JP2010215936A - 鉄鋼の黒化処理液、黒化処理方法及び鉄鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】黒色度及び防錆力に優れた黒色皮膜を得ることができ、かつ安全性に優れた鉄鋼の黒化処理液を提供する。
【解決手段】本発明の鉄鋼の黒化処理液は、リン酸水溶液中にテルル酸を含有する。好ましくは、テルル酸/リン酸の重量比が0.25以上1.1以下である。この黒化処理液で処理した鉄鋼には、その表面に緻密かつ密着性の高い黒色酸化皮膜が形成される。この黒化処理液によれば、鉄鋼表面において、黒色度に優れ、かつ防錆効果の高い酸化皮膜を得ることができる。また、シアンやクロムといった有害な化合物を含有しないため、安全性にも優れている。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼の黒化処理液、黒化処理方法及び鉄鋼材に関するものであり、特に鉄材や鋼材の表面に黒色皮膜を形成させるための黒化処理液、黒化処理方法及び同黒化処理液により処理された鉄鋼材に関するものである。
従来、自動車や電子機器等の金属部品において、本体内部での光の反射の抑制や防錆力(耐食性)の付与を目的として、金属表面を黒色化処理することが行われている。鉄鋼材を対象とする黒色化処理として、例えば、黒色亜鉛クロメートや黒色クロムめっきなどの電気めっき、無電解ニッケルめっきなどにより、鉄鋼材の表面に黒色めっき皮膜を形成させるものがある(例えば特許文献1参照)。
また、強アルカリの組成液中に鉄鋼材を浸漬することにより、鉄鋼材の表面に黒色皮膜を形成させるものがある。この黒色皮膜の形成処理は、黒染め処理とも称されている。黒染め処理としては、例えば、濃苛性ソーダやシアン化物といった強アルカリを含む組成液を用い、これを120〜140℃に煮沸した後、その中に鉄鋼材を浸漬することにより、鉄鋼材の表面に四三酸化鉄の黒色被膜を形成させるものがある(例えば特許文献2参照)。また、黒染め処理により、鉄鋼材の表面にリン酸化合物(錯体塩)を形成するものもある(例えば特許文献3参照)。
特開2007−119851号公報 特開2008−261017号公報 特開2003−160880号公報
黒色亜鉛クロメートや黒色クロムめっきによる黒色化処理の場合、6価のクロムを用いるため、人体や環境に対する影響が懸念される。また、無電解ニッケルめっきによる処理では、被処理物の表面にニッケルめっきを形成させた後、そのめっき膜を黒色化するための処理(例えば酸化処理)を行う必要があり、処理が煩雑になることが考えられる。
一方、黒染め処理において、濃苛性ソーダやシアン化物は強アルカリであり、作業環境が良好でない。特に、シアン化物については、人体や環境に対する危険性が高いことが懸念される。また、特許文献2による黒染め処理の場合、処理液中に鉄鋼材を浸漬する際に高温にする必要があるため、その処理の煩雑さや安全性の低下が懸念される。一方、リン酸化合物により形成された黒化皮膜においては、比較的穏やかな条件で黒色化処理を行うことができる反面、黒色度や防錆力の点で更なる改善が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、黒色度及び防錆力に優れた黒色皮膜を得ることができ、かつ安全性に優れた鉄鋼の黒化処理液及び黒化処理方法を提供することを主たる目的とする。また、上記黒色皮膜を有する鉄鋼材を提供することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、リン酸水溶液にテルル酸を含有させることにより、被処理物の表面に黒色度及び防錆力に優れた黒色皮膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明の鉄鋼の黒化処理液は、リン酸水溶液中にテルル酸を含有することを特徴とする。本発明において、テルル酸/リン酸の重量比が0.25以上1.1以下であるのが好ましい。また、前記テルル酸の濃度が、黒化処理時において全体量に対して0.5重量%以上2.0重量%以下であるとより好ましい。
本発明によれば、テルル酸を含むリン酸水溶液と被処理物の表面とを接触させる工程を有することを特徴とする鉄鋼の黒化処理方法が提供される。このとき、前記リン酸水溶液中における前記テルル酸の濃度が、全体量に対して0.5重量%以上2.0重量%以下であるとよい。また、上記の鉄鋼の黒化処理液を用いて形成された黒色皮膜を有することを特徴とする鉄鋼材が提供される。
