート型リニアエンコーダは、請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、検出器上においてある位相差分だけ離間した複数の信号組にて略同時に絶対値の演算を行うようにしているので、応答速度を下げずに請求項5による効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項13によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとCMOSリニアアレイを用いているPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行うようにしているので、信頼性を高くすることができる。
又、請求項14によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、ストロークに対するPN符号必要ビット数より多いビット数のPN符号系列を用いることにより、ストローク範囲外の演算又は検出結果をエラーとして判定するようにしているので、信頼性を高くすることができる。
又、請求項15によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートエンコーダにおいて、前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算又は検出を実施し、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離を越えているか否かでエラー検出するようにしているので、信頼性を高くすることができる。
又、請求項16によるアブソリュート型リニアエンコーダは、PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートエンコーダにおいて、前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算又は検出を行い、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離の範囲内で絶対位置を演算または見つけ出すことにより絶対位置の演算又は検出を高速化できるようにしているので、信頼性を高くすることができると共に高応答性を得ることができる。
又、請求項17によるリニアエンコーダは、検出信号を用いて演算された位置情報に基づいて現在位置の推測演算を行い、遅延なし又は少ない遅延にて位置情報を出力するようにしているので、遅延なし又は少ない遅延で位置情報を出力することが可能になる。
又、請求項18によるリニアエンコーダは、請求項17記載のリニアエンコーダにおいて、位置推測範囲及び近傍において加速度又は加速度変化が一定であるとして推測演算を行うようにしたので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項19によるアクチュエータは、請求項1〜請求項18の何れかに記載のアブソリュート型リニアエンコーダ又はリニアエンコーダを用いているので、高性能且つコンパクトで低コストのアクチュエータを実現することができる。
本発明の第1の実施の形態を示す図で、アクチュエータの構成を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、アブソリュート型リニアエンコーダの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、LSFRの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、位相検出用リニアスケール部とPN符号系列アブソリュートリニアスケール部の構成を示す側面図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、図4のV−V矢視図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態を示す図で、作用を説明するための図である。 本発明の第2の実施の形態を示す図で、実際の位置と推測位置を比較して示す特性図である。
以下、図1乃至図10を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。この実施の形態は本願発明を一軸アクチュエータに適用した例を示すものである。図1は本実施の形態によるアクチュエータの全体の構成を示す平面図であり、まず、ハウジング1がある。このハウジング1にはスライダ3が図1中左右方向(矢印a方向)に移動可能な状態で取り付けられている。上記ハウジング1内にはボールねじ5が内装されていると共に駆動モータ7が設置されている。上記ボールねじ5は上記駆動モータ7の出力軸に連結されていて、駆動モータ7によって回転駆動されるように構成されている。
尚、図示したアクチュエータはボールねじ5と駆動モータ7の出力軸が一体化されたものもあるが、そのような構成のアクチュエータに限定されるものではない。
上記ボールねじ5には図示しないボールナットがその回転を規制された状態で螺合・配置されている。既に説明したスライダ3はこのボールナットに固着されている。上記ハウジング1にはガイド9、11が設置されていて、これらガイド9、11によって上記スライダ3の図1中左右方向(矢印a方向)への移動をガイドする。そして、駆動モータ7を適宜の方向に回転させることによりボールねじ5が同方向に回転し、それによって、ボールナットを介してスライダ3が上記ガイド9、11によってガイドされながら図1中左右方向(矢印a方向)に移動する。
上記ガイド11側にはリニアスケール部21が設置されており、一方、上記スライダ3には検出ヘッド部23が取り付けられている。又、アクチュエータに対して離間した場所にはコントローラ部25が設置されている。
次に、上記リニアスケール部21、検出ヘッド部23、コントローラ部25の構成について詳しく説明する。図2は図1の中から上記リニアスケール部21、検出ヘッド部23、コントローラ部25を抽出して示す図である。まず、リニアスケール部21は、位相検出用リニアスケール31、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33とから構成されている。上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33だけでも必要な機能を奏することは可能であるが、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の分解能はアブソリュート信号の1ビットに等しく、よって、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33だけで長いストロークと高分解能を両立させることは応答速度やコスト面で困難であった。
そこで、本実施の形態の場合には、ややラフな幅のPN符号系列アブソリュートリニアスケール33を用いて、ストロークに対して必要PN符号系列ビット数を適度に抑え、且つ、アブソリュート1ビットを更に高分解能に分割できる位相検出用リニアスケール31を別途設けているものである。
