JP2010216086A - 支承装置固定用カプラー - Google Patents
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Abstract
【課題】構造が簡単で支承装置取付用プレートとアンカーボルトの固定作業が容易で、地震時の水平力、上揚力に対する抵抗性が大きく、支承装置取替えのための撤去作業も容易にできる支承装置固定用カプラーを提供する。
【解決手段】支承装置固定用カプラー17において、支承装置取付用プレート5に形成した取付穴10の内径より大径なフランジ部15と、前記取付穴10の内径とほぼ同じ外径の円筒形カプラー本体部と、前記カプラー本体部に形成されるアンカーボルト螺着用の有底雌ネジ穴26と、前記フランジ部15に形成される回動工具係合部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】支承装置固定用カプラー17において、支承装置取付用プレート5に形成した取付穴10の内径より大径なフランジ部15と、前記取付穴10の内径とほぼ同じ外径の円筒形カプラー本体部と、前記カプラー本体部に形成されるアンカーボルト螺着用の有底雌ネジ穴26と、前記フランジ部15に形成される回動工具係合部とを備えることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、建築物や橋梁等の構造物の上部構造と下部構造の間に配置される支承装置を、上部構造又は下部構造にアンカーボルトを介して固定するための支承装置固定用カプラーに関する。
支承装置を構造物に固定する構造として、上部構造又は下部構造に埋設固定されたアンカーボルトの先端に形成した雄ねじ部を支承装置取付用プレートに形成した取付穴に挿通し、アンカーボルトの先端に形成した雄ねじ部に座金を介してナットを螺着して固定するものや、取付穴に雌ねじを形成しアンカーボルトの先端部に形成した雄ねじ部を雌ねじを形成した取付穴に直接螺着し固定するものや、支承装置取付用プレートとアンカーボルトを段付きカプラーと溶接手段を介して固定するものがある。
しかしながら、アンカーボルトの先端に形成した雄ねじ部を支承装置取付用プレートに形成した取付穴に挿通し、アンカーボルトの先端に形成した雄ねじ部に座金を介してナットを螺着して固定する固定構造は、アンカーボルトの先端の雄ねじ部と取付穴との間に間隙が形成されるため地震時の水平力に対する抵抗力が弱く、さらに、アンカーボルト先端部の雄ねじ部の外径がアンカーボルト挿通穴の内径より小さいため、座金とナットでアンカーボルトと螺着後、座金と支承装置取付用プレートを溶接により固定する必要があり、支承装置の設置、取替えのための撤去作業が困難になるという問題を有する。
取付穴に雌ねじを形成しアンカーボルトの先端部に形成した雄ねじ部を雌ねじを形成した取付穴に直接螺着し固定する固定構造は、地震時の水平力に対向するため、螺着長さが必要であり、そのため支承装置取付用プレートの板厚を厚くしなければならず、軽量化が望まれる支承装置の重量を増加させるという問題と、支承装置の取替えのための撤去作業が困難であるという問題を有する。
支承装置取付用プレートとアンカーボルトを段付きカプラーと溶接手段を介して固定する固定構造は、支承装置の取替えのための撤去作業の際、アンカーボルトを埋設固定しているコンクリートのはつり作業が必要になるという問題を有する。
本発明は、上記従来技術の持つ課題を解決する、構造が簡単で支承装置取付用プレートとアンカーボルトの固定作業が容易で、地震時の水平力、上揚力に対する抵抗性が大きく、支承装置取替えのための撤去作業も容易にできる支承装置固定用カプラーを提供することを目的とする。
本第1発明は、前記課題を解決するために、支承装置固定用カプラーにおいて、支承装置取付用プレートに形成した取付穴の内径より大径なフランジ部と、前記取付穴の内径とほぼ同じ外径の円筒形カプラー本体部と、前記カプラー本体部に形成されるアンカーボルト螺着用の有底雌ネジ穴と、前記フランジ部に形成される回動工具係合部とを備えることを特徴とする。
本第2発明は、本第1発明の支承装置固定用カプラーにおいて、前記回動工具係合部を、多角形のフランジ、係合凹部、係合凸部のいずれかとすることを特徴とする。
本第3発明は、本第1発明又は第2発明の支承装置固定用カプラーにおいて、前記アンカーボルト螺着用の有底雌ねじ穴の底部の位置を前記フランジ部から前記支承装置取付プレートの厚み以下になるように形成することを特徴とする。