本発明の鉄鋼の黒化処理液及び黒化処理方法によれば、テルル酸の存在下で鉄鋼表面の皮膜形成が行われることにより、黒色度の高い表面皮膜を形成することができる。また、鉄鋼表面に緻密かつ密着性の高い黒色皮膜を形成することができ、防錆効果の高い黒色皮膜を形成することができる。さらに、本処理液中にはシアンやクロムといった有害な化合物を含有しておらず、穏やかな条件で黒色化処理を実施できるため、安全性や作業環境にも優れている。
全光線反射率を示すスペクトル図。 本発明の黒化処理液により形成された黒色皮膜の電子顕微鏡像。
以下、本発明について詳細に説明する。
(鉄鋼の黒化処理液)
本発明の黒化処理液において、リン酸は、処理液全体に対して0.2重量%以上6重量%以下の濃度であるのが好ましい。0.2重量%未満であると、被処理物の表面に黒色皮膜を均一に形成させることができず、被処理物に対して十分な防錆力を付与できない。6重量%よりも多いと、被処理物の表面に鉄の黒色酸化物が過剰に生成される、つまりスマットが多くなり、汚染や色ムラ(染めムラ)の原因となる。また、黒色度が低下する。防錆効果を保持しつつスマットを抑制させる観点から、より好ましくは1重量%以上2重量%以下である。
本発明の黒化処理液にはリン酸塩が含有されていてもよい。リン酸塩として例えば、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウムなど各種リン酸塩が挙げられる。
テルル酸は、リン酸に対する重量比が0.15以上1.1以下であるのが好ましい。上記範囲であると、黒色度を好適に保つことができ、またスマットの発生を抑制することができ好適である。黒色度及び防錆力を高める観点から、より好ましくは0.25以上1.1以下である。
黒化処理時におけるテルル酸濃度は、処理液全体に対して0.1重量%以上2.0重量%以下の範囲の量とするとよい。0.1重量%以上であれば被処理物の表面を黒色にすることができる。また、2.0重量%より多くしても黒色度が更に向上せず不経済である。黒色度の観点から、より好ましくは0.3重量%以上であり、更に好ましくは0.5重量%以上である。0.5重量%以上であれば、被処理物の表面において緻密な黒色皮膜が形成され、水分等の浸透や空気中の酸素との接触を抑制することができる。したがって、防錆効果を高めることができる。また、0.5重量%以上では、黒化皮膜における黒色度及び被処理物に対する密着性が特に高く、被処理物表面での光の反射を抑制する上で好適である。
本処理液には、金属塩が含有されている。金属塩としては、例えばニッケル、コバルト、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、亜鉛、スズ、銅、金などの各種金属塩の1種又は複数種を用いる。好ましくは、鉄よりもイオン化傾向が小さい金属の塩であり、より好ましくはニッケル塩又は銅塩であり、更に好ましくはニッケル塩である。金属塩は水溶性であればよく、例えば硫酸塩や硫酸水素塩、チオ硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩とする。好ましくは硫酸塩又は硝酸塩であり、より好ましくは硫酸塩である。金属塩の含有量は、被処理物の表面において均一に酸化皮膜を形成させるために1.0重量%以上が好ましく、スマットを抑制するために2.2重量%以下であるのが好ましい。
本発明において、例えば防錆剤やキレート剤といった添加剤を添加するとよい。黒化処理液への添加剤の添加量は、被処理物の表面の黒色化反応が抑制されない範囲で適宜設定することができる。
防錆剤としては、例えば、バナジウム、チタニウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデン等といった金属により構成される金属酸化物の塩が挙げられる。金属酸化物の塩としては、ナトリウム塩、アンモニウム塩、カリウム塩等が挙げられる。好ましくは、モリブデン酸ナトリウムである。金属酸化物の塩の添加量は、被処理物表面に酸化皮膜を形成しやすくするとともに被処理物に対する皮膜の密着性を向上させる観点から、処理液全体に対して0.05重量%以上0.25重量%以下の範囲の量とするとよい。なお、防錆剤は必要に応じて二種以上併用してもよい。