因みに、ストローク2.6mで分解能1μmを実現するためには、アブソリュート1ビット幅80μmで15ビットのPN符号系列で80分割(位相4.5°)可能な位相検出用リニアスケール31が必要となる。
上記位相検出用リニアスケール31は縞状をなしていて、例えば、80μmピッチの光学反射式のものとして構成されている。すなわち、上記位相検出用リニアスケール31は、40μmの高反射率領域31aと、40μmの低反射領域31bが交互に配置されて連なった構成をなしている。
一方、上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33は1ビットが80μmに構成されていて、高反射率領域33aと低反射領域33bがPN符号系列に基づいて配置された構成になっている。上記PN符号系列とは擬似ランダム系列(Pseudo Random Noise、その一部はM系列とも呼ばれる)であり、この擬似ランダム系列とは、例えば、スペクトラム拡散通信、白色雑音生成、暗号化、エラー訂正等に広く使われているものである。上記PN符号系列の生成にはLFSR(Linear Feedback Shift Register)と称されるシフトレジスタが使用される。このシフトレジスタは、図3に示すような構成になっており、XORゲート(又は、XNORゲート)50によって帰還をかける構成になっている。
尚、このLFSRについては追って詳細に説明する。
図2に戻って検出ヘッド部23側の構成をみてみると、まず、上記位相検出用リニアスケール31に対応する位相検出用リニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)35と、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33に対応するPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器(CMOSリニアアレイを使用したもの)37が夫々設置されている。上記位相検出用リニアスケール31と位相検出用リニアスケール用光学検出器35とによって位相検出リニアスケール部を構成している。又、上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33とPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37とによってアブソリュートリニアスケール部を構成している。
上記位相検出用リニアスケール用光学検出器35とPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37は、例えば、図4及び図5に示すような状態で設置される。図4及び図5中符号39はLED光源であり、このLED光源39より位相検出用リニアスケール31に対してLED光を投光する。位相検出用リニアスケール31にて反射した光は上記位相検出用リニアスケール用光学検出器35によって受光される。これは、上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の場合も同様である。すなわち、LED光源39よりPN符号系列アブソリュートリニアスケール33に対してLED光が投光される。PN符号系列アブソリュートリニアスケール33にて反射した光は上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37によって受光されることになる。
リニアスケールの反射率に応じて光学検出器に入光する光の強度が異なり、これによりスケールの信号を読むことができる。
因みに、スケールの低反射率領域33bで反射される光強度は低く光学検出器では低強度と検出され、信号「0」を検出することができる。
図4の光学系では光学検出器上の信号ピッチはスケール上のピッチの約2倍に拡大されるが、図2の模式図ではわかり易くするためスケールと光学検出器上の信号は等倍で上下対応するように記載してある。
又、図2に示すように、上記検出ヘッド部23には、位相演算器41、絶対位置データ演算器43、絶対位置データ構成器45、トランシーバ47が設置されている。又、上記コントローラ部25には、トランシーバ49、コントローラ51が設置されている。又、上記絶対位置データ演算器43では、LFSRを介して合致する絶対位置を検出しているが、予め作成されている信号データと絶対位置の対応表より求めても良い。
そして、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37より出力された信号は絶対位置データ演算器43に入力され、その絶対位置データ演算器43においてアブソリュートビット単位の絶対位置が求められる。一方、位相検出用リニアスケール用光学検出器35より出力された信号は位相演算器41に入力され、その位相演算器41によりアブソリュート1ビットを360度とした位相が演算され、さらに高分解能の情報が得られる。絶対位置データ構成器45では、絶対位置データ演算器43と位相演算器41より求められた結果を結合して長ストロークで、且つ、高分解能の絶対位置データを演算・出力する。上記高分解能の絶対位置データはトランシーバ47、トランシーバ49を介してコントローラ51に入力される。コントローラ51はその入力した高分解能の絶対位置データに基づいて駆動モータ7を制御してスライダー23を位置決めするものである。
尚、本実施の形態におけるアブソリュート型リニアエンコーダは、既に説明したように、位相検出用リニアスケール部とアブソリュートリニアスケール部の二つのエンコーダ機能を持っている。前述したように、本来アブソリュートリニアスケール部のみであっても必要な機能を得ることはできるが、アブソリュートリニアスケール部の長ストローク化と高分解能化で応答速度を上げ、且つ、低コスト化することは困難であった。そこで、本実施の形態の場合には、位相検出用リニアスケール部を設け、アブソリュート1ビットをさらに高分解能分割することにより、ややラフな幅のアブソリュートビットを用いることができ、それによって、高分解能、高応答速度で且つ低コストのアブソリュート型リニアエンンコーダを実現しているものである。
以上が本実施の形態によるアクチュエータ及びそこに使用されているアブソリュート型リニアエンコーダの概略の構成である。以下、各部の構成をその作用・効果を交えながら説明する。
前述したLFSRについて詳細に説明する。LFSRは、図3に示されているように、15個(0〜14の15ビット)のシフトレジスタによって構成されている。このような構成をなすLFSRにおいて、発生可能なPN符号系列の周期長(PN符号系列長、L)は次の式(I)に示すようなものである。
L=2−1―――(I)
但し、
L:PN符号系列長
m:ビット数(検出連続信号数)
である。
PN符号系列は二値「0/1(ここでは白黒)」の擬似ランダム系列の一つであって、比較的短い連続したm個の信号によって長大な信号周期(L)を得ることができる信号系列である。例えば、m=15個であればPN符号系列長(L)は、既に説明した式(I)によれば、次の式(II)に示すようなものとなる。
L=215−1=32767―――(II)