本発明の、支承装置取付用プレートに形成した取付穴の内径より大径なフランジ部と、前記取付穴の内径とほぼ同じ外径の円筒形のカプラー本体部と、前記カプラー本体部に形成されるアンカーボルト螺着用の有底雌ネジ穴と、前記フランジ部に形成される回動工具係合部とを備える構成により、取付穴の内径はカプラー本体部の外径により設定されるため、アンカーボルトを取付穴の上下側のいずれからも挿通可能であり支承装置の固定、撤去作業が容易になる。また、取付穴とカプラー本体との間に間隙が生じないので地震時の水平力に対する抵抗力を大きくでき、取付穴の内径より大きなフランジ部が地震時の上揚力に対して抵抗できる。さらに、フランジ部に回動工具係合部が形成されているため、支承装置の設置、撤去作業をカプラーの回動操作のみで実施できる。
回動工具係合部を、多角形のフランジ、係合凹部、係合凸部のいずれかとする構成により、簡単な構成で支承装置の設置、撤去作業時のカプラーの回動操作を容易にできる。
アンカーボルト螺着用の有底雌ねじ穴の底部の位置をフランジ部から支承装置取付プレートの厚み以下になるように形成する構成により、支承装置固定用カプラーを回動してアンカーボルトとの螺着を解除し支承装置取付用プレートからカプラーを取り外すだけで、支承装置取付用プレートを含む支承装置を容易に撤去できる。
回動工具係合部を、多角形のフランジ、係合凹部、係合凸部のいずれかとする構成により、簡単な構成で支承装置の設置、撤去作業時のカプラーの回動操作を容易にできる。
アンカーボルト螺着用の有底雌ねじ穴の底部の位置をフランジ部から支承装置取付プレートの厚み以下になるように形成する構成により、支承装置固定用カプラーを回動してアンカーボルトとの螺着を解除し支承装置取付用プレートからカプラーを取り外すだけで、支承装置取付用プレートを含む支承装置を容易に撤去できる。
本発明の実施の形態を図により説明する。図1(a)(b)は、本発明の支承装置固定用カプラーの第1の実施形態を示す平面図と正面図である。
支承装置固定用カプラー17(以下、「カプラー」という。)は、建築物や橋梁等の構造物の上部構造と下部構造の間に配置固定される支承装置をアンカーボルトにより固定する際に用いられる。カプラー17は、支承装置を取り付ける取付プレートに形成した取付穴の内径より大径のフランジ部15を備えている。カプラー17は、フランジ部15から円筒形のカプラー本体部18を備えている。カプラー本体部18の外径は、取付プレートに形成した取付穴の内径とほぼ同じものとし、カプラー本体部18の回動は許容するが間隙が生じないようにする。
取付穴とカプラー本体部18との間の間隙を無くすことにより、地震時の水平力に対する抵抗性が向上する。取付プレートの取付穴の内径は、円筒形のカプラー本体部19の外径により設定さる。そのため、取付穴の内径をアンカーボルトの最大外径より大きくすることができので、アンカーボルトを取付プレートの表裏面のいずれからでも取付穴に挿入でき、支承装置の設置作業が容易になる。
円筒形のカプラー本体部18には、アンカーボルトの先端に形成した雄ねじ部と螺着する有底雌ねじ穴26が形成される。有底雌ねじ穴26の底部の位置を、フランジ部15が取付プレートの表面と係合した状態で取付プレートの厚みLより下方の位置になるように形成する。アンカーボルト螺着用の有底雌ねじ穴26の底部の位置を取付プレートの下になるように形成することで、カプラーを回動してアンカーボルトとの螺着を解除し取付プレートからカプラーを取り外するだけで、取付プレートを含む支承装置を容易に交換できる。
フランジ部15の表面には回動工具係合部28が形成される。本発明の第1の実施形態では、回動工具係合部28を多角形の所定深さの凹部として形成している。多角形の凹部からなる回動工具係合部28に回動工具を係合させて回動することにより、アンカーボルトの先端の雄ねじ部とカプラー本体部17に形成した有底雌ねじ穴26との螺着、解除が容易に実施できる。
図2(a)(b)は、本発明のカプラーの第2の実施形態を示す平面図と正面図である。
第2の実施形態では、フランジ部15に形成される回動工具係合部28を多角形の凸部として形成している。多角形の凸部からなる回動工具係合部28に回動工具を係合させて回動することにより、アンカーボルトの先端の雄ねじ部とカプラー本体部17に形成した有底雌ねじ穴26との螺着、解除が容易に実施できる。他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
図3(a)(b)は、本発明のカプラーの第3の実施形態を示す平面図と正面図である。
第3の実施形態では、フランジ部15に形成される回動工具係合部28をフランジ部15の外形を多角形として形成している。多角形の外形のフランジ部15からなる回動工具係合部28に回動工具を係合させて回動することにより、アンカーボルトの先端の雄ねじ部とカプラー本体部17に形成した有底雌ねじ穴26との螺着、解除が容易に実施できる。他の構成は第1及び第2の実施形態と同様であるので説明を省略する。