キレート剤としては、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸などが挙げられる。好ましくはEDTAである。また、キレート剤はアルカリ塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。キレート剤の添加量は、処理液全体に対して0.05重量%以上1.0重量%以下の範囲の量とするとよい。なお、キレート剤は必要に応じて二種以上併用してもよい。
本発明において、黒色皮膜を形成させる被処理物としては、鉄又は鉄を主成分とする合金であれば制限はなく、従来黒色化処理が可能であった物品を用いることができる。また、そのような物品であれば、物品の形状や大きさは限定しない。処理可能な材料として具体的には、軟鉄、銑鉄、鋼鉄(炭素鋼、合金鋼、ニッケル鋼など)が挙げられる。
(黒化処理液の製造方法)
本発明の黒化処理液は、上記各種の組成物を、媒体としての水に溶解させることにより調製することができる。すなわち、水に対しリン酸及びテルル酸といった各化合物を添加し、攪拌等によりこれらを水に溶解させることで調製される。このときの調製温度は常温とするのが好ましい。
本製造方法により得られる黒化処理液は、上記の各組成物の濃度がそれぞれ上記最適範囲の濃度になるよう調製された液であってもよいし、あるいは例えば2〜8倍の濃度で調製された濃縮液であってもよい。濃縮液においては、テルル酸/リン酸の重量比が0.25以上1.1以下であるのが好ましい。濃縮液として調製した場合、その濃縮液を使用時に水で適切な濃度に希釈する。
(黒化処理方法)
黒色化処理による黒色皮膜の形成は、被処理物を上記黒化処理液に対し所定時間接触させることにより行う。接触の態様は特に限定せず、浸漬や塗布、噴霧等の各種方法により被処理物と黒色処理液とを接触させることができる。被処理物と黒化処理液との接触温度は、10℃以上70℃以下の範囲内で設定するとよい。この温度範囲であれば、被処理物を黒色に染めることができる上、被処理物の物性に影響が及ぶのを抑制することができ、また作業環境も好適である。黒色度を好適に保ちつつ処理時間を短くすることができる点において、好ましくは40℃以上55℃以下であり、より好ましくは45℃以上50℃以下である。
黒化処理液との接触時間(処理時間)は、処理液の濃度や温度に応じて適宜設定することができ、例えば30秒以上180秒以下とすることができる。
黒色化処理の前処理として、被処理物の表面に付着している油脂性の汚れを除去するために、被処理物に対して脱脂を行うとよい。脱脂のための処理としては、鉄鋼材を対象に一般に使用される方法であればよく、例えばアルカリ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理などの前処理を施すことが可能である。また、脱脂後であって黒色化処理の前に、被処理物の表面に付着した錆を落とすための処理として、例えば酸処理を実施してもよい。
黒色化処理の後処理として、被処理物に対し防錆油を含浸させるとよい。含浸のための方法は特に限定せず、塗油、静電塗油などいずれであってもよい。また、防錆油としては、鉄鋼材用の防錆油として一般に使用されているものであればよく、例えばJIS K 2246で分類される錆止め油などを用いることができる。
(黒化皮膜)
本発明の黒化処理液により形成された黒化皮膜は、走査型電子顕微鏡により、無数の針状結晶(リン酸化合物)の集合体として観察される。この針状結晶の大きさは、短手方向の長さが130nm以下であり、好ましくは110nm以下である。すなわち、本発明の黒化処理液によれば、緻密性の高い黒色皮膜を形成することができる。この緻密性により、高い黒色度及び防錆効果を備える黒化皮膜を得ることができると考えられる。また、微小な結晶の付着により黒化皮膜が形成されているため、被処理物表面と黒化皮膜との密着性を高くすることができる。
黒色度について具体的には、JIS−Z8722に準拠した測定法に基づく全光線反射率を4%以下とすることができる。好ましくは3%以下である。また、防錆力(耐食性)について具体的には、JIS−Z2371の中性塩水噴霧試験法に準拠した塩水噴霧試験(SST試験)において、塩水噴霧後3.5〜4時間の期間における発錆を抑止することができる。