又、本実施の形態における上記LFSRの場合には、前述したように、0ビットと1ビットの信号がXORゲート50を介して14ビットへフィードバックされるように構成されている。
図2に示した位相検出用リニアスケール31は、既に説明したように、80μmピッチである。又、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33も1ビットが80μmであり、よって、m=15でのPN符号系列アブソリュートスケール33のストローク(S)は次の式(III)に示すようなものとなる。
S=80μm×32767=約2.6m―――(III)
尚、式(I)、(II)から明らかなように、アブソリュートリニアスケール部側のPN符号系列の上記検出連続信号数mを増加させることにより長いストロークが実現できる。
上記PN符号系列アブソリュートリニアスケール33からの信号検出には、既に説明したように、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37を使用しているが、このPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37はストロークに対して必要なPN符号系列ビット数以上の検出素子が必要となる。例えば、前記の例では、ストローク2.6mに対して15ビットのPN符号系列が必要であり、検出素子は15個以上必要となる。このようにアブソリュート用検出器37は多くの検出素子を必要とし、そのコンパクト化のためには専用の半導体ICを開発して使用される。しかしながら、専用の半導体ICは非常に高価という難点がある。一方CMOSリニアアレイはチャージアンプにより出力を増大させることできるため受光面積を小さくしても容易に出力を確保でき信頼性が高く、又、小型で低コストである。そこで、本実施の形態の場合には、汎用のCMOSリニアアレイを用いることにより、コンパクト化と低コスト化を実現するようにしている。
上記CMOSリニアアレイは、例えば、12.5μmピッチで512個の検出素子が並んでいる検出器であり、多くの検出素子を内蔵している。又、その信号出力は同時に行うことはできず1個ずつの信号出力となるため、例えば、512個の検出素子の信号出力を得ようとすると、略500倍の時間を要することになり、よって、高速の信号出力が困難である難点がある。そこで、本実施の形態の場合には、連続的に(あるいは極めて短時間応答で)位置データを出力する方式ではなく、ある一定時間間隔(またはある応答時間)にて位置データを出力する方式を用いることにより、ある一定サンプリング時間内にてCMOSリニアアレイの検出素子の出力を得てエラーチェックや絶対位置データの演算等を行う方式を採用している。
例えば、CMOSリニアアレイの検出素子1つ当りの出力が200nsec(5MHz)であれば、全検出素子512個の出力を得るのに略100μsec(10KHz)要することになる。よって、他のロス時間を無視すると、この略10KHzが最大応答周波数となり、高々100Hz程度のアクチュエータの応答周波数に比べ十分高応答であり実用上問題ない。
又、位相検出用リニアスケール31は、図2に示すように、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の1ビットをさらに分割し高分解能を得るものであり、既に説明したように、PN符号系列アブソソリュートリニアスケール33の1ビットに対して略1/2ビットの高反射率部31aと略1/2ビットの低反射率部31bが対応する構成になっている。PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の1ビットを360度とした時、これら高反射率部31a、低反射率部31bよりの光反射強度が略正弦波1周期(360度)になるよう位相検出用リニアスケール用光学検出器35によって検出する。
又、位相検出用リニアスケール用光学検出器35においては少なくとも2個の検出素子が必要であり、互いに略90度の位相差(アブソリュート1/4ビット相当)を持つものである。そして、90度位相差を持つ2個の信号強度が得られれば、次の式(IV)、(V)に基づいて位相演算器41によって位相が算出される。
tanθ=sinθ/cosθ
=sinθ/sin(θ−90°)―――(IV)
θ=arctan-1θ ―――(V)
そして、アブソリュート1ビット内における位置が位相で求められる。アブソリュート1ビットで360度に相当するので、例えば、位相45度が算出されたら、次の式(VI)に示すような位置となる。
80μm×45°/360°=10μm―――(VI)
つまり、アブソリュート1ビットの内側10μmの位置ということになる。このようにして位相検出用リニアスケール部を用いてややラフなアブソリュートスケール部の分解能を向上させることができるものである。
ところで、位相検出用リニアスケール用検出器35においては、既に説明したように、少なくとも2個のお互いに略90度位相差を持つ検出素子が必要であり、そのコンパクト化のためには専用の半導体ICを開発し用いるのが一般的である。しかしながら、専用の半導体ICは非常に高価という難点がある。そこで本実施の形態では、前述したPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の場合と同様に汎用のCMOSリニアアレイを用いることによってコンパクト化と低コスト化を実現している。CMOSリニアアレイは、例えば、12.5μmピッチで512個の検出素子が並んでいる検出器であって多くの検出素子を内蔵しており、2個の略90度位相差の検出素子のみではなく、2組の略90度位相差を持つ検出素子を用いることができる。各組の検出素子は位相差が等しく(360度の整数倍)、1組に多くの検出素子を用いて平均化することによって信号出力の安定化を図ることができる。例えば、位相検出用リニアスケール31のある箇所にゴミ付着等により信号出力が劣化してもより広い範囲にわたり平均化していればそのゴミの影響は軽微なものとすることができる。又、夫々の組と180°位相差を持つ検出素子を設けることにより、各信号出力との差動をとることができるので、信号出力の増大や外乱安定性を増加させることができる。
又、狭ピッチの多くの検出素子を内蔵しているので、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37との対応付けも容易にできる。PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の固定位置と位相検出用リニアスケール用光学検出器35の固定位置が検出素子の実装ばらつきに起因してずれた場合には、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の選択する検出素子をずれ量だけずらして選択することによって調整することができる。例えば、選択する検出素子が何番目の出力かFPGAのソフトを書き替えてやれば良い。
前述したように、本実施の形態では、アブソリュートスケール部と位相用検出用スケール部との2つのスケール部を用いることで、ややラフな幅のアブソリュートビットを用いて適度なPN符号系列ビット数にて長ストロークを実現すると共に、位相検出用スケール部によりアブソリュート1ビットを更に分割演算し高分解能も実現している。