図4は、本発明のカプラーを構造物の支承装置に用いた状態を示す縦断面図である。本発明のカプラーは、橋梁、建築等の構造物の支承装置の固定のために用いられるものであり、支承装置の種類に限定されるものではない。また、図4では、下部構造への固定のために用いた例が示されているが、コンクリート製であれば上部構造に用いてよい。
支承装置22は、上部構造14とコンクリート製の下部構造2の間に設置される。支承装置22は、下部構造2に固定される取付プレート5を備える。取付プレート5には予め支承装置22が固定された状態で設置現場に搬送される。取付プレート5には複数の取付穴10が形成される。取付穴10の内径は、カプラー17のフランジ部15より小さく、カプラー本体部18の外径とほぼ同じで、カプラー本体部18が回動可能なものとする。また、取付穴10の内径をアンカーボルト23の最大外径より大きくすると、アンカーボルト23をどの方向からでも挿入できる。
支承装置22の設置の手順を説明する。下部構造2には複数のアンカーボルト用穴1を形成する。アンカーボルト用穴1は、取付プレート5に形成した取付穴10の形成位置に対応するように形成する。支承装置22を設置した取付プレート5を取付穴10の位置が下部構造2に形成されたアンカーボルト用穴1に対応するように配置する。カプラー17の有底雌ねじ穴26にアンカーボルト23の先端のアンカーボルト雄ねじ部8を螺着したものを取付穴10からアンカーボルト用穴1に落とし込む。カプラー17のフランジ部15が取付プレート5の表面に係合する。この状態でアンカーボルト用穴に充填コンクリート又は充填無収縮モルタル16を充填し固化させることで支承装置22を下部構造2に固定することができる。その後、支承装置22に上部構造14を固定する。上部構造14に本発明のカプラー17を用いる場合も同様の手順で実施する。
支承装置22を取り替えるための撤去作業の手順を説明する。カプラー17のフランジ部15に形成した回動工具係合部28に回動工具を係合し、カプラー17を解除方向に回動させ、有底雌ねじ部26とアンカーボルト雄ねじ部8の螺着を解除する。そうするだけで下部構造2と取付プレート5の固定は解除される。支承装置22と上部構造14の連結を解除することにより支承装置22を撤去できる。
古い支承装置22の撤去後、新しい支承装置22を設置する手順は、取付プレート5に形成される取付穴10の位置が古い支承装置22を固定していたアンカーボルト23の先端の雄ねじ部8の位置と対応するものとする。新しい支承装置22の取付プレート5を取付穴10をアンカーボルト23の先端部の雄ねじ部8に対応するように設置する。取付穴10からカプラー17を落とし込む、フランジ部15に形成した回動工具係合部28に回動工具を係合し、カプラー17を連結方向に回動させ、有底雌ねじ部26とアンカーボルト雄ねじ部8を螺着し、新しい支承装置22を下部構造2に固定する。次に新しい支承装置22と上部構造14を連結する。
以上のように、本発明の支承装置固定用カプラーは、地震時の水平力、上揚力に抵抗することができ、上部構造又は下部構造への支承装置の設置、撤去を容易にすることができる。
1:アンカーボルト用穴、2:下部構造、5:取付プレート、8:アンカーボルト雄ねじ部、10:取付穴、14:上部構造、15:フランジ部、16:充填コンクリート又は充填無収縮モルタル、17:支承装置固定用カプラー、18:カプラー本体部、22:支承装置、23:アンカーボルト、26:有底雌ねじ穴、28:回動工具係合部
Claims (3)
- 支承装置取付用プレートに形成した取付穴の内径より大径なフランジ部と、前記取付穴の内径とほぼ同じ外径の円筒形のカプラー本体部と、前記カプラー本体部に形成されるアンカーボルト螺着用の有底雌ネジ穴と、前記フランジ部に形成される回動工具係合部とを備えることを特徴とする支承装置固定用カプラー。
- 前記回動工具係合部を、多角形のフランジ、係合凹部、係合凸部のいずれかとすることを特徴とする請求項1に記載の支承装置固定用カプラー。
- 前記アンカーボルト螺着用の有底雌ねじ穴の底部の位置を前記フランジ部から前記支承装置取付プレートの厚み以下になるように形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の支承装置固定用カプラー。
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Cited By (3)
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