元素分析による測定結果によれば、上記黒色皮膜中には鉄、リン、酸素、金属塩由来の金属(ニッケルや銅)といった各原子の他、テルル原子が含有されている。すなわち、上記黒化皮膜は、ニッケルや銅などの金属、リン、鉄及び酸素による酸化皮膜にテルルを含む合金膜である。黒化皮膜にテルルが含有されることにより、リン酸化合物による針状結晶が微細となって緻密な膜が形成され、これにより黒色度及び防錆力が良好になると推測される。また、テルルによって、Ni−P−Oなどによる黒色の発色が良好になることも考えられる。なお、黒化皮膜の組成は、例えばICP分光分析装置などによって測定することができる。
本発明の鉄鋼材は、鉄又は鉄を主成分とする合金に対し、上記黒化処理液により黒染め処理を施すことにより得られる。したがって、鉄鋼材の表面には、幅方向の長さが130nm以下、好ましくは110nm以下の針状結晶(リン酸化合物)により黒色酸化皮膜が形成されており、高い黒色度及び防錆力を有している。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に示す態様に限定されるものではない。
[黒化処理液の調製]
75%リン酸、硫酸ニッケル、テルル酸(Te(OH)6)、モリブデン酸ナトリウム及びEDTA・4Naを下記の表1に示す比率(処理液全体に対する重量比)で水に溶解し、それぞれ実験例1〜9とした。また、実験例6の組成のうち、硫酸ニッケルに代えて同量の硫酸銅を配合し、これを実験例10とした。
[黒染め処理]
SPCC材(JIS G3141)を対象に黒化処理を実施した。黒色化処理は、上記各処理液中を50℃に保持し、その中にそれぞれ1分半ずつ浸漬することにより行った。また、比較例として、市販されている2種の黒染め処理液(比較例1及び比較例2)について、それぞれ添付の各仕様書のとおり黒色化処理を行った。製造者情報によると、比較例1の組成は、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、二酸化セレン、硫酸銅、硫酸ニッケル、ニトリロ三酢酸及び水であり、比較例2の組成は、リン酸、モリブデン酸ナトリウム、硫酸ニッケル及び水であった。なお、黒色化処理の前処理として、5重量%NaOHで脱脂後、10重量%塩酸で錆落としを行った。
[目視による黒色度の評価]
黒色化処理を行った後、2〜3分間室温で放置して乾燥させ、乾燥後のSPCC材について目視により黒色度を評価した。黒色度は、A(極めて良好)〜F(染まりなし)の六段階評価により行った。その結果を表1に示す。
表1に示すように、実験例1(0.01重量%テルル酸含有、テルル酸/リン酸(重量比)=0.005)では黒色に染まらず、皮膜の形成も見られなかった。実験例2(0.05重量%テルル酸含有、テルル酸/リン酸(重量比)=0.027)では、黒色皮膜が形成されたものの、その黒色度が低くグレー色であった。実験例3(0.1重量%テルル酸含有、テルル酸/リン酸(重量比)=0.053)では、黒く染まるものの表面を擦ると黒色皮膜が取れてしまい、密着性が良好でなかった。また、黒色皮膜が剥がれた箇所では、SPCC材自体の色が露出された。実験例4(0.2重量%テルル酸含有、テルル酸/リン酸(重量比)=0.11)では、表面の黒色度は良好であったが、表面を擦ると実験例3と同様に黒色皮膜が取れてしまい、密着性が良好でなかった。ただし、実験例4では、擦った箇所のSPCC材の地肌が黒淡色に染まっていた。これは、黒色皮膜の密着性が実験例3よりも良好であるためと考えられる。
実験例5(0.3重量%テルル酸含有、テルル酸/リン酸(重量比)=0.16)では、実験例4よりも黒色皮膜の黒色度及び密着性が良好であり、表面を擦った箇所においてSPCC材の地肌が黒く染まっていた。また、実験例6〜9(0.5〜1.5重量%テルル酸含有、テルル酸/リン酸(重量比)=0.27〜0.80)では、実験例5よりも黒色皮膜の黒色度が更に良好であり、表面を擦った箇所においてSPCC材の地肌がより黒く染まっていた。これは、硫酸ニッケルに代えて硫酸銅を添加した実験例10についても、実験例6〜9と同様の密着性を有していた。ただし、黒色度については、硫酸ニッケルの場合よりも劣っていた。