これらを低コストかつコンパクトに実現するために、各検出器、すなわち、位相検出用リニアスケール用光学検出器35とPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37としてCMOSリニアアレイを使用している。前記したようにCMOSリニアアレイは多くの検出素子を内蔵していて高速での信号出力は困難である。そこであるサンプリング時間内にて検出素子の出力を得て絶対位置データ演算等を行う方式を用いることにより、低コストでかつコンパクトでありながら適度な応答周波数を確保している。
したがって、図2に示す絶対位置データ構成器45からの出力は連続的ではなくあるサンプリング時間で更新される間欠的なものとなっている。よって、絶対位置データ構成器45より受信したデータをコントローラ51側に送信するトランシーバ47は適度な送信ビットレートで十分であり、省配線化できるシリアル通信用トランシーバが望ましい。
さて、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の検出素子がアブソリュートビットの「0/1」界面に対応する位置にいる時は、その検出素子は「0/1」の判定が不安定となる。この不安定なビットデータを読み込めば正しい絶対位置は求められず、エンコーダとしての機能を果たせない。そこで、アブソリュート1ビットに対してお互いに位相差をもつ複数(複数組)の検出素子を対応させれば、最悪1個(1組)の検出素子が「0/1」界面にきても、その時他の検出素子は「0/1」界面にはなく、よって、正しい信号の検出ができることになる。
図6はこの1例を示したものである。
以下、図6〜図10を使用した説明においては、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の検出素子に符号37-1〜37−nを付して示すと共に、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の検出素子に符号35-1〜35−nを付して説明する。
図6(a)において、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の検出素子37−2は「0/1」界面にあって不安定であるが、この時検出素子37−2と位相差を持つ別の検出素子37−1を同時に使用していればその検出素子37−1を選択することにより安定的なアブソリュート信号の検出が可能になる。
因みに、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37は同時に多数のアブソリュートビットを読む必要があり、さらに上記不具合である不安定なビットデータの読み込みをなくすためには、1ビット当たり複数の検出素子が必要である。本実施の形態では、そのような点を考慮して、専用のICではなく、コンパクトであって且つ低コスト化に適した汎用のCMOSリニアアレイを使用しているものである。
又、アブソリュートビット1ビットに複数(複数組)の検出素子を割り当てたとしても、どの組の検出素子が正しいか否か選択する必要性が出てくる。それを行う一つの方法としては、全ての組のデータから全ての絶対位置を演算して多数決で決める方法がある。この場合、最悪パターンでは2つ(又は2組)の検出素子が「0/1」界面に来る可能性があるので、他に少なくとも3個(3組)の検出素子が正しい絶対位置を示さなければならず、結局合計少なくとも5個(5組)の検出素子が必要となる。
尚、この場合1ビットに5個の検出素子を用いるが、他のビットの検出にも使用される検出素子(組)が1個あり、1ビット当りでは4個(組)の検出素子が対応することになる。
図6(b)はこの1例を示したものであり、検出素子37−1及び37−5は「0/1」界面にあり不安定であるが、検出素子37−2、37−3、37−4は「0/1」界面から離れており安定な信号検出が期待できる。よって、検出素子37−2、37−3、37−4を用いて演算した絶対位置は正しいことが期待される。しかしながら、図6(b)に示す例の場合でも、検出素子37−3が「0/1」界面に来た時には、検出素子37−1、37−2が「1」を検出し、検出素子37−4、37−5が「0」を検出することになり、多数決では「2:2」で同点となることがある。そのような場合には、夫々の絶対位置の差が「1」であれば両者とも正しく、丁度「0/1」界面を跨いだ状態にいると判定することができる。
この例のように、多数の絶対位置演算を行う必要がある場合はその演算を略同時に行うことにより演算時間の短縮化を図ることができ、アブソリュートエンコーダとしての応答速度を向上させることができる。例えば、FPGA(Field Programable Gate Array)等で並列処理を行うことで実現できる。
因みに、図2に示した本実施の形態では、位相演算器41、絶対位置データ演算器43、絶対位置データ構成器45等は同様にFPGA内にて構成されている。
次に、より少ない検出素子数で所望の検出を行う方法を考えてみる。まず、アブソリュート信号1ビットに最小2個(組)の検出素子の場合を考えてみる。2個(組)の検出素子の内の何れが正しいか判定する方法の1つは、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行い、エラー検出された信号(組)は「不安定」であると判定し、それ以外のエラーの検出されなかった信号(組)を正しい信号であると選択することが考えられる。
又、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」とは、図3に示した15ビットのPN符号系列では0ビット、1ビットと15ビットの排他的論理和は常に「0」でなければならないので、もしその排他的論理和が「1」であれば「エラーあり」と判定される。この方法は3ビットの内1ビットのみエラーのときは検出できるが、2ビットのエラーを含むとエラー検出できない。そこで他の方法との併用が望ましい。
図7に示す場合は、検出素子37−1に注目し、検出素子37−2が37−1より位相が進んでいる場合である。図7(a)に示す配置では、検出素子37−2が不安定であり検出素子37−1を選択すればよい。これに対して、図7(b)に示す配置では、検出素子37−1が不安定であり検出素子37−2を選択する必要がある。
又、図8に示す場合には、検出素子37−1又は検出素子37−2が「0/1」界面近傍に有るか否かの判定は次のようにして行う。図8に示す場合には、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の検出素子37−1、37−2とは別に、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の検出素子35−1、35−2を設置している。
尚、図8において、PN符号系列アブソリュートリニアスケール33の1ビット(図中信号1)の図中左端を位相0°、右端を360°としたとき、位相検出用リニアスケール31は図中着色部と無着色部がそれらに対応することになる。
又、アブソリュート1ビットを360°位相とした時、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の検出素子35−2は検出素子35−1より90°進んでおり、検出素子35−1の出力がsinθ、検出素子35−2の出力がcosθに相当し、先に示した式(IV)及び(V)により位相を演算により求めることができる。又、この例ではPN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の検出素子37−1がアブソリュートビットの端にいる時、位相は0°となるよう配置されている。したがって、この場合検出素子37−1が「0/1」界面近傍にいる場合の位相は0°(又は360°)近傍となる。よって、検出素子37−1の位相が0°(又は360°)近傍でなければ検出素子37−1の信号組を「安定」と判定できる。逆に、検出素子37−1の位相が0°(又は360°)近傍であれば、検出素子37−1は「不安定」のため、検出素子37−2の組を「安定」と判定すれば良いことになる。
又、この例では位置の基準は検出素子37−1であるので、検出素子37−2の信号組を選択した場合には、位置情報としては検出素子37−1基準に戻す必要がある。すなわち、この例では検出素子37−2は検出素子37−1より180°弱進んでいるので、検出素子37−1の位相が0°を超えていれば検出素子37−1と検出素子37−2とは同一アブソリュートビットであるが、位相が360°未満であれば、検出素子37−1は検出素子37−2より1ビット少ないアブソリュートビットカウントとなる。
図8で例示すると、検出素子37−1が「0/1」界面で右よりであれば、検出素子37−1、37−2共に同一のアブソリュートビットカウントになるが、もし検出素子37−1が「0/1」界面で左よりであれば、検出素子37−1と検出素子37−2とは「0/1」界面を挟んで異なるアブソリュートビットカウントとなる。以上例示したように、PN符号系列アブソリュートリニアスケール用光学検出器37の検出素子37-1、37−2に対応する位相検出手段、すなわち、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の検出素子35−1、35−2を設け、位相により安定なアブソリュート信号組を判定することができる。
尚、図8は一部しか図示されていないが、15ビットのPN符号系列であれば、検出素子37−1と位相差360°を持つ15個以上の検出素子からなる検出素子組と検出素子37−2と位相差360°を持つ15個以上の検出素子からなる検出素子組との2組から成っており、2組のアブソリュート信号組を得ることができる。
尚、図8では検出素子37−2の位相が検出素子37−1より進んでいたが、逆に位相が遅れていても同様である。又、位相検出手段は検出素子37−1基準の1個であったが、複数基準、例えば、検出素子37−2基準のものを設けて夫々の安定性を夫々の位相から判定しても良い。又、図8には図示していないが、位相用検出素子、すなわち、位相検出用リニアスケール用光学検出器35の検出素子35−1、35−2の出力を大きく安定化させるために、位相差略180°の検出信号との差動をとるための差動検出用検出素子や、より位相検出を安定化するために位相差360°の検出素子を用い平均化するための平均化検出用検出素子等を必要に応じて使用しても良い。又、CMOSリニアアレイを用いることでこれらの検出素子を容易に増加させて位相検出信号の安定化が可能となる。又、アブソリュート用検出素子でも同様に位相差360°の検出素子との差動検出により信号出力の増大が図られる。
又、アブソリュート信号1ビットに最小3個(組)の検出素子の信号が得られれば、その略位相中心の検出信号が正しいか否かの判断が可能であり、その検出素子は上記2検出素子の時のように隣接ビットへ移り、絶対位置のカウントが変化することもない。すなわち、各検出素子は隣接の検出素子との位相差を略180°の位置とし、正しい検出素子(組)を選択すればよい。
尚、この場合1ビットに3個の検出素子を用いるが、他のビットの検出にも使用される検出素子(組)が1個あり、1ビット当りでは2個(組)の検出素子が対応する。
既に説明した図6(b)に示すように、最悪パターンでは両端の2個(組)の検出素子37−1、37−5が「0/1」界面にあり、真ん中の検出素子のみが正しい(安定した)信号を得られる。例えば、図6(b)において、検出素子37−2及び37−4を取り去り、検出素子37−1、37−3、37−5を用いる例がこれに相当する。アブソリュート信号1ビット当たり最小3個の検出信号の何れが正しいかを判定する方法の1つは、前記した特定ビットの排他的論理和「0」を用いる。すなわち、PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行い、エラー検出された信号(組)は「不安定」と判定し、それ以外のエラーの検出されなかった信号(組)を正しい信号と選択する。
PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」とは、図3に示した15ビットのPN符号系列では0ビット、1ビットと15ビットの排他的論理和は常に「0」でなければならないので、もしその排他的論理和が「1」であれば「エラー有り」と判定される。この方法は3ビットの内1ビットのみエラーのときは検出できるが、2ビットのエラーを含むとエラー検出できない。そこで他の方法と併用が望ましい。
他の1つの方法は、アブソリュート信号1ビット当り、3組、5組、7組・・・の少なくとも3組であって且つ奇数組の検出信号にて、中央部検出素子の信号組に対する1ビット長内の信号対称性の良い信号組を「安定」と判定するものである。これを図9、図10に示した例を用いて詳細に説明する。図9に示した例は、アブソリュート信号1の1ビット信号の左右に「0/1」界面がある例であり、隣接の検出素子との位相差を略180°とした3個の検出素子37−1、37−2、37−3を例示している。
尚、図示していないが位相差略180°間隔で検出素子が必要なビット長の長さ配置されており、図示する検出素子37−1、37−2、37−3は夫々位相差略360°間隔で必要なビット数分の検出素子配列の内の1つである。よって、検出素子37−1、37−2、37−3は3個ではなく正確には3組である。
図9に示した例は、検出素子37−1、37−3が「0/1」界面近傍にある時の検出素子の「0/1」出力を示すものである。図9(a)は信号1のビット幅がやや広い場合で何れの検出素子37−1、37−2、37−3も「1」を出力し、図9(d)は逆に信号「1」のビット幅がやや狭い場合で、両端の検出素子37−1、37−3は「0」を出力し、図9(b)は信号「1」が図上でやや左に位置している時で右側の検出素子37−3が「0」を出力し、そして、図9(c)では信号「1」が上でやや右に位置している時で左側の検出素子37−1が「0」を出力している。今、中心の検出素子37−2に注目すると、検出素子37−2にとって最も安定した信号出力が得られるのは、検出素子37−2が検出信号「1」の中心に近い図9(a)、(d)の場合である。したがって、この図9(a)、(d)のパターンをより多く含む時に、検出素子37−2をより安定な検出素子(組)として選択すれば良いことになる。図9(a)、(d)は中心の検出素子37−2に対して「111」、「010」とその符号配列の対称性が良い状態である。一方、検出素子37−2が信号「1」の中心からずれる図9(b)、(c)のケースでは「110」、「011」とその符号配列の対称性が悪い状態である。