これらのことから、黒化処理液中にテルル酸を0.1重量%以上含有することにより、黒色皮膜における黒色度を良好にすることができると言える。特に、テルル酸濃度が0.5重量%以上の場合には、黒色度が更に良好になり、また黒色酸化皮膜とSPCC材との密着性についても良好であることが分かった。なお、目視による黒色度の評価は、比較例1はA、比較例2はBであった。
[反射特性による黒色度の評価]
目視による黒色度が良好であった実験例6、及び比較例1,2の黒化処理液により黒色化処理を実施したSPCC材の黒色度を全光線反射率に基づいて評価した。全光線反射率の測定は、JIS−Z8722に準拠して行った。具体的には、分光光度計(日本分光株式会社製、V−570)を用い、積分球を使用して350〜800nmの波長の光を照射することにより全光線反射率を計測した。
計測した全光線反射率をそれぞれ比較することにより、各処理液における黒色度を評価した。なお、全光線反射率が小さいほど黒色度が高いことを示す。また、前処理及び黒色化処理を施していない試料(SPCC材)を準備し、これを比較例3として全光線反射率を計測した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、黒色化処理を施していない比較例3では、全光線反射率が20%以上となり、黒色化処理を施したSPCC材(実験例6、比較例1,2)に比べて大きかった。また、黒色化処理を施したSPCC材については、比較例1は4〜4.5%程度、比較例2は4.7〜12%程度であった。これに対し、実験例6では、比較例1,2と比べていずれの波長においても全光線反射率が小さく、3%程度であった。このことからも、本発明の黒化処理液によれば、黒色度に優れた酸化皮膜が形成できると言える。
[SST試験]
目視による黒色度が良好であった実験例6〜10、及び比較例1,3の防錆力を評価するために、35℃に設定した試験槽内に黒色処理後のSPCC材を入れ、同試験槽内に5%食塩水を噴霧した(SST試験)。そして、各試験片について発錆までの時間を計測した。その結果を表2に示す。なお、表2中、白丸は発錆が見られないことを示し、黒丸は発錆が見られたことを示す。
表2に示すように、比較例1,3では、塩水噴霧後1時間で発錆が見られた。これに対し、実験例6〜10では、塩水噴霧後4時間が経過するまで発錆が見られなかった。このことから、黒化処理液中のテルル酸濃度を0.5〜1.5重量%とすることにより、SPCC材の耐食性(防錆力)を十分に高めることができることが分かった。また、上記濃度の黒化処理液によれば、従来のものよりも耐食性に優れた黒色酸化皮膜を形成できると言える。
[走査型電子顕微鏡による観察]
黒色度及びSST試験の結果が良好であった実験例6〜10のうち、実験例6の黒染め処理液により被染体(SPCC材)の黒色化処理を行い、その処理後におけるSPCC材の表面を走査型電子顕微鏡により観察した。その結果を図2に示す。図2に示すように、被染体の表面には、針状結晶が無数観察された。針状結晶の大きさは、幅方向の長さが100nm程度であった。この針状結晶の集合体により、SPCC材の表面に黒色酸化皮膜が形成されていると考えられる。
[黒色酸化皮膜の成分分析]
被染体(SPCC材)に対し実験例6の黒染め処理液により黒色化処理を行い、被染体表面に形成された黒色皮膜について元素分析を行った。その結果、黒色皮膜中に、鉄、リン、ニッケル、酸素及びテルルが含有されていることが分かった。

Claims (6)

  1. リン酸水溶液中にテルル酸を含有することを特徴とする鉄鋼の黒化処理液。
  2. テルル酸/リン酸の重量比が0.25以上1.1以下である請求項1に記載の鉄鋼の黒化処理液。
  3. 黒化処理時における前記テルル酸の濃度が、全体量に対して0.5重量%以上2.0重量%以下である請求項1又は2に記載の鉄鋼の黒化処理液。
  4. テルル酸を含むリン酸水溶液と被処理物の表面とを接触させる工程を有することを特徴とする鉄鋼の黒化処理方法。
  5. 前記リン酸水溶液中における前記テルル酸の濃度が、全体量に対して0.5重量%以上2.0重量%以下である請求項4に記載の鉄鋼の黒化処理方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鉄鋼の黒化処理液を用いて形成された黒色皮膜を有することを特徴とする鉄鋼材。
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