一方、図10に示した例は、図9において信号が反転(1-→0、0→1)した例である。図10より明瞭にわかるように、図9と同様に、図10(a)、図10(d)の符号配列の対称性の良いときに、検出素子37−2は信号「0」のより中央近傍にあり安定した信号出力を得ることができる。
以上詳細に例示したように、中央部検出素子の信号組に対する1ビット長内の信号対称性の良い信号組を安定と判定することができる。
PN符号系列アブソリュートリニアスケール33においてはその符号系列が擬似ランダム信号に用いられるようにランダム性が高く、1ビットのエラーでも大きな位置誤差を生じる可能性が高い。信号エラーを生じないような信号検出系、伝送系などの改善は勿論必要であるが、エラー検出は重要である。
このエラー検出方法の一例について説明する。図3に示したPN符号系列の生成に用いるLFSR(linear feedback shift register)より明らかなように、このm=15の系列では0ビットと1ビットの排他的論理和(XOR)をとり(XORゲート50を通り)、14ビットにフィードバックするように構成されているので、0ビットと1ビットと15ビットの排他的論理和がいつも「0」となる。この原理を利用してエラー判定を行うことができる。
但し、0ビットから14ビットまでの全ビットに関してこのチェックを実施する必要がある。そのためにはこの15ビットのPN符号系列では1ビットずつずらして14回行う必要があり0〜28ビットまでの信号を検出する必要がある。このように多数の信号検出が必要であるので、検出素子を多数内蔵したCMOSリニアアレイを用いるのがコンパクトでかつコスト上有利である。
又、CMOSリニアアレイからシリアルに出力される信号をFPGAのシフトレジスタに次々送り込むことによりエラーチェックを実行すれば、高速にエラーチェックすることもできる。まずはこの特定ビットの排他的論理和が「0」によるエラーチェックが便利であるが、このチェック方法は1ビットのエラーは検出できるものの2ビットのエラーは検出できない。例えば0ビットと1ビットがいずれもエラーで、15ビットは正しい値であれば排他的論理和は「0」になりエラー検出はできない。すなわち、この方法は3ビットの内1ビットのみエラーのときは検出できるが、2ビットのエラーを含むとエラー検出を行うことができない。そこで、他の方法との併用が必要となる。
特定ビットの排他的論理和によるエラー検出のみでは完全にエラーを排除することはできないので、それと併用してエラーの 確率を下げられる一つの方法を説明する。例えば、いま最大ストロークが4mのエンコーダであればPN符号系列アブソリュートリニアスケール33の1ビットが80μmであれば、次の式(VII)に示すようなものとなり、16ビットのPN符号系列で十分である。
80μm×(216−1)=5.24m―――(VII)
しかしながら、今18ビットのPN符号系列を用いると、そのストロークは次の式(VIII)に示すようなものとなる。
80μm×(218−1)=20.90m―――(VIII)
PN符号系列は擬似ランダム信号に用いられるようにそのランダム性は高いので、必要な4mストローク内のビットパターンはストローク約20mの18ビットパターンの全体にわたって分散しているので、万一エラーを含むビットパターンであってもストローク4m内のビットパターンである確率は次の式(IX)に示すようなものとなり、略80%のエラーは除去できる。
4m/20m=1/5―――(IX)
このように、ストロークに対するPN符号必要ビット数より多いビット数のPN符号系列を用いることにより、求められた位置がストロークの範囲外の場合、それをエラーとして取り除くことができる。この方法は、他に位置に関する情報のない時、すなわち、電源立上げ直後とかリセット時にも適用できる優れた方法であると考えられるが、別に位置情報があればもっと高い確率でエラー除去できる方法がある。以下その方法を説明する。
前回得られた絶対位置と前回からの経過時間が確認できていれば、アブソリュートリニアエンコーダ可動部の最大速度あるいは最大加速度より移動可能範囲が限定される。例えば、最大速度4m/sで、経過時間1msであれば移動可能距離は±4mmである。前記の18ビットPN符号系列では約20mのストロークを表すことができるので、移動可能距離±4mmは次の式(X)に示すようなものとなり、99.96%ののエラー除去ができる。
8mm/20m=4/10000―――(X)
このように前回得られたエラーでない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対値の演算又は検出を実施し、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離を越えているか否かでエラー検出することができる。
上記方法を用いると高速で絶対位置を演算又は検出することができる。例えば、最大速度4m/sで、経過時間1msであれば移動可能距離は±4mmであり、前回の位置(1ms前)が確認できているので、その位置の前後4mmのみの絶対位置の演算又は検出するのみで十分である。前後4mm、すなわち、8mmの範囲内での演算は次の式(XI)に示すようなものとなる。
8mm/80μm=100回―――(XI)
そして、LFSRシフトレジスタのクロックを5MHzで廻すと20μsec以内で演算できることになり非常に高速化できる。
因みに、LFSRの各シフトレジスタに前回位置に対応するビットデータを与えたLFSRシフトレジスタを2個用意し、LFSRシフトレジスタを正逆2方向に同時に廻すとさらに1/2の時間で絶対位置を演算することができる。
又、絶対位置と対応するPN符号系列ビットパターンのテーブル(表)から合致するパターンを検出する場合も同様に100個のパターンと比較照合するだけであるので、非常に短時間で検出できる。すなわち、この方法を用いない時は4mの領域全てで演算又は検出を行わなければならず、500倍(=4m/8mm)程度の長時間を要するが、上記方法を用いることによって非常に短時間で絶対位置を求めることができる。よって、前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算又は検出を実施し、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離の範囲内で絶対位置を演算又は見つけ出すことにより絶対位置の演算又は検出を高速化できる。
次に、図11を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態で説明したように、CMOSリニアアレイは、例えば、12.5μmピッチで512個の検出素子が並んでいる検出器である。又、それら512個の検出素子からの信号出力は同時に行うことはできず、検出素子1つずつの信号出力となる。例えば、512個の検出素子の信号出力を得るためには略500倍の時間を要してしまうことになり、その結果、高速の信号出力が困難であるという欠点があった。
そこで、この第2の実施の形態よるアブソリュート型リニアエンコーダの場合には、連続的に(或いは極めて短時間応答で)位置データを出力する方式ではなく、ある一定時間間隔(又はある応答時間)にて位置データを出力する方式を用いるようにしており、ある一定サンプリング時間内にてCMOSリニアアレイの検出素子の出力を得て、エラーチェックや絶対位置データの演算等を行う方式を用いるものである。
例えば、CMOSリニアアレイの検出素子1つ当りの出力が200nsec(5MHz)であれば、全検出素子512個の出力を得るのに略100μsec(10KHz)要することになる。よって、他のロス時間を無視すると、この略10KHzが最大応答周波数となり、高々100Hz程度のアクチュエータの応答周波数に比べ十分高応答であり実用上問題ない。しかしながら、より高精度の位置決めが必要な場合には、上記の遅れが原因して位置決め制御性能が低下してしまうことが懸念され、遅延のない又は遅延の少ない位置データの出力が求められることになる。
例えば、センサー信号取得から位置演算まで100μsec必要とする場合、通信による遅延を「0」としても、出力する位置データは100μsec時間前のデータである。 すなわち、この場合コントローラが得た位置データは100μsec前のスライダ3の位置データであり、現在スライダ3はどの位置にいるかは厳密には判らない。
そこで、この第2の実施の形態では、検出器から得られた信号の演算により求められた位置情報に基づき、現在位置の推測演算を行うようにしており、それによって、遅延の殆どない位置情報を出力することができるものである。例えば、位置推測範囲及び近傍では短時間のため「速度一定」と見なせる場合には、演算により求められた位置P(0)と前回の演算により得られた位置との演算により求められた速度情報V(0)とを用いて、t時間後の位置P(t)が次の式(XII)により推測演算される。
P(t)=P(0) + V(0)*t―――(XII)
但し、
P(t):t時間後の位置
P(0):演算により求められた位置
V(0):演算より求められた速度
t :時間
尚、上記位置P(t)は検出器によって信号を取得した時刻から経過時間(t)後の推測位置である。
例えば、センサー信号取得から位置演算まで100μsec必要とする場合、位置情報が得られるまで100μsecの遅れがあるので、その位置演算が終わった時点での位置は、経過時間;t=100μsecであるので、P(100μsec)となる。
この式(XII)の場合、推測演算は簡易であるが、速度変動が大きいと誤差は大きくなってしまう。ところが、スライダ3の位置は機械的な移動であるので、応答は比較的遅く、短時間では「加速度一定」又は「加速度変化一定」と見なしても良いと考えられる。それらを考慮した推測式を次の式(XIII)、(XIV)に夫々示す。 「速度一定」の時は速度V(0)だけで十分であったが、さらに加速度(α)や加速度変化(Δα)を前回までの位置と位置P(0)との演算により求め、それらを用いることにより推測誤差を減らすことができるものである。
尚、式(XIII)は「加速度一定」と見なせる場合で、式(XIV)は加速度変化も考慮した「加速度変化一定」と見なせる場合である。
P(t)=P(0)+{V(0)+α*t}*t―――(XIII)
P(t)=P(0)+{V(0)+{α(0)+Δα*t}*t}*t ―――(XIV)
但し、
α、α(0):演算により求められた加速度
Δα:演算により求められた加速度変化
位置推測と実際の位置との比較をシュミュレーションで求めた例を、表1と図11に示す。表1は、実際のデータ、速度一定と仮定した場合のデータ、加速度一定と仮定した場合のデータ、加速度変化一定とした場合のデータを夫々表示したものである。又、図11は、横軸に時間をとり縦軸に位置をとって、実際のデータ(図中○印)、速度一定と仮定した場合のデータ(図中■印で示す)、加速度一定と仮定した場合のデータ(図中△印で示す)、加速度変化一定とした場合のデータ(図中×印で示す)を夫々表示したものである。実際のデータ、加速度一定と仮定した場合のデータ、加速度変化一定とした場合のデータについては、略一致している。一方、速度一定と仮定した場合のデータは実際のデータとの間に誤差がある。
尚、このシミュレーションでは時間「0」の時の速度=0.01[m/s]、加速度=30[m/s]、加速度変化=3000[m/S]にて計算した結果である。
Figure 2010217160
表1及び図11に示すように、「加速度一定」と「加速度変化一定」による推測位置は実際の位置とよく一致しているが、「速度一定」による推測位置は誤差が生じている。これらの結果によれば、「速度一定」でも一定の効果を奏することはできるが、「加速度一定」又は「加速度変化一定」による推測演算の方がより好ましい。
以上この第2の実施の形態によると、前記第1の実施の形態による効果と同様の効果を奏することができることはもとより、検出器から得られた信号の演算により求められた位置情報に基づき、現在位置の推測演算を行うことで、遅延なし又は少ない遅延にて位置情報を出力することができるエンコーダを実現できる。
尚、この第2の実施の形態の内容は、アブソリュート型リニアエンコーダへの適用に有効なだけではなく、遅延が問題となるインクリメンタルエンコーダを含む全てのエンコーダに有効なものである。
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、検出連続信号数mはここでは主に15を用いたが、アブソリュートリニアエンコーダの必要な分解能およびストロークで最適なmの値は変わってくる。例えば、より長いストロークではm=16〜18が適している場合もある。
又、本実施例ではCMOSリニアアレイを用いた実施例を挙げて説明したが、例えば、CCDリニアアレイ等を用いてもコストは高くつくが、同様の効果は期待できる。
又、スケール及び検出器は光学式のものを用いた例を挙げたが、PN符号系列を用いる磁気式あるいは静電式など他方式でも同様に本発明を適用できることは言うまでもない。
本発明は、例えば、アブソリュート型リニアエンコーダとリニアエンコーダとそれらアブソリュート型リニアエンコーダ又はリニアエンコーダを使用したアクチュエータに係り、特に、装置のコンパクト化が容易であって信頼性が高く、且つ、低コスト化できるように工夫したものに関し、例えば、精密位置決めシステムに好適である。
1 ハウジング
3 スライダ
5 ボールネジ
7 駆動モータ
9 ガイド
11 ガイド
21 リニアスケール部
23 検出ヘッド部
25 コントローラ部
31 位相検出用リニアスケール
33 アブソリュートリニアスケール
35 位相検出用リニアスケール用光学検出器(位相検出用リニアスケール用検出器)
37 アブソリュートリニアスケール用光学検出器(アブソリュートリニアスケール
用検出器)
41 位相演算器
43 絶対位置データ演算器
45 絶対位置データ構成器
47 トランシーバ
49 トランシーバ
51 コントローラ

Claims (19)

  1. 位相検出用リニアスケールと位相検出用リニアスケール用検出器を主構成とする位相検出用リニアスケール部と、
    PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートリニアスケール部と、
    を主な構成とすることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  2. 請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    上記アブソリュートリニアスケール用検出器はCMOSリニアアレイであることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  3. 請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    上記位相検出用リニアスケール用検出器はCMOSリニアアレイであることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  4. 請求項1記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    上記アブソリュートリニアスケール部からの検出信号を用いて演算された位置情報と上記位相検出用リニアスケール部からの検出信号を用いて演算された位置情報を結合した結合位置情報を間欠的に送信することを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  5. 互いに位相差を持つ複数組のアブソリュート検出素子を用いることによって非繰返し信号であるアブソリュート信号を安定的に検出するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  6. 請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    上記アブソリュート検出素子はCMOSリニアアレイであることを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  7. 請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行い、エラーの検出された信号組は「不安定」であると判定するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  8. 請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    アブソリュート信号1ビット当り少なくとも3個の検出素子分の信号を用い、その組の信号検出が安定か否か判定するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  9. 請求項8記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    アブソリュート信号1ビット長当り少なくとも3組の検出素子の信号にて、中央部検出素子の信号組に対する1ビット長内の信号対称性のより良い信号組を安定と判定するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  10. 請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    アブソリュート信号1ビット当りに少なくとも5個の検出素子分の信号を用い、全ての検出素子組による絶対位置を演算しその多数決で正しい絶対位置を求めるようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  11. 請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    検出素子に対応する位相検出手段を設け、位相により安定なアブソリュート信号組を判定するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  12. 請求項5記載のアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    検出器上においてある位相差分だけ離間した複数の信号組にて略同時に絶対値の演算を行うようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  13. PN符号系列アブソリュートリニアスケールとCMOSリニアアレイを用いたPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートリニアエンコーダにおいて、
    PN符号系列の特定ビットの排他的論理和が「0」であることを用いて全ビットのエラーチェックを行うようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  14. PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    ストロークに対するPN符号必要ビット数より多いビット数のPN符号系列を用いることにより、ストローク範囲外の演算または検出結果をエラーとして判定するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  15. PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュートエンコーダにおいて、
    前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算又は検出を実施し、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離を越えているか否かでエラー検出するようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  16. PN符号系列アブソリュートリニアスケールとPN符号系列アブソリュートリニアスケール用検出器を主構成とするアブソリュート型リニアエンコーダにおいて、
    前回得られたエラーではない正しい絶対位置から、ある所定時間後に絶対位置の演算または検出を行い、前回位置との距離が最大速度や最大加速度等で限定される所定時間内に動くことの可能な距離の範囲内で絶対位置を演算または見つけ出すことにより絶対位置の演算又は検出を高速化できるようにしたことを特徴とするアブソリュート型リニアエンコーダ。
  17. 検出信号を用いて演算された位置情報に基づいて現在位置の推測演算を行い、遅延なし又は少ない遅延にて位置情報を出力するようにしたことを特徴とするリニアエンコーダ。
  18. 請求項17記載のリニアエンコーダにおいて、
    位置推測範囲及び近傍において加速度又は加速度変化が一定であるとして推測演算を行うようにしたことを特徴とするリニアエンコーダ。
  19. 請求項1〜請求項18の何れかに記載のアブソリュート型リニアエンコーダ又はリニアエンコーダを用いたことを特徴とするアクチュエータ。